アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラをいただきます。過去から何度も試していて、間違いのない好きなワインのひとつです。ただし今回は少し状況が違っていまして、同じワインを2本入手したためその1本を急遽抜栓しています。毎月やってる「うきうきワインの玉手箱福袋」が結構お得なので、欲が出て(笑)2ヶ月連続で買ったら、このワインが2回出たというわけです。

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当然ワイン自体は悪いものではないのですが、ピエモンテに拠点を置きイタリア各地でいろんなワインを作っている大手、MGMモンド・デル・ヴィーノ(MGM Mondo del Vino)というところのワインでした。イタリア人(Alfeo Martini) 、イギリス人(Roger Gabb)、ドイツ人(Christoph Mack)の3人の醸造家が1991年に共同で立ち上げ、それぞれの頭文字を取ってM.G.M.としているそうです。アメリカのMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)という映画会社とは全く関係ありません(笑)。

公式ページはこれのようですが…


MGM WineというURLの別のサイトもありました。

いろんなワインをやってるのはいいんですが、今日のワインの紹介は見つかりませんでした。なので、日本のインポーターの情報に頼ります。
・コルヴィーナ・ヴェロネーゼ 80%
・ロンディネッラ 20%
手摘み収穫。アマローネですから醸造前に陰干しします。熟成は、フレンチオーク樽65%とアメリカ産オーク樽35%の混成で24ヶ月以上だそうです。Amarone della Valpolicella DOCG の規定では2年以上ですから当然クリアしてます。(Riserva は4年。)

作り手訪問、といっても今日のアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラはどこで作っているのかわかりません。これはピエモンテ州(クーネオ県プリオッカ)にある本拠地です。
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アスティ(Asti)の町の南、車で30分ぐらいのところです。しかし、ごっつい敷地と建物です。


今日のワインに絡めて、Amarone della Valpolicella DOCG他を整理しておきます。最初に引っかかるのが「アマローネ」や「ヴァルポリチェッラ」が品種なのか地名なのか何なのかってことですよね。「Valpolicella」は産地の名前ではありますが、そのものズバリの名前の町はありません。地名ではありますが、あくまで地方名って感じです。「Amarone」は製法もしくは種類の名前になりますが、~della Valpolicella 以外のアマローネはないですからややこしいです。そして辛口であり、アマローネの名前の響きのように甘くはありません(笑)。


Valpolicella DOC が1968年にDOCとして成立します。

42年後の2010年に、以下の3つが単独のDOCGとしてValpolicella DOCから分離します。

Amarone della Valpolicella DOCG
(ぶどう収穫後、数ヶ月<最低12月1日まで>乾燥=アパッシメント。Alc.14%以上。)
Recioto della Valpolicella DOCG(アマローネの残糖50g/Lの甘口。Alc.12%以上。)
Valpolicella Ripasso DOCG(二重発酵=リパッソ製法。)

これら3つは製法としては過去から確立されていたのでしょうが、DOCGとしては2010年からですから比較的新しいですね。Valpolicella DOC成立の時点で、品種は、Corvina / Corvinone が45~95%、 Rondinella が5~30%、その他が Max.25%(単品種で10%超えない)と規定され、サブゾーンとして「Classico」と「Valpantena」が設定されました。これら品種規定とサブゾーンはその後の3つのDOCGにそのまま引き継がれます。

結論、アマローネ他、レチョート、リパッソなどは「製法」であり、ヴァルポリチェッラは「産地名」及びDOC名称ってことです。上記したように、品種の規定はValpolicella DOC以下みんな同じなのでその点は助かります。(笑)


これが、コルヴィーナ(Corvina)。18世紀ごろからCorvina Veroneseとも呼ばれてます。
Corvina
1627年の文献にコルヴィーナという名が初出しており、当然イタリア原産です。DNA分析では、Refosco dal Peduncolo Rosso や Rondinella と親子関係があり、Dindarella、Garganega、Marzemino、Oseleta とは遠い親戚だそうです。
また、コルヴィノーネ(Corvinone)というよく似た名前の品種がコルヴィーナの代わりに使用可なのですが、フェノール特性が同じながら、房や果実がコルヴィーナより大きく果皮の色も濃いそうです。

これが30%まで混ぜていいロンディネッラ(Rondinella)。同じくイタリア原産。
Rondinella
2006年のDNA鑑定では、Corvina (Veronese) と何らかの品種の自然交配という結果が出ています。コルヴィーナの子供ですか。親子でブレンドするわけですね。

いつものヴェローナ周辺地図で、まず Valpolicella DOC のエリアを確認。派生した3つのDOCG(Amarone della Valpolicella 、Recioto della Valpolicella、Valpolicella Ripasso)は当然ながら同じエリアになります。サブゾーン(Classico、Valpantena)もチェック。
Verona周辺_2
この地図、毎度再掲のように見えますが、実はちょっとずつ進化しています。(笑)

いつもヴェローナ周辺をクローズアップしますが、ヴェネト州にはソアヴェ、プロセッコ他、実にたくさんのDOC/DOCGがあり、またそれらが州で一括りにできないくらい実に多様です。
Veneto_DOCDOCG
隣接するロンバルディアやフリウリ・ヴェネチア・ジュリアとの州境では州をまたぐDOCもあります。それらはルガーノDOCプロセッコDOCの時に見ていますのでご参考ください。


ラベル平面化画像。
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あら、インポーターはカルディのオーバーシーズなんですね。
「Imbottigliato nelle Cantine di Priocca」(プリオッカのセラーにて瓶詰め)とありますね。ワインをヴェネト州からピエモンテ州まで運んで本拠地で瓶詰めしたってことでしょうか?


さあ、抜栓。
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無印です。

コルク平面化しても…
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無印の汎用品でした。

Alc.15%。(pH:3.98、Brix:8.7)
濃いガーネット。
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カシス、スモモ、リコリス。
辛口アタック。
甘みに感じる酸は、よく溶け込んでいます。
構造感しっかりあっていいですね。
フルーティさもあるし。
喉越しに軽くタンニン成分が効いて、
複雑さを増して余韻へ入っていきます。

うん、しっかりアマローネでした。
もう一本は当分寝かせておきましょう。


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MGM Mondo del Vino
Costa Mediana
Amarone della Valpolicella 2017
RRWポイント 92点