リースリングは、その昔ヨーロッパの出張先がドイツのラインガウばっかり(Wiesbadenという町ですが)だったので、当時は浴びるように飲んだ品種です(笑)。今でも定期的に欲しくなり適当に探しますが、ドイツの有名なリースリングは思いのほか高かったりしますので、大抵は今日のようなお手頃なやつになります。産地もナーエ(Nahe)と少しマイナーですが、こういう所の方が当たりがあるかもと期待を寄せて…。

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作り手は Privatkellerei St.Antonius(「プライベートワイナリー 聖アントニウス」の意)といって、ナーエのシュヴェッペンハウゼンという小さな村でアントン・ビロス(Anton Biroth)さんが1988年に始めた家族経営のワイナリーです。現在は息子さんのステファンさんと二世代で運営されていますが、事業も大きくなり、ナーエのみならずお隣のラインヘッセンのワインもラインアップに加えられています。

公式ページはまじめな作り。ローカル相手なのかドイツ語オンリーです。

今日のナーエのリースリングは一応主力だと思うので載っていますが、特筆すべき情報はなし。

・リースリング 100%

ワイナリー近辺の山間の自社畑からのようです。砂岩、黄土、ロームの層状の土壌でブドウ栽培には非常にいいんだと書いてます。

リースリングはドイツ原産で、おそらくライン渓谷で生まれたとも言われます。
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1998年のDNA分析ですが、Vitis Vinifera Sylvestris x Traminer の交配種を母に、Weißer Heunisch(=Gouais Blanc グエ・ブラン)を父に自然交配から生まれたとされます。グエ・ブランっていろんなところで親戚関係で現れますね。また、人気の品種ということで、リースリングを元に200種以上の新品種が世界で産み出されているそうです。日本で生まれたリースリング・リオン(Riesling Lion)もその一つでしたね。
栽培面積はやはりドイツが断トツで最大で、23,960 ha あります。(2016年)他ヨーロッパではフランスで4,025 ha ありますが、ほぼアルザスのみです。これが次点かというとルーマニアが 6,121 ha と若干多いようです。なのでフランスは3位。オーストリアはどうかな~と気になりますが、1,986 ha です。これが4位かなと思うと、あいだにロシア(2,232 ha)がいます(笑)。まあ、ロシアがヨーロッパなのかという問題もありますが。(笑)
新世界では、アメリカが断トツで、4,952 ha とフランス越え。オーストラリアが 3,114 ha と順当に次点です。その次に 1,188 ha のカナダが来そうなもんですが、意外にも中国が 1,600 ha で3番手です。まあ、中国が新世界なのかという問題もありますが。(笑)
(リースリングは中国語で「雷司令」だそうです。レイ・スー・リンと発音するようです。どうでもいいですが…。笑)

作り手訪問…したいんですが、例によってドイツはストビューなし。
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HP他を探してもワイナリーの外観写真は見当たりませんでした。ビロスさん親子の写真他を拝借して貼っておきます。

ナーエを俯瞰して位置関係や地形を確認。中央を流れるナーエ川はライン川の支流。
Nahe
ナーエ(Nahe)はドイツの13ある特定栽培地域(bestimmtes Anbaugebiet)のひとつで、ラインヘッセンのすぐ西側にあり、ベライヒ(Bereich)は Nahetal のひとつだけになります。約75%が白ワイン品種で、1位はやはりリースリング、28.9%を占めます。2位がミュラー・トゥルガウで12.0%。3位にやっと赤品種のドルンフェルダー(9.7%)が来ます。

ナーエは、同じくドイツの13ある特定栽培地域のひとつラインヘッセンと同じく、ラインラント・ファルツ州(Rheinland-Pfalz、州都はマインツ)にあります。ラインヘッセン自体は「ヘッセン」とつきますが、ヘッセン州(Land Hessen、州都はヴィースバーデン)にはないので気を付けてください。(ラインヘッセンの名前は、1816~1919年までこの地域に存在したヘッセン大公国が所有していた領地の「ラインヘッセン」という名前に由来。ヘッセン州とは地理的関係がありません。)ナーエはライン川を挟んでラインガウとも接します。(そして、ラインガウはヘッセン州にあります!)ご参考までに16あるドイツ連邦共和国の州の地図を貼っておきます。
Germany_16連邦州
ワインとは関係なさそうな気もしますが、「ベルクシュトラーセ(Bergstraße)」がヘッセン州に属するヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstraße)と、バーデン・ヴュルテンベルク州に属するバーディッシェ・ベルクシュトラーセ(Badische Bergstraße)に分かれたように、行政区分は大いにワイン産地の分類に影響します。
バーディッシェ・ベルクシュトラーセ(Badische Bergstraße)はバーデンのベライヒですが、ヘッセン州側のヘッシッシェ・ベルクシュトラーセは独立したワイン生産地となっています。


ラベル平面化画像。
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長い一枚ものです。

インポーターシール。
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さあ、スクリュー回転。
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Alc.12%。
薄めのゴールドイエロー。
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青リンゴ、ライム。
結構ペトロール香あり。
柑橘系な酸がたっぷり乗った辛口アタック。
キレのある酸は量も多いですね。
味わいも柑橘系思わせるんですが、
立体的な構造もあり楽しめます。
爽やかさあり、夏場にいい感じです。


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Privatkellerei St.Antonius
Riesling 2019 Trocken
Nahe
WWWポイント78点



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