マァジのアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコです。名門マァジの看板アマローネですから決してお安くはないのですが、実はコストコにもこれが売っていて、一般価格よりかなりお手頃であることに気づきました。思わずカートに投入しましたが、やはりコストコは要チェックですね~。近所にあるので常に偵察を怠らないようにしないとです。(笑)


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マァジは最高クラスのアマローネを作る1772年創立の歴史ある作り手です。50年ほど前(1964年)に、ダブルファーメンテーション(二重発酵)という古来のリパッソ製法をマァジが復活させたというのはカンポフィオリンを試した時に見ましたね。

各論に入る前に、Amarone della Valpolicella DOCG他を整理しておきます。「アマローネ」や「ヴァルポリチェッラ」が品種なのか地名なのか何なのかってことですよね。

Valpolicella DOC1968年にDOCとして成立します。

42年後の2010年に、以下の3つが単独のDOCGとしてValpolicella DOCから分離します。
Amarone della Valpolicella DOCG
(ぶどう収穫後、数ヶ月<最低12月1日まで>乾燥=アパッシメント。Alc.14%以上。)
Recioto della Valpolicella DOCG(アマローネの残糖50g/Lの甘口。Alc.12%以上。)
Valpolicella Ripasso DOCG(二重発酵=リパッソ製法。)

これら3つは製法としては確立されていたのでしょうが、DOCGとしては2010年からですから比較的新しいですね。Valpolicella DOC成立の時点で、品種は、Corvina / Corvinone が45~95%、 Rondinella が5~30%、その他が Max.25%(単品種で10%超えない)と規定され、サブゾーンとして「Classico」と「Valpantena」があり、これら品種規定とサブゾーンは3つのDOCGにそのまま引き継がれます。

結論、アマローネ、レチョート、リパッソは「製法」であり、ヴァルポリチェッラは「産地名」及びDOC名称ってことですね。品種の規定(上記)はValpolicella DOC以下みんな同じです。


公式ページは大手らしく見やすくよくできています。

今日のワインも当然紹介されていますが情報が薄いので、パーカーおじさんが92点をつけたときの記事を参考にします。
・コルヴィーナ 70%
・ロンディネッラ 25%
・モリナーラ 5%
アパッシメント(特別室で乾燥)を100日以上行い、ブドウの水分を35%以上飛ばします。このCostaseraはアマローネの持つ良さをすべて兼ね備えながら、他のアマローネより柔軟性があり多様な食事に合わせられるなんてふうに評されています。

これが、Corvina。18世紀ごろからCorvina Veroneseとも呼ばれてます。
Corvina
1627年の文献にコルヴィーナという名が初出しており、当然イタリア原産です。DNA分析では、Refosco dal Peduncolo Rosso や Rondinella と親子関係があり、Dindarella、Garganega、Marzemino、Oseleta とは遠い親戚だそうです。
また、Corvinone というよく似た名前の品種がコルヴィーナの代わりに使用可なのですが、フェノール特性が同じながら、房や果実がコルヴィーナより大きく果皮の色も濃いそうです。

これが30%まで混ぜていい Rondinella。同じくイタリア原産。
Rondinella
2006年のDNA鑑定では、Corvina (Veronese) と何らかの品種の自然交配という結果が出ています。コルヴィーナの子供ですか。親子でブレンドするわけですね。

今日のワインに5%だけ入ってる Molinara
Molinara
2003年までValpolicella DOCにはブレンド必須の品種だったようですが今は不問です。色や糖度の弱さからブレンドでしか使われませんので衰退していってるようですが、ミネラル分の特性がいいことから今日のワインのように一部では根強く使われているようです。

これがGoogle Mapに上がっていたマァジのアパッシメントの風景。
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100日以上ここに置いておくんですね。前にアレグリーニの人に聞きましたが、この乾燥室にエアコンは設置してはいけないそうですね。ファンはOKです。


MASIはサンタンブロージョ・ディ・ヴァルポリチェッラ(Sant'Ambrogio di Valpolicella)という町の外れにあります。早速行ってみましょう。
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敷地は大きそうですが、細い路地にあるので全景が1枚に収まりません。


さあ、ヴェローナ周辺の産地を確認しますが、やはりこの地図が最適ですね。
マァジの本拠地の場所とカンポフィリオンの場所を書き込んでいます。
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まず広大な Valpolicella DOC のエリアを確認。派生した3つのDOCG(Amarone della Valpolicella 、Recioto della Valpolicella、Valpolicella Ripasso)は当然ながら同じエリアになりますね。

恒例ですが、このエリアをGoogle Map上に転写します。
NasiX
Amarone della Valpolicella DOCG のエリア(Valpolicella DOC と同じ)の中に、サブゾーンとして「Classico」と「Valpantena」があるわけです。
「Classico」の対象コミューン(コムーネ)は以下の5つです。
・Fumane
・Marano (di Valpolicella)
・Negrar (di Valpolicella)
・San Pietro in Cariano
・Sant'Ambrogio (di Valpolicella)(・・・マァジの所在です。)


ラベル平面化画像。
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インポーター情報では「21世紀にアパッシメント技術においてマァジ社が専門家であることが証明されており、アパッシメント技術を用いて造られる全てのMASIワインのバックラベルには、それを証明するロゴが印字されています。」だそうで。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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あまり凝ってはいません。(笑)

Alc.15%。(pH:4.10、Brix:8.9)
濃い濃いインキーなガーネット。
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黒ベリー、チェリー、ドライフルーツ、スパイス。
辛口アタック。
甘みと酸もしっかり主張してます。
タンニン分もすぐに喉元に収斂性をもたらします。
味の厚みはそこそこかなと思ったら、
複雑味がそれこそ深遠で圧巻でした。
余韻もいいバランス続きます。

果実味しっかりの味わいは、
まだまだ熟成のポテンシャルを感じさせます。
裏ラベルに35年の熟成も可能って書いてましたね。
2013年はまだ早いかな…。


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MASI
Costasera Amarone Classico 2013
Amarone della Valpolicella Classico DOCG
RRWポイント 94点