Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

2017年, Pinot_Noir, Bourgogne を含む記事

Domaine Poulleau Père & Fils Beaune “Les Prévoles” 2017

ブルゴーニュの高騰が激しいせいか、最近はなかなかコートドールのピノ・ノワールにありつけていません。袖ものとは高騰度合いが違うんでしょうが、最近DRCのロマネ・コンティの460万円の値札を見て卒倒しそうになりました(笑)。100万円で売っていた時代でも驚いていたのにね。それでもやっぱりブルゴーニュの探求も道半ばですから、そこそこのやつを試していかねばなりません。ということで、久しぶりの村名、AOCボーヌをいただきます。

IMG_9962
作り手のドメーヌ・プローはヴォルネを拠点に1960年代から始まった家族経営のドメーヌで、ミシェル・プローさんと妻のジャクリーヌさんでスタートしました。1996年からは息子のティエリーさんとと妻のフローレンスさんの代に引き継がれています。

そうそう、過去「ヴォルネイ」と書いていたものは今後「ヴォルネ」と書くようにします。でないと、「ガメイ」や「シャルドネイ」と言わなくてはならなくなりますからね(笑)。

公式ページは必要十分な体裁で、欲しい情報もちゃんとありました。

今日のワインも看板ワインなんでしょう。当然ちゃんと載っています。

・ピノ・ノワール 100%

ボーヌのレ・プレヴォル(Les Prévoles)という村名畑で1.26 haを所有し、平均樹齢は70年ということです。当然手摘み収穫。新樽率20%のオーク樽で1年間の熟成です。

ドメーヌはヴォルネにあります。早速訪問してみましょう。
Dom.Poulleau01
所番地がなかったので確定ではないのですが、おそらくここです。違っていたら教えてくださいね、ティエリーさん(笑)。

今日のワインの畑はボーヌにありますから、ボーヌの地図で場所を突きとめます。
Beaune_Map
黄色で塗った部分が、レ・プレヴォル(Les Prévoles)という村名畑です。畑名がわかって、正確な畑の位置が突きとめられるって気持ちのいいもんですね。

ドメーヌと畑の位置関係を見るためにGoogle Map上に描き込みます。
Beaune-Volnay
距離にして5kmほど。車で10分とかかりません。1.26 haの畑がどの部分かはわかりませんが、畑の眺めをインポーズしておきました。ボーヌはほとんどが1級畑で、村名畑からのながめでもなかなか素晴らしいです。地図上に1級畑、村名畑、AOCブルゴーニュの境界を示してあるので、山側から層のように畑のランクが続くのがわかりますでしょうか。


エチケット平面化画像。
IMG_9390
金メダルのシールも貼ってありました。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
IMG_9960

Alc.13.5%。
ルビー。
IMG_9961

フランボワーズ、ダークチェリー、ほんのり佃煮香。
柔らかな酸も感じる辛口アタック。
複雑味は充分ですが軽やかさも兼ね備えてる気がします。
喉越しで酸はいい仕事をしてくれて、
フィニッシュまで盛り下がらずに余韻を楽しめました。


*****

Domaine Poulleau Père & Fils
Beaune “Les Prévoles” 2017
RRWポイント 92点


Gabin et Félix Richoux Irancy 2017

AOCイランシーのピノ・ノワールです。一応ブルゴーニュのピノ・ノワールの産地ということで、以前も試しているんですが、セザール(César)という土着品種を10%までブレンドしてよいということで(5%入っていました。)、ちょっとピンとこなかったんですよね。今日のはパーカーおじさんも高評価(今日の2017は91点)でピノ・ノワール100%です。いいかも?

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ギャバン・エ・フェリックス・リショー(Gabin et Félix Richoux)はリショー家の2人の兄弟の名前です。1979年おばあちゃんの代に設立されたワイナリーを2代目ティエリー&コリーヌ夫妻から2015年に引き継いだ3代目ということになります。ビオワイン認証も受けており、2013年からはビオディナミも実践中だそうです。

公式ページがなさそうです。これはイランシー・ワイン公式ページの中の作り手紹介ページ。

当然ながらワイン情報は薄いです。インポーターやパーカーおじさんの記事を参考にします。

・ピノ・ノワール 100%

手摘み収穫。除梗有無は不明ながらありでしょう。2年の樽熟成をしますが、1年目がフードル(大樽)とタンクの併用で、2年目は通常のオーク樽に入れ替えます。

ギャバン・エ・フェリックス・リショーを訪問します。なかなか立派な佇まい。
Irancy01
イランシーの町のすぐ横です。エチケットにも描かれているイランシーのサンジェルマン教会が見えます。イランシーのシンボルなんでしょうね。

先ほどのイランシーの公式ページには畑の地図があったのでGoogle Mapに重ねます。
Irancy00
AOCイランシーは、セーヌ川の支流であるヨンヌ川のほとりの小さなAOCです。このAOCはセザール(César)を10%までブレンドしてよいわけですが、実際はどれくらいの作り手が入れてるんでしょうね。こんな小さなAOCですからね。セザールの畑も極少でしょう。大半はピノ・ノワール100%で作ってるんじゃないでしょうか。

これはたまたまこの時期にイランシーへ行かれた方のツイートから拝借した写真。
IMG_2082TLT
こじんまりしたイランシーの集落と周囲のブドウ畑。いいお写真です。

シャブリとグラン・オーセロワ地区に範囲を広げて位置関係を見てみます。
Chablis-&-Grand-Auxerrois
一連の格付けのあるシャブリ(Chablis)の南側に、村名AOCとなる AOC Saint-Bris と AOC Irancy があります。サン・ブリは古いフランスワインの規格、VDQS(Vins délimités de qualité supérieure)Sauvignon de Saint-Bris だったものが2003年に村名AOCに変更されたもので、ブルゴーニュで唯一のソーヴィニョン・ブランのAOCになります。イランシーは1999年まで地方名 AOC Bourgogne Irancy でした。同じく、2017年に AOC Bourgogne Vézelay も村名 AOC Vézelay に昇格しています。

このあたりにまだいくつか残っている地方名AOCというのが、地理的呼称付きAOCブルゴーニュ(Dénominations Géographiques Complémentaires de l’AOC Bourgogne)というものになります。以下に挙げておきます。

・AOC Bourgogne Côtes d'Auxerre
・AOC Bourgogne Chitry
・AOC Bourgogne Epineuil
・AOC Bourgogne Coulanges La Vineuse
・AOC Bourgogne Tonnerre
・AOC Bourgogne Côte Saint-Jacques

それぞれの場所はどのあたりか、少々見にくいですがINAOの地図に頼りましょう。
Bourgogne_Sous-Regionales
見にくいですね(笑)。今日はイランシーが主役なので地理的呼称付きAOCブルゴーニュのGoogle Map転記はまた別途にやりたいと思います。

グラン・オーセロワ地区周辺はいくつかの地区に分類することができます。
Grand-Auxerrois-周辺広域
スラン川両岸に広がるシャブリ地区(Chablisien)を中心に東にトネロワ地区(Tonnerrois)、南にヴェズリアン地区(Vézelien)、西にオーセロワ地区(Auxerrois)と北にジョヴィニアン地区(Jovinien)が広がっています。

フランス全体の中でシャブリ&グラン・オーセロワ地区を把握しておきましょう。
フランス産地
ブルゴーニュ最北の生産地域とはいうものの、コート・ドールからはずいぶん離れ、シャンパーニュの方が近そうです(笑)。


エチケット平面化画像。
IMG_7843
短いけど一枚ものですね。ユーロリーフもちゃんと入っています。

裏にはインポーターシールのみ。
IMG_7843B


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
エッジかすかに褐変のルビー。サラッとしてる細かい涙あり。
IMG_8205

フランボワーズ、スパイス、出汁っぽさ。
酸味もかすかに感じる辛口アタック。
とは言え甘やかさにも感じます。
実体はコクのある味わいですよ。
フルーティなうまさも加わって、
フィニッシュまでテンションが下がりません。
おっと、やはりいいピノでした。

パーカーおじさんは91点でしたが、92点をつけましょう。
調べると、おじさん、2016には92+点をつけてました。

*****

Gabin et Félix Richoux
Irancy 2017
RRWポイント 92点


Domaine Robert Groffier Père & Fils Bourgogne “Pinot Noir” 2017

ロベール・グロフィエをいただきます。偉大な作り手と評判は聞いています。シャンボール・ミュジニーの偉大な1級畑「レ・ザムルーズ」最大の所有者なんていう形容も耳にしますね。ドメーヌはモレ・サン・ドニの方にあるようですが。とにかくこちらは平常運転、「AOCブルゴーニュを試してドメーヌの本領を知る」で参りましょう。(笑)

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1933年、ロベール・グロフィエさんの父ジュール・グロフィエさんがドメーヌを設立。ロベールさんの代で元詰めを始めたんだそうです。現在はロベールさんの孫の二コラさんがドメーヌの指揮をとっているとのこと。

公式ページが…見当たりません。ブルゴーニュの家族経営ドメーヌあるあるです。著名な作り手ほどワインは勝手に売れるためか、HPを持っていないところが多いです。インポーターの情報などを頼りにするしかなさそうです。

・ピノ・ノワール 100%

ブドウはクロ・ド・ヴージョの真下に位置する 1.4ha の区画からという情報が多いです。クロ・ド・ヴージョは特級畑ですからAOCブルゴーニュといってもすごそうですね。(所有のAOCブルゴーニュの畑は 1.25ha という情報もありましたから少し計算が合いませんが…。)モレ・サン・ドニのブドウも使っているという話もありました。公式ページがないのでなんとも真偽を確かめられないのが歯がゆいところです。基本除梗100%(ヴィンテージにより変わる)で、2年落ちの旧樽で12ヶ月の熟成とのこと。


ドメーヌ訪問と参りましょう。モレ・サン・ドニの集落にあります。
Groffier01
なんと隣がクロ・ド・タール。というかドメーヌの背後がモメサン家(Mommessin)のモノポール、クロ・ド・タール特級畑に取り囲まれています。しかしながら、ロベール・グロフィエの所有畑はほとんどがシャンボール・ミュジニーにあります。ボンヌ・マール(Bonnes-Mares)特級畑や、Les Amoureuses、Les Hauts Doix、Les Sentiers、以上の1級畑です。シャンベルタン・クロ・ド・ベーズにも少し持ってるようです。

さて、今日の畑がクロ・ド・ヴージョのすぐ下として位置関係を見てみましょう。
Groffier02
モレ・サン・ドニのロベール・グロフィエは見つかりましたか? 確かにすぐ背後が特級畑クロ・ド・タールになってますね。地図上の特級畑は赤色で示しています。ボンヌ・マール、ミュジニー、クロ・ド・ヴージョ、エシェゾー、ロマネ・コンティなどは名前も入れています。で、AOCブルゴーニュはというと、ご存じ県道974号線の東側の概ね全域になります。今日の畑がクロ・ド・ヴージョのすぐ下ということであれば、写真で示したような所になるはずです。しかし、これ特級畑に隣接ですからね。すごくいいかもしれません。個人的にはクロ・ド・ヴージョ自体が特級畑として位置的にどうなんだと少々懐疑的ですが(笑)。
何と言っても「シャンボール・ミュジニーの偉大な1級畑レ・ザムルーズ最大の所有者ロベール・グロフィエ」ですから、レ・ザムルーズ(Les Amoureuses)の場所も書き込んでおきました。合わせてご確認を。

おまけ。ミュジニー特級畑とレ・ザムルーズ1級畑の間に降り立ってみました。
名称未設定-26
レ・ザムルーズがミュジニーに肩を並べるほど人気があるのが何となくわかります。


エチケット平面化画像。
IMG_7293
表ラベルで完結していて裏ラベルはありません。

裏ラベルはこのインポーターシールのみ。
IMG_7292


さあ、抜栓。
IMG_7648

コルク平面化。
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ミレジム入り、AOCブルゴーニュ専用品です。いいですね。

Alc.13%。
エッジ透け気味のルビー。
IMG_7651

フランボワーズ、チェリー。
湿った木樽香はソフトで甘やかさも感じます。
酸の爽やかな先鋒を伴った辛口アタック。
軽めの実体ながら、
苦味様の複雑味をまとい奥行きを感じます。
余韻でも「う少し寝かせたいな~」的雰囲気を出すんですが、
最初の酸で彩られた満足感のフィニッシュを迎えます。

いいですね。
レ・ザムルーズもこんな感じじゃないでしょうか(笑)。


*****

Domaine Robert Groffier Père & Fils
Bourgogne “Pinot Noir” 2017
RRWポイント 91点


Domaine A.F. Gros Bourgogne Pinot Noir 2017

ヴォーヌ・ロマネの名門グロ家は、ジャン・グロさんの代以降のれん分けが進行し、同時多発グロ(笑)状態なのはご存じの通り。ミシェル・グロやグロ・フレール・エ・スールなんかは試していますが、アンヌ・グロや AF(アンヌ・フランソワ―ズ)グロがまだなので、袖ものばかりですが残りの課題を買い込んできました(笑)。今日はポマールヘ嫁いだ AFグロと参りましょう。

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フルネームは「Domaine Anne-Françoise Gros」なんですが、自ら「AF Gros」や「A.F. Gros」、「A.-F. Gros(エチケットの表記)」など略し方に統一感がありません。ドメーヌの表札は「A.F Gros」とまた別パターン(笑)。

19世紀から続くヴォーヌ・ロマネ村の名門グロ家が、なんだかんだで暖簾分けして、いくつもグロがあるのはご承知の通りです。

・Domaine Jean Gros(先代にして本家。今はもうない。)
・Domaine Michel Gros(上記ジャン・グロが元。長男の本筋。)
Domaine AF-Gros(妹。ポマールに嫁いだのでヴォーヌ・ロマネにありません。)
・Domaine Anne Gros(従妹。ミシェル・グロの隣の隣です。)
・Domaine Gros Frère & Soeur(弟のベルナールさん。)

わかりやすい系図がミシェル・グロの公式ページに載っていたので拝借しました。
MichelGros001
グロ家一族、みんな仲が良さそうでいい感じです。さらに詳しい家系図がアンヌ・グロのHPに載っていたのですが、それはまたアンヌ・グロの記事を書くときに貼ることにします。

ミシェルさんの妹アンヌ・フランソワーズさんが、1975年にポマールのドメーヌ・パラン(Domaine Parent)の長男フランソワさんと結婚。1988年、自らのドメーヌ「アンヌ・フランソワーズ・グロ」をポマールに立ち上げたのが今日の AF Gros です。ドメーヌ名こそ奥さんの名前ですが、創設以来だんな様のフランソワ・パランさんがワインメーカーを務めていたそうで、ワインづくりはドメーヌ・パラン寄りなのかもしれませんね。


公式ページは一見よさげですが、トップページだけの一枚もの(笑)。

簡単なドメーヌの紹介があるだけで、肝心のワイン紹介がありません。インポーター情報などを頼るしかなさそうです。
・ピノ・ノワール 100%
AOCブルゴーニュは、ポマール村の平地の自社区画(1936年まで村名ポマールであった区画を含む)とその近隣の畑の買いブドウからだそうです。エチケットに「A.-F. Gros」だけで「Domaine」がついてないのはそういうことなのかと合点がいきます。買いブドウと言っても、栽培から収穫まで関わっているそうで、悪くはないと思われます。新樽率10%で12ヶ月熟成とのこと。


ポマールにある「AF Gros」を訪問。これは裏手のようで、正門は下の方の写真です。
AFGros01
ポマールの集落の中心ですし、敷地もそこそこ大きそうです。所有畑は13haほどですが、1996年に引退した父ジャン・グロさんからリシュブールやエシェゾーを相続していて、ドメーヌの主力になっているようです。


今日のAOCブルゴーニュの畑は特定できませんが、ポマール村内であることはわかりましたので、いつものポマール・マップを見ておきます。ドメーヌの場所も書き込みました。
AFGros02
例によって県道D974号線のこっち側(白いところ)でしょうね。(笑)

これも恒例ですが、畑の所在はわからぬとも境界線に立って双方を眺めます。
Pommard001
うん、どっち側もいい感じです(笑)。少なくとも県道D974号線の両脇すぐの畑には差がないと思いますよ。

久々に全コート・ドール Google Map を上げておきます。ポマールを確認。
Bourgogne_Cote_dOr_Map
コート・ド・ボーヌ、ボーヌのすぐ南側ですね。


エチケット平面化画像。
IMG_5813
イラストはアンヌ・フランソワーズさんと思いきや架空の女性だそうで。ワインの種類ごとに畑のテロワールを表現しているそうです。(ちょっと何言ってるかわからない…笑)
裏ラベルには、このワインは息子のマティアス・パランさんが醸したとか説明が入っています。
ファインズのインポーターシールを剥がし、隠れていた内容を貼っておきました。この内容、隠す必要もないし何で重ねるかな~(怒)。


さあ、抜栓。
IMG_6049
シンプルであります。

コルク平面化。
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「パラン - グロ家」とあるだけ。ドメーヌ名さえない? 買いブドウなので「Maison PARENT-GROS」扱いということのようですね。

Alc.12.5%。(pH:3.75、Brix:6.5)
透け感のルビー。
IMG_6051

フランボワーズ、フレーズ。
煮詰まった果実風味とダシの滋味香もあります。
期待させる香りです。
辛口アタック。
ん? 少し軽めで実体が掴みにくいですね。
熟成の深みは感じるんですが、
喉元でやはり軽さを再確認します。
そうなると余韻も薄っぺらく感じます。
重みは出てるのに始終軽い。
酸はきれいに溶け込んでいるんですが、
この味わいならもっちょっと酸が前に出ててもいいかも。

不思議なワインでした。
けしてまずくはないです。いや、うまい方なんですが…。



*****

Domaine A.F. Gros
Bourgogne Pinot Noir 2017
RRWポイント 89点


Domaine Bouard-Bonnefoy Bourgogne Pinot Noir 2017

ネットで見つけて購入した『2017年のブルゴーニュ・ピノ・ノワール飲み比べ赤ワイン3本セット』と銘打つセットの中の1本。最初に抜栓したドメーヌ・ミシェル・マニャン(Domaine Michel Magnien)というのがなかなか驚きの高品質でした。というわけで、2本目のこれも期待ができそう(な予感)です。

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作り手のブアール・ボンヌフォワは、シャサーニュ・モンラッシェで4世代続く家族経営のドメーヌ。2006年にファブリス・ブアールさん(Frabrice Bouard)と奥様のカリーヌさん(Carine Bonnefoy)が引き継いでドメーヌとして立ち上げました。2017年からはボーヌのブドウ栽培学校で学んだ娘さんのクララさんも加わって、小規模に頑張ってるそうです。合計5haの畑で毎年20数樽という極少の生産で、コルク打ちもラベル貼りも家族で手でやってるそうです。

公式ページはしっかりしていて、facebook も頻繁に更新され情報発信は抜かりないようですね。

ワイン紹介は、看板のシャサーニュ・モンラッシェ1級でもあっさりとしています。
・ピノ・ノワール 100%
規模的にも手摘み収穫なんですが、その他醸造や樽使いの情報はありません。
AOCブルゴーニュの畑は0.08haしかなく、「AOCブルゴーニュの畑は村名AOCの畑と比べると砂質が多い」と書かれています。5haあるという所有畑はシャサーニュ・モンラッシェが主で、一部サン・トーバンとピュリニー・モンラッシェにあるだけなので、おそらくシャサーニュ・モンラッシェのコミューンのAOCブルゴーニュ部分にあるのではないかと想像します。1992年に植えられた平地の畑という情報だけありました。後ほど探ってみましょう。
「2016年は霜害で収穫できずAOCブルゴーニュはリリースできませんでしたが、2017年は質・量ともに申し分ない出来だったので少量ですが瓶詰めしました。」とありました。畑も小さいですから、リリースは不定期なんですね。ある意味、希少。(笑)


さあ、シャサーニュ・モンラッシェにあるドメーヌを訪問します。
BouardBonnefoy01
小さな表札にドメーヌ名が書かれてるんですが、見落としそうです。

いつものシャサーニュ・モンラッシェの地図にドメーヌの所在を書き込みました。
Chassagne-Montrachet02
こう見ると、シャサーニュ・モンラッシェは村名畑の部分が広く、いわゆるAOCブルゴーニュの畑は少なそうですね。

例によってGoogle Mapでシャサーニュ・モンラッシェを見てみます。
Chassagne-Montrachet005
まわりの村との位置関係、そして、いつも気になるシャサーニュとピュリニーにまたがるグラン・クリュも書き込みましたので、おさらいしておいてください。MontrachetBâtard-Montrachet は双方の村にまたがってます。(Montrachet のシャサーニュ側には「Le」が付きます。)Criots-Bâtard-Montrachet はシャサーニュ・モンラッシェ側のみ。Chevalier-MontrachetBienvenues-Bâtard-Montrachet の二つは、ピュリニー・モンラッシェ側のみでしたね。これらグラン・クリュは当然白のみですが、プルミエ・クリュや村名のシャサーニュ・モンラッシェは赤も相当量あります。シャサーニュ・モンラッシェはムルソーやピュリニーと比べても赤の比率が高いのが特徴です。減少傾向とは言うもののピノ・ノワールの栽培面積は37%を占めます。
さて、シャサーニュ・モンラッシェの村名以外の部分、おそらくAOCブルゴーニュのあたりを3ヶ所選んで(ストビューで行ける範囲で)行ってみました。地図上に❶❷❸で示したところです。


どこにその畑があるのかわかりませんが、雰囲気だけでも見てみましょう。これが❶です。
BouardBonnefoy001

❷です。
BouardBonnefoy002

❸です。
BouardBonnefoy003
平坦なのはよくわかりました(笑)。しかし、村名にならない場所でもしっかり植えられてますね。


エチケット平面化画像。
IMG_5818
裏ラベルなし。インポーターのシールを下につけておきます。


さあ、抜栓。
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キャップシールのマークは「B&B」ですね。漫才のB&Bかブラックビスケッツっぽいですね。

コルク平面化。
IMG_5883
ドメーヌ名x2でした。

Alc.12.5%。(pH:3.70、Brix:6.2)
綺麗に透き通るルビー。
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フランボワーズ、フレーズ。
香り立つ滋味香。
塩味も感じる辛口アタック。
色からは想像つかないコクがあります。
酸は気づかないくらい溶け込んでいます。
余韻で苦味様のうまみも出てきて飽きさせない。

これもなかなかレベルが高い。
まだまだ出会ってない、いい作り手っていますね~。


*****


Domaine Bouard-Bonnefoy
Bourgogne Pinot Noir 2017
RRWポイント 93点


Domaine Michel Magnien Bourgogne Pinot Noir 2017

珍しくセット買いしたワインの1本。『2017年のブルゴーニュ・ピノ・ノワール飲み比べ赤ワイン3本セット』と銘打つセットでしたが、銘柄を選べないものの、なかなか良さげなワインがかなりお得な価格だったのでつい手を出しました。ドメーヌ・ミシェル・マニャン(Domaine Michel Magnien)ってやつから抜栓といきましょう。

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ドメーヌ・ミシェル・マニャンというのは、モレ・サン・ドニで5代に渡る栽培農家であったマニャン家の先代ミシェルさんが1967年に興していますが、息子で現当主のフレデリック・マニャンさんが自らの名を冠したネゴシアンブランド「Frédéric Magnien」と共に運営し、「Domaine Michel Magnien」の名前のまま一大ドメーヌに築き上げています。フレデリックさんがワイン作りに加わったのが1993年からで、それまではモレ・サン・ドニの共同組合に納めていたブドウもすべて元詰めに変え、栽培責任者には30年以上ルロワで栽培を指揮しビオディナミを導入した人物を起用。そういう訳でドメーヌ・ミシェル・マニャンも、2008年にはオーガニックの Ecocert 認証、2015年にはビオディナミのデメター(Demeter)認証を取得しています。

公式ページは大手ネゴシアンの雰囲気。カッコよくできています。

サイトにはネゴシアンブランドの「Frédéric Magnien」と「Domaine Michel Magnien」が同居しています。各ワインの袖モノもちゃんと紹介してあるんですが、「Les Graviers」というシャンボール・ミュジニーの畑名を冠したAOCブルゴーニュはあるんですが、今日の「Bourgogne Pinot Noir」というのが見当たりません。なので、インポーター情報を交えて下記します。
・ピノ・ノワール 100%
コート・ド・ニュイのいくつかのアペラシオンからのブドウをブレンド。モレ・サン・ドニ、シャンボール・ミュジニー、ヴォーヌ・ロマネかららしく、村名の畑も含まれるようですが、こう混ぜてしまうと当然村名は名乗れなくなりますね。樹齢は貫禄の40~50年らしく、これはこだわりらしいです。樽はユーズド、もしくは新樽率10%に抑えて10ヶ月という感じらしいです。


さあ、モレ・サン・ドニの作り手訪問です。
Magnien01
最近も改修などしているようで、公式サイトの写真に比べるとストビューは最新ではなく少し古いようでした。県道D974号線沿いにドメーヌ・ミシェル・マニャンとフレデリック・マニャンは並んでいますが、建物はそれぞれ別になっています。遠くに見える斜面はモレ・サン・ドニのグラン・クリュで、角度的に言うとクロ・ド・ランブレイあたりだと思われます。

県道D974号線に出て、フレデリック・マニャン側から見てみましょう。
Magnien02
二つ合わせると結構大きな敷地です。小さなドメーヌが多いブルゴーニュでは規模が大きい方です。左下にインポーズした地図はモレ・サン・ドニの中心部です。簡素な集落に有名ドメーヌがひしめき合ってます。

恒例の畑探しはあきらめることにしましょう。コート・ド・ニュイのいろんな所くらいしかわかりませんでしたから。今日は久しぶりにコート・ドール全域地図を貼ってお茶を濁します。
Bourgogne_Cote_dOr_Map
一応、作り手の所在も書き込んでおきました。


エチケット平面化画像。
IMG_5816
裏ラベルに、ユーロリーフ、デメター(Demeter)のマーク付きビオワインです。ん? 何だこの解像度の悪い地図は? … あっ!! これはもしや … 畑の所在???
この地図、ヴージョその他見慣れた区画の形です。モレ・サン・ドニからヴォーヌ・ロマネまでの地図だと判明。そして、色付きで示してあるのが、どうやら今日のワインの畑のようです。素晴らしい! 何という親切な裏ラベルでしょうか!

早速いつもの地図に照らし合わせて畑の所在を確認。やはり、モレ・サン・ドニ、シャンボール・ミュジニー、ヴォーヌ・ロマネ各村のAOCブルゴーニュ畑であることが確認できました。畑名もわかりましたよ。(地図はLuc Corporation様サイトより拝借)
Magnien03
モレ・サン・ドニの畑はドメーヌに激チカですね。さらに村名モレ・サン・ドニの区画に隣接しています。これはやはり現地に行って見てみましょう。

これです。畑名も Les Pertuisières だと判明しています。
Magnien04
向こうにモレ・サン・ドニのグラン・クリュの斜面が見えます。いい雰囲気です。良心的な裏ラベルのお陰で今日も畑訪問できました。これでワインも美味しくいただけます。(笑)


さあ、抜栓。
IMG_5972
シンボルマーク、太陽と地球と月です。

コルク平面化。
IMG_5973
これでもかと同じマークばっか。太陽がフレデリックさんのお母様、地球がお父様のミシェルさん、月が自分なんですって。

Alc.13%。(pH:3.80、Brix:6.2)
クリアなルビー。エッジ、かすかですが褐変。
IMG_5974

フランボワーズ、リコリス、滋味の熟成香。
コク、うまみ乗った辛口アタックです。
酸は出過ぎず盛り立ててくれる感じ。
複雑味ある味わい。しっかりした芯も感じます。
喉元をアルコール感が心地よくくすぐりますね~。
余韻も以上の総ざらいハーモニーで楽しめて…納得のフィニッシュ。

最高ちゃんやん。いい作り手見つけました。


*****


Domaine Michel Magnien
Bourgogne Pinot Noir 2017
RRWポイント 95点


Domaine Chauvenet-Chopin Bourgogne Pinot Noir 2017

ちょっと前にアリゴテを試したドメーヌ・ショーヴネ・ショパンですが、なかなかの作り手とお見受けしたので、ピノ・ノワールも試してみることにしました。いわゆる袖ものではありますが、AOCブルゴーニュで作り手の腕やポリシーを窺うことを長らくやってきていますので、ある意味AOCブルゴーニュの定点観測も兼ねているわけです。(笑)

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アンリ・ジャイエの後継者とも言われたドメーヌ・ショパン・グロフィエのダニエル・ショパン・グロフィエさんが引退後、長女と結婚してその畑を引き継いだユベール・ショーヴネさんのドメーヌがこのショーヴネ・ショパンです。「ショパン・グロフィエの正当な後継」とお店のPOPには踊ってました。
ユベール・ショーヴネ(Hubert Chauvenet)さんが自身のドメーヌをニュイ・サン・ジョルジュに立ち上げたのが1975年。その10年後に、経緯はわかりませんが、かのアンリ・ジャイエと親好があったというコンブランシアン村のドメーヌ・ショパン・グロフィエ(Domaine Chopin-Groffier)の当主ダニエル・ショパン・グロフィエ(Daniel Chopin-Groffier)さんが引退を決意されたタイミングで、ユベールさんはダニエル・ショパン・グロフィエさんの長女エヴリーヌ(Evelyne)さんと結婚。ドメーヌ名をショーヴネ・ショパン(Domaine Chauvenet-Chopin)と改め、義父の畑を相続していきます。特級クロ・ド・ヴージョほか、ニュイ・サン・ジョルジュの1級畑など総計14.5haを所有するに至ってるそうです。話だけ聞くと、うまいことやりましたな~感しかありません。(笑)

公式ページはシンプルかつ手作り風。

ワイン紹介も、簡単ですが今日のAOCブルゴーニュも載っています。ニュイ・サン・ジョルジュ、プルモー・プリセ、コンブランシアンにある50区画(2ha)の畑からだそうです。
・ピノ・ノワール 100%
樽使いは各ワイン毎に書かれておらず、全体として新樽率20〜40%新で12〜18ヶ月とあるだけです。今日のは一番ローエンドなので新樽率20%で12ヶ月と思っておきましょう。


ニュイ・サン・ジョルジュにあるドメーヌを訪問します。
Dauvenet_Chopin01
奥さんの親元、ドメーヌ・ショパン・グロフィエはコンブランシアンにありましたから、AOCブルゴーニュのレジョナルの畑はニュイ・サン・ジョルジュからプルモー・プリセやコンブランシアンに渡ってあるわけです。

その辺りをラック・コーポレーション様から拝借した地図で確認します。
Dauvenet_Chopin02
この辺りは単独でAOCになってないコミューンが続きます。

Google Map上でも見てみます。レジョナルはほぼ県道D974号線の東側ですね。
Comb02
ニュイ・サン・ジョルジュのドメーヌ・ショーヴネ・ショパンと、奥様の親元、コンブランシアン村のドメーヌ・ショパン・グロフィエがあった場所も地図上に示しています。
プルモー(Premeaux、行政区分上はプルモー・プリセ Premeaux-Prissey)はほとんどがAOCニュイ・サン・ジョルジュ扱いで(D974号線西側は1級)、それ以外の部分の畑も単独でAOCを名乗れず、コンブランシアン(Comblanchien)、コルゴロアン(Corgoloin)、そしてだいぶん北へ飛んで、ブロション(Brochon)とフィサン(Fixin)の一部との合わせ技でAOC Côte de Nuits-Villages を形成しています。(赤・白あり。)
さらに、プルモー、コンブランシアン、コルゴロアンの3コミューンは、AOC Bourgogne Hautes Côtes de Nuits(赤・白・ロゼあり。)を構成する20ヶ村の内にも入っていたはずなんですが、コンブランシアンとコルゴロアンの2コミューンは最新の官報(2017年改正)によるとAOCブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイの対象から抜けているようです。以下に AOC Bourgogne Hautes Côtes de Nuits の対象コミューンを列挙します。

<コミューン全体が対象>
1. Arcenant
2. Bévy
3. Chaux
4. Chevannes
5. Collonges-lès-Bévy
6. Curtil-Verg
7. L’Etang-Vergy
8. Marey-lès-Fussey
9. Messanges
10. Meuilley
11. Reulle-Vergy
12. Segrois
13. VillarsFontaine
14. Villers-la-Faye

<部分的に対象>
15. ChambolleMusigny
16. Flagey-Echézeaux
17. Magny-lès-Villers
18. Nuits-Saint-Georges
19. Premeaux-Prissey
20. VosneRomanée

でも、結局合計20ヶ村なんですね。(笑)
コンブランシアン(Comblanchien)とコルゴロアン(Corgoloin)はつまるところ、AOC Côte de Nuits-Villages か AOC Bourgogne しかないということのようです。

今日のワインの畑ははっきりわかりませんが、雰囲気だけでも見ておきましょう。
Comune01
ニュイ・サン・ジョルジュからプルモーに向かってD974号線を走っていくと、右にニュイ・サン・ジョルジュ村名、左にレジョナルのAOCブルゴーニュの畑が広がっているのが見えます。やはり村名や1級の畑の方はなだらかな斜面になってるんですね。


エチケット平面化画像。
IMG_5277
裏ラベルはなく、インポーターシールのみだったので下に付けました。


さあ、抜栓。
IMG_5359

コルク平面化。
IMG_5360
汎用品。DIAM5を採用です。

Alc.12.5%。(pH:4.10、Brix:6.4)
エッジがクリアなルビー。
IMG_5361

フランボワーズ、フレーズ。クールさを感じます。
スパイスかダシ感もあり。
やはりクールな辛口アタックです。
鉄っぽさのある酸味があり、このせいですね。
味わいは奥行きがあって楽しめます。
喉越し、余韻にかけて酸は気にならなくなるんですが、
最後に少し薬っぽさが残ります。
びっくりするほどではないですが、十分期待通りの味でした。


*****


Domaine Chauvenet-Chopin
Bourgogne Pinot Noir 2017
RRWポイント 91点


Domaine Berthaut-Gerbet Fixin Les Clos 2017

フィサン(Fixin)に18世紀後半から続くというドメーヌ・ベルトー・ジェルベです。正確にはフィサンのドメーヌ・ベルトー(Domaine Berthaut)が2013年にヴォーヌ・ロマネのドメーヌ・フランソワ・ジェルベ(Domaine François Gerbet)の一部畑を引き継いでドメーヌ・ベルトー・ジェルベ(Domaine Berthaut - Gerbet)となっています。なにやらややこしそうですが、そこのフィサン村名「Les Clos」をいただきながら紐解いていきたいと思います。

IMG_5145
ドメーヌ・ベルトー・ジェルベとなってから評価も高まってるようですが、その立役者は、父ドニ・ベルトー(Denis Berthaut)さん、母マリー・アンドレ・シャンタル・ジェルベ(Marie-Andrée Chantal Gerbet)さんの娘、アメリー・ベルトー(Amélie Berthaut)さんです。
父がフィサンのドメーヌ・ベルトーの当主、母がヴォーヌ・ロマネのドメーヌ・フランソワ・ジェルベの当主というわけですが、ボルドー大学でワイン醸造学を学び、名だたるドメーヌで修行をした後、2013年に父のドメーヌを継ぎ、母方の名字を加えた「ドメーヌ・ベルトー・ジェルベ」に名称変更しました。この時、ヴォーヌ・ロマネの1級畑やエシェゾー特級畑を含む母のドメーヌの畑を一部もらっているため、ラインアップは大幅に拡充されたというわけです。

公式ページはこじんまりした感じですが内容は充実しています。

エチケットから各ワインの説明ページに入れるんですが、そこの情報は少々貧弱でした。
・ピノ・ノワール 100%
フィサンの「Les Clos」という村名畑ですが、1級畑と標高が同じ粘土石灰土壌で樹齢が10~80年…くらいしか書いていません。 インポーターの情報ですが、100%除梗、新樽率20%のオーク樽で12ヶ月の熟成のようです。


ドメーヌ訪問します。フィサンの集落の真ん中です。
Berthaut01
門に「Vincent et Denis」とありますが、ヴァンサンさんとドニさん(アメリーさんの御父上)はご兄弟です。

先々代のギー(Guy)さんの時代に向かいの建物も買ったそうで、これがそれ。
Berthaut02
その頃も、メタヤージュ(Métayage・折半耕作)でジュヴレ・シャンベルタン(1級・村名)の畑を獲得、ビジネスを拡張していったそうです。

公式ページに所有畑の区画を示した地図がありました。よくわかるので拝借。
Berthaut04
コート・ド・ニュイの特級、1級、村名畑の分布がよくわかります。母から引き継いだのが、ヴォーヌ・ロマネやエシェゾーですね。ヴォーヌ・ロマネは1級ながらクロ・パラントゥーのすぐ横。1万2千円くらいみたいです。買おうかな~(笑)。

いやいや、まずは今日のフィサン村名です。いつもお世話になってる地図で場所確認。
Berthaut03
「Les Clos」ありましたね。山手の方で1級畑と高さが同じってこういうことですね。地図にあるようにフィサン村名畑は「Côte de Nuits Villages」も名乗れます。しかし、最近はフィサンの名前も売れてきたので、フィサン名の方が売れるんではないでしょうか。

やっぱりですが、Google Map上で見てみますよ。
Berthaut00
ブルゴーニュ・ツアーではフィサンの集落を貫くグラン・クリュ街道をミニバンで爆走しました。今日のドメーヌのすぐ近くを通っていたんですね。懐かしい…。

今日の畑、レ・クロ(Les Clos)に行ってみますよ。
Berthaut05
うん、なかなかいい感じ。この風景をつまみに今日のワインもおいしくいただけそうです(笑)。


エチケット平面化画像。
IMG_4901
しかし、イラストのこのおっさんは誰でしょう?

裏ラベルはなく、このインポーターシールのみ。
IMG_4903


さあ、抜栓。
IMG_5141

コルク平面化。
IMG_5143
畑名まで入った専用品。ミレジムも定位置に入っていて完璧です。

Alc.13%。(pH:4.24、Brix:6.4)
しっかり色づいたルビー。
IMG_5144

フランボワーズ、チェリー。
こなれた樽香か、軽めの滋味香感じます。
辛口アタック。
酸はしっかりあるんですが控えめなポジションに居ます。
複雑味、奥行きも感じ、全体としていいバランスです。
酸は余韻で主張を始め、最後まで存在感を出しますね。
もう数年寝かしたいところでした。
しかし、レベルはなかなか高いとお見受けしました。


*****


Domaine Berthaut-Gerbet
Fixin Les Clos 2017
RRWポイント 92点


Domaine Philippe Charlopin Bourgogne Côte d’Or 2017 Cuvée Prestige

ブルゴーニュを代表する生産者のひとつであるドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾ(Domaine Philippe Charlopin-Parizot)であります。ジュヴレ・シャンベルタンが本拠地ですが、8つのグラン・クリュ、35のアペラシオンのワインを作る名門ドメーヌ。過去、村名はいくつか試してますが、今日は「AOC Bourgogne Côte d’Or」をいただきます。これは2017年に新しく認められたAOCで、ただの広域と侮るなかれというやつでしたね。シャルロパンは早速2017年ヴィンテージからこの「~コートドール」に名称変更しています。

IMG_4892
1977年に家業の畑たった1.5haから始めたフィリップ・シャルロパンは、かのアンリ・ジャイエから指導を受けた一人ですが、そのお陰なのか今では珠玉のグラン・クリュ含む25haに大発展し高評価を得ています。そう言えば店頭でシャルロパンのシャブリも見かけましたね。手広い。

公式ページは正直古くさいデザイン。情報も決して多くないですが、あるだけマシですね。

ワインごとの情報がないのでネットで探ります。
・ピノ・ノワール 100%
新樽率10%で10~14ヶ月という情報がありました。また、畑は、ジュヴレ・シャンベルタン村、マルサネ村、そしてわずかにクーシェ村に広がる合計3haの畑からとのこと。


作り手訪問。ジュヴレ・シャンベルタンですが少し外れの方。県道974号線沿いです。
Charlopin00
お向かいがフーリエですね。

ジュヴレ・シャンベルタンの地図上で見るとこのあたりです。(黄四角)
Charlopin02
ジュヴレ・シャンベルタンは村名畑が県道974号線の東側まで広がっており、AOC Bourgogne に相当する広域畑(レジョナル)はさほど多くはないです。とは言え、今日のワイン、それにマルサネ、クーシェを混ぜて3haという手掛りだけでは、どこだかさっぱりわかりません。(笑)

そのマルサネ(マルサネ・ラ・コート)とクーシェの位置関係を見ておきます。
Charlopin03
白い線は行政区分ですが、AOCジュヴレ・シャンベルタンはブロションにはみ出てますし、AOCマルサネがシュノーヴやクーシェまで含むだとか、AOCフィサンは一部ブロション側にはみ出してるとか、行政区分通りスキッといかないので正しい範囲は適宜覚えましょう。(笑)


今日のメインエベント、AOCブルゴーニュ・コートドールAOC Bourgogne Côte d’Or)です。コートドールが付いただけと思うなかれ。実は対象の地域はAOCブルゴーニュとはずいぶん違います。まずは、その対象範囲を見てみましょう。例によってINAOの地図を見ます。
BCotedor02
左側が元来のAOCブルゴーニュの対象範囲の地図です。右側が今回のAOCブルゴーニュ・コートドールの対象範囲を示す地図になります。
具体的には右の地図の「AOP Bourgogne DGC Côte d’Or」が示す範囲になるんですが、もともとのAOCブルゴーニュ(左側の地図)がグラン・オーセロワからボジョレーまで広範囲に渡っていたことからすると、ずいぶんと限定されましたね。

この範囲をGoogle Map上に重ねてみます。赤線で囲った部分です。
Charlopin01
シュノーヴからマランジュまで、まさにコートドール(=コート・ド・ニュイ+コート・ド・ボーヌ)の全範囲。特級・1級畑を含む村名AOCの集合体です。それでも基本は県道974号線の東側(もともとのAOCブルゴーニュ)がメインになるんでしょうけど…。
山側のオート・コート・ド・ニュイ/ボーヌはこの範囲からは外れていますね。これらはそれぞれ単独で、AOC Bourgogne Hautes Côtes de Nuits / Beaune が名乗れますからね。AOCブルゴーニュ・コートドールがこれら「地理的呼称付きブルゴーニュ」の仲間入りをしたってことになります。なので、オート・コートの部分は外れるわけで。
つまり、AOCブルゴーニュ・コートドールは、今までにもあった、地理的呼称DGCDénomination Géographique Complémentaire)がついたAOCブルゴーニュと同じ扱いで、地域名AOCブルゴーニュでありながら、その中の特定のエリアに限定するものということです。

AOC Bourgogne Côte d’Or が仲間入りし、全部で14になった地理的呼称付きAOCブルゴーニュDénominations Géographiques Complémentaires de l’AOC Bourgogne)を列挙します。(順不同)範囲・場所は書きませんので勝手に調べてください(笑)。

・AOC Bourgogne Côtes d'Auxerre
・AOC Bourgogne Chitry
・AOC Bourgogne Epineuil
・AOC Bourgogne Coulanges La Vineuse
・AOC Bourgogne Hautes Côtes de Nuits
・AOC Bourgogne Hautes Côtes de Beaune
・AOC Bourgogne La Chapelle Notre Dame
・AOC Bourgogne Le Chapitre
・AOC Bourgogne Montrecul(Montre-Cul)
・AOC Bourgogne Tonnerre
・AOC Bourgogne Côte Saint-Jacques
・AOC Bourgogne Côte Chalonnaise
・AOC Bourgogne Côtes du Couchois
AOC Bourgogne Côte d’Or

AOC Bourgogne Vézelay というのもありましたが、AOCブルゴーニュ・コートドール誕生と同じくして2017年に単独 AOC Vézelay に昇格しています。
この中じゃ、オート・コート以外ではコート・シャロネーズと Montrecul(Montre-Cul)くらいしか飲んでませんね。課題多し…。


エチケット平面化画像。
IMG_3287

2016年まではご覧の通り、ただのAOCブルゴーニュでした。
Charlopin04
今まで飲んだ他のAOCブルゴーニュも、AOCブルゴーニュ・コートドールが名乗れるものが多かったと思います。順次名称変更が進むんでしょうかね。

そうそう、インポーターシールは剥がしましたが、こんな具合でした。
IMG_3286
オリジナルのラベルは上から貼られることを想定してるデザインですかね。


さあ、抜栓。
IMG_4890
コルクはドメーヌ名入りですが、ここに写ってるだけなので平面化はしません。

Alc.13%。(pH:4.37、Brix:6.8)
クリアですがしっかり色づいたルビー。アンリ・ジャイエ譲りの完全除梗ですからね。
IMG_4891

フランボワーズ、フレーズ、煮詰まった滋味の風味あり。
完全除梗ながら茎っぽい青さもかすかに香ります。
辛口アタック。
酸は弱めながら味の輪郭をアシストしています。
複雑味もしっかりありウットリしますね。
喉越しから余韻と、いいバランスを流れの中で感じられます。

出ましたね。いい仕事する酸のパターンです。
2017年が良年だからでしょうか。かなりハイレベル。


*****

Domaine Philippe Charlopin-Parizot
Bourgogne Côte d’Or 2017
Cuvée Prestige
RRWポイント 93点


Vincent Latour Bourgogne Pinot Noir 2017

ムルソーの老舗、ヴァンサン・ラトゥールのブルゴーニュ・ピノ・ノワールを試します。実はリカマンで特売になっていたんですが、一旦スルーして後日戻ると完売しており、にわかに気になりだしました(笑)。またまた後日行くと再入荷してましたので、思わずゲットしてしまいました。まだ特売継続中でしたし…。(笑)

IMG_4439
ヴァンサン・ラトゥールは1792年から続くムルソーの由緒あるドメーヌ。21代目のヴァンサン・ラトゥールさんが現当主で、2006年のヴィンテージのリリース後、評判の高い地元雑誌「Bourgogne Aujourd’hui」で今年のワインメーカーにノミネートされたりと頭角を現しだしました。2010年のヴィンテージから、ドメーヌ・ジャン・ラトゥール・ラビーユ(Domaine Jean Latour-Labille)という先代のドメーヌ名を自身の名前の「ヴァンサン・ラトゥール」に改名しています。


公式ページは手作り風で結構レトロな雰囲気(笑)。
VLatour01
テクニカルシートなど情報はしっかり載せようとしているようですが、AOCブルゴーニュの情報には残念ながら畑の場所は示してありませんでした。樹齢は35年超で、土壌は粘土石灰質、面積は0.42haの畑だということまで書いてあるんですがね。
・ピノ・ノワール 100%
除梗あり。4〜5日間の低温浸漬、25〜30日間のオープンバットでの発酵(1日にパンチダウン1回・ポンピングオーバー2回)。新樽率20%のオーク樽で12ヶ月の熟成です。600Lサイズの demi-muid という大きめの樽を使うそうです。通常の228Lサイズ(pièce)や新樽率多めでは繊細なアロマがマスクされてしまうのを嫌ってるみたいです。


ドメーヌ訪問です。なかなか敷地は大きいです。
VLatour00
さすがムルソーの歴史の長い老舗です。集落のど真ん中にあります。コント・ラフォンやコシュ・デュリの方が外れにあるくらいですね(笑)。

今日は畑の場所もわからず広がりようがないので、ムルソーのAOC地図でお茶を濁します。
VLatour02
ドメーヌ位置を書き込みましたが、地図自体はヴァンサン・ラトゥールのHPに上がっていたものを使っています。所有畑がほとんどムルソー(一部サントーバン)なのでAOCブルゴーニュもこの辺りなんだとは思うんですが…。

フランソワ・ミクルスキの時に使った地図がAOCブルゴーニュの畑まで載ってますので、ヴァンサン・ラトゥールの位置を追記して再掲します。県道D974号線の両側に広がってる感じです。
VLatour03
(例によって地図はLuc Corporation様サイトより拝借しています。)


エチケット平面化画像。
IMG_4353
色味といい「L」のマークといい特徴的です。ネットで旧のエチケット(ドメーヌ・ジャン・ラトゥール・ラビーユ時代)を見るとオーソドックスなデザインでしたから、ドメーヌの名称変更と共にエチケットデザインも大胆に変更したってことですね。
インポーターシールが裏ラベルを隠してますが、下には青い帯にドメーヌ名が書いてあっただけなので、まあ、セーフとしておきます。(笑)


さあ、抜栓。
IMG_4436
キャップシールはエンボスのドメーヌ名入り。

コルク平面化。
IMG_4437
まったくの汎用品ですが、DIAM10とはちょっといいのをおごっています。

Alc.12.5%。(pH:4.31、Brix:6.2)
クリアなルビー。
IMG_4438

フランボワーズ、プラム、チェリー。
ゼラニウムっぽい香りも感じます。
辛口アタック。
かなり軽めの味わいなんですが、
しっかりした複雑味がバランス取ってくれてます。
酸は全然出過ぎずクール感を演出していていい感じ。
軽い…んですが、バランスとまとまりの妙と言いましょうか、
ドメーヌの実力が伺えるAOCブルゴーニュでした。


*****


Domaine Vincent Latour
Bourgogne Pinot Noir 2017
RRWポイント 92点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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