ルーマニアのピノ・ノワールを見つけたのでポチったんですが、1000円+税というお値段です。素性を調べるのもちょっと手こずりそうな予感。まあ、ルーマニアは経験上レベルがそこそこ高いので、当たりであること期待しつつルーマニアワインの総論でも調べましょうか。

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案の定、作り手の素性不明(笑)。裏ラベルに「Bottled by DMD at F11170 France」とあります。フランスのネゴシアンでしょうか、このポストコードはレサック・シュル・ランピ(Raissac-sur-Lampy)というカルカソンヌの近くの町です。やはり、Chai DMD というワイン流通業者のようです。

Chai DMD の写真があったので貼っておきます。ルーマニアじゃないですよ。(笑)dmd01
ネットのショップの情報では、『南仏ドメーヌのオーナー“ピエール・デグルット氏”が手がける。“ブルゴーニュ以外でピノが上手に育つのはここしかない”と、ピノ・ノワールの苗木を全てフランスから持ち込んで、ルーマニアの銘醸地「デアルマーレ」で造られたワイン。』とあります。
「南仏ドメーヌ」ってどこな? ピエール・デグルット氏って誰な? …と、基本的なことがわからず情報的価値はほぼゼロです。(笑)

『ルーマニアの銘醸地「デアルマーレ」で造られたワイン』とありますが、今日のワインは「Dealurile Munteniei IGP」となっています。(IGPが「Indication Géographique Protégée」とフランス語なのもご愛敬。)ネットの情報によると、10年くらい前のヴィンテージでは(そんな前からあるんだ…)確かに DOC Dealu Mare だったようです。DOC → IGPで、少し広域になったのでしょうか。

ルーマニアのワイン法では、原産地呼称のDOCDenumirea de Origine Controlată)と地理的表示のIGIndicaţie Geografică)で産地が格付けされており、EUの規定よりも厳しいなんて言われています。ルーマニアがEUに加盟したのが2007年と割と最近なんですが、基本はEUワイン法のAOP/IGPに準じてるんじゃないでしょうか。

ルーマニアには、DOCが33、IGが12あると言います。列挙してみましょう。
(アルファベットはルーマニア語表記のまま記します。読みづれぇ~。笑)

DOC(Denumirea de Origine Controlată):計33
(Denumiri de origine controlată → 複数形)
インデントしてあるのはサブゾーンです。

1. Târnave
Blaj
Jidvei
Mediaş
2. Alba Iulia
3. Sebeş - Apold
4. Aiud
5. Lechinţa
6. Cotnari
7. Iaşi
Copou
Bucium
Uricani
8. Bohotin
9. Huşi
Vutcani
10. Iana
11. Dealu Bujorului
12. Nicoreşti
13. Panciu
14. Odobeşti
15. Coteşti
16. Dealu Mare
Boldeşti
Valea Călugărească
Urlaţi
Ceptura
Tohani
Breaza
Merei
Zoreşti
17. Pietroasa
18. Ştefăneşti
Costeşti
19. Sâmbureşti
20. Drăgăşani
21. Banu Mărăcine
22. Segarcea
23. Mehedinţi
Severin
Corcova
Golul Drâncei
Vânju Mare
Oreviţa
24. Recaş
25. Banat
Moldova Nouă
Dealurile Tirolului
Silagiu
26. Miniş
27. Crişana
Diosig
Biharia
Şimleu Silvaniei
28. Murfatlar
Medgidia
Cernavodă
29. Babadag
30. Sarica Niculiţel
Tulcea
31. Adamclisi
32. Oltina
33. Însurăţei


IG(Indicaţie Geografică):計12
(Indicaţii geografice → 複数形)

1. Dealurile Transilvaniei
2. Dealurile Moldovei(もしくは)
Dealurile Hârlăului
Dealurile laşilor
Dealurile Huşilor
Dealurile Tutovei
Dealurile Covurluiului
Terasele Siretului
3. Dealurile Vrancei
4. Dealurile Munteniei
5. Dealurile Olteniei
6. Viile Carașului
7. Viile Timişului
8. Dealurile Zarandului
9. Dealurile Crişanei
10. Dealurile Sătmarului
11. Colinele Dobrogei
12. Terasele Dunării


今日のワインは、IG Dealurile Munteniei ですが、ワイン名が「Clos Buzao」といいます。おそらく「Buzao」という場所があるはずと調べると、どうやら現地語で「ブザウ(Buzău)」のようです。ムンテニア(Muntenia)地方の県とその県都に Buzău というところがありました。ムンテニア(Muntenia)地方は首都ブカレストを含むルーマニアの南部を占める地方です。

ブザウは DOC Dealu Mare の域内にあり、IG Dealurile Munteniei に含まれます。Dealurile Munteniei の意味は「ムンテニアの丘」ということですから、ムンテニア地方の山側部分に当たるようです。以上をこの地図で確認してみましょう。
Romania_Wine_Region
ブカレストの北側、IG Dealurile Munteniei(黄文字)は見つかりましたか? その中に DOC Dealu Mare があり、ブザウ(Buzău)もその域内にありましたね。


実はこの辺りの情報は、ルーマニアワイン専門商社のユーロアジアトレーディングのサイトが詳しいです。カタログPDFにルーマニア情報が満載です。読み方もカタカナでわかります。(笑)
Romania_Wine_Region_ET
最初からこれを上げとくべきでしたかね。(笑)

毎回やってますが、Google Map上でルーマニアの緯度を見ます。
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ルーマニアはフランスとほぼ同じ緯度にあり、フランスの銘醸地のエリアがほぼ同じ規模で東欧に展開している印象です。国土の中央にとぐろを巻くように走るカルパチア山脈を境に、山岳部と平原部で気候が大きく異なるため、生産されるワインも多種多様なんだそうです。やはり興味深い国です。


ラベル平面化画像。
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インポーターの重松貿易のサイトへ行ってもこのワインの情報はありませんでした。


さあ、抜栓。
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まあ、汎用品ですね。コルクも短い。

コルク平面化。
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ブドウのイラストのみ。

Alc.12.5%。(pH:4.37、Brix:7.0)
しっかり色づいたルビー。
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ラズベリー、イチゴ。
ミンティーな風味に隠れ軽めながら佃煮香もあります。
辛口アタック。
酸はミルキーなくらいまろやかで控えめ。
そこそこの複雑味があって面白いです。
全体像は値段なりの軽さはあるんですが頑張ってると思います。
やはり、ルーマニアはいい線行ってますね。


*****

Clos Buzao
Pinot Noir Réserve 2018
Dealurile Munteniei IGP
RRWポイント 90点