このワイン、成城石井で「バイヤー注目の産地」のPOP付きで1,000円ほどで売ってました。
価格で選んだのではなく(笑)、AOC Côtes du Marmandais という南西地方の産地(未お試しAOCです!)とローカル品種のアブリューAbouriou)が40%もブレンドされてるというポイントに惹かれました。さあ、例によってお手頃ワインで産地・品種を深堀しますよ~。


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作り手は、やっぱりですが、Cave du Marmandais というコート・デュ・マルマンデのアペラシオンを代表する協同組合になります。2003年設立と新しいですが、1947年設立の Cave de Beaupuy と1956年設立の Cave de Cocumont の2つの協同組合が合併したのが2003年ということなので、歴史や実績はそれなりにありそうです。


公式ページは今風。情報量も多そうです。

今日のワイン「シャトー・ルソー・パラール」のようにシャトー名がついているのは、個別の作り手によるもので、これはルソー・パラールの町のシモネー家(La famille Simonnet)によるものだそうです。シモネー家は18世紀からの農家で、野菜やタバコを主に栽培していましたが、1968年にポール・シモネーさんによりワイナリーに転向したのが始まりだそうです。
いろいろ情報が満載で、協同組合とはいえ、いい公式サイトですね。2018年の今日のワインのセパージュはこうでした。
・メルロー 67%
・アブリュー 33%(成城石井のPOPにあった40%じゃなかった。笑)
粘土石灰質土壌の畑からだそうですが、残念ながら醸造法の記述はありませんでした。

さあ、アブリューAbouriou)です。この辺り、ロット・エ・ガロンヌ県(Lot-et-Garonne)が原産の黒ブドウで、現在はAOCコート・デュ・マルマンデを特徴づけるローカル品種になってますが、2004年に研究と保存のための栽培が始まるまで絶滅の危機に瀕していたそうです。
Abouriou0
というわけで、AOCコート・デュ・マルマンデ他、南西地方のいくつかのアペラシオンで補助品種として使用が認可されたのが2016年とごく最近です。(その他は AOC Buzet、AOC Estaing、AOC Brulhois で補助品種として使用可です。)
INAOのサイトAOC Côtes du Marmandais (rouge) のセパージュの規定を確認してみましょう。(このAOCはロゼやソーヴィニヨン・ブラン主体の白もあります。)

<主要品種> カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー
<補助品種> アブリュー、コ(=マルベック)、フェール・セルヴァドゥ(Fer Servadou)、ガメ、シラー

主要品種は最大75%まで、補助品種は50%までと使用の制限があります。つまり補助品種は25~50%は必ずブレンドする必要があるということです。アブリューやフェールなんかがガッツリ入ってるっていうのはいいですね。(笑)

今日のワインの主要品種はメルローなので一応写真を眺めておきましょう。
Merlot0
実はアブリューは、2009年のDNA分析によって Magdeleine Noire des Charentes の子に当たることがわかっています。このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントというのはメルローやマルベックの母方に相当する品種なので、今日のブレンドは「異母(異父)兄弟」品種のブレンドってことになりますね。なんだかよくわかりませんが興味深い。(笑)


AOC Côtes du Marmandais の場所は以前ベルジュラックの地図を描いたときに見ています。
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ベルジュラックの南側、Côtes de Duras に接していますね。また、ガロンヌ川をまたいだ両岸にひろがっていることも確認しました。

正確な地域の範囲や対象コミューンはINAOのサイトに詳細地図があります。
Marmandais01
ガロンヌ川沿いのマルマンド(Marmande)の町がこの地域の中心地です。

ここまでわかったら、いつものようにGoogle Mapに転記するしかないですね(笑)
Marmandais02
今日の作り手(Cave du Marmandais)は2つの共同組合が合併したのものだと書きましたが、それぞれの場所と外観写真を書き込んでいます。ガロンヌ川をはさんでますが、それぞれの所在のボーピュイ(Beaupuy)からコキュモン(Cocumont)の町までの間は車で20分ほどの距離です。所属の栽培農家が100軒、総畑面積が1,000haと、おそらく地域最大規模でしょうね。

今日のワイン、シャトー・ルソー・パラールは、ルソー・パラール(Rousseau Pallard)の町のシモネー家(La famille Simonnet)が作っていると判明してましたが、現地へ行ってもシャトーが建ってるわけでもなく、シモネー家の表札が上がってるわけでもなく(笑)、場所は特定できませんでした。なので、その辺りの畑をスクショしてお茶を濁しておきます。
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いい雰囲気です。もしかしたらシモネーさんちのアブリュー畑かもしれません。(笑)


エチケット平面化画像。
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裏ラベルにちゃんと「シャトー・ルソー・パラールの所有者シモネー家」ってありました。
でも元詰めは、所属の協同組合 Cave du Marmandais となってます。そりゃそうですよね。コキュモン(Cocumont)の町の方の醸造所だということもわかりました。
しかし、でっかい「RP」は一瞬ロバート・パーカーかと思ってしまいます。(笑)


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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集成コルクですが、Cave du Marmandais の名前・マーク入り。

Alc.13.5%。(pH:4.14、Brix:7.0)
ガーネット。
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甘い香りから来ます。酸味かな?
カシス、ブルーベリー、ミント、スパイス…。
クールな印象の辛口アタック。
なんとなくアブリューの品種の個性が出てるんじゃないでしょうか。
メルローらしい味の厚みはありますね。
それより何も出過ぎない絶妙なバランスがとても心地よいです。
酸はありますが、クールな全体像を底支えするのに徹している感じ。
結果的に果実味モリモリに感じてきました。
タンニンは、か細いくらいにソフト。
余韻はあっさりなんですが、フィニッシュ後になんだか満足感。(笑)

いい。ただのメルローとは違ってて、いいです。
アブリュー。覚えておきましょう。(虎舞竜みたい。笑)


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Cave du Marmandais
Château Rousseau Pallard 2018
Côtes du Marmandais
RRWポイント 92点