Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

>> その他の赤品種

メルシャン・ワインズ Blends Perfect Blend Red NV

スーパーのワインコーナーで派手なPOPと共に新製品が並んでました。メルシャンが日本で製造するお手頃ワインのようですが、オーストラリア産とスペイン産のワインをブレンドしてるとあります。海外の濃縮果汁を日本でワイン化する「いわゆる」国産ワインの一種だろうとは思いましたが、たまにはこんなのも試してみましょう(笑)。

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シャトー・メルシャンは秀逸な「日本ワイン」を出してますが、これはメルシャン・ワインズというキリン傘下ではありますが別部門のようです。価格的にはチリなどの激安バリエタルと変わらないぐらいですが、どういうアドバンテージで売っていくんでしょうね。実際の味も大事ですが、そういうマーケティングもとても気になります。

これが店頭での展示です。木箱にブドウで飾り付け。気合が入ってます。
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ネックにもPOPがあって「ふたつの国のブレンドワイン」を連呼です。まあ、そこが気になって1本買ってしまったわけですから、自分もまんまと策にはまっていますが(笑)。


公式ページは「メルシャン・ワインズ」単独のを発見。この3月に立ち上げたブランドだそうで。

ワイン紹介はありますが、品種や醸造法は不明。そりゃそうですよね。ノンヴィンテージで作り方も普通じゃないでしょうから(笑)。

ただし、パートナーワイナリーとしてスペインとオーストラリアのワイナリーの紹介があります。
Partner01
アンドリュー・ピース(Andrew Peace)は試したことありますね。

ラベル平面化画像。
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裏ラベルに注目しました。原材料に「輸入ワイン(オーストラリア産、スペイン産)」とあります。どうやら濃縮果汁を買ってきて日本で加水して発酵させるパターンじゃなくワインで輸入してるってことですね。と思ったら、その後に「濃縮ぶどう果汁(外国産)」と書いてあります。オーストラリア・スペイン産のワインをブレンドしただけかと思いきや、それでは量が足りないのか「いわゆる」なんちゃってワインをブッ込んじゃてるってことでしょうか(笑)。そしてそれは「外国産」とあるので、オーストラリア・スペインではない他の国なんでしょうかね。

ここでお断りをしておきますが、濃縮ぶどう果汁から作った果実酒を否定するつもりは全くありません。ニーズがあるから商品が存在する。そういう関係を尊重します。ただし、「普通のワイン」として誤認させて売るのはどうなんでしょう…と疑問が残ります。国税庁基準では、①海外原料を使用して国内生産したワインは表ラベルに「地名」「品種」の表示はできません。また、②「濃縮果汁使用」「輸入ワイン使用」を表ラベルに表示することが義務付けられています。
今日のワインの「オーストラリア産ワイン、スペイン産ワイン使用」の表ラベルへの表記は微妙な感じがします。「~産ワイン使用」の表記はOKです。むしろ書かないといけないです。「~産」と産地を付記するのもいいようです。ただし、今回の「濃縮果汁使用」も表示する義務があると思います。これを抜かしたのは勇み足かもしれませんが「アウト」でしょうね。

そう思うとネックのPOPも「誘導」に思えてきます。
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本当に「ふたつの国のブレンドワイン」ですか?「マーケティング」ですから、そこは仕方がないとなるのでしょうかね。

さあ、栄養ドリンクのようなキャップをオープン。
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Alc.13%。
紫強めのガーネット。
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ブルーベリー、ぶどうジュース香。
う~ん、この手のワインのお決まり雰囲気です。
甘みを感じるギリ辛口のアタック。
居酒屋飲み放題でおなじみの味でした。
シャバシャバ一歩手前で踏みとどまったという喉越しです。

ラベル表示やなんやでうだうだ文句を垂れましたが、
とどのつまり、そこそこおいしければOKなんですが。残念。


*****

メルシャン・ワインズ
Blends
Perfect Blend Red NV
RRWポイント 77点


Azores Wine Company Isabella a Proibida 2017

ネットでたまたま発見し、面白そうだなとお取り寄せしたポルトガルのワインです。ポルトガルにフォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)で有名なマデイラ諸島があるのはわかっていましたが、もうひとつアソーレス諸島というのがあってDOCにもなっているのに今までノーマークでしたから。品種も含めていろいろユニークなところじゃないかと想像します。

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なにやら、仰々しく赤塗りでヴィンテージと、おそらく品種名が消されています。日本の戦後のGHQの焚書を思わせますね(笑)。作り手はその名もアソーレス・ワイン・カンパニーですが、このあたりは後ほど紐解くとしまして、まずはワインの産地としての「アソーレス諸島」を確認しましょう。

いつものポルトガルのDOC地図です。アソーレス諸島を探してみてください。
Portugal_DOC_IG
左下の箱の中にありますね。アソーレス(Açores)には3つの DOC(Denominação de Origem Controlada=原産地呼称統制)があり、全体も IG(Indicação Geográfica)になっています。IG は、いわゆる Vinho Regional(生産地表示ワイン)のことです。それぞれEUワイン法のDOP/IGPに対応しています。

・DOC Graciosa(グラシオーザ)
・DOC Biscoitos(ビスコイトス)
・DOC Pico(ピコ)

・IG Açores(アソーレス)

アソーレス、マデイラは大西洋の真ん中にある島嶼部(とうしょぶ)ですから、ポルトガル全体の地図となると大抵はこんな表現になってしまいます。
Portugal01
これじゃあ、本土との距離感がわからないですよね。

がんばって、Google Mapを駆使してこういう地図に仕上げました。
Portugal全図
これで距離感わかりましたかね? リスボンから今日の作り手の居るピコ島まで飛行機で2時間45分。東京-沖縄を空路で行くのとほぼ同じ。さほど遠い気はしません(笑)。ピコ島(Ilha do Pico)はアソーレス諸島で2番目に大きな島で約1万5千人が住んでいます。最大の島はサンミゲル島(Ilha de São Miguel)で、なんと人口が約13万人(2001年)と、アソーレス諸島全体の人口の半分強を占めますが、ピコ島のようなワインの銘醸地ではありません。

ピコ島にはピコ山(Montanha do Pico)があり、標高2,351mと実はポルトガルの最高峰です。火山性の土壌であることが想像できますが、島中を覆う溶岩石を使ったブドウ畑の独特の景観が、「ピコ島のワイン畑の景観」として、2004年にユネスコ世界遺産に登録されています。
Unesco_Pico
黒い玄武岩を積んだ石の壁で小分けにされた区画が並んでいるのがわかると思います。この石の壁が潮風からブドウを守りつつ、熱を放射するという効果があります。これら区画は「クライス(currais)」と呼ばれています。


さて、今日の作り手は、ポルトガルのワインメーカー、アントニオ・マサニータさん。
AM01
写真にあるように、アレンテージョやドウロでワインを作っていますし、コンサルタントもやっています。その彼が2014年に2人のパートナーとともに、アソーレスのポテンシャルを信じ立ち上げたワイナリーが、アソーレス・ワイン・カンパニーです。

公式ページはアントニオ・マサニータさんの総合サイト内にあります。

今日のワイン名は「A Proibida」、「禁じられた(The Prohibited)」という意味です。紹介もデータシート付きであるんですが、そのデータシートが赤塗りで所々消されています。なんと品種が赤塗りされていて読めません。(薄っすら何となくは見えるんですが…笑)しかし、インポーターのページに詳しい解説が出ていて助かりました。イザベラという品種らしいです。
(資料:No.1No.2No.3

・イザベラ 100%

クライスの畑ですから当然手摘み収穫ですね。醸造法についてはあまり詳しく書いていません。それよりも、イザベラという品種が、フィロキセラ後に台木として入ってきたアメリカ在来種のひとつということが、このワインの肝になります。アメリカ在来種は台木にこそなれ、栽培とワイン醸造はEUで禁じられた経緯がありますが、実はアソーレスのような離島では栽培とワイン作りが根付き、島の文化として細々と継続されてきたということです。それを使ったワインをアソーレスのアイデンティティーとして作ろうとしたこのワインは、当局から認可されていない品種としてその表示を禁じられたというわけです。それで赤塗りなわけです。DOC Pico も名乗れませんし、ヴィンテージの表示もできません。(2017も赤塗りされています。)

これがイザベラ(Isabella)。当然ながらアメリカ原産です。
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シノニムが80種もあり、フィロキセラとの戦いの中で世界中に広まっていったようです。DNA分析はないのですが、ラブルスカ種(Vitis Labrusca)の野生のブドウが祖先のはずで、ヴィニフェラ種(Vitis Vinifera)との交配で生まれたと考えられています。ラブルスカ種の特徴であるフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)がありそうな想像ができますね。
ニューヨークの交配家ジョージ・ギブス(George Gibbs)さんの奥さんがイサベラという名前で、そこから最初に「Vitis Isabellae」と名付けられたといいます。1820年代の初めのことですが、この頃にヨーロッパへ導入され「Isabella」と呼ばれるようになったようです。
1870年代以降多くの国で大規模に栽培されたので世界にまだまだ残っています。2016年には世界合計で17,813haが確認されています。その内、11,664haがブラジルだそうです。


アソーレス・ワイン・カンパニーを訪問しておきます。
Azores01
ストビューがないのでGoogle Mapに上がっていた写真を拝借。海岸沿いで周囲一面が例の「クライス」の畑ですね。ポルトガルの最高峰、ピコ山がそびえたっています。


ラベル平面化画像。「Isabella a Proibida 2017」が正式名称ってことですね。
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薄っすら見えていますが、赤マーカーで消して「検閲後承認」のスタンプが押してあるという凝りようです。ナンセンスな規制を強いる公権力への反骨精神を表してるんだそうです。裏ラベルに「イザベラはフィロキセラ後に島に定着した文化だ!」という解説があります。
インポーターシールの添加物の表示に、酸化防止剤(亜硫酸塩)とともに安定剤(アカシア、CMC)とありますが、インポーターのショップページを見ると「※バックラベルに記載の安定剤(アカシア、CMC)については2017VTには添加されておりません。」と注釈がありました。まあ、ひとまず今日のワインには入ってないということのようですが、イザベラって安定剤入れないとマスカットベイリーAのようにシャバシャバになるのかしら?(笑)


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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コルクに「2017」と入れるのはいいんだ(笑)。見つからないから?

Alc.12%。
濃すぎないガーネット。濁り系。
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イチゴキャンディ、ブドウジュース。
うわっ、ほんとにマスカベAに似ています。
ラブルスカ種の血は争えません(笑)。
酸味が際立つ辛口アタック。
やはりキャンディ系の味。
マスカベAの質の悪いやつの様相を呈しています。
酸が最後まで特徴的に主張してきます。

残念ながらあまり褒めるところがありません。
やはり「禁じて」おいてもらった方がいいかもしれません(笑)。


*****

Azores Wine Company
Isabella

a Proibida 2017
by: António Maçanita
RRWポイント 78点


Viile Metamorfosis Via Marchizului Negru de Drăgăşani 2018

イタリアのアンティノリ(Antinori)がルーマニアに展開するヴィイレ・メタモルフォシス(Viile Metamorfosis)は過去いくつか試しています。さすが「ティニャネロ」や「ソライア」などを生み出したアンティノリ、目をつけたルーマニアの地でも素晴らしいワインを作ります。ローカル品種のフェテアスカ・ネアグラ(Fetească Neagră)も試しましたがなかなか良かったです。今回はネグル・デ・ドラガシャニ(Negru de Drăgășani)というルーマニアで1993年に生み出された品種だそうです。なんともすごい響きの名前ですが(笑)どんなお味なんでしょうか?

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ヴィイレ・メタモルフォシスは、アンティノリが2009年にルーマニアの銘醸地デアル・マーレに設立したワイナリーです。カベソーやメルローなど国際品種だけでなくフェテアスカ・ネアグラ(Fetească Neagră)やフェテアスカ・アルバ(Fetească Albă)などローカル品種も精力的にリリースしています。

公式ページは、以前見た時より刷新されており、グレードアップしてる感じです。

今日のヴィア・マルキーズルイ(Via Marchizului)というシリーズはちょっといいクラスのようで、ピノ・ノワールとネグル・デ・ドラガシャニの2種類展開です。フィンツェシュティ(Fințești)というところにあるメタモルフォシス創業の畑からとのことで、合わせて2.15haあるそうです。

・ ネグル・デ・ドラガシャニ 100%

樽で熟成とは書いてありますが、期間は不明。同じシリーズのピノ・ノワールが8ヶ月らしいですから、そんなもんなんでしょう。

これが、ネグル・デ・ドラガシャニNegru de Drăgășani)です。
Negru-de-Dr-g--ani
1993年にルーマニアの品種ネグル・ヴィルトス(Negru Virtos)とジョージアの品種サペラヴィ(Saperavi)を交配して生み出されたとされますが、これに先立つ1987年には同じ親からノヴァック(Novac)という品種も作られており、2009年に実施されたDNA分析によると、ネグル・デ・ドラガシャニの父方の品種はサペラヴィではなくバベアスカ・ネアグラ(Băbească Neagră)である可能性も示唆されています。ブラック・チェリー、ブラック・ベリーなどの豊富な香りが特徴で、味わいはフレッシュかつパワフル、ポリフェノールを多量に含むそうです。


ヴィイレ・メタモルフォシスを訪問します。首都ブカレストから車で1時間半ほど。
Metamorfosis01
アンティノリのワイナリーにしては案外ショボい感じがします(笑)。

ルーマニア全体を俯瞰するとこんな感じ。周辺国から位置関係も把握できますね。
Romania_Dealu-Mare
ヴィイレ・メタモルフォシスの位置と、産地の「DOC Dealu Mare」も描き込んでます。細かくて見にくいかもですが、DOC Dealu Mare は DOC Pietroasa という産地を内包しています。

この辺りの情報は、ルーマニアワイン専門商社のユーロアジアトレーディングのサイトが詳しいです。カタログPDFにルーマニア情報が満載で、そこから地図を拝借して貼っておきます。
Romania_DOC
残念ながら産地名がカタカナ表記だけですごく見にくいです(笑)。

スペルはこちらのまとめ表と照らし合わせて確認するといいようです。
Romania_DOCM
しかし、DOC(原産地統制呼称)が33もあるってすごいですね。

ルーマニアのワイン法では、原産地統制呼称の DOCDenumirea de Origine Controlată)と地理的表示の IGIndicaţie Geografică)で産地が格付けされており、EUの規定よりも厳しいなんて言われています。ルーマニアがEUに加盟したのが2007年と割と最近なんですが、基本はEUワイン法のAOP/IGPに準じてるようです。

上の表とは重複になりますが、ルーマニアの、33のDOC、12のIGを列挙しておきます。

DOC(Denumirea de Origine Controlată):計33
(Denumiri de origine controlată → 複数形)
インデントしてあるのはサブゾーンです。

1. Târnave
Blaj
Jidvei
Mediaş
2. Alba Iulia
3. Sebeş - Apold
4. Aiud
5. Lechinţa
6. Cotnari
7. Iaşi
Copou
Bucium
Uricani
8. Bohotin
9. Huşi
Vutcani
10. Iana
11. Dealu Bujorului
12. Nicoreşti
13. Panciu
14. Odobeşti
15. Coteşti
16. Dealu Mare
Boldeşti
Valea Călugărească
Urlaţi
Ceptura
Tohani
Breaza
Merei
Zoreşti
17. Pietroasa
18. Ştefăneşti
Costeşti
19. Sâmbureşti
20. Drăgăşani
21. Banu Mărăcine
22. Segarcea
23. Mehedinţi
Severin
Corcova
Golul Drâncei
Vânju Mare
Oreviţa
24. Recaş
25. Banat
Moldova Nouă
Dealurile Tirolului
Silagiu
26. Miniş
27. Crişana
Diosig
Biharia
Şimleu Silvaniei
28. Murfatlar
Medgidia
Cernavodă
29. Babadag
30. Sarica Niculiţel
Tulcea
31. Adamclisi
32. Oltina
33. Însurăţei


IG(Indicaţie Geografică):計12
(Indicaţii geografice → 複数形)

1. Dealurile Transilvaniei
2. Dealurile Moldovei(もしくは)
Dealurile Hârlăului
Dealurile laşilor
Dealurile Huşilor
Dealurile Tutovei
Dealurile Covurluiului
Terasele Siretului
3. Dealurile Vrancei
4. Dealurile Munteniei
5. Dealurile Olteniei
6. Viile Carașului
7. Viile Timişului
8. Dealurile Zarandului
9. Dealurile Crişanei
10. Dealurile Sătmarului
11. Colinele Dobrogei
12. Terasele Dunării

さて、今日のワインには実は「DOC CMD Dealu Mare」と表記されています。これはブドウの収穫時期に関する表示だそうで、以下の3種類があります。

CMD(Cules la Maturitate Deplina)
クレス・ラ・マトゥリターテ・デプリーナ
⇒「完熟期に収穫」

CT(Cules Tarziu)
クレス・タールジウ
⇒「完熟期より遅めに収穫」

CIB(Cules la Innobilarea Boabelor)
クレス・ラ・インノビラーレア・ボアベロール
⇒「貴腐菌発生後に収穫」

ドイツにも似たような表記がありましたね。CMDは結局「普通に収穫」ってことですね。


ラベル平面化画像。
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ユーロアジアトレーディングがインポーターですね。ルーマニア語の裏ラベルも隠さないのはさすがです。畑の地図があるようですが、これだけじゃ場所が特定できませんでした。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14.8%。(アルコール高めですが2019年は16.5%もあるようです。)
黒みのガーネット。
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黒ベリー、プラム、リコリス。
辛口アタック。
甘やかかと思いましたがキリッとしてる酸かも。
複雑味なかなかあります。
やはり甘やかな旨みがあるようです。
奥行きのある構造感はいいですね。
その甘やかな酸に誘われ貫禄ある余韻へ続きます。

個性的な感じはしますが、
ワインとしてはかなりハイレベルかと。


*****

Viile Metamorfosis
Via Marchizului
Negru de Drăgășani 2018
DOC CMD Dealu Mare
RRWポイント 93点


Domaine Grand Trousseau 2016 Côtes du Jura

ジュラのワインと言えば、変な形のクラヴランという620mlの瓶に入った6年熟成の黄ワイン(Vin Jaune)とか、藁の上で陰干しする藁ワイン(Vin de Paille)なんか未体験なので興味はあるんですが、先日店頭で見つけたヴァン・ジョーヌが結構なお値段だったもので、同じジュラのワインだからこれでいいやとゲットしたのがこのトゥルソー(Trousseau)のワインです。トゥルソーはこれはこれでお初の品種なのでひとつ課題をクリアーです。

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作り手のドメーヌ・グランは、17世紀末からブドウ栽培に携わってきたというグラン家のワイナリーで、ヴァン・ジョーヌで有名な AOC Château-Chalon にも近いパスナン村(Passenans)にあります。先代から引き継いだ現当主エマニュエル・グランさんは奥様のナタリーさんとともに現在9.5haの畑を運営しています。先代はエマニュエルさんのお父様含むグラン家3兄弟で所有していたので、相続関係でいろいろあったのでしょうか、もとは23haあった畑を縮小しています。リュット・レゾネ、有機農法を推進しており、2021年のヴィンテージからはAB認証もつくそうです。


公式ページはシンプルですが、必要最小限ではあります。

ショップ兼用ですが一応ワイン情報もあります。ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)、ヴァン・ド・パイユ(藁ワイン)も作っています。0.7haらしいですが、AOCシャトー・シャロンの畑も所有していて、 AOC Château-Chalon のヴァン・ジョーヌもラインアップしています。

・トゥルソー 100%

AOC Côtes du Jura になりますが、黒品種ですと、プルサール(Poulsard、地元では Plousard とも。)、トゥルソー(Trousseau)、ピノ・ノワールが使えます。白ならシャルドネ(地元では「Melon d'Arbois(ムロン・ダルボア)」もしくは「Gamay Blanc」と呼ばれます。)、サヴァニャン(Savagnin、地元では Naturé と呼ばれます。)が使えます。
手摘み収穫、部分的に除梗したものと全房の併用、一部はマセラシオン・カルボニックをするとも書いています。熟成はステンレスタンクのみです。


以前にプルサール(Poulsard)を試していますが、今日はトゥルソーTrousseau)です。
Trousseau-Noir
正式名称は「Trousseau Noir」です。2018年に行われたDNA分析によると、父方は Savagnin Blanc(Traminer)は判明したものの母方は依然不明です。起源はジュラにあると考えられるローカル品種、のはずですが、世界で 1,263ha ある栽培面積の内、9割以上を占める 1,163ha がポルトガルにあります(2016年)。ポルトガルでは「Bastardo」と呼ばれ、ポートワインやマデイラなどの酒精強化ワインになっています。ジュラのローカル品種がどうしてポルトガルで広がったのかは謎です。フランスではもっぱらジュラ地方にしかなく、たった 45ha だそうです。外観は薄いルビーレッドながら酸やタンニン分が豊富でアルコール度数も高いしっかりしたボディーに仕上がるようです。これは楽しみです。


パスナン(Passenans)という町にあるドメーヌ・グランを訪問してみました。
Domaine-Grand01
まわりの雰囲気もいい感じ。直売もやってるようです。


ジュラ全体をGoogle Map上に描いてみました。ドメーヌ・グランも所在確認してください。
Jura2
今回はジュラの主要AOC含めかなり正確に描きました。ジュラのすぐ東側はジュラ山脈(Massif du Jura)があり、スイスとの国境を成しています。西側はと言うと地図にギリギリ入っていませんが、ブルゴーニュが同じくらいの緯度で並走している感じです。ジュラの南北はちょうどボーヌからマコンの町に当たる感じです。


エチケット平面化画像。
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当主のエマニュエルさん・奥様のナタリーさん名が入っています。

ラックコーポレーションのシールは裏ラベルを隠していませんでした。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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まあ、汎用品なのは仕方のないところ。

Alc.13%。
透明感あるオレンジがかったルビー。
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フランボワーズ、フレーズ。
一部全房の効果か茎感あります。
辛口アタック。
果実味とかすかな苦味が交錯します。
軽すぎない適度な重さの中に複雑な味わいあり。
個性的ですが、いいバランスを持っています。

スルスル楽しく飲めるのが素晴らしい。
マイナー産地のマイナー品種にも名酒あり、ですね。


*****

Domaine Grand
Trousseau 2016
Côtes du Jura
RRWポイント 91点


Château Mukhrani Shavkapito 2014

久しぶりにヨドバシカメラへ行くと、なんとカメラ売り場のフロアにワイン売り場ができていました。それもかなりの品揃えです。日頃近所の酒店の店頭では見かけないワインが多くなかなか楽しい。驚いたのがジョージアワインのコーナーがあったこと。通販以外でジョージアワインなどお目にかかる機会がないですから、思わずシャヴカピトなる未知の品種のワインを買っていました。

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作り手は、シャトー・ムクラニ。壮大な歴史があるので、インポーターのアルカンの情報を抜粋します。ジョージア(旧グルジア) のカルトリ地方、バグラティオニ家の王朝の末裔、ロシア帝国軍中将イヴァネ・ムクランバトーニは1875年にフランスへ赴いた際にワイン造りを学び、帰国後、先祖から受け継いだムクラニの土地で素晴らしいジョージアワインを作ることを決心しました。 1878年の最初のボトリングから傑出したワインは高く評価されましたが(この年を創業としてるみたいですね。)、ソビエト時代にシャトーは放置され崩壊しかけます。しかし、2002年企業家が集結し、現代的な技術と伝統を結びつけたジョージアを代表するブランドを築くため尽力しました。 そして2007年、近代的なワイン生産設備の建設が始まり、自社畑・自社ブランドのワイン生産がスタートした…ということです。

さて、せっかくのジョージアワインです。ジョージア料理を合わせたいものです。
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なんでも今、ジョージア料理のブームなんですってね。ファミマにお手頃お手軽なシュクメルリ(Shkmeruli / შქმერული)がありました。なんとも手抜きですがジョージア・ペアリングが一瞬にして完成です(笑)。


公式ページはグルジア語のほか英語とロシア語に対応。出来もよく充実した内容です。
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今日のワインの情報もしっかりありました。

・シャヴカピト(Shavkapito) 100%

この謎の品種は後で触れるとして、製法は自社畑から手摘み収穫。シャトーに隣接する畑からだそうで、収穫から選果、除梗・破砕まで7~12分というから驚きます。熟成はコーカサス地方のオーク樽だそうです。期間は不明ですが、クヴェヴリ(Qvevri / ქვევრი)は使わないんですね(笑)。クヴェヴリとは、粘土でできた素焼きの底の尖った卵型の壺で、ジョージアでは伝統的にワインの醸造、熟成にこれを使います。

さあ、シャヴカピト(Shavkapito / შავკაპიტო)。非常に希少なローカル品種だそうです。
Shavkapito
ジョージアのワイン産地、カルトリ地方(Kartli / ქართლი)原産で、栽培もカルトリ地方の限られたところだけらしいです。全部で 10ha という情報もありました。めちゃくちゃ希少ですよ。「Shavkapito」は「黒い杖を持ったつる」を意味するそうです。色が濃そうですね。ジョージアといえばサペラヴィ(Saperavi / საფერავი)が有名ですが、白品種含め他にもいろいろありそうで興味深いです。

さあ、シャトー・ムクラニを訪問します。白亜の宮殿。ほんとに「シャトー」です。
Mukhrani01
カルトリ地方(Kartli / ქართლი)の中心辺りにあり首都トビリシから車で1時間といったところです。


ジョージアの位置関係を見ておきましょう。黒海沿岸にあり、ロシアと国境を接してます。元はグルジアと言ってましたが、ソビエト連邦から独立し、嫌いなロシア語ではなく英語読みのジョージアと呼ばせるという変な国です(笑)。緯度的にはやはり欧州の銘醸地と同じくらいですね。
Georgia
シャトー・ムクラニの場所も印してあります。また、ジョージアの10大ワイン産地を描き込みました。以下の10地方です。

・カヘティ地方(Kakheti / კახეთი)… 最大(70%を占める)
・イメレティ地方(Imereti / იმერეთი)… 2番目
・カルトリ地方(Kartli / ქართლი)
・ラチャ地方(Racha / რაჭა)
・レチュフミ地方(Lechkhumi / ლეჩხუმი)
・メスヘティ地方(Meskheti / მესხეთი)
・アジャラ地方 (Adjara / აჭარა)
・グリア地方 (Guria / გურია)
・サメグレロ地方(Samegrelo / სამეგრელო)
・アブハジア(Abkhazia / აფხაზეთი)

現在、ジョージアには24のPDO(Protected Designation of Origin)があり、そのうち19のPDOがカヘティ地方にあります。PDOは年々増えてるようですが一応現時点のカヘティの19のPDOを挙げておきます。(グルジア語表記は調べるの面倒だったので割愛)

・カヘティ(Kakheti)
・コテヒ(Kotekhi)
・カルデナヒ(Kardenakhi)
・ティバアニ(Tibaani)
・ツィナンダリ(Tsinandali)
・テリアニ(Teliani)
・マナヴィ(Manavi)
・グルジャアニ(Gurjaani)
・ヴァジスヴァニ(Vazisubani)
・ムクザニ(Mukuzani)
・アハシェニ(Akhasheni)
・ナパレウリ(Napareoli)
・キンズマラウリ(Kindzmarauri)
・クヴァレリ(Kvareli)
・ハシミ・サペラヴィ(Khashmi Saperavi)
・アハメタ(Akhmeta, Akhmetis Mtsvane)
・アホエビ(Akhoebi)
・ツァラピ(Tsarapi)
・カフリ(Kakhuri)


ラベル平面化画像。
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シンプルですが、自慢のシャトーが誇らしげにイラストになっています。瓶詰め日が書いてあるというのは珍しいですね。


さあ、抜栓。
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液が上がった跡がありました。吹きかけてたんでしょうか。

コルク平面化。
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Alc.12%。
濃いルビー。エッジ褐変気味。
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黒ベリー、ダークチェリー、ハーブ、枯れた感じも。
辛口アタック。
酸は独特ですがいい具合に効いています。
味わいは深みあり、立体感もあり。
酸味系の味は余韻まで引きずるんですが、
この独特の酸がうまくまとめています。
とにかく、シュクメルリに合う(笑)。


*****

Château Mukhrani
Shavkapito 2014
შატო მუხრანი
შავკაპიტო
RRWポイント 92点


Domaine le Briseau Patapon Rouge 2019

ロワールのカベフラを狙って、すごく久しぶりに都会へ繰り出しました。お目当てのシノンやブルグイユは見当たらず、ピノー・ドニス(Pineau d’Aunis)100%というこれが目に入りました。AOCワインではなく、Vin de Franceです。なのに値段は少々張ってます。クリスチャン・ショサール(Christian Chaussard)さんという自然派の有名な作り手らしいです。なるほどね。

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クリスチャン・ショサールさんはワイン作りの夢を持って1986年32歳で脱サラしボルドーの醸造学校でワインを勉強、1988年にはヴーヴレでワイン作りを始めます。持ち前のセンスで最初からSO2無添加の素晴らしいワインを作り出したんだそうです。この間、アンボワーズにある醸造学校の講師も掛け持ちしていたといいます。その後なんだかんだでヴーヴレのワイナリーを引き払い、一旦ワイン作りから距離を置きますが、奥さんとなるナタリーさん(Nathalie Gaubicher)に出会い、2002年にトゥーレーヌのエリアの北、コトー・デュ・ロワール(Coteaux-du-Loir)のエリアに移り住み、再びドメーヌ・ル・ブリゾー(Domaine le Briseau)としてワイン作りを再開したのが今日の作り手となります。
2006年には奥さんの名前からネーミングした「Nana, Vins&Cie」というネゴシアンも立ち上げていますが、なんと2012年、クリスチャンさんはトラクターの事故でこの世を去っています。現在はすべて奥さんのナタリーさんが引き継いでおられます。今日のパタポンもナタリーさんの手によるものってことですね。


残念ながら公式ページはなさそう。インポーター(ヴァンクール)のサイトを貼っておきます。

ワイン情報もインポーター情報頼りになります。INAOと何があったかわかりませんが、2002年からAOC認定を拒否してすべてヴァン・ド・フランス(Vin de France)表示にしているそうです。本来なら AOC Coteaux-du-Loir、白なら AOC Jasnières が名乗れるエリアです。
・ピノー・ドーニス 100%
粘土質・石灰質・シレックスの土壌の畑で、樹齢は平均44年といいます。マセラシオン・セミカルボニック(Macération semi-carbonique)をステンレスタンクで8ヶ月行い、発酵が自然酵母で1ヶ月、さらに熟成がステンレスタンクで12ヶ月だそうです。
マセラシオン・セミカルボニックとは、CO2を人為的に注入せず、全房でブドウを発酵させアルコール発酵から得たCO2でタンクを満たすんだそうで。


ピノー・ドニス(Pineau d'Aunis)です。教本なんかではピノー・ドーニとなっていますが、「S」は発音すると主張するフランス人がいたので「ドニス」とします(笑)。
Pineau-d’Aunis
ロワール渓谷のアンジューとトゥーレーヌ周辺で主に見られるローカル品種で、シュナン・ブランの色変異種と疑われたこともありましたが、2009年のDNA分析で否定されています。またピノ・ノワールとの関係もありません。
アンジュー(Anjou)、ソーミュール(Saumur)、トゥーレーヌ(Touraine)地域が主要なところですが、ロワール全域対象の Crémant de Loire や Rosé de Loire でも使用可能。ヴァランセ(Valençay)でも補助品種になっています。2016年の栽培面積は413haだそうです。
やはり、今日の作り手の所在でもある、ロワール川(Loir)流域<→ 最後に「e」がつかない、ロワール川(Loire)の支流の方。>でピノー・ドニスが重要になっています。AOCコトー・デュ・ヴァンドモワ(AOC Coteaux du Vendômois)では、ピノー・ドニスは50%以上、補助品種としてカベルネ・フランとピノ・ノワールが各々最低10%という規定です。(つまり、ピノー・ドニスを80%以上使えませんが…。)ピノー・ドニスが100%使えるのは、AOC Coteaux du Vendômois Gris というこのAOCのヴァン・グリ(Vin Gris)だけです。Vin de France になってるのはこのあたりが理由かな?
AOCコトー・デュ・ロワール(AOC Coteaux du Loir)の赤・ロゼもピノー・ドニスが主要品種で、カベフラ、コ、ガメが補助品種(ロゼはグロローも。)になります。
AOCジャニエール(AOC Jasnières)というのはシュナン・ブラン(=Pineau de la Loire)の白のみのAOCなのでピノー・ドニスは関係ありません。(AOCジャニエールのエリアは、AOCコトー・デュ・ロワールに内包されます。)


ドメーヌ・ル・ブリゾーを訪問します。たぶんここですが、よく見えませんね。
PataponMap00
ロワール(Loir)川沿いのマルソンという小さな集落です。クリスチャン・ショサールの在りし日のお姿と表札の写真を貼っておきました。AOCコトー・デュ・ロワール(AOC Coteaux du Loir)のエリアになります。

さあ、お馴染みの地図でトゥーレーヌ(Touraine)地区を俯瞰しておきます。
Marc02
AOCコトー・デュ・ロワール(AOC Coteaux du Loir)はトゥールの北側、ロワール川(「e」のないロワール川)流域のAOCで、AOCジャニエール(AOC Jasnières)を内包しているというのはわかりましたでしょうか。

例によって、これをGoogle Mapに重ねてみます。作り手の所在はここです。
PataponMap01
これがロワール全体のどのあたりになるかというと…。

いつもの「大ロワール全体地図」(笑)を見ればいいわけです。
Loire_s
下に付いているインデックスで、それぞれのAOCが、赤・白・ロゼ・甘口・泡のどれが対象なのかわかるようになっていますのでご確認を。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

わかりやすくていいサイトです。


エチケット平面化画像。
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改めてこのイラストの意味を調べると、クリスチャン・ショサールさん本人が描いた自分の顔なんですってね。最初INAOにAOCの申請をした時、「ピノー・ドニスでこんな濃いワインはできない。典型的な味わいじゃない。」と申請却下されたそうで、頭にきたクリスチャンさんは怒りの自画像をラベルにしたというわけです。顔の下には「vigneron non conforme(非適合ワインメーカー)」なんて皮肉が書かれています。頭にかぶった赤いロートはピエロに扮するだけではなく、頭から要らないものを抽出・排除しているということらしいです。見えにくいですがロートの先から飛び出しているのは、「AOC」、「SO2」など。SO2(二酸化硫黄=酸化防止剤の亜硫酸)はわかるとして、AOCが要らないってすごい皮肉ですね。なるほど、VdF(Vin de France)になっちゃったわけです。
判読不能の残り3つは、調べると「C12H22O11」、「Levures」、「Syndicat des Vins」だそうです。C12H22O11 はショ糖の分子式。つまり、補糖は必要ないってことですね。Levures は酵母。培養酵母なんて要らない…でしょうか。Syndicat des Vins はワインの協同組合(笑)。
<参考:おいしいワインはインポーターで選ぶ!(池田書店)>


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクとも完全無印(笑)。

Alc.12.8%。(pH:3.87、Brix:6.0)
濃いめのルビー。
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フランボワーズ、フレーズ。
やはり全房の茎感ありますね。
辛口アタック。
酸はありますが、きれいに盛り立て役を演じてます。
構造感というより、ふくらみのある感じ。やさしい感じ。
果実味とはこういうことか!という腑に落ち方です。
フレッシュ感をずっと高く保ちながらフィニッシュへ…。

個性的だけど、これはうまいです。
自然派だからとか、そういうレベルではない評価です。


*****

Domaine le Briseau
Patapon Rouge 2019
RRWポイント 94点


Vignobles Arbeau Arborescence Gaillac Rouge 2017

ちょっと離れたところにあるグランマルシェに遠征。そこで、同じ作り手のフロントン(AOC Fronton)とガイヤック(AOC Gaillac)がありました。南西地方はカオールやマディランはよく見かけますが、なかなか他のAOCは珍しいので両方ゲットしてもよかったのですが、土着品種ネグレット(Négrette)主体の赤・ロゼしかないフロントンより、赤・白・ロゼ・泡・甘口と色々あるガイヤックの方が深掘りし甲斐がありそうなので(笑)、まずはガイヤックの方からお試しです。

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作り手はアルボー家(Famille Arbeau)で、1878年からネゴシアン・エルヴール(Négociant éleveur:ブドウを仕入れ、醸造・熟成・瓶詰めを自ら行う)を始めたという老舗。本拠地はフロントンですが、AOCフロントンの他、AOCガイヤックの各種のワインを取り扱っています。(以前にもガイヤックの赤を試していますが、その時のはガイヤックの町にある作り手でしたね。)


公式ページは手作り風でひと癖あります。ワイン紹介まで最低5回はリンクを辿ります。
Arbeau00
AOCガイヤックは赤、ロゼ、辛口白、甘口白の4種類を出していますが、その中には今日の「Arborescence」なるワインは見つからず(笑)。仕方がないので日本のショップ情報に頼ります。
・デュラス(Duras) 55%
・ブローコル(Braucol) 20%
・カベルネ 20%
さて、合計が100%に足りません(笑)。海外のネット情報ではカベルネが25%となってましたので、これで計算は合います。しかし、カベルネ・ソーヴィニヨンなのかカベルネ・フランなのかは謎のままです。熟成はタンクで8ヶ月のようです。

デュラス。教本や他のサイトでもそう書いてありますが(笑)フランス語では「デュラ」。
Duras01
相当古い品種ですが、1842年に南西地方ガイヤックで初めて言及され、今でもこの地方の代表品種です。ガイヤック周辺でしか栽培されていません。2013年のDNA分析では、トゥレソ・ノワール(Tressot Noir)xサヴァニャン・ブラン(Sauvagnin Blanc=Traminer)の自然交配であるとされました。それまではトゥレソ・ノワールの親がデュラxプチヴェルドであるとまことしやかに言われていました。2016年には計785haが栽培されていますが減少傾向だそうです。ある意味希少な品種ですね。

今日のワインのセパージュではブローコル(Braucol)となってましたがフェール(Fer)です。
Fer_Braucol01
ブローコルはフェールのシノニムになります。マンソワ(Mansois)ともいいます。以前はフェール・セルヴァドゥ(Fer Servadou)と呼ばれていたようですが、今はこれもシノニムだそうです。この品種も南西地方に古くからあり、特にAOCマルシヤック(Marcillac)の代表品種になっています。AOCマルシヤックではフェールは90%以上ないといけません。この品種が使える産地は南西地方に割と多いです。(Béarn、Saint-Mont、Côtes du Marmandais、Gaillac、Fronton、Madiran、Tursan、Entraygues-Le Fel、Estaing など。ラングドックの Cabardès も。)

休題閑話、全 AOC Gaillac を見てみましょう。なんと11種類あります。

Gaillac blanc(白、以下白は *Len de l’el、Mauzac、Muscadelle 主体)
Gaillac blanc primeur(白・プリムール)
Gaillac premières côtes(白、主要品種が50%以上)
Gaillac mousseux(泡白、いわゆる瓶内二次発酵)
Gaillac doux(甘口白)
Gaillac vendanges tardives(遅積み甘口白、Len de l’el、Ondenc 主体)
Gaillac méthode ancestrale(泡白、古式製法、Mauzac 主体)
Gaillac méthode ancestrale doux(甘口泡白、古式製法、Mauzac 主体)
Gaillac rouge赤、Duras、Fer、Syrah 主体)→ 今日のワイン
Gaillac rosé(ロゼ、品種は赤と同じ。)
Gaillac rouge primeur(赤・プリムール、ガメのみ。ボジョレーみたいですね。)

(*Len de l'el は Loin de l'oeil とも呼ばれるガイヤック土着の白品種です。 ガイヤックのみで栽培されており、他のAOCでは使われません。2010年には629haの栽培面積があります。)
1938年最初にAOCになったのは白系のみ。遅れること32年、赤とロゼがAOCに認められたのは1970年になります。そういう意味では最初は白で有名になったAOCと言えますね。


作り手訪問。フロントンの町のすぐ北側、タルン川のほとりです。
Arbeau01
ラバスティド・サン・ピエール(Labastide-Saint-Pierre)という町でAOCフロントンのエリア内です。

INAOの地図でAOCフロントンとAOCガイヤックの範囲を見てみます。
Gaillac_AOP
どちらもガロンヌ川の支流、タルン川流域になります。AOCガイヤックの白(系)はアルビ(Albi)の町の東側の飛び地のようなところが対象になりません。つまりその「飛び地」は赤のみということになります。また、AOCガイヤックを内包する IGP は「IGP Côtes du Tarn」と言って、タルン県のタルン川流域一帯になります。

さあ、恒例のGoogle Map上に南西地方のAOC、IGPを表した地図です。
Sud_Ouest01
今日の作り手の所在(@フロントン)とガイヤックの位置関係をご確認ください。


エチケット平面化画像。
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一応、デュラスとブローコルのブレンドであることが書かれ、ガイヤックの超ザックリした場所の地図もあります。賞味期間が6年とも書かれてますね。

インポーターシールは剥がしましたが、こうでした。
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バーコードを隠したいのはわかりますが、大事な公式ページのURLも隠れてました。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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「1878年」に驚いてしまいましたが、ここに創立年を書いてはイカンでしょう。(笑)

Alc.12.5%。(pH:4.09、Brix:6.3)
ガーネット。
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カシス、ブルーベリー、アセロラっぽくも。
フルーティな辛口アタック。
酸はいい爽快感を演出。
ペラペラではない一定の厚みがあるのは評価できます。
喉越しに心地よい渋みもありますね。
さすがに独特な味わいを見せますが、
各要素がいいバランスで流れるので、
全体としていい評価となります。


*****


Vignobles Arbeau
Arborescence
Gaillac Rouge 2017
RRWポイント 89点


Finca Luzón Petit Verdot 2019 Jumilla

スペインはボデガス・ルソンのプチ・ヴェルド(Petit Verdot)のモノセパージュです。プチ・ヴェルドはボルドー左岸の名だたる格付けワインに使われていますが、大抵数%ブレンドされるだけです。プチ・ヴェルド100%ってどんなだろう?と手を出してしまいました(笑)。ボデガス・ルソンは前から何度か試していますが、DOフミージャの代表品種モナストレル(ムールヴェードル)だけじゃなく、ガルナチャ・ティントレラ100%なんてのも出していて面白い作り手です。

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ボデガス・ルソンはスペインでも有数のワイン生産者・エクスポーターです。実は、起源が1841年までさかのぼるそうです。スペイン王立軍の指揮官、ドン・ホセ・デ・モリーナが当時の植民地フィリピンから地元フミージャ(Jumilla)に戻り、ブドウ園を開いたのが始まりです。その農園に懐かしのフィリピン、ルソン島の名前をつけたので「ボデガス・ルソン」です。ルソンって本当にルソン島のことだったんですね。(笑)

公式ページは大手らしく派手ですが、情報関連はあっさりですね。

残念なのは今日のプチ・ヴェルドが載っていないことです。ネット情報に頼ります。
・プチ・ヴェルド 100%
古いヴィンテージでは樽熟をしていたようですが、今の仕様はステンレスタンクで発酵・熟成、2~4日のスキンコンタクトで色・風味をしっかり抽出するそうです。

DOフミージャ(Jumilla)の公式サイト規定を調べてみました。赤・白・ロゼがあります。

赤の使用品種は、Monastrell(=Mourvèdre)、Garnacha Tintorera(=Alicante Henri Bouschet)、Cencibel(=Tempranillo)、Cabernet Sauvignon、Garnacha、Merlot、Syrah、Petit Verdot となっており、ちゃんとプチ・ヴェルドは入っています。この中でも、やはりモナストレルは主要品種とされ、85%以上で「Monastrell」が表示できます。
一応、白の品種も列挙しておきます。Airén、Macabeo、Pedro Ximénez、Malvasía、Chardonnay、Sauvignon Blanc、Moscatel de grano menudo(=Muscat Blanc à Petits Grains)、Verdejo。


これがプチ・ヴェルド。晩熟の品種なのがボルドーでメインにならない理由のようです。
PetitVerdot
プチ・ヴェルドの正確な親子関係は不明です。DNA分析によると、ピレネー山脈の近くの野生ブドウから派生した可能性があるそうです。
フランスでは合計870haが植えられており、そのうち約500haがボルドーといいます。シャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴー、シャトー・パルメなど少量とはいえ、必ずブレンドするということは何か意味があるんでしょうね。サン・テミリオンやポムロールでは晩熟が問題となり、1960年代以降栽培されなくなっています。
フランス以外のヨーロッパでは、1990年代に導入され比較的新しいスペインが1,804haでダントツです。次点はグッと落ちてイタリアに296haあります。
世界では、合計8,124ha(2016年)になり、米国(1,219ha)、オーストラリア(1,118ha)、チリ(863ha)、南アフリカ(749ha)、アルゼンチン(740ha)と続きます。アルゼンチンでは長い間別品種とされ「Fer」と呼ばれていました。


何度も(Google Mapで)訪問していますが、これがボデガス・ルソン。
Luzon01
フミージャの町の郊外にあります。上空からでもかなり立派な施設なのがわかります。


DOフミージャ(Jumilla)はスペインのDO地図で見るとここになります。
Luzon02
左端にムルシア州のDO地図をインポーズしましたが、DOフミージャ対象地域の形が少し違いますね。これは、DOフミージャの対象がムルシア州のフミージャだけでなく、お隣のカスティージャ・ラ・マンチャ州(Castilla-La Mancha)のアルバセテ県(Albacete)のムニシピオ(Municipio=基礎自治体)を含むからです。

ムルシア州をGoogle Mapで俯瞰して、その辺りを図示してみます。
Murcia_Jumilla
黄色がムルシア州の境界。赤で囲ったところがフミージャのムニシピオになります。で、これに加えDOフミージャの対象地域には、隣接するアルバセテ県の、Fuentealamo、Albatana、Ontur、Hellín、Tobarra、Montealegre del Castillo といったムニシピオが含まれます。青色で囲ったところが、これらを含むDOフミージャの正しい範囲になります。なので、インポーズした地図は、ムルシア州のDOとして州外の部分をカットしているということのようですね。
このあたりも、先ほどのDOフミージャ(Jumilla)の公式ページでわかりますよ。


ラベル平面化画像。
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DOフミージャの認証シールもあります。


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクともボデガス・ルソンのロゴ入り。

コルク平面化。
IMG_5238

Alc.14.5%。(pH:4.39、Brix:8.0)
とても濃い、紫がかったガーネット。
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黒ベリー、カシス、アセロラ、スミレ。
鈍い酸味が乗った辛口アタック。
苦味と呼べる種類のタンニンも感じます。
もう少し味わいに厚みがあれば、
それらを受け止められるのに少々弱いですね。

しかし、鈍い酸味と苦いタンニンは不思議に均衡しています。
この辺りはダメダメじゃない良さを感じます。


*****


Bodegas 
Luzón
Finca Luzón
Petit Verdot 2019
Jumilla
RRWポイント 88点


Domaines Auriol Maison Vialade Marselan 2018 Pays d’Oc IGP

MARSELANと、ひと際目立つように書かれたエチケット。マルセラン? 何だったっけかな? 品種らしいことは覚えていたので気になってググってみました。すると、1961年にINRA(フランス国立農学研究所)によって、カベソーとグルナッシュ(!?)を交配して生み出された品種ということが判明。これは試さないという選択肢はないやろうということで。(笑)


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Maison Vialade名になっていますが、1995年にClaude Vialadeさんによって設立された、Domaines Auriol が作り手です。オード県のAOCコルビエール(Corbières)の地域にあるレジーニャン(Lézignan-Corbières)に拠点を置く大規模な家族経営の企業になっています。


公式ページは大手らしく立派。ワイン情報もしっかりしています。

自社畑以外に買いブドウの扱い量も多くラインアップが豊富です。(自社畑が73ha、70もの契約栽培農家に合計1,500haあるそうです。)今日のマルセランはAOCコルビエール地域の Fabrezan 近くの傾斜地とオード県西部の2ヶ所からと、近くの畑ですが自社畑かどうかは不明。
・マルセラン 100%
ボルドーでは最近補助品種に認められたそうですが、これはモノセパージュですね。
100%機械収穫とわざわざ書いてます。正直ですね~(笑)。完全除梗。品種のポテンシャルを引き出すために規則的に頻繁なルモンタージュ(remontage=ポンピングオーバー)を行ってるとのこと。自然酵母使用で、酸化防止剤(亜硫酸ガス)も最小限。清澄はせず、動物由来の添加物は一切ないというヴィーガン・ワイン(Vegan Wine)になっています。熟成は記述なしなので少なくとも樽はないでしょうね。


さあ、マルセラン(マルスラン)です。前述のように1961年にINRA(フランス国立農学研究所)の Paul Truel(1924-2014)さんによって交配されました。最初の栽培地がエロー県(Hérault)のマルセイヤン(Marseillan)だったことからマルセランと名付けられたそうです。
Marselan00
カベソーとグルナッシュのハイブリッドってなんだかおいしそうですが、ソフトなタンニンと熟成のポテンシャルという特徴を得ているものの、本来の交配の目的は、晩熟の品種同士の掛け合わせで遅霜の被害を避け、諸病害への耐性を獲得することにあったようです。
ラングドック、ローヌを中心に2,599haも栽培されているそうですが、他欧州、南米、カルフォルニア、中国でも少量ながらあるようです。

両親の画像を見比べてみてもあまり得るものはないんですが、一応雰囲気だけでも。(笑)
Marselan01
2019年、AOC Bordeaux / Bordeaux Supérieurの生産者団体はこのマルセランを含む新たな7品種の導入をINAOに申請しています。その7品種とは以下です。

【黒品種】
・Arinarnoa(アリナルノア)<タナとカベソーの交配品種>
・Touriga Nacional(トウリガ・ナシオナル)<ポルトガルの代表品種>
・Castets(カステ)<歴史は古いが忘れ去られていたボルドー品種>
・Marselan(マルセラン)<本日のカベソーとグルナッシュの交配品種>

【白品種】
・Alvarinho(アルヴァリーニョ、スペイン語:Albariño)<スペイン、ポルトガルから>
・Petit Manseng(プティ・マンサン)<南西地方に多いですね>
・Liliorila(リリオリラ)<バロック(Baroque)とシャルドネの交配品種>

ただし、あくまで補助品種であり、作付面積は5%以内に限定され、ブレンドも10%まで。
やっぱりマルセラン100%があったりするラングドック・ルシヨン(Pays d’Oc IGP)の方が楽しいですね!


さて、作り手を訪問しておきます。レジーニャン(Lézignan-Corbières)郊外。
Marselan02
Google Mapの写真は古いですが、今は社屋のロゴマークは最新になっています。

作り手の所在(Lézignan-Corbières)をオード県(Aude)を俯瞰する地図で見てみましょう。
Marselan03
やはりラングドックは広大でAOCも多いので、県ごとに拡大地図を作るとわかりやすいですね。いずれエロー県(Hérault)他も描かねばなりませぬ。(笑)

これは以前描いたPay d'Oc IGPの地図ですが、ルシヨンのピレネー・オリアンタル県(Pyrénées-Orientales)がカバーできていません。(笑)
Marselan04
やはり、何枚かつなぎ合わせて作るかな。今後の課題…。(笑)


エチケット平面化画像。
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ユーロリーフ、ヴィーガンのマークが誇らしげです。
裏ラベルにはフランス語でマルセランの説明があります。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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オリジナルのマーク入り。ノマコルクのようですね。

Alc.13.5%。(pH:3.85、Brix:7.5)
濃いガーネット。
IMG_3727

黒ベリー、カシス、チェリー。
カベソー譲りか、青菜っぽくも。
酸味が乗った辛口アタック。
お陰で厚みの弱い軽めの味わいに感じます。
和食に合わせやすい赤という印象。
タンニンは効いていますがサラッとしています。
余韻も褒められたもんじゃないんですが、なんとなく楽しめました。
カベソーとグルナッシュが親とは思えない軽快さがありますね。
なんだか不思議な感じ。


*****


Domaines Auriol
Maison Vialade
Marselan 2018
Pays d’Oc IGP
RRWポイント 86点


Domaine Yves Girard-Madoux Vin de Savoie Mondeuse 2017

以前、ビュジェ(Bugey AOC)を試したのは無難にピノ・ノワールでしたが、
Bugey AOCでは、ガメとモンドゥーズ(Mondeuse)の単一品種もありました。
モンドゥーズは隣のサヴォワを代表する品種だそうで、以来気になってました。
本家サヴォワのモンドゥーズをお取り寄せしましたので、試してみましょう。


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以前 Roussette-de-Savoie を試した時、Vin-de-Savoie(もしくはSavoie)は、
16ヶ村だけ後ろに村名を付け、コミューン単独のAOCを名乗れることを知りました。
今日の作り手は、その内の1つ、シニャン(Chignin)村にあります。
1960年代から続く Vignoble de la Pierre というところですが、4代目現当主の
イヴ・ジラール・マドゥーさんは Domaine Yves Girard-Madoux と名乗ってます。
リュット・レゾネを実践し地元のレストランでも人気が高いとか…。


AOC Vin-de-Savoie(もしくはSavoie)は、白・赤・ロゼ・発泡ロゼとあり、
赤に限ると、ガメ、ピノ・ノワール、モンドゥーズ・ノワールが主要品種です。
他の補助品種もありますが、この3種が作付けの90%以上ないといけません。
Mondeuse02
Tressot Noir と Mondeuse Blanche との自然交配で生まれたのがモンドゥーズ。
Mondeuse Blanche はシラーの母親にあたります。(父は Dureza。)
ほぼサヴォワ(Savoie)とビュジェ(Bugey)でしか栽培されていません。


公式ページはフランス語のみですが、内容は充実。

・モンドゥーズ 100%
粘土石灰質土壌の平均樹齢30年のモンドゥーズをステンレスタンクで発酵・醸造。
全房、除梗のみ、除梗・破砕の3種類の混合なんて書いてますが、今ひとつ意味不明。(笑)
インポーター情報も貼っておきます。


さあ、サヴォワ県シニャン村の作り手訪問。
Mondeuse00
背後が山の斜面で、向かいの Vin-de-Savoie Apremont や Abymes が見渡せます。


位置関係や他の産地をGoogle Map上に描いたサヴォワ地図で確認しましょう。
(Domaine Yves Girard-Madoux も書き込んでます。シニャン村を探せ!)
Mondeuse01
通常の Vin-de-Savoie と Roussette-de-Savoie はサヴォワほぼ全域が対象ですが、
前述の Vin-de-Savoie+村名を名乗れるところ(16ヶ村)を以下に列記します。

・Vin-de-Savoie Abymes
・Vin-de-Savoie Apremont
・Vin-de-Savoie Arbin
・Vin-de-Savoie Ayze
・Vin-de-Savoie Chautagne
・Vin-de-Savoie Chignin(今日の作り手)
・Vin-de-Savoie Chignin-Bergeron
・Vin-de-Savoie Crépy(もとは Crépy のみ)
・Vin-de-Savoie Cruet
・Vin-de-Savoie Jongieux
・Vin-de-Savoie Marignan
・Vin-de-Savoie Marin
・Vin-de-Savoie Montmélian
・Vin-de-Savoie Ripaille
・Vin-de-Savoie Saint-Jean-de-la-Porte
・Vin-de-Savoie Saint-Jeoire-Prieuré

以上、ABC順に並んでますので、地図と照らし合わせて楽しんでください。(笑)
ややこしいことに、各地独自の品種規定なんかがあります。割愛しますが。(参考:INAO

また、Roussette-de-Savoie+村名の4ヶ村も挙げておきます。
これは品種がルーセット(=アルテス)に限定されますから助かります。

・Roussette-de-Savoie Frangy
・Roussette-de-Savoie Marestel
・Roussette-de-Savoie Monterminod
・Roussette-de-Savoie Monthoux

クレピー(Crépy)はシャスラ(Chasselas)主体(大抵100%)の白なんですが、
現在は「Vin de Savoie Crépy」と、Vin-de-Savoie軍団の軍門に下ったようなので、
セイセル(Seyssel)のみが単独名のAOCということになりますね。

セイセルは、基本 Roussette (=Altesse) 主体の辛口白ですが、ややこしいことに、
ローカル品種のモレット(Molette)100%にすると Seyssel Molette が表示できます。
また、セイセルはスパークリングの方が主流で Seyssel Mousseux という単独AOCです。
モレット(Molette)主体のシャンパーニュ方式(瓶内二次発酵)ですが、
ルーセットを10%以上ブレンドすることというイミフな規定があります。(笑)


エチケット平面化画像。
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お洒落なデザイン。モンドゥーズの「M」がいっぱいです。
しかし、真ん中は何故にスイス国旗?
インポーターシールは最初からこの位置です。えらい。


さあ、抜栓。
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まあ、汎用品ですね。

コルク平面化。
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みんな大好きノマコルク。(笑)サトウキビ由来のバイオプラスチック製です。

Alc.12.5%。(pH:3.85、Brix:6.2)
濃い紫系ガーネット。
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チェリー、プラム、黒糖かリコリスか…何か。
酸味が特徴的ですが辛口アタック。
酸味のせいか軽めの味わいに感じます。
薄っぺらくはないんですが、
重み・厚みは最小限ですね。
タンニンも効いてるのがわかります。
余韻はあっさり終わりました。

ピノ寄りの味わいに感じました。
だからか、中華に合わせて正解でした。


*****


Domaine Yves Girard-Madoux
(Vignoble de la Pierre)
Vin de Savoie Mondeuse 2017
RRWポイント 88点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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