Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

メドック格付け第5級

Château Cantemerle 2017 Haut-Médoc

シャトー・カントメルル。メドック格付け第5級です。ワインに興味を持っていろいろと飲み始めるとなると、どのあたりから始めるのが普通なんでしょうね。人それぞれでしょうが、やはりボルドーの格付けワインのこのあたりから始まり、1級を目指すというのが多いんじゃないでしょうか(笑)。そんな感じで温故知新、ボルドーの基本に戻ってみます。

IMG_0248
カントメルルという名前は、Chante merle(クロツグミがさえずる)という、なんとも優雅な由来があります。クロツグミは英語で Blackbird。そうあのビートルズの歌に「Blackbird singing in the dead of night...」とあるブラックバードです。色は黒いですが美しい鳴き声の鳥です。
過去、ヴィルヌーヴ家 (1579~1892年) とデュボス家 (1892~1980年) が所有していた由緒ある名門シャトーなんですが、1855年の格付け時に第5級となったのは実は後付け(?)だったそうです。1855年のパリ万博に合わせてナポレオン三世の命を受け行われたメドックの格付けは、当時のワインの取り引き価格が元になっていたんですが、カントメルルはボルドーの仲買業者(クルティエ)を介さずオランダと直接取引をしていたため価格情報がなく格付けには漏れてしまいました。しかし、第5級に選ばれた他のワインよりはるかに高値で商売をしていることをヴィルヌーヴ家側が主張し、1855年のパリ万博開催中に遅ればせながら第5級に追加で認定されました。そんな経緯なのでカントメルルの名前は当時の文書の第5級の一番下に追記された感じになっていますが、けっしてワインの実力が第5級の末席だったというわけではないのです。

これが実際の格付けリストの第5級のページです。
1855CM
矢印のところ、小さな字で申し訳程度に追記されています。「Cantemerle ~ Mme. Villeneuve Durfort ~ Macau」と書いているようです。マコー(Macau)はシャトーがある地域の名前です。

また、1973年にシャトー・ムートン・ロートシルトが第2級から第1級に(ズルをして…笑)昇格したのがこの格付けリストの唯一の変更と言われていますが、厳密にはシャトー・カントメルルの第5級への追加が最初の変更であったと言えるわけです。

シャトー・カントメルルは1981年に建設業の大手相互保険会社 SMABTP(Groupe SMA)に買収されましたが、ここが設備の刷新など大幅な投資をしているので近年の評価はうなぎ登りのようです。今日の2017年のパーカーおじさんの評価は91点。2019年には92点、2022年には94点と、どんどん進化しているようですね。

公式ページはきれいな写真もちりばめられ、情報・データも豊富。お洒落でカッコいいです。

データシートもミレジム毎にしっかり完備。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 71%
・メルロー 25%
・プチ・ヴェルド 4%

手摘み収穫。グリーンハーベストもするそうです。完全除梗、マニュアルで選果後に破砕。ミディアムローストのフレンチオーク樽(新樽率40%)で12ヶ月の熟成です。

シャトー・カントメルルを訪問。ストビューで敷地内のきれいなシャトーは拝めず。
Cantemerle01
AOCマルゴーに近いマコー(Macau)というコミューンにありますので、AOCとしてはオー・メドック(Haut-Médoc)ということになります。

AOCマルゴーの地図で位置関係を見てみましょう。マルゴーに隣接してますから。
AOC_Margaux_Communes
マコー(Macau)とリュドン(Ludon)に畑を所有。総計98haにもなるそうです。

そう言えば、メドック格付けの全61シャトーを一覧でまとめていないことに気がつきました。格付けワインを飲む度にAOCごとにはまとめてるんですがね。ここらで一覧にまとめておきましょう。
格付 銘柄名 AOC
1級 Ch. ラフィット・ロートシルト
Château Lafite-Rothschild
ポイヤック
(Pauillac)
1級 Ch. ラトゥール
Château Latour
ポイヤック
(Pauillac)
1級 Ch. ムートン・ロートシルト
Château Mouton Rothschild
ポイヤック
(Pauillac)
1級 Ch. シャトー・マルゴー
Château Margaux
マルゴー
(Margaux)
1級 Ch. オー・ブリオン
Château Haut Brion
ペサック・レオニャン
(Pessac Leognan)
2級 Ch. ローザン・セグラ
Château Rauzan-Ségla
マルゴー
(Margaux)
2級 Ch. ローザン・ガシー
Château Rauzan-Gassies
マルゴー
(Margaux)
2級 Ch. デュルフォール・ヴィヴァン
Château Durfort-Vivens
マルゴー
(Margaux)
2級 Ch. ラスコンブ
Château Lascombes
マルゴー
(Margaux)
2級 Ch. ブラヌ・カントナック
Château Brane Cantenac
マルゴー
(Margaux)
2級 Ch. ピション・バロン(Ch. ピション・ロングヴィル・バロン)
Château Pichon Baron (au Baron de Pichon-Longville)
ポイヤック
(Pauillac)
2級 Ch. ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド
Château Pichon Longueville Comtesse de Laland
ポイヤック
(Pauillac)
2級 Ch. コス・デストゥールネル
Château Cos d’Estournel
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
2級 Ch. モンローズ
Château Montrose
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
2級 Ch. レオヴィル・ラス・カーズ
Château Léoville-Las-Cases
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級 Ch. レオヴィル・ポワフェレ
Château Léoville-Poyferré
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級 Ch. レオヴィル・バルトン
Château Léoville-Barton
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級 Ch. グリュオ・ラローズ
Château Gruaud Larose
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級 Ch. デュクリュ・ボーカイユ
Château Ducru Beaucaillou
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
3級 Ch. ラ・ラギュンヌ
Château La Lagune
オー・メドック
(Haut-Medoc)
3級 Ch. キルヴァン
Château Kirwan
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. ディッサン
Château d’Issan
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. ボイド・カントナック
Château Boyd Cantenac
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. カントナック・ブラウン
Château Cantenac Brown
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. パルメ
Château Palmer
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. デスミライユ
Château Desmirail
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. ジスクール
Château Giscours
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. マレスコ・サン・テグジュペリ
Château Malescot St.Exupery
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. フェリエール
Château Ferrière
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. マルキ・ダレム(ベッケー)
Château Marquis d’Alesme (Becker)
マルゴー
(Margaux)
3級 Ch. カロン・セギュール
Château Calon Ségur
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
3級 Ch. ラグランジュ
Château Lagrange
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
3級 Ch. ランゴア・バルトン
Château Langoa Barton
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級 Ch. ラ・トゥール・カルネ
Château La Tour Carnet
オー・メドック
(Haut-Medoc)
4級 Ch. プージェ
Château Pouget
マルゴー
(Margaux)
4級 Ch. プリウレ・リシーヌ
Château Prieuré-Lichine
マルゴー
(Margaux)
4級 Ch. マルキ・ド・テルム
Château Marquis de Terme
マルゴー
(Margaux)
4級 Ch. デュアール・ミロン
Château Duhart Milon
ポイヤック
(Pauillac)
4級 Ch. ラフォン・ロシェ
Château Lafon-Rochet
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
4級 Ch. サン・ピエール
Château Saint-Pierre
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級 Ch. タルボ
Château Talbot
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級 Ch. ブラネール・デュクリュ
Château Branaire Ducru
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級 Ch. ベイシュヴェル
Château Beychevelle
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
5級 Ch. ベルグラーヴ
Château Belgrave
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級 Ch. カマンサック
Château de Camensac
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級 Ch. カントメルル
Château Cantemerle
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級 Ch. ドーザック
Château Dauzac
マルゴー
(Margaux)
5級 Ch. デュ・テルトル
Château Du Tertre
マルゴー
(Margaux)
5級 Ch. ポンテ・カネ
Château Pontet Canet
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. バタイエ
Château Batailley
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. オー・バタイエ
Château 
Haut-Batailley
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. グラン・ピュイ・ラコスト
Château Grand Puy Lacoste
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. グラン・ピュイ・デュカス
Château Grand Puy Ducasse
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. ランシュ・バージュ
Château Lynch Bages
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. ランシュ・ムーサ
Château Lynch Moussas
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. ダルマイヤック
Château d’Armailhac
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. オー・バージュ・リベラル
Château Haut-Bages-Libéral
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. ペデスクロー
Château Pédesclaux
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. クレール・ミロン
Château Clerc Milon
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. クロワゼ・バージュ
Château Croizet Bages
ポイヤック
(Pauillac)
5級 Ch. コス・ラボリ
Château Cos Labory
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
※シャトー名をクリックするとそれぞれの個別記事(セカンドラベル含む)に飛びます。こうして見ると全61シャトー中 56 と9割がた制覇していますね。逆に言えばあと5シャトーでコンプリートです。そろそろ頑張りましょうか(笑)。

各シャトーの右欄にAOC名も入れてますが、各AOCの分布はこの地図で確認ください。
Bordeaux001
オー・メドック(Haut-Médoc)と言っても広くて、3つのエリアに分かれますね。シャトー・カントメルルはマルゴーの南側のオー・メドックになります。


エチケット平面化画像。
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「Grand Cru Classé en 1855」が誇らしげです。


さあ、抜栓。
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キャップシールも貫禄あります。

コルク平面化。
IMG_0245
横にも腹にもミレジムが入っています。

Alc.13%。
濃いガーネット。
IMG_0246

黒ベリー、樽香のヌルっと濡れ木感、コショウ。
辛口アタック。
程よい酸がバランスのいい素性の良さを予感させます。
構造感しっかり、複雑味もいい感じ。
やはりいい均衡でうまさが続きます。
喉越しでタンニンの収斂性感じながらの余韻も貫禄ありました。
パーカーおじさんの91点より上を付けました。


*****

Château Cantemerle 2017
Haut-Médoc
RRWポイント 94点


Château Grand-Puy Ducasse Le Cloître de Grand-Puy Ducasse 2011 Pauillac

メドック格付け第5級、ポイヤックのシャトー・グラン・ピュイ・デュカス…のセカンドラベルです(たぶん)。はい、福袋からの一本(笑)。しかし、セカンドにせよグラン・ピュイ・デュカスはお初なんですよね。合計61シャトーが格付けされていますが、セカンド(やサード)まで数えて良いなら、これで55シャトー目です。1~2級はコンプリートしてますから、残すは3~5級の有象無象です。(笑)

IMG_6232
17世紀半ば、アルノー・デュカス(Arnaud Ducasse)さんがポイヤックにわずかな土地を購入したのが始まりといいます。1768年に弁護士のピエール・デュカス(Pierre Ducasse)さんが相続したり買い集めた畑なんかをまとめて拡大し、その息子がデュカス・グラン・ピュイ・アルティーグ・アルノー(Ducasse-Grand-Puy-Artigues-Arnaud)としてシャトーとし、ジロンド川のほとりに現在のシャトーとなる建物を建てます。1820年のことでした。以降、1855年に格付けをされた後もデュカス家が所有しますが、1932年に家族内の内紛争解決として「Grand-Puy-Ducasse」の名で法人化されました。
1971年には落ちぶれたシャトーを投資家グループが買い取り改革に乗り出しますが、2004年さらにそこを買い取ったのがフランスの大手金融機関クレディ・アグリコールの子会社、CA Grands Cruでした。ここはシャトー・メイネイなんかも所有していて、グラン・ピュイ・デュカスを再興させるべく投資・改革を推進しているそうです。近年はシャトー・アンジェリュスのオーナー、ユベール・ド・ブアール(Hubert de Boüard)氏をコンサルに迎えるなど、改革に余念がありません。

公式ページはなんと工事中。一部のページは動きますが、ワイン紹介ページが不完全です。

今日のセカンドラベルを確認することもできず、裏ラベルやネットの情報に頼ります。いろんな名前のセカンドらしきものを出していますが、「Prélude à Grand-Puy Ducasse」というのが今の名前のようです。
・メルロー 55%
・カベソー 45%
わずかながらメルロー主体のブレンドでした。樽使いは新樽率10~15%のフレンチオークで12~18ヶ月のようです。


さあ、珍しいポイヤックの町の中にあるというシャトーを訪問します。
Ducasse00jpg
ポイヤックの市街地、それもジロンド川沿いなので、当然畑はまわりにはありません。以前このブログに載せていたポイヤックの地図では、Google Mapが指し示す場所にグラン・ピュイ・デュカスの所在を記していたため、シャトー・バタイエの隣になってるものがあります。これは畑の方ですね。こんな町中にシャトーがあると思っていなかったので…。(笑)

しかし、グラン・ピュイ・デュカスの畑は合計40haあるものの、ポイヤック内の4ヶ所に広がってるようで、どこにあるんだか公式ページが動かない現在、調べようがありません。困ったなと思っていたら…。

Youtubeで公式動画を発見したのですが、なんとここに畑の所在・詳細が載ってました。

やはり、かなりの範囲に広がっています。どこそこの畑と隣接とか文章での解説もネットにはありますが、これは動画でないとわからないレベルですね。これはいいものを見つけました。

一番わかりやすい画面をスクショしました。起伏までわかって素晴らしいです。
Ducasse001jpg
「Jachères」ってどんなブドウだ?白品種?と思って調べたら「休耕地」の意味でした。(ギャフン!)作付けは、カベソー:メルロー、60%:40%となっています。

最後に恒例の地図でポイヤックの他の格付けシャトーとの位置関係を確認。
Ducasse01jpg
グラン・ピュイ・デュカスは正しい位置になってますのでご心配なく。

ポイヤックは名だたる第1級が3つもあります。第2級は元シャトー・ピション・ロングヴィルの2つですね。ところが第3級がゼロで、第4級がデュアール・ミロンのみ。あとは第5級が12もあります。どれが3級か4級かとかで混乱しないので、ポイヤックは割と覚えやすいかもしれません。まとめておきます。上の地図で位置関係も確認しましょう。

<第1級>
・Ch. Lafite-Rothschild(ラフィット・ロートシルト)
・Ch. Mouton Rothschild(ムートン・ロートシルト)
・Ch. Latour(ラトゥール)
<第2級>
・Ch. Pichon-Longueville-Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
・Ch. Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)
<第3級>なし
<第4級>
・Ch. Duhart-Milon(デュアール・ミロン・ロートシルト)
<第5級>
・Ch. d’Armailhac(ダルマイヤック)
・Ch. Clerc-Milon(クレール・ミロン)
・Ch. Batailley(バタイエ)
・Ch. Haut-Batailley(オー・バタイエ)
・Ch. Haut-Bages-Libéral(オー・バージュ・リベラル)
・Ch. Croizet-Bages(クロワゼ・バージュ)
・Ch. Lynch-Bages(ランシュ・バージュ)
・Ch. Lynch-Moussas(ランシュ・ムーサ)
Ch. Grand-Puy-Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
・Ch. Grand-Puy-Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
・Ch. Pédesclaux(ペデスクロー)
・Ch. Pontet-Canet(ポンテ・カネ)

合計18シャトーです。


エチケット平面化画像。
IMG_6215
フランス語ですが裏ラベルには詳細解説やセパージュがあり助かります。

しかし、いつもながらこれを丸隠しにするインポーター。
IMG_6214
バーコードを隠すのならまだしもこれはなんだ? 貼り間違いのチョンボ?


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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このセカンド「Le Cloître de Grand-Puy Ducasse」専用品ですね。

Alc.13% 。
エッジ褐変の濃いガーネット。酒石がすごい、結晶キラキラがコルク裏にびっしり。
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黒ベリー、ダークチェリー、スパイス、森の下草。
酸味がきつめの辛口アタック。
タンニンも最初から際立ってます。
味の実体にたどり着くのに時間を要するくらい。
味の厚み・深みは出ていますが、
酸とタンニンが依然邪魔をしてきます。
と思っていると、すでに余韻に入ってる!?

熟成感は楽しめるんですが、荒々しいデコボコ感があります。
バランスの悪さではなく、保存状態か欠陥の疑いも拭えないレベル…。


*****

Château Grand-Puy Ducasse
Le Cloître de Grand-Puy Ducasse 2011
Pauillac
RRWポイント 87点


Château Croizet-Bages La Chartreuse de Croizet-Bages 2011 Pauillac

メドック格付け第5級、シャトー・クロワゼ・バージュ…のセカンドラベルです。意図してゲットしたわけではなく、福袋でセットになっていたやつ(笑)。ポイヤックの格付けシャトーでも今一つ評価がパッとしない感じですが、せっかくなので開けてしまいましょう。

IMG_6019
Château Croizet-Bages の歴史は18世紀初頭にまでさかのぼります。兄弟でボルドー議会の議員であったというクロワゼ(Croizet)兄弟がポイヤックの中心に畑を買い集め設立しました。これがシャトーの名前の由来になっています。
その後、19~20世紀初頭のフィロキセラ禍とその後の所有者の相次ぐ破産に深刻な打撃を受けましたが、1942年にポール・キエ(Paul Quié)さんに買収され現在に至ります。キエ家はシャトーの改修に着手し、1968年に経営を引き継いだ息子のジャン・ミシェル(Jean-Michel)さんによって完成しました。2000年に、さらにジャン・ミシェルさんの子供たち、アンヌ・フランソワーズ(Anne-Françoise)さんとジャン・フィリップ(Jean-Philippe)さんがシャトー・クロワゼ・バージュを引き継ぎ、この20年シャトーのアイデンティティーを表現したワインを作ることに心血を注いできたということです。
シャトーは現在、2024年に完了する予定の改修が行われています。新しいワイナリーやセラーなど、最新の技術設備に刷新するようです。


単独の公式ページはなさそうで、オーナーのキエ家のページ内にあります。

キエ家はメドック格付け第2級のシャトー・ローザン・ガシーや、ベル・オルム・トロンコワ・ド・ラランドというブルジョワ級のシャトーも所有しており、この公式サイトに同居しているためか、各シャトーの内容は貧弱です。
現在のシャトー・クロワゼ・バージュのセカンドラベルは「Alias Croizet-Bages」ということになっています。過去はいろんな名前、パターンがあったみたいですね。
・カベソー 75%
・メルロー 25%
セパージュは裏ラベルにありました。熟成は現在のセカンドと同じであれば、フレンチオーク樽で12ヶ月というところでしょう。

Union des Grands Crus de Bordeauxというボルドーの格付けシャトー組合?のようなサイトにクロワゼ・バージュ含め少し詳しい情報が載っていました。

ボルドー全域の主要シャトーをカバーしていますが、なぜかシャトー・ラトゥールがありません。メンバーじゃないようですね。


さあ、シャトー訪問。ランシュ・バージュとは道を隔てて隣接してます。
Croizet-Bages01
おやおや、シャトー名のアルファベットが一部落ちてしまってます。「Château」の「T」と、「Pauillac」なんか「A」が2つとも(笑)。これも2024年完成の大改修で直されるでしょう。

マップ上でポイヤックの他の格付けシャトーとの位置関係を確認。
Croizet-Bages02
ポイヤックの格付けシャトーをまとめておきます。地図と合わせてご確認を。

<第1級>
・Ch. Lafite-Rothschild(ラフィット・ロートシルト)
・Ch. Mouton Rothschild(ムートン・ロートシルト)
・Ch. Latour(ラトゥール)

<第2級>
・Ch. Pichon-Longueville-Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
・Ch. Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)

<第3級>なし

<第4級>
・Ch. Duhart-Milon(デュアール・ミロン・ロートシルト)

<第5級>
・Ch. d’Armailhac(ダルマイヤック)
・Ch. Clerc-Milon(クレール・ミロン)
・Ch. Batailley(バタイエ)
・Ch. Haut-Batailley(オー・バタイエ)
・Ch. Haut-Bages-Libéral(オー・バージュ・リベラル)
Ch. Croizet-Bages(クロワゼ・バージュ)
・Ch. Lynch-Bages(ランシュ・バージュ)
・Ch. Lynch-Moussas(ランシュ・ムーサ)
・Ch. Grand-Puy-Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
・Ch. Grand-Puy-Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
・Ch. Pédesclaux(ペデスクロー)
・Ch. Pontet-Canet(ポンテ・カネ)
合計18シャトーです。

ポイヤックは名だたる第1級が3つもありますし、第2級も2つ。ところが第3級がゼロで、第4級がデュアール・ミロンのみです。で、あとは第5級が12も。第5級の宝庫です。(笑)

クロワゼ・バージュと、ご近所のオー・バージュ・リベラルとランシュ・バージュの3つのシャトーはポイヤックの「バージュの丘」にあり、みんな仲良く第5級(笑)。評価ではランシュ・バージュが頭3つくらい飛び抜けていますが。


エチケット平面化画像。
IMG_5894
あまりにきれいに貼ってあったので、インポーターシールが裏ラベルの解説を隠していることに気が付きませんでした。


さあ、抜栓。
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さすが格付けシャトーという感じのキャップシールのエンボス。

コルク平面化。
IMG_6014
このセカンドラベルの専用品ですね。ミレジムも横に打ってあっていい感じです。

Alc.13%。(pH:4.18、Brix:7.0)
エッジ褐変な濃いガーネット。
IMG_6017

黒ベリー、ダークチェリー、シダ、湿った木の樽香。
辛口アタック。
が、少し水臭い風味がついてきます。
熟成感や複雑さはあるんですが、厚みは少ないようです。
これが意図したサードの味わいでしょうか。
かいつまんで言うと、マイクロにこじんまりしながらも、
バランスとしていい均衡はある…って感じでしょうか。
2011年ですから、タンニンも十分こなれて、
余韻も全要素が溶けあって好バランスを演出しています。

2011年の熟成のなせる業でしょうか。
何気に以前試した2015年のファーストラベルより高評価(笑)。


*****


Château Croizet-Bages
La Chartreuse de Croizet-Bages 2011
Pauillac
RRWポイント 92点



Château du Tertre Les Hauts du Tertre 2012 Margaux

メドック格付け第5級、ちょっと影が薄いシャトー・デュ・テルトルです。
で、例によって、そのセカンド・ワインをお試しするのであります。
世間的評価は、1978年以降ムラがなく、1998年に現オーナーになってからは、
畑の整備や醸造設備の刷新に資金が投入され更なる高品質化がされてるとか。
まあ、今日はその高評価のファーストではなくセカンドなんですが…。(笑)


IMG_2715
オランダ人のエリック・アルバダ・イェルヘルスマ(Eric Albada Jelgersma )
氏がオーナーなのですが、この人、シャトー・ジスクールを1995年に取得、
3年後の1998年にシャトー・デュ・テルトルも買っちゃってるわけです。
オランダでスーパーマーケットチェーンを持つ実業家で資金は潤沢そうですが。
ネット記事を見ていると、2018年に79歳で亡くなられたそうです。合掌…。


公式ページは、さすがにシャトー・ジスクールのと体裁が似ています。

セカンドもちゃんと載ってますが、情報が薄いのも似ていて、これは困ります。
以下のシャトーの作付け割合のみで、個々のワインのセパージュが載ってません。
・カベソー 43%
・メルロー 33%
・カベフラ 19%
・プチヴェルド 5%
ファーストは作付けに近いかもしれませんが、セカンドはかなり違うはずです。

ネット情報を集め、それらしいのを比較検討し、結果これが一番確からしい。
・カベソー 40%
・メルロー 30%
・カベフラ 30%
どうやって確からしいか判断してるかというと、正確な情報を載せてそうな(笑)
(ミレジム毎にデータが整理されアルコール度数他も正確)欧州のショップの、
複数の情報が一致した場合に採用します。あとは勘。(笑)
熟成も一致した意見が、新樽率30%で12ヶ月になってます。


さあ、マルゴーAOCでも外れになるアルサック村にあるシャトー訪問。
ストビューでは敷地内に入れず。代わりに空撮写真をつけておきます。
Tertre01
シャトー名の「Tertre」は高台のこと。マルゴーでは一番高い丘にあるそう。
アルサック村はジロンド川から遠いですが、ムーリナ川という小川があり、
シャトーの所有畑をぐるっと囲むように流れています。
また、マルゴー村やカントナック村のシャトーのように区画が分断されず、
シャトーの周辺に整然とかたまってあるのも好感が持てます。


さて、今日はいつもの「マルゴーまるごと地図」ではなく新作です。
シャトー・デュ・テルトル目線で作り直し。ちゃんと上が北です。(笑)
MarMargaux
マルゴー村は少々混みあってますが(笑)全格付けシャトーを明記してます。
以下にリストアップしますので、地図で位置(所在村)確認しましょう。

<MARGAUX マルゴー村>(9シャトー)
(第1級)Château Margaux(マルゴー)
(第2級)Château Durfort-Vivens(デュルフォール・ヴィヴァン)
     Château Lascombes(ラスコンブ)
     Château Rauzan-Ségla(ローザン・セグラ)
     Château Rauzan-Gassies(ローザン・ガシー)
(第3級)Château Ferrière(フェリエ―ル)
     Château Malescot-Saint-Exupéry(マレスコ・サン・テグジュペリ)
     Château Marquis-d’Alesme(マルキ・ダレーム)
(第4級)Château Marquis-de-Terme(マルキ・ド・テルム)

<CANTENAC カントナック村>(9シャトー)
(第2級)Château Brane-Cantenac(ブラーヌ・カントナック)
(第3級)Château Boyd-Cantenac(ボイド・カントナック)
     Château Cantenac-Brown(カントナック・ブラウン)
     Château Desmirail(デスミライユ)
     Château d’Issan(ディッサン)
     Château Kirwan(キルヴァン)
     Château Palmer(パルメ)
(第4級)Château Pouget(プージェ)
     Château Prieuré-Lichine(プリューレ・リシーヌ)

<LABARDE ラバルド村>(2シャトー)
(第3級)Château Giscours(ジスクール)
(第5級)Château Dauzac(ドーザック)

<ARSAC アルサック村>(1シャトー)
(第5級)Château du Tertre(デュ・テルトル)

以上の合計21シャトーになります。


エチケット平面化画像。
IMG_2599
裏ラベルにプチヴェルドも混ぜてるって書いてますね。(汗)
じゃあ、第二候補のこれかな?
・カベソー 33%
・メルロー 32%
・カベフラ 30%
・プチヴェルド 5%

インポーターシールは裏ラベルを隠さない偉いタイプです。
IMG_2716


さあ、抜栓。
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セカンド・ワインでも手抜きのない感じのコルク。

平面化しておきましょう。
IMG_2711
セカンド専用デザイン、横ミレジム入り、完璧です。

Alc.12.5%。
濃いガーネット。エッジが結構褐変しています。ねっとり系の涙。
IMG_2714

黒ベリー、スパイス、なめし皮、森の下草。
スモーキーな感じプンプンです。
辛口アタック。
でも、薄っすらと酸が健在ですね。
枯れることなく生き生き感を与えてます。
圧倒的な複雑味と構造感がパレットに迫ります。
タンニンもしっかりこなれシルキー。
余韻に入っても、これら同じバランスで続き、
おさらいができますよ。
最初の酸はまろやかで最後までいい仕事してます。

これはなかなか傑出してるワインじゃないでしょうか。
ファーストが気になりますね。


*****


Château du Tertre
Les Hauts du Tertre 2012
Margaux
RRWポイント 94点


Château Batailley Lions de Batailley 2015

メドック格付け第5級、ポイヤックのシャトー・バタイエです。
例によってそのセカンドワイン、リオン・ド・バタイエをいただきます。
歴史が古く、百年戦争(1339~1453年)が敷地や畑で繰り広げられたそうで、
シャトーの名前はバタイエ(Bataille=戦い)に由来するそうです。


IMG_2085
ボルドー大手ネゴシアンのボリー・マヌー(Borie-Manoux)社のオーナー、
カステジャ(Casteja)家が現在所有しています。
ボルドーの通常ルートに乗らない流通政策で、長らく過小評価されてたそうですが、
今日のと同じ2015年のファーストにパーカーおじさんは93-95点をつけていますから、
なかなか良さげです。(因みに今日のセカンド2015年は89点ですが…。笑)
 

公式ページはあっさり、こじんまりとした作り。

ミレジム毎のデータなんかないですし、なにより今日のセカンドが載ってません。
というのもセカンドワインは2014年が初リリースで、限定数量だったため、
この2015年が実質的に最初のセカンドワインになるようです。
従って、ネット情報に頼りますがデータがまちまちで一定してません。
仕方がないのでパーカーおじさんのコメントからセパージュはこれが正解と判断。
・カベソー 60%
・メルロー 33%
・カベフラ 6%
・プチヴェルド 1%
シャトー・バタイエの生産量の1/3強がセカンドに回されるそうで、
若木からとかなんでしょうけど、かなりの割合ではないかと思います。
樽熟は、ファーストが16~18ヶ月ですがセカンドは不明。


シャトー訪問はうまく近寄れなかったので、周辺地図にコラージュ。
近隣の格付けシャトーも確認。サン・ジュリアンにも結構近いです。
Pauillac_Batailley2
すぐ近くにシャトー・オー・バタイエ(Château Haut-Batailley)がありますが、
ただ名前が似てるのではなく、1942年にシャトー・バタイエの一部の畑が分割され、
シャトー・バタイエとシャトー・オー・バタイエに分かれました。
シャトーの建物は分割できないので、オー・バタイエの建物は後付けでショボいです。
オー・バタイエの方は2017年にシャトー・ランシュ・バージュのオーナーでもある、
カーズ家が所有することになり今に至ってます。

いつものポイヤック全体地図上にもシャトー位置を示しました。
Pauillac_Batailley
ポイヤックは名だたる第1級が3つもありますし、第2級も2つ。
ところが第3級がゼロで、第4級がデュアール・ミロンのみです。
あとは第5級が12もあります。で、今日のシャトー・バタイエも5級です。

まとめておきます。上の地図で位置関係も確認しましょう。
<第1級>
・Ch. Lafite-Rothschild(ラフィット・ロートシルト)
・Ch. Mouton Rothschild(ムートン・ロートシルト)
・Ch. Latour(ラトゥール)
<第2級>
・Ch. Pichon-Longueville-Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
・Ch. Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)
<第3級>なし
<第4級>
・Ch. Duhart-Milon(デュアール・ミロン・ロートシルト)
<第5級>
・Ch. d’Armailhac(ダルマイヤック)
・Ch. Clerc-Milon(クレール・ミロン)
Ch. Batailley(バタイエ)
・Ch. Haut-Batailley(オー・バタイエ)
・Ch. Haut-Bages-Libéral(オー・バージュ・リベラル)
・Ch. Croizet-Bages(クロワゼ・バージュ)
・Ch. Lynch-Bages(ランシュ・バージュ)
・Ch. Lynch-Moussas(ランシュ・ムーサ)
・Ch. Grand-Puy-Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
・Ch. Grand-Puy-Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
・Ch. Pédesclaux(ペデスクロー)
・Ch. Pontet-Canet(ポンテ・カネ)
合計18シャトーです。


エチケット平面化画像。
IMG_2076
ファーストは金ピカですが、セカンドは似た図案ながら白地でシンプル。
シャトーの両脇にライオン(Lions)が加えられています。

インポーターシールは裏ラベルを隠していませんでした。エライ。
IMG_2077


さて、抜栓です。
IMG_2083
キャップシール、コルクともにセカンド専用デザインを奢っています。
ネックにも装飾があったので貼っておきました。

コルクも平面化。上下のない面白い図案です。
IMG_2078
コルク横にミレジム入り。セカンドでも手抜きなしという感じです。

Alc.13.5%。
ガーネット。粘性の涙です。
IMG_2084

黒ベリー、ブラックチェリー、ナツメグ、杉。
辛口アタック。
かすかな酸味は感じますが、
味の厚み・構造感・バランスはすこぶる良い感じがします。
タンニンはしなやか。薄いベールのように包んでくれます。
余韻も同じバランスで、味のおさらいをしながら続きます。

少々こじんまりした印象ながら、
よくまとまった小宇宙を体験できる、
上出来のセカンドと言えるんじゃないでしょうか。
2015年はボルドーの良年というのもあるんでしょうね。


*****


Château Batailley
Lions de Batailley 2015
RRWポイント 93点




Château Grand-Puy-Lacoste 2012 Pauillac

メドック格付け5級のシャトー・グラン・ピュイ・ラコストです。
ポイヤックにはグラン・ピュイ・デュカスというシャトーもありますが
(同じくメドック格付け5級)、当時、シャトーの名前は地名(Grand-Puy)
+オーナー名であったため、特に関連性はないようです。
因みにGrand-Puyは大きな丘の意味だそうで。


IMG_1647
以前ラコスト・ボリーというセカンドを試していますが今日はファースト。
ラコストはその昔の所有者の名前で、ボリーは今の所有者の名前です。
現所有者はフランソワ・グザヴィエ・ボリー(Francois-Xavier Borie)氏。
1978年に父のジャン・ウジェーヌ・ボリー(Jean-Eugene Borie)氏が取得、
それを長男のフランソワさんが引き継いで運営しています。
昔の名前のつけ方ならシャトー・グラン・ピュイ・ボリーにしたいところでしょう。(笑)


公式ページは格付けシャトーらしくカッコよくしっかり出来ています。

ファーストもセカンドもミレジムごとのデータシート完備。
今日のファーストラベルの2012年も詳細データありです。
・カベソー 76%
・メルロー 24%
畑の作付けでは5%ほどカベフラがあるのですが、この年はブレンドしてません。
手摘み収穫、除梗の前と後で2回選果を行なう念の入れようです。
新樽率75%のフレンチオーク樽で16~18ヶ月の熟成だそうです。


さあ、シャトー訪問。きれいな畑に囲まれストビューでは近づけず。(笑)
GPL01
エチケットのイラストにある建物が名前の通り大きな丘(Grand-Puy)の上にあります。

公式ページに所有畑の地図が載ってたので、例によってGoogle Map転記します。
GPL03
ポイヤックの近隣の格付けシャトーができるだけ入るようにしました。

いつものポイヤック地図上にもシャトー位置を追記しています。
GPL02
以前の地図ではCh.Grand-Puy-Ducasseの位置が違っていたので今回修正してます。
シャトーはポイヤックの市街地にありました。畑が離れていたので間違えてました。

ポイヤックは名だたる第1級が3つもありますし、第2級も2つ。
ところが第3級がゼロで、第4級がデュアール・ミロンのみです。
あとは第5級が12もあります。で、今日のグラン・ピュイ・ラコストも5級です。

まとめておきます。上の地図で位置関係も確認しましょう。
<第1級>
・Ch. Lafite-Rothschild(ラフィット・ロートシルト)
・Ch. Mouton Rothschild(ムートン・ロートシルト)
・Ch. Latour(ラトゥール)
<第2級>
・Ch. Pichon-Longueville-Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
・Ch. Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)
<第3級>なし
<第4級>
・Ch. Duhart-Milon(デュアール・ミロン・ロートシルト)
<第5級>
・Ch. d’Armailhac(ダルマイヤック)
・Ch. Clerc-Milon(クレール・ミロン)
・Ch. Batailley(バタイエ)
・Ch. Haut-Batailley(オー・バタイエ)
・Ch. Haut-Bages-Libéral(オー・バージュ・リベラル)
・Ch. Croizet-Bages(クロワゼ・バージュ)
・Ch. Lynch-Bages(ランシュ・バージュ)
・Ch. Lynch-Moussas(ランシュ・ムーサ)
・Ch. Grand-Puy-Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
・Ch. Grand-Puy-Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
・Ch. Pédesclaux(ペデスクロー)
・Ch. Pontet-Canet(ポンテ・カネ)
合計18シャトーです。


エチケット平面化画像。
IMG_1649
珍しく裏ラベルがなく、エノテカシールのみだったのでそれは割愛。


さて、いただきます。
Alc.13.5%。
濃いガーネット。
IMG_1648

黒ベリー、若い新樽のような樽香、モカ、スパイス。
果実香は弱い感じですね。
素っ気ない辛口アタック。
と思うと、ビロードのような飲み心地が始まり、
まろやかに舌の上で転がっていきます。
かすかな酸を感じさせ、結果まとまりの良い構造感です。
お上品な印象。これをエレガントというのでしょうか。
喉越し余韻のタンニンはごくごくシルキーで、
じんわり、そのこじんまりした構造感を楽しめます。

小さくまとまった小宇宙です。
ビッグではないがバランスはすこぶるいいと思いました。


*****


Château Grand-Puy-Lacoste 2012
Pauillac
RRWポイント 92点


Château Haut-Bages Libéral 2016

メドック格付け第5級、シャトー・オー・バージュ・リベラルです。
以前にサードのLe Haut-Médoc de Haut-Bages Libéral 2011を試してます。
前は公式ページにサードのオー・メドックは載ってなかったのですが、
今はセカンドと共にちゃんとラインナップとして載っているようです。
しかし、今日のお試しはファーストです。安心していただきましょう。(笑)


IMG_1474
2015年からエチケットのデザイン(字体)が変わったようです。
前の流麗な筆記体調の方が良かったんですが。これは少々安っぽい感じがします。


公式ページは格付けシャトーらしくカッコよくできています。

リュルトン家のゴンザーグ(Gonzague)&クレール・ヴィラール(Claire Villars)・
リュルトン夫妻所有とのことで、Gonzague & Claire Lurton Vineyards名のサイトもあり、
シャトー ・デュルフォール・ヴィヴァンフェリエールも所有してるのがわかります。

どのサイトも同じ作りで、ワイン紹介はミレジム毎、データシートも完備です。ブラボー。
今日のオー・バージュ・リベラル2016は、
・カベソー 70%
・メルロー 30%
と、作付け比率通りのセパージュで、樹齢は平均35年とのこと。
樽熟は新樽率40%で16ヶ月熟成です。
パーカーおじさんの90-92点他、評価誌の点数もちゃっかり載せてあります。


さて、ポイヤックにあるシャトーを訪問します。
HBL02
シャトーというほどの建物ではないですが、その畑の立地が素晴らしく、
大部分の畑がシャトー・ラトゥールのメインの畑に隣接しているそう。


例によって、ポイヤックの格付けシャトーの位置関係を俯瞰しておきます。
HBL01
ポイヤックは名だたる第1級が3つもありますし、第2級も2つ。
ところが第3級がゼロで、第4級がデュアール・ミロンのみです。
あとは第5級が12もあります。で、今日のオー・バージュ・リベラルも5級です。

まとめておきます。
<第1級>
・Ch. Lafite-Rothschild(ラフィット・ロートシルト)
・Ch. Mouton Rothschild(ムートン・ロートシルト)
・Ch. Latour(ラトゥール)
<第2級>
・Ch. Pichon-Longueville-Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
・Ch. Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)
<第3級>なし
<第4級>
・Ch. Duhart-Milon(デュアール・ミロン・ロートシルト)
<第5級>
・Ch. d’Armailhac(ダルマイヤック)
・Ch. Clerc-Milon(クレール・ミロン)
・Ch. Batailley(バタイエ)
・Ch. Haut-Batailley(オー・バタイエ)
Ch. Haut-Bages-Libéral(オー・バージュ・リベラル)
・Ch. Croizet-Bages(クロワゼ・バージュ)
・Ch. Lynch-Bages(ランシュ・バージュ)
・Ch. Lynch-Moussas(ランシュ・ムーサ)
・Ch. Grand-Puy-Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
・Ch. Grand-Puy-Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
・Ch. Pédesclaux(ペデスクロー)
・Ch. Pontet-Canet(ポンテ・カネ)
合計18シャトーです。


エチケット平面化画像。
IMG_1464
裏ラベルのQRコードは先ほどの公式サイトにつながるだけです。


さて、抜栓。
IMG_1470
キャップは、これがハーフボトルなのでエンボスのマークとかないのかも。
コルクは横ミレジム含め立派なものです。

コルクを平面化するとこんな感じ。
IMG_1472
エチケットにも薄っすら描いてあったシャトーのイラストですね。

Alc.13.5%。
濃いガーネット。
IMG_1473

黒ベリー、杉、チョコ。
酸を少し感じる辛口アタック。
若いタンニンか、ちょっと「きぶい(京都~関西方言)」です。
味の厚みはそこそこですが、酸味が少しバランスを崩してますね。
そうなると、喉越しのタンニンも少し荒々しい気がしてきます。
余韻はじんわり長くていい感じなのですが。

格付けワインの貫禄はあるんですが、まとまりが少し悪いですね。
パーカーおじさんのつけた90-92点他、
みなさん結構高得点なのが気になります。(笑)
ジェームス・サックリングさん、94-95点。
Wine Spectator、91-94点。
Wine Enthusiast 、93-95点。


*****


Château Haut-Bages Libéral 2016
Pauillac
RRWポイント 89点


Château Dauzac D de Dauzac 2015

メドック格付け第5級、マルゴーのシャトー・ドーザックです。
以前2008年を試し、他の格付けマルゴーよりお手頃なのに、
なかなかおいしいという好印象のシャトーです。
今日はそこのサード・ワインに相成ります。スーパーでゲット。(笑)


IMG_9924
AOCボルドーであり、すでにマルゴーでもメドックでもないのですが、
公式サイトではファースト、セカンド他と並んでちゃんと紹介されてます。
AOCマルゴーのセカンド、Aurore de DauzacLabastide Dauzacと、
オー・メドックのHaut-Médoc de Dauzacの後ですから序列的には5番目。
サード・ワインは言い過ぎでしたね。フィフス・ワイン?(笑)


公式ページではフィフス・ワイン(笑)もミレジム毎にデータありますよ。

しかしながら、他のワインは2018年のミレジムまで載っているのに、
この「D de Dauzac」は2015年以降のデータが載っていません。
最近は作ってないことも考えられますね。
・カベソー 56%
・メルロー 44%
熟成は「ステンレスタンクと樽」と書いてあるだけで、比率・期間不明。


ラバルド村のシャトー訪問。
Dauzac01
AOCマルゴーの外れで、割とマイナーな印象のシャトーですが、
敷地の広さや庭園の優雅さなどかなり立派な感じです。


お約束なので、全マルゴー格付けシャトー地図を貼っておきます。
Dauzac02
ドーザックとデュ・テルトルも1枚に収めるために北が右下なのでご注意。


エチケット平面化画像。
IMG_9847
八角形のラベルは全ラインアップで踏襲されてますね。


さて、抜栓。
IMG_9925
キャップの「D」はカッコいいですね。

コルクはつまらない汎用品ですが、一応平面化。
IMG_9921

Alc.13%。
ガーネット。
IMG_9922

黒ベリー、ナツメグのようなスパイス。
はっきりした樽香を感じます。
上等ボルドーの雰囲気ありますね。
ドライな風味の辛口アタック。
味の厚みはあるんですが、
少し風味に「乾燥した感」があるのが気になります。
まあ、変な甘みをつけられるよりは好感持てますが。
タンニンは穏やかでシルキー。
余韻、フィニッシュ、ほぼほぼ上等ボルドーの貫禄あり。

ドライな素っ気なさは仕方ないですかね。
これで2千円しませんから、偉いワインです。


*****


Château Dauzac D de Dauzac 2015
RRWポイント 90点


Château Lynch-Moussas 2003

メドック格付け第5級、シャトー・ランシュ・ムーサの2003年です。
1994年以降改善してるという評はありますが、今ひとつパッとした印象はなし。
マイナー格付けシャトー(失礼!)を探求するのも修行のひとつです。
ポイヤックの幅を知るためにも味わっておきましょう。


IMG_8761
このシャトーはジロンド川岸からはなれた内陸側にありますが、
ポイヤックでも最大級の敷地を持っているそうです。
元は同じ5級のシャトー・ランシュ・バージュと同一だったそうで、
ランシュ・バージュを切り離しても敷地が大きいというのはすごいっす。

公式ページは立派です。が、英語表示できなさそう…。
1919年からボルドーのネゴシアン、カステジャ家の所有とのこと。
今年(2019年)はカステジャ家が運営を始めてちょうど100周年だそうです。
2003年のセパージュは、
・カベソー 68%
・メルロー 32%
個々のミレジムに樽熟は記載なし。
通常は、55~60%の新樽率で14~24ヶ月だそうです。


さて、シャトーを訪問。おっと、入口からの一本道には入れません。
Lynch-Moussas01
背後に森を控え、前には池があり、優雅ですね~。

さあ、ポイヤックを俯瞰して、他の格付けシャトーとともに、
シャトー・ランシュ・ムーサの位置を確認しますよ。
LynchMoussas01
あれれ。ランシュ・ムーサはポイヤックの外にあります。
行政区分上はサン・ソヴァール(Saint-Sauveur)になるようです。
公式ページには細かな住所はなく、「ポイヤック」となっており、
郵便番号「33250」とだけ書いてあります。
実はこの郵便番号、サン・ソヴァールとポイヤックで共通です。
なんだか住所がポイヤックでないのを誤魔化してるような印象です。(笑)


ここで、AOCポイヤックの全18シャトーをおさらいしておきます。
上の地図に等級付きで書き込んでますので合わせて場所も確認ください。

PREMIERS CRUS<第1級>
Ch. Lafite-Rothschild(ラフィット・ロートシルト)
Ch. Latour(ラトゥール)
Ch. Mouton Rothschild(ムートン・ロートシルト)

DEUXIEMES CRUS<第2級>
Ch. Pichon-Longueville-Baron(ピション・ロングヴィル・バロン)
Ch. Pichon-Longueville-Comtesse-de-Lalande
(ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド)

TROISIEMES CRUS<第3級>
なし

QUATRIEMES CRUS<第4級>
Ch. Duhart-Milon(デュアール・ミロン・ロートシルト)

CINQUIEMES CRUS<第5級>
Ch. d’Armailhac(ダルマイヤック)
Ch. Batailley(バタイエ)
Ch. Clerc-Milon(クレール・ミロン)
Ch. Croizet-Bages(クロワゼ・バージュ)
Ch. Grand-Puy-Ducasse(グラン・ピュイ・デュカス)
Ch. Grand-Puy-Lacoste(グラン・ピュイ・ラコスト)
Ch. Haut-Bages-Libéral(オー・バージュ・リベラル)
Ch. Haut-Batailley(オー・バタイエ)
Ch. Lynch-Bages(ランシュ・バージュ)
Ch. Lynch-Moussas(ランシュ・ムーサ)
Ch. Pédesclaux(ペデスクロー)
Ch. Pontet-Canet(ポンテ・カネ)

ポイヤックは5級もいっぱいですが、名だたる1級・2級も多いです。
わりと狭いエリアにこれだけあるわけですから、名醸地なんでしょう。

しかし、マルゴー、サンテステフ、サンジュリアンのようなAOCと違い、
ポイヤックだけジロンド川に面した、市街地と立派な港があります。
その昔はここからワインを積み出し英国へ送られていました。
(12~15世紀、ボルドー周辺の地方「アキテーヌ」は英国の支配下でした。)
個人的にはポイヤックのシャトーは単にその地の利から栄えたのではないか、
と疑いの目を持っています。(笑)
ポイヤック特有のテロワールなんて幻想ではないかと思えてきます…。


エチケット平面化画像。
IMG_8764
シャトーのイラストは右下隅にちょろっと書かれていますが、
2009年からは真ん中に大きく書かれるようになります。
LynchMoussas02
バランスも含め、こっちの方がやっぱりいいですよね。


さあ、いただきましょう。
Alc.12.5%。濃いガーネット。褐変きてますね。
IMG_8767

黒ベリーのコンポート、フィーグ。熟成香の複雑な香り。
しかしながら果実系のフレッシュさは残っています。
辛口アタック。
味に深みはあるようですが、ぼやけて骨格がはっきりしない感じ。
喉越しのタンニン、余韻の残り方、すべてソツはないんですが、
やはり主張に乏しい感じが否めません。

パーカーおじさんも、軽い、水っぽいという評価をしていたようですが、
僕は「ぼんやり」と評価しておきましょう。88点。
あとで確認して気づいたのは、パーカーおじさんの2003年の評価も88点。
気が合うんですよね~。(笑)


*****


Château Lynch-Moussas 2003
Pauillac
RRWポイント 88点


Château Pédesclaux 2015

メドック格付け第5級、ちょっと影が薄いシャトー・ペデスクローです。
パーカーおじさんも過去には、こんなワインを飲んでいる暇はないだの、
酷評していたようですが、良年2015年は90点をつけてます。
その2015年をいただいてみましょうか。


IMG_8482
2009年に不動産業のジャッキー・ロレンツェッティが取得。
近代設備に巨額投資してみるみる品質が向上したそうです。
そう言えば、エチケットもモダンなデザインであか抜けてますしね。


公式ページはいい感じでカッコいいです。
ワイン情報はファーストとセカンド(Fleur de Pédesclaux)があり、
ミレジム毎にデータ完備。ただし、PDFのデータシートのみ。
本日の2015年のセパージュは、
・カベソー 52%
・メルロー 42%
・プチヴェルド 6%
メルローの比率がずいぶん高いですね。
樽熟は記述がないのでネット情報。
新樽率60%で16ヶ月のようです。


さて、ポイヤックのシャトーに行ってみましょう。
Chateau_Pedesclaux01
うまく近づけないので畑越しですが、これはこれでテロワ~ル。
あれれ?シャトーがガラス張りの超近代的なやつになっていません。
このガラス張りの新館は2015年に完成したんだそうで、
Google Mapの写真は2013年8月のデータでした。


ポイヤックの集落からシャトー・ラフィットあたりまで、
今日のペデスクローをかすめながら散策してみました。ご笑覧を。
Chateau_Pedesclaux02
こうして見ると、ペデスクローってジロンド川にも近いし、
一流シャトーに囲まれた中心的な位置にありますよね。
環境には恵まれてると思いますので、あとは努力次第です。(笑)


エチケット平面化画像。
IMG_8485
シャトーのイラストもガラス張りの最新デザインに一新されてます。


さて、いただきます。
Alc.13.5%。 濃いガーネット。
IMG_8475

黒ベリー、野菜、香りは少なめです。
辛口アタック。
味の厚みは弱めかもと思いましたが、バランスはいいです。
タンニンはちょうどいいこなれ方をしています。
良年で完熟したであろう2015年とすれば少々軽めです。
それを良しとすれば楽しめるはずですが。

ただ、一点付け加えるならば、
今日は抜栓後2日目にいただいたということです。
香りや風味が飛んでしまった後なのかもしれません。
それでも、パーカーおじさんと同じ点数をつけておきましょう。


*****


Château Pédesclaux 2015
RRWポイント 90点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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