リカマンでお手頃リオハが特売になっていたので手を出しました。リオハDOCa(Rioja DOCa)のクリアンサ(Crianza)ということですから規定では木樽で12ヶ月は熟成をしていることになります。これでうまければ儲けモンです。サラッとお試しいたしましょう。

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作り手は家族経営みたいなパターンではなく、大手資本(フェリックス・ソリス)による「Pagos del Rey」プロジェクトのひとつ、リオハ・プロジェクトのワイナリーということになるようです。最新の技術でスペイン各地の銘醸地ワインを世に送り出す…的なプロジェクトだそうで。他にも同プロジェクトのリベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)、ルエダ(Rueda)、トロ(Toro)版があるようです。

Félix Solís という前に「Fyi」というお手頃ワインを試したところが親玉のようです。


公式ページはこれ。リベラ・デル・ドゥエロ、ルエダ、トロのワイナリーも一緒に載っています。

ワイン紹介が意外にもしっかりしています。裏ラベルにも詳細情報あるようですし。

・テンプラニージョ 100%

完熟で収穫され(手摘みとは書いていません。)、2~3日の低温浸漬で果皮の色とフルーティーなアロマを抽出するとあります。熟成は「クリアンサ(Crianza)」とあるように、アメリカンオーク樽で12ヶ月行います。スペインのDOワインには熟成法・期間で以下の種別があります。まとめておきます。

Vino Joven(ビノ・ホベン)
 樽には全く入れない若飲みタイプ。(樽熟成を短期間行うものもあり)

Crianza(クリアンサ)
DOCa Rioja / DO Ribera del Duero>24ヶ月/内、12ヶ月は樽
<それ以外>24ヶ月/内、6ヶ月は樽(白・ロゼ:12/6)

Reserva(レセルバ)
<DOCa Rioja / DO Ribera del Duero>36ヶ月/内、12ヶ月は樽
<それ以外>36ヶ月/内、12ヶ月は樽(白・ロゼ:24/6)

Gran Reserva(グラン・レセルバ) 
<DOCa Rioja / DO Ribera del Duero>60ヶ月/内、24ヶ月は樽
<それ以外>60ヶ月/内、18ヶ月は樽(白・ロゼ:48/6)

ご覧のように、DOCa Rioja や DO Ribera del Duero は若干違う(厳しい)ので気をつけましょう。

ところでリオハはDO(Denominación de Origen)ではなく DOCa(Denominación de Origen Calificada)というワンランク上の格付けになります。下図にスペインの格付けを示します。
スペイン・EUワイン法
リオハは1991年にDOCa(Denominación de Origen Calificada)に認定されていますが、これがスペイン最初のDOCaです。18年後の2009年にカタルーニャのプリオラート(Priorat)が2番目のDOCaになっていますが、現在のところこの2つしかDOCaはありません。ちなみにプリオラートは、DOCa のカタルーニャ語にあたる DOQ(Denominació d'Origen Qualificada)と現地では言われたりします。
EUのワインの分類と比べると、VPからVCまでDOP(Denominación de Origen Protegida)の範疇に入ってしまうのがわかります。単にDOPと言うと、スペインの格付けでは VP / DOCa / DOC / VC 全部を含むという訳です。

Tempranillo」です。巷で「テンプラニーリョ」とよく書いてますが、ここでは「テンプラニージョ」としています。テンプラニーはあったとしても、まずテンプラニーリョとは発音しません。スペイン語で「LL」は「L」とは別の文字で「エジェ」というアルファベットの1文字です。
Tempranillo
「Temprano(早い)」+「-illo(縮小辞)」が語源で「早熟」を意味していると思われます。「縮小辞」とは「小さな」といったニュアンスを添える接尾辞で、スペイン語学では「Diminutivo」といいます。「-ito」、「-ico」、「-ín」なども縮小辞にあたります。

テンプラニージョはリベラ・デル・ドゥエロでは Tinto Fino とか Tinta del País と言います。DOトロの地域ではテンプラニージョを Tinta de Toro というシノニムで呼びます。ラ・マンチャでは Cencibel。カタルーニャのペネデスでは Ull de Llebre。またこれがポルトガルへ行くとティンタ・ロリス(Tinta Roriz)と呼びますが、これはダンやドウロ含む北部の呼び方で、中央部やアレンテージョなどの南部では、アラゴネス(Aragonez)になります。以上、シノニムまとめ(笑)。

スペインでは、テンプラニージョは白品種のアイレン(Airén)に次ぐ2番目に多く生産される品種です。世界で栽培されるテンプラニージョ合計は219,397ha で、スペインが 193,597ha なので、ほぼ9割(88.2%)を占めます。あとはポルトガルに 17,014ha(7.8%)あります。結局この2ヶ国でほとんどですね。

リオハにあるパゴス・デル・レイを訪問します。なかなか近代的な佇まいです。
PagosdelRey01
場所もリオハ・アルタ地区のエブロ川に極近にあり、素晴らしい立地ですよ。

リオハ全体の地図で位置関係を確認。パゴス・デル・レイの場所も示しました。
Rioja
リオハ自体は「La Rioja」というスペインの自治州全体のエリアになりますが、その中にリオハ・アルタ(Rioja Alta)、リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)、リオハ・オリエンタル(Rioja Oriental)という3つのサブリージョンがあります。リオハ・オリエンタル(「東リオハ」の意)はリオハ・アルタ(「上リオハ」の意)に対しリオハ・バハ(Rioja Baja=「下リオハ」)と呼ばれていましたが、感じ悪いというので(笑)2018年に改名されました。
これら3つのサブリージョンはエブロ川(Río Ebro)流域の峡谷にあることがわかりますが、リオハ・アラベサが、粘土質石灰岩の土壌が斜面にある好立地のようです。リオハ・アルタは、粘土質石灰岩の他、沖積土が優勢だそうです。リオハ・オリエンタルは最も標高が低く温暖で、ガルナチャが主体でしたね。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルにはワイン情報。好感が持てますね。リオハDOCa認証シールもいい感じ。

インポーターシールはラベルを隠さず縦貼りしてました。偉い!
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さあ、抜栓。
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キャップシールにはエンボスが。「Arnegui」の「A」でしょうか。

コルク平面化。
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リオハDOCa印の汎用品って感じでしょうか。DIAM3ですが。

Alc.13.5%。
ガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー、スパイス、上品な樽香も感じます。
アメリカンオークも悪くないんですよね。
辛口アタック。
タンニンと酸が織り成すスパイシーな口当たり。
その刺激とコントラストとなる穏やかな味わい。
バランスとしてはちょっとチグハグ感は感じますが、
まだ想定の範囲内です。
タンニンと酸は最後にもひと暴れして、余韻を弱めます。

2日目に残りを飲むと、むっちゃうまなってる!
86点をつけていましたが+2点しました(笑)。


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Pagos del Rey
Arnegui 201
Crianza
Rioja DOCa
RRWポイント 88点