メドック格付け第5級、シャトー・ランシュ・ムーサの2003年です。
1994年以降改善してるという評はありますが、今ひとつパッとした印象はなし。
マイナー格付けシャトー(失礼!)を探求するのも修行のひとつです。
ポイヤックの幅を知るためにも味わっておきましょう。


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このシャトーはジロンド川岸からはなれた内陸側にありますが、
ポイヤックでも最大級の敷地を持っているそうです。
元は同じ5級のシャトー・ランシュ・バージュと同一だったそうで、
ランシュ・バージュを切り離しても敷地が大きいというのはすごいっす。

公式ページは立派です。が、英語表示できなさそう…。
1919年からボルドーのネゴシアン、カステジャ家の所有とのこと。
今年(2019年)はカステジャ家が運営を始めてちょうど100周年だそうです。
2003年のセパージュは、
・カベソー 68%
・メルロー 32%
個々のミレジムに樽熟は記載なし。
通常は、55~60%の新樽率で14~24ヶ月だそうです。


さて、シャトーを訪問。おっと、入口からの一本道には入れません。
Lynch-Moussas01
背後に森を控え、前には池があり、優雅ですね~。

さあ、ポイヤックを俯瞰して、他の格付けシャトーとともに、
シャトー・ランシュ・ムーサの位置を確認しますよ。
LynchMoussas01
あれれ。ランシュ・ムーサはポイヤックの外にあります。
行政区分上はサン・ソヴァール(Saint-Sauveur)になるようです。
公式ページには細かな住所はなく、「ポイヤック」となっており、
郵便番号「33250」とだけ書いてあります。
実はこの郵便番号、サン・ソヴァールとポイヤックで共通です。
なんだか住所がポイヤックでないのを誤魔化してるような印象です。(笑)


ここで、AOCポイヤックの全18シャトーをおさらいしておきます。
上の地図に等級付きで書き込んでますので合わせて場所も確認ください。

PREMIERS CRUS<第1級>
Ch. Lafite-Rothschild(ラフィット・ロートシルト)
Ch. Latour(ラトゥール)
Ch. Mouton Rothschild(ムートン・ロートシルト)

DEUXIEMES CRUS<第2級>
Ch. Pichon-Longueville-Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
Ch. Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande
(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)

TROISIEMES CRUS<第3級>
なし

QUATRIEMES CRUS<第4級>
Ch. Duhart-Milon(デュアール・ミロン・ロートシルト)

CINQUIEMES CRUS<第5級>
Ch. d’Armailhac(ダルマイヤック)
Ch. Batailley(バタイエ)
Ch. Clerc-Milon(クレール・ミロン)
Ch. Croizet-Bages(クロワゼ・バージュ)
Ch. Grand-Puy-Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
Ch. Grand-Puy-Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
Ch. Haut-Bages-Libéral(オー・バージュ・リベラル)
Ch. Haut-Batailley(オー・バタイエ)
Ch. Lynch-Bages(ランシュ・バージュ)
Ch. Lynch-Moussas(ランシュ・ムーサ)
Ch. Pédesclaux(ペデスクロー)
Ch. Pontet-Canet(ポンテ・カネ)

ポイヤックは5級もいっぱいですが、名だたる1級・2級も多いです。
わりと狭いエリアにこれだけあるわけですから、名醸地なんでしょう。

しかし、マルゴー、サンテステフ、サンジュリアンのようなAOCと違い、
ポイヤックだけジロンド川に面した、市街地と立派な港があります。
その昔はここからワインを積み出し英国へ送られていました。
(12~15世紀、ボルドー周辺の地方「アキテーヌ」は英国の支配下でした。)
個人的にはポイヤックのシャトーは単にその地の利から栄えたのではないか、
と疑いの目を持っています。(笑)
ポイヤック特有のテロワールなんて幻想ではないかと思えてきます…。


エチケット平面化画像。
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シャトーのイラストは右下隅にちょろっと書かれていますが、
2009年からは真ん中に大きく書かれるようになります。
LynchMoussas02
バランスも含め、こっちの方がやっぱりいいですよね。


さあ、いただきましょう。
Alc.12.5%。濃いガーネット。褐変きてますね。
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黒ベリーのコンポート、フィーグ。熟成香の複雑な香り。
しかしながら果実系のフレッシュさは残っています。
辛口アタック。
味に深みはあるようですが、ぼやけて骨格がはっきりしない感じ。
喉越しのタンニン、余韻の残り方、すべてソツはないんですが、
やはり主張に乏しい感じが否めません。

パーカーおじさんも、軽い、水っぽいという評価をしていたようですが、
僕は「ぼんやり」と評価しておきましょう。88点。
あとで確認して気づいたのは、パーカーおじさんの2003年の評価も88点。
気が合うんですよね~。(笑)


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Château Lynch-Moussas 2003
Pauillac
RRWポイント 88点