Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

カルメネール

「カルメネール」の発音と綴り

チリワインのカルメネールばかり飲んでいると気づくことがあります。エチケットの表記・綴りがまちまちなのです。3つのパターンがあります。

(1) Carménère
(2) Carmenère
(3) Carmenere

もちろん、カルメネールはもともとボルドーの品種ですから、フランス語読みすればいいのですが、

(1)は、2音節目のeにアクサンテギュなので「エ」と発音します。
  3音節目のアクサングラーヴは、末尾に無音のeがあるとき、
  その直前のeにつけて「エー」と発音します。
  よって「カルメネール」となり、僕もこう呼んでいます。
(2)は、3音節目のアクサングラーヴのみ。
  するとフランス語では「カルムネール」に近くなると思います。
(3)は、何もなし。もしくは大文字表記。どう読んでも自由でしょう。(笑)


Car


本家フランスが(1)であれば、それに合わせてすべて解決なのですが、フランスにおいてA.O.C.ワインを取り決めたりする公的な機関のI.N.A.O.(Institut National des Appellations d'Origine=国立原産地名称研究所)が、(2) の「Carmenère」と表記しているそうなんです。すると、スペイン語が母国語のチリでは、そういうフランスの権威に影響され、次第に「Carmenère」表記が増えてきたんじゃないかと思うんです。(1) の「Carménère」は「Carmenère」のシノニムという扱いの専門家もいるようです。

僕の専門はスペイン語ですので、フランス語の詳しい事情はわかりませんが、アクセント記号が多い方がオリジナルじゃないのと思ってしまいます。(笑)

当のチリのワイナリーでは何と発音しているのかというと、スペイン語読みの「カルメネーレ」と言ってそうですが、各サイトのインタビュー動画なんかを注意深く聞くと、フランス語を尊重してか「カルメネール」と最後のeを発音しない人が多いです。


Car2


もうチリの代表品種として認知されてきた昨今ですから、フランス語とスペイン語の発音が「カルメネール」で両立する「Carménère」表記を正式としたらいいのになと僕は思っています。でも、「Carmenère」表記のチリワインはどんどん増えているのですが…。

そうそう、余談ですが、僕はスペイン語が専門かつ、ワイン歴のルーツはチリ(もしくはメキシコ)ですので、ワイン用語が少しスペイン語寄りです。エノロジスト(醸造家)はエノロゴ、ヴァラエタル(単一セパージュ)はバリエタル、といった具合です。

チリの産地の「Valle」(谷、盆地)も本当は「バジェ」と言いたいのですが、とりあえず「ヴァレー」と頑張って英語読みしています。(笑)

カルメネール研究

常々、手当たり次第にチリワインを飲んでいるだけでなく、
カルメネールについて調査・研究をしています。(笑)
イタリアで作られているカルメネールをいただいたのも、
これら研究の一環です。

フランスでも少量ながら栽培されているというので、
いろいろとネットを使って調べてみました。
すると、ボルドー全体のカルメネールの栽培面積はたった41ヘクタールらしいです。
格付け5級のシャトー・クレール・ミロンがその内0.6ヘクタール持っていますが、
ここは1945年から植えているそうで、すでに70年超の古木になっています。
(しかしながら、このシャトーの作付面積では1%にしかなりませんが。)


ClercMilon


ということで、カルメネール研究の一環として、
クレール・ミロンの2012年をAmazonでポチってしまいました。(笑)
どんなお味が?と試したいところですが、
カルメネールは1%しか入っていません。

・カベソー 60%
・メルロー 29%
・カベフラ 9%
・プチヴェルドー 1%
・カルメネール 1%
という具合です。この2012年モノは、
パーカーポイントが92点となかなか評価も良いんですが、
飲み頃が2017年から2035年とのことで、
もう少し寝かしておきたくなりますね。

クレール・ミロンの公式サイトをつぶさに見ると、
ブレンドにカルメネールを加え出したのが2003年のヴィンテージからです。
その間、2006年と2008年にはカルメネールが使われていません。
おそらくですが、晩熟でひ弱なカルメネールは、
フランスでは年によって日照時間など足りず、
ある特定の年には充分成熟できなかったことが考えられます。
(チリではこういう気候や生育条件をまったく気にせず、
カルメネールがガンガン育つんですから、
まさにチリうってつけの品種と言えます。)

ちなみに2009年のヴィンテージから登場したここのセカンドラベル、
「Pastourelle de Clerc Milon」もカルメネールを1%ブレンドしています。
ただ、その後のヴィンテージではカルメネールは入っていません。


PDClercMilon


さて、ボルドーに全部で41ヘクタールのカルメネールがあるわけですから、
他のシャトーも植えているところがあるはずです。

これまた、ネットで調べてみますと、
格付け2級のシャトー・ブラーヌ・カントナックが2007年から、
カルメネールの作付けを始めたとのこと。
まだ自畑の0.5%しかないようですが、
2011年からブレンドにも使っています。
2011年のヴィンテージで0.5%、2015年で1%を使用。
あと、セカンドラベルの「Baron de Brane」でも、
2014年のヴィンテージで0.6%使用しています。
残念ながら、この前飲んだセカンドラベルはカルメネールなしです。
美味しかったけど。


BraneCantenacCarm


しかし何故、今、ボルド―の絶滅品種、カルメネールなんでしょうね。
過去のボルドー主要品種であったそのブドウへの思いや、
何らかの意味があるんだと思わずにはいられません。

そのほか、僕の知るところでは、
シャトー・ル・ピュイがあります。
AOC Côtes de Bordeauxのワインでカルメネールを1%使用。
作付けもおそらく1%でしょう。


ChLeuPuy


ここはメルロー主体(85%)にカベフラ、
そこにカルメネール1%をブレンド。
やっぱり1%ではありますが、いずれは試してみたいですね。

その他にも、ボルドーには脈々とカルメネールが息づいているんでしょうね。
いつの世にか、また主要品種のひとつに躍り出たりすると面白いのに。


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

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尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

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