ル・キッド・ダルサック? 子供の描いたようなシャトーのイラストと相まって目を引きました。これはシャトー・ダルサック(Château d'Arsac)のセカンドだろうとピンときました。Les Hautes~とか、Petit~だけでなく、ボルドーのシャトーはいろいろと工夫を凝らしてセカンドラベルのネーミングを考えているようですが、Kid(子供)ときましたか。これは面白い。
シャトー・ダルサック(Château d'Arsac)は、AOCマルゴーの対象のコミューンであるアルサック村(Arsac)にある、歴史も12世紀にさかのぼるというメドックでも最古のシャトーの一つです。荒廃したシャトーを1986年にネゴシアンであったフィリップ・ラウー(Philippe Raoux)さんが取得し、10年間かけて改修と近代化を進め、シャトーを再興させます。畑も112ヘクタールまで広げ、1995年にはそのうちの54ヘクタールがAOCマルゴーとして認定され(残りはオー・メドックのようです。)、新たなシャトー・ダルサックの歴史が始まっています。
ラインナップとしては、AOCマルゴー(Margaux)のシャトー・ダルサックと、AOCオー・メドック(Haut-Médoc)のル・モンテイユ・ダルサック(Château Le Monteil d’Arsac)があり、これらとは別に、セカンドラベルとしてリュバン・ブルー・ダルサック(Ruban Bleu d’Arsac)というのがありました。これもオー・メドックでしたが、2018年よりファーストと同じくAOCマルゴーとなり、その名もル・キッド・ダルサック(Le Kid de d’Arsac)として再スタートしたのが今日のワインとなります。
シャトー・ダルサックは、メドック格付け(1855年)のシャトーではないですが、2020年にクリュ・ブルジョワ連盟が新たに発表した新クラス分けでは最高峰のクリュ・ブルジョワ・エクセプショネル(Cru Bourgeois Exceptionnel)に選出されています。(クリュ・ブルジョワ連盟の公式サイトに2020年のクラス分けのリストがあります。ご確認ください。)
公式ページは新しいワイナリーのごとくモダンな感じに仕上がっています。
ただ、今日のワイン、セカンドラベルが載っていません。ショップにチラっと写真があるだけ。
・カベルネ・ソーヴィニヨン 72%
・メルロー 28%
セパージュは裏ラベルに載ってました。その他詳細はネット情報ですが、熟成は30%を新樽で、残り70%をタンクで12ヶ月のようです。総量の3割だけですが新樽使用というのが面白いですね。(ファーストラベルは全量の50%を樽熟するようです。新樽率は50%。)
さあ、シャトー・ダルサックを訪問します。う~ん、敷地の中へ入れないですね。
遠くからでも立派なシャトーが見えます。手前には大きな池がありますね。外壁以外は全部ゼロから改修したそうです。シャトー正面に、斜めに鉄筋のようなものが立て掛けてありますが、エチケットのイラストにも斜め棒が描いてありました。敷地内にはたくさんのアート作品が飾られているんですが、この棒もアート作品なのでしょうか。真相は調べてもわかりませんでした。
INAOの地図を拝借して、AOCマルゴーの対象コミューンを見てみます。
マルゴー村だけでなく、スッサン(Soussans)、カントナック(Cantenac)、ラバルド(Labarde)、アルサック(Arsac)が対象です。ただし、マルゴー村とカントナック村は2017年に合併して「マルゴー・カントナック(Margaux-Cantenac)」という新しいコミューンになっています。
例によって、AOCマルゴーをGoogle Mapに転記しておきましょう。
アルサック村のシャトー・ダルサックの場所も書き込んでいます。アルサックにはシャトー・デュ・テルトル(Château du Tertre)という格付け第5級のシャトーもありましたね。非常に見にくいですが、AOCマルゴーのメドック格付け(1855年)シャトーの所在にそれぞれのロゴを貼っています。格付けシャトーがいかにマルゴー・カントナック村に集中しているかがわかります。
エチケット平面化画像。
裏ラベルに「ボク、キッド・ダルサックだよ。お父さんの自慢の息子なんだ。」などとフランス語でのたまっています。しかし、イラストの斜め棒。本物のシャトーにもあるとは。謎~。
インポーターシールは控えめに下の方に貼ってありました。
裏ラベル隠さないのは偉い。
さあ、抜栓。
ネックにもイラストがありますね。
コルク平面化。
このイラストは…コルクは専用品ってことですね。
Alc.13.5%。
ガーネット。大きさ中程度の色つき涙。
黒ベリー、ダークチェリー。
確かに新樽っぽい樽香はごく微か。
辛口アタック。
ちょうどいい酸を感じます。
ふくらみ感じるストラクチャーに、
一定の複雑味がそこそこ詰まっています。
それが何だか、ま~るいキッド(子供)の雰囲気。
程よいタンニンが加わりながらじんわりの余韻へ。
2018のファーストはパーカーおじさん91点です。
AOCマルゴーで登場したこのセカンド、
ファーストヴィンテージの2018は成功のようです
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Château d’Arsac
Le Kid de d’Arsac 2018
Margaux
Le Kid de d’Arsac 2018
Margaux
RRWポイント | 92点 |
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