Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

新潟

Fermier 花火 2021

日本ワインのコーナーでジャケ買いしたフェルミエ「花火」です。新潟のワインでして、ラベルのイラストの花火は信濃川上空を彩る新潟の夏の風物詩なんだそうです。雰囲気もさることながら、裏ラベルを見ると新潟産のカベルネ・ソーヴィニヨンをフレンチオーク樽で熟成しているとあります。これは楽しみです。

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作り手のフェルミエは、以前見たカーブドッチのある「新潟ワインコースト」なるワイン産地にあるところで、脱サラして家族とともに東京から新潟に移り住んで2006年からワイン造りを始めたんだそうです。なんだか夢がありますね。(脱サラだけしたい...笑)

公式ページはこだわりをしっかり説明しています。アルバリーニョ推しが興味深いです。

ただし、個々のワインの説明がけっこうあっさりしていて少々残念。

・新潟産のカベルネ・ソーヴィニヨン

たぶんモノセパージュでしょう。これをフレンチオーク樽で熟成、としか情報がありません。ラベルの「花火」は貼絵画家・深町めいしゅうの作品ということは書いてあります(笑)。


さあ、フェルミエを訪問ですが、ストビューが届いてないのでHPの上空写真を拝借。
Fermier01
自社畑から建物越しに日本海を望むいいアングルだったのでいただきました。

カーブドッチの時の「新潟ワインコースト」の地図を再掲。フェルミエも載ってます。
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よく見るとフェルミエの所有畑もわかるようになっています。左下にインポーズした地図でわかりますが、かなり日本海の海岸に近いです。実際、この辺りは海の砂のような特異な砂質土壌の海岸砂丘なんだそうです。この土壌の特徴となる、栄養素が極端に少なく水はけが良いというところに目を付け「新潟ワインコースト」にした、ということのようです。


関西人にはあまり馴染みのない新潟県を俯瞰しておきましょう。
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いやあ、日本海に沿って長い県ですね。山形にも長野にも接してるんだ。未だ足を踏み入れたことのない新潟県。いつかは行ってみたいなぁ。


ラベル平面化画像。
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調べると、確かに新潟は各地でたくさん花火大会があるようです。新潟市の信濃川河畔で行われる「新潟まつり花火ショー」なる大花火大会はコロナで延期され、11月3日(木)開催だそうで、なんと今日じゃないですか。まだ間に合う?(笑)


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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DIAM5ですね。

Alc.12.5%。
透明感ある透け透けガーネット。
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ブラックベリー、チェリー、アセロラ。
あれ?フォクシーフレーバーがある?
樽香は感じません。
酸味が立つ辛口アタック。
カベソーらしい味のふくらみはなく、
酸味が引き続き全体を荒らす感じです。
タンニン分もほぼ感じません。
盛り上がりないまま終わっていく…。
本当に植えたのはカベソーでしたか?
…と、思わず聞いてしまいそう。

かなり残念な結果。
日本のカベソー、考えさせられます。


*****

Fermier
花火 2021
RRWポイント 80点


岩の原葡萄園 善(赤)NV

正直マスカット・ベイリーAは日本を代表する品種とわかっていながら、個人的には積極的に飲みたくなるモーチベーションの低い品種です。ハイブリッド種であるがゆえのフォクシー・フレーバーであったり、コク重とは対極の風味によるところが大きいわけですが、しかしながら、定期的にはなんだかんだで飲んでいます(笑)。今日はそのマスカット・ベイリーAを生んだ日本ワインの父、川上善兵衛創設のワイナリーが作るマスカット・ベイリーAというのがお題です。

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新潟県上越市にある「岩の原葡萄園」は、前述のように川上善兵衛さんが1890年(明治23年)に創業したワイナリーです。130年超の歴史とはすごいですね。善兵衛さんは、本格的なワイン造りのため、現地の気候風土に適したブドウを求め品種改良に挑み続け、1万311回の品種交雑を行い、「マスカット・ベイリーA」をはじめとする優良22品種を世に送り出したそうです。ほかにもブラック・クイーンやベーリー・アリカントAなどもお馴染みですね。

公式ページはさすがに創業者の詳細や歴史がしっかり記されています。

善兵衛さんに因んだワインがラインアップになってます。良年しか作られないその名も「善兵衛」というのもあるんですね。今日のワイン「善」はいわゆるスタンダードラインです(笑)。

・マスカット・ベイリーA 100%

100%とは書いてないんですが、おそらくそうでしょう。ノンヴィンテージなことも含め特別な手間はかかってなさそうです(笑)。


さあ、マスカット・ベイリーAですが、今一度まとめておきます。
Takeda04
川上善兵衛氏が1927年(昭和2年)に作り出した品種です。新潟県が原産の日本固有種ということで、2010年の「甲州」に次いで、2013年にOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に登録され、国際的なワイン用ブドウ品種として公式に認められているのはご承知の通りです。日本のワイン用黒品種では第1位の生産量を誇ります。

母方にアメリカ原産の交雑種ベイリー(Bailey)と、父方に欧州のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)を掛け合わせたものですが、ベイリーがヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)を含む種間交雑種(ハイブリッド*)のため、マスカット・ハンブルクがヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)であるものの、そのフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)はかなり特徴的です。いわゆるグレープジュースの香り。ファンタグレープなどは好きですが(笑)、個人的にはワインからこの香りがするのは勘弁してほしいところです。

厳密に言うと、母方のベイリー自体は4分の1はヴィティス・ヴィニフェラの系統なので、マスカットベイリーAの半分がヴィティス・ラブルスカの血筋というわけではありません。(参考1参考2)それでもこの香りが強く出るというのは、ラブルスカの遺伝って、よっぽどキツイんですね(笑)。

父方のマスカット・ハンブルクはマスカット・オブ・アレキサンドリア(いわゆるマスカット)とチロル地方原産のスキアヴァ・グロッサ(Schiava Grossa)を交配した品種です。スキアヴァ・グロッサはドイツのトロリンガー(Trollinger)のことでしたね。ややこしい…。

ところで、このマスカット・ベイリーA、ここでは「ベイリー」と書いていますが、本家とも言える岩の原葡萄園のHPでは「ベーリー」となっています。アルファベット表記では「Muscat Bailey A」一択なのですが、日本語表記となると、マスカット・ベーリーA、マスカット・ベーリA、マスカット・ベリーA、マスカット・ベイリーAの4表記がOIVに登録されてるそうです。元の英語がベイリー(Baily)ですから、特に「ベリー」はいかがなものか?と思いますね。「Berry」と混同する人がいそうですから。

(* 主にアメリカ系品種との交配品種。EU圏ではこれらを使ってワインを作ってもワインとは認められず輸入・販売もできません。ヨーロッパ人のヨーロッパ系品種至上主義の偏見から来るものと個人的には推察します。日本のマスカットベイリーAも厳密にはハイブリッドですが、2013年に国際ブドウ・ワイン機構 OIV に日本固有品種としてワイン用品種に登録されていますので、ワインとして欧州に輸出できます。なんかええ加減やな~。)


さあ、ワイナリー訪問。リアルでは新潟へ行ったことがないので楽しいです。
岩の原01
上越市は関川という一級水系が貫いており日本海に注いでいます。保倉川という支流と河口付近で合流。新潟と言えば、カーブドッチをはじめとする北側の新潟市の砂地にある「新潟ワインコースト」が目立ちますが、こちらの方も立地は良さそうな気がします。

新潟県を俯瞰して位置関係を見ておきます。
新潟県01
新潟は全体の数は少ないながらも見るべきワイナリーはいろいろありそうです。いずれ訪れたいなとは思っています。


ラベル平面化画像。
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うん、ネーミングと言い、ツバキをあしらったデザインと言い、カッコいいです。


さあ、スクリュー回転。
IMG_8175

Alc.12%。
赤味で透き通ったルビー。
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甘いイチゴシロップの香り。
しかしフォクシーフレーバーの嫌味はないです。
酸は感じるんですが印象のいい辛口アタック。
クリア感が持ち味の軽い感じではありますが、
ペラペラではない芯も感じられて好印象です。
最初の酸はフィニッシュまで結構いい仕事をしてくれました。
なかなか楽しめるマスカベA、また一つ見っけ、です。


*****

岩の原葡萄園
善(赤)NV
RRWポイント 86点


カーブドッチ くま目覚める(メルロー)2016

今日は新潟のワインをいただきます。前から気になっていたカーブドッチです。
新潟と言えば、マスカベAを産んだ川上善兵衛氏の岩の原葡萄園が有名ですが、
そんなに気負った理由があるわけではなく、なんとなくネットでお取り寄せ。
なかなか行く機会もない新潟、どんなんだかワインと共に見てみましょう。(笑)


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日本ワイナリー協会の紹介を見ると、カーブドッチという名前と併記で、
(株)欧州ぶどう栽培研究所なんて書いてます。もとのお名前でしょうか?(笑)
畑では欧州系のブドウのみを栽培だそうで、なるほどという感じです。

1992年に新潟市南西の海岸地帯に創設されており、マスカットベイリーAを産んだ、
川上善兵衛氏創業の岩の原葡萄園のある上越市からはちょっと離れています。
現在、一帯に5軒のワイナリーが集まり「新潟ワインコースト」なるワイン産地を形成。
その中核たるカーブドッチは、ショップだけでなく、レストランやベーカリー、
はたまたオーベルジュや日帰り温泉・スパまであって、総合リゾート風情です。


公式ページは立派ですが、ワイン情報はラインアップのみ。

今日の「くま」は「どうぶつシリーズ」。醸造家の掛川氏が趣味に走ったシリーズだそうで。
ワイン購入は Amazon に誘導されます。そこに若干の情報というかコメントがあり、
『お蔵入りだった2016ですが、美味しくなってきたのでリリース。ブレット全開です。
翌日には豆がでるのでご注意ください。』というのが今日の「くま」の説明。(笑)

2016 はお蔵入りだったんですね。ブレット全開がその理由でしょうか?
ブレタノマイセス臭全開ってことでしょうから、ちょっと不安を覚えます。(笑)
でも「美味しくなってきたのでリリース」されたんだったら、そんなに悪くない?

「翌日には豆がでるのでご注意ください」というのも気になります。
豆じゃなくて「豆っぽさ」という自然派ワインに特有の青臭さのことでしょうね。
翌日まで飲み残しませんので、豆に出会えるかはわかりませんが。(笑)

とにかくこれ以上の情報はありません。ラベルに(メルロー)と書いてますから、
・メルロー 100%
なのでしょう。(笑)


カーブドッチを訪問します。ストビューでは裏手からしか拝めません。
docci01
それでも施設の大きさや充実度は伝わってきますね。

他のワイナリーや畑の場所を示す地図があったので、Google Map上で確認。
docci02
左下にインポーズした地図でわかりますが、かなり日本海の海岸に近いです。
実際、海の砂のような特異な砂質土壌なんだそうです。この土壌の特徴となる、
栄養素が極端に少なく水はけが良いというところに目を付けたということです。

関西人にはあまり馴染みのない新潟県を俯瞰しておきましょう。
docci03
いやあ、日本海に沿って長い県ですね。山形にも長野にも接してるんだ。


ラベル平面化画像。
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寝起きのクマってことでしょうか、不安げなクマさんのイラストです。
動物シリーズでは飛び抜けてかわいいデザインだと個人的に思います。(笑)


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルク、悪くないです。

コルク平面化。
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ワイナリー名と建物のイラスト入り。DIAM5というのもいいですね。

Alc.12%。(pH:4.24、Brix:5.6)
透け感のあるガーネット。エッジかすかに褐変。
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おっ、黒ベリーの前に薬草のような香りが来ます。
ブレタノマイセスとは違う感じですよ。
ハーブと言うには若干違う。「薬草」です。(笑)
熟成ピノのフランボワーズっぽくもあります。
辛口アタック。
酸もありますが、大人しくこなれきってる感じ。
タンニンも十分こなれている感じですが収斂性を少々残してます。
メルローらしい軽さの中にちゃんと厚みもある。
複雑味も醸成されてるようで、
「美味しくなってきたのでリリース」の意味が分かる気がします。
ただ、最初のハーブっぽい酸とタンニン分が、
いかにもチグハグでデコボコに感じさせ、バランスを崩してる印象。
しかし、味の芯はしっかり出来上がっていて、
余韻もじんわり楽しめるんですよね~。

不思議な味ですが、なぜか高評価してしまうんですよ。


*****


カーブドッチ Cave d’Occi
くま目覚める(メルロー)2016
RRWポイント 91点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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