サンタ・アンヘリカなるお初のカルメネールを発見。ということで今日は日本カルメネール振興協会の活動日となります(笑)。で、カルメネールの表記はというと、Carmenère なので「カルムネール」バージョンです。INAO他フランス本国でこの表記を正式としているようなので、カルメネールの第二の故郷チリでも Carménère(カルメネール)表記は減ってきています。しかし、日本カルメネール振興協会ではちゃんと「カルメネール」と読める「Carménère」表記を推していきますよ~!

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以前、カルメネールの発音と綴りについて考察をしています。アクサンテギュとアクサングラーヴの有無の違いでおおよそ3パターンあり、使われる表記はまちまちです。

(1) Carménère(カルメネール)
(2) Carmenère(カルムネール)
(3) Carmenere(スペイン語読みをするとカルメネーレ)

カルメネールはもともとボルドーの品種ですから、フランス本国に倣えばいいんですが、肝心のI.N.A.O.(Institut National des Appellations d'Origine)が(2)の「Carmenère」を正としているようなんです。フランスのブドウ品種サイトも昔は「Carménère」表記だったものがどんどん「Carmenère」に変わってきているようです。「Carménère」はシノニム扱いになってるところも多いです。
チリではまだまだ「Carménère」表記をするところがありますが、本国の影響か今日のように「Carmenère」と表記するワインが増えてきているようです。ご存知のように、日本カルメネール振興協会ではアクサンテギュとアクサングラーヴの両方ついた、「カルメネール」としっかり読める(1)Carménère を推奨していますので、よろしく!(笑)


さて、今日の作り手は、サンタ・アンヘリカという名前ではなくて、ビニャ・ラバナル(Viña Ravanal)というところです。1965年創業とチリでは比較的新しい方ですが、チリ大学で農学を修めた後フランスに渡り、モンペリエとボルドーでワイン醸造学を習得したという初代オーナー・醸造家のマリオ・ラバナルさんが御年90歳以上でまだまだ現役で頑張っていらっしゃるそうです。

公式ページはなかなか今風な感じでよさげです。

しかし、サンタ・アンヘリカという名前のワインは載ってません。日本への輸出用ブランドでしょうか。日本のインポーター(リードオフジャパン)のサイトにも載っていないので困りものです。おそらくバリエタルの一番下のシリーズとほぼ同じとは思われるので参考にします。
・カルメネール 100%
樽はないでしょうね。


いやあ、カルメネール、表記含めいろんな意味で謎めいてるミステリアスな品種です。
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その数奇な歴史や、チリで混同されてきたとされるメルローとの違いなどは過去記事で何度か触れています。ここでは系統にだけ触れておきます。2013年に実施されたDNA分析によると、カルメネールという品種の親子関係はこのようになります。

カルメネール= (母) ムラル x (父) カベルネ・フラン

ムラル(Moural)はフランス原産の品種です。このようにカルメネールの親として登場はしますが、現在栽培はされていないようです。チリでカルメネールと混同されていたメルローはというと…

メルロー= (母) マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント x (父) カベルネ・フラン

そ~ら、片親(父)が同じカベフラです。混同されたくらいですから血は争えないですね(笑)。このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント(Magdeleine Noire des Charentes)というのもフランス原産の古い品種で現在は栽培はされていません。しかし、コ(Côt)すなわち、マルベック(Malbec)の母親もこの品種なのでいろいろお世話になってはいます。(笑)
ついでにカベソーもおさらいしておきましょう。

カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン

でしたね。ここではカベフラは母となりました。世界で人気の品種ですから、DNA分析が流行りになってきて真っ先に調べられ親子関係が判明したのがカベソーだったそうです。


さあ、コルチャグア・ヴァレーにあるビニャ・ラバナルを訪問します。
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クラシックな外観ですが、敷地も広く中には近代的な設備があるようです。

コルチャグア・ヴァレー主要部にズームアウト。場所の位置関係を把握します。
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プラシージャという小さな集落ですが、ティンギリリカ川沿いの銘醸地のようです。モンテスやルイス・フェリペ・エドワーズ、カサ・シルバなどお馴染みのワイナリーがまわりにありますね。

さらにズームアウトして、リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)を俯瞰します。
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この州全域がカチャポアル・ヴァレーとコルチャグア・ヴァレーを内包し、ラペル・ヴァレーと呼ばれるんでしたね。再度ビニャ・ラバナルの位置を記しておきました。


ラベル平面化画像。
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「Angélica」はスペイン語ではアンジェリカではなくアンヘリカと読むのでご注意を。


さあ、抜栓。
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汎用品ですね。

コルク平面化。
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ブドウの葉っぱにコルチャグアとありますが、やっぱり集成コルクの汎用品です。

Alc.13%。(pH:4.14、Brix:7.0)
赤味の濃いガーネット。
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黒ベリー、モカ。
青ピーマンか茎っぽさ。
まさにカルメネールの香りです。
酸味立つ辛口アタック。
コクはしっかりあるんですが、
若さゆえか、青さは否めません。
余韻にかけてタンニンも効果的に出てきて、
まとまりは悪くないんですが、
価格なりといった感じに終わりました。

しかし、このワイナリーには興味が残ります。
いつかビニャ・ラバナル名のワインを試したいですね。


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Viña Ravanal
Santa Angélica
Carmenère 2020
Central Valley
RRWポイント89点