Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

チリワイン

San Pedro 1865 Carmenère 2020 Selected Vineyards Las Moradas D.O. Valle del Maule

サンペドロの1865カルメネールの2020です。このブログの中でも、過去、201620172019と飲んでいますから最頻出ワインのひとつですね。やまやで定番で置いてくれるようになったのが大きいですが、なにより安定しておいしいのでついつい手が出ます(笑)。仕様も毎年ちょこちょこ微妙に変わっているようなのでこれも探ってみましょう。

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今さらサンペドロを語るのも何ですが、1865年クリコー・ヴァレーに創業、150年以上の歴史のある、またコンチャイトロと並ぶチリ有数のワイナリーです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの中核でもあります。「1865」というシリーズ名は創業年なわけです。

公式ページはちょっと前にリニューアルしてカッコよくなったんですが情報量は減ったような。

ワイン紹介で1865を選ぶと、専用サイトに飛びますが、やはりそっちも簡素。

・カルメネール 100%

以前は樽熟の記述もあったはずなんですが、この新専用サイトでは見当たりません。以前は、95%仏樽、5%米樽で12ヶ月間、新樽率は50%となっていましたが、ネット情報を見るとフレンチオーク樽で12ヶ月としているものが多いのでそんなに変わりはないでしょう。それより、産地が昔からマウレ・ヴァレーだったものが現在はコルチャグア・ヴァレーに変わっているようです。今日の2020がまだマウレなので2021~2022あたりの直近で変わったんでしょうかね。今日の2020は長らく書かれていなかった畑名「Las Moradas」が久しぶりに明記されていたので、原点回帰か!と密かに喜んでいたんですが、今後はマウレでさえなくなってしまうようですね。

こちらが1865シリーズ専用サイトです。

カッコいいんですが内容は薄し。日本に入ってきてないモデルが多いことに愕然としますし。


サンペドロはマウレ州クリコー・ヴァレーのモリーナに本拠地があります。
SanPedro01
カチャポアル・ヴァレーにもアルタイル(Altaïr)やカボ・デ・オルノス(Cabo de Hornos)などを作るプレミアムワイン専用ワイナリーを持っていますが、創業の地はこちらです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの本部にもなっているようです。

このモリーナにあるサンペドロの本拠地、カルメネール100%の最上級ワインを作っています。その名も「TIERRAS MORADAS」。スペイン語で「紫の大地」という意味です。
SanPedro_Rapel03
日本カルメネール振興協会としては是非試してみたいのですが、日本に入ってきてないんですよね。同じくカルメネールの最高峰であるコンチャイトロのカルミン・デ・ペウモや、エラスリスの KAI なんかは入ってきてるんですけどね。どこかのインポーターさん、是非よろしく。

注目点はこのカルメネール最高峰ワインのブドウの出どころで、マウレ・ヴァレーのペンカウエ(Pencahue)というエリアからとなっています。実は1865のカルメネールはこのペンカウエにある「Las Moradas Vineyard」という畑がオリジナルの畑で、現在の1865は「Selected Vineyards」と副題が打たれていますが、元々「Single Vineyard(単一畑)」と言うシリーズで、「Las Moradas」の畑からのみのブドウで作られていたのです。それが今日の2020では「Las Moradas」表記が戻ってる!?と歓喜したわけです。サンペドロのカルメネール最高峰「TIERRAS MORADAS」は、おそらくこのペンカウエ(Pencahue)にある「Las Moradas Vineyard」からだと確信しています。


Google Mapでマウレ州を俯瞰して位置関係を確認。モリーナにあるサンペドロも印してます。
Maule_Curico
サンペドロはマウレ州北側のクリコー・ヴァレーのエリアにありますが、今日のワインは「D.O. Valle del Maule」なので州の南側のマウレ・ヴァレーからです。マウレ・ヴァレーはマウレ川流域なのですが、そのマウレ川(Río Maule)の支流のクラロ川(Río Claro)流域がサブリージョンのクラロ・ヴァレーになり、その中に6つあるエリアのひとつが先ほど書いたペンカウエPencahue)になります。地図上に丸印をつけてあるので探してみてください。


チリの DO(Denominación de Origen)一覧表。マウレ・ヴァレーを確認してください。
RegiónSubregiónZonaÁreaTérmino complementario
Región vitícola de AtacamaValle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de CoquimboValle del ElquiLa SerenaCosta
VicuñaAndes
PaiguanoAndes
Valle del LimaríOvalleCosta
PunitaquiEntre Cordilleras
Monte PatriaAndes
Río HurtadoAndes
Valle del ChoapaSalamancaAndes
IllapelAndes
Región vitícola de AconcaguaValle del AconcaguaZapallarCosta
QuillotaCosta
HijuelasEntre Cordilleras
PanquehueEntre Cordilleras
CatemuEntre Cordilleras
Llay-LlayEntre Cordilleras
San FelipeEntre Cordilleras
Santa MaríaAndes
Calle LargaAndes
San EstebanAndes
Valle del Marga-MargaQuilpuéCosta
Valle de CasablancaCasablancaCosta
Valle de San AntonioValle de San AntonioCartagenaCosta
Lo AbarcaCosta
AlgarroboCosta
Valle de LeydaSan JuanCosta
Santo DomingoCosta
Región vitícola del Valle CentralValle del MaipoIsla de MaipoEntre Cordilleras
TalaganteEntre Cordilleras
MelipillaEntre Cordilleras
AlhuéEntre Cordilleras
María PintoEntre Cordilleras
ColinaEntre Cordilleras
Calera de TangoEntre Cordilleras
Til TilEntre Cordilleras
LampaEntre Cordilleras
SantiagoAndes
PirqueAndes
Puente AltoAndes
BuinAndes
Valle del RapelValle del CachapoalRancaguaEntre Cordilleras
PeumoEntre Cordilleras
ColtaucoEntre Cordilleras
RequínoaAndes
RengoAndes
MachalíAndes
Valle de ColchaguaParedonesCosta
PumanqueCosta
LituecheCosta
LololCosta
NancaguaEntre Cordilleras
Santa CruzEntre Cordilleras
ApaltaEntre Cordilleras
PalmillaEntre Cordilleras
PeralilloEntre Cordilleras
MarchigüeEntre Cordilleras
La EstrellaEntre Cordilleras
San FernandoAndes
Los LinguesAndes
ChimbarongoAndes
Valle de CuricóValle del TenoVichuquénCosta
LicanténCosta
RaucoEntre Cordilleras
RomeralAndes
Valle del LontuéSagrada FamiliaEntre Cordilleras
MolinaAndes
Valle del MauleValle del ClaroEmpedradoCosta
CureptoCosta
TalcaEntre Cordilleras
PencahueEntre Cordilleras
San RafaelEntre Cordilleras
San ClementeAndes
Valle del LoncomillaSan JavierEntre Cordilleras
Villa AlegreEntre Cordilleras
ParralEntre Cordilleras
LinaresEntre Cordilleras
LongavíEntre Cordilleras
RetiroEntre Cordilleras
ColbúnAndes
Valle del TutuvénCauquenesEntre Cordilleras
Región vitícola del SurValle del ItataPortezueloCosta
CoelemuCosta
ChillánEntre Cordilleras
QuillónEntre Cordilleras
Valle del BiobíoYumbelEntre Cordilleras
MulchénEntre Cordilleras
Valle del MallecoTraiguénEntre Cordilleras
Región vitícola AustralValle del CautínPerquenco
Galvarino
Valle de OsornoOsorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono

<Wikipedia Anexo:Regiones vitícolas de Chile より一部(新サブゾーン)加筆>


セントラル・ヴァレー>マウレ・ヴァレー>クラロ・ヴァレー>ペンカウエ、という関係です。チリで使われる3つの地理条件でいうと、「Entre Cordilleras」になることもわかりますね。

チリでは2011年に新しい原産地呼称表示の制度が導入されていまして、
 ・Costa(コスタ =海岸)
 ・Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ・Andes(アンデス =アンデス山脈)
の3つの地理条件をD.O.に付記できるようになっています。


ラベル平面化画像。
IMG_9789
裏ラベルに「Las Moradas」の畑の位置を示す地図がありますが…無意味(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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コルク両端にもロゴや150周年の文字があります。ミレジム打ってほしいものですが。

Alc.14%。
濃いガーネット。
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黒ベリー、モカ、青みもあり、
カルメネール王道の香りが確認できます。
酸味イキイキ辛口アタック。
深み、厚み、ボリューム感、貫禄ありです。
安定の旨さでフルーティーさ失わず余韻へ〜。
いやいやこれは間違いなし。


*****

San Pedro
1865 Carmenère 2020
Selected Vineyards Las Moradas
D.O. Valle del M
aule
RRWポイント 94点


Concha y Toro Frontera Premium Cabernet Sauvignon Winemaker’s Selection

チリの最大手コンチャイトロの最ローエンド「フロンテラ」ですが、プレミアムというのがあるんですね。裏ラベルも隈なく見ましたが、どうやらノン・ヴィンテージ(NV)のようです。産地表示もありません。いったいどこがプレミアムなんでしょうね(笑)。とにかくお試しと行きましょう。スーパーで普通に安売りしていますから、おいしければ偉いワインです。

IMG_0666
コンチャイトロについては今さらですが、1883年ドン・メルチョール・コンチャイトロさん(Don Melchor Concha y Toro)が創業したチリの老舗かつ最大手の一つです。プレミアムワイン、アルマビバや、お馴染みコノスルなんかも傘下に収めています。

コンチャイトロ公式ページ。ラインアップ一通り載っているのでフロンテラもあります。


フロンテラの専用ページがこれ。プレミアムもちゃんと載っていました。

しかし、2つのサイトで説明が一致しません。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 85%
・その他赤品種 15%

セパージュは一致しましたが、「その他」は困りますね。おそらくカルメネールだとは思いますが。ワイン自体には何も書かれていませんが、産地がセントラル・ヴァレー(Valle Central)と書かれているのが気になります。そして、本家にステンレスタンクで8ヶ月となっている熟成の記述が、フロンテラ専用サイトではオーク樽で6ヶ月となっています。専用サイトが後から出来たと思われるのでサイトの年代の差かなと思いますが、最近の方が手が込んでいるんでしょうかね?

D.O.(Denominación de Origen)がセントラル・ヴァレー(Valle Central)であれば、マイポからマウレまでのかなりの広域からのブドウを使っている可能性があります。
chile-Region-map
そのDOセントラル・ヴァレーさえ書いてないということは、さらに広域のブドウを使ってるか、もうどこのブドウだかわからなくなってしまったってことなのかと思います(笑)。


ラベル平面化画像。
IMG_0658
ね?ヴィンテージの表示はないですよね。

こんなPOPがネックに付いていました。
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「濃いフロンテラ」って普通のフロンテラは薄いってディスってるような(笑)。


さあ、スクリュー回転。
IMG_0665


Alc.12.5%。
少し赤味のあるガーネット。
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黒ベリー。
シーチキン。これ樽香?
辛口アタック。
意外にコク・厚み、しっかりありますよ。
ワザとらし感は否めないんですが、
スルスルいけて旨さを味わえました。
さすが、ちょっとだけですがプレミアムを感じました。


*****

Concha y Toro
Frontera Premium
Cabernet Sauvignon
Winemaker’s Selection
NV
RRWポイント 89点


Concha y Toro Casillero del Diablo Pedro Jiménez Reserva 2021 D.O. Valle del Limarí

チリ最大手コンチャイトロの人気シリーズ「カシジェロ・デル・ディアブロ」は結構どこにでも置いていますが、近所のスーパーで「ペドロ・ヒメネス」なる白ワインを見つけました。これはなかなか珍しいんじゃないかとゲットしてみました。ペドロ・ヒメネスというとスペインのシェリー酒の極甘口タイプのペドロ・ヒメネスを思い出します。品種もペドロ・ヒメネスといいますから、これは同じ品種なんですかね?

IMG_0551
コンチャイトロについては今さらですが、1883年ドン・メルチョール・コンチャイトロさん(Don Melchor Concha y Toro)が創業したチリの老舗かつ最大手の一つです。プレミアムワイン、アルマビバや、お馴染みコノスルなんかも傘下に収めています。サンライズやフロンテラというのが激安ワインとしてスーパーで売られていますが、昔はちょっといいラインと思っていた今日のカシジェロ・デル・ディアブロも結構スーパーに出回ってきています。

「Casillero del Diablo」は「悪魔のワインセラー」の意味です。130年も前、うますぎるワインということで盗難が絶えなかったところ、ドン・メルチョールさん(コンチャイトロ創設者)が「悪魔が住んでいる」とうわさを流すことでワインを守った逸話からきてるネーミングです。
Casillero01
コンチャイトロを見学すると、こんな風にこの悪魔が見られるようです。(笑)

コンチャイトロはチリ各地に畑や拠点をたくさん持っていますが、この逸話は創設の地サンティアゴ郊外のピルケにある畑であった話だそうです。どのあたりか探してみます。
名称未設定-1
これはマイポ川河畔にある拠点ですが、前述の逸話はブロック22というマイポ川から数メートルという場所だそうで、このあたりなんでしょうね。現在では観光客も受け入れてる施設にもなっていて、ストビューで敷地内もぐるぐる回れました。

コンチャイトロの公式ページはこれです。

一応ここにはコンチャイトロの全ラインナップがカバーされてますが、カシジェロ・デル・ディアブロのようなヒットシリーズは専用サイトがあります。

カシジェロ・デル・ディアブロ専用ページはこれになります。

ここには2021のデータシートもありましたが情報量はほぼなし。

・ペドロ・ヒメネス 100%

このセパージュと産地がリマリ・ヴァレーということしかわかりません。リマリ・ヴァレーはあとで確認するとして、まずはペドロ・ヒメネスを調べてみましょう。

これが今日のワインのペドロ・ヒメネス(Pedro Jiménez)ですが結構ややこしい(笑)。
Pedro-Jimenez-Pedro-Gimenez
まず、スペイン語では、「Ji」も「Gi」も「Xi」も「ヒ」と読むことを覚えておいてください。これが混乱の元凶のような気がしますが…(笑)。16世紀中頃にアルゼンチンやチリへ他の品種と共にヨーロッパから持ち込まれたとして、今日の Pedro Jiménez(これはシノニムで、正しくは Pedro Giménez もしくは Pedro Giménez Ruggieri だそう。)は、長らくスペインでシェリー酒に使われるペドロ・ヒメネス(Pedro Ximénez)と同じものとされてきましたが、2003年のDNA分析で全く別の品種であることが判明しました。Pedro Giménez / Pedro Giménez Ruggieri(今日の Pedro Jiménez という表記はこれのチリでのシノニムになります。)は 「Criolla Chica (Listán Prieto) x Muscat d'Alexandrie」の交配で、Pedro Ximénez の方は「Hebén x 未知のパートナー」の交配になるそうです。Pedro Giménez の親がアルゼンチンのトロンテス(Torrontés)の親と同じなのが気になりますが、ここでは深掘りしないでおきます(笑)。20個のDNAマーカーのみでの判定なのでファイナルアンサーというわけではないようです。

スペインでシェリー酒に使われるペドロ・ヒメネス(Pedro Ximénez)の方がこれ。
Pedro-Ximenez-(with-synonym
アルゼンチンでは Pedro Gimenez Rio Colorado と言い区別できるそうです。整理すると…。

Pedro Giménez(Pedro Giménez Ruggieri)
Pedro Ximénez(Pedro Gimenez Rio Colorado)

ということで、Pedro Giménez のシノニムの今日の Pedro Jiménez はシェリー酒の Pedro Ximénez とは別物ということです。(これ全部発音が「ペドロ・ヒメネス」!)ポピュラーなのはスペインの本家(?)シェリー酒の方かと思いきや、アルゼンチンとチリにしかない今日のペドロ・ヒメネスの方が栽培面積は多いみたいです。(2016年データ)

・Pedro Ximénez(Pedro Gimenez Rio Colorado):合計 8,810 ha
(スペイン)8,528 ha
(ポルトガル)259 ha

・Pedro Giménez(Pedro Giménez Ruggieri):合計 15,576 ha
(アルゼンチン)11,197 ha
(チリ)4,379 ha

シェリー酒の話が出てきたので簡単にシェリー酒に触れておきます。スペイン・アンダルシア州カディス県(Cádiz)ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera)とその周辺地域で生産される酒精強化ワインの総称で、ヘレス・ケレス・シェリー(Jerez-Xérès-Sherry)とマンサニージャ=サンルーカル・デ・バラメダ(Manzanilla - Sanlúcar de Barrameda)という名前でスペインの原産地呼称制度のDO(Denominación de Origen)に認定されています。(ポートワインやマデイラワインと合わせて世界三大酒精強化ワインとされます。)参考:シェリー酒公式(?)HP
JEREZ-de-la-Frontera
スペイン人が「へレス」と言えばシェリー酒のことです。シェリー酒造りに使用が認められているブドウは以下の3種あります。

・パロミノ(Palomino)
・モスカテル(Moscatel)
・ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximénez)

栽培比率の95%以上がパロミノ種ですので、ペドロ・ヒメネスは数%で、もっぱら「ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximènez)」という品種名と同じ名前で呼ばれる非常に濃い色の極甘口のシェリーになります。モスカテル(Moscatel)も「モスカテル」という甘口ワインに仕上げられます。(ともにブドウを天日干しすることで甘口にします。これらは「Vino Dulce Natural」と呼ばれます。)よって、辛口のシェリーはパロミノ種で作られているわけで、辛口シェリーを「Vino Generoso」と呼びます。(Fino、Manzanilla、Amontillado、Oloroso、Palo Cortado などのタイプがありますが、今日の本題ではないので説明は割愛。)あと、「Vino Generoso de Licor」という半甘口があり、辛口のフィノ(Fino)もしくはマンサニージャ(Manzanilla)に極甘口のペドロ・ヒメネスをブレンドしたものを「Pale Cream」と呼び、アモンティジャード(Amontillado)ベースのものは「Medium」、オロロソ(Oloroso)ベースのものは「Cream」と呼ばれます。急に英語名で変な感じですが、スペイン語ではこの「クリーム」は「Amoroso」と言うようです。


かなり脱線したので今日のワインのDO、リマリ・ヴァレー(Valle del Limarí)を確認。
Chile_Coquimbo_Elqui
チリのブドウの産地としては北側のコキンボ州になります。真ん中あたりのリマリ川の流域がDO Valle del Limarí です。南半球ですから北部は結構温暖な気候となります。


ラベル平面化画像。
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ペドロ・ヒメネスはチリの土着の品種なんて説明がありますね。

インポーターシールはこの有り様です。
IMG_0486
おっと、酸味料に安定剤(CMC)といろいろと入っています。


さあ、スクリュー回転。
IMG_0549
キャップにはディアブロ(悪魔)の顔がエンボスされています。

Alc.12%。
淡いイエロー。
IMG_0547

レモン、ライム、わら。
かすかにペトロールも感じます。
辛口アタック。
黄桃かメロンかのような果実味あり。
決して安物品種じゃないと思わせる貫禄です。
酸も苦味もほどよくあってバランスの妙と言えます。
CMCでコク出して、酸味料で補酸してあるんでしょうが、
う~ん、結構楽しめました(笑)。


*****


Concha y Toro
Casillero del Diablo
Pedro Jiménez Reserva 2021
D.O. Valle del
Limarí
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Viña del Nuevo Mundo Conde José Reserva Privada Carmenere 2021 Colchagua

近所の百貨店で見たことのないカルメネールを発見しました。チリワインはカベソーばかりが入って来ることが多く、カルメネールがあっても極安モノだったりするのですが、久々の新着カルメネールのようです。こりゃあ試さんといかんでしょ!ということですぐさまゲットです(笑)。

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作り手は「Viña del Nuevo Mundo」とあります。日本語では「新世界ワイナリー」てな感じでしょうか。Google Mapでは「Viña Las Ñiñas」というサンタ・クルス近くアパルタのワイナリーがヒットしました。それらを手掛かりによくよく調べると、フランスの大手ワイン企業 GCF(Grands Chais de France)が2021年にビニャ・デル・ヌエボ・ムンドのワイナリーと畑を取得したということがわかりました。ついこの前ですね。今日のワインは2021年なので、買収後のファースト・ヴィンテージということのようですね。もともとのコルチャグア・ヴァレーに加えてバルパライソ州のレイダ・ヴァレー(サン・アントニオ・ヴァレーのサブリージョン)にも畑を買い増したそうです。こちらは2024年のヴィンテージからワインになるようです。
ビニャ・ラス・ニーニャスが買収されてビニャ・デル・ヌエボ・ムンドに改名したということになるはずですが、なぜかビニャ・ラス・ニーニャスもHPともども健在で、どうやら併売しているようです。ちなみにビニャ・ラス・ニーニャスは1996年に創業しています。

ビニャ・デル・ヌエボ・ムンドの公式ページはこちら。まだまだ情報少ないです。

ワイン紹介も写真のみで、今日の「Conde José」というワインは見当たりません。

ビニャ・ラス・ニーニャス(Viña Las Ñiñas)のHPはこのように健在です。

たぶん同じじゃないかということで、ビニャ・ラス・ニーニャスのレセルバを見ます。

・カルメネール 100%

手摘み収穫、フレンチオーク樽で8ヶ月の熟成だそうです。もとい、フレンチオークとは書いてますが「樽」とは書いていません(笑)。それよりもインポーターシールに書いてあった、安定剤(アラビアガム)の方が気になります。

ビニャ・ラス・ニーニャス、もしくはビニャ・デル・ヌエボ・ムンドを訪問。
Vina-del-Nuevo-Mundo
なかなか立派な建物です。リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)コルチャグア・ヴァレーのサンタ・クルスの町の近く、アパルタという所にあります。近くにラポストルのクロ・アパルタやモンテスなんかもありますね。このあたりは、コルチャグア・ヴァレーのサブリージョン「D.O. Apalta」になります。以前の記事でも触れていますが、「アパルタ」は2018年にコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンとして単独のDO(Denominación de Origen)に昇格しています。

リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州の地図で位置関係を確認しましょう。
Libertador_O'Hinggis_Rio
コルチャグア・ヴァレー+カチャポアル・ヴァレー=ラペル・ヴァレーでしたね。


ラベル平面化画像。
IMG_0500
高級感あるラベルデザインですけどね。安定剤(アラビアガム)だけがどうしても気になります(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
IMG_0503
キャップシールもコルクも「Chile」だけとは寂しい。DIAM2です。

Alc. 13.5%。
濃いめのガーネット。
IMG_0504

黒ベリーにいきなりのシーチキン香。
ダークチェリーとモカが奥にあるのはカルメネールっぽい。
酸味強めの辛口アタック。
フレッシュ感の酸と思えば受け入れ可能なレベルです。
厚み・複雑味はそこそこでカルメネールのモカ・青みも健在。

若干チグハグなバランスかな。
アラビアガム(アカシア)のせいかしら。


*****

Viña del Nuevo Mundo
Conde José Reserva Privada Carmenere 2021
D.O. Colchagua
 Valley
RRWポイント 91点


Viña Aquitania Carménère 2018 Valle del Maipo

当ブログではかなりの頻度でチリの代表品種カルメネールを試していますが、ビニャ・アキタニアは3年以上ぶりです。前回は同じワインの2017年でしたが、今日のは2018年。3年経ってミレジムは1年しか進んでいませんが、5年寝かせたら...という感じで興味深くいただくとしましょう(笑)。これが日本カルメネール振興協会の真骨頂です(笑)。

IMG_0402
シャトー・マルゴーの醸造家(兼CEO)であったポール・ポンタリエさん(Paul Pontallier)と、シャトー・コス・デストゥルネルのオーナーであった、ブルーノ・プラッツさん(Bruno Prats)が、チリの素晴らしいテロワールの畑をマイポに探し求め、1984年に共同で始動したのがこのビニャ・アキタニアです。(設立は1990年。)シャトー・マルゴーとコス・デストゥルネルの二人は、その後、仏系チリ人醸造家のフィリップ・ド・ソルミニアックさん(Felipe de Solminihac)をパートナーに加え、さらに、シャンパーニュからボランジェ(Bollinger)を率いていたギラン・ド・モンゴルフィエールさん(Ghislain de Montgolfier)を迎え入れ、最終的に4人組でこのワイナリーを育ててきました。彼らは自らをアレクサンドル・デュマ・ペールの三銃士になぞらえ、「四銃士」と呼んでいまして、エチケットにも4人のサインがあるのがわかると思います。(ポール・ポンタリエさんは2016年に逝去されています。)


公式ページは3年の間にリニューアルされたようで洗練されたいい感じになっています。

今日のワインも載っていますが、最新ヴィンテージの2021年の情報のみのようです。

・カルメネール 90%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 10%

というセパージュなんですが、今日のワインの2018年は産地が創業の地「マイポ・ヴァレー/Valle del Maipo」なのに対し、2021年はコルチャグア・ヴァレー/Valle de Colchagua に変わっています。マイポの創業の畑(首都サンティアゴの「ペニャレオン/Peñalolén」 というエリアにあります。)はカベルネ・ソーヴィニヨンに専念したんでしょうかね。トップエンドのラスリ(Lazuli)はマイポのカベソー100%です。2021年の記述が2018年にも適用できれば、全量の60%をフレンチオーク樽(1~3年落ちの旧樽、400Lと225Lの2種)で、残り40%をステンレスタンクで、4ヶ月の熟成を行っています。いずれにしても樽はごく軽めなんでしょう。

ビニャ・アキタニアをあらためて訪問します。サンティアゴの市街にあります。
Aquitania01
ペニャレオン(Peñalolén)という地区なんですが、周りはサンティアゴ市街に囲まれており、すぐ背後にアンデス山脈が迫る山裾のエリアです。同じエリアには、これも自分にはお馴染みのコウシーニョ・マクル(Cousiño Macul)があります。

サンティアゴ周辺を俯瞰して位置関係を確認しましょう。
Chile_Santiago_Alrededor
マイポは首都州(Región Metropolitana de Santiago)になりますが、コルチャグア・ヴァレーは南側のリベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)になります。マイポの自社畑は面積も限られてるので、生産量を増やすためにコルチャグアへ進出したんでしょうね。いずれコルチャグア・バージョンをいただかなくてはなりませんね。


ラベル平面化画像。
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今となっては貴重な(?)マイポ産のカルメネールです。ラベル上は「CARMENERE」とつづられていますが、HPでは「CARMÉNÈRE」とあるので、ちゃんとアクサンテギュ・アクサングラーヴ付きの「Carménère」表記でやっているようです。日本カルメネール振興協会はこの表記を推奨しています(笑)


さあ、抜栓。
IMG_0399

コルク平面化。
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DIAM5採用です。

Alc.13%。
濃いガーネット。
IMG_0400

黒ベリー、スパイス、モカ、青み。
カルメネールそのものの香ですね。
鈍い酸味を乗せた辛口アタック。
複雑味と滋味をしっかり蓄えた圧巻の厚み・立体感。
バリエタルであるという気安さも感じるんですが、バランスは絶妙。
カルメネール風味で味わう悠遠の余韻はやはりいいもんです。
以上、日本カルメネール振興協会提供でした(笑)。


*****

Viña Aquitania
Carménère 2018
Valle del Maipo
RRWポイント 94点


Viña San Esteban In Situ Single Parcel Pinot Noir 2020 Aconcagua Costa

近所のスーパーで「IN SITU」というチリワインを発見。昔、アメリカ在住中によく見かけたチリワインのブランドなのでとても懐かしいです。本当はカルメネールがあったら嬉しかったんですが、チリのピノ・ノワールもいいものがありますから試してみないといけません。

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作り手のビニャ・サン・エステバンは、アコンカグア渓谷で高品質のワインを生産するために1974年にホセ・ビセンテ(José Vicente)さんが立ち上げた家族経営のワイナリーです。「イン・シトゥ(In Situ)」はビニャ・サン・エステバン(Viña San Esteban)のブランド名ですが、ほぼ屋号のように使ってますね。ラテン語でしょうか、「オン・サイト(現場で)」の意味だと思われます。ビニャ・サン・エステバンがあるのは、アコンカグア川流域のサン・エステバンという町です。ワイナリー名は所在の町の名前から取ったようですね。現在では息子のオラシオ(Horacio)さんがブドウ畑の改修・ワイナリーの近代化を推し進めており、品質向上目覚ましいようです。なにしろ、このオラシオさん、ボルドー大学で醸造を学び、シャトー・ムートン・ロートシルト、ムートン・カデで働き、カリフォルニアに渡ると伝説のパリス・テイスティングで3位となったシャローン・ヴィンヤードでも働いています。

公式ページはモダンな感じでいいですね。アメリカ向けの輸出が多いんでしょう。

データシートもあってワイン情報は充実しています。

・ピノ・ノワール 100%

太平洋岸から16kmというところにある単一畑からのピノ・ノワールを手摘み収穫しています。やはりボルドー式、225Lのフレンチオークのバリックで12ヶ月の熟成をしています。瓶詰め後、リリース前さらに6ヶ月寝かします。

イン・シトゥ~ビニャ・サン・エステバンを訪問します。
InSitu01
パッと見、チリの田舎の農家風情ですが、近代的なセラーを備える立派な施設です。サン・エステバンというアコンカグア川沿いの町にあり、この辺りが地理条件「Andes」を付記できるサン・エステバン(San Esteban)というDOアコンカグア・ヴァレーのサブリージョンになっています。

今日のワインのラベルには D.O. Aconcagua Costa となっています。この D.O.(Denominación de Origen)について深掘りをしておきたいと思います。なぜなら、これはお馴染みの D.O. Aconcagua Valley とは別で、2012年に新たに設定された D.O. になるからです。いったいどのエリアになるのかということを、バルパライソ州(Región de Valparaíso)のGoogle Mapで確認してみましょう。
Aconcagua_Valparaiso
バルパライソ州は首都サンティアゴのある首都州を取り囲むように太平洋側に広がっており、アコンカグア・ヴァレーのみならず、カサブランカ・ヴァレー、サン・アントニオ・ヴァレーまでを含めてアコンカグア・リージョンRegión Vitícola de Aconcagua)を形成しています。

チリでは2011年に新しい原産地呼称表示の制度が導入されていまして、
 ●Costa(コスタ =海岸)
 ●Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ●Andes(アンデス =アンデス山脈)
の3つの地理条件をD.O.に付記できるようになっています。

じゃあ、D.O. Aconcagua Costa は D.O. Aconcagua Valley(Valle del Aconcagua)+ Costa なのかというとさにあらず、この翌年の2012年に別個に独立したD.O.として設定された別のものになります。対象エリアは上のGoogle Map上に(Costa)の印をつけた産地、アコンカグア・リージョンの海岸側の部分になります。つまり、アコンカグア・ヴァレーのコスタ(Zapallar と Quillota)+カサブランカ・ヴァレー+サン・アントニオ・ヴァレーという、海岸線に沿った広大な D.O. ということです。Zapallar と Quillota については元々固有の D.O. を持たなかった地域ですから、新たに D.O. 認証を受けたということになりますね。

イン・シトゥ(ビニャ・サン・エステバン)の場所を地図上に示していますが、ワイナリー自体は内陸の地理条件「アンデス」に属します。今日のワインのピノ・ノワールの畑は海岸線から16キロとのことですから、ワイナリーからは結構離れていることになります。どこだかわからないのが残念ですが、海岸線近くの「コスタ」のエリアのどこかなんだな~と眺めておいてください(笑)。

以下はアコンカグア・リージョンの DO、サブリージョン、エリア、付記される地理条件のまとめです。今日の「D.O. Aconcagua Costa」は表現されていませんが、「Costa」とされているところすべてと思ってください。
Región vitícola de AconcaguaValle del AconcaguaZapallar
Quillota
Hijuelas
Panquehue
Catemu
Llay-Llay
San Felipe
Santa María
Calle Larga
San Esteban
Costa
Costa

Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Andes
Valle de CasablancaCasablancaCosta
Valle de San AntonioCartagena
Algarrobo
Costa
Costa
Valle de LeydaSan Juan
Santo Domingo
Costa
Costa
Valle del Marga-MargaQuilpuéCosta














(出典:Anexo:Regiones vitícolas de Chile

Costa(コスタ=海岸)、Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス=山脈の間の平地部分)、Andes(アンデス=アンデス山脈)それぞれのエリアを示した地図です。
A
このあたりをもっとしっかり調べたいんですが、チリのSAG(Servicio Agrícola y Ganadero =農業牧畜庁)のサイトを見てもバッチリの資料ってないんですよね~。まあ、飲みながら調べながら、ぼちぼち追記・修正をしていくとしましょう。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_0311
おっと、裏ラベルに畑名が書かれていますね。「Los Aromos vineyard」。ググってみましたが畑の場所の特定には至りませんでした。残念。

インポーターはカルディでお馴染みのオーバーシーズです。
IMG_0310
ここのシールは裏ラベルを隠さないタイプなので好感が持てますね。


さあ、抜栓。
IMG_0322

コルク平面化。
IMG_0324

Alc.13%。
ルビーにかすかなオレンジ味あり。
IMG_0325

フランブエサ(ラズベリー)、チェリー、リコリス。
ゼラニウムもあります。
辛口アタック。
酸がしっかり一本通ってる感じ。
程よいコクと複雑味あり。
コンパクトにこじんまりとまとまってますがバランスはいいです。
余韻からフィニッシュまで酸が再度主張するのが少し余計。
なかなかのうまさと思いますが、ちょっと最後にケチがついたかな。


*****

Viña San Esteban
In Situ
Single Parcel Pinot Noir 2020
Aconcagua Costa
RRWポイント 91点


Viña Tabalí Pedregoso Carmenère 2020 Gran Reserva

コキンボ州のリマリ・ヴァレー(Valle del Limalí)の作り手、タバリ(Viña Tabalí )です。最後にアクセントですから「リマリー・ヴァレーのタバリー」の方が正しい発音に近いですかね(笑)。そこのバリエタルですが、カルメネールをお試しです。確か昔はカルメネールはなかったんですよね。自社畑のリマリ・ヴァレーではやってなかったはずなので。よく見ると「カチャポアル・ヴァレー」からとなっています。ふむふむ。

IMG_0032
ビニャ・タバリはサンティアゴの北方リマリ・ヴァレーに2002年にルクシッチ家(Luksic)が創設した新鋭ワイナリーです。このあたりには考古学的に貴重な先住民族の遺跡(El Molle:モジェ文化 というらしいです。)があり、タバリの名前やマークはそこから取っているようですね。最初のリリースから高い評価を得ていて、リマリ・ヴァレーにこだわって事業の拡大を続けてきましたが、2013年にマイポ・ヴァレーに「Viñedo DOM」というカベルネ・ソーヴィニヨンの畑を取得しています。そして今日のカルメネールはカチャポアル・ヴァレーの「Viñas Viejas」という畑かららしいので、これまたカルメネールに適した畑を取得したんでしょうね。

ビニャ・タバリの公式ページはしっかりしています。昔はもっと詳しかったような気はしますが。

ワイン紹介はデータシート付きであります。畑入手の経緯なんかは書いてませんが。

・カルメネール 100%

手摘み収穫。フレンチオーク樽で10ヶ月熟成。バリエタルですが割としっかり作ってそうです。

ビニャ・タバリ(Viña Tabalí)を訪問します。ウェーブを描く屋根がカッコいいですね。
Tabali01
コキンボ州オバジェ(Ovalle)の町から車で20分くらいのところ。

HPにリマリ・ヴァレー(Valle del Limalí)を俯瞰する地図があったので拝借して加筆。
Limali_Valley
本拠地の周辺が Tabalí と Espinal という畑だそうですね。Ovalle、Punitaqui、Monte Patria、Río Hurtado といったところは Valle del Limarí のサブゾーンになります。

コキンボ州(Coquimbo)をGoogle Mapで俯瞰して位置関係を把握しましょう。
Chile_Coquimbo_Elqui
コキンボ州には北からエルキ・ヴァレー(Valle del Elqui)、リマリ・ヴァレー(Valle del Limarí)、チョアパ・ヴァレー(Valle del Choapa)と3つのサブリージョンがあり、それぞれエルキ川、リマリ川、チョアパ川という川の流域に相当します。コキンボ州全体が「コキンボ(Coquimbo)」という Región(リージョン)になっています。
エルキ・ヴァレーの北のアタカマ州(Atacama)にはウアスコ・ヴァレー(Valle del Huasco)、コピアポ・ヴァレー(Valle de Copiapó)という産地が続いています。この辺りはもともとはピスコ(ブドウで作るチリを代表する蒸留酒)の生産のためのブドウ畑です。南半球なので北へ行くほど温暖になります。

チリの DO(Denominación de Origen)一覧表。いつも載せてますが、おさらいです。
RegiónSubregiónZonaÁreaTérmino complementario
Región vitícola de AtacamaValle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de CoquimboValle del ElquiLa SerenaCosta
VicuñaAndes
PaiguanoAndes
Valle del LimaríOvalleCosta
PunitaquiEntre Cordilleras
Monte PatriaAndes
Río HurtadoAndes
Valle del ChoapaSalamancaAndes
IllapelAndes
Región vitícola de AconcaguaValle del AconcaguaZapallarCosta
QuillotaCosta
HijuelasEntre Cordilleras
PanquehueEntre Cordilleras
CatemuEntre Cordilleras
Llay-LlayEntre Cordilleras
San FelipeEntre Cordilleras
Santa MaríaAndes
Calle LargaAndes
San EstebanAndes
Valle del Marga-MargaQuilpuéCosta
Valle de CasablancaCasablancaCosta
Valle de San AntonioValle de San AntonioCartagenaCosta
Lo AbarcaCosta
AlgarroboCosta
Valle de LeydaSan JuanCosta
Santo DomingoCosta
Región vitícola del Valle CentralValle del MaipoIsla de MaipoEntre Cordilleras
TalaganteEntre Cordilleras
MelipillaEntre Cordilleras
AlhuéEntre Cordilleras
María PintoEntre Cordilleras
ColinaEntre Cordilleras
Calera de TangoEntre Cordilleras
Til TilEntre Cordilleras
LampaEntre Cordilleras
SantiagoAndes
PirqueAndes
Puente AltoAndes
BuinAndes
Valle del RapelValle del CachapoalRancaguaEntre Cordilleras
PeumoEntre Cordilleras
ColtaucoEntre Cordilleras
RequínoaAndes
RengoAndes
MachalíAndes
Valle de ColchaguaParedonesCosta
PumanqueCosta
LituecheCosta
LololCosta
NancaguaEntre Cordilleras
Santa CruzEntre Cordilleras
ApaltaEntre Cordilleras
PalmillaEntre Cordilleras
PeralilloEntre Cordilleras
MarchigüeEntre Cordilleras
La EstrellaEntre Cordilleras
San FernandoAndes
Los LinguesAndes
ChimbarongoAndes
Valle de CuricóValle del TenoVichuquénCosta
LicanténCosta
RaucoEntre Cordilleras
RomeralAndes
Valle del LontuéSagrada FamiliaEntre Cordilleras
MolinaAndes
Valle del MauleValle del ClaroEmpedradoCosta
CureptoCosta
TalcaEntre Cordilleras
PencahueEntre Cordilleras
San RafaelEntre Cordilleras
San ClementeAndes
Valle del LoncomillaSan JavierEntre Cordilleras
Villa AlegreEntre Cordilleras
ParralEntre Cordilleras
LinaresEntre Cordilleras
LongavíEntre Cordilleras
RetiroEntre Cordilleras
ColbúnAndes
Valle del TutuvénCauquenesEntre Cordilleras
Región vitícola del SurValle del ItataPortezueloCosta
CoelemuCosta
ChillánEntre Cordilleras
QuillónEntre Cordilleras
Valle del BiobíoYumbelEntre Cordilleras
MulchénEntre Cordilleras
Valle del MallecoTraiguénEntre Cordilleras
Región vitícola AustralValle del CautínPerquenco
Galvarino
Valle de OsornoOsorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono

<Wikipedia Anexo:Regiones vitícolas de Chile より>



最後にリベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)の地図でカチャポアル・ヴァレーを確認しておきます。
Libertador_O'Hinggis_Rio
「Viñas Viejas」という畑名だけではどこだかわかりません。


ラベル平面化画像。
IMG_9938
ラインアップにカルメネールを加えるために畑を入手したとすれば、こだわりのカルメネールということなんでしょうが、安定剤(アカシア)入りというのが何だか残念です。


さあ、抜栓。
IMG_0029

コルク平面化。
IMG_0030

Alc.14%。
濃いガーネット。
IMG_0031

黒ベリー、炭っぽい樽香、青みもあり。
辛口アタック。
スモーキーな風味まとった程よい重み・深み・ふくらみ。
複雑味も立体感もあり。
喉越しのタンニンがシルキーで心地よく、
長い余韻の前ぶれとしての演出が憎い。

いやいや唸りましたね。
アカシア入りでこんなに美味いの初めてです。


*****

Viña Tabalí
Pedregoso Carmenère 2020
Gran Reserva
D.O. Valle de Cachapoal
RRWポイント 96点


Viñas Bisquertt La Joya Single Vineyard Carmenere 2017

久しぶりにビニャ・ビスケルト(Viña Bisquertt)のカルメネールをいただきます。結構グレードの高そうなやつを見つけたなと思っていましたが、調べると、以前に飲んだ「Ecos de Rulo」ってやつの名称変更だそうで、2016年のヴィンテージから「La Joya」になってるとのこと。前のは2015でしたので、そのヴィンテージ違いの2017をいただくということになりました(笑)。

IMG_9887
ビニャ・ビスケルトは、1978年創業のコルチャグア・ヴァレーの家族経営の作り手です。マルチグエ(Marchigüe)にあるエル・チェケン(El Chequén)という95ヘクタールの畑を所有。チリらしくすべて接ぎ木なしの自根のブドウだそうです。この地域のパイオニア的存在だと豪語しています(笑)。

公式ページはトップページの自社畑の空撮映像が印象深いです。

データシート付きでワイン紹介があります。「La Joya」は「宝石」の意味があります。

・カルメネール 100%

D.O. Marchigüe(Marchihue)にあたる自慢のエル・チェケンの畑からの手摘み収穫。樽熟は、オークの大樽とコンクリートタンクの併用で12ヶ月です。


ビスケルトを訪問しますが、ストビューがなく畑と池のショットです(笑)。
Bisquertt01
マルチグエ / マルチウエ(Marchigüe / Marchihue)の集落の北にある広大な畑ですが、ワイナリー施設と思われる建物がショボいのが少々気になります。大きなため池のようなのが敷地の真ん中にあるようです。

HPには所在を示すこんな地図が載ってましたが、これは少々盛りすぎ(笑)。
Bisquertt_Colchagua
この地図ですと、リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州全体がコルチャグア・ヴァレーに見えますが、半分はカチャポアル・ヴァレーです。また、ビスケルトはこんなに広くありません(笑)。所有畑がこの範囲に散らばってるという意味かもしれませんが…。

リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)を俯瞰してビニャ・ビスケルトの正確な所在を確認します。
Libertador_O'Hinggis_Rio
色付きの文字で地名が入っているところは、コルチャグア・ヴァレー、カチャポアル・ヴァレー、それぞれのサブゾーンで、今日のワインの「D.O. Marchigüe(Marchihue)」のようにそれぞれ単独のD.O. になっています。


ラベル平面化画像。
IMG_9837
ヴィーガンのマークがあります。


さあ、抜栓。
IMG_9883

コルク平面化。
IMG_9884

Alc.14%。
ガーネット。
IMG_9886

黒ベリー、モカ、青みもかすかにある。
カルメネールの王道の香りです。
辛口アタック。
酸味は程よく乗っています。
圧倒的ではないですが、
厚み・複雑みの感じはいいカルメネールのそれです。

若干軽めですが、フライドチキンにうまく合いました(笑)。
合わせやすいカルメネールということで。


*****

Viñas Bisquertt
La Joya Single Vineyard Carmenere 2017
D.O. Marchihue
RRWポイント 91点


Viña Tinajas del Maule Del Sol Cabernet Sauvignon Reserva 2019

その昔コウシーニョ・マクルを訪問した時にいろいろとチリワインの秘密を教えてもらって以来、チリは自分のワインの「アナザースカイ」になっています。それ以降、結構いろんなチリワインを追っていますが、最近はあんまり目新しいものに出会わなくなっています。まだまだいろんな作り手がいると思うんですけどね~。なので、たまにお初の作り手を見つけるとこのように飛びついてしまうわけです。ビニャ・ティナハス・デル・マウレとな。ふむふむ。

IMG_9779
1918年頃よりメンドーサ・エンリケ家がマウレ・ヴァレーにワイナリーを営んでいました。1997年に、メナ・ウンドゥラーガ家(Mena Undurraga)が、そのワイナリーを取得し、ビニャ・ティナハス・デル・マウレを設立しました。80年もの樹齢の畑を活かし、最新の技術を導入して高品質のワインを生産しているとのこと。現オーナー兼醸造家はフアン・イグナシオ・メナ(Juan Ignacio Mena)さんで、裏ラベルに顔写真とメッセージがありました。

公式ページはそこそこいい感じです。ワイン情報もしっかりしています。

ところがラインナップを刷新したようで、今日のワインがまったく載っていません。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

現行ラインアップは変な名前がついているブレンドばかりになっています。カベソーのモノセパージュでレセルバっぽいのがあったのでそれを参考にしますが、それも名前は「Viejo Feo」といいます。「汚ねえジジイ」と言う意味です(笑)。手摘み収穫にはこだわってるようです。熟成は50%のみアメリカンオーク樽で6ヶ月と少々軽め。まあ、これが同じワインなら、ですが(笑)。

ビニャ・ティナハスを訪問しようと思いますが、ストビューが全然届いていません。
VinaTinajas01
ワイナリーの外観写真も見つからなかったのでHPのこんな写真でお茶を濁します。マウレ・ヴァレーのサブリージョン、ロンコミージャ川流域のロンコミージャ・ヴァレーになります。ビジャ・アレグレ(Villa Alegre)という町になるようです。

マウレ州を俯瞰して確認します。ビジャ・アレグレ、ビニャ・ティナハスを探してください。
Maule_Curico
マウレ州にはクリコー・ヴァレーとマウレ・ヴァレーがあります。南側がマウレです。


ラベル平面化画像。
IMG_9758
裏ラベルはインポーター(ネスコジャパン)貼り替えパターンですが、しっかり情報が載っていて好感が持てます。オーナーの顔写真とコメントがあるのがいいですね。


さあ、抜栓。
IMG_9782

コルク平面化。
IMG_9777

Alc.13.5%。
濃いガーネット。粘性の涙は色付き。
IMG_9778

黒ベリー、ダークチェリー。
ほどよく溶け込んだ樽香を感じます。
かすかな青み香。
辛口アタック。
濃い固まり感の味は奥深い感じ。
いく層にもベールに包まれているような構造感。
タンニン含め全体が織り成すバランスは、
絶好調のまま余裕の余韻へ続きます。

超あり寄りのあり。
この作り手のカルメネールが試したくなります。


*****

Viña Tinajas del Maule
Del Sol Cabernet Sauvignon Reserva 2019
D.O. Maule Val
ley
RRWポイント 94点


Viña Carmen Cabernet Sauvignon Gran Reserva 2021

チリ最古のワイナリーにして、カルメネールがチリで再発見された畑を持つカルメン。アメリカ在住中にカルメネールを探求していた昔から馴染み深いワイナリーです。日本ではやまやにガッツリ置いてますので最近でもちょくちょくいただいています。今日は豪華化粧箱に入って売っていたカベルネ・ソーヴィニヨンをお試しです。

IMG_9794
カルメンはチリ大手のひとつですが、1850年から続くチリ最古のワイナリーです。失われた品種カルメネールが1994年に再発見されたのがカルメンの畑なので、Carmenereからカルメンという名前になったのかなと思ってしまいますが、1850年の創業者Christian Lanzさんの妻の名がカルメンだったとのことで、カルメンと名付けられています。
1987年には、すぐ隣のこれも古参のワイナリー、サンタ・リタ(1880年創業)がカルメンを買収します。その翌年の1988年には大企業グループ、グルーポ・クラロ(Grupo Claro)にサンタ・リタごと買収され、現在サンタ・リタもカルメンも同じクラロ・グループの傘下となっています。

これが今日のワインが入っていた化粧箱。金ピカで高級感があります。
IMG_9783
「チリの最初のワイナリー」が最近イチオシの宣伝文句のようです。カルメネールの葉っぱマークと共に「1994年カルメネール再発見はカルメンの畑で」もキラーワード(殺し文句)ですね。

公式ページは、ちょっと見ない間にまたリニューアルしていたようです。

ラインアップやラベルデザインが結構一新されています。上級レンジの Winemaker's Black / Red もコンセプトはそのままに(黒はカルメネール、赤はカベソー)「Carmen Delanz」という名前に変わってました。今日の「Gran Reserva」はデザインその他変わっていないようです。ただ、通常のグラン・レセルバのカルメネールに加え、フリーダ・カーロ・カルメネール(Frida Kahlo Carmenere)という花柄デザインのカルメネールが登場しています。何が違うんでしょう?試してみたいですね。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

畑はサンティアゴの南、マイポ・ヴァレーからです。カルメンの本拠地近くでしょう。熟成はフレンチオーク樽とステンレスタンクの併用で14ヶ月間とのこと。半々でしょうか。比率は書いておいてほしいですね。

カルメンを訪問したいんですが、幹線道路から奥まっていてストビューがありません。
Carmen01
facebook にあった写真を拝借しましたが、これ以上のいい写真が見当たらないんですよね。幹線道路側に入り口もなく、どうやら同グループのサンタ・リタの方からアクセスするようです。右側の地図を見ると、カルメンとサンタ・リタは同じ敷地内にあるようです。いずれにしてもこの辺りはマイポ川の流域になり、ブイン、イスラ・デ・マイポ、プエンテ・アルト、ピルケなどマイポ・ヴァレーのサブゾーンが集中しているエリアになります。

これはカルメンの畑にある「カルメネール発見の記念碑」です。
Carmen_carmenere
日本カルメネール振興協会としては是非ここを訪れたいと願っています(笑)。

首都サンティアゴ周辺(首都州:Región Metropolitana de Santiago)を俯瞰します。
Chile_Santiago_Alrededor
カルメンのおおよその位置も示しました。ただカルメンはコルチャグア・ヴァレーのアパルタ、カサブランカ・ヴァレー、レイダ・ヴァレーのワインも作っているので他にも拠点はありそうです。


ラベル平面化画像。
IMG_9788
畑はアルト・マイポ・ヴァレーのロス・キジャジェス(Los Quillayes)という畑だと書いてます。ラベルで謳っている「Single Vineyard」というのがこれなんでしょうね。また、熟成は樽で12ヶ月となっています。HPの情報とは違いますが…。

インポーターシールはこのように丸隠しでした。
IMG_9787
剥がしやすかったからいいですが、困ったもんです。


さあ、抜栓。
IMG_9791

コルク平面化。
IMG_9792

Alc.13.5%。
赤味帯びたガーネット。
IMG_9793

黒ベリー、ダークチェリー、青みの香。
還元臭かすかにある?
辛口アタック。
酸が少し若いかな~という感じ。
重み、複雑味は十分。
タンニンがうまくバランス取りに来ます。
余韻も同じ流れで続きます。

2020年ですが、もう5年くらい寝かすといいかも…という印象。
そのポテンシャルも含め採点します。


*****

Viña Carmen
Cabernet Sauvignon 2021
Gran Reserva
Single Vineyard D.O. Maipo
RRWポイント 93点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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