買い出しに行ったグランマルシェの店頭で少々変わった形のボトルのヴァルポリチェッラ・クラッシコを発見。ジュゼッペ・カンパニョーラというヴァルポリチェッラの老舗のようですね。アマローネ(デッラ・ヴァルポリチェッラ)があればそちらの方を試してみたいものですが、一期一会ということで、とりあえずコレから取り組みたいと思います(笑)。

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ジュゼッペ・カンパニョーラは、インポーター情報ではカルロ・カンパニョーラさんが1886年に設立したとなっていますが、ロゴマークを見ると1907年と入ってますね。1907年には最良のレチョート・ワイン(甘口)に与えられる金メダルを受賞したとなっています。そこをスタートとしたんでしょうか。いずれにせよ、以来4世代に渡ってカンパニョーラ家がワイナリー事業を拡大していったということのようで、Le Tenute Campagnola(カンパニョーラ・エステート)という名前で、ヴェネト州に3ヶ所(オリジナルのカンパニョーラ含む)、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州に1ヶ所、アブルッツォ州に1ヶ所、計5つものワイナリーを運営しています。

公式ページは情報豊富。ネゴシアンとして扱ってるブランドも網羅しています。

全てのワイン紹介がテクニカルシート付きです。助かります。

・コルヴィーナ・ヴェロネーゼとコルヴィノーネ・ヴェロネーゼ 70%
・ロンディネッラ 30%

醸造なんですが、アマローネ用にアパッシメント(陰干)したブドウの絞りかすを15%加えて、二次発酵させるとあります。これって、リパッソ(Valpolicella Ripasso)の製法です。Valpolicella Ripasso DOC を名乗らず Valpolicella Classico DOC としてるのは謎です。熟成は、スラヴォニアンオークの大樽で4~6ヶ月+瓶内で3ヶ月だそうです。

これが、コルヴィーナ(Corvina)。18世紀頃から Corvina Veronese とも呼ばれてます。
Corvina
1627年の文献にコルヴィーナという名が初出しており、当然イタリア原産です。DNA分析では、Refosco dal Peduncolo Rosso や Rondinella と親子関係があり、Dindarella、Garganega、Marzemino、Oseleta とは遠い親戚だそうです。

Valpolicella DOC の規定では、コルヴィノーネ(Corvinone)というよく似た名前の品種をコルヴィーナの代わりに使用可なのですが、今日のワインは両方使ってるような感じですね。これが、コルヴィノーネ。コルヴィーナと同じく Corvinone Veronese とも言うようです。
Corvinone
コルヴィノーネの方はフェノール特性が同じながら、房や果実がコルヴィーナより大きく果皮の色も濃いそうです。

規定では30%まで混ぜていいロンディネッラ(Rondinella)。同じくイタリア原産。
Rondinella
今日のワインはギリギリいっぱいの30%をブレンドしていますね。2006年のDNA鑑定では、Corvina (Veronese) と何らかの品種の自然交配という結果が出ています。コルヴィーナの子供ですか。親子でブレンドするわけですね。なんだかんだ言って、ヴァルポリチェッラって近親ばかりのブレンドなわけです(笑)。


今日のワインに絡めて、Valpolicella DOC他を整理しておきます。最初に引っかかるのが「アマローネ」や「ヴァルポリチェッラ」が品種なのか地名なのか何なのかってことですよね。「Valpolicella」は産地の名前ではありますが、そのものズバリの名前の町はありません。地名ではありますが、あくまで地方名って感じです。「Amarone」は製法もしくは種類の名前になりますが、~della Valpolicella 以外のアマローネはないですからややこしいです。そして辛口であり、アマローネの名前の響きのように甘くはありません(笑)。

Valpolicella DOC が1968年にDOCとして成立します。

42年後の2010年に、以下の3つが単独のDOCGとしてValpolicella DOCから分離します。

Amarone della Valpolicella DOCG
(ぶどう収穫後、数ヶ月<最低12月1日まで>乾燥=アパッシメント。Alc.14%以上。)
Recioto della Valpolicella DOCG(アマローネの残糖50g/Lの甘口。Alc.12%以上。)
Valpolicella Ripasso DOCG(二重発酵=リパッソ製法。)

これら3つは製法としては過去から確立されていたのでしょうが、DOCGとしては2010年からですから比較的新しいですね。Valpolicella DOC成立の時点で、品種は、Corvina / Corvinone が45~95%、 Rondinella が5~30%、その他が Max.25%(単品種で10%超えない)と規定され、サブゾーンとして「Classico」と「Valpantena」が設定されました。これら品種規定とサブゾーンはその後の3つのDOCGにそのまま引き継がれます。

結論、アマローネ他、レチョート、リパッソなどは「製法」であり、ヴァルポリチェッラは「産地名」及びDOC名称ってことです。上記したように、品種の規定はValpolicella DOC以下みんな同じなのでその点は助かります。(笑)


ジュゼッペ・カンパニョーラを訪問します。すごくデカくてきれいな建物です。
Campagniola
マラーノ・ディ・ヴァルポリチェッラ(Marano di Valpolicella)というコムーネにあります。ヴァルポリチェッラ・クラッシコの対象地域です。


いつものヴェローナ周辺地図で、まず Valpolicella DOC のエリアを確認。派生した3つのDOCG(Amarone della Valpolicella 、Recioto della Valpolicella、Valpolicella Ripasso)は当然ながら同じエリアになります。そしてそれぞれにサブゾーン(Classico、Valpantena)があります。
Verona周辺_3
マラーノ・ディ・ヴァルポリチェッラ(Marano di Valpolicella)にあるジュゼッペ・カンパニョーラの場所も示しています。今日のワインがサブゾーン、クラッシコ(Classico)ですが、以下の5つのコムーネがクラッシコの対象地域です。

・Fumane
・Marano di Valpolicella
・Negrar di Valpolicella
・San Pietro in Cariano
・Sant'Ambrogio di Valpolicella

「~di Valpolicella」は昔は付かなかったようですが…やはりハッタリが効くんでしょうか(笑)。


いつもヴェローナ周辺をクローズアップしますが、ヴェネト州にはソアヴェ、プロセッコ他、実にたくさんのDOC/DOCGがあり、またそれらが州で一括りにできないくらい実に多様です。
Veneto_DOCDOCG
隣接するロンバルディアやフリウリ・ヴェネチア・ジュリアとの州境では州をまたぐDOCもあります。それらはルガーノDOCプロセッコDOCの時に見ていますのでご参考ください。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルには確かに二次発酵(二重発酵)してると書いてあります。

インポーターシールはいつものバーコード隠しです。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
ガーネット。
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黒ベリー、プラム、プルーン。
ほんのりと樽香の芳しさ。
辛口アタック。
酸は主張強めですが前には出ず、
複雑な味わいは厚みも充分あります。
かすかな苦味もいい感じに決まってます。
喉越しからフィニッシュまで、
最初の酸が軽めな方へバランスを引っ張るんですが、
それがかえってフレッシュな感じで気持ち良く終われます。
アマローネとは違ううまさを発見した気がします。


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Campagnola
Le Bine
Valpolicella Classico 2019
RRWポイント 93点