Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Cabernet_Franc

Simon di Brazzan Cabernet Franc 2017 Venezia Giulia IGT

「白ワインの聖地」なんて呼ばれるフリウリ・ヴェネチア・ジュリア州(Friuli-Venezia Giulia)ですが、赤ワインも当然ありまして、カベフラやカベソーなんかが主要品種になってるようです。ちょうどヴェネチア・ジュリア IGP(Venezia Giulia IGP)のカベフラを発見しましたので、お試しといきましょう。

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シモン・ディ・ブラッツァンという作り手ですが、当主のダニエーレさんの名前のついた Azienda Agricola di Drius Daniele というのが正式名称のようですね。1956年にダニエーレさんの祖父母が立ち上げたワイナリーです。ダニエーレさんが農薬アレルギーということで(笑)ビオロジックを推進しているとのこと。場所は、スロベニアとの国境に近い(言ってみれば歴史的にもややこしい)ゴリツィア県(Gorizia)にあります。

公式ページはシンプルですがないよりマシ。ワイン情報は最小限しかないですが。

ユーロリーフのビオワインということはアピールしてますが、醸造法などの記述はありません。
・カベルネ・フラン 100%
以上。ということで。(笑)


ゴリツィア県(Gorizia)コルモンス(Cormons)にあるワイナリー訪問。
Friuli-VeneziaIGP01
スロベニアの国境まで車で10分とかかりません。また、スロベニア側にもブドウ畑が広がっており、プリモルスカというスロベニアの銘醸地になっています。


フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州をGoogle Mapで俯瞰します。DOC/DOCGの地図もインポーズしましたので地形図と見比べてください。州の北側大半は山地になっておりワインが作られていないことがわかります。今日のワインは、ヴェネチア・ジュリア IGPVenezia Giulia IGP)で、フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州全体が対象です。
Friuli-VeneziaIGP
フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州のDOC/DOCGを包括する全部入りのDOCが、2016年に新しくできた Friuli DOCFriuli Venezia Giulia DOC なんですが、このDOCもフリウリ・ヴェネチア・ジュリア州全体が対象です。個人的に気になるのが、同じ範囲のIGPの方の名称に「フリウリ」が付かないところです。ヴェネチア・ジュリア IGP の方は1996年に制定と、フリウリDOCより20年も早くできています。何か背景がありそうなんですが…。

ということで、いろいろややこしい背景がありそうなフリウリ・ヴェネチア・ジュリア州(Friuli-Venezia Giulia)を深掘りしておきましょう。
Friuli-Venezia00
イタリアの国境付近の州はどこもややこしい歴史を持っていますが、ここもご多分に洩れません。州の大部分を占めるのが「フリウリ地方」で、ポルデノーネ県(Pordenone)、ウーディネ県(Udine)、ゴリツィア県(Gorizia)の東北部から成ります。
1866年にはこのフリウリはイタリアに帰属していますが、ゴリツィア県の残りと現在の州都トリエステを擁するトリエステ県(Trieste)から成る「ヴェネツィア・ジュリア」がイタリアに編入されるのは第一次世界大戦後を待つことになります。もっともユーゴスラビアとの国境が正式に確認されたのは1975年ですから、結構近代までややこしい地域だったわけです。(現在国境を接するのはスロベニア。笑)州の名前が長ったらしいのも、「フリウリ」+「ヴェネチア・ジュリア」だということがわかりましたね。そしてアルファベット表記の Friuli の後に付くハイフンは「+」の意味ということになりますね。

でもやっぱりわからない。フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州全域対象のDOCが「フリウリ DOC」もしくは「フリウリ・ヴェネチア・ジュリア DOC」なのに対し、同じ範囲のIGPがフリウリの付かない「ヴェネチア・ジュリア IGP」なこと…。


エチケット平面化画像。
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特徴的なデザインですね。裏にはしっかりユーロリーフのマーク。

微妙に裏ラベルにかぶっているインポーターシールがこれ。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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DIAM10とはいいのを使ってますね。

Alc.12.5%。(pH:4.55、Brix:6.2)
エッジがかすかに褐色かな。ガーネット。
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黒ベリー、チェリー、プラム。
西洋杉っぽいのは樽かな?
酸味乗った辛口アタック。
酸のおかげか、厚みはあるんですがクールな味わいです。
なんとなくロワールのカベフラのキャラクターを感じますね。
重苦しくないクールな味のバランスが続きます。
余韻もいい感じで楽しめました。
意外にもなかなか良かったです。


*****

Simon di Brazzan
Cabernet Franc 2017
Venezia Giulia IGT
RRWポイント 92点


エーデルワイン シルバー カベルネ・フラン 2013

今日は岩手のワインをいただきます。カベフラモノセパージュは珍しいかも。
東北ではこの岩手や山形が有名ですが、日本ワイナリー協会のサイトを見ると、
ずいぶん東北全体にワイナリーがあります。日本ワインもまだまだ課題が多いです。
新潟や鳥取もお取り寄せしてあるので、ぼちぼちクリアしていきます。(笑)


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エーデルワインはこの地のパイオニアでしょうか、1962年(昭和37年)に、
大迫町と大迫農協の出資で設立された岩手ぶどう酒醸造合資会社が前身です。
株式会社エーデルワインとしては1974年(昭和49年)に設立となっています。

ずっと「Edel Wein」とドイツ語の綴りなのが気になってたのですが、
近くの早池峰山(はやちねさん)に自生する固有種ハヤチネウスユキソウが、
ヨーロッパ・アルプスの「エーデルワイス」と近縁種であることが発見され、
この縁で大迫町がオーストリアのベルンドルフ市と友好都市となったそうで、
ワイナリー名もアルプスの名花エーデルワイス(Edelweiß)に因んだという訳です。


公式ページはいろいろと情報豊富でいいんですが…。

個々のワイン情報は全部楽天市場のネットショップへのリンクです。しかも、
そのショップでも「岩手県紫波郡紫波(しわ)町産カベルネ・フランで限定醸造」
しか情報がありませんでした。樽使いも、使ってると思いますが不明です。
・カベフラ 100%
エーデルワインの所在は岩手県花巻市大迫(おおはさま)町なので、紫波町産なら、
ワイナリー近隣の畑じゃなさそうですね。


東北本線、JR花巻駅から車で30分ほどでエーデルワインに到着です。
直売店「ワインシャトー大迫」が併設され、テイスティングもできるようです。
Edel01
紫波町産カベルネ・フランということなので、紫波町を調べたらすぐ近所。
カベフラ畑の場所まではわかりませんが、案外すぐ近くかもしれません。


岩手県を俯瞰して位置関係を把握します。大迫町は県のほぼ中央です。
日本百名山、早池峰山麓にあり、西側が岩手を縦断する東北最大の北上川。
Edel02
早池峰山は標高1,917mで、北上川両側には1,500メートル級の峰が連なります。
エーデルワインのある大迫は、降水量が少なく、昼夜の温度差も大きく、
弱アルカリ性の石灰岩土壌でブドウ栽培には理想的なんだそうです。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルに「甘い樽香…」とあるように樽は使ってはいそうですね。
ラベルにはないですが、POPにジャパンワインチャレンジ2016銅賞とありました。
どれだけすごいのかは知りませんが。(笑)


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクもワイナリーのマーク・名前入り。

コルク平面化。
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1974年ではなく1962年を創業年としているようですね。

Alc.12.5%。(pH:3.98、Brix:6.0)
薄めのガーネット。けっこうな褐変と濁りが認められます。
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黒ベリー、プラム、っていうか梅かシソの香り。
甘いブドウ香(フォクシー…)もフッと感じたような…。
いや、気のせい。気のせい。(笑)
還元的な何かも感じる辛口アタック。
酸味もあるんですが、主張は強くないのでOK。
なめらかながらしっかり実体を感じる味わいです。
何よりカベフラらしさが出ているのがいいですね。 
ロワールのシノンなんかとの共通点を感じます。
年相応(2013年)の深み、熟成感も出ていますが、
これ以上寝かせたら枯れていくかもしれません。
余韻は短めですが、酸味がちに感じてきたところで逃げ切り。(笑)

なかなかな作り手と感じました。
ここのカベソーやメルローも試してみたいですね。


*****


エーデルワイン
シルバー カベルネ・フラン 2013
Edel Wein Silver Cabernet Franc 2013
RRWポイント 89点


Boutinot Decagon Cabernet Franc 2018 IGP Pays d’Oc

リカマンでカベルネ・フランのモノセパージュを発見。IGPペイ・ドックです。
ラングドック・ルシヨン地方のIGP(Indication géographique protégée)ワイン。
「コニャックとワイン用のダブル樽熟成、10ヶ月」のラベルに惹かれました。(笑)
この地方はホントいろんなワインがありますね。そして特に安いのがうれしいです。


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ブティノ(Boutinot)社というところが出しているワインだとわかりました。
1980年にポール・ブティノ氏にがイギリス・マンチェスターに設立した会社。
レストランオーナーの息子だった氏は、高品質でおいしいワインを供給したくて、
フランス、ボジョレーを皮切りにワインビジネスを始めたというわけです。
今ではフランス以外でも、南アフリカ、アメリカ他世界各国に拡大させています。


公式ページはUK版、US版、インターナショナル版と切り替えができます。

今日のワインは最近のリリースとしてトップページにリンクがありました。
・カベフラ 100%
ですが、出どころはラングドックとしかわかりません。
熟成がこのワインの肝で、コニャック樽で5ヶ月の後、ワイン樽で5ヶ月。
合計10ヶ月とラベルのうたい文句の通りです。

ただ、コニャック用もワイン用も(フレンチ)オーク樽に変わりがないわけで、
産地の違いがあるくらいです。ワイン用はアリエとかトロンセとか。
コニャック用はリムーザンオークが珍重されるようですね。
リムーザンは木目が荒くタンニン含有量が多いため風味が付きやすいようです。
しかし、この値段でそんな樽を使ってるんだろうかと少々疑ってしまいます。
コニャック用というのも安いホワイト(アメリカン)オークなんじゃないかと…。

あとは切々とカベフラのモノセパージュが人気があるとか、カベソーの親なので、
カベソーより青みは感じるがタンニンが穏やかでいいんだとか、品種の説明ばっか。
CabFramcSauvignonBlancCabSauvignon
醸造法や産地の説明をもう少し書いてくれればありがたいんですが…。


まあ、あんまり行く意味はないんですが、イギリスのマンチェスター郊外へ。
Boutinot01
はい、ここがブティノ(Boutinot)社です。ロンドンにも事務所があります。(笑)


IGPペイ・ドック公式ページらしきものがあったので貼っておきます。日本語のみ。日本向け?

もともとヴァン・ド・ペイ(Vin de Pays)カテゴリーの Vin de Pays d'Oc でしたが、
2009年のEUの規定の変更に伴い、IGP Pays d’Oc の呼称となっています。
(IGP=Indication géographique protégée)


IGPペイ・ドックは58種類の品種が使えるとか、総計12万ヘクタールの畑は、
ラングドック・ルシヨンのほぼ半分(あとはAOC)になるとか情報は興味深いです。
Boutinot02
このシンプルな対象地域(県)の地図も気に入ったので貼っておきます。


エチケット平面化画像。
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訴えたいことはわかりますが、あまり褒められたデザインではないですね。
「デカゴン」という名前ですが、10ヶ月熟成の「10」がギリシャ語で「デカ」。
そんな解説が公式ページにありました。じゃあ、「ゴン」は何かというと、
「コニャック(Cognac)」から取ったんだそうで…無理がある~。(笑)


さて、抜栓と行きます。
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まあ、汎用品ですね。

一応、コルクも平面化してデザインを見ておきます。
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1年耐用のDIAM1ですね。これは仕方がないです。

Alc.14%。(pH:3.89、Brix:7.8)
濃いガーネット。粘性の涙は細かめ。
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カシス、チェリー、フルーツジャムの甘い香り。
若い木の樽香はかすかです。
樽変えていろいろやったのにね~。(笑)
辛口アタック。
カベフラらしい生っぽいヴェジーな風味を感じますが、
味の存在感、厚みは十分な貫禄があり、たいしたもんです。
各要素のバランスもいい具合に感じます。
若干の甘さ様の何かを感じるのが雑味かな。
酸味も次第に気になってくるんですが、
余韻はいいバランスで逃げ切った感じ。楽しめました。

う~ん、ゲロまずでも仕方なしと思ってましたが、
意外にカベフラとしてレベル高くて驚きました。


*****


Boutinot
Decagon Cabernet Franc 2018
IGP Pays d’Oc
RRWポイント 91点


Marc Brédif Chinon 2017

久々にロワールのカベフラと行きましょう。それもAOCシノンです。
ブルグイユとかでもいいんですが、やはりシノンという響きがいい。(笑)
ジャンヌ・ダルクで有名なロワール最古の城、シノン城を連想しますしね。
しかし、それならCouly-DutheilのClos de L’Echoの方が良かったかな…。


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このシノンの作り手マルク・ブレディフは、1893年に創業と歴史も古い、
ヴーヴレイ(Vouvray)の有名どころです。
当然ながら主力はVouvrayの白ですが、カベフラもシノンの他、ブルグイユ、
ソーミュール・シャンピニーなどいろいろやっています。
1980年にプイィ・フュメ最大かつ最高峰のド・ラドゥセット(De Ladoucette)
が取得し、新しい技術が投入され、飛躍的に品質向上してるそうです。


公式ページはフランス語のみで、ワインの個別情報が皆無です。困りますね~。

総延長2kmにおよぶ回廊が地下にあり、自慢のカーヴになっているようです。
ま、そんなことよりワイン情報なんですが、あるショップサイトの情報発見。
・カベフラ 100%
樹齢は15年だそう。完全除梗、MLFあり、ステンレスタンクで熟成です。


さて、トゥーレーヌ近く、AOCヴーヴレイの真ん中にある作り手訪問。
Marc01
なんとロワール川河畔。目の前に大河が悠々と流れているのが見えます。

トゥーレーヌ地区、ヴーヴレイやシノンの位置関係はこの地図をご参考。
Marc02
う~ん、正確でいい地図なんですが、もうひとつ実感が湧きませんね。

やはり、Google Map転記をいたしましょう(笑)。川も重要なので着色。
Marc03
今日のシノンのカベフラ畑は、シノン・エリアの北側からだそうで、
サヴィニー・アン・ヴェロン(Savigny-en-Véron)という町です。
ちょうどロワール川とヴィエンヌ川にはさまれたところですね。

ロワールの正確で詳しい地図は「ロワール渓谷のワインの公式ページ」にあります。
JPG化して貼りました。全ロワール地図、デカいのでクリックして驚かないように。
carte-vignoble-val-de-loire-2019
元のPDF版は、ロワール渓谷の公式ページ内のここに上がっています。

ロワール渓谷のワインの公式ページというのがこれ。

ページ内の地図はマウスオーバーで色が変わり、非常にわかりやすいです。
例えばAOCシノンですと、赤・白・ロゼが認められ、白品種はシュナン・ブラン、
赤はカベフラ、カベソーであること。生産総量、生産者数、土壌構造、天気の傾向、
果てはペアリングや提供温度の情報まで。これは活用し甲斐がありそうです。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルなく、インポーターラベルのみ。


さあ、抜栓。
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紋章、ロゴ入り、カッコいいです。

コルクも平面化しておきます。
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Alc.12.5%。(pH:3.64、Brix:5.4)
濃い目のガーネット。
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カシス、チェリー、プラム、ビターチョコ。
辛口アタックに酸味少々。
酸味に包まれてはいますが、
味の厚みはまあまああるようです。
カベフラらしく、深みはなくクールな風味なんですが、
苦味ばしった余韻含め、ムフフと楽しめますね。


*****


Marc Brédif
Chinon 2017
RRWポイント 89点


Famille Berrouet Herri Mina 2016 Irouleguy

「エリ・ミナ」という名の、フランス南西地方、AOCイルレギーのワインです。
実は昔、漫画「ソムリエール」で登場、興味を持ったので探したことがあります。
当時は手に入れられず断念したのですが、今更ながらネットでゲットしました。
このワイン、ペトリュスの醸造責任者を44年間努めたジャン・クロード・ベルエ
(Jean‐Claude Berrouet)さんが家族(息子)と作っているワインのひとつです。


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ジャンさんが作る、Château SamionVieux Château Saint Andréといった、
ポムロール周辺のペトリュスにも通じるようなメルローのワインは試しました。
どちらもすこぶるうまく、両方ともリピート買いしてストックしています。

しかし、このエリ・ミナは遠く離れたAOCイルレギーということもあり特別です。
なぜなら、ジャンさんのルーツはバスク地方にあり、幼少期をそこで過ごしているのです。
「Herri Mina」はバスクの言葉で「郷愁」、故郷に対するホームシックの意味です。

ジャンさんは1992年サン・ジャン・ピエ・ド・ポール(Saint-Jean-Pied-de-Port)に
わずか4.5エーカー(1.8ha)の土地を取得、1998年に白ワインをリリースします。
2004年からはカベルネ・フラン100%の赤もリリース。まさに漫画で見たこれです。
HerriMina03
(漫画「ソムリエール」第5巻、第31話「郷愁」より)
漫画のストーリーも、落語家に弟子入りしたフランス人が頑なに里帰りしないのを、
このワインで遥か祖国への郷愁を掻き立てさせる...というようなものです。(笑)

しかしながら、ジャンさんが家族でプライベートワイン的に作ってるものなので、
シャトー・サミオン他もそうですが、情報の載った公式サイトが存在しません。
ネット情報では、
・カベルネ・フラン 100%
AOCイルレギーではカベフラもカベソーも使えますが、通常はタナ主体で、
カベフラ100%というのは珍しいようです。
樽熟はフレンチオークのバリックで20ヶ月です。


裏ラベルに「SARL Étienne BRANA」元詰めと書いてあります。
ワインはFamille Berrouet名ですが、醸造は地元のワイナリーに任せてそうです。
よって、ネットで大捜索をしたところ、概要が見えてきました。
エティエンヌ・ブラナという地元のワイナリーの息子ジャン・ブラナさんは、
地元の学校でジャン・クロード・ベルエさんの親友だったそうです。
ジャン・ブラナさんは今も醸造のアドバイスをもらったりする仲だそうで、
親交を続ける地元の親友のおかげで作れたワインということが言えそうです。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポールのエティエンヌ・ブラナを訪問。
HerriMina02
ここで醸して瓶詰めしてるんですね。もしかしたら畑のお世話も...。(笑)
カベフラの畑はわずか0.9haで4樽(1,200本)しか作られないそうです。

一応Étienne BRANAの公式ページを貼っておきます。

ただし、エリ・ミナのことは全く書いていませんので悪しからず。(笑)


いつものGoogle Mapで南西地方とAOCイルレギーを俯瞰しておきます。
HerriMina01
過去に作った地図はAOCイルレギーが切れていたので、今回大幅に延長。(笑)
スペインとの国境をまたぐ、バスク地方とAOCイルレギーとの位置関係に注目。

汎用の地図も上げておきます。
HerriMina04
南西地方は範囲が広すぎる上に、各地で品種や特徴もいろいろ違うし、
ひと括りにするのはどうかと思ってきますね。


エチケット平面化画像。
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紋章の周りの一節は「秋が来ない夏の夢」という意味が書かれていて、
詩人であったジャン・クロード・ベルエの御父上の詩からの引用だそう。
まさに思い入れたっぷりのプライベートワインですね。


さあ、抜栓です。
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コルクも平面化すると…
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エリ・ミナ、ドメーヌ元詰めとなっています。(笑)

Alc.13.5%。
赤味強めのガーネット。
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カシス、チェリー。
マロンのペーストの香ばしさのような感じも。
辛口アタック。
程よい酸味があります。
厚みのある味ではないですが、
上品な(あっさりした)メルローのように感じます。
カベフラなら相当うまいカベフラです。
産地は南の方なのにクールな風味があり、
ロワールの当たりのカベフラも連想します。
余韻はあっさりながら、いいバランスが続きます。

ポムロールのメルローとは別ジャンルのうまさを感じます。
ジャンさん、プライベートワインでも手抜かりなしです。


*****


Famille Berrouet
Herri Mina 2016
AOC Irouléguy
RRWポイント 92点


La Fleur de Boüard Cabernet Franc 2011 Lalande de Pomerol

サン・テミリオンPremier grand cru classé (A)(第一特別級A)に2012年昇格した、
シャトー・アンジェリュス(Château Angélus)のオーナー、ユベール・ド・ブアール氏
(Hubert de Boüard de Laforest)が、1998年にラランド・ド・ポムロールのシャトーを購入。
ラ・フルール・サンジョルジュ(La Fleur Saint Georges)というところでしたが、
氏の名前を付けてラ・フルール・ド・ブアール(La Fleur de Boüard)に改名したそうです。


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ここのワインは通常メルロー主体にカベフラ、カベソーをブレンドという、
ボルドー右岸タイプなのですが、今日のワインは「CABERNET FRANC」。
2010~2012年の3年だけ、通常のブレンドとは別に、カベフラ他3品種を、
モノセパージュで醸したシリーズを限定生産したそうです。
そう、その限定生産のカベフラの2011年が今日のワインという訳です。
年間生産2400本の稀少な限定版なので、おいしくてもリピート難しそう。(笑)


公式ページシャトー・アンジェリュス同様カッコよくできています。

残念ながら限定リリースの今日のカベフラ・モノセパージュは載っていません。
仕方ないのでネット情報から。
・カベフラ 100%
樹齢25年、区画ごとにステンレスタンクで発酵。
新樽率75~80%で18~24ヶ月熟成。(MLFは樽内で行う。)


さあ、ラランド・ド・ポムロールのシャトー訪問です。
Fleur01
ネアック側にあり、この前飲んだシャトー・シオラックもご近所。(車で5分。)
立派な建物を建てて、ここでホテルもやってるようです。

はい、恒例、Google Mapで位置関係を確認。
Fleur02
ラランド・ド・ポムロールでもモンターニュ・サン・テミリオンとの際です。
また、同じオーナーであるサン・テミリオンのシャトー・アンジェリュス
(Château Angélus)も書き込んでます。ご確認を。


エチケット平面化画像。
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通常ブレンドは「Cabernet Franc」の所が「Lalande de Pomerol」になってます。
それ以外のデザインは同じです。


さあ、抜栓。
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上等ワインの部類ですから、キャップもコルクもシャトー専用品。

コルクも平面化。
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ミレジムはちゃんと横に入ってます。

Alc.13.5%。
濃いガーネット。エッジがかすかにオレンジ。2011年ですからね。
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黒ベリー、なめし革、腐葉土…ブレタノマイセスですね。
果実香は飛んじゃってる感じなのでダメな人はダメかも。
パーカーおじさんは好きな感じかもしれません。(笑)
辛口アタック。
重厚なくらいの構造感と複雑味を感じます。
なめらかなタンニンながら喉元に軽い収斂性あり。
後味も引き続き重厚感ある重みが続き、いい感じなのですが、
やはり、ちょっとブレタノマイセス感も続くのが気になります。

評価が人によって分かれるでしょうが、僕はOK。(笑)


*****


La Fleur de Boüard
Cabernet Franc 2011
Lalande de Pomerol
RRWポイント 92点


Beau Pressoir Cabernet Franc 2017 Pays d’Oc

カルディで1000円ほどのとってもお手頃ワインなんですが、
ラングドックカベルネ・フランというのに惹かれました。
カベルネ・フランのモノセパージュはいつもロワールのが多いですから、
たまにこんなのを見つけると思わず手が出てしまいます。


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Beau Pressoirは「美しいぶどう絞り機」って意味でしょうか。
イラストに昔ながらのワインプレス機が描かれています。


作り手は、Les Producteurs Réunis à F34360 Cébazanとありますから、
フランスによくあるワイン生産者の共同組合ですね。
セバザン(Cébazan)はサン・シニアン(Saint-Chinian)近くの町です。
ワイン生産者組合としての公式ページはなさそうですが、
セバザンの町の公式ページにコンタクト情報が載っています。

というわけで、ワイン情報なし。カルディのサイトでも金賞受賞(笑)くらいの情報。
まあ、カベルネ・フラン100%らしいので、それでOKとします。


ワイン生産者組合だとしても、恒例の作り手訪問しますよ。
StChinian03
田舎の大きな古びた建物です。直売もやってそうですね。
場所がAOCサン・シニアンですから、今日のIGP Pays d'Oc以外にも、
AOC Saint-ChinianAOC Minervoisも出してるようです。

ラングドック全体からするとこの辺りになります。
StChinian01
AOC Saint-ChinianとAOC Minervoisは隣接してますね。
この辺りの作り手が集まった協同組合だと思われます。

お手製の地図は見にくいのでネットでの拾い物地図も上げておきます。
StChinian02
ラングドック・ルシヨンのいい地図ってあんまりないんですよね。
またGoogle Map地図を作り直したいとは思っています。(笑)


エチケット平面化画像。
IMG_0482
金賞はドイツのBerliner Wein Trophyのものですね。


さあ、スクリュー回転。
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無印キャップ! しかたないですね。(笑)

Alc.13%。
ガーネット。涙は形はっきりしないやつです。
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黒ベリー、赤ベリーっぽいのも香ります。
シナモンかリコリスも。
うまげな辛口アタック。
軽めですが複雑味も感じ飲みやすいです。
タンニンはなめらかで余韻に好影響。
総じて軽さを感じるんですが薄っぺらさはなく、
素性はすごくいいと思います。
値段的にはとっても「偉い」と思われます。


*****


Beau Pressoir
Cabernet Franc 2017
Pays d’Oc
RRWポイント 89点


Domaine des Hautes Troglodytes Saumur Champigny 2016

ローテーションにカベルネ・フランのモノセパージュがあると、
毎日の食事に合わせる時に前からうまくいくことが多かったので、
常備しておかなきゃなと最近は結構探します。
やまやでソーミュール・シャンピニーを発見。カベフラ100%のはず。
ロワールの赤じゃ、シノンやブルグイユなどと並んで最良のひとつです。


IMG_0605
やまやのロワールなのでジョセフ・ヴェルディエの傘下のワイナリーです。


公式ページはこれになるんでしょうね。

いずれにしてもここにはあまりたいした情報はありません。
・カベフラ 100%
ステンレスタンクで熟成、くらいがネットでわかる情報です。
作り手のオート・トログロディット(Domaine des Hautes Troglodytes)は、
クラリス&ローラン・マシェット(Clarisse et Laurent MACHET)さんが、
親から引き継いで運営しているドメーヌで、Souzay-Champignyにあります。


スゼ・シャンピニーのドメーヌの場所をつきとめました。
Champigny01
ストビューで前の通りに入れず、証拠の看板と共に遠目に眺めます。
スゼ・シャンピニーは内陸側のシャンピニーの町まで細長いのですが、
このドメーヌは一番ロワール川にあって、畑もこの辺りらしいです。

AOCソーミュールでもカベフラの赤は作られますが、ロワール川寄りの、
8つの村がAOCソーミュール・シャンピニーを形成し、質も一段上です。
Champigny04

こんな地図もネットで拾いました。
Champigny03
川沿いで、内陸(AOCソーミュール)よりテロワールがいいんでしょうね。

ソーミュール・シャンピニーの公式ページらしきところにあった画像。
Champigny05
ポップな感じでソーミュール周辺の8つの村の名前が確認できます。
1957と書いてありますが、1957年にAOCに認められています。
(読みやすいようにテキストをまわりに打ち込んでいます。)

同じサイトにGoogle Mapに作り手の所在をインポーズしたものがありました。
Champigny02
白マルが今日のオート・トログロディットの場所です。

ついでにいつもの自作ロワール地図も貼っておきます。
Champigny06
少々粗が見えてきました。そろそろ作り直さないといけませんね。(笑)


エチケット平面化画像。
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Gilbert & Gaillardの金メダルシールは裏ラベルの上に移動させました。


さあ、抜栓。
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Vinotopの合成コルクです。

Alc.12%。
ガーネット。
IMG_0603

黒ベリー、チェリー、ミント。
かすかにメトキシピラジン?
辛口アタック。
クールですが味の厚みはしっかりあります。
タンニンもなめらか。
酸は感じますがクール感演出しています。

ロワールのカベフラの王道の味です。
いや、平均以上のうまさかも。
和食にも合うし、カベフラはいい仕事をします。


*****


Domaine des Hautes Troglodytes
Saumur Champigny 2016
RRWポイント 92点


Bedell Cabernet Franc 2016 North Fork of Long Island

ニューヨーク近くに住んでいた頃、近くのワイナリーは結構まわりました。
なのでアメリカ東海岸のワインのレベルが実は高いことを知っています。
しかしロングアイランドまでは足を延ばせてないんですよね~。
今日はそんなロングアイランドのカベフラ、モノセパージュをいただきます。


IMG_0042
Bedell。1980年創業。東海岸ワインのベンチマークとも評される、
実力派ワイナリーのようですね。知らなかったな~。


公式ページは立派なのですが、ワイン情報はやっぱりのショップ兼用。

まあ、カベフラ100%はわかってます。自然酵母使用とも書いてますね。
樽熟はフレンチオークの旧樽を使っていますが期間が書いていません。
香り付け抑え目で品種本来の良さを生かしてるようです。
小売価格は45ドルと、そんなに安いワインではないですね。


早速、ロングアイランドにあるワイナリーを訪問してみます。
BedellCellars01
すぐ近くに建物があるんですが、木立に隠れて通りからは見えません。(笑)
ロングアイランドの先の方は多くのワイナリーが軒を連ね、辺り一面ブドウ畑。
アメリカのボルドーってどこかに書いてましたが、まさにそんな感じ。

North Fork of Long Island AVAの位置を確認しておきましょう。
BedellCellars02
ロングアイランドのまさにフォーク状になってる先んちょです。
緯度的には南仏やイタリアの銘醸地と大差ないあたりです。
このAVAは、栽培される黒品種ではカベフラが一番多いようですね。

昔住んでいたのがニュージャージ州側のパラマス(Paramus)で、
家からこのBedellに行こうとすると車で2時間半の距離です。
ちょっと躊躇する距離ですね。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_9947

インポーターシールは透明で控えめなやつが裏ラベルを隠さないところに。
IMG_9948
これはインポーターの良識を感じますね。


さあ、抜栓。
IMG_0038
ワイナリーのマークが入ったキャップシールとコルク。

コルクは合成コルクのDIAM10。
IMG_0039
DIAM10は10年耐用ですから、上等なのを使ってるってことですね。

Alc.11.8%。
濃いルビー。ピノの雰囲気です。
IMG_0040

カシス、ブラックベリー、チェリー。
ピーマン系の香りも。
モノセパージュだし、なんとなくロワールのカベフラの雰囲気。
酸味が乗った風の辛口アタック。
やはり冷涼地域のような冷たい感じがありますね。
そんなのを感じつつも、味の芯はしっかりとあります。
最初感じた酸は極々薄いもので、
この味わいを演出してくれていることに気づきます。
ロワールの上等カベフラの雰囲気が出てるんじゃないでしょうか。
余韻も続き、甘みも出てくるんですが、これも旨味ですよね。

狙い通りタンドリーチキンにめちゃ合いました。
カレー風味にカベフラ。これ僕の法則のひとつです。(笑)


*****


Bedell Cellars
Cabernet Franc 2016
North Fork of Long Island
RRWポイント 90点


Domaine Lorieux Bourgueil 2017 Cuvée de l’Humelaye

やまやでロワールのカベフラを探しました。
今日はシノンじゃなくてブルグイユといきましょう。
白をあまり好まないボク的なマリアージュの法則は、
中華とソース味にはピノ・ノワール、和食にはカベフラです。(笑)
というわけで、結構重宝するロワールの赤。お試しあれ。


IMG_8894
木の皮のようなエチケットに牡鹿のイラスト。不思議な雰囲気です。

ドメーヌ・ロリューなる作り手はいくつかあってどれだか不明。
裏ラベルに、生産者は「Joseph Verdier」とありました。
早速公式ページを見てみると確かにこのワインが載ってます。
ただし、ワイン自体の詳細情報はなし。
まあ、カベルネ・フラン100%で樽なしってところでしょうか。


このジョセフ・ヴェルディエなるところへ行ってみます。
Bourgueil01
ブルグイユから随分離れていると思ったら、傘下にいくつも生産者がいて、
ロワール中でワインを作っている会社でした。
それこそ、ナントのミュスカデからアンジュ―・ソーミュール、
トゥーレーヌの赤・白・ロゼ・ムスー、プイィ・フュメ、サンセールまで。

よくよく読むと、傘下のドメーヌ・ロリューはブルグイユとその隣の
サン・二コラ・ド・ブルグイユに14haの畑を持っているとあります。
オーナーがミッシェルとジョエル・ロリュー夫妻で、2005年から
息子のジェレミー・ロリューが引き継いでいると説明がありました。
これを手掛かりにドメーヌ・ロリューを探してみると…。ビンゴ!
Bourgueil03
間違いありません。公式ページに全く同じ説明がありました。
つまり、JoëlleとMichel Lorieuxが息子のJérémyと云々というくだりです。

広域地図でブルグイユ周辺と共に、この作り手の位置を確認しておきます。
Bourgueil02
ブルグイユの西隣がサン・二コラ・ド・ブルグイユというAOCです。
このドメーヌはここにも畑を持っているということでしたので、
AOC Saint-Nicolas-de-Bourgueil版があり、なんと牝鹿のイラストです。
domaine-lorieux-les-barbeaux-2016-saint-nicolas-de
(公式サイトから拝借した写真なので画質悪いですが…)

これが今日のブルグイユのエチケット平面化画像。
IMG_8722
う~ん、牝鹿バージョンも試したくなりますね。
公式サイトにもテロワールが違うと書いてます。(牝鹿の方が軽いそう)

そうそう、「Cuvée de l’Humelaye」というのは畑名に違いないです。
調べたら、またビンゴ。車で10分ほど東へ行ったところでした。
L'Humelaye
しかし、有名じゃない普通のワインを調べるのは楽しいですね。

「金メダル取りましたシール」(笑)は別撮りしておきました。
IMG_8723


さてさて、抜栓。
IMG_8892
「ロワール渓谷」とだけ書いたシンプルな合成コルク。

Alc.12.5%。
ガーネット。
IMG_8893

ラズベリー、木苺、ココアかな。
あっさりめの辛口アタック。
軽めですが、味の芯はあります。
サラッとした酸味が全体に居ますね~。
この酸は余韻でさらに出てきます。
特徴ないんですが、これが和食に合うんですよ。

しかし、
AOCサン・二コラ・ド・ブルグイユはさらに軽いのか…。


*****


Domaine Lorieux
Bourgueil 2017
Cuvée de l’Humelaye
RRWポイント 87点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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