ポール・レイツ(Paul Reitz)のメルキュレをいただきましょう。コート・ド・ニュイの南の端、コルゴロアン村が本拠地の大手ですが、いわゆるネゴシアン・エルヴール(Négociant éleveur)で、ブドウを仕入れ、醸造・熟成・瓶詰めを自ら行います。ブルゴーニュに多いスタイルですね。シャンパーニュのネゴシアン・マニピュラン(NM=Négociant-Manipulant)と似ています。

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1793年にジーン・アダム・レイツさんがエステートを造ったのが起源だそうで、1872年にポール・レイツさんがコルゴロアン村(Corgoloin)に立ち上げたワイナリー/ネゴシアン・エルヴールが今日の「ポール・レイツ」という訳です。

公式ページの本体は全編Flashベース。2021年の現在はFlashサポート終了で全く見られません。

Flashの終了は早くからわかっていた話ですから、ここは対応をしておいて欲しかったですね。仕方がないので何とかFlashを表示する方法がないかネット上を探し回った結果、怪しい(笑)エミュレータがあったので何とか見られました。これがそのサイトのスクショです。
Website
もう見られませんから今となってはなかなか貴重ですよ。しかし、サイトの情報自体は結構あっさりめのようです。今日のメルキュレもラインナップにあるのはわかりますが詳細情報なし。ネゴシアンのサイトの宿命ですかね。ポール・レイツの情報源はあと facebook がありますが2019年で更新が止まってます。(笑)


コルゴロアン村(Corgoloin)の真ん中にあるポール・レイツを訪問。
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ストビューでは中の立派な建物が拝めなかったので、facebook に上がってた写真を拝借しました。ロゴマークにするぐらい自慢の建物なんでしょう。

コルゴロアン村近辺をGoogle Mapで俯瞰して位置関係を確認します。
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この辺りは単独でAOCになってないコミューンが続きますので影が薄いですね。
プルモー(Premeaux、行政区分上はプルモー・プリセ Premeaux-Prissey)はほとんどがAOCニュイ・サン・ジョルジュ扱いで(D974号線西側は1級)、それ以外の部分の畑も単独ではなく、コンブランシアン(Comblanchien)、コルゴロアン(Corgoloin)、そしてだいぶん北へ飛んで、ブロション(Brochon)とフィサン(Fixin)の一部と合わせ技でAOC Côte de Nuits-Villages を形成しています。(赤・白あり。)

そうそう、今日のワインはコート・シャロネーズでした。
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コート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)は、コート・ドールの南端からの続き、アリゴテのみのAOCブーズロンに始まり、マコネまでに5つのコミュナルAOCがあります。リュリー(Rully)、メルキュレ(Mercurey)、ジヴリ(Givry)までは赤・白両方のAOCで、1級畑もあります。さらに南側のモンタニー(Montagny)は白(シャルドネ)のみのAOCです。

今日のメルキュレはどこの畑なのかも全く情報なし。以前、フェヴレのメルキュレを試した時の地図を再掲してお茶を濁そうと思います(笑)。これもネゴシアンの宿命ですかね…。
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AOCメルキュレは、メルキュレのコミューンだけでなく、隣接するサン・マルタン・ス・モンテギュ(Saint-Martin-sous-Montaigu)も含まれることに注意。

これもフェヴレ(Faiveley)のメルキュレのときのGoogle Map転記地図です。
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プルミエ・クリュ(1級)の分布も示してます。いくつか畑名を書き込んでますが、名前の入った畑はフェヴレの所有する畑です。しかし、醸造施設も構え、畑もいっぱい持ってるフェヴレのメルキュレに対する力の入れようは並々ならぬものですね。


エチケット平面化画像。
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「Élevé et mis en bouteille par~」となっていますが「熟成および瓶詰めしてます」ってことで、ただのメゾンじゃないぞって主張してます。ネゴシアン・エルヴール(Négociant éleveur)でしたね。裏ラベルはなくインポーターシールのみ。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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キャップもコルクもごく普通の汎用品でした。

Alc.13%。(pH:4.28、Brix:7.0)
しっかりルビー。
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フランボワーズ、チェリー、佃煮香も。
酸味からくる辛口アタック。
複雑味、奥行きがあるのは感じるんですが、
最初の酸ががっつりマスクしますね。
喉越し余韻と時は流れても酸はそこに居る(笑)。

このパターン、よくあるので慣れてきたんですが、
好みとしてはいまだ高評価はしにくいんですよね。


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Maison Paul Reitz
Mercurey 2016
RRWポイント 88点