Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン

Vecchia Volpe Moscato d’Asti DOCG 2020

目つきの悪いキツネのイラストが目を引くモスカート・ダスティ(Moscato d’Asti)です。甘口の微発泡ワインということで、普段はあまり手を出さないジャンルなんですが、Asti DOCGの呼称に含まれるれっきとしたDOCGです。今日はこれをカレーライスに合わせて試してみます。(カレーとのペアリング探しは昔からの課題です。笑)

IMG_9723
作り手はアグリコラ・ヴェッキア・ヴォルペと名付けられたワイナリーですが、ピエモンテのサント・ステーファノ・ベルボ(Santo Stefano Belbo)という町にあるイカルディ家が営む農家が正体です。1950年代に最初のモスカートの畑を始め、ワイン生産者へブドウを売っていたのですが、その品質の良さに評判も上がり、現世代のイカルディ家の3兄弟は2013年に自らのワイン作りを始めます。それが今日のワインです。まだワイン生産施設は持っておらず、隣町(Castiglione Tinella)にあるラ・モランディーナ(La Morandina)というワイナリーの施設を借りて作っています。現在3,000本の生産量です。

公式ページは一応あるんですね~。1ページのスクロールものですが、必要十分な情報です。

1種類ですが、しっかり情報載っていました。

・モスカート・ビアンコ 100%

畑は標高400m、南西向きの3haだそうです。ステンレスタンクで1ヶ月かけて自然発酵させます。

モスカート・ダスティはスパークリング(Spumante)のアスティと違い、最低アルコール度数が4.5%なので、アルコールが5%に達した時点で発酵を止めて、瓶内圧も2.5気圧以下に抑えられます。(3気圧以上が一般的に「Spumante」であり、それ以下は「Frizzante」といいます。)

アスティ・スプマンテ(Asti Spumante)は、シャルマ(Charmat)方式、もしくはマルティノッティ(Martinotti)方式と呼ばれる大型タンクで二次発酵を行う方式で作られます。また、アスティ(Asti)方式という、発酵途中でタンクを密閉し炭酸ガスを中に閉じ込める、発酵を一回しか行わない方式も用いられますし、シャンパーニュ方式(瓶内二次発酵)で作られることもあります。
(アスティ・スプマンテについてですが、2020年から甘口である規定がなくなり、エクストラ・ブリュットやドザージュ・ゼロもOKになっています。同時に最大アルコール度数もなくなり、どんどんシャンパーニュに寄って行ってる感じがします。)

モスカート・ビアンコ(Moscato Bianco)がアスティ、モスカート・ダスティの主要品種です。
Moscato
フランスで言うところの「Muscat Blanc à Petits Grains(Ronds)」と同じ品種で、「粒が丸くて小さい」という意味の名前です。スペインやポルトガルではモスカテル(Moscatel)と呼ばれます。ヨーロッパ種(Vitis Vinifera)であり、ワイン用のみならず生食用としても古くから広く世界中で栽培されています。実際は長い年月を経てたくさんの品種に分かれているので、300ものシノニムが世界に広がり、黒やグリを含む多様な色変異種も存在します。
起源は不明で、親品種はおそらくすでに絶滅しているとされます。いわゆる日本のマスカットはマスカット・オブ・アレキサンドリア(Muscat of Alexandria / Muscat d'Alexandrie)で、これはモスカート・ビアンコの子に当たります。Muscat of Alexandria=Axina de Tres Bias (黒品種) x Muscat Blanc の自然交配とされます。

ヴェッキア・ヴォルペが醸造を委託しているラ・モランディーナがこれです。
Vecchia_Volpe00
畑自体はサント・ステーファノ・ベルボ(Santo Stefano Belbo)のヴァルディヴィッラ(Valdivilla)という地区にあるそうで、距離的には問題なさそうですね。

Asti DOCG のエリアの確認ですが、Monferrato DOC のエリアとの位置関係で見ます。
ASTI_Monferrato_Moscato_Vol
アスティの町の南側に広がるエリアですが、結構ランゲ(Langhe)DOC側にもあります。全域ということではないですが、バルバレスコやロエロ、バローロの一部エリアも対象です。また、右上にインポーズした地図にアスティの3つのサブゾーンを示しています。それぞれ若干規定が違います。

<Subzones / Sottozone>
Canelli (Moscato d’Asti のみ)
Strevi (Vendemmia Tardiva を除く全スタイル)
Santa Vittoria d’Alba (全スタイル)

※ Vendemmia Tardiva は遅摘みの甘口デザートワインです。
※ Asti DOCG は Spumante、Moscato d’Asti、Vendemmia Tardiva の3カテゴリーから成ります。



ラベル平面化画像。
IMG_9704
いい感じのキツネなんですが、HPを見ると可愛いキツネのイラストにデザイン変更されてるみたいですね。残念。


さあ、抜栓。
IMG_9719
微炭酸ですがガス圧があるのでキツめにコルクをねじ込んであるんでしょう。結構変形しています。

コルク平面化。
IMG_9721

Alc.5.5%。
淡いイエロー。
IMG_9722

パイン、メロン、黄桃、青リンゴ。
微甘がほどよいです。
メロンっぽさからのジューCの味(笑)。
これはいい感じにおいしいです。
やっぱり狙い通りカレーに合いました。


*****


Vecchia Volpe
Moscato d’Asti DOCG 2020
WWWポイント79点



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Jaillance Clairette de Die Tradition Vin Bio

やまやの店頭でクレレット・ド・ディー(Clairette de Die)を発見。クレレット・ド・ディーはクレレット(Clairette)で作られる瓶内二次発酵のスパークリングワインです。一応ローヌには分類されるんですが、ローヌ川の支流のドローム川流域の山間というちょっと変なところにあります。前からちょっと気になっていたのでお試しといきましょう。

IMG_9216
作り手のジャヤンスは1950年代にクレレット・ド・ディーの中心地ディー(Die)に設立された協同組合です。現在200を超える生産者メンバーがいて、畑の総面積は1500ヘクタールにもなるそうです。2001年に「Jaillance」ブランドをスタートし、近年はボルドーやロワールの拠点も買収し拡大中という、ディーという田舎の協同組合とは思えない(失礼!)野心的なところです。

公式ページの内容は豊富。ボルドーやロワールのワインも一緒にラインアップされています。
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ただし、個々のワインの詳細はまったくなし。よってネット情報を探ります。

・Muscat Blanc à Petits Grains 90%
・Clairette Blanche 10%

れれれ? クレレット・ド・ディーってクレレット100%じゃないの? 
Clairette Blanche はクレレットのシノニムですからいいとして、ほぼミュスカ(ブラン・ア・プティ・グラン)主体になってます。
実は、クレレット・ド・ディー(Clairette de Die)というのはクレレット100%瓶内二次発酵(9ヶ月以上の熟成義務)で間違いないんですが、そのAOCの中に「Clairette de Die Méthode Ancestrale」(Méthode Ancestrale=Méthode Rurale:田舎方式)という、発酵中のワインを瓶詰めして発酵を完了させるタイプ(トランスファー法ともいう。)が含まれ、クレレット・ド・ディーの大半がこのタイプなんだそうです。そしてこのメトド・アンセストラルというタイプはミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン(Muscat Blanc à Petits Grains)が主体で75%以上使うことになっています。これはもうクレレット・ド・ディーじゃないですよね?
わざとかどうかわかりませんが、このタイプに「メトド・アンセストラル」と書かずに今日のワインのように「トラディション(Tradition)」とか表示しているようです。どうりでアルコール度数も7.5%しかないわけです。
クレレット・ド・ディー・メトド・アンセストラル(Clairette de Die Méthode Ancestrale)にはロゼ(Clairette de Die Méthode Ancestrale Rosé)もあり、ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン主体にガメやミュスカ・ア・プティ・グラン・ルージュ(Muscat à Petits Grains Rouge)を5%以上加えることでロゼにします。こちらはもはやクレレットさえ入ってなさそうです(笑)。
瓶内二次発酵、いわゆるシャンパーニュ方式なら同じ地域のAOC、クレマン・ド・ディー(Crémant de Die)を選べばよいということになりますが(こちらは品種もクレレットを55%以上入れます。)、生産量が少なく日本にはほとんど入って来なさそうです。
そして、どうしてもクレレットという方は、これまた同じ地域のAOC、コトー・ド・ディー(Coteaux de Die)というのがあります。これは非発泡のスティルワインですが完全クレレット100%です。ところがこちらは絶望的に生産量が少なく「まぼろし~」レベルです(笑)。

看板に偽りあり(笑)のクレレット・ド・ディー関連をまとめます。

Clairette de Die
 <クレレット100%の瓶内二次発酵(9ヶ月以上の熟成)スパークリング>
  → Clairette de Die Méthode Ancestrale
   <田舎方式、ミュスカ(Muscat Blanc à Petits Grains)主体で75%以上>
  → Clairette de Die Méthode Ancestrale Rosé
   <田舎方式、ガメ、Muscat à Petits Grains Rouge が5%以上のロゼ>
Crémant de Die
 <瓶内二次発酵(12ヶ月以上の熟成)スパークリング、クレレットを55%以上>
Coteaux de Die
 <クレレット100%の辛口白スティルワイン>

ちなみに、クレレット・ド・ディーのエリアの東側では、シャティヨン・アン・ディオワというAOCがあり、赤・白・ロゼが作られます。

Châtillon-en-Diois
 <ガメ 75%以上、シラー、ピノ・ノワール 25%以下、白はアリゴテ、シャルドネ>


今日のワインには10%しか入ってなさそうですがクレレット(Clairette)を見ておきます。
Clairette01
クレレットはフランス最古のブドウ品種の 1 つで、おそらくラングドックのエロー県が原産地です。南フランスの多くのアペラシオンで認められており、クレレット・ド・ディー、クレマン・ド・ディー、コトー・ド・ディー以外では、Clairette du Languedoc、Clairette de Bellegarde で主要品種になっています。ブレンド可なAOCなら、 Bandol、Bellet、Cassis、Châteauneuf-du-Pape、Costières de Nîmes、Coteaux d'Aix-en-Provence、Côtes de Provence、Côtes du Rhône、Gigondas、Les Baux-de-Provence、Lirac、Palette、Tavel、Vacqueyras、Ventoux などがあります。


ジャヤンスを訪問。ディー(Die)の町にあり、鉄道駅からも歩いて10分ほど。
Jaillance02
敷地、施設、でかいです。さすが巨大協同組合です。

さあ、クレレット・ド・ディー関連のエリアを俯瞰します。
Clairette_de_Die
南北に流れるローヌ川の支流ドローム川(Drôme)の流域になるのがわかるでしょうか。シャティヨン・アン・ディオワ(Châtillon-en-Diois)はクレレット・ド・ディー(Clairette de Die)のエリアに内包されています。

AOCコート・デュ・ローヌを俯瞰した地図でローヌのどのあたりか見てみましょう。
Cotes-du-Rhone-00
真ん中あたりですが、一応北部ローヌに分類されるようです。地図でもわかると思いますが、クレレット・ド・ディー他はAOCコート・デュ・ローヌには入りません。ホント、微妙なローヌです(笑)。


エチケット平面化画像。
IMG_9141
ABマークのオーガニック認証のあるビオワインですね。手摘み収穫とも書いてます。

ネックの装飾の平面化画像と、かぶせてあったPOPも「開き」にして撮影。
IMG_9143
ABマークとユーロリーフをこれでもかとアピール。とっても「BIO」推しです(笑)。


さあ、抜栓。
IMG_9211

コルクに「Clairette de Die」と入ってます。
IMG_9208
ほとんどクレレットは入ってませんが(笑)。

Alc.7.5%。
淡いイエロー。
IMG_9212

田舎製法の泡の立ち上がりはどうでしょう。動画でご確認を。


黄桃、スミレ、青リンゴ。
ほんのり甘いアタック。
桃の味?
非常にフルーティでおいしい。
スルスル流れ込む感じです。
アルコール度数も低いので軽く1本空きました(笑)。


*****


Jaillance
Clairette de Die Tradition
Vin Bio
WWWポイント79点



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Paul Jaboulet Aîné Muscat de Beaumes de Venise Le Chant des Griolles 2019

このブログ、単なるテイスティング記録だけではなく、飲んだワインにまつわるバックグラウンドなど諸々を自分用のメモとする形で書いています。果てしないワインの世界をできるだけ網羅すべく日々いろんなワインを幅広く試そうとしています。つまりは「飲まなきゃ記事は書かない」というスタンスです。しかし、しかしです。今回も超例外的ではありますが、飲んでないワインで記事を書きます。(過去DRCなんかは飲まずに書いてますが。笑)ローヌのいくつかのAOCが気にはなってるんですが飲めていないので。今回はAOCミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズです。

IMG_1895
作り手はお馴染み、ポール・ジャブレ・エネ。そこが作るAOCミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズの天然甘口ワイン、ヴァン・ドゥ・ナチュレル(Vin doux naturel)です。

ポール・ジャブレ・エネは、1834年にさかのぼる歴史ある作り手です。2006年に、ボルドーのメドック格付け第3級、シャトー・ラ・ラギューヌ(Château La Lagune)を所有するフレイ家がオーナーとなり、オーナー兼醸造責任者のカロリーヌ・フレイ女史(Caroline Frey)が、シャトー・ラ・ラギューヌと共に切り盛りしています。ポール・ジャブレ・エネと言えば、パーカーおじさん100点ワイン、エルタミージュ・ラ・シャペルが有名ですね。

公式ページは前も見てますが、トップページに facebook のリンクがあるだけ。

エルタミージュ・ラ・シャペルの畑にあるチャペルとカロリーヌ女史の写真のみ。仕方がないのでインポーター情報ほかを頼ります。

・ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン 100%

発酵中のワインにブランデーなどアルコールを添加し発酵を止めて甘口ワイン(ヴァン・ドゥ・ナチュレル)に仕上げます。

使われるのがミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランMuscat Blanc à Petits Grains)。
Muscat-Blanc-a-Petits-Grain
広い意味では、いわゆるマスカット(Muscat)です。イタリアでモスカート(Moscato)、スペインやポルトガルではモスカテル(Moscatel)と呼ばれるものです。ヨーロッパ種(Vitis Vinifera)であり、ワイン用のみならず生食用としても古くから広く世界中で栽培されています。実際は長い年月を経てたくさんの品種に分かれているので、300ものシノニムが世界に広がっています。粒が丸くて小さいという意味の「Muscat Blanc à Petits Grains Ronds」が今日のワインのブドウのフランスでのフルネームになります。

実は、AOCミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズには白だけでなく、赤とロゼのヴァン・ドゥ・ナチュレルも認められています。その場合のブドウは何なんだ?と気になりますが、なんとミュスカには変異種のグリやノワールが存在し、これらが使われるようです。
Muscat_Var
AOCの規定にも「Muscat à Petits Grains Rouges」と言う名前が出てきます。これはグリの方かな? いずれにせよ圧倒的に白の方が多いとは思いますが…。


北部ローヌのタン・レルミタージュ近くにあるポール・ジャブレ・エネ訪問。
PaulJabouletAine01
タン・レルミタージュはエルミタージュ(Hermitage)の畑のふもとの町でしたね。

さあ、AOCミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズのエリアを確認します。
Rhone_Sud_Meridional_FINAL_
以前から使ってる南部ローヌのAOC地図にもしっかり書き込んであります。

見にくいので、AOCミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ周辺を拡大します。
Rhone_Sud_Meridional_Magnif
付近のAOCとの位置関係がよくわかりました。ラストー(Rasteau)にもVDN(Vin doux naturel)がありますね。こちらは名前に rancio / hors âge がついたりもしますし、ブドウもグルナッシュ(ノワール / ブラン)が使われます。もともとVDNのAOCだったのですが、ラストーの赤が2010年に Côtes-du-Rhône-Villages Rasteau から昇格して追加されている形です。

AOCボーム・ド・ヴニーズという赤のAOCもあるので更に拡大して関係を見ます。
BdV_BIG
AOCミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズは、Beaumes-de-Venise とその南側の Aubignan(オーヴィニャン)が対象コミューンですが、赤のAOCボーム・ド・ヴニーズの方は、Beaumes-de-Venise とその北側の Lafare、La Roque-Alric、Suzette の3コミューンが対象コミューンになります。ボーム・ド・ヴニーズのコミューンが共通なので名前が似てしまいややこしいですね。
天然甘口ワイン(VDN)のAOCミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズは1945年に出来ていて、60年後の2005年に赤ワインのAOCボーム・ド・ヴニーズができています。歴史の差は歴然ですね。(赤ワインのAOCボーム・ド・ヴニーズは、それまでは「Côtes de Rhône Villages」名でした。)


店頭なのでエチケット平面化撮影はできません(笑)。
IMG_1897
そして、インポーターシールも剥がしたくても剥がせません(笑)。いずれ飲んでみたいものです。


*****


Paul Jaboulet Aîné
Muscat de Beaumes de Venise
Le Chant des Griolles 2019
WWWポイント--点



WhiteWhiteWine01

Marenco Piemonte Moscato 2019

コストコで見つけました。モスカートを使った甘口で微発泡とあるので、モスカート・ダスティDOCGかと思うとさにあらず。広域のピエモンテDOCとなってます。そういったところを探りながら食前酒としていただきましょうか。コストコだからお買い得に違いないと信じつつ…。(笑)


IMG_3962
今日の作り手マレンコは、1925年に遡る歴史があるようですが、1956年に事業を大きくしてストレーヴィ(Strevi)の町に現在のワイナリーを設立したそうです。アスティ(アスティ・スプマンテ、モスカート・ダスティ)以外もグラッパまでいろいろやってます。


公式ページはいい感じなのですが、今日のワインが載ってません。

やはりコストコ向けバージョンなんでしょうかね。モスカート・ダスティDOCGらしきピエモンテDOCというのもラインアップにはありません。インポーター情報を見ても大した情報はなし。
・モスカート 100%
モスカートは、いわゆるマスカット(Muscat)です。イタリアではモスカート・ビアンコとも。
Marenco021
スペインやポルトガルではモスカテル(Moscatel)でしたね。ヨーロッパ種(Vitis Vinifera)であり、ワイン用のみならず生食用としても古くから広く世界中で栽培されています。実際は長い年月を経てたくさんの品種に分かれているので、日本で言うマスカットはマスカット・オブ・アレキサンドリア(Muscat of Alexandria)だったりしますし、今日のイタリアのモスカート・ビアンコはフランスで言う所のミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン(Muscat Blanc à Petits Grains)と同じです。マスカットではこれが一番古いとする解説もありますね。


小さなストレーヴィ(Strevi)の町にあるマレンコを訪問。
Marenco01
市街地の周辺は当然畑ばかりで、アスティの主要産地のひとつになってます。


今日のワインはアスティDOCGではありませんが、なぜピエモンテDOCになっているのかを知るためにも、アスティ(Asti DOCG)の定義を見ていきたいと思います。
・1967年にDOC認定され、1993年にDOCGに昇格。
・使用品種はモスカートのみ。(正確には97%以上となっています。)
・対象エリアは、ピエモンテ州南部のアスティ県、アレッサンドリア県、クーネオ県にある52村。
・スタイルは、以下の3種類があります。

 [ Asti Spumante ] スパークリングワイン、瓶内圧は3気圧以上になり甘さ抑えめ。
 [ Moscato d'Asti ] 微発泡の甘口ワインで瓶内圧は2.5気圧を超えてはいけません。
 [ Vendemmia Tardiva ] 遅摘みで極甘口に仕上げたスティルワイン。

Asti Spumante に対し、Moscato d'Asti は、いわゆるフリッツァンテ(Frizzante)ということです。どちらも通常シャルマ式で作られますが、瓶内二次発酵(Metodo Classico)で作っても構いませんし、実際そういう作り手もいるようです。

Asti DOCG には以下のサブゾーンがあり、地名のラベル表記が可能ですが、その場合微妙に規定が違います。
・ストレーヴィ(Strevi)今日の作り手の所在。Vendemmia Tardivaだけ認められていません。
・カネッリ(Canelli)モスカート100%の Moscato d’Asti のみ。
・サンタ・ヴィットリア・ダルバ(Santa Vittoria d’Alba)すべて可。
サンタ・ヴィットリア・ダルバだけ、なぜか飛び地のような所にあります。


Monferrato / Langhe の範囲を示したGoogle Map上に作り手の所在を示しました。
MoscatoDasti02
Monferrato のエリア南側の真ん中辺りですね。左側にインポーズした地図上に黄色でハイライトしたのが Asti DOCG(Asti Spumante、Moscato d'Asti…)のエリアです。見にくいですが(笑)、Monferrato のエリアの南側および Langhe 側に張り出していて、バルバレスコのエリアも含んでるのがわかりますでしょうか。

以下の Asti DOCG だけに絞った地図と見比べるとよくわかります。
MoscatoDasti01
3つのサブゾーンもわかりましたね。飛び地のサンタ・ヴィットリア・ダルバはポツンとロエロ地域のタナロ川沿いになります。しかし、ピエモンテ州の DOC/DOCG はややこしいですね。
結論として、今日のワインはモスカート・ダスティの要件を満たしていますし、モスカート・ダスティを想定して作られているのは間違いないですが、ピエモンテDOCになるということは、おそらく、域外のモスカートを使用してるんだと思います。チャンチャン。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_3939
モスカート・ダスティの特徴でアルコールは5%しかありません。(規定は5~6.5%)


さあ、スクリュー回転。
IMG_3968
黄色がいい感じですが無印です。

Alc.5%。(pH:3.51、Brix:13.4)
糖度は当然高いです。淡いゴールド。
IMG_3961

マスカットの香り。(笑)
ラムネ、新しい石鹸のような香りも…。
マスカット味のラムネといった味わい。

食前酒としての役は果たしますが、
アルコール分も低いですし、
甘くて美味しい…ジュースでした。(笑)


*****


Marenco
Piemonte Moscato 2019
WWWポイント 78点



WhiteWhiteWine01

Domaine Les Landes Muscat de Saint-Jean de Minervois 2012

天然甘口ワイン(Vin Doux Naturel)のフランス最大の生産地って、
ラングドック・ルシヨンって知ってました?
フランス全体の天然甘口ワイン生産量の約90%を占めるんだそうで。
それにしては日本の店頭ではあまり見かけませんね。
「AOC Muscat-de-Saint-Jean-de-Minervois」を成城石井で発見。


IMG_7462
AOC名も長いですが、ブドウの品種も「Muscat Blanc à Petits Grains」
(ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン)とこれまた長い。

Domaine Les Landesなる作り手の公式ページ含め情報がありません。
仕方ないので、
AOCミュスカ・ド・サン・ジャン・ド・ミネルヴォワを調べます。

Muscat01
こんなところにある小さなAOCですね。
この辺りには「ミュスカ・ドなんとか」という、
天然甘口ワインのAOCがいくつもあります。
Muscat-de-Frontignan
Muscat-de-Lunel
Muscat-de-Mireval…などなどです。

ミュスカ・ド・サン・ジャン・ド・ミネルヴォワをGoogle Map上で確認。
Muscat03

ついでにその地に降り立ってみましょう。
Muscat02
この建物は集落にある生産者の共同組合のようです。


エチケット平面化画像。
IMG_7450


さて、抜栓。
IMG_7464

Alc.15%。
黄色味のゴールド。
甘い花の香り。
マスカットと言うだけあって白ぶどうの香り。
セメダインっぽいのも香る?
甘い、けど甘ったるすぎ。
サラっとしてないのは好みじゃないですね。
甘いのはいいのですがサラっとしていてほしいです。


*****


Domaine Les Landes 2012
Muscat de Saint-Jean de Minervois AOC
Petit Grain Vin Doux Naturel
WWWポイント 77点



WhiteWhiteWine01
--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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