スペイン、リオハDOCaのレセルバです。が、ご覧のようにカークランド・シグネチャーですから、ご存知コストコのプライベートブランド商品です。これは素性を探るのは難しそうですが、先日試した同じくコストコのキヤンティ・クラッシコ・リゼルヴァDOCG同様1000円を切る結構なお手頃価格ですから、偉いワインかどうか味見くらいはしておかなくてはなりませぬ。(笑)


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キヤンティの時は有難いことに裏ラベルに作り手(生産委託先)の名前が紹介してありましたが、どうやらこれは、そんな情報はなさそうです。しかし、よ~く目を凝らすと、極少文字で「Bottled by Bodegas Muriel - El Ciego - España」とあるのを発見。
作り手は、リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)のエルシエゴ(Elciego / Eltziego)で1926年に創業したボデガス・ムリエルになります。現在はリオハの複数のワイナリーやリアス・バイシャスのワイナリーまで傘下に収める「Muriel Wines」グループの中核となっているようです。なるほど、コストコ向けに大量に生産できる大手というわけです。


公式ページはこちら。当然のようにコストコ向けのワインは載っていません。

品種は当然ながらテンプラニージョです。テンプラニージョはたくさんのシノニムがありますが、
(リベラ・デル・ドゥエロのTinto Fino、カタルーニャのUll de Llebre、ラ・マンチャのCencibelなど)リオハでは「テンプラニージョ」と呼ぶので本家なのでしょうかね。
・テンプラニージョ 100%
裏ラベルによると、オーク樽で30ヶ月、ボトルで6ヶ月の熟成となっています。
リオハDOCaの熟成の規定はスペインの他のDOとは微妙に違うのでまとめておきましょう。

クリアンサ(Crianza)
(他DO)24ヶ月/内、6ヶ月は樽
DOCa Rioja)24ヶ月/内、12ヶ月は樽

レセルバ(Reserva)
(他DO)36ヶ月/内、12ヶ月は樽
(DOCa Rioja)36ヶ月/内、12ヶ月は樽

グラン・レセルバ(Gran Reserva)
(他DO)60ヶ月/内、18ヶ月は樽
(DOCa Rioja)60ヶ月/内、24ヶ月は樽

とにかく今日のワインはリオハDOCaのレセルバの規定はクリアしてます。(笑)


作り手訪問。やはりかなり大きな敷地、施設です。
BodegasMuriel01
エルシエゴ(Elciego / Eltziego)の町の東側一帯って感じ。

リオハのおおよその位置をスペイン地図で見ます。
RiojaA
リオハDOCaのあるラ・リオハ州はラ・リオハ県のみで構成され、州都・県都はログローニョです。エブロ川が州北部を東西に横断しており、バスク自治州、ナバーラ州、アラゴン州、カスティージャ・イ・レオン州と接しています。

さあ、リオハの地図を見ますが、これはいつも使ってるお馴染みのやつ。エルシエゴ(Elciego)の町は見つかりましたか?(リオハ・アラベサというサブリージョンにあります。)
RiojaB
リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)、リオハ・アルタ(Rioja Alta)、リオハ・バハ(Rioja Baja)の3つサブリージョンが示されています。ただ、リオハ・バハ(バハ=「低い」の意味)は響きが悪いので(笑)、今はリオハ・オリエンタル(=「東リオハ」の意味)と呼ばれます。
リオハ・オリエンタルは3つのエリアでは最も標高が低く温暖で、テンプラニージョより晩熟なガルナチャ(グルナッシュ)が主体の産地になっています。

「リオハ・オリエンタル」と表示してある地図がコレ。
RiojaC
リオハ・アラベサやリオハ・アルタ(アルタ=「高い」の意味)は500~800mの標高のお陰で寒暖差があり、良質のテンプラニージョを産するというわけです。
また、リオハ・オリエンタル(リオハ・バハ)は、VT(Vino de la Tierra) の Valles de Sadacia と重なることもわかりますね。Vino de la Tierra というのは IGP(Indicación Geográfica Protegida)に当たります。
DOカバに属するエリアも示してありますね。(DOカバはスペイン全土にあります。)

やっぱりですが、Google Mapにリオハのエリアを転記しておきます。
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エブロ川やその支流の、河岸が分布しているエリアやその山沿いなんかを見ると、それぞれのゾーンの性格がなんとなくわかるような気がします。やはりGoogle Map転記は大切です。(笑)


ラベル平面化画像。ちゃんとリオハ・レセルバの認証シールがあります。
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しかし、この建物のイラスト、どこなんでしょう?


さあ、抜栓。
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キャップシールのマークはボデガス・ムリエルの紋章をもじったもののようです。

コルク平面化。
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裏ラベルにもあったリオハの認証マークですね。コルクはDIAM3を採用です。

Alc.13.5%。(pH:4.27、Brix:7.8)
ガーネット。
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やはりアメリカンオークでしょうか。
樽香が真っ先に来ます。
黒ベリー、オリーブ、スパイス。
辛口アタック。
酸も感じますが、出過ぎてはいません。
タンニンも収斂性あってうまく効いています。
ただ、それらを受け止める味わいは若干弱めで、
バランスとして惜しい気がします。
ですが、喉越しの苦味様の滋味からの余韻は結構楽しめ、
総論、全然悪くないと思いました。偉いワインです。


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Kirkland Signature
Rioja Reserva 2015
RRWポイント 91点