このワイン、表ラベルに作り手の名前「Foradori」しか書いていませんが、裏ラベルには「Vigneti delle Dolomiti IGT」の「Teroldego」という品種だと書いてあります。このテロルデゴという品種、実は過去カリフォルニアワインのジンファンデルにブレンドされているやつに何度か出会っていて気になっていました。本場の(?)テロルデゴを見つけたので早速お試しです。

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このフォラドーリという作り手、トレンティーノ=アルト・アディジェ自治州のメッツォロンバルドに1901年に創設されたという古いワイナリーを、1939年にフォラドーリ家が取得して今に至ります。この地域の代表的な作り手と言えるでしょう。そして、土着品種である「テロルデゴ(Teroldego)」に徹底的にこだわっており、30ヘクタールある自社畑の80%がテロルデゴとなっています。一度は廃れたこの品種を復活させ、地元のテロワールを表現する強い品種へと改良もしてきたそうです。(選別を通じ15の異なるバイオタイプを確認するに至ったそうです。)
また、ビオディナミの実践もしており、2002年にビオディナミに転換を果たした上で、2009年にはデメター(Demeter)認証を取得しています。なんだか面白そうな作り手です。

公式ページはシンプルでお洒落な感じですが内容が濃い。テロルデゴの研究資料なんかも。

フォラドーリとワイナリー名しかラベルにない今日のワイン、紹介ページもちゃんとあります。

・テロルデゴ 100%

正式名称は裏ラベルの通り「Foradori – Teroldego Vigneti delle Dolomiti IGT(Indicazione Geografica Tipica)」なんですが、なぜワイナリーの所在がその中心地である、その名も品種名の「Teroldego Rotaliano DOC」にならないのか不思議です。熟成は樽とセメントタンクの併用で12ヶ月と申し分ないので、おそらくDOC域外の畑からのテロルデゴを使っているからではと想像します。

今日のテロルデゴ(Teroldego)という品種の概要を見ておきます。
Teroldego
やはりイタリアのトレンティーノ=アルト・アディジェ州が原産ですが、アディジェ川(Adige)とノーチェ川(Noce)の合流するロタリアーノ平野(Campo Rotaliano)あたりらしいです。まさにここがテロルデゴ・ロタリアーノDOCの名前の由来です。15世紀の記録にも残っているという非常に古い品種で、柔らかなタンニンとブラックチェリーのアロマを備えた深みのあるフルーティーな赤ワインを生み出すそうで、当時から人気があったといいます。当然のように一番栽培面積が多いのはイタリアで合計 730ha。2番目がアメリカ・カルフォルニアで 36ha。なるほど、誰が持ち込んだか知りませんがカルフォルニアワインでも見かけるわけです。


作り手のフォラドーリ(Azienda Agricola Foradori)を訪問します。
Foradori01
老舗らしくメッツォロンバルド(Mezzolombardo)の市街地にあります。この町は隣のメッツォコローナ(Mezzocorona)の町と合わせてテロルデゴ・ロタリアーノDOCの対象地域です。

テロルデゴ・ロタリアーノDOC(Teroldego Rotaliano DOC)を見てみます。
Teroldego-Rotaliano-DOC
トレントの北側、アディジェ川(Adige)とノーチェ川(Noce)の合流するロタリアーノ平野(Campo Rotaliano)の三角地帯というのがわかりますね。コムーネで言いうと、メッツォロンバルド(Mezzolombardo)、メッツォコローナ(Mezzocorona)と、サン・ミケーレ・アッラディジェ(San Michele All'adige)の一部ということになります。名前の通りテロルデゴのみのDOCで全部で435haの栽培面積があります。

トレンティーノ=アルト・アディジェ自治州を俯瞰して位置関係を確認。
Trentino_AltoAdige_IGP-Vign
今日のワインは、Vigneti delle Dolomiti IGT(ドイツ語表記で Weinberg Dolomiten IGT とも言います。)です。このIGTはトレンティーノ=アルト・アディジェ自治州の東側、ヴェネト州にはみ出ているのがわかると思います。かなり広大なIGTですね。IGTですので規定は緩く、赤・白・ロゼ・泡・甘口となんでもござれです。トレンティーノにあるテロルデゴ・ロタリアーノDOCも描き込んでいますのでご確認ください。

※IGT(Indicazione Geografica Tipica)=IGP(Indicazione Geografica Protetta)
※DOC(Denominazione di Origine Controllata)=DOP(Denominazione di Origine Protetta)


他のワインの産地はというと、アディジェ川(Adige)を起点に南北に広がっています。
Adige-Trento-DOC
アディジェ川はイタリアではポー川に次いで2番目に長い川で、アルプスを水源にトレンティーノ=アルト・アディジェ自治州を貫き、ヴェネト州からアドリア海に注ぎ込んでいます。
アディジェ渓谷という意味の Valdadige DOC(ドイツ語表記 Etschtaler DOC)はトレンティーノ=アルト・アディジェ全域に渡ります。(Valdadige Terradeiforti DOC と共にヴェネト州へ少しはみ出していますが。)
さらに、アルト・アディジェ側(北側)が Alto Adige DOC(ドイツ語表記 Südtirol DOC)で、トレンティーノ側(南側)が Trentino DOC という関係です。
いずれも、赤・白・ロゼありの緩いDOCですが、アルト・アディジェ側(北側)の Alto Adige DOC にはスプマンテ(Spumante=スパークリング)があり、瓶内二次発酵の本格派です。
対して、トレンティーノ側(南側)の Trentino DOC はスプマンテのDOCを分離してTrento DOC を作った、という関係になります。(Trento DOCとTrentino DOCは全く同じエリアが対象で、スプマンテかそうでないかの違い、ということになります。)


ラベル平面化画像。ワイン詳細は裏。デメター認証マークもあります。
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インポーターシールで裏ラベルを隠さずにバーコードだけ上貼りしたのは偉いのですが、そのバーコードシールがワイナリー名と住所、そしてURL(www.elisabettaforadori.com)まで隠していたので全く意味ないです(笑)。ただし、このURLは古いらしく繋がりませんが。正しくは<www.agricolaforadori.com>です。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.12.5%。
濃いガーネット。
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クールな酸の香りがする黒ベリー、チェリー。
ゼラニウムも。
実際クールな感じの酸があったんですが、
味わい深い辛口アタックを邪魔していません。
ほどほどに複雑味・厚みあって好感触です。
酸はずっと居ますが効果的に囃し立てるような効果あり。
そして最後までいいハーモニーが続きます。

テロルデゴ、これはポテンシャル高いですよ。


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Azienda Agricola Foradori
Foradori 2014
Vigneti delle Dolomiti IGT
Teroldego
RRWポイント 91点