久しぶりに、ロワールはトゥーレーヌ、AOCヴーヴレ(Vouvray)をいただきますよ。AOCヴーヴレとなれば、シュナン・ブランからの白のみと決まってきます。半甘口(Demi-Sec)、甘口(Moelleux)の他、瓶内二次発酵方式による微発泡(Pétillant)、発泡性ワイン(Mousseux)もありますが、みんなシュナン・ブランから作られます。世の中いろんなシュナン・ブラン(二コラ・ジョリーのやら、南アフリカのやら…)がありますが、個人的にここヴーヴレを基本とすべく味わいたいと思います。


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作り手のヴィニョー・シュヴローは、ヴーヴレの真ん中シャンセ(Chançay)に1875年設立という老舗。以来5世代に渡り、所有畑も5haから33haまで増やし発展してきたといいます。その中に、ヴーヴレのワインのルーツでもある「マルムティエ大修道院」の歴史ある畑も含まれるそうです。


公式ページは情報も盛り沢山でいいんですが、変な効果が多くて少々使いにくし。(笑)

ワイン情報もちゃんとしていますがインポーター情報も交え…。
・シュナン・ブラン 100%
熟成はステンレスタンクとフレンチオークの大樽(500L、新樽率10%)の併用で2ヶ月。
畑は粘土質の「ケイ酸塩」土壌だそうで、ワイン名が「Silex」というように火打石の成分を含み、独特のミネラル感が楽しめるんだとか。

シュナン・ブランはロワールでの「Pineau de la Loire」というシノニムの他、いっぱい呼び方があるようです。南アフリカでは「Steen」でしたね。
CheninBlanc
シュナン・ブランは、2018年のDNA分析でサヴァニャン(Savagnin)と何らかの品種の自然交配で生まれたとされています。さらにこのシュナン・ブランとグエ・ブラン(Gouais Blanc)の交配から、バルザック・ブラン(Balzac Blanc)、コロンバール(Colombard)、ムスリエ・サン・フランソワ(Meslier Saint-François)といった品種が生まれたことが判明しています。


作り手訪問。老舗の割には簡素なところです。(笑)
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シャンセの町って聞いたことがあるなと思ったら、以前に試したヴーヴレの、セバスチャン・ブリュネ(Sébastien Brunet)のご近所でした。AOCヴーヴレには160の生産者しかいないそうですから、いろいろ試すとご近所に当たるわけですね。

ヴーヴレの地図にその2軒の場所を示しておきます。
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車で5分くらいしか離れていないようです。交流があるかは知りませんが。(笑)

さて、今日の作り手が自慢してるのが(笑)、先ほども触れた、ヴーヴレのワインのルーツでもある「マルムティエ大修道院」の歴史ある畑でワインを作っているという件です。フランス革命で破壊されるまでヴーヴレのマルムティエ大修道院(Abbaye de Marmoutier)は西ヨーロッパでも最大の修道院の一つだったそうです。372年にこの修道院の聖マーチンによって開かれたブドウ園がクロ・ド・ルージュモン(Clos de Rougemont)で、今日の作り手のヴィニョー・シュヴローが幸運にもその畑の再建を担うことになったんだそう。
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ただし、畑を取得したんではなく、50年のリースだそうですが(笑)。facebookに載っていた写真をもとに場所を調べると、ずいぶんトゥール(Tours)側のロワール川沿いにありました。ちょっとドメーヌからは離れています。(車で20分。)
この畑の植え替えを1995年に行なってるんですが、これを機会に、同時にすべての所有畑でビオディナミ栽培を始めたんだそうです。というわけで、今日のワインはビオディナミです。(笑)


さあ、お馴染みの地図でトゥーレーヌ(Touraine)地区を俯瞰しておきます。
Marc02
ヴーヴレはトゥールの町の東側、ロワール川の北岸ですね。

で、この中心部分をGoogle Map上に示したのがこれ。
VouvrayChancay02
ドメーヌの所在も記入していますのでご確認を。

ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
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ひと筋縄ではいかないロワールの全体像が見られていい地図だと思います。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

わかりやすくていいサイトです。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルにはドメーヌの紹介の他、ABマークとユーロリーフもありますし、心酔するビオディナミの解説がしっかり書かれています。(笑)

しかし、これを丸隠ししていたのがこのインポーターのラベルです。
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モトックスさん、「フランス語だから要らないだろう」ではないですよ~。


さあ、抜栓です。
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キャップシールはクルッとはがせるプラスチック製でした。

コルク平面化。
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ドメーヌ名入り。ミレジムは横・腹にもしっかり入っています。

Alc.13%。(pH:3.88、Brix:6.3)
ゴールドイエロー。
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シトラス、白桃、みずみずしい梨って感じで、
フルーティに香り立ってます。
辛口アタックですが、
それらの果実がそのまま入ってくるような口当たりです。
確かにミネラル感もありますね。
それは次第に苦味様の複雑味に変わっていく感じ。
これがシレックスなんでしょうか。
そして、満足感が残る余韻。
うまい…これ。


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Domaine Vigneau-Chevreau
Vouvray Cuvée Silex 2019
WWWポイント 80点



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