ウンブリア州には全部で15の DOC/DOCG がありますが、DOCGは Torgiano Rosso Riserva DOCG と Montefalco Sagrantino DOCG の2つです。Torgiano Rosso Riserva DOCGの方はサンジョヴェーゼ主体の普通な感じですが、Montefalco Sagrantino DOCGサグランティーノSagrantino)という謎の(?)土着品種100%のDOCGです。これは試してみないという選択肢はないやろ?ということでお取り寄せ。

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作り手のゴレッティは、1900年初頭に創業、4世代に渡ってこの地域に根差したワイン作りをする家族経営のワイナリーで、ウンブリア州の州都ペルージャのすぐ南、車で20分ぐらいの所にあります。エリアとしては Colli Perugini DOC に当たり、当然このDOCの赤・白もラインアップしてますが、今日のワインの Montefalco Sagrantino DOCG がフラッグシップのようですね。実際、モンテファルコのコムーネに「Le Mura Saracene」というワイナリーを構えているようですが、所在はわかりませんでした。

公式ページは雰囲気やセンスはイマイチな印象ですが(笑)充実はしています。
Goretti
データシートもありましたが読めないくらい解像度悪し。(笑)
・サグランティーノ 100%
Sagrantino 100%はDOCG規定です。バローロ、バルバレスコの Nebbiolo 100% みたいに品種に自信があるんでしょうね。熟成は木樽で14~18ヶ月、ボトルで12~14ヶ月、合計30ヶ月だそうです。ただ、Montefalco Sagrantino DOCG の規定では、木樽で12ヶ月、ボトルで4ヶ月を含む計33ヶ月が必要です。若干足りないのは…なぜでしょうね。

Montefalco Sagrantino DOCG は、1979年にDOCとなった Montefalco DOC からサグランティーノ 100%を使ったものが Sagrantino di Montefalco DOCG として1992年に独立したものです。2009年に Montefalco Sagrantino DOCG に改称されています。サグランティーノが抜けた元々の Montefalco DOC は、今ではサンジョヴェーゼ主体のDOCになっています。細かく言うと、サンジョヴェーゼ 60~80%、サグランティーノは10~25%で、サグランティーノは最低10%は入れるようです。また、Montefalco DOC はグレケット(Grechetto)やトレッビアーノ(Trebbiano Spoletino)の白もあります。

サグランティーノ(Sagrantino)です。
Sagrantino
ウンブリア州のモンテファルコ周辺で栽培されるローカル品種で、その起源は明らかになっていません。1960年代にはほとんど絶滅寸前でしたが一部の生産者の努力で復活したそうです。最終的には単一品種のDOCGとなったわけですからすごいですね。2000年には351haだった栽培面積が2010年には995haとなっており強い上昇傾向で増えています。


ゴレッティを訪問しておきます。
Sagrantino01
前述のようにペルージャの町のすぐ南、車で20分ぐらいの所です。

Google Mapでウンブリア州を俯瞰して位置関係を確認します。
Sagrantino02
ゴレッティの場所も示しましたが、Montefalco Sagrantino DOCG の中心地モンテファルコのコムーネからは少し離れています。Montefalco Sagrantino DOCG の対象エリアはモンテファルコ全体と周辺のコムーネ(Bevagna、Castel Ritaldi、Giano dell’Umbria、Gualdo Cattaneo)の部分を含みます。

なかなかウンブリア州のいい感じのDOC/DOCG地図がネットで見つからなかったので、この自作地図にDOC/DOCGをすべて書き込んでみました。以下に列挙しておきます。

D.O.C.G.

・Montefalco Sagrantino
・Torgiano Rosso Riserva

D.O.C.

・Amelia(2011年まで Colli Amerini DOC)
・Assisi
・Colli Altotiberini
・Colli del Trasimeno / Trasimeno
・Colli Martani
・Colli Perugini
・Lago di Corbara
・Montefalco
・Orvieto
・Rosso Orvietano / Orvietano Rosso
・Spoleto(2011年制定)
・Todi(2010年制定)
・Torgiano

Spoleto DOC や Todi DOC は近年の制定なのでネット上ではこれらが入ってない地図も多いんですよね。Orvieto DOC は、Orvieto Classico DOC のワインを試した時に深掘りしています。


ラベル平面化画像。モトックスのシールで「Alc.14.5%」が隠れています。コラ。
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ううっ、安定剤(アカシア)入りですね。安ワインの隠し味のようなものだとすると、できれば使っていただきたくないものです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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ロゴ+URL入りです。

Alc.14.5%。(pH:3.90、Brix:8.0)
濃いガーネット。
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ブラックベリー、チェリー、カシス。
酸とタンニンがしっかりと主張する辛口アタック。
それを受け止めるには若干頼りない味の厚みかな。
ペラペラではないんですが弱い…アカシア入りなのにね。
味わい自体は好きな感じですが、
バランスの悪さが響いて、余韻も尻すぼみに感じます。

しかしタンニンの渋みは品種のポテンシャルを感じさせます。
機会があれば違う作り手のサグランティーノも試してみたいですね。


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Goretti
Montefalco Sagrantino DOCG 2014
RRWポイント 85点