カルディで1500円ほどのお手頃価格で売っているシャルドネですが、南仏ラングドックのAOCリムー(AOC Limoux)というだけでお買い求め。エチケットを見る限り、このワイン自体や作り手を深掘りするのは難しそうですが、リムーのシャルドネを味わいながらAOCリムーの深掘りだけでもしておくとしましょう。(笑)

IMG_4952
いろいろググってみましたが、どこかの協同組合だとは思いますが、案の定全く素性がつかめず。裏ラベルにポストコードらしきものがありましたが「モンペリエ」のものです。あとでラングドックの地図を見るとわかりますが、モンペリエはリムーからは結構離れています。カルディのサイトもほぼ情報ゼロ。今回はさすがに作り手探求はあきらめます。(笑)

せっかくなので、表ラベルにあった表記「Mis en bouteille dans la région de production」を深掘りしておきます。そこそこのワインを飲んでいたらあまり見ない表記です。(笑)

Mis en bouteille dans la région de production(生産地域にて瓶詰め)
これは「醸造したところとは別の場所で」瓶詰めした場合に表記されます。大抵はその地域か、その近くのネゴシアンによるものと考えたら良さそうです。AOCをうたってる場合はその域内もしくはその近くになるので少しマシと言えばマシです。(笑)

Mis en bouteille au château(シャトーにて瓶詰め)
Mis en bouteille au domaine(ドメーヌにて瓶詰め)
Mis en bouteille à la propriété(所有されている地所にて瓶詰め)
これらはよく見ますね。シャトーやドメーヌで生産から瓶詰めまで一貫してやってることがわかります。気を付けないといけないのは、「propriété(自地所)」は「共同組合のセラー」の意味を含むところです。なぜなら、大抵の生産者は所属する協同組合の株主であり、「自分の地所にて」をうたう権利を持っているからです。

Mis en bouteille par ~(~によって瓶詰め)
これは誰が瓶詰めをしたかだけを示すもので、大抵は「第3者」、つまりはネゴシアンです。


さて、ラングドック・ルシヨンをGoogle Map上で見て、AOCリムーを確認しましょう。
Languedoc_Roussillon
カルカッソンヌ(Carcassonne)の近く。AOCマルペールの南、AOCコルビエールの西側です。地図にも示していますが、赤・白・泡が認められたAOCです。

しかしながら、赤が認められたのが2003年のヴィンテージからと比較的最近で、もともとは白のみ、そのルーツは泡のAOCでした。リムーの発泡性ワインのルーツは1531年まで遡り、シャンパーニュよりも1世紀早く「世界最古の発泡性ワイン」はリムーなんだそうです。まとめると…。

<1938年制定AOC>
・Blanquette méthode ancestrale(=Limoux méthode ancestrale):弱発泡白
・Blanquette de Limoux(=Limoux blanquette de Limoux):発泡白

<1959年制定AOC>
・Limoux blanc:辛口白

<1990年制定AOC>
・Crémant de Limoux:発泡白

<2004年制定AOC>
・Limoux rouge:辛口赤

以上のような流れですが、始祖はやはり最初の2つ。AOC Limoux +「補助表記(Méthode ancestrale / Blanquette de Limoux)」が正式ですが、旧表示も認められています。
Blanquette méthode ancestrale は、モーザック(Mauzac)100%から作られ、「先祖代々の方法(méthode ancestrale)」の名の通り、瓶内で発酵・熟成を完結させるためオリが残った状態で濁りがあり、(糖の添加もないので)アルコールも7%程度と低くなります。
Blanquette de Limoux は(リキュール・ド・ティラージュを添加する)瓶内二次発酵なので多少モダンになりました。ただし、後にさらにモダンな Crémant de Limoux が制定されたとき、Blanquette de Limoux はモーザック(Mauzac)90%以上の使用が義務化されます。これら2つの古い発泡性のAOCは、Crémant de Limoux に置き換えられてもおかしくなかったんですが、製法や品種を古くさいままにすることでなんとか共存することができたというわけです。しかし、ワインを知ろうとする学習者にとっては複雑になって迷惑な話です。(笑)

これがリムーの歴史の象徴ともいえるモーザック(Mauzac)です。
Mausac
南西地方の AOC Gaillac(blanc)/AOC Gaillac premières côtes でもモーザックは主要品種であり、実は起源はそっちの方らしいです。因みに、Mauzac Rose というピンクの果皮の種類と Mauzac Noir という黒ブドウがあるんですが、ロゼの方はモーザックの色変異種であるものの、ノワールの方は血縁関係のない全く別の品種だそうです。

Crémant de Limoux は、シャンパーニュ以外のスパークリングに「クレマン」という用語が導入された波に乗って制定されたモダン対応(笑)のAOCです。よって、人気のシャルドネ、シュナン・ブランが主要品種になります。規定は細かいのですが、まとめると、シャルドネが40%以上、シュナン・ブランが20%以上、シャルドネ、シュナン・ブラン合わせて最大90%で、これに補助品種としてモーザック、ピノ・ノワール合わせて10~40%(モーザックは最大20%)を加えます。また瓶内熟成期間は9ヶ月とされ、Blanquette de Limoux も同じく9ヶ月です。

AOC Limoux(blanc)はシャルドネ、シュナン・ブラン、モーザックが使えますが、モーザックは必ず15%は入れないといけません。また、オーク樽での熟成が義務付けられています。これはラングドックのAOCとしては唯一の樽熟が義務付けられた白ワインだそうです
さて、ということは今日のこのワインAOC Limoux ですから、モーザックが15%入っていて、かつ樽熟成をしているということです。無名のお手頃ワインですが、ただのシャルドネと言われるよりなんだか上等な気がします。(笑)

AOC Limoux(rouge)はメルロー主体と覚えておけばいいですが、メルローは45~70%の範囲であり、最低20%はコ(Côt=マルベック)、シラー、グルナッシュをブレンドします。カベフラ、カベソーも使えますが合計で35%を超えてはいけません。

詳しくは、AOC Limoux の公式サイトというのがありますのでご参考ください。



さて、AOC Limoux の範囲をINAOの地図で見るとこうなっています。
Limoux01
リムーを含む41のコミューンが対象です。

パッとしない地図なのでやっぱりですがGoogle Mapに重ねてみます。
Limoux03
AOC Limoux の公式サイトによればこの中に57の生産者がいます。


一応、エチケット平面化画像。
IMG_4816
正体不明のワインでしたが、AOC Limoux からある程度わかりましたね。モーザックが15%以上ブレンドされていて、樽熟をしているということ。(ホントかな…。笑)

ラングドック・ワインの公式ページをやっている、ラングドックワイン委員会(CIVL=Conseil Interprofessionnel des Vins du Languedoc)はAOCを以下のようにランク付けし分類しています。リムーはグラン・ヴァンですね。

<Crus du Languedoc>
・AOC Corbières-Boutenac
・AOC La Clape
・AOC Minervois-La Livinière
・AOC Pic-Saint-Loup
・AOC Terrasses-du-Larzac

<Grands Vins du Languedoc>
・AOC Cabardès
・AOC Clairette-du-Languedoc
・AOC Corbières
・AOC Faugères
・AOC Fitou
AOC Limoux
・AOC Malepère
・AOC Minervois
・AOC Muscat-de-Frontignan
・AOC Muscat-de-Lunel
・AOC Muscat-de-Mireval
・AOC Muscat-de-Saint-Jean-de-Minervois
・AOC Picpoul-de-Pinet
・AOC Saint-Chinian

<Appellation Régionale>
・AOC Languedoc

<Dénominations Régionales>
・AOC Languedoc Cabrières
・AOC Languedoc Grès de Montpellier
・AOC Languedoc La Méjanelle
・AOC Languedoc Montpeyroux
・AOC Languedoc Pézenas
・AOC Languedoc Quatourze
・AOC Languedoc Saint-Christol
・AOC Languedoc Saint-Drézéry
・AOC Languedoc Saint-Georges-d'Orques
・AOC Languedoc Saint-Saturnin
・AOC Languedoc Sommières
・AOC Saint-Chinian Berlou
・AOC Saint-Chinian Roquebrun


さあ、抜栓。
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完全無印(笑)。しかし、DIAM1ではあります。

Alc.13%。(pH:4.48、Brix:6.2)
オレンジ系のイエロー。
IMG_4951

青リンゴ、花梨、白桃シロップ漬け。
酸を先に感じる辛口アタック。
と思ったら、それほどの酸味は感じず、
フレッシュな軽さに苦味様の風味が加わるなかなかのバランス。
ただし、水臭いとまではいかないながら、やっぱり軽め。
樽らしきものも感じませんね。

シャルドネってこんなだっけ?と思いますが、
15%以上入ってるはずのモーザックのせいだったりして…。


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Gavelot Chardonnay 2019
Limoux AOP
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