シャトー・カントメルル。メドック格付け第5級です。ワインに興味を持っていろいろと飲み始めるとなると、どのあたりから始めるのが普通なんでしょうね。人それぞれでしょうが、やはりボルドーの格付けワインのこのあたりから始まり、1級を目指すというのが多いんじゃないでしょうか(笑)。そんな感じで温故知新、ボルドーの基本に戻ってみます。
カントメルルという名前は、Chante merle(クロツグミがさえずる)という、なんとも優雅な由来があります。クロツグミは英語で Blackbird。そうあのビートルズの歌に「Blackbird singing in the dead of night...」とあるブラックバードです。色は黒いですが美しい鳴き声の鳥です。
過去、ヴィルヌーヴ家 (1579~1892年) とデュボス家 (1892~1980年) が所有していた由緒ある名門シャトーなんですが、1855年の格付け時に第5級となったのは実は後付け(?)だったそうです。1855年のパリ万博に合わせてナポレオン三世の命を受け行われたメドックの格付けは、当時のワインの取り引き価格が元になっていたんですが、カントメルルはボルドーの仲買業者(クルティエ)を介さずオランダと直接取引をしていたため価格情報がなく格付けには漏れてしまいました。しかし、第5級に選ばれた他のワインよりはるかに高値で商売をしていることをヴィルヌーヴ家側が主張し、1855年のパリ万博開催中に遅ればせながら第5級に追加で認定されました。そんな経緯なのでカントメルルの名前は当時の文書の第5級の一番下に追記された感じになっていますが、けっしてワインの実力が第5級の末席だったというわけではないのです。
これが実際の格付けリストの第5級のページです。
矢印のところ、小さな字で申し訳程度に追記されています。「Cantemerle ~ Mme. Villeneuve Durfort ~ Macau」と書いているようです。マコー(Macau)はシャトーがある地域の名前です。
また、1973年にシャトー・ムートン・ロートシルトが第2級から第1級に(ズルをして…笑)昇格したのがこの格付けリストの唯一の変更と言われていますが、厳密にはシャトー・カントメルルの第5級への追加が最初の変更であったと言えるわけです。
シャトー・カントメルルは1981年に建設業の大手相互保険会社 SMABTP(Groupe SMA)に買収されましたが、ここが設備の刷新など大幅な投資をしているので近年の評価はうなぎ登りのようです。今日の2017年のパーカーおじさんの評価は91点。2019年には92点、2022年には94点と、どんどん進化しているようですね。
公式ページはきれいな写真もちりばめられ、情報・データも豊富。お洒落でカッコいいです。
データシートもミレジム毎にしっかり完備。
・カベルネ・ソーヴィニヨン 71%
手摘み収穫。グリーンハーベストもするそうです。完全除梗、マニュアルで選果後に破砕。ミディアムローストのフレンチオーク樽(新樽率40%)で12ヶ月の熟成です。
シャトー・カントメルルを訪問。ストビューで敷地内のきれいなシャトーは拝めず。
AOCマルゴーに近いマコー(Macau)というコミューンにありますので、AOCとしてはオー・メドック(Haut-Médoc)ということになります。
AOCマルゴーの地図で位置関係を見てみましょう。マルゴーに隣接してますから。
そう言えば、メドック格付けの全61シャトーを一覧でまとめていないことに気がつきました。格付けワインを飲む度にAOCごとにはまとめてるんですがね。ここらで一覧にまとめておきましょう。
※シャトー名をクリックするとそれぞれの個別記事(セカンドラベル含む)に飛びます。こうして見ると全61シャトー中 56 と9割がた制覇していますね。逆に言えばあと5シャトーでコンプリートです。そろそろ頑張りましょうか(笑)。
各シャトーの右欄にAOC名も入れてますが、各AOCの分布はこの地図で確認ください。
オー・メドック(Haut-Médoc)と言っても広くて、3つのエリアに分かれますね。シャトー・カントメルルはマルゴーの南側のオー・メドックになります。
エチケット平面化画像。
「Grand Cru Classé en 1855」が誇らしげです。
さあ、抜栓。
キャップシールも貫禄あります。
コルク平面化。
横にも腹にもミレジムが入っています。
カントメルルという名前は、Chante merle(クロツグミがさえずる)という、なんとも優雅な由来があります。クロツグミは英語で Blackbird。そうあのビートルズの歌に「Blackbird singing in the dead of night...」とあるブラックバードです。色は黒いですが美しい鳴き声の鳥です。
過去、ヴィルヌーヴ家 (1579~1892年) とデュボス家 (1892~1980年) が所有していた由緒ある名門シャトーなんですが、1855年の格付け時に第5級となったのは実は後付け(?)だったそうです。1855年のパリ万博に合わせてナポレオン三世の命を受け行われたメドックの格付けは、当時のワインの取り引き価格が元になっていたんですが、カントメルルはボルドーの仲買業者(クルティエ)を介さずオランダと直接取引をしていたため価格情報がなく格付けには漏れてしまいました。しかし、第5級に選ばれた他のワインよりはるかに高値で商売をしていることをヴィルヌーヴ家側が主張し、1855年のパリ万博開催中に遅ればせながら第5級に追加で認定されました。そんな経緯なのでカントメルルの名前は当時の文書の第5級の一番下に追記された感じになっていますが、けっしてワインの実力が第5級の末席だったというわけではないのです。
これが実際の格付けリストの第5級のページです。
矢印のところ、小さな字で申し訳程度に追記されています。「Cantemerle ~ Mme. Villeneuve Durfort ~ Macau」と書いているようです。マコー(Macau)はシャトーがある地域の名前です。
また、1973年にシャトー・ムートン・ロートシルトが第2級から第1級に(ズルをして…笑)昇格したのがこの格付けリストの唯一の変更と言われていますが、厳密にはシャトー・カントメルルの第5級への追加が最初の変更であったと言えるわけです。
シャトー・カントメルルは1981年に建設業の大手相互保険会社 SMABTP(Groupe SMA)に買収されましたが、ここが設備の刷新など大幅な投資をしているので近年の評価はうなぎ登りのようです。今日の2017年のパーカーおじさんの評価は91点。2019年には92点、2022年には94点と、どんどん進化しているようですね。
公式ページはきれいな写真もちりばめられ、情報・データも豊富。お洒落でカッコいいです。
データシートもミレジム毎にしっかり完備。
・カベルネ・ソーヴィニヨン 71%
・メルロー 25%
・プチ・ヴェルド 4%
・プチ・ヴェルド 4%
手摘み収穫。グリーンハーベストもするそうです。完全除梗、マニュアルで選果後に破砕。ミディアムローストのフレンチオーク樽(新樽率40%)で12ヶ月の熟成です。
シャトー・カントメルルを訪問。ストビューで敷地内のきれいなシャトーは拝めず。
AOCマルゴーに近いマコー(Macau)というコミューンにありますので、AOCとしてはオー・メドック(Haut-Médoc)ということになります。
AOCマルゴーの地図で位置関係を見てみましょう。マルゴーに隣接してますから。
マコー(Macau)とリュドン(Ludon)に畑を所有。総計98haにもなるそうです。
そう言えば、メドック格付けの全61シャトーを一覧でまとめていないことに気がつきました。格付けワインを飲む度にAOCごとにはまとめてるんですがね。ここらで一覧にまとめておきましょう。
格付 | 銘柄名 | AOC |
1級 | Ch. ラフィット・ロートシルト Château Lafite-Rothschild |
ポイヤック (Pauillac) |
1級 | Ch. ラトゥール Château Latour |
ポイヤック (Pauillac) |
1級 | Ch. ムートン・ロートシルト Château Mouton Rothschild |
ポイヤック (Pauillac) |
1級 | Ch. シャトー・マルゴー Château Margaux |
マルゴー (Margaux) |
1級 | Ch. オー・ブリオン Château Haut Brion |
ペサック・レオニャン (Pessac Leognan) |
2級 | Ch. ローザン・セグラ Château Rauzan-Ségla |
マルゴー (Margaux) |
2級 | Ch. ローザン・ガシー Château Rauzan-Gassies |
マルゴー (Margaux) |
2級 | Ch. デュルフォール・ヴィヴァン Château Durfort-Vivens |
マルゴー (Margaux) |
2級 | Ch. ラスコンブ Château Lascombes |
マルゴー (Margaux) |
2級 | Ch. ブラヌ・カントナック Château Brane Cantenac |
マルゴー (Margaux) |
2級 | Ch. ピション・バロン(Ch. ピション・ロングヴィル・バロン) Château Pichon Baron (au Baron de Pichon-Longville) |
ポイヤック (Pauillac) |
2級 | Ch. ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド Château Pichon Longueville Comtesse de Laland |
ポイヤック (Pauillac) |
2級 | Ch. コス・デストゥールネル Château Cos d’Estournel |
サン・テステフ (Saint-Estephe) |
2級 | Ch. モンローズ Château Montrose |
サン・テステフ (Saint-Estephe) |
2級 | Ch. レオヴィル・ラス・カーズ Château Léoville-Las-Cases |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
2級 | Ch. レオヴィル・ポワフェレ Château Léoville-Poyferré |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
2級 | Ch. レオヴィル・バルトン Château Léoville-Barton |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
2級 | Ch. グリュオ・ラローズ Château Gruaud Larose |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
2級 | Ch. デュクリュ・ボーカイユ Château Ducru Beaucaillou |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
3級 | Ch. ラ・ラギュンヌ Château La Lagune |
オー・メドック (Haut-Medoc) |
3級 | Ch. キルヴァン Château Kirwan |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. ディッサン Château d’Issan |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. ボイド・カントナック Château Boyd Cantenac |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. カントナック・ブラウン Château Cantenac Brown |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. パルメ Château Palmer |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. デスミライユ Château Desmirail |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. ジスクール Château Giscours |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. マレスコ・サン・テグジュペリ Château Malescot St.Exupery |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. フェリエール Château Ferrière |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. マルキ・ダレム(ベッケー) Château Marquis d’Alesme (Becker) |
マルゴー (Margaux) |
3級 | Ch. カロン・セギュール Château Calon Ségur |
サン・テステフ (Saint-Estephe) |
3級 | Ch. ラグランジュ Château Lagrange |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
3級 | Ch. ランゴア・バルトン Château Langoa Barton |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
4級 | Ch. ラ・トゥール・カルネ Château La Tour Carnet |
オー・メドック (Haut-Medoc) |
4級 | Ch. プージェ Château Pouget |
マルゴー (Margaux) |
4級 | Ch. プリウレ・リシーヌ Château Prieuré-Lichine |
マルゴー (Margaux) |
4級 | Ch. マルキ・ド・テルム Château Marquis de Terme |
マルゴー (Margaux) |
4級 | Ch. デュアール・ミロン Château Duhart Milon |
ポイヤック (Pauillac) |
4級 | Ch. ラフォン・ロシェ Château Lafon-Rochet |
サン・テステフ (Saint-Estephe) |
4級 | Ch. サン・ピエール Château Saint-Pierre |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
4級 | Ch. タルボ Château Talbot |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
4級 | Ch. ブラネール・デュクリュ Château Branaire Ducru |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
4級 | Ch. ベイシュヴェル Château Beychevelle |
サン・ジュリアン (Saint-Julien) |
5級 | Ch. ベルグラーヴ Château Belgrave |
オー・メドック (Haut-Medoc) |
5級 | Ch. カマンサック Château de Camensac |
オー・メドック (Haut-Medoc) |
5級 | Ch. カントメルル Château Cantemerle |
オー・メドック (Haut-Medoc) |
5級 | Ch. ドーザック Château Dauzac |
マルゴー (Margaux) |
5級 | Ch. デュ・テルトル Château Du Tertre |
マルゴー (Margaux) |
5級 | Ch. ポンテ・カネ Château Pontet Canet |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. バタイエ Château Batailley |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. オー・バタイエ Château Haut-Batailley |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. グラン・ピュイ・ラコスト Château Grand Puy Lacoste |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. グラン・ピュイ・デュカス Château Grand Puy Ducasse |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. ランシュ・バージュ Château Lynch Bages |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. ランシュ・ムーサ Château Lynch Moussas |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. ダルマイヤック Château d’Armailhac |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. オー・バージュ・リベラル Château Haut-Bages-Libéral |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. ペデスクロー Château Pédesclaux |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. クレール・ミロン Château Clerc Milon |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. クロワゼ・バージュ Château Croizet Bages |
ポイヤック (Pauillac) |
5級 | Ch. コス・ラボリ Château Cos Labory |
サン・テステフ (Saint-Estephe) |
各シャトーの右欄にAOC名も入れてますが、各AOCの分布はこの地図で確認ください。
オー・メドック(Haut-Médoc)と言っても広くて、3つのエリアに分かれますね。シャトー・カントメルルはマルゴーの南側のオー・メドックになります。
エチケット平面化画像。
「Grand Cru Classé en 1855」が誇らしげです。
さあ、抜栓。
キャップシールも貫禄あります。
コルク平面化。
横にも腹にもミレジムが入っています。
Alc.13%。
濃いガーネット。
黒ベリー、樽香のヌルっと濡れ木感、コショウ。
辛口アタック。
程よい酸がバランスのいい素性の良さを予感させます。
構造感しっかり、複雑味もいい感じ。
やはりいい均衡でうまさが続きます。
喉越しでタンニンの収斂性感じながらの余韻も貫禄ありました。
パーカーおじさんの91点より上を付けました。
*****
Château Cantemerle 2017
Haut-Médoc
Haut-Médoc
RRWポイント | 94点 |
---|