Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Cabernet_Franc

Château de Fesles La Chapelle Anjou Cabernet Franc 2020 Vieilles Vignes

近所の百貨店で直感で選んだロワールの赤です。アンジュー(Anjou)のカベルネ・フラン。狙い通りの当たりならいいんですが。アンジューには赤・白・ロゼ・泡となんでもあり、赤はカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンが主要品種になってますが、やはりカベルネ・フランが王道ですね。作り手は甘口白の名産地 AOCボンヌゾー(Bonnezeaux)にあるようですが。

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作り手のシャトー・ド・フェルは、名前のように11世紀に建てられた本物のお城(シャトー)です。所有者は時代によって変わりましたが、周囲にブドウ畑を開き当初からワイン作りを続けているそうです。2008年からはヘルフリッヒ家(la famille Helfrich)が所有しています。アンジェ(Angers)の30キロ南にあるトゥアルセ(Thouarcé)というコミューンにあり、アンジューでは4番目に高い高台でロワール川支流のレイヨン川を見下ろす好立地なんだそうです。実はこのトゥアルセにボンヌゾー(Bonnezeaux)という場所があり、コミューン全体がAOCボンヌゾーのエリアになっています。よってシャトー・ド・フェルも甘口白のAOCボンヌゾーを出しています。

公式ページはショップ兼用ながら情報豊富でよくできています。

今日のワインもしっかり載っています。10ユーロということもわかりました(笑)。

・カベルネ・フラン 100%

「La Chapelle」というのはシャトーに隣接する畑の名前で、所有畑の一番いいところなんだそうです。そこの Vieilles Vignes(古樹)ですからこれはすごいかも。樽使いなんかはインポーターのサイトを見てもわかりませんでした。白ワインに樽を使ってますから赤も使ってると思うんですけどね。

カベルネ・フランです。ロワールではブルトン(Breton)というシノニムがありますね。
Chinon02
ボルドーの非常に古い品種になりますが、起源はバスク地方(スペインもしくはフランス)らしいです。17世紀に枢機卿リシュリューさん(Cardinal Richelieu)がボルドーから千本以上のブドウの木をロワール地域のブルグイユとシノンにある自身のエステートに送って植えたとされます。これでボルドーにあったカベフラがロワールに伝わったと思われます。その時のエステートの管理人がアベ・ブルトンさん(Abbé Breton)でした。ロワールではなぜブルトン(Breton)というシノニムで呼ぶのかわかりましたね。カベルネ・フランという名前が初めて出てくるのは1823年を待つことになりますが、当時から「カベルネ」とつく品種がカベルネ・ソーヴィニヨンはじめいくつもあったため現在のカベルネ・フランを指しているかどうかは同定が難しいそうです。

そうそう、カベフラはカベソーの母でしたね。父はなんと白ブドウ。
カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン。

世界各地で栽培されますが、世界合計の56,052haの内、32,327ha(約58%)がフランスです。ロワールが約15,000haでやはり多く、ボルドーに約12,000haあります。残りは南西地方やラングドックです。

さあ、シャトー・ド・フェル訪問。敷地(周囲の畑)が広くストビューで近づけず。
Fesles
小ぶりですが立派なシャトーと、その前には整備された庭園があるようです。アンジューでは4番目に高い高台ということですが、確かに周囲はなだらかに下っており、シャトーはてっぺんにあるようです。海抜約100メートルとのこと。シャトーの周囲が「La Chapelle」という一番いい畑で、カベルネ・フラン(18ha)とグロロー(2ha)が植えられています。その周囲がシュナン・ブラン(24ha)になります。グロロー(Grolleau)は主にロゼ・ダンジュー(Rosé d’Anjou)用。シュナン・ブランは当然 AOCボンヌゾー(AOC Bonnezeaux)の甘口ワインになります。(辛口もやってますが。)


AOCアンジューとソーミュールをカバーする地図にシャトーの場所を入れました。
Loire_Anjou
今日のワインのAOCアンジューですが、アンジェ(Angers)周辺とは言うもののかなり範囲は広く、ソーミュールはじめ実にたくさんのAOCとオーバーラップすることがわかると思います。

甘口のAOCコトー・デュ・レイヨン(Coteaux du Layon)の部分を取り出してみます。
Coteaux-du-Layon_Bonnezeaux
これらがAOCアンジューとガッツリ重なってるので地図にすると見にくかったんですよ。あまり重ねるのはよくないですね。逆に言うと、このあたりは今日の作り手のように甘口白とアンジューの赤の両方やってるパターンが多いんじゃないかと思われます。
AOCコトー・デュ・レイヨン内のロシュフォール=シュル=ロワール(Rochefort-sur-Loire)というコミューンは「Coteaux du Layon Premier Cru Chaume」「Quarts de Chaume(Grand Cru)」という上等甘口白ワインのエリアになっています。全部シュナン・ブラン(ロワールでは「Pineau de la Loire」というシノニムあり)一択の貴腐ワインを主とする甘口です。プルミエ・クリュやグラン・クリュって付くわけですからそういう位置づけなんでしょう。

ところで今日の作り手はAOCボンヌゾー(AOC Bonnezeaux)にあるんでした。
Thouarce
AOCボンヌゾーをズームアップ。AOCボンヌゾーもトゥアルセ(Thouarcé)というコミューン全体が対象で、その中にボンヌゾー(Bonnezeaux)という地域がある関係です。Google Mapでは「ボネオー」なんて書いてますね(笑)。ネイティブの発音を聴くと「ボンゾー」って聞こえますが(笑)。

ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
Loire_s
今日はこの中のアンジューあたりのお話でしたということで、ロワールの中での位置関係を確認しておいてください。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルの解説もしっかりしてていいですね。それを隠さないラックさん、エライ。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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ミレジム入り。いいですね。

Alc.13.5%。
赤味強めのガーネット。
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黒ベリー、ブルーベリー、プラム。
辛口アタック。
酸・タンニンの効き方が絶妙です。
きれいなレイヤーの構造感がある作り。
余韻への流れもたおやかに進みます。
「ヤッタネ!」のニンマリ出ました。
ほほ~、こんなうまいカベフラ初めて。


*****

Château de Fesles
La Chapelle
Anjou Cabernet Franc 2020
Vieilles Vignes
RRWポイント 95点


Viña Carmen Gran Reserva Cabernet Sauvignon Cabernet Franc 2021

やまやの定番チリワイン、カルメンです。トップラインからローエンドまでラインアップしてくれてるのでありがたいです。(全種類じゃないですが。)ミドルレンジのグランレセルバに何やら新しいのを発見しました。カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランのブレンドらしいです。面白いのがラベルのデザイン。カベソーとカベフラのラベル色2色に塗り分けられています。

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カルメンはチリ大手のひとつですが、1850年から続くチリ最古のワイナリーです。失われた品種カルメネールが1994年に再発見されたのがカルメンの畑なので、Carmenereからカルメンという名前になったのかなと思ってしまいますが、1850年の創業者Christian Lanzさんの妻の名がカルメンだったとのことで、カルメンと名付けられています。
1987年には、すぐ隣のこれも古参のワイナリー、サンタ・リタ(1880年創業)がカルメンを買収します。その翌年の1988年には大企業グループ、グルーポ・クラロ(Grupo Claro)にサンタ・リタごと買収され、現在サンタ・リタもカルメンも同じクラロ・グループの傘下となっています。

今日のワインの背後にカベソー、カベフラを一緒に移し込んでみました。
IMG_3363
ラベルがカベソー、カベフラのラベル色半分づつ斜めに塗り分けられているというわけです。面白いことしますね。というか何のブレンドかわかりやすい(笑)。

公式ページはよく出来ていますが、Gran Reserva に今日のワインが見当たりませんね。

実はネットで探してもこのワインは見つかりませんでした。というか、やまやにあるカベフラのモノセパージュもラインアップにはなさそうです。これらは日本のやまや専管モデル?(笑)

・カベルネ・ソーヴィニヨン 50%?
・カベルネ・フラン 50%?

よって、セパージュがまったくわかりません。ラベルの色の塗分けからすると半々かなとも思うんですが、ラベルの表記はカベソーの字の方が大きいんですよね。これはカベソー多めの意味でしょうか? カベソーにカベフラをブレンドするというのはボルドーでも定番かと思いますが、フィロキセラでカルメネールを失ったボルドーがカルメネールのその味わいに似せるため苦肉の策で編み出した技だと勝手に思っています(笑)。そんな感じがあるブレンドであることは言えると思います。
熟成は他のグランレセルバと同じくフレンチオーク樽で14ヶ月といったところでしょう。

畑はサンティアゴの南、マイポ・ヴァレーからです。カルメンの本拠地近くでしょうか。
AltoJahuel
これはHPにあったカルメンの「Alto Jahuel」という創業からの自社畑の地図になります。カベルネ・フランはやってるのなかなと探すと、⑦(7)と⑧(8)の区画でやってるようですね。

上の地図にはカルメン自体が示されていませんが、Google Mapで見るとわかります。
Carme_Maipo
畑の範囲もハイライトしておきました。上のイラスト地図と見比べてみてください。まあ、グランレセルバのカベソーやカベフラがこれらの畑からとは限りませんけどね(笑)。

カルメンを訪問したいんですが、幹線道路から奥まっていてストビューがありません。
Carmen01
facebook にあった写真を拝借しましたが、これ以上のいい写真が見当たらないんですよね。幹線道路側に入り口もなく、どうやら同グループのサンタ・リタの方からアクセスするようです。右側の地図を見ると、カルメンとサンタ・リタは同じ敷地内にあるようです。いずれにしてもこの辺りはマイポ川の流域になり、ブイン、イスラ・デ・マイポ、プエンテ・アルト、ピルケなどマイポ・ヴァレーのサブゾーンが集中しているエリアになります。

ご参考ですが、これはカルメンの畑にある「カルメネール発見の記念碑」です。
Carmen_carmenere
日本カルメネール振興協会としては是非ここを訪れたいと願っています(笑)。

首都サンティアゴ周辺(首都州:Región Metropolitana de Santiago)を俯瞰します。
Chile_Santiago_Alrededor
マイポ・ヴァレーというとこの首都州全域が対象になるようです。なので、今日のワインの畑も州内のどこかから持ってきているかもしれません。カルメンのおおよその位置も示しておきました。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルに熟成について書いてましたね。仏オーク樽で14ヶ月。ビンゴでした。

やまやさんの裏ラベル隠し。まあ、実害はなかったんですが。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13.5%。
濃いガーネット。エッジはクリア味あり。
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黒ベリー、森の下草、ゼラニウム。
辛口アタック。
酸と重みとコクが絶妙のバランスです。
奥行き・構造感もしっかり感じることができます。
喉越しのタンニン分もいい仕事をしますね。
以上のハーモニーを感じつつ余韻を味わうと幸せ気分です。
やはりブレンドはいいですね。


*****

Viña Carmen
Gran Reserva Cabernet Sauvignon Cabernet Franc 2021
Single 
Vineyard
D.O. Maipo Valley
RRWポイント 97点


井筒ワイン NAC カベルネ・フラン 2020

去る12月4日は国際カベルネ・フランの日だそうで、リカマンで面白いカベフラはないかと物色した結果、日本ワイン、長野のカベフラに行きつきました。検索すると日本のサイトより海外のサイトで引っ掛かりやすいので一応世界的に普及した記念日のようです。新世界でもカベフラのモノセパージュは見かけますが、やはりロワールが有名なんでしょうか。でも今日は日本のカベフラ!

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井筒ワインは、1933年(昭和8年)、長野県・桔梗ヶ原に創業した老舗です。桔梗ヶ原に根ざした地元密着型ワイナリーで、塩尻および松本平産ぶどう100%の土地に根差したワインづくりを行っています。早くからヨーロッパ品種の導入にも力を注いでおり、桔梗ヶ原産メルローなど評価も高いそうです。カベルネ・フランもそんな品種のひとつのようですね。

公式ページはVGAモニター対応のようなショボいサイズ。(日本に多いですよね。笑)

ワイン紹介はショップページへ行かないといけません。

・カベルネ・フラン 100%

塩尻市の自社農園及び契約農園にて収穫のカベルネ・フランということしかわかりません。樽使いとかわかりません。ないんでしょうね。

カベルネ・フランです。ロワールではブルトン(Breton)というシノニムがありましたね。
Chinon02
ボルドーでは非常に古い品種になりますが、起源はバスク地方(スペインもしくはフランス)らしいです。17世紀に枢機卿リシュリューさん(Cardinal Richelieu)がボルドーから千本以上のブドウの木をロワール地域のブルグイユとシノンにある自身のエステートに送って植えたとされます。これでボルドーにあったカベフラがロワールに伝わったと思われます。その時のエステートの管理人がアベ・ブルトンさん(Abbé Breton)でした。ロワールではなぜブルトン(Breton)というシノニムで呼ぶのかわかりましたね。カベルネ・フランという名前が初めて出てくるのは1823年を待つことになりますが、当時から「カベルネ」とつく品種がカベルネ・ソーヴィニヨンはじめいくつもあったため現在のカベルネ・フランを指しているかどうかは同定が難しいそうです。

そうそう、カベフラはカベソーの母でしたね。父はなんと白ブドウ。
カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン。

世界各地で栽培されますが、世界合計の56,052haの内、32,327ha(約58%)がフランスです。主にボルドーで約12,000ha、ロワールで約15,000ha、残りは南西地方やラングドックです。

井筒ワインを訪問。長野県塩尻市の桔梗ケ原にあります。
塩尻01
三角屋根がカッコいいですね。隣りがシャトー・メルシャン桔梗ヶ原ワイナリー、斜め向かいに五一ワインがあります。


信州ワインバレー構想の最新版資料が長野県のHPに上がってました。
NaganoWineValley
信州ワインバレー構想グレードアップ版2020」って呼ぶらしいです(笑)。信州ワインバレー形成を通じ、ワインツーリズムと合わせて「NAGANO WINE」のブランド化を進めていく取り組みだそうです。なんだかスゴイ。

長野県のGoogle Mapに信州ワインバレーを描き込んだものです。
Nagano信州ワインヴァレー
桔梗ヶ原ワインバレーに井筒ワインはあります。シャトー・メルシャンの時に作った地図なのはご愛敬。

信州ワインバレー構想のキーとなるのが「NAC(Nagano Appellation Control)」です。長野県原産地呼称管理委員会が認定するもので、今日のワインもそれにあたります。(下画像左側)
名称未設定-10
2002年にスタートした長野県独自の認定制度で、ワインの他、シードル、日本酒、焼酎、米も対象です。それに対し「GI Nagano Wine」というのがあって(上画像右側)、こちらは国税庁が指定するもので、細かな基準があります。「GI長野ワインプレミアム」という上級グレードも設定されています。
国税庁がこのようにワインの地理的表示:GI(Geographical Indication)として指定しているのは、山梨(2013年)と北海道(2018年)があり、2021年から、長野、大阪、山形の3府県が加わっています。NACの考え方や手法はGI長野に引き継がれているとのこと。詳しくは長野ワイン公式ページをご参考ください。


ラベル平面化画像。
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NACです。シンボルマークもついてます。2020年ですからまだGI長野がなかった頃ですね。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.12.5%。
薄めのガーネット。
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酸味感あるチェリーの香り、カシス。
辛口アタック。
やはり酸味出しゃばる導入。
それを受け止める味わいが弱いこともあるようです。
なんとかコクらしいものを内に秘めているのはわかりました。
少しフォクシーがあるような…?
こじんまりとまとまって嫌味はないですよ。
結構楽しめました。


*****

井筒ワイン
NAC カベルネ・フラン 2020
RRWポイント 84点


Thunevin Clos Badon Saint-Émilion Grand Cru 2018

「テュヌヴァン」と言えば、ガレージワインからプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(B)に登り詰めた(2012年昇格)シャトー・ヴァランドロー(Château Valandraud)で有名なジャン・リュック・テュヌヴァン(Jean-Luc Thunevin)さんのこと。他にもいろんなワインを手掛けていて、AOCボルドーの Bad Boy なんてのも以前に試しました。今日のこのワインは、そのテュヌヴァンさんが1998年にサンテミリオンのコミューン内に手に入れた畑から。

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その畑が「クロ・バドン」といい、ワイン作りのパートナーでもあるミュリエル・アンドロー夫人の指揮のもと作られるワインなんだそうです。

ラベルのニワトリのマークは、テュヌヴァンさんが自宅で飼っていたニワトリがモデルだそうですが、「鳥」で「バードン」と聞くとどうしてもこれを連想してしまいます(笑)。
Badon04
タロウとゾフィーを倒した最強の部類に入る怪獣です。どうでもいいですが(笑)。


公式ページはクロ・バドン単独のもがあります。力が入ってるってことでしょう。
ClosBadon_Banner

因みに、シャトー・ヴァランドローの公式ページはこちらになります。


テュヌヴァンさんのオンラインショップがこちら。手掛けるワインがこちらで買えます。

サンテミリオンにあるクロ・バドンの畑は6.5ヘクタールあり、砂利質の土壌で平均樹齢は20年とのこと。

・メルロー 50%
・カベルネ・フラン 50%

手摘み収穫、フレンチオークの新樽で18〜22ヶ月の熟成と贅沢な作り。生産量は15,000本だそうです。

畑もサンテミリオンの集落近くなのでワイナリーも集落内に新たに構えています。
Clos-Bandon-Thunevin
看板が上がっていませんが、HPに上がっていた写真と見比べるとここのようです。この前の道をもう少し行くとサンテミリオンのシンボルともいえるサンテミリオン・モノリシック教会の前の広場に出ます。

ストビューで適当に拾ったサンテミリオン・モノリシック教会の写真を貼っておきます。
Saint-Emilion01
今日のワインと直接は関係ないですが雰囲気だけでも…と。

「クロ・バドン」の畑は、シャトー・パヴィ、シャトー・ラルシス・デュカス、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールに囲まれているようなことがHPに書いてあります。確かにこれら有名シャトーの近くに「Badon-Nord」という小道がありました。このあたりが「クロ・バドン」なんだと思われます。以前描いたサンテミリオンの格付けシャトー全部入り地図で見ておきます。
Saint-Emilion
この地図は、サン・テミリオンの最高格付けである、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)と(B)の全部をカバーするように縮尺を2段構えで並べたものです。(A)(B)のマークで示してあります。シュヴァル・ブランやヴァランドローがサン・テミリオン集落から離れているので1枚の地図に入れるのは困難だったのですが、縮尺違いの2枚をつなげてなんとか実現しました(笑)。

サン・テミリオンの格付けは1855年のメドックの格付けに遅れること100年、1955年から始まっていて、10年ごとに改定されます。地図に書いた格付けは2012年の格付けに基づくものです。ちょうど2022年の今年再格付けが行われるんですが、現状の格付け(=2012年)をリストアップすると以下になります。

PREMIERS GRANDS CRUS CLASSÉS (A)

Château Ausone ・・・<2022年 脱退>
Château Cheval Blanc ・・・<2022年 脱退>
Château Angélus(2012年昇格) ・・・<2022年 脱退>
Château Pavie(2012年昇格)

PREMIERS GRANDS CRUS CLASSÉS (B)

Château Beau-Séjour (héritiers Duffau-Lagarrosse)
Château Beau-Séjour-Bécot
Château Bélair-Monange
Château Canon
Château Canon la Gaffelière(2012年昇格)
Château Figeac
Clos Fourtet
Château la Gaffelière ・・・<2022年 脱退>
Château Larcis Ducasse(2012年昇格)
La Mondotte(2012年昇格)
Château Pavie Macquin(2006年昇格)
Château Troplong Mondot(2006年昇格)
Château Trottevieille
Château Valandraud(2012年昇格)

<2022年 脱退>と付けたシャトーがありますが、審査基準(ワインと関係のない事柄が重要な評価ポイントとなっている)が納得いかないという理由で、2022年の格付けは脱退を表明しているシャトーになります。4つしかないプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)から3つも脱退ですから、これは結構えらいこっちゃな状況です。ちなみに以下の2シャトーも脱退表明してますから、現在6シャトーが脱退を表明している状況になっています。どうなりますことやら。

Château Quinault l’Enclos(Grand Cru Classé)
Château Croque Michotte(Grand Cru、1996年 Grand Cru Classé から格下げ)

サン・テミリオンの格付けの最大の特徴は10年ごとに改定されるところです。過去、1969年、1986年、1996年、2006年、2012年と改定を重ねてきています。ところが、この改定がもめる要因にもなってるんですね。2006年の改定時も格付けが一時無効になったり大モメしています。前回2012年の格付けから10年。波乱の2022年改定がやってきます(笑)。


ボルドー右岸のサン・テミリオン(Saint-Émilion)はメドックとは格付けのシステムが違うので、いくつか理解しておかないといけない事項があります。まずは対象範囲をINAOの地図で確認。
SM01
行政区分のサン・テミリオンだけでなく周辺のコミューンを含めた結構広大な範囲です。ここで作ったワインが一定の条件を満たすと以下のAOCが名乗れます。

・AOC Saint-Émilion
・AOC Saint-Émilion Grand Cru

後者は「Grand Cru」とつきますが、これは低収量かつアルコール度数の基準を満たせばOKな「Grand Cru」で、「Grand Cru Classé」というランクとは全く別モノと考えないといけません。「AOC Saint-Émilion Grand Cru」の中に、さらに上級の「Grand Cru Classé」が含まれるという関係です。なので、表記すると「Saint-Emilion Grand Cru Grand Cru Classé」となります。ややこしいですね。「Grand Cru」というワードの安売りをするからいけないんですね。「Classé」の付かない「並」のグラン・クリュが腐るほどあるということですから、サン・テミリオンの「グラン・クリュ」にだまされてはいけません。(今日のワインがそうですが…笑)

ただの「Grand Cru」とは違う「Grand Cru Classé」には以下の3段階があります。

・Premier Grand Cru Classé 'A'
・Premier Grand Cru Classé 'B'
・Grand Cru Classé

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)のつと(B)の 14 のシャトーを見ましたが、「プルミエ」のつかないただの「グラン・クリュ・クラッセ」のシャトーはまだでしたね。実はこのクラスにはさらに 64 ものシャトーが選ばれています。とてもじゃないので、ここには挙げません(笑)。

サン・テミリオンの公式サイト格付けワインのリストとその詳細が確認できます。

64の「グラン・クリュ・クラッセ」の下にさらにゴマンとある「AOC Saint-Émilion Grand Cru」もリストになっています。今日のクロ・バドンの名前は見当たりませんでしたが。シャトー・ヴァランドロー(Château Valandraud)で登録されているからもういいのかな?


エチケット平面化画像。
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裏ラベルはインポーターシールだけでした。

さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.15%。
ガーネット。中程度の大きさ~細かめの色つき涙あり。
IMG_8415

黒ベリー、ロースト香、芳しい樽香です。
酸の存在もわかる辛口アタック。
確かにメルローですが、深い、たおやかな厚みのある味。
コーヒー系の苦味もありました。
平和な余韻は感無量。
整います。(笑)

RRWポイントは95点をつけますが、
パーカーおじさんは92点のようです。


*****

Thunevin
Clos Badon
Saint-Émilion Grand Cru 2018
RRWポイント 95点


Domaine de Pallus Les Pensées de Pallus 2016 Chinon

たまに無性に飲みたくなるロワールのカベルネ・フラン。今日はAOCシノンからですが、このドメーヌ・ド・パリュ(Domaine de Pallus)というのを割と評判がよさそうなので選んでみました。パーカーおじさんも92点をつけています。なるほど、あまり安くなかったのは(4000円台)そんなせいですね。しかし、これは楽しみです。

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作り手は、ベルトラン・スルデ(Bertrand Sourdais)さんという、醸造家で名を馳せた人で、高祖父が1889年にシノンの地に立ち上げたワイナリー、今日のドメーヌ・ド・パリュ(Domaine de Pallus)がご実家です。2005年から5代目としてドメーヌを引き継いで運営し、過去の輝かしい経歴で培ったノウハウを投入しAOCシノンのワインを世に出しています。
その経歴というのがすごい、というか面白いです。ボルドー大学で醸造学を学んだ後、スペイン・プリオラートのアルバロ・パラシオス(Alvaro Palacios)、チリのサンタ・リタ(Santa Rita)、フランス・ボルドーではムートン・ロートシルト(Château Mouton Rothschild)やレオヴィル・ラスカーズ(Château Leoville-Las Cases)といった錚々たる生産者の元で修行を積み、2000年にはスペインのワイン商ミゲル・サンチェスさんと共同で立ち上げたリベラ・デル・ドゥエロのドミニオ・デ・アタウタ(Dominio de Atauta)が好評を博し、醸造家としてその手腕が高く評価されることになります。
実家のドメーヌ・ド・パリュ(Domaine de Pallus)の運営をするようになっても、惚れ込んだスペインの銘醸地リベラ・デル・ドゥエロは自身の活動拠点になっているのでしょう。2010年には Bodegas Antídoto、2011年には Dominio de Es という新しいワイナリーを、ドミニオ・デ・アタウタに近いリベラ・デル・ドゥエロの東端のソリア県に立て続けに立ち上げています。

公式ページはベルトラン・スルデさん名の総合サイト。そしてなんと全編スペイン語のみ!?

自らをソリアの作り手と名乗り、facebookもスペイン語でしか書いていません。ご実家のドメーヌ・ド・パリュ(Domaine de Pallus)もしっかり載っていますが、リベラ・デル・ドゥエロの所有ワイナリーの方が先で、メニューの末席です。フランス人であることを忘れたんでしょうか?
まあ、今日のシノンはちゃんと載ってますので良しとしましょう(笑)。

・カベルネ・フラン 100%

このドメーヌのフラッグシップですので、最良の畑のブドウを使っています。熟成はブルゴーニュのオーク樽で12ヶ月+コンクリートタンクで6ヶ月です。

カベルネ・フランです。ロワールではブルトン(Breton)というシノニムがあります。
Chinon02
AOCシノン赤・ロゼはカベフラが主体ではありますが、実はカベソーも10%までなら混ぜてよいことになっています。しかし、大体がカベフラ100%であり、カベソーを混ぜるところはほぼないようですが。また、AOCシノンにはもあります。ロワールでは、ピノー・ド・ラ・ロワール(Pineau de la Loire)と呼ばれるシュナン・ブラン100%です。ドメーヌ・ド・パリュはこの白のAOCシノンも出しています。

そうそう、カベフラはカベソーの母でしたね。
カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン。

ドメーヌ・ド・パリュを訪問しておきます。
Domaine_de_Pallus01
クラヴァン・レ・コトー(Cravant-les-Côteaux)というシノンの隣のコミューンになります。

所有畑の区画の地図がHPにあったので、今日のワイン「Les Pensées de Pallus」の区画がわかりました。早速行ってみます。ドメーヌのすぐ横、石垣で囲われていてカッコいいです。
Domaine_de_Pallus02
石灰質の岩の上を鉄分が豊富な石を含む砂の層が覆ってる土壌だそうです。

INAOの地図でAOCシノン(AOC Chinon)の対象コミューンを見ておきます。
Chinon01
シノンというコミューンが中心ですが、シノンだけではないヴィエンヌ川(Vienne)両岸の26のコミューンが対象です。今日の作り手のあるクラヴァン・レ・コトー(Cravant-les-Côteaux)はシノンのすぐ東隣ですね。

さあ、AOCシノン周辺含むGoogle Map上でドメーヌの位置関係を把握しましょう。
Loire_Anjou_Saumur_Touraine
シノンってトゥーレーヌのエリアの西の端っこなので、通常のエリア別の地図ですと、アンジュー・ソーミュールとの位置関係や、品種の分布が分断されて見えてしまいますが、実はというか当たり前ですが、地続きなので位置関係以上の結びつきがあったりします。アンジューあたりから始まるカベルネ・フラン=ブルトン(Breton)とシュナン・ブラン=ピノー・ド・ラ・ロワール(Pineau de la Loire)が織りなすモザイクのようなエリアがトゥーレーヌまで広がっています。このあたり(アンジュー・ソーミュール・トゥーレーヌ)を一括で見られる地図はあまりないので、Google Mapで実現するこの地図には意義があるんです。(と、勝手に思っています。)

上の地図には、赤・白・ロゼなどの分類は書き込んでいませんが、ここに一覧を貼っておきます。
Loire_Color
Touraine のところに AOP Chinon があります。赤・白・ロゼがOKなのわかりましたでしょうか。また、AOCシノンとはロワール川を挟んで対岸にAOCブルグイユ(AOC Bourgueil)とAOCサン・二コラ・ド・ブルグイユ(AOC Saint-Nicolas-de-Bourgueil)というよく似たAOCがありますが、これらには白がないことも気にしておきましょう。

シノンとその周辺のロワール全体の中での位置関係をいつもの「大ロワール地図」で見ます。
Loire_s

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

ここのインタラクティブ地図はマウスオーバーで色が変わるので、内包されたりオーバーラップしているエリアの関係性がわかりやすいです。奥に入っていくと個別の地域のデータシートに行き着きます。AOCシノンの場合、生産エリアの面積が 2,350ha あることや、86%赤ワインで、ロゼ10%4%しか作られていないこともわかります。


エチケット平面化画像。
IMG_7757
フォントがお洒落だわ。

そしてインポーターのシールの貼り方がこの有り様でした。
IMG_7756
いつもながらモトックスさんはこんな感じ。やれやれ。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
IMG_8395
「Les Pensées de Pallus」と書いた専用品。ミレジムもしっかり入ってます。

Alc.13%。
ガーネット。中程度の大きさのはっきりした涙あり。
IMG_8397

黒ベリー、プラム、鉛筆の芯。
フッとブレットが香った気がしました。
辛口アタック。
クールな酸が程よく効いています。
いいカベフラのエレガントさを纏って複雑味がやって来ます。
程よいタンニン、程よい酸味、コーヒーっぽさも出てきて、
最終的なバランスは絶妙と思われます。
余韻もクールに決まりました。

あくまでも偶然ですが(笑)、
パーカーおじさんと同じ92点になりました。


*****

Domaine de Pallus
Les Pensées de Pallus 2016
Chinon
RRWポイント 92点


Cave Spring Cellars Cabernet Franc 2017 VQA Niagara Peninsula

ワインショップの店頭でまたカナダのワインを発見しました。前のはブリティッシュ・コロンビア州の「Okanagan Valley BC VQA」だったので西海岸側でしたが、今日のはオンタリオ州(VQA Ontario)の「VQA Niagara Peninsula VQA」ということで五大湖周辺、東側ということになりますね。品種は奇しくも同じカベルネ・フラン。ブドウ栽培の北限では適した品種なんでしょうね。

IMG_8085
 作り手のケイブ・スプリングは、イタリアからの移民であったペナチェッティ家(Pennachetti)が1973年からナイアガラ・フォールズ近くのビームズビル(Beamsville)で営む家族経営のワイナリーです。現在ではリースリングの名手としてカナダを代表するワイナリーのひとつに数えられているようです。

公式ページはこじんまりしていますが(笑)情報は十分です。
URLbanner
ワイン紹介は最新ヴィンテージのみかと思いきや、バックヴィンテージのデータもありました。

・カベルネ・フラン 100%

自社畑からは50%らしいですが、アペレーションは「Niagara Peninsula」なのでいずれにせよ近隣からですね。最新ヴィンテージの2019は100%自社畑となっていて狭域のサブリージョン「Beamsville Bench」を名乗ります。熟成は新樽率15%のフランス・ハンガリー・アメリカ産の混成樽で12ヶ月です。

Google Mapで訪問してみましょう。見つかったここはテイスティングルームでした。
CaveSpring01
この一帯がすべて自社畑のようです。

Google Mapに上がっていたこの写真の建物もワイナリーの一部なんでしょうね。
CaveSpring02
背後にはオンタリオ湖が見え、その対岸にトロントの高層ビル群があるのがわかります。トロントのシンボル、CNタワーも見えますね。(昔登ったことがあります。笑)

カナダは州ごとにアぺレーション、いわゆる GI(Geographical Indication)を統制していて、トロントのある東側のオンタリオ州では VQA(Vintners Quality Alliance)というアぺレーション表示の制度があります。VQAオンタリオには3つのアペレーションがあり、そのひとつが今日のナイアガラ・ペニンシュラになります。Google Map上に描いてみました。
Ontario_CA
以下の3つのアペレーションを確認ください。

・The Niagara Peninsula
・Prince Edward County
・Lake Erie North Shore

VQAオンタリオは100%オンタリオ州産のブドウでないといけませんが、これら3つのアペレーションは当該地域から85%以上という決まりになっています。品種やヴィンテージの表示も同じく85%以上という決まりです。また、ミスプリかと思いましたが「VQA Niagara Peninsula VQA」と表記するのは正しいようですね。

地図を描いていて思いましたが、これはアメリカ・ニューヨーク州のAVAと一緒に位置関係を見るべきと思い、以前描いたニューヨーク州の地図に追記してみました。
New_York_State_VQA
これでしっくりきました。国が違うといって別々に見ると位置関係がつながりませんからね。ナイアガラの滝の周辺は銘醸地が集中してる感じです。

VQAオンタリオには3つのアペレーションがあるのを見ましたが、その下にサブ・アペレーションと、複数のサブ・アペレーションから成るリージョナル・アペレーションというものがあります。「VQA Lake Erie North Shore」には「South Islands」というサブ・アペレーションがあります。(これが唯一のサブ・アペレーションです。)そして今日の「VQA Niagara Peninsula」にはなんと10ものサブ・アペレーションと2つのリージョナル・アペレーションがあります。VQAオンタリオの公式ページに上がっていた地図で見てみましょう。
名称未設定-16
今日の作り手のケイブ・スプリングの場所も追記しています。サブ・アペレーション Beamsville Bench にありますね。実際このアペレーションのワインもラインアップしています。以下に<Sub-Appellations><Regional Appellations>まとめています。

Sub-Appellations
・Beamsville Bench
・Creek Shores
・Four Mile Creek
・Lincoln Lakeshore
・Niagara Lakeshore
・Niagara River
・Short Hills Bench
・St. David's Bench
・Twenty Mile Bench
・Vinemount Ridge

Regional Appellations
Niagara Escarpment
  (Beamsville Bench)
  (Twenty Mile Bench)
  (Short Hills Bench)
Niagara-on-the-Lake
  (Niagara Lakeshore)
  (Niagara River)
  (Four Mile Creek)
  (St. David's Bench)

おさらいでカナダの他のワイン産地も含めた地図を貼っておきます。
VQA01
大きくは西海岸(BC VQA)と東海岸に分かれるってことですね。VQAオンタリオは今日試しましたが、まだ見ていないケベックQuébec)とノヴァ・スコシアNova Scotia)もそれぞれ独自にアペレーションを管理しています。


ラベル平面化画像。
IMG_8034
ぐるっと一枚もの。インポーターシールは貼るところに困りますよね(笑)。


さあ、抜栓。
IMG_8080

コルク平面化。
IMG_8082

Alc.13.5%。
輝き、クリア感のあるガーネット。
IMG_8083

黒ベリー、カシス、チェリー。
酸味の香り。
やはり酸味からくる辛口アタック。
味のふくらみはあり、程良い複雑味もあります。
酸が気になるんですがタンニンも効いていて楽しめます。
クールに重々しくなく飲みたい時にいいかも。


*****

Cave Spring Cellars
Cabernet Franc 2017
VQA Niagara Peninsula VQA
RRWポイント 87点


Valdivieso Single Vineyard Cabernet Franc 2018 D.O. Sagrada Familia Valley

以前にもバルディビエソのシングル・ヴィンヤード・シリーズのメルローを試してますが、さすが上級グレード、なかなか良かったです。同じシリーズのカルメネールも試したいところですが、残念ながらいつものごとく日本には入ってきていないようです。カベソーやピノ・ノワール、シャルドネなんかも入ってきていますが、どうもカルメネールはいつも外されるようです。嘆かわしい。ということで、同じシリーズのカベルネ・フランを発見したので代わりに試してみます。カルメネールもメルローも品種的には父方がカベルネ・フランですからね。(笑)

IMG_7949
バルディビエソは、1879年にアルベルト・バルディビエソさんがフランスからの技術を導入して設立した歴史ある家族経営のワイナリーです。チリ国内で65%のシェアを持つというスパークリングワインが有名で、なんと南アメリカで最初にスパークリングワインを生産したのがこのバルディビエソです。創業当初は「Champagne Valdivieso」という屋号だったそうです。確かに日本でもバルディビエソのスパークリングワインはちょこちょこ見かけます。今度試してみないといけませんね。

公式ページは、バルディビエソ・グループショップサイトもありますが本家はこれ。

スパークリングワインの生産は創業の地サンティアゴでやってるそうですが、スティルワインはマウレ州ロントゥエ(Lontué)に本拠地を置いています。このあたりがクリコー・ヴァレーのサブリージョン、ロントゥエ・ヴァレー(Valle de Lontué)になります。

・カベルネ・フラン 100%

ラベルに「D.O. Sagrada Familia Valley」とあるように(あとで見ます。)ロントゥエ・ヴァレーのさらに狭域のDOからのブドウになります。手摘み収穫、選果もハンドです。新樽率35%のフレンチオーク樽で12ヶ月の熟成です。

バルディビエソを訪問。ロントゥエ川(Río Lontué)の畔、ロントゥエの町にあります。
Valdivieso01
ロントゥエの町にはサンペドロやコンチャイトロなどの大手も大きな施設を持っています。クリコー・ヴァレーの一部をなすロントゥエ・ヴァレーは重要な銘醸地ということなのでしょう。


今日のワインは「D.O. Sagrada Familia Valley」とありますが、クリコー・ヴァレーの中のロントゥエ・ヴァレーの、さらに狭域のDOになります。ラベルには「Punto de Rosa Vineyard」という畑の名前が書いてあります。HPでは「La rosa」となっていました。いずれにしても、調べてみましたが、この名前の畑は見つからず。メルローの時は「La Primavera Vineyard」という名前からおおよその場所を特定できたんですが。まあ、D.O. サグラダ・ファミリア・ヴァレーは同じですから、おそらく同じエリアに今日の畑もあるんだろうと想像します。俯瞰して位置関係を見てみましょう。
Sagrada_Familia
幹線道路から畑の方に入っていく道の入り口にバルディビエソの「La Primavera」の畑を指す看板があります。その辺り一帯がバルディビエソの所有畑なんだと思います。

バルディビエソの力か、その一帯だけなぜかストビューあり。一番奥の斜面から畑を一望。
Valdivieso_SagradaFamilia
畑の各所には「VIÑA VALDIVIESO SE PROHIBE LA ENTRADA A LA VIÑA」と書いた看板が立っています。「バルディビエソのブドウ畑につき立ち入り禁止」という意味です。

マウレ州の地図で全体の位置関係をおさらいしましょう。
Maule_Curico
マウレ州には大きく2つのリージョン、クリコー・ヴァレー(Valle de Curicó)とマウレ・ヴァレー(Valle de Maule)があります。それぞれがサブリージョン(ロントゥエ・ヴァレーとか)、またその下の狭域DO(サグラダ・ファミリア・ヴァレーとか)がある関係です。ロントゥエ・ヴァレーのバルディビエソの所在も書き込んでいますのでご確認を。

参考までにいつものチリのワイン産地(DO)の一覧表(サブゾーン含む)を貼っておきます
Región Subregión Zona Área Término complementario
Región vitícola de Atacama Valle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de Coquimbo Valle del Elqui La Serena Costa
Vicuña Andes
Paiguano Andes
Valle del Limarí Ovalle Costa
Punitaqui Entre Cordilleras
Monte Patria Andes
Río Hurtado Andes
Valle del Choapa Salamanca Andes
Illapel Andes
Región vitícola de Aconcagua Valle del Aconcagua Zapallar Costa
Quillota Costa
Hijuelas Entre Cordilleras
Panquehue Entre Cordilleras
Catemu Entre Cordilleras
Llay-Llay Entre Cordilleras
San Felipe Entre Cordilleras
Santa María Andes
Calle Larga Andes
San Esteban Andes
Valle del Marga-Marga Quilpué Costa
Valle de Casablanca Casablanca Costa
Valle de San Antonio Valle de San Antonio Cartagena Costa
Lo Abarca Costa
Algarrobo Costa
Valle de Leyda San Juan Costa
Santo Domingo Costa
Región vitícola del Valle Central Valle del Maipo Isla de Maipo Entre Cordilleras
Talagante Entre Cordilleras
Melipilla Entre Cordilleras
Alhué Entre Cordilleras
María Pinto Entre Cordilleras
Colina Entre Cordilleras
Calera de Tango Entre Cordilleras
Til Til Entre Cordilleras
Lampa Entre Cordilleras
Santiago Andes
Pirque Andes
Puente Alto Andes
Buin Andes
Valle del Rapel Valle del Cachapoal Rancagua Entre Cordilleras
Peumo Entre Cordilleras
Coltauco Entre Cordilleras
Requínoa Andes
Rengo Andes
Machalí Andes
Valle de Colchagua Paredones Costa
Pumanque Costa
Litueche Costa
Lolol Costa
Nancagua Entre Cordilleras
Santa Cruz Entre Cordilleras
Apalta Entre Cordilleras
Palmilla Entre Cordilleras
Peralillo Entre Cordilleras
Marchigüe Entre Cordilleras
La Estrella Entre Cordilleras
San Fernando Andes
Los Lingues Andes
Chimbarongo Andes
Valle de Curicó Valle del Teno Vichuquén Costa
Licantén Costa
Rauco Entre Cordilleras
Romeral Andes
Valle del Lontué Sagrada Familia Entre Cordilleras
Molina Andes
Valle del Maule Valle del Claro Empedrado Costa
Curepto Costa
Talca Entre Cordilleras
Pencahue Entre Cordilleras
San Rafael Entre Cordilleras
San Clemente Andes
Valle del Loncomilla San Javier Entre Cordilleras
Villa Alegre Entre Cordilleras
Parral Entre Cordilleras
Linares Entre Cordilleras
Longaví Entre Cordilleras
Retiro Entre Cordilleras
Colbún Andes
Valle del Tutuvén Cauquenes Entre Cordilleras
Región vitícola del Sur Valle del Itata Portezuelo Costa
Coelemu Costa
Chillán Entre Cordilleras
Quillón Entre Cordilleras
Valle del Biobío Yumbel Entre Cordilleras
Mulchén Entre Cordilleras
Valle del Malleco Traiguén Entre Cordilleras
Región vitícola Austral Valle del Cautín
Valle de Osorno
黄色で示した「Sagrada Familia」の所を確認ください。セントラル・ヴァレー ⇒ クリコー・ヴァレー ⇒ ロントゥエ・ヴァレー ⇒ サグラダファミリア・ヴァレーという関係なのがわかりますね。


ラベル平面化画像。
IMG_7708
裏ラベルに結構詳しい解説があります。「Punto de Rosa Vineyard」は1900年に植えられてるとあります。樹齢100年超ってことでしょうか。HPには樹齢50年とありました。50年で一回植え替えたと見るのがいいでしょう。それでもなかなかの Vieille Vigne ですね。

インポーターシールの貼られていた様をお伝えします。
IMG_7707
だだ隠しはモトックスさん常習ですね。


さあ、抜栓。
IMG_7947

コルク平面化。
IMG_7952
シンプルですがDIAM10をおごっています。

Alc.14%。
ガーネット。
IMG_7948

黒ベリー、チェリー、ブルーベリー。
クールな感じがします。確かにカベフラっぽい。
辛口アタック。
厚み、ふくらみはありますが実体は少し軽めの印象。
重々しくならないのがやはりカベフラなのかも。
そして、複雑味の中にもクールさがある感じも。

やはりこのシリーズ、高いレベルにあると思います。
ああ、これのカルメネールが飲んでみたい…。


*****

Viña Valdivieso
Single Vineyard Cabernet Franc 2018
D.O. Sagrada Familia Vall
ey
RRWポイント 91点


Joseph Verdier Domaine d’Etilly Chinon 2018

新世界含めいろんな地域のカベルネ・フランを試していますが、やはり定期的にロワールのカベルネ・フランをホームポジションとして戻ってきたいなと思っています。やまやでお手頃価格のやつですが、久々の「シノン」と参りましょう。ドメーヌ名は入ってますがロワールの大手ジョセフ・ヴェルディエの元詰めとなってます。怪しげな感じはしますが、シノンはシノンですから…。

IMG_6145
ジョセフ・ヴェルディエは1927年に創立。1967年にはソーミュール近くのモントレイユ・バレ(Montreuil-Bellay)に瓶詰めの大きな施設を設け、そこを本拠地にしているようですが、ペイ・ナンテからサンセールまで、ロワール全域からのワインを扱う最大手のひとつになってるようです。

ジョセフ・ヴェルディエの公式ページはこれ。情報はいろいろ載ってるんですが…。

自社ブランドを複数持ち、自社のドメーヌを2つ所有していますが、それ以外にパートナー・ドメーヌといったところが9つもあり、それらの瓶詰めを請け負ったりしているようで、複雑な業態ゆえ掴みどころがありません。今日のワインも「Domaine d’Etilly」とドメーヌ名が入ってますのでパートナーなんだと思われます。

そのドメーヌ・デティリー(Domaine d’Etilly)自体の公式ページがありました。

1976年に James Desbourdes さんがシノンの中心地に立ち上げたドメーヌで、息子の Hervé さんが引き継いでいます。シノンに18haの畑を所有し、ジョセフ・ヴェルディエに醸造・瓶詰めを委託している形と思われます。
・カベルネ・フラン 100%
HPを見ると自社元詰めもやってるようです。ジョセフ・ヴェルディエに委託する分とどう分けているんでしょうね。ジョセフ・ヴェルディエ製の今日のワインは安定剤(アカシア)入りなのが少々気になります(笑)。

カベルネ・フラン。ロワールではブルトン(Breton)というシノニムがあります。
Chinon02
AOCシノンの赤・ロゼはカベフラが主体ではありますが、実はカベソーも10%までなら混ぜてよいことになっています。しかし、大体がカベフラ100%であり、カベソーを混ぜるところはほぼないようですが。また、AOCシノンは白もあります。ロワールでは、ピノー・ド・ラ・ロワール(Pineau de la Loire)と呼ばれるシュナン・ブラン100%です。

そうそう、カベフラはカベソーの母でしたね。
カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン。


ジョセフ・ヴェルディエの本拠地を訪問しておきます。
Joseph_verdier
モントレイユ・バレ(Montreuil-Bellay)という町で、AOC Saumur Puy-Notre-Dame のル・ピュイ・ノートル・ダム(Le Puy-Notre-Dame)の町のすぐ隣です。

そしてこちらがシノンにあるドメーヌ・デティリー(Domaine d’Etilly)です。
Domaine-d’Etilly01
パンズー(Panzoult)という町のヴィエンヌ川(Vienne)に近い側にあります。まわりの畑を含め割と立派ですよ。ジョセフ・ヴェルディエに醸造を委託してるとは思えない感じ。


シノンとその周辺の位置関係をおさらいです。いつもの「大ロワール全体地図」を見ます。
Loire_s
シノンはトゥーレーヌに属しますが左端っこです。ソーミュールとも隣接しています。
下に付いているインデックスで、それぞれのAOCが、赤・白・ロゼ・甘口・泡のどれが対象なのかわかるようになっていますので合わせてご確認を。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

ここのインタラクティブ地図を見ると、マウスオーバーで色が変わるので、内包されたりオーバーラップしているエリアの関係性がわかりやすいです。(Anjou-Saumur のインタラクティブ地図。ソーミュールってアンジューに内包されているの知ってました?)

さあ、大体の位置関係を把握しましたので、シノン周辺をGoogle Mapに重ねます。
Loire_Chinon
ただの見にくい地図にしか見えませんが、描いてる本人はすごく頭に入りやすいのです。いかにこのブログが「自分の鍛錬用」、「自分用メモ」かということですね(笑)。
シノンってトゥーレーヌの西の端っこなので、エリア別の地図を見ると、ソーミュールやアンジューとの位置関係、品種の分布が分断されて見えてしまいますが、実はというか当たり前ですが、地続きなので位置関係以上の結びつきがあったりします。アンジューあたりから始まるカベルネ・フラン=ブルトン(Breton)とシュナン・ブラン=ピノー・ド・ラ・ロワール(Pineau de la Loire)が織りなすモザイクのようなエリアがトゥーレーヌまで広がっています。このあたり(アンジュー・ソーミュール・トゥーレーヌ)を一括で見られる地図はあまりないので、Google Mapで実現するこの地図には意義があるんです。(と、勝手に思っています。)
昔描いた地図からは大分正確にはなってきています。昔描いた地図は品種や赤・白・ロゼ・白・甘口白の区別まで書き込んであるんですが、ある意味見にくかったですね(笑)。

今日はシノンですので、INAOの地図でAOCシノンの対象コミューンを見ておきます。
Chinon01
シノンだけではないヴィエンヌ川(Vienne)両岸の26のコミューンが対象です。


エチケット平面化画像。
IMG_6093
安定剤(アカシア)がどうしても気になります。過去に飲んだジョセフ・ヴェルディエのワインを見返してみるとかなりの確率でアカシア入りでした。常習犯です。(笑)


さあ、抜栓。
IMG_6141
めっちゃ汎用品。

コルク平面化。
IMG_6142
「ローヌ渓谷」とだけ。そりゃそうだけど…。

Alc.12.5%。(pH:3.71、Brix:6.3)
透けないガーネット。
IMG_6143

黒ベリー、チェリー、モカ、スパイス。
クールな感じの辛口アタック。
酸味、タンニン、いいバランス。
ほどよいふくらみのある味ですよ。
これはアカシア効果?(笑)
カベフラのクールな個性は出ていますね。
余韻で適度な苦味様のアクセントも加わりフィニッシュ。
悪くはないんですが、もっと上等なシノンもいただきたい…。


*****

Joseph Verdier
Domaine d’Etilly Chinon 2018
RRWポイント 90点


Cenyth 2016 Sonoma County

セニス(Cenyth)というソノマのカベフラ主体のワインです。パーカーおじさんから15回も100点満点をもらったというカルトワイン、ヴェリテ(Vérité)の醸造家ピエール・セイヤン(Pierre Seillan)さんの娘、エレーヌ・セイヤン(Hélène Seillan)さんが醸すワインで、ヴェリテのセカンド的位置づけだそうで。実際このワイン自体(2016)もパーカーおじさんの94点です。そんないかにもスゴそうなやつがリカマンで半額以下の特売。これはお試ししなくてはなりません。

IMG_5598
エレーヌさんは1987年生まれといいますから御年34歳。御父上のピエールさんから直々にワイン作りを学び、フランス(サンテミリオン)でも修行をして、自身のワイン「セニス」をリリースしたのが2009年。22歳の時ですね。すでにピエールさんの片腕としてヴェリテの醸造にも携わっていたそうですが、この度正式にお父様がエレーヌさんを後継に指名し、今後はヴェリテの醸造に専念するため、セニスはこの2016をもって終了となるとのこと。なんだかすごいワインです。いわば未来のヴェリテでもあるわけです。

これがリカマンにあったPOPです。「なんと!半額以下」が目を引きます。
IMG_0456
しかし、なんで終売で安売りになるんでしょうね。普通なら逆に値上がりしそうなもんですが。しかし、ヴェリテなんて手が出ませんから「未来のヴェリテ」がこの値段で楽しめるってスゴイことかもしれません。


公式ページはこれ。あるあるですが、メアドしか載ってなくワイナリー所在が不明。


終売ということはサイトもなくなるかもなので「Vérité」の公式サイトも貼っておきます。


ついでに親玉であるジャクソン・ファミリー・ワインズのサイトも。

Kendall-Jackson をやってるところですね。ここがフランスからピエール・セイヤンさんを招聘してヴェリテを立ち上げています。しかし、傘下のワイナリーの数が半端ないですね。

さて、今日の「Cenyth 2016」がラストヴィンテージですが、公式サイトには2015までしか載っていません。セパージュ情報は裏ラベルにありました。
・カベフラ 50%
・メルロー 32%
・カベソー 18%
サンテミリオンの経験からかカベフラ主体なんですね。熟成は新樽率40%のフレンチオーク樽で10ヶ月です。

「Cenyth」がどこで造られてたのか不明なので「Vérité」を訪問しておきます。
Cenyth_verite01
ソノマのワインの中心地ともいえるヒールスバーグから西へ車で20分、ロシアン・リバー(Russian River)沿いですね。写真にあるように、ピエールパパから熱心に学ぶエレーヌさんの姿から、セニスもここで作ってるんじゃない?って思ってしまいます。


いつもの地図で「Sonoma County AVA」をおさらいです。
Sebast03
ソノマ・カウンティAVA(Sonoma County AVA)はノース・コーストAVA(North Coast AVA)に属します。ヒールスバーグは見つかりましたか。


ラベル平面化画像。
IMG_5553
ジャクソン・ファミリー・ワインズの創始者ジェス・ジャクソンさんの娘のジュリアさん(Julia Jackson)がこのラベルを描いています。エレーヌさんとは幼馴染み&親友だそうです。


さあ、抜栓。
IMG_5591

コルク平面化。
IMG_5593

Alc.13.9%。(pH:4.07、Brix:6.3)
濃い濃いガーネット。
IMG_5594

黒ベリー、プラム、腐葉土、森の下草。
上等のボルドーの雰囲気です。
辛い辛口アタック。
酸味とタンニンの苦味が組み合わさった印象。
構造感と深み、さすがに優雅に出来上がってます。
喉越しでタンニンが少し出っ張るんですが、
余韻は見事な調和と均衡でたおやかに続きます。
さすが、未来のヴェリテです。


*****

Cenyth 2016
Sonoma County
RRWポイント 95点


Summerhill Pyramid Winery Organic Cabernet Franc 2017 Okanagan Valley BC VQA

カナダのカベルネ・フランとな。またまたコストコ店頭での発見ワインです。カナダはその昔トロントまで車で遊びに行った以外は、トランジットでバンクーバー空港に降りるばっかり。空港ではアイスワインしか見なかったですが、やっぱりこういう赤ワインも作ってるんですね。しかし、ブドウ栽培のほぼ北限ですよね。ロワールのカベフラみたいなのを想像しますがどうなんでしょう。

IMG_4881
作り手のサマーヒル・ピラミッド・ワイナリーは、Cipes家がオカナガン湖畔(Okanagan Lake)のケロウナ(Kelowna)のブドウ園を1986年に購入したのが始まりだそうで。それ以上の情報はないですが、100%オーガニック、ヴィーガンのワインが売りのようです。2012年にはケロウナの畑がデメター(Demeter)のビオディナミの認証を受けています。


公式ページは、がっつりショップ兼用のアメリカンスタイル(笑)。

今日のワイン(2017)は載ってました。価格は28カナダドル。日本円で2300円くらいでしょうか。コストコでは税込み2,498円(税抜き2,271円)で売ってましたから、現地とほぼ同じか安いくらいです。やっぱりコストコの価格設定は超良心的ですね。
・カベルネ・フラン 89%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 11%
というブレンドですが、カベソーも作ってるんだというのに驚き。発酵を10,000Lのオークのフードル(大樽)で行い、熟成は通常のオークのバリックに移し、30ヶ月だそうです。


ブリティッシュ・コロンビア州、ケロウナにあるワイナリー訪問。
Okanagan_Valley00
バンクーバーから車で4時間ほどかかります。写真に見えますが、オカナガン湖という細長い湖のほとりです。この辺り一帯がオカナガン・ヴァレーというブリティッシュ・コロンビア州最大(州のワイン生産の84%を占める)の銘醸地になります。
丘の上のワイナリーは上がレストランになっているようです。そして建物の背後にはワイナリーのシンボルとも言えるピラミッドが立っています。ワイナリーツアーに来ると、この中で瞑想させてくれるそうですよ。(笑)


恒例ですが、Google Map上で「Okanagan Valley BC VQA」とワイナリー所在を確認。
Okanagan_Valley01
カナダは州ごとにアぺレーション、いわゆる GI(Geographical Indication)を統制していて、トロントのある東側のオンタリオ州で VQA(Vintners Quality Alliance)というアぺレーション表示の制度があります。アメリカの AVA(American Viticultural Area)みたいなもんですね。
これに対し、西のブリティッシュ・コロンビア州がやってるのが、BC VQA(British Columbia Vintners Quality Alliance)であり、地図の右上にインポーズしましたが、9つの GI(Geographical Indication)があり、BC VQA を表示できます。「BC VQA」表示があると以下のことがわかります。
・100%ブリティッシュ・コロンビア州産のブドウであること。
・95%以上が表示されている地域からのブドウであること。
・85%以上が表示されている品種であること。(今日のワインはカベフラ表示できます。)
・85%以上が表示されているヴィンテージのものであること。
見にくいですが、ケロウナ(Kelowna)他、オカナガン・ヴァレーBC VQA(Okanagan Valley BC VQA)のサブリージョンも地図に書き込んでいますので、ご確認ください。
詳しくはブリティッシュ・コロンビア州ワインの公式ページをご覧ください。

おまけで、カナダの他のワイン産地の地図を貼っておきます。
VQA01
大きくは西海岸と東海岸に分かれるってことですね。

しかし、今日のオカナガン・ヴァレーの緯度を世界各地と比較するとこうです。
VQA00
北海道のはるか北~。ヨーロッパでも、シャンパーニュあたりですかね。ドイツだとラインガウとか。いわゆるブドウ栽培の北限てことです。まあ、海流とかうまくいけば多少温暖になってなんとかなるんでしょう。


ラベル平面化画。
IMG_4828
なかなか情報豊富な裏ラベル。コストコのシールは少しだけかぶってました。


さあ、抜栓。
IMG_4883
出た、キャップシールなし。申し訳程度にテープが貼ってますが、ホコリ避けにはなってません。ビオワインをやってる所はこういうことやりがちです。(笑)

コルク平面化。
IMG_4879
こんなところにピラミッドのマーク。

Alc.14.5%。(pH:4.65、Brix:7.7)
濃いガーネット。
IMG_4880

ブラックベリー、ダークチェリー。
ドライフルーツ、スギ、かすかなミントかハーブ。
カベソーの雰囲気のある香りです。樽香のせいかな?
辛口アタックに鋭角な酸味が乗ってます。
少しブレット風味もあるような…ビオ…(笑)。
酸のお陰で、こじんまりな感じですが、
味の奥行きは結構あるんですよ。
タンニンはシルキー。
余韻も酸が支配的なんですが、じんわりいい感じ。

クールな酸味は好みですが、
飲む人によって評価は分かれるかな~。
嫌いじゃないわ。


*****


Summerhill Pyramid Winery
Organic Cabernet Franc 2017
Okanagan Valley BC VQA
RRWポイント 90点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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