カルディで売ってるピノ・グリージョです。Delle Venezie DOC なんですが、2017年に同名のIGPが昇格したものです。デッレ・ヴェネツィエDOCの公式サイトに書いてありますが、このDOCは「Pinot Grigio delle Venezie」としてピノ・グリージョをもっと推すためにDOC化されたようなもので、対象地域ではイタリアの全ピノ・グリージョの85%が栽培されているんだそうで。

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1000円ほどのお手頃ワインですから、作り手は大量に生産する大手なのはなんとなく想像がつきます。調べると当たらずとも遠からず、ミラノに近いところにある大手ではありましたが、4世代続く家族経営で、その歴史は面白いです。もともとは(19世紀中頃)プーリア州で靴屋をしていたアマディオ・ピロヴァーノさんが周りの農家から買ったワインを出していた居酒屋が始まりだそうです。居酒屋は繁盛しレストランになり、アブルッツォ州とピエモンテ州からもワインを買い付け、ワインの卸売りも始めて事業が広がっていきます。「Pirovano」としての創業は1910年となっていますが、この頃にはロンバルディア州に移ってきたんでしょうか、パヴィアに近い Oltrepò Pavese DOC のワイナリーを所有しているようです。

公式ページにはイタリア全土からのワインがラインナップされてます。所謂ネゴシアンですね。

今日のワイン、「Grande Amore」なるものはプーリアの赤ワインしかなく、ピノ・グリージョは近しいものを参考にします。
・ピノ・グリージョ 100%
ブドウはヴェネト州からとあるだけで、醸造の説明はありませんでした。

ピロヴァーノを訪問してみます。ミラノ北、車で1時間の所でした。
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奥にはタンクも見えますが、全体は企業のオフィス+物流倉庫って感じです。


作り手に関してはこれ以上広がりようがないので、Delle Venezie DOC を見てみます。
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対象地域は、ヴェネト州、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州、トレンティーノ・アルト・アディジェ州のトレンティーノ(トレント自治県)となっており、3州にまたがる広大な範囲です。ピロヴァーノの所在も記入してるので、ロンバルディア州ミラノと合わせて位置関係ご確認ください。
このDOC、元は IGT Delle Venezie として1995年にできた IGT(Indicazione Geografica Tipica)で、2017年にDOC化しています。IGTとはEUワイン法でいうところの IGP(Indicazione Geografica Protetta)のことです。
前述のように Pinot Grigio delle Venezie DOC と表記してピノ・グリージョを前面に押し出すためにできたようなDOCです(ピノ・グリージョは85%以上の規定)。ただのビアンコ(Bianco)もあり、シャルドネ、フリウラーノ、ガルガネガ、ミュラー・トゥルガウ、ピノ・ブランなど主要品種を50%以上使う規定になっていますが、これはピノ・グリージョを栽培していない作り手を救済するために残されている設定と言え、大半をピノ・グリージョが占めます。
Delle Venezie DOC の成立に伴い、元のIGTは IGP Trevenezie として残されました。(3州にまたがるという意味でしょうか、「3つのヴェネツィア」って変な名前です。)対象範囲はDOCと全く同じですが、IGP Trevenezie には赤の設定があり、国際品種含めほぼ何でもOKとなっています(85%以上で品種表示も可能)。Delle Venezie DOC は白のみです。

最後に、DOC DELLE VENEZIE公式サイトをリンクしておきます。

ほぼ「Pinot Grigio delle Venezie」の専用サイトなのがわかると思います(笑)。

ピノ・グリージョ(Pinot Grigio)は当然ながらピノ・グリ(Pinot Gris)のイタリア語名です。
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2016年の統計では全世界で合計48,570haのピノ・グリージョが栽培されていますが、イタリアはその内の18,831haを占め、実に40%近くにもなります。
原産国であり本家のフランスはたった2,867haで90%がアルザスに集中しています。お隣のドイツは6,713haとフランスの倍ほどありますが、それでもイタリアの足元にも及びません。その他の多い国と言ってもアメリカの7,462haとオーストラリアの3,652haが続くぐらいで、圧倒的にイタリアがピノ・グリージョ王国と言えるでしょう。そしてその85%がDelle Venezie DOCのエリアに集中してるわけですから、「Pinot Grigio delle Venezie DOC」を推したくなる気持ちはよくわかります。(笑)

ピノ・グリージョは、ピノ・ノワールの突然変異体と言われています。もしくはピノ・ブランの変異種の可能性もあるそうです。そもそもピノ・ブランもピノ・ノワールの突然変異体で、そのピノ・ブランもピノ・グリからの変異の可能性もあるようです。
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ややこしいですが、ピノ・ムニエ含め、とにかく元々はピノ・ノワールから始まってるということです。(笑)


ラベル平面化画像。
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おっと、安定剤使用です。アカシアガム? 普通、アカシアかアラビアガムと書きます(笑)。


さあ、抜栓。
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キャップシールの「P」は頭文字でしょうか。

コルク平面化。
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ノマクルク採用です。

Alc.12%。(pH:4.20、Brix:6.0)
薄い薄いイエロー。
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梨、花梨。
辛口アタック。
みずみずしい軽さ。
ライムっぽい酸もあります。

しかし、軽い。水臭いくらい軽いです。
安定剤(アカシアガム)ぶっ込んでこれですか。
ちょっと残念。


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Pirovano
Grande Amore Pinot Grigio
delle Venezie DOC 2019
WWWポイント 76点



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