今年もふるさと納税の返礼品で何本かの日本ワインを手に入れています。その内の1本をまた開けていきます。山形県、酒井ワイナリー。「UNKAI」と名付けられた何とも見事な竜とブドウのイラストがラベルに描かれています。なんでも限定250本のプロジェクトもののワインだそうです。こういう変わったワインが手に入るのもふるさと納税の醍醐味です(笑)。

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酒井ワイナリーは、酒井家16代目当主、酒井弥惣(さかいやそう)さんが1892年(明治25年)に現在の山形県南陽市赤湯でブドウ酒醸造業を始めたのが起源で、東北最古のワイナリーになるそうです。創業の畑は鳥上坂(とりあげざか)の山肌にあり、看板ワインの「バーダップ(Birdup)」の名前は「鳥上=バード+アップ」から来ているそうです(笑)。
今日のワインは、山形の酒蔵やワイナリーと世界的に著名なグラフィックアーティストがタッグを組みオリジナルの日本酒・ワインを開発するプロジェクトのひとつだそうで、ニューヨークで活躍するイラストレーター清水裕子氏がラベルデザインを手掛けています。竜がブドウの蔓を纏いながら天に昇るというカッコいいイラストですが、南陽市にある「白竜湖」をモチーフにしながら、代々続く赤湯ワインの歴史を表してるんだそうです。

公式ページはシンプルあっさりといった感じ。ワイン紹介はショップ兼用です。

今日の限定品ワインは載ってません。ふるさと納税プロジェクトのページを見ます。

・マスカット・ベイリーA
・ブラッククイーン

セパージュ%が不明。半々ぐらいじゃないかと勝手に想像します。通常ラインナップに「マスカットベーリーAブラッククイーン」がありますが、今日の限定ワインは「樽を選定し特に良いものを選び出して瓶詰めするバレルセレクションの特別な1本」ということです。通常版は「樽で12ヶ月熟成」なのでこれもおそらく同じような仕様と思われます。それでもセパージュ%不明(笑)。

たぶんガッツリ入ってるであろう「ブラッククイーン」を見ておきます。
ブラッククイーン
ブラッククイーンは1927年に日本で開発されたブドウ品種で、ベイリーとゴールデンクイーンとの交配によって誕生し、山形、長野、新潟、岩手などで主に栽培されています。交配したのはマスカット・ベイリーAを生んだ日本ワインの父、川上善兵衛氏です。

・ブラッククイーン = ベイリー(Bailey) x ゴールデンクイーン(Golden Queen)

父方のゴールデンクイーンはなんと白ブドウ品種で、「ゴールデンクイーン =(スペイン原産の)Black Alicante x(イギリスで交配された)Ferdinand de Lesseps」として1876年にイギリスで交配されて生まれた品種です。よってゴールデンクイーンはヨーロッパ品種のヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)と言えます。
ブラッククイーンの母方のベイリーがヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)を含む種間交雑種(ハイブリッド*)のため、父方がヴィティス・ヴィニフェラのゴールデンクイーンであったとしても、同様に父方にヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)を持つマスカットベイリーAのように、ブラッククイーンにもフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)があることが想像されます。
ブラッククイーンというと、「ブラッククイーン」x「カベルネ・ソーヴィニヨン」の交配で「カベルネ・サントリー」や「甲斐ノワール」が生み出されたんでしたね。日本の品種の親戚関係も複雑であります(笑)。
(* 主にアメリカ系品種との交配品種。EU圏ではこれらを使ってワインを作ってもワインとは認められず輸入・販売もできません。ヨーロッパ人のヨーロッパ系品種至上主義の偏見から来るものと個人的には推察します。日本のマスカットベイリーAも厳密にはハイブリッドですが、2013年に国際ブドウ・ワイン機構 OIV に日本固有品種としてワイン用品種に登録されていますので、ワインとして欧州に輸出できます。なんかええ加減やな~。)

酒井ワイナリーを訪問。山形県置賜地方の南陽市。赤湯温泉で有名な所にあります。
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ワイナリーは周辺の温泉旅館に囲まれています。ラベルデザインのモチーフになった「白竜湖」がすぐ近くにありますね。

山形県を俯瞰して位置関係を見ます。おいしい山形HPから拝借したワインマップも添えて。
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過去に試した山形のワイナリーの所在も残しています。南陽市にワイナリーが集中しているのがワインマップを見るとわかりますね。山形というのは実はブドウの生産で山梨・長野に続き全国第3位を誇ります。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルに澱の注意書きがありますが、酒井ワイナリーではろ過機を一切使わない昔ながらの「生詰めノンフィルター製法」によるワインづくりを今も続けているそうです。


さあ、抜栓。
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キャップシールが透明ですが、お陰でコルクに記されたヴィンテージが読むことができます。

コルク平面化。
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実はラベルには一切ヴィンテージの表示はなく、透明なキャップシールから見えるコルクに打たれた「2019」が唯一のヴィンテージ表示になります。

Alc.12%。
澄んだルビー。
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イチゴ、ラズベリー、グレープ。
マスカット・ベイリーAらしい香りですが、
フォクシーというほどではないですね。
若干甘み感じましたが辛口アタック。
上品な酸とうまく組み合う軽やかフルーティな味。

日本ワインらしい味わいという印象です。
軽いですが嫌味が全くないのが素晴らしい。


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酒井ワイナリー
UNKAI (赤)
Muscat Baily A Black Queen 2019
RRWポイント 90点