Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Bourgogne

Anne Gros La Fun en Bulles Crémant de Bourgogne Brut

ヴォーヌ・ロマネの名門グロ家(Famille Gros)は、ジャン・グロさんの代以降のれん分けが進行し、同時多発グロ(笑)状態なのはご存じの通り。袖ものばかりですが、ミシェル・グログロ・フレール・エ・スールAF(アンヌ・フランソワ―ズ)グロアンヌ・グロと試してきました。そんな中で頭一つ抜けてるなと思ったのが今日のアンヌ・グロです。そこがクレマン・ド・ブルゴーニュを出してるというじゃないですか。これはお試しせねば。

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19世紀から続くヴォーヌ・ロマネ村の名門グロ家が、なんだかんだで暖簾分けして、いくつもグロがあるのはご承知の通りです。

・Domaine Jean Gros(先代にして本家。今はもうない。)
・Domaine Michel Gros(上記ジャン・グロが元。長男の本筋。)
・Domaine AF-Gros(妹。ポマールに嫁いで、ヴォーヌ・ロマネにいません。)
Domaine Anne Gros(従妹。ミシェル・グロの隣の隣。)
・Domaine Gros Frère & Soeur(弟のベルナールさん。)

わかりやすい系図がミシェル・グロの公式ページに載っていたので拝借しました。
MichelGros001
アンヌ・グロさんは、先々代のルイ・グロさんの代までさかのぼり、ジャン・グロさんのご兄弟のフランソワ・グロさんの娘さんということで、ミシェル・グロさんほか現役世代からすると従妹になるわけですね。

アンヌ・グロの公式ページには、さらに詳しい家系図が載ってました。
Famille_Gros
ドメーヌ・アンヌ・グロは父親のドメーヌ・フランソワ・グロを、一人娘のアンヌさんが1988年にそのまま引き継いで自分の名前をつけたものです。最初は「Domaine Anne and François Gros」名で始め、「Domaine Anne Gros」に改名したのは1995年のことです。ドメーヌがジャン・グロをそのまま引き継いだミシェル・グロの隣の隣にあるのは、ルイ・グロさんの代からの暖簾分けで、他ドメーヌのようにジャン・グロからの暖簾分けではないからなんでしょう。


公式ページは若干の手作り感がありますが、概ね情報豊富です。

今日のラ ・ファン・アン・ビュルという泡がラインアップに載っていません。一応、2018年のヴィンテージレポートのようなページに、シャルドネ、ピノ・ノワール、アリゴテから作られていると若干の解説がありました。NVだけど2018年のワインで作っているんですかね。

・シャルドネ 40%
・ピノ・ノワール 40%
・アリゴテ 20%

パーセンテージはインポーター情報です。12ヶ月の瓶熟成。ドザージュは10g/Lだそうです。

AOC Crémant de Bourgogne の規定を見ておきます。範囲はグラン・オーセロワからボジョレーまでブルゴーニュ全域です。白とロゼしかなく、瓶内二次発酵の本格派でも赤なら AOC Bourgogne Mousseux になります。基本、ピノ・ノワールとシャルドネから作られますが、品種は以下が使えます。

<主要品種>
・Pinot Noir
・Chardonnay(30%以上入れること)
・Pinot Blanc
・Pinot Gris

<補助品種>
・Gamay(20%以上は入れないこと)
・Aligoté
・Melon
・Sacy

ガメ、嫌われてますね(笑)。ガメには亜種が多く、赤い果肉を持つタンテュリエ種もあり、それらと区別するために「Gamay Noir à Jus Blanc(白い果汁の黒いガメ)」というのが正式なフルネームになるようです。今日のワインは、ブルゴーニュを代表する高貴品種、ピノ・ノワール、シャルドネにアリゴテのブレンドというのが面白いです。

ちょっと脱線ですが、補助品種のムロンとサシーを見ておきます。これがムロン(Melon)。
Melon-de-Bourgogne
ムロン・ド・ブルゴーニュ(Melon de Bourgogne)というシノニムがロワール川下流域(ペイ・ナンテ)でよく知られていますね。いわゆるミュスカデ(Muscadet)です。INAOは単なるムロン(Melon)というのを正式名称としているようです。謂れは、メロンのように葉っぱに切れ込みがなく丸いためだそうです。メロンの風味がする云々の解説はデタラメです。2013年のDNA分析では、グエ・ブラン(Gouais Blanc=Heunisch Weiß)x ピノ(Pinot)の自然交配とされています。これって、シャルドネやアリゴテ、アルザスのオーセロワなんかと同じなんですよね。兄弟品種というようなことらしいです。

こちらがサシー(Sacy)です。指原莉乃みたいな品種ですね(笑)。
Sacy
フランス原産の品種で、なんとこれも、グエ・ブラン(Gouais Blanc=Heunisch Weiß)x ピノ(Pinot)の自然交配のひとつだそうで。同じく2013年のDNA分析の結果です。さっしー、お前もか(笑)。


さあ、ヴォーヌ・ロマネのアンヌ・グロを訪問します。なかなか間口が広い。
AnneGros01
左隣がドメーヌ・フランソワ・ラマルシュ(Domaine François Lamarche)で、その向こうがミシェル・グロです。この3軒、なぜか門構えがそっくり。一緒に分譲されてたんでしょうか。(笑)

上空からヴォーヌ・ロマネの集落の中心部を見てみます。
AnneGros02
グロ御三家を確認ください。その他チェックマークを入れてますが、DRCやルロワなど、そうそうたる面々です。

さて、クレマン(Crémant)~をまとめておきます。シャンパーニュ以外の伝統的方式(Méthode Traditionnelle)/シャンパーニュ方式(Méthode Champenoise)、いわゆる瓶内二次発酵のフランス産スパークリングワインはクレマン(Crémant)という名称を使って以下の8つのAOC(Appellation d'Origine Contrôlée)にまとめられます。


クレマン・ド・サヴォワ(Crémant de Savoie)が2014年6月制定と一番新しいAOCです。また、(12ヶ月)と書いたもの以外は熟成期間が9ヶ月以上の規定になっています。消費量はクレマン全体の約半分がクレマン・ダルザス(Crémant d'Alsace)で圧倒的1位です。それぞれの産地は名前からどこかわかりますよね?(試したことのあるものは過去記事をリンクしています。)

クレマン軍団(?)の公式ページというのがあり、各クレマンについて詳しく載っています。



エチケット平面化画像。
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女性醸造家のセンスということでしょうか。お洒落です。ワイン名も「泡の楽しみ」という意味で粋ですね。

さあ、抜栓。
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無印ですが、ネックとコルクの裏に「Crémant(de Bourgogne)」と入っています。

Alc.12%。
イエロー。
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泡立ちはいつものように動画で確認ください。


青リンゴ、梨、イースト香。
辛口アタック。
果実感がふんわり乗った厚み感じる味わいです。
ほんのりした苦味がいいバランスで効いています。
香ばしさもあります。

やっぱり有名どころが作ると泡もおいしいですね。
これがシャンパーニュならかなりレベルの高い方でしょう。


*****


Domaine Anne Gros
La Fun en Bulles
Crémant de Bourgogne Brut
WWWポイント80点



WhiteWhiteWine01

Hervé Kerlann Au Château de Laborde Pinot Noir 2020 IGP Sainte-Marie-la-Blanche

ブルゴーニュボトルにピノ・ノワールの文字。AOCブルゴーニュとは書いていませんが、以前あえてAOCブルゴーニュを名乗らないブルゴーニュというのがあったので、その類かと思いましたが、裏ラベルに「IGP Pinot Noir」とあります。よくよく調べると「IGP Sainte-Marie-la-Blanche」ということのようですね。これはお試しして正体を探らねばなりません(笑)。

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作り手のエルヴェ・ケルラン(Hervé Kerlann)はボーヌ近郊のムルサンジュ(Meursanges)というところにあるシャトー・ド・ラボルド(Château de Laborde)に居を構えるメゾンです。18世紀からブドウ畑と共にあったシャトーはほとんど廃墟になっていたそうですが、エルヴェ・ケルランが1998年に購入しワイナリーとして復活させました。(今残ってるのはシャトー本体でなく付属の建物だけらしいです。)
隣り町がサント・マリー・ラ・ブランシュ(Sainte-Marie-la-Blanche)というように、この辺りの畑でワインを作ると IGP(Indication Géographique Protégée)Sainte-Marie-la-Blanche になるようですが、AOCブルゴーニュほか、ジュヴレ・シャンベルタンやシャンボール・ミュジニー村名もリリースしているようです。
※2009年までフランスの格付けはAOC(原産地呼称統制)、VDQS (原産地名称上質指定ワイン)、Vin de Pays / VDP(ヴァン・ド・ペイ)、Vin de Table / VDT(ヴァン・ド・ターブル)の4段階ありましたが、EUのワイン法改正にともない、AOC、IGP、Vin de France(VSIG=Vins Sans Indication Géographique)の3つになっています。(VDQS は AOC に統合され、Vin de Pays は IGP となっています。従い、IGP Sainte-Marie-la-Blanche はかつて Vin de Pays de Sainte-Marie-la-Blanche と呼ばれていました。)

公式ページはこれ。そこそこ情報があって助かりました。

しかし、ブルゴーニュものは載っていますが今日のIGPが見当たりません。

・ピノ・ノワール

熟成は、全体の90%をステンレスタンク、10%をオーク樽で9ヶ月です。これは日本のインポーターの情報。裏ラベルにも書いていますが、リュット・レゾネ(減農薬農法)で作っているとのこと。

ムルサンジュ(Meursanges)にあるシャトー・ド・ラボルド(Château de Laborde)訪問。
Herve_Kelann
前庭もあるなかなか立派なシャトーです。ムルサンジュ(Meursanges)の西隣りがIGP名にもなっているサント・マリー・ラ・ブランシュ(Sainte-Marie-la-Blanche)になります。

IGP Sainte-Marie-la-Blanche の範囲をコート・ド・ボーヌの地図上に表します。
Bourgogne_Cote_Beaune_Map
エルヴェ・ケルラン(Hervé Kerlann)の場所も示しています。ご覧のようにこのIGPはコート・ド・ボーヌの東側全域といった範囲です。距離にして25kmに及びます。コート・ド・ボーヌを間に挟んでオート・コート・ド・ボーヌと対を成している感じですね。赤・白・ロゼがあり、ピノ・ノワール他、アリゴテ、ガメ、ピノ・グリ(主にロゼ用)も使えます。

コート・ド・ニュイも入ったコート・ドール全体バージョンでも見てみます。
Bourgogne_Cote_dOr_Map
ブルゴーニュの銘醸地に寄り添う、いかにもブルゴーニュに似通ったワインを生み出しそうなところですが、AOCブルゴーニュは名乗れないんですよね。


エチケット平面化画像。
IMG_9650
裏ラベル、インポーターのシールがひどすぎます。IGP Pinot Noir しか見えない。

剥がしたらやっと「IGP Sainte-Marie-la-Blanche」というのがわかりました。
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地図付きで説明もあるのに隠してはいけませんね、モトックスさん!


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
IMG_9751
DIAM3です。

Alc.12.5%。
ルビー。
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ゼラニウムっぽい香りからのフランボワーズ。
辛口アタック。
特徴的な香りからすれば普通にピノです。
重みはないですがスカスカの軽めではなく、
ある程度の厚み感じる旨味感があります。
バランスもいい感じ。
余韻はあっけないんですが、非は少ないと思います。


*****

Hervé Kerlann
Au Château de Laborde
Pinot Noir 2020
IGP Sainte-Ma
rie-la-Blanche
RRWポイント 86点


Domaine Hubert Lignier Bourgogne Pinot Noir - Plan Gilbert 2019

ドメーヌ・ユベール・リニエ。久々にコートドールからです(笑)。モレ・サン・ドニに5世代続く家族経営の作り手だそうで。まあ、例によってそのAOCブルゴーニュなわけですが、昨今の値付けはそれでもそんなにお安くもありませんね。エチケットに「Plan Gilbert」とあるのは畑の名前のようです。こういう所在のはっきりしたAOCブルゴーニュは狙い目なんですよ。

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1880年頃、ジャック・リニエさんがモレ・サン・ドニのブドウ畑を購入しドメーヌがスタート。ドメーヌは代々受け継がれ、ユベールさんが現在の当主。ドメーヌ・ユベール・リニエの名前の所以です。実はユベールさんは息子のロマンさんにドメーヌを託し1992年には引退しようとしていたそうですが2004年になんとそのロマンさんが急逝します。ユベールさんはそんな不幸も乗り越え現役復帰。もうひとりの息子ローランさんもドメーヌに加わり現在に至ります。(Google Map上は「Domaine Hubert et Laurent Lignier」と親子の名前で表示されますね。)
ロマンさんの他界後、その奥様によって折半耕作に出されていた畑も戻り、現在9ヘクタール、クロ・ド・ラ・ロッシュ・グラン・クリュ他、24のワインを生産しています。

公式ページはシンプルですが、見やすくて情報も整理されていていい感じです。

個別のワインもデータシート付で説明されています。

・ピノ・ノワール 100%

「プラン・ジルベール(Plan-Gilbert)」という、1964 年、1968 年、1982 年に植えられた0.66ヘクタールの畑です。最長50年超の樹齢ですね。12ヶ月の樽熟成をしています。


モレ・サン・ドニのドメーヌ・ユベール・リニエ訪問。ご存じ県道D974号線沿いでした。
Hubert_Lignier01
表札など上がっていないので外からはわかりませんが、ワインのエチケットにもある2匹の犬?の紋章が中の建物にありました。また、奥の洋館(コテージ)は小さいですが「Grand Cèdre」という名前で宿泊もできるようです。

さあ、今日のAOCブルゴーニュの畑、「Plan-Gilbert」を探してみましょう。
Lignier_MSD_Luc
(地図はLuc Corporation様サイトより拝借)
AOCブルゴーニュの畑名まで載っていて毎度お世話になっているラックコーポレーション様の地図を拝借し追記します。県道D974号線沿いのモレ・サン・ドニとシャンボール・ミュジニーの境にまたがって「Plan de Gilbert」という畑がありました。AOCブルゴーニュですし名前からしてこれに間違いないでしょう。ドメーヌ・ユベール・リニエからも目と鼻の先ですし。白字でドメーヌ名・畑名書き込んで位置を示しています。(畑は目立たせるために色を変えています。)

さあ、この辺り一帯をGoogle Map上に転記して位置関係を把握しましょう。
Lignier02
モレ・サン・ドニからヴォーヌ・ロマネ辺りまでを南北を横に置いて見ています。ちょうど真ん中を県道D974号線が走っていますが、ここを境に村名畑とAOCブルゴーニュが分かれる傾向があるのが見て取れると思います。また、グラン・クリュ(特級畑)を赤で示していますのでその分布との関係も興味深いところです。赤と緑(AOCブルゴーニュ)の間には、描いてはいませんがプルミエ・クリュ(1級畑)と村名畑が層のように分布している格好です。しかし、ヴージョのところではグラン・クリュとAOCブルゴーニュが隣接したりなんかしてますね。こういうのを見ると県道D974号線を渡っただけで何が変わるんだろうと思ったりするわけです(笑)。

さて、今日のワインの「Plan de Gilbert」の畑ですが、ドメーヌ・ユベール・リニエのHPにはモレ・サン・ドニ側ではなくてシャンボール・ミュジニー側だと書かれています。ほぼほぼ畑の位置が特定できてきました。地図にはその辺りの風景をインポーズしています。

その辺りをもう少し大きいスクショで見てみましょう。いやあ、素晴らしい眺めです。
Lignier04
遠くの斜面にボンヌ・マールとクロ・ド・タールのグラン・クリュが見えます。歩いても15分とかからない距離です。土壌は多少違うのかもしれませんが気候風土含め今日のAOCブルゴーニュのプラン・ド・ジルベールの畑とそんなに違わないんじゃないかと(希望も含め…笑)思ってしまいます。いや、積極的に思いましょう(笑)。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルはインポーター・シールのみだったので下につけてます。あっ、ラックコーポレーション様だ!(笑)


さあ、抜栓。
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キャップシールにドメーヌ名のエンボスがカッコいいです。

コルク平面化。
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今日のプラン・ジルベール専用品ですね。

Alc.14%。
ルビー。細いですが粘性のありそうな涙。
IMG_9414

フランボワーズ、チェリー。
熟成香感じますが生き生きとした果実が香ります。
辛口アタック。
ドラマチックな存在感のある味を実感しますが、
素晴らしいバランスのなせる技でしょうね。
以降、盛り下がることなく、
フィニッシュまで悠遠のロードが続きます。

シャンボール・ミュジニー村名畑に隣接した、
いいAOCブルゴーニュに出会えたようです。


*****

Domaine Hubert Lignier
Bourgogne Pinot Noir - Plan Gilbert 2019
RRWポイント 94点


Domaine Sorin Coquard Bourgogne Côtes d’Auxerre Pinot Noir 2019

最近はブルゴーニュを物色していても、過去と比べてもいないんですが不当に高騰してるんじゃないかという疑いから、王道のコート・ドールなんかは避けがちです(笑)。そんな時、掘り出し物がありそうなのがグラン・オーセロワ(Grand Auxerrois)というシャブリの近くのエリア。現にイランシーにうまうまピノ・ノワールを発見したのは記憶に新しいです。今日はAOCブルゴーニュながら、地理的呼称「コート・ドーセール」がつくピノ・ノワールをお試しといきます。

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作り手は、ブルゴーニュのソーヴィニヨン・ブランで有名なAOCサン・ブリ(Saint-Bris)の中心地サン・ブリ・ル・ヴィヌー(Saint-Bris-le-Vineux)の町で数世代に渡ってワイナリーを営む、ドメーヌ・ソリン・コカールです。周辺の 25ha の自社畑から、AOCブルゴーニュ・コート・ドーセール、サン・ブリ、イランシーなどを作っています。面白いのはイランシーでピノ・ノワールにブレンドされるセザール(César)のモノセパージュを出してることです。AOCはコトー・ブルギニョンなってしまうようですが。飲んでみたい!

公式ページは手作り風ですが必要最小限の情報はありそうで助かります。

AOC Bourgogne Côtes d'Auxerre Rouge には今日のワイン(無印)と、「Cuvée Madeleine」という2種類がありますが、後者は樽熟成の上級タイプということのようです。ということは今日のワインは樽なしということか…。

・ピノ・ノワール 100%

ここは収穫は全部機械のようです。しかしながら除梗と選果は手作業だそうで。樽はなさそうですが、収穫後15~18ヶ月で瓶詰めとありますから熟成期間はたっぷり取っているようです。

ドメーヌ・ソリン・コカールを訪問。シンプルな倉庫のようなところです。
Dom.Sorin-Coquard
サン・ブリ・ル・ヴィヌー(Saint-Bris-le-Vineux)の集落の中にあります。


フランス全体の中でシャブリ&グラン・オーセロワ地区を把握しておきましょう。
フランス産地
ブルゴーニュ最北の生産地域とはいうものの、コート・ドールからはずいぶん離れ、シャンパーニュの方が近そうです(笑)。

で、グラン・オーセロワですが、例によってGoogle Map上にまとめてみました。
Auxerre_周辺
グラン・オーセロワはいくつかの地区に分類することができます。スラン川(Le Serein)両岸に広がるシャブリ地区(Chablisien)を中心に東にトネロワ地区(Tonnerrois)、南にヴェズリアン地区(Vézelien)、西にオーセロワ地区(Auxerrois)、北にジョヴィニアン地区(Jovinien)が広がっています。
ちょっと東に離れたシャティヨネ地区(Châtillonnais)もありますが、ここはもっぱら発泡性のクレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)を造っています。すぐ北側がオーブ県(Aube)になりAOCロゼ・デ・リセ(Rosé des Riceys)で有名なリセ(Les Riceys)があります。ここはもうシャンパーニュです。だから泡を作ってるのか…。

広域のレジョナル(地方名) AOCブルゴーニュには限定された地域名を伴うものがいくつかあります。この地図の主旨は、グラン・オーセロワ地区にあるこれら「地理的呼称付きAOCブルゴーニュ(Dénominations Géographiques Complémentaires de l’AOC Bourgogne)」を詳らかにすることです。が、時と共に変遷がありますので時系列で追ってみましょう。

グラン・クリュ、プルミエ・クリュ、プチ・シャブリなど一連の格付けのあるシャブリ(Chablis)地区の南西側に、村名AOCとなる AOC Irancy と AOC Saint-Bris があります。
イランシーは1999年までレジョナル(地方名) AOC Bourgogne Irancy でしたが村名 AOC Irancy に昇格。
サン・ブリは古いフランスワインの規格、VDQS(Vins délimités de qualité supérieure)Sauvignon de Saint-Bris だったものが 2003年に村名AOCに変更されたもので、ブルゴーニュで唯一のソーヴィニョン・ブランのAOCになります。
2017年にはイランシーと同じように AOC Bourgogne Vézelay も村名 AOC Vézelay に昇格しています。

このあたりにまだいくつか残っているレジョナル(地方名)AOC、地理的呼称付きAOCブルゴーニュ(Dénominations Géographiques Complémentaires de l’AOC Bourgogne)が以下になります。地図上に示した対象エリアと照らし合わせてください。

・AOC Bourgogne Côtes d'Auxerre(今日のワイン)
・AOC Bourgogne Chitry
・AOC Bourgogne Epineuil
・AOC Bourgogne Coulanges La Vineuse
・AOC Bourgogne Tonnerre
・AOC Bourgogne Côte Saint-Jacques
(それぞれの赤・白・ロゼも地図上に示しています。ご確認を。)

地理的呼称(DGC=Dénomination Géographique Complémentaire)がついたAOCブルゴーニュは、特定のエリアに限定されますが、位置づけとしてはレジョナル(地方名)のAOCブルゴーニュのままです。


こういった地理的呼称付きAOCブルゴーニュは全体で14あります。少々見にくいですがINAOの地図で分布を見てみます。2017年制定の AOC Bourgogne Côte d’Or はまだ載ってませんが。
Bourgogne_Sous-Regionales
全部で14ある地理的呼称付きAOCブルゴーニュ(Dénominations Géographiques Complémentaires de l’AOC Bourgogne)を列挙します(順不同)。上記グラン・オーセロワで見たものは太字にしています。

・AOC Bourgogne Côtes d'Auxerre
・AOC Bourgogne Chitry
・AOC Bourgogne Epineuil
・AOC Bourgogne Coulanges La Vineuse
・AOC Bourgogne Hautes Côtes de Nuits
・AOC Bourgogne Hautes Côtes de Beaune
・AOC Bourgogne La Chapelle Notre Dame
・AOC Bourgogne Le Chapitre
・AOC Bourgogne Montrecul(Montre-Cul)
・AOC Bourgogne Tonnerre
・AOC Bourgogne Côte Saint-Jacques
・AOC Bourgogne Côte Chalonnaise
・AOC Bourgogne Côtes du Couchois
・AOC Bourgogne Côte d’Or


エチケット平面化画像。
IMG_9340
高環境価値認証の HVE(Haute Valeur Environnementale)マークが誇らしげです。


さあ、抜栓。
IMG_9354

コルク平面化。
IMG_9350

Alc.13.5%。
ルビー。クリア感あります。
IMG_9351

フランボワーズ。
目立つゼラニウム感があります。
辛口アタック。
酸が少し出過ぎかな。
味わいの実体はあるんですが少々弱いです。
故にバランスは微妙。

ただし、軽めブルゴーニュとしては優秀とも言えます。
アリ寄りのアリということで(笑)。


*****

Domaine Sorin Coquard
Bourgogne Côtes d’Auxerre Pinot Noir 2019
RRWポイント 91点


JP. Chenet Beaujolais Nouveau 2022

11月17日(毎年11月の第3木曜日)に今年もボジョレー・ヌーヴォーが解禁されました。最近のワインの高騰もありますが、何といってもボジョレー・ヌーヴォーは航空便で持ってきますから、輸送費の高騰の方が価格に影響しているようで例年よりかなりお高くなっている印象です。ここ何年かは遠ざかってましたが、やはり縁起ものなので(笑)ちょこっとだけでも味わっておこうと、思い付きでこんな 187ml の小さなパックを購入。うん、これで十分!

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「JP. CHENET」ってフランスではお馴染みのブランドです。スーパーなんかで売ってますし、自分の場合は鉄道移動が多かったので駅の売店で小さな瓶や今日のようなパックを買ってました。決して褒められた味ではないんですが、同じく駅の売店で買ったチーズやサラミなんかをつまみに車窓をながめながらいただくのは至福の時でありました(笑)。

作り手はアルザス(Petersbach, Alsace)が本社の GCF(Grands Chais de France)。

1979年創業の大ワイングループで、もともとはコニャックを扱っていたジョセフ・ヘルフリッヒ(Joseph Helfrich)さんが1981年からワインを中心にビジネスを広げていきました。そのメインブランドが「JP. CHENET」です。(facebook
そこからがすごいです。1986年にはジュラのワイナリーを買収。1991年にはアルザスの大手アルテュール・メッツ(Arthur Metz)とボジョレーのワイナリー(Quinson)を買収。(ちゃんと、ボジョレーに拠点があるようですね。)1994年にはアルザス出身のボルドーの作り手「Louis Eschenauer」を買収(これ飲んだことあります)。2003年、ラングドックの Domaine de la Baume 買収。そして、2004年にナントとアンジューの近くに生産拠点を置いてロワール進出をします。その後もネゴシアンの「Calvet」ほか、ボルドー・ブルゴーニュ・ロワール各地のワイナリーを買い漁ってます。地図にするとこんな感じだそうです。
LeCheteau00
ゴイゴイスー。ほぼほぼフランス銘醸地全国制覇って感じですね。(シャンパーニュと南西地方がなさそうですが。)

さて、今日のような季節モノのワインの情報がHPに載ってるわけがありません。

・ガメ 100%

ですが、定番ですから大体は決まってるわけです。リリースに間に合うように収穫したガメをマセラシオン・カルボニック法でちゃちゃっと醸されます。いわゆる「炭酸ガス浸漬法」。
マセラシオン・カルボニック(Macération Carbonique)は、ブドウを破砕せず房ごと密閉したタンクに入れ、炭酸ガス(Gaz Carbonique)を充満させ酸素をブロックして短期間で醸すやり方です。これにより、タンニンや渋み・苦みが通常のワインより少なくなり、軽くてフレッシュなワインになるとともに、独特の香りも生まれます。キャンディーのようであったりバナナの香りのようなアレです。「マセラシオン・カルボニック香」なんて言うらしいですね。

ガメ(Gamay)です。正式名称は、Gamay Noir(Gamay N)です。
GamayN
日本では「Gamay」の綴りからの類推でしょうか、「ガメイ」の方が通りがよさそうです。しかし現地の発音を聞くと「ギャメ」と聞こえるんですよね。これを「ガメイ」と言うのなら、「シャルドネ(Chardonnay)」は「シャルドネイ」と言わないとおかしいんですけどね(笑)。
ガメには亜種が多く、赤い果肉を持つタンテュリエ種もあり、それらと区別するために「Gamay Noir à Jus Blanc(白い果汁の黒いガメ)」というのが正式なフルネームになるようです。
コート・ド・ボーヌのサントーバン(Saint-Aubin)に「Gamay」という集落があり、品種名の起源になったという説がありますが、14世紀(1395年)には初代ブルゴーニュ公「豪胆公」フィリップ2世が「Gaamez」という品種(名前からしてたぶんガメでしょう。)について「御触れ」を出しています…「苦くてあまりにも品質の悪いワインが量産されるこの最悪な品種を、引っこ抜くか、新たに植えないようにせよ」という禁止令です。この禁止令は18世紀半ばまで何度か再承認され続きました。そのせいかごく最近までこの品種の評判はすこぶる悪かったそうです。おかげでガメという品種はボジョレーまで逃げ延びて定着したということのようです。ガメは現在フランス中で栽培され、さらにその90%がボジョレーといいますから(約20,000ha)、あながち嫌われ品種とまでは言えないですよね。


 お約束なので、GCF(Grands Chais de France)を一応訪問しておきます。
JP.CHENET
GCFグループ本社なのでアルザスです(笑)。ボジョレーで買収したというワイナリー(Quinson)を探してみましたが見当たらなかったので、これでお茶を濁しておきます。


ボジョレーの全体像をおさらいしておきましょう。まずINAOの地図からの拝借です。
Beaujolais_Comunes01
これが、AOC Beaujolais / Beaujolais Supérieur の対象コミューンです。(たぶん、96あります。)赤・白・ロゼがあり、赤はガメが主体です。(AOC Beaujolais Supérieur は赤のみ。最低アルコール度数の規定が高い。)白は少ないですがシャルドネ主体です。この AOC Beaujolais の内の30コミューンは「AOC Beaujolais + コミューン名」の表示ができます。以下に列挙します。

・Beaujolais Beaujeu
・Beaujolais Blacé
・Beaujolais Cercié
・Beaujolais Chânes
・Beaujolais Charentay
・Beaujolais Denicé
・Beaujolais Emeringes
・Beaujolais Jullié
・Beaujolais La Chapelle-de-Guinchay
・Beaujolais Lancié
・Beaujolais Lantignié
・Beaujolais Le Perréon
・Beaujolais Les Ardillats
・Beaujolais Leynes
・Beaujolais Marchampt
・Beaujolais Montmelas-Saint-Sorlin
・Beaujolais Odenas
・Beaujolais Pruzilly
・Beaujolais Quincié-en-Beaujolais
・Beaujolais Rivolet
・Beaujolais Romanèche-Thorins
・Beaujolais Saint-Didier-sur-Beaujeu
・Beaujolais Saint-Etienne-des-Oullières
・Beaujolais Saint-Etienne-la-Varenne
・Beaujolais Saint-Julien
・Beaujolais Saint-Lager
・Beaujolais Saint-Symphorien-d'Ancelles
・Beaujolais Salles-Arbuissonnas-en-Beaujolais
・Beaujolais Vaux-en-Beaujolais
・Beaujolais Vauxrenard

また AOC Beaujolais の北部の38コミューンが、AOC Beaujolais Villages を名乗ることができます。これらは地続きなので、以下の地図の黄緑色にした部分ひとかたまりが AOC Beaujolais Villages になります。その中に、ボジョレー最上級の「Cru du Beaujolais」が10ヶ所あるという形です。

Google Map上に以上のボジョレーのAOCのすべてを表現してみました。
Beaujolais
上のINAOの AOC Beaujolais コミューン地図と見比べると、Cru du Beaujolais は、Saint-Amour(コミューン名は Saint-Amour-Bellevue)、Morgon、Fleurie、Chiroubles 以外は複数のコミューンから成り立っていることがわかります。また、いくつかの Cru du Beaujolais はオーバーラップしています。(Moulin-à-Vent と Chénas は、Chénas のコミューンが共通。4コミューンから成る Côte de Brouilly は、6コミューンから成る Brouilly に包含されています。)

クリュ・デュ・ボジョレー(Cru du Beaujolais)を列記しておきます。

・Saint-amour(サン・タムール)
・Juliénas(ジュリエナ)
・Chénas(シェナ)
・Moulin-à-Vent(ムーラン・ナ・ヴァン)
・Fleurie(フルーリー)
・Chiroubles(シルーブル)
・Morgon(モルゴン)
・Régnié(レニエ)
・Brouilly(ブルイィ)
・Côte de Brouilly(コート・ド・ブルイィ)

全体像をおさらいをすると…

・AOC Beaujolais
・AOC Beaujolais + nom de la commune de provenance des raisins
・AOC Beaujolais Villages
以上は、赤・白・ロゼがあり、新酒(Vin Primeur ou Nouveau)の設定があります。

・AOC Beaujolais Supérieur
・Cru du Beaujolais
以上は、赤のみ。新酒(Primeur / Nouveau)の設定はありません。クリュ・デュ・ボジョレーにはヌーボーはないということです。


ラベル平面化…は必要ありません(笑)。
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セーヌ河畔でエッフェル塔をバックにワインを嗜むカップル。嫌いな絵柄ではないですが、ベタ過ぎるので輸出先の日本向けな感じがします(笑)。


さあ、プラスクリュー回転。
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Alc.13.0%。
赤紫色の濃いルビー。
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フレーズ、プラム…
マセラシオン・カルボニック香もちゃんとあります(笑)。
特徴的な酸の辛口アタック。
果実味というには人工的なフルーツフレーバーです。
これがマセラシオン・カルボニックのなせる業か。
これで今年の出来を計れというのは少々無理です(笑)。

縁起ものなので一気に飲み干すとしましょう。
な〜んて飲んでるうちに慣れてきます。キライじゃないわ。


*****

JP. Chenet
Beaujolais Nouveau 2022
RRWポイント 78点


Louis Picamelot Bourgogne Mousseux Pinot Noir Sec

スーパーの棚ズレ品コーナーで安売りしていたワインだったのですが、調べてみてブルゴーニュのピノ・ノワールのスパークリングということがわかり俄然興味が湧いてきました。赤の泡というとランブルスコを思い出しますが、このブルゴーニュ・ムスーというのは瓶内二次発酵の本格派です。また、クレマン・ド・ブルゴーニュではなく Bourgogne Mousseux と書いてありますが、AOC Crémant de Bourgogne には白とロゼしかなく、赤だと AOC Bourgogne Mousseux になるということのようです。

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作り手のルイ・ピカメロは1926年にコート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)のリュリー(Rully)に創設されています。創立当初からブルゴーニュ・ムスーという名前で瓶内二次発酵のスパークリング・ワインを作っていたという老舗で、クレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)というAOCが制定されたのが1975年ですから、その道のパイオニアということになります。ルイ・ピカメロはスパークリングのみを作っています。実際、リュリーの村では過去からスパークリング・ワインは村の生産のかなりの割合を占めてきたんだそうで、クレマン・ド・ブルゴーニュ発祥の地であり中心地とされています。

公式ページはシャンパーニュの大手メゾンのようなカッコいい感じ。日本語表示も完備ですし。

しかしなぜかクレマン・ド・ブルゴーニュのラインアップしか載っておらず、今日のブルゴーニュ・ムスーが見当たりません。よって、ネット情報から。

・ピノ・ノワール 100%

AOC Bourgogne Mousseux の規定はおおよそ AOC Crémant de Bourgogne の規定に準ずるようです。すなわち瓶内二次発酵熟成期間は9ヶ月以上。違いはやはり「赤」かどうかですね。赤なので AOC Bourgogne と同じくガメ(Gamay)が20%まで使用可ですが、ルイ・ピカメロ含め通常ほとんどガメは入れないそうです。

ルイ・ピカメロを訪問します。リュリ―の町中です。カッコいい門構えですね。
Picamelot01
1991年まではベースワインを買っていたそうですが、今は40%は自社畑から、残りはブドウの買い付けとし、ベースワインはすべて自社で醸造しています。

コート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)を俯瞰して位置関係を見ます。
Rully01
コート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)は、コート・ドールの南端からの続き、アリゴテのみのAOCブーズロンに始まり、マコネまでに5つのコミュナルAOC(村名AOC)があります。リュリー(Rully)、メルキュレ(Mercurey)、ジヴリ(Givry)までは赤・白両方のAOCで、1級畑もあります。さらに南側のモンタニー(Montagny)は白(シャルドネ)のみのAOCですが、ここも1級畑がかなりあります。

リュリー(Rully)のAOC地図上で見てみましょう。
Picamelot02
リュリーには赤・白あると同時に1級畑も結構ありますね。また、AOC Rully は Rully のコミューンだけでなくシャニー(Chagny)にもはみ出していること覚えておきましょう。


エチケット平面化画像。棚ズレ品だったので非常にエチケットの状態が悪いです。
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セック(Sec)とありますからブリュット(Brut)よりは微妙に甘めでしょうか。以下に甘辛度の表示をまとめておきます。(1リットル当たり糖分量をグラムで表します。)

・ドゥー(Doux) :50g 以上
・ドゥミ・セック (Demi-Sec):32g ~ 50g
・セック(Sec) : 17g ~ 32g
・エクストラ・ドライ(Extra Dry) :12g ~ 17g
・ブリュット (Brut):12g 以下
・エクストラ・ブリュット(Extra Brut) :0g ~ 6g

※糖分 3g 以下、あるいは全く加糖をしていないワインには 「ブリュット・ナチュール(Brut Nature)」 、「パ・ドゼ(Pas Dosé)」、「ドザージュ・ゼロ(Dosage Zéro)」 の表示をすることができます。

エチケットは本来ならこんなにきれいな感じです。
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さあ、抜栓。
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ミュズレ(Muselet)もあまり凝ってないようです。

Alc.12.5%。
オレンジっぽいルビー。結構熟成進んでるようです。
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恒例のスパークリングの泡の立ち上がり動画です。

すごい勢いでたくさんの泡が上がってるんですが、色が濃くて見にくいです(笑)。

フランボワーズ、フレーズ、甘やかな香り。
辛口アタック。
酸がほどよく効いていて甘みにも感じます。
これがセック(Sec)なんでしょうね。
かすかな苦味様の複雑味は熟成感とも取れます。
ピノ・ノワールの良さが出てる感じです。
ピノの味って泡のエレガントさが合うんですね。
最後まで赤のうまさと熟成感の深みが続き、
フィニッシュまでハッピーでした。
クセになりそう。ピノの泡。


*****

Louis Picamelot
Bourgogne Mousseux
Pinot Noir Sec
RRWポイント 92点


Domaine Saumaize-Michelin Pouilly-Fuissé Sur La Roche 2019

プイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)をいただくんですが、ブルゴーニュ、マコネのAOCの中では一番有名なんじゃないでしょうか。このAOC、2020年のヴィンテージから22のクリマが1級畑(Premier Cru)に昇格しているとのことで調べてみると、今日のこのワインの「Sur La Roche」も見事1級畑になっていました。残念ながら今日のワインは2019年なのでプルミエ・クリュの表示はありませんが、実質プルミエ・クリュということで期待してお試しといきましょう。

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作り手のドメーヌ・ソメーズ・ミシュランは1978年に現当主のロジェ・ソメーズさんがAOCプイィ・フュイッセのエリアであるヴェルジソン(Vergisson)に設立したドメーヌ。1982年にクリスティーヌ・ミシュランさんと結婚したことでソメーズ・ミシュラン(Saumaize-Michelin)の名前になっています。最初は折半耕作(Métayage*)から始めたんですが、1981年には今日のワインの「シュル・ラ・ロッシュ」の区画を購入し、以降もいくつか畑を買い増しています。認証マークは見当たりませんが、ビオディナミを実践しているとあります。
* メタヤージュ(Métayage):小作人が土地を借りて出来たワインの半分を上納する農村賃貸借の形態。賃料を払って畑を借りるのが フェルマージュ(Fermage)。

公式ページはちょっと変わった構成ながら、自社畑の1級畑昇格の件は詳しく解説しています。

「Sur La Roche」、「Les Crays」、「La Maréchaude」の3つの1級畑を所有しているとあります。

・シャルドネ 100%

「La Maréchaude」の紹介には新樽率15%のフレンチオーク樽の使用が言及されているのでおそらく同じようなものでしょう。シュールリーで12ヶ月の熟成です。


ヴェルジソン(Vergisson)村にあるドメーヌ・ソメーズ・ミシュラン訪問。
Dom_SaumazeMichelin01
ヴェルジソンの集落にあるんですが、袋小路(cul-de-sac)になっていてストビューでは奥に入れませんでした。


ところで、AOCプイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)から 22 のクリマが第一級畑、プルミエ・クリュ(Premier Cru)に認められたというのは、2020年9月と割と最近の話です。2010年に申請が開始され、認定されるまでに10年もかかったそうです。全部で94ヘクタールに相当し、プイィ・フュイッセ全体の約24%を占めるそうです。その区画を示す地図を探しましたが、当時は見当たらなかったのですが、2020年のヴィンテージからワインも出回ってきていますので、今回改めて調べるとぼちぼち詳細地図も出てきているようです。

これがいくつか見つけた中で一番見やすかった地図です。1er Cruは赤枠で囲われています。
carte-terroirs-pouilly-fuisse-(1erCru)
JPGにして貼っていますが、Pouilly-Fuissé 公式サイトにPDFのオリジナルが上がっています。
1級畑(1er Cru)となった22のクリマ(Climat:畑の小区画)を書き出すと以下になります。

1. Au Vignerais
2. Aux Bouthières
3. Aux Chailloux
4. Aux Quarts
5. En France
6. En Servy
7. La Frérie
8. La Maréchaude
9. Le Clos
10. Le Clos de Monsieur Noly
11. Le Clos de Solutré
12. Le Clos Reyssier
13. Les Brulés
14. Les Chevrières
15. Les Crays
16. Les Ménétrières
17. Les Perrières
18. Les Reisses
19. Les Vignes Blanches
20. Pouilly
21. Sur la Roche
22. Vers Cras(Solutré-PouillyとFuisséにまたがる)

これはアルファベット順ですので、プイィ・フュイッセの4つの村に分類してみます。

<VERGISSON>(ヴェルジソン:4クリマ)
・En France
・La Maréchaude
・Les Crays
Sur La Roche

<SOLUTRÉ-POUILLY>(ソルトレ・プイィ:8クリマ)
・Au Vignerais
・Aux Chailloux
・En Servy
・La Frérie
・Le Clos de Solutré
・Pouilly
・Vers Cras(Solutré-Pouilly 側)
・Aux Bouthières

<FUISSÉ>(フュイッセ:7クリマ)
・Le Clos
・Les Brulés
・Les Ménétrières
・Les Perrières
・Les Reisses
・Les Vignes Blanches
・Vers Cras(Fuissé 側)

<CHAINTRÉ>(シェントレ:4クリマ)
・Aux Quarts
・Le Clos de Monsieur Noly
・Le Clos Reyssier
・Les Chevrières

Vers Cras だけはソルトレ・プイィとフュイッセの2村にまたがるので2回出てきています。


そもそもAOCプイィ・フュイッセってどこよ?という方のためにマコネの地図を見ます。
Macon_Villages_2
右の簡易ブルゴーニュ地図でコートドール(コート・ド・ニュイ+コート・ド・ボーヌ)、コート・シャロネーズに続くのがマコネとだいたいの理解をしてください。AOCマコンの範囲とほぼ同義で、AOC Mâcon赤・白・ロゼ がOKで、地図上の白文字のコミューンではコミューン名が付記できます。(例:AOC Mâcon Verzé)※詳しくは過去記事のMâconMâcon Villagesで触れています。
 AOC Mâcon Villages という上級のエリアのものは白のみになります。白のみというのがAOC Mâconとの大きな違いです。「Villages」と付きますが地域名アペラシオン(Appellation Régionale)です。

そして、村名アペラシオン(Appellation Village)が以下の5つあり、地図でわかるように、AOCヴィレ・クレッセ以外は南側に集中しています。これらも白のみのAOCです。

AOC Viré-Clessé
-----------------------
AOC Pouilly-Fuissé
AOC Pouilly-Loché
AOC Pouilly-Vinzelles
AOC Saint-Véran

AOCヴィレ・クレッセ(AOC Viré-Clessé)、AOCプイィ・フュイッセ(AOC Pouilly-Fuissé)、AOCサン・ヴェラン(AOC Saint-Véran)は複数のコミューンに渡っています。(黒丸を置いたコミューンがAOCサン・ヴェランです。)AOCプイィ・フュイッセの東側のAOCプイィ・ロシェ(AOC Pouilly-Loché)とAOCプイィ・ヴァンゼル(AOC Pouilly-Vinzelles)は単独の村名AOCです。

さあ、やっとAOCプイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)に辿り着いたので拡大して見ます。
PouillyFuisse
黄色で囲った4村、ヴェルジソン(Vergisson)、ソルトレ・プイィ(Solutré-Pouilly)、フュイッセ(Fuissé)、シェントレ(Chaintré)が AOC Pouilly-Fuissé を構成。
フュイッセ(Fuissé)村の東側が、プイィ・ロシェ(Pouilly-Loché)と、プイィ・ヴァンゼル(Pouilly-Vinzelles)の単独村名AOCです。
サン・ヴェラン(Saint-Véran)が少しややこしいです。Saint-Vérand という「d」のついた村はありますが、AOCの範囲はその村よりはるかに北側に広く、かつ、Pouilly-Fuissé AOC によって2つの部分に分断されています。北側は、プリセ(Prissé)ダヴィエ(Davayé)の村からなり、AOC Pouilly-Fuissé の Solutré-Pouilly も Saint-Véran が名乗れるそうですが、普通有名な方を名乗りますよね(笑)。南側は、シャスラ(Chasselas)、レイヌ(Leynes)、シャンヌ(Chânes)、サン・ヴェラン(Saint-Vérand)で構成されます。サン・ヴェランのすぐ南側のサン・タムール・ベルヴュ(Saint-Amour-Bellevue)というところも白なら Saint-Véran AOC が名乗れるそうですが、赤(ガメ)を作ればクリュ・ボジョレーのサン・タムール(Saint-amour)です。この村はマコネとボジョレー両刀使いということです。

上の地図のブルーの四角で囲った部分を拡大して今日の1級畑の場所を探します。
LaRoche_2
ヴェルジソン(Vergisson)村はロシュ・ド・ヴェルジソン(La Roche de Vergisson)という岩山の周辺になるんですが、今日のシュル・ラ・ロシュ(Sur La Roche)の畑はその岩山のなだらかな面のふもとに広がっています。(黄色で囲って示しています。)
今日の作り手のドメーヌ・ソメーズ・ミシュランの場所も描き込んでいます。シュル・ラ・ロシュの最大区画の1.65ヘクタールを所有しているそうで、3分の2が樹齢35年で、残り3分の1が樹齢90年だそうです。
有名なソルトレの奇岩(ロシュ・ド・ソルトレ:La roche de Solutré)とロシュ・ド・ヴェルジソンのツーショット写真を添えて、それぞれの場所を示しておきました。プイィ・フュイッセの圧倒的なテロワールを感じるいい写真ですね。


エチケット平面化画像。
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1枚ものでワインの説明にビオディナミを実践していると書いてあります。

裏にはインポーターシールだけです。
IMG_8887B


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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コルクにはこだわっているのか、HPにはコルクの解説がまるまる1ページありました(笑)。

Alc.14.5%。
蜂蜜のような濃いイエロー。
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リンゴ、花梨、バニラかローストナッツ。
辛口アタック。
なめらかな酸味はドラマチック。
味も蜂蜜を溶いたようなほのかな甘みがあり、
複雑味・厚みというものがこれでもかと出ています。
フィニッシュまでは、最初の酸がうまうましくエスコート。
プイィ・フュイッセ、ほんとドラマチックなワインでした。


*****


Domaine Saumaize-Michelin
Pouilly-Fuissé Sur La Roche
(Premier Cru) 2019
WWWポイント80点



WhiteWhiteWine01

Doudet-Naudin Bourgogne Pinot Noir 2018

円安や物価高でワインもあおりを食っているんだろうなと思いますが、それ以上にブルゴーニュは本来の価格からはかけ離れて高騰してるんじゃないかと疑心暗鬼に陥っています(笑)。それでもお手頃で優秀な生産者はいないものかと探求は続けなくてはいけないなと、こんなのを選んできました。サヴィニー・レ・ボーヌの歴史ある作り手だそうで。

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1849年サヴィニー・レ・ボーヌにアルベール・ブレノさん(Albert Brenot)によって設立されたワイナリーは、ブルゴーニュで最も古いワイナリーの一つになるそうです。1933年にドゥデ家が取得し、今のドゥデ・ノーダン(Doudet Naudin)となり、以降も発展、繁栄を遂げてきたということです。

シャブリからボジョレーまで広域含め幅広いラインアップを出していますが、コルトン・シャルルマーニュやコルトン・グランクリュ・レ・マレショードなどの特級畑を含む13haの自社畑からのワインは「Domaine Doudet」名で出し、その他買いブドウからのラインアップは「Doudet-Naudin」名で出しているようです。今日のワインは広域のAOCブルゴーニュで「Doudet-Naudin」名ですが、別にラドワ・セリニーにある自社畑からのAOCブルゴーニュも出しており、こちらはやはり「Domaine Doudet」になっています。

公式ページは大手ネゴシアン風に全ラインアップも詳細に紹介し非常によくできています。

今日のワインもデータシート付きで紹介がありました。

・ピノ・ノワール 100%

手摘み収穫、手作業で選果。データシート上はオーク樽で約12ヶ月の熟成となっていますが、サヴィニー・レ・ボーヌのセラー内でオーク樽(1~2年落ち)15ヶ月ともありますね。まあ、そんなところということで。

サヴィニー・レ・ボーヌの集落外れにあるドゥデ・ノーダンを訪問します。
Doudet_Naudin01
古くからの作り手だけあってなかなか立派な佇まいです。


自社畑はアロース・コルトンやペルナン・ベルジュレス中心に所有していますが、今日のワイン(AOCブルゴーニュ)は自社畑ではない買いブドウということでしたね。HPにはこの畑はコート・ド・ボーヌ(Côtes de Beaune)の最南端にある2区画からだと書いてありました。しかしこれだけの情報では畑訪問できそうにもありません。コート・ドールの地図でお茶を濁します。
Bourgogne_Cote_dOr_Map
コート・ド・ボーヌの最南端ということはマランジュ(Maranges)あたりでしょうかね。サヴィニー・レ・ボーヌのドゥデ・ノーダンの場所も示していますのでご確認ください。


エチケット平面化画像。
IMG_8554
いつもながらミレジムがネックにあるやつは平面化難儀します。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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めっちゃ汎用品。瓶詰めされたワインで買ってるのかもしれませんね。

Alc.13%。
クリアなルビー。
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フレーズ(Fraise=イチゴ)!?
と一瞬思わせる果実香ですが、フランボワーズも。
茎っぽさからのゼラニウムっぽさもありますね。
辛口アタック。
酸は穏やかながら居ます。
程よいコク・深み感じる味わいです。
最初の酸が喉越しからフィニッシュまで主張をしますが、
フレッシュ感を余韻に残すいい仕事をする酸だと思われます。

十分好印象ではありますが、
「おおっ!」といううまさを期待したんですけどね(笑)。


*****

Doudet-Naudin
Bourgogne Pinot Noir 2018
RRWポイント 91点


Jayer-Gilles Bourgogne Hautes-Côtes de Nuits 2015

ブルゴーニュの神様アンリ・ジャイエさんの従兄弟という先代ロベール・ジャイエさんが、マニー・レ・ヴィレ村のジル家の娘さんと結婚し、オート・コートの畑を受け継いでドメーヌ・ジャイエ・ジルが誕生しました。ロベールさんは何を思ったか息子をジルと名付けるものですから、ジル・ジャイエ・ジルさんが次代の当主になりました。そのジルさんは2018年に57歳の若さで他界されています。今はもうジャイエ・ジルのワインはありません。2016年がラスト・ヴィンテージだそうです。

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過去にジャイエ・ジルのオート・コート・ド・ボーヌ2014を試しています。亡くなられた当主ジル・ジャイエ・ジルさんは大腸ガンだったそうで、晩年は闘病されていたのでしょう。先代ロベール・ジャイエさんからドメーヌを引き継いだのが1990年といいますから、ジルさんがジャイエ・ジルのワインを作っていたのが25年ほどの間ということになります。所有11ヘクタールの畑の半分はオート・コート・ド・ニュイとオート・コート・ド・ボーヌにあります。オート・コートの達人なんて呼ばれる所以です。今日はニュイの方をいただいてみましょう。

ちなみにジルさんの後継ぎがなく、ドメーヌはスイスの富豪というアンドレ・ホフマンさんに売却されました。今はドメーヌ・ホフマン・ジャイエを名乗り、ジャイエ・ジルのワイン作りを継承しているそうです。


公式ページはもとからありませんでした。現行ホフマン・ジャイエのサイトはあるんですが、なぜか繋がりません。以下はネット情報から。

・ピノ・ノワール 100%

完全除梗で(なんと)100%新樽による17~18ヶ月間の熟成です。


3年ぶりにジャイエ・ジルを訪問してみますが、Googleのストビューの写真が更新されていないので、以前スクショした写真をもう一度貼っておきます。
Jayer-Gilles01
2012年のストビューのままなんですね。上がっていた写真を見ると、表札は「ホフマン・ジャイエ」に付け替えられているようです。


今日のワインの「Bourgogne Hautes-Côtes de Nuits」の範囲を見ようとINAOの地図を見るとこれが出てきます。
Sous_Regions01
その他いくつかの地理的呼称がついたAOCブルゴーニュと一緒に載せてありますね。
AOC Bourgogne Hautes-Côtes de Nuits は、地理的呼称(DGC=Dénomination Géographique Complémentaire)がついたAOCブルゴーニュのひとつで、これらは特定のエリアに限定されますが、位置づけとしては地域名(レジョナル)AOCブルゴーニュのままです。

全部で14ある地理的呼称付きAOCブルゴーニュDénominations Géographiques Complémentaires de l’AOC Bourgogne)を列挙します(順不同)。範囲・場所は、一部は上の地図で確認できますね。

・AOC Bourgogne Côtes d'Auxerre
・AOC Bourgogne Chitry
・AOC Bourgogne Epineuil
・AOC Bourgogne Coulanges La Vineuse
AOC Bourgogne Hautes Côtes de Nuits
・AOC Bourgogne Hautes Côtes de Beaune
・AOC Bourgogne La Chapelle Notre Dame
・AOC Bourgogne Le Chapitre
・AOC Bourgogne Montrecul(Montre-Cul)
・AOC Bourgogne Tonnerre
・AOC Bourgogne Côte Saint-Jacques
・AOC Bourgogne Côte Chalonnaise
・AOC Bourgogne Côtes du Couchois
・AOC Bourgogne Côte d’Or

2017年に AOC Bourgogne Côte d’Or がこれの仲間入りをしましたが、同時に AOC Bourgogne Vézelay というのが、単独 AOC Vézelay に昇格し、プラマイゼロです。

また、AOC Bourgogne Hautes-Côtes de Nuits と混同しやすいのが、AOC Côte de Nuits-Villages ですが、Côte de Nuits-Villages はワンランク上の「村名」AOCになります。片や、Côte de Beaune-Villages というのは地域名(レジョナル)AOCのままだったりします。ややこしや。

今日のワインの AOC Bourgogne Hautes-Côtes de Nuits のエリアをGoogle Map上で確認。
Bourgogne-Hautes-Cotes-de-N
対象の畑に色を付けています。シャンボール・ミュジニー以南のコート・ド・ニュイの山間部というのがわかりますね。赤・白・ロゼがOKのAOCです。地図内にも記しましたが、以下に AOC Bourgogne Hautes Côtes de Nuits の対象コミューンを列挙します。

<コミューン全体が対象>
1. Arcenant
2. Bévy
3. Chaux
4. Chevannes
5. Collonges-lès-Bévy
6. Curtil-Verg
7. L’Etang-Vergy
8. Marey-lès-Fussey
9. Messanges
10. Meuilley
11. Reulle-Vergy
12. Segrois
13. Villars-Fontaine
14. Villers-la-Faye

<部分的に対象>
15. Chambolle Musigny
16. Flagey-Echézeaux
17. Magny-lès-Villers
18. Nuits-Saint-Georges
19. Premeaux-Prissey
20. Vosne Romanée

ジャイエ・ジルの畑がどこなのかはわかりませんでした。


エチケット平面化画像。
IMG_6357
左上の紋章には「GJG」とあります。ジル・ジャイエ・ジルさんのイニシャルでしょうね。合掌。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
濃いめルビー。涙は細くて揃っていて綺麗。
IMG_8430

フランボワーズ、ダークチェリー、プラム。
新樽効果の木樽の風味はそんなにきつくはないです。
酸味際立つ辛口アタック。
かなり強めに酸がマスクしてきます。
なので、ちょっと置いておきました。
食事(チャプチェ、ハイローラー)に合わすと、
酸は気にならなくなります。
やっと味の実体が見えてきましたね。
奥行きも感じられ熟成感も出ています。

ですが、
好きなブルゴーニュルージュとはちと違うんですよね。


*****

Jayer-Gilles
Bourgogne Hautes-Côtes de Nuits 2015
RRWポイント 86点


Gabin et Félix Richoux Irancy 2017

AOCイランシーのピノ・ノワールです。一応ブルゴーニュのピノ・ノワールの産地ということで、以前も試しているんですが、セザール(César)という土着品種を10%までブレンドしてよいということで(5%入っていました。)、ちょっとピンとこなかったんですよね。今日のはパーカーおじさんも高評価(今日の2017は91点)でピノ・ノワール100%です。いいかも?

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ギャバン・エ・フェリックス・リショー(Gabin et Félix Richoux)はリショー家の2人の兄弟の名前です。1979年おばあちゃんの代に設立されたワイナリーを2代目ティエリー&コリーヌ夫妻から2015年に引き継いだ3代目ということになります。ビオワイン認証も受けており、2013年からはビオディナミも実践中だそうです。

公式ページがなさそうです。これはイランシー・ワイン公式ページの中の作り手紹介ページ。

当然ながらワイン情報は薄いです。インポーターやパーカーおじさんの記事を参考にします。

・ピノ・ノワール 100%

手摘み収穫。除梗有無は不明ながらありでしょう。2年の樽熟成をしますが、1年目がフードル(大樽)とタンクの併用で、2年目は通常のオーク樽に入れ替えます。

ギャバン・エ・フェリックス・リショーを訪問します。なかなか立派な佇まい。
Irancy01
イランシーの町のすぐ横です。エチケットにも描かれているイランシーのサンジェルマン教会が見えます。イランシーのシンボルなんでしょうね。

先ほどのイランシーの公式ページには畑の地図があったのでGoogle Mapに重ねます。
Irancy00
AOCイランシーは、セーヌ川の支流であるヨンヌ川のほとりの小さなAOCです。このAOCはセザール(César)を10%までブレンドしてよいわけですが、実際はどれくらいの作り手が入れてるんでしょうね。こんな小さなAOCですからね。セザールの畑も極少でしょう。大半はピノ・ノワール100%で作ってるんじゃないでしょうか。

これはたまたまこの時期にイランシーへ行かれた方のツイートから拝借した写真。
IMG_2082TLT
こじんまりしたイランシーの集落と周囲のブドウ畑。いいお写真です。

シャブリとグラン・オーセロワ地区に範囲を広げて位置関係を見てみます。
Chablis-&-Grand-Auxerrois
一連の格付けのあるシャブリ(Chablis)の南側に、村名AOCとなる AOC Saint-Bris と AOC Irancy があります。サン・ブリは古いフランスワインの規格、VDQS(Vins délimités de qualité supérieure)Sauvignon de Saint-Bris だったものが2003年に村名AOCに変更されたもので、ブルゴーニュで唯一のソーヴィニョン・ブランのAOCになります。イランシーは1999年まで地方名 AOC Bourgogne Irancy でした。同じく、2017年に AOC Bourgogne Vézelay も村名 AOC Vézelay に昇格しています。

このあたりにまだいくつか残っている地方名AOCというのが、地理的呼称付きAOCブルゴーニュ(Dénominations Géographiques Complémentaires de l’AOC Bourgogne)というものになります。以下に挙げておきます。

・AOC Bourgogne Côtes d'Auxerre
・AOC Bourgogne Chitry
・AOC Bourgogne Epineuil
・AOC Bourgogne Coulanges La Vineuse
・AOC Bourgogne Tonnerre
・AOC Bourgogne Côte Saint-Jacques

それぞれの場所はどのあたりか、少々見にくいですがINAOの地図に頼りましょう。
Bourgogne_Sous-Regionales
見にくいですね(笑)。今日はイランシーが主役なので地理的呼称付きAOCブルゴーニュのGoogle Map転記はまた別途にやりたいと思います。

グラン・オーセロワ地区周辺はいくつかの地区に分類することができます。
Grand-Auxerrois-周辺広域
スラン川両岸に広がるシャブリ地区(Chablisien)を中心に東にトネロワ地区(Tonnerrois)、南にヴェズリアン地区(Vézelien)、西にオーセロワ地区(Auxerrois)と北にジョヴィニアン地区(Jovinien)が広がっています。

フランス全体の中でシャブリ&グラン・オーセロワ地区を把握しておきましょう。
フランス産地
ブルゴーニュ最北の生産地域とはいうものの、コート・ドールからはずいぶん離れ、シャンパーニュの方が近そうです(笑)。


エチケット平面化画像。
IMG_7843
短いけど一枚ものですね。ユーロリーフもちゃんと入っています。

裏にはインポーターシールのみ。
IMG_7843B


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
エッジかすかに褐変のルビー。サラッとしてる細かい涙あり。
IMG_8205

フランボワーズ、スパイス、出汁っぽさ。
酸味もかすかに感じる辛口アタック。
とは言え甘やかさにも感じます。
実体はコクのある味わいですよ。
フルーティなうまさも加わって、
フィニッシュまでテンションが下がりません。
おっと、やはりいいピノでした。

パーカーおじさんは91点でしたが、92点をつけましょう。
調べると、おじさん、2016には92+点をつけてました。

*****

Gabin et Félix Richoux
Irancy 2017
RRWポイント 92点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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