アルザスの重要なコミューンのひとつ、オー・ラン県のリクヴィール(Riquewihr)。ヒューゲル/ユーゲル(Hugel)もあるコミューンですね。「フランスの最も美しい村」(Les plus beaux villages de France)にも選ばれているくらい風光明媚なところだそうです。今日はそこに古くから根差す作り手、ドップ・エ・イリオンのワインをいただきます。

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ドップ家とイリオン家は16世紀から共にこの地でブドウ園を所有してきた名家で、戦争の余波が要因らしいんですが、1945年にレネ・ドップさん(René Dopff)とマダム・ヴーヴ・イリオンさん(Madame Veuve Irion)が共同で立ち上げたのが、ドップ・エ・イリオン(Dopff & Irion)です。1549年に建てられたシャトー・ド・リクヴィール(Château de Riquewihr)と呼ばれる建物をセラーとしており、自らをそのシャトーの名前で呼んでいます。
ドップ・エ・イリオンは、少し離れたロウファッハ(Rouffach)にあるシャトー・ディザンブール(Château d'Isenbourg)というエステートのクロ(石垣)に囲まれた 5ha の畑を所有しており、そこからのワインをクロ・シャトー・ディザンブール(Clos Château d'Isenbourg)シリーズとしてリリースしています。今日のワインですね。

公式ページはショップ兼用ながらワイン紹介はしっかりあります。
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クロ・シャトー・ディザンブールのシリーズもカバーしているんですが、ゲヴュルツやピノ・ブラン、リースリングのモノセパージュはあるのに、ブレンド仕様の今日のワイン「Les Tourelles」が載っていません。

「Le Clos du Chateau d’Isenbourg」という単独のサイトを発見。ここには載ってました。

セパージュは、リースリング、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・ブランとあり比率は不詳。先に書いてある順に多いんじゃないかと推測しますが、今日のワインの裏ラベルには、リースリング、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネールの順に書いており、どうやら当てになりません。ネット情報で2012年のセパージュ比率として見つけたのがコレ。
・ゲヴュルツトラミネール 35%
・ピノ・ブラン 30%
・リースリング 20%
・ピノ・グリ 15%
これまた順番が違う(笑)。年毎に違うんでしょうかね。とりあえずこの記事のカテゴリーはゲヴュルツトラミネールにしておきました。シュールリーで4ヶ月の醸し後、ろ過、ボトル詰めの前に数ヶ月ステンレスタンクで熟成させるそうです。

リクヴィールのドップ・エ・イリオンを訪問します。
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町の入り口にドーンとあります。ヒューゲル(正しい発音はユーゲル)はもっと奥の方にこじんまりとあります。やはりリクヴィールの顔はドップ・エ・イリオンの方なんでしょうね。

ドップ・エ・イリオンが所有するという、今日のワインの出所でもあるクロ・シャトー・ディザンブールの畑を探して、リクヴィールを少し南下しロウファッハ(Rouffach)のコミューンにあるシャトー・ディザンブール(Château d'Isenbourg)を訪問。車で35分という距離です。
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小高い丘にあるシャトーを囲むように畑があります。これが「Clos」ですね。シャトーの建物自体は1974年に売却され今はホテルになっています。畑だけをドップ・エ・イリオンが所有しているという形です。

以前から使ってるアルザス&ベルクハイム(Bergheim)、リボヴィレ(Ribeauvillé)、リクヴィール(Riquewihr)の地図にドップ・エ・イリオンを追記しておきます。
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アルザスはライン川(Rhin)流域にあり、下流側がバ・ラン県(Bas-Rhin)、上流側がオー・ラン県(Haut-Rhin)に分かれます。お馴染みの有名どころはオー・ラン県の狭いところに集中しているというのがわかる地図ですね。

これは上の地図の左上にインポーズしたアルザス全図の元ネタです。
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削った部分には、AOCアルザス・グラン・クリュの51の特級畑(lieux-dits)のリスト(所在コミューン名付き)が載っていたのでここに上げておきます。(ちょっと細かいですが。)

実はアルザスワインの公式ページなるものがあって、全51ある各グラン・クリュがリストアップされリンク先に各々の詳細説明があります。また、インタラクティブ・マップというのがあって、グラン・クリュのみならず、AOCアルザスや、AOC Alsace Communales という地理的名称付きAOCアルザス(13あります。)の対象地域が一発で地図上に表示されます。
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地図上の「360°」と書かれた目ん玉マークを押すと、これまたインタラクティブな360°ビューが見られます。とてもきれいな景色がぐりぐりと好きなだけ回せます。(笑)
グラン・クリュと地理的名称付きAOCアルザスは、チェックマークを入れるメニュー項目の下にプルダウンメニューがあり、それぞれ51と13の畑名(Lieux-dits)が選べます。すると、個々の畑をピンポイントで見ることができます。ゴイゴイスー。
その他このサイトでは、AOC Crémant d’AlsaceVendanges TardivesSélection de Grains Noblesなんかも詳しく解説があります。GentilEdelzwicker なんかもお勉強できます。
ということで、いつものようにAOCアルザスについてうだうだ書かずに、素晴らしい公式サイトを紹介してお茶を濁しておきます。(笑)


エチケット平面化画像。
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上等ワインらしくシリアル番号がありますね。

剥がし跡があるように裏ラベルにはインポーターシールがこんな具合でした。
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バーコードを隠したいんでしょうが、もう少し貼り方はあると思います。


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクは汎用品ですが、ネックにはワイン名が入ってました。

コルク平面化。
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…。

Alc.13%。(pH:4.27、Brix:7.9)
オレンジがかった濃いイエロー。
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トロピカルなフルーツの香りを連想させ、
ライチ、ハチミツ、ペトロールも感じます。
まさにブレンドされてる品種すべてが個性を出してるような。
甘みかすかなアタック。
リンゴ風味、貴腐ワインのようなアプリコット感の味わい。
苦味ほんのり乗ったミネラル感も。
熟成したうまさが伝わってきます。


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Dopff & Irion
Clos Château d’Isenbourg 
Les Tourelles 2011
WWWポイント 79点



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