ヴァンサン・ジラルダン。「Emotion」なんていう洒落たエチケットのキュヴェを含め、結構あちこちで見かけますね。ラインナップもたくさんあり、かなりの大手なんでしょうか。今日はシンプルデザインのAOCブルゴーニュを入門編として、まずはお試しをば。

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ヴァンサン・ジラルダンは、サントネのジラルダン家の12代目ヴァンサンさんが1980年(19歳の時)親から引き継いだわずか2haの畑で始めたという所です。好評は得るのですが、生産量が増やせないことから、畑を買い増すのではなく、自分と同じ哲学を持つ要求の厳しいワイン生産者からブドウを購入するという形でラインナップを増やしていきました。自らをドメーヌだけでなく「Maison Vincent Girardin」とも呼んでいますが、いわゆる「ネゴシアン・ワインメーカー」なわけですね。


公式ページは今風のこじゃれた感じで、情報もそこそこありそうです。

今日のAOCブルゴーニュ、キュヴェ・サン・ヴァンサンもデータシート付でちゃんと紹介されています。
・ピノ・ノワール 100%
コート・ド・ボーヌの樹齢45年のブドウだそうで。部分的に除梗。少しは茎が入ってるってことですね。ちょっと大きめの500リットルのフレンチオーク樽(新樽率10%)で10ヶ月の熟成。


ムルソー村にあるというヴァンサン・ジラルダンを訪問。立派な佇まい。
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ムルソーの鉄道駅のすぐ裏手、前に見たアンリ・ボワイヨのお隣さんでした。超駅チカ物件ですが、多数の有名生産者が居を構えるムルソー村の市街地までは歩いて30分ほどかかります。


さあ、今日のAOCブルゴーニュ、コート・ド・ボーヌCôtes de Beaune)からということですが、地図で見るとこれだけの広域です。コートドールの南側半分ですからね。
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で、AOCブルゴーニュの区画はというと、コート・ド・ニュイでもそうでしたが、おおよそ県道D974号線の東側と相場が決まっています。

しかし、日本のインポーター稲葉のサイトを見ると「ポマール、ヴォルネイとサン・ロマンの境にあるオート・コート・ド・ボーヌの葡萄を使用」と書いてあります。コート・ド・ボーヌとは言いますが「オート」が付くと話は別です。県道のこっち側じゃなくて反対の山手になります。これがオート・コート・ド・ボーヌ(Hautes Côtes de Beaune)の区画を示した地図になります。
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「ポマール、ヴォルネイとサン・ロマンの境」となると、地図上にも示しましたが、MeloiseyとNantouxのコミューンに該当しそうです。これ以上は追求できませんが、県道D974号線のこっち側の平坦な畑よりオート・コート・ド・ボーヌの方が畑としてのポテンシャルは高そうです。

一例ということではありますが、ナントゥー(Nantoux)にあるオート・コート・ド・ボーヌの畑に降り立ってみました。見た感じだけですが、なんか良くありません?(笑)
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この辺りの畑だとして、あとは、なぜヴァンサン・ジラルダンがオート・コート・ド・ボーヌで出さないのかということですね。再度インポーターのワイン紹介を読むと「ブルゴーニュ・ルージュはどこでも造られるが、ハイクオリティのブルゴーニュ・ルージュを造るため」というようなことが書いてありました。そういうこと?(笑)


エチケット平面化画像。
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シンプルかつ表ラベルで完結しています。


さあ、抜栓。
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キャップシールはネックの所にVincent Girardinの名前が入ってます。

コルク平面化。
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「Grand Vin de Bourgogne」x2のみ。あっさり~。

Alc.13%。(pH:4.03、Brix:6.6)
クリア感あるルビー。粘性の涙は結構はっきりしてます。
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フランボワーズ、チェリー、茎感。
やはり完全除梗ではない雰囲気ですね。
かすかに佃煮香も。
酸かな ?クールな感じの辛口アタック。
薄っぺらくはないんですが、軽快な味と言っておきましょう。
最初の酸を迎え入れて絶妙なバランスを見せてくれます。
喉越しのかすかなタンニンはいい感じの苦味も感じさせ、
果実味も思い出させながら、あっさりした余韻も楽しめる…。
やはり、いいブルゴーニュでした。


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Vincent Girardin Bourgogne
Cuvée Saint-Vincent 2017
RRWポイント 92点