Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Carménère

Viña Carmen Insigne Carménère 2022

ありがたいことにカルメンはガッツリやまやに置いてあるので、過去に大抵のラインナップは試しています。…と思っていたら、一番ローエンドのバリエタルシリーズ「Insigne」のカルメネールをまだ試していないことに気がつきました。これはいけません。急いで試します。

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カルメンはチリ大手のひとつですが、1850年から続くチリ最古のワイナリーです。失われた品種カルメネールが1994年に再発見されたのがカルメンの畑なので、Carmenereからカルメンという名前になったのかなと思ってしまいますが、1850年の創業者Christian Lanzさんの妻の名がカルメンだったとのことで、カルメンと名付けられています。
1987年には、すぐ隣のこれも古参のワイナリー、サンタ・リタ(1880年創業)がカルメンを買収します。その翌年の1988年には大企業グループ、グルーポ・クラロ(Grupo Claro)にサンタ・リタごと買収され、現在サンタ・リタもカルメンも同じクラロ・グループの傘下となっています。

公式ページはよく出来ていて、今日のローエンドのインシグネもちゃんと載っています。

一応、最新ヴィンテージ(2022)のデータシートまで完備です。

・カルメネール 85%

えっ?残り15%は何なの?という書き方になっていますが、チリの輸出用ワインが品種や生産年を表示する際、当該ブドウを85%以上使うことになっているため、その規則をそのまま書いたのかと思われます。(チリ国内向けは75%でもいいことになっています。)結局100%なんじゃないかと思います。フレンチオークで3ヶ月の熟成です。(「樽」とは書いていない。笑)


カルメンを訪問したいんですが、幹線道路から奥まっていてストビューがありません。
Carmen01
facebook にあった写真を拝借しましたが、これ以上のいい写真が見当たらないんですよね。幹線道路側に入り口もなく、どうやら同グループのサンタ・リタの方からアクセスするようです。右側の地図を見ると、カルメンとサンタ・リタは同じ敷地内にあるようです。いずれにしてもこの辺りはマイポ川の流域になり、ブイン、イスラ・デ・マイポ、プエンテ・アルト、ピルケなどマイポ・ヴァレーのサブゾーンが集中しているエリアになります。

ご参考ですが、これはカルメンの畑にある「カルメネール発見の記念碑」です。
Carmen_carmenere
日本カルメネール振興協会としては是非ここを訪れたいと願っています(笑)。

首都サンティアゴ周辺(首都州:Región Metropolitana de Santiago)を俯瞰します。
Chile_Santiago_Alrededor
今日のワインはD.O.(Denominación de Origen)セントラル・ヴァレー(Valle Central)となっていますが、さらに南のマウレ・ヴァレーまで含む広域になります。


ラベル平面化画像。
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カルメネールの綴り(アクセント記号の有無)について、表ラベルは「Carménère」なのに裏ラベルは「Carmenère」となっています。そしてHPを見ると「Carmenere」とアクセント記号なしです。一体どうなっとんねん?
カルメネールの綴りについては過去に考察していますのでご確認ください。日本カルメネール振興協会では、フランス語とスペイン語の発音が「カルメネール」で両立する「Carménère」表記を推奨しています(笑)。

恒例、インポーターシールの裏ラベル隠しです。
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さあ、スクリューキャップ回転。
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Alc.13%。
赤味がかったガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー、青草。
カルメネールの特徴は出ています。
辛口アタック。
軽めネールながら味の実体、厚みはしっかりあります。
でもやっぱり軽いかな。
ローエンドですから仕方ないですね。


*****

Viña Carmen
Insigne
Carménère 2022
RRWポイント 88点


A Feeling for Carménère Special Selection 2022

日本カルメネール振興協会の活動として(笑)ネットでカルメネールを物色していると、面白いネーミングのカルメネールを発見しました。その名も「A Feeling for Carménère」。「カルメネールの気分」って感じでしょうか。カルメネールの綴りも「Carménère」とアクサンテギュとアクサングラーヴの両方ついた「カルメネール」としっかり読めるパターンなのが(日本カルメネール振興協会としては)うれしいです。

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ただ、肝心の作り手の名前が書いていません。唯一の手掛かりは裏ラベルに「SVWG」の製造とあることです。これだけで作り手を突き止めるのは至難の業ですが、わかっちゃっいました。

おそらくですが、SVWG = Sur Valles Wine Group ということで、スル・バジェスというワイナリーグループと思われます。公式ページはこちらになっています。

いくつものブランドを扱っていますが、今日のワインは残念ながら見当たらず。

・カルメネール 100%

日本のインポーターサイトには乗ってはいますが情報はほぼゼロ。ワイン自体はこれ以上深追いできなさそうです。

実は過去、違うワインで今日のワインの作り手のSVWGというのを調べていまして、1961年にアチューラ家(la familia Achurra)が設立した老舗ワイナリー、ビニャ・レキングア(Viña Requingua)というのがその正体であり、そこが事業拡大して、スル・バジェス・ワイン・グループ(Sur Valles Wine Group)の中核となっているということがわかっています。

今日のワインはセントラル・ヴァレーとなっており、スル・バジェス・グループは各地に畑を持っていますので、どこからのブドウかはわかりませんが、ビニャ・レキングア自体はクリコー・ヴァレー(Valle de Curicó)にあります。ストビューがイマイチだったので上空写真をば。
Requingua6
クリコー・ヴァレーのクリコーの町のすぐ近くになります。

以前、バルディビエソ(Valdivieso)を調べた時に描いたクリコー・ヴァレーのDOサグラダ・ファミリア・ヴァレーの地図にビニャ・レキングアの場所を追記してみました。
Sagrada_Familia
DOサグラダ・ファミリアはクリコー・ヴァレー内のロントゥエ・ヴァレーのサブリージョンになります。

マウレ州を俯瞰する地図で位置関係をおさらいしておきましょう。
Maule_Curico
セントラル・ヴァレー自体はマイポ・ヴァレーからマウレ・ヴァレーまでの広域です。


ラベル平面化画像。
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カルメネール・ラバー専用ワインといったエチケットデザインですね。

さあ、抜栓。
IMG_1358
コルクはこの写真でご覧の通りなのでコルク平面化はなし。

Alc.13%。
ガーネット。
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黒ベリー、モカ、青みもあり。
辛口アタック。
程よい厚みはフレッシュ感の味を包み込んでいます。
バランスがすこぶるいいですね。
余韻の伸びは軽さゆえのあっさりながら、
始終バランスの妙で楽しめるいいカルメネールでした。


*****

SVWG Curicó
A Feeling for Carménère
Special Selection 2022
RRWポイント 91点


Viña Aquitania Carménère 2018 Valle del Maipo

当ブログではかなりの頻度でチリの代表品種カルメネールを試していますが、ビニャ・アキタニアは3年以上ぶりです。前回は同じワインの2017年でしたが、今日のは2018年。3年経ってミレジムは1年しか進んでいませんが、5年寝かせたら...という感じで興味深くいただくとしましょう(笑)。これが日本カルメネール振興協会の真骨頂です(笑)。

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シャトー・マルゴーの醸造家(兼CEO)であったポール・ポンタリエさん(Paul Pontallier)と、シャトー・コス・デストゥルネルのオーナーであった、ブルーノ・プラッツさん(Bruno Prats)が、チリの素晴らしいテロワールの畑をマイポに探し求め、1984年に共同で始動したのがこのビニャ・アキタニアです。(設立は1990年。)シャトー・マルゴーとコス・デストゥルネルの二人は、その後、仏系チリ人醸造家のフィリップ・ド・ソルミニアックさん(Felipe de Solminihac)をパートナーに加え、さらに、シャンパーニュからボランジェ(Bollinger)を率いていたギラン・ド・モンゴルフィエールさん(Ghislain de Montgolfier)を迎え入れ、最終的に4人組でこのワイナリーを育ててきました。彼らは自らをアレクサンドル・デュマ・ペールの三銃士になぞらえ、「四銃士」と呼んでいまして、エチケットにも4人のサインがあるのがわかると思います。(ポール・ポンタリエさんは2016年に逝去されています。)


公式ページは3年の間にリニューアルされたようで洗練されたいい感じになっています。

今日のワインも載っていますが、最新ヴィンテージの2021年の情報のみのようです。

・カルメネール 90%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 10%

というセパージュなんですが、今日のワインの2018年は産地が創業の地「マイポ・ヴァレー/Valle del Maipo」なのに対し、2021年はコルチャグア・ヴァレー/Valle de Colchagua に変わっています。マイポの創業の畑(首都サンティアゴの「ペニャレオン/Peñalolén」 というエリアにあります。)はカベルネ・ソーヴィニヨンに専念したんでしょうかね。トップエンドのラスリ(Lazuli)はマイポのカベソー100%です。2021年の記述が2018年にも適用できれば、全量の60%をフレンチオーク樽(1~3年落ちの旧樽、400Lと225Lの2種)で、残り40%をステンレスタンクで、4ヶ月の熟成を行っています。いずれにしても樽はごく軽めなんでしょう。

ビニャ・アキタニアをあらためて訪問します。サンティアゴの市街にあります。
Aquitania01
ペニャレオン(Peñalolén)という地区なんですが、周りはサンティアゴ市街に囲まれており、すぐ背後にアンデス山脈が迫る山裾のエリアです。同じエリアには、これも自分にはお馴染みのコウシーニョ・マクル(Cousiño Macul)があります。

サンティアゴ周辺を俯瞰して位置関係を確認しましょう。
Chile_Santiago_Alrededor
マイポは首都州(Región Metropolitana de Santiago)になりますが、コルチャグア・ヴァレーは南側のリベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)になります。マイポの自社畑は面積も限られてるので、生産量を増やすためにコルチャグアへ進出したんでしょうね。いずれコルチャグア・バージョンをいただかなくてはなりませんね。


ラベル平面化画像。
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今となっては貴重な(?)マイポ産のカルメネールです。ラベル上は「CARMENERE」とつづられていますが、HPでは「CARMÉNÈRE」とあるので、ちゃんとアクサンテギュ・アクサングラーヴ付きの「Carménère」表記でやっているようです。日本カルメネール振興協会はこの表記を推奨しています(笑)


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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DIAM5採用です。

Alc.13%。
濃いガーネット。
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黒ベリー、スパイス、モカ、青み。
カルメネールそのものの香ですね。
鈍い酸味を乗せた辛口アタック。
複雑味と滋味をしっかり蓄えた圧巻の厚み・立体感。
バリエタルであるという気安さも感じるんですが、バランスは絶妙。
カルメネール風味で味わう悠遠の余韻はやはりいいもんです。
以上、日本カルメネール振興協会提供でした(笑)。


*****

Viña Aquitania
Carménère 2018
Valle del Maipo
RRWポイント 94点


Viña Aromo Reserva Privada Carménère 2019

去る11月24日は「国際カルメネールの日」だったのでガンマというブランドのカルメネールの記事を書きました。当日の朝に飲んだわけではないので(笑)、これはその数日前に飲んだものでした。実際のカルメネールの日当日は、今日の記事のこのビニャ・アロモのカルメネールをいただいてました。実は3年前にもアロモのワインは試してるんですが今ひとつパッとしなかった印象です。さて今日のカルメネールはどうでしょうか?

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ビニャ・アロモは1922年にフランスの Estansan & Co という会社がマウレ・ヴァレーのポテンシャルに目をつけワイナリーを設立したのが始まりです。1936年に Don Víctor Henríquez Solar さんが自身が先祖から受けついだマウレ・ヴァレーの畑を Estansan & Co のワイナリーと合わせることで更にいいワインを作れると思い立つと、ビニャ・アロモを Estansan & Co から取得します。以降、家族経営にて次世代・次々世代に受け継がれ、規模も拡大、世界市場へも進出します。現在320ヘクタールの畑(自社畑・契約農家含む)から1,200 万リットル以上の生産をし、そのうち3分の1以上を世界に輸出しているそうです。

公式ページは今風で内容も豊富。

ワイン紹介もデータシートで詳細が載っています。

・カルメネール 100%

手摘み収穫。MLFは樽内で起こします。熟成は総量の60%を樽(フレンチオーク:70%、アメリカンオーク:30%)で6ヶ月間です。軽め、ですね。

今日のカルメネールはアクサンテギュ・アクサングラーヴ付きの「Carménère」表記ですね。日本カルメネール振興協会はこの表記を推奨しています(笑)。<詳しくは過去記事
Errazuriz02
ついでにカルメネールの品種についてのエトセトラをまとめた過去記事のリンクも置いておきます。<過去記事

マウレ・ヴァレーのビニャ・アロモ(Viña Aromo)を訪問します。
Aromo01
生産拠点はタルカ(Talca)の町の南、車で30分のところにあります。すぐ近くをロンコミージャ川(Río Loncomilla)が流れているマウレ・ヴァレーのサブリージョン、ロンコミージャ・ヴァレーになりますね。タルカの町の中にも流通拠点を持っているようです(右下にインポーズした地図ご参照)。

いつものマウレ州の地図で位置関係を把握しておきましょう。
Maule_Curico
サンティアゴのある首都州(Región Metropolitana)、リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)、マウレ州(Región del Maule)までがセントラル・ヴァレー(Región del Valle Central)になります。マウレ州は北側がクリコー・ヴァレー(Valle de Curicó)、南側がマウレ・ヴァレー(Valle del Maule)です。今日のカルメネールは D.O. Valle del Maule です。(D.O.=Denominación de Origen)

<セントラル・ヴァレー(Central Valley)>
・首都州(Región Metropolitana)=Maipo Valley
・リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)=Rapel VallyCachapoal Valley + Colchagua Valley
・マウレ州(Región del Maule)=Curicó Valley + Maule Valley


ラベル平面化画像。
IMG_9204


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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コルクは超汎用品ですね。

Alc.14%。
ガーネット。
IMG_9291

黒ベリー、モカ・コーヒーがスモーキーに香ります。
カルメネールの特徴ですね。
野菜・青み香はないかと思ったら少しゼラニウムがありました。
辛口アタック。
コク、深み、貫禄あります。
程よい果実味も相まってグッドバランスです。
フィニッシュまで崩れることなく楽しませてくれました。

前飲んだのはカベソーブレンドでした。
このカルメネールはハイレベルですよ。


*****

Viña Aromo
Reserva Privada Carménère 2019
D.O. Valle del Maule
RRWポイント 97点


Viu Manent Gran Reserva Carménère 2019

ビウ・マネント(Viu Manent)のカルメネールです。ビウ・マネントは過去に「VIU 1」というフラッグシップを中国で(笑)試しています。日本ではというと、だいたいイオンで見かけるので、いつでも買えるさってなもんで、ずっと素通りしていました。気軽に手に入る名門のカルメネール、試しておかないといけません。ということで…。

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ビウ・マネント(Viu Manent)は、スペインのカタルーニャ地方からの移民「ビウ家」が1935年にサンティアゴにネゴシアンとして創業しています。1966年にコルチャグア・ヴァレーにワイナリーと150haものプレ・フィロキセラの畑を得て本格的なワイン作りを始めます。ちなみに当初アルゼンチンから機材や技術を導入したこともあって、ビウ・マネントの本領はマルベックです。トップエンドの「Viu 1」はマルベック・ブレンドですし、なんとチリで初めてマルベックのワインを出したのがビウ・マネントです。

公式ページは今風、というか、アメリカっぽい感じがします。情報は豊富。ワイン紹介もヴィンテージごとにデータシート完備です。特筆すべきは、裏ラベルのQRコードからもリンクがあるんですが、現地スタッフによる各ワインのテイスティング解説が Youtube の動画で見られることです。

ワイナリー自らがワインの解説をしてくれるのは臨場感もあってありがたいです。

・カルメネール 98%
・タナ 2%

タナをブレンド。面白いですね。総量の71%がフレンチオーク樽で11ヶ月の熟成。残り29%は卵型のコンクリート槽とステンレスタンクの併用です。この樽を使わない29%は果実味と新鮮味を出すのに効くそうです。

ビウ・マネント訪問です。ストビューで敷地内や周辺の畑まで入れます。
SantaCruz
コルチャグア・ヴァレーのサブリージョン、サンタクルスの東側にあります。このあたりは北側をアパルタ(2018年からの新しいDOサブリージョン)と隣接しています。ラポストル、モンテス、ベンティスケロなどお馴染みどころが密集していますね。

ビウ・マネントのHPは畑の紹介も地図付きで解説。カルメネールの畑に行ってみました。
Peralillo
ワイナリー周辺の畑以外に新たに入手したところだそうですが、カルメネールはすでに樹齢平均29年とすでに相当の歴史があります。土壌はシルト質ローム土壌で非常に細かいです。ペラリージョ(Peralillo)というコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンになります。

いつものリベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)の地図にビウ・マネントの場所を書き込みます。
Libertador_O'Hinggis_Rio
コルチャグア・ヴァレーはティンギリリカ川(Tinguiririca)沿い、でしたね。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルのこのQRコードから先ほどのYoutube動画解説につながります。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14%。
ガーネット。
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黒ベリー、チェリー、スパイス、モカ。
辛口アタック。
構造感の中にコクが緻密に詰まってる感じ。
果実味も忘れていない味わいは好印象です。
タンニンも喉越しを心地よく刺激し、
フィニッシュまでいい仕事します。
このタンニンが尾を引く余韻は満足感に浸れます。
うん、いいカルメネールです。


*****

Viu Manent
Gran Reserva Carménère 2019
RRWポイント 95点


Bodegas Tagua Tagua Carménère Family Reserve 2016

全面リニューアルしてきれいになった阪神百貨店で阪神大ワイン祭2022なる催しがあったので行ってきたんですが、その時にゲットしたカルメネールです。こういうイベントでは日頃出くわさないインポーターのワインを発見するので楽しいですし、非常に重要な機会です(笑)。結構地方のインポーターでも東京にしか商品を流していないということが往々にあるんですよね。さて、このボデガス・タグア・タグアなる作り手、お初ですよ。

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カチャポアル・ヴァレーにサン・ビセンテ・デ・タグア・タグア(San Vicente de Tagua Tagua)という町があるんですが、ワインの名前はここから来ています。ご先祖が1838年にこの町に畑を買ったことが始まりだそうです。代々ワイン作りをしながら近隣の畑を買い増していきます。ずっとバルクワインを輸出していたそうですが、2017年に自前で瓶詰めを開始したのがこのブランドだそうで、まだまだ新しいため知らなかったんですね。しかし、ロゴマークを見ると「Since 1902」と書いてまして、1902年が創業ということなんでしょうね。謎です…。

公式ページはそれなりに充実はしてますが…いろいろと謎があります(笑)。

ワイン紹介は全ラインアップ載ってますがすべてPDFでご提供です。

・カルメネール 100%

今日のカルメネールはグランレセルバのさらに上のファミリーリザーブという最上級で、蝋封仕様でボトルもめちゃくちゃ重いです(笑)。熟成も新樽100%のフレンチオーク樽で16ヶ月と上級仕様です。

さて、ワイナリー訪問と行きたいんですが、HPにも所在がはっきり載ってません。
BTT01
Google Mapでググってもヒットしませんし、facebookもあったのでつぶさに見ましたがわかりません。上の写真は公式ページやfacebookページにあった写真のコラージュです。元詰めを始めたのが2017年で、まだまだワイナリーとしての外観がないのかもしれませんね。

拠点はこんなにあると、公式ページには簡単な地図がありました。
en_mapa-chile
本拠地はサン・ビセンテ・デ・タグア・タグアで、同じくラペル・ヴァレー(カチャポアル・ヴァレー)のサン・フェルナンド、レンゴにも拠点があります。これらはリベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)になります。マウレ州のタルカ(クリコー・ヴァレー)やカウケネス(マウレ・ヴァレー)にも拠点もしくは畑があるようです。それにしてもこれら拠点の写真が一個もないのは不思議です(笑)。

オイギンス州の地図でラペル・ヴァレー(カチャポアル+コルチャグア)を確認。
Libertador_O'Hinggis_Rio
印をつけていますが、サン・ビセンテ・デ・タグア・タグアはカチャポアル・ヴァレーで、サン・フェルナンドはコルチャグア・ヴァレーに属します。今日のワインは D.O. Valle de Rapel ですが、それぞれからのブドウをブレンドすると広域のラペル・ヴァレーの表示になってしまうということなんでしょうね。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルに住所、Fundo Los Maitenes S/N(Sin Número)とあります。やった!と思いましたがやはり見つかりません(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14%。
エッジかすかにオレンジ味のガーネット。
IMG_8060

黒ベリー、プラム、モカもかすかに感じます。
しっとり濡れ木感の樽香。
辛口アタック。
ビターな印象ながら、のっけから奇跡のバランスの予感。
圧倒的なサイズ感のストラクチャーの中に、
シルキーな緻密さのテクスチャーを持った内容物が詰まっている感じ。
(イミフ)
タンニンは渋味というより辛味で刺激的。
終わらない余韻はバランスを崩しません。
うまく表せませんが、とにかく久しぶりのカルメネールのヒットです。


*****

Bodegas Tagua Tagua
Carménère Family Reserve 2016
D.O. Valle de Rapel
RRWポイント 97点


Cousiño Macul Don Matías Carménère Reserva 2014

久々にコウシーニョ・マクル、それもカルメネールを見つけたのではりきってお試しです。数年前まではアンティグアス・レセルバスというちょっといいシリーズのカベソーがスーパーでも出回っていたんですが、最近はとんと見なくなりました。とにかくコウシーニョ・マクルはその昔チリで初めて訪問した思い出深い作り手です。アナザー・スカイ的な…。(笑)

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コウシーニョ・マクルは1856年、チリの首都サンティアゴのマクルにて創業しています。170年近い歴史を持つチリでも最古のワイナリーのひとつですが、大手資本の傘下に入らずコウシーニョ家の家族経営を貫いている唯一のワイナリーということになるそうです。現在6世代目が経営をし、7世代目も参画しているとのこと。

公式ページはなかなか情報が満載です。ブログやSNSでの発信も抜かりないようです。

今日のワインも2019年ですがデータシート付きで解説がありました。

・カルメネール 100%

手摘み収穫。ステンレスタンクにて低温浸漬のあと発酵。フレンチオーク樽にて6ヶ月の熟成。樽内にてMLFがされます。
今日の「Don Matías」というシリーズはミドル~普及レンジです。まだ下に「Don Luis」というエントリー・レンジがあります。また、上級レンジのアンティグアス・レセルバス(Antiguas Reservas)に昨年からカルメネールがラインアップに加わったとブログに記事がありました。カベソーが相当おいしかったシリーズですから是非ともアンティグアス・レセルバスのカルメネールも試してみたいものですね。日本のインポーターはキッコーマンですが、しっかり輸入してほしいものです。

コウシーニョ・マクルはチリの首都サンティアゴの町中にあります。
CMacul01
マクルは地名ですね。ワイナリーのすぐ横にコウシーニョ・マクル公園というのが見えます。非常にアクセスがいいワイナリーなので見学ツアーで行った方も多いのではないでしょうか。かくいう私もその昔チリを訪れた時に最初に訪問したワイナリーがコウシーニョ・マクルで、非常に印象深い訪問でした。

その訪問時に撮影した門です。エチケットのイラストがここですね。
chl014
記憶もおぼろげです。ストビューで探しましたが見つかりませんでした。

これは左が訪問時に撮影したもの。右はGoogle Mapに上がっていたものです。
CMacul02
あまり変わりありませんね。記憶が少し戻ってきました。何となくうれしいです。

これは上が訪問時撮影した写真。下が現在の写真。歴史ある地下セラーです。
CMacul03
現在でも現役で運用されているようですね。

アルト・マイポ(Alto Maipo)のパイネ(Paine)にも広大な畑とワイナリーがあります。
CMacul04
コウシーニョ・マクルは創業時にフランス・ボルドーのポイヤックから導入したというカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローが自慢のようですが、カルメネールも増やしてるようですね。カルメネールも元はおそらくボルドーなんでしょうけどね。

コウシーニョ・マクルを訪問した時、例の話をコウシーニョ・マクルの人から初めて聞いたのを思い出します。

「フランスのブドウは全部チリのブドウですよ。なぜだと思いますか?」
「フィロキセラ禍でブドウが壊滅したボルドーの人たちは途方に暮れましたが、すぐに我々に送っていたカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローの苗木があることに気が付いたんです。」
「チリにあった苗をボルドーに戻して解決したわけなんですが、見方によっては現在向こうで栽培されているのは我々のブドウと同じものなんですよ。笑」

なんとも大らかな考え方ですが、嘘ではないですよね。コウシーニョ・マクルがポイヤックの苗木を使っているのか、ポイヤックがチリの苗木を使っているのか…哲学的なお話になってきました(笑)。


ラベル平面化画像。
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HPを見ると全ラインアップ、最新のヴィンテージはラベルデザインが刷新されています。「Cousiño Macul」のロゴも細身のシンプルなフォントに変わってるようです。キッコーマンさん、新しいヴィンテージもどんどん輸入してくださいね。


さあ、抜栓です。
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コルク平面化。
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Alc.13.5%。
若干赤味かかった濃いガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー。少しブレット?
カルメネールにありがちな、モカ、青臭みはないです。
辛口アタック。
マイルドながら重み・厚みしっかりありますね。
タンニンもかすかなくらいマイルドですが、
お陰でバランス崩れない均衡の取れたうまさあり。

果実味の軽さが見え隠れするんですが、
総じていいカルメネールでした。


*****

Cousiño Macul
Don Matias
Carménère Reserva 2014
RRWポイント 92点


Viña Falernia Carménère Reserva 2017

過去何度か試している、エルキ・ヴァレー(Valle del Elqui)のビニャ・ファレルニアです。イタリアからの移民ということもあってかアパッシメント(ブドウを樹上で陰干しし、果実の濃縮度を高める手法)なんかやっていて面白い作り手です。今日はシングル・ヴィンヤードのちょっといいカルメネールを試してみましょう。

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ビニャ・ファレルニアを始めたオリヴィエール家はイタリアからの移民。1951年、一家が北イタリアDOC Trentinoの町トレント(トレンティーノ・アルト・アディジェ州)から、チリの北方にあるエルキ・ヴァレー(Elqui Valley)に入植します。息子さんでしょうか、アルド・オリヴィエールさんが1975年からブドウ栽培を開始。イタリアで醸造家だった従弟ジョルジオ・フレッサティさんを呼び寄せ、1998年にビニャ・ファレルニアを設立(結構新しい)、今に至るという訳です。

公式ページは画像豊富でなかなかいい感じfacebook もよく更新されているようです。

ワイン情報もデータシート付きでしっかりあります。

・カルメネール 100%

手摘み収穫(15kg入りカゴで)です。MLFまで終えた後、アメリカンオークの新樽で12ヶ月の熟成です。カルメネールについては過去記事で何度となく掘り下げているので今日は割愛。


チリの北方、エルキ・ヴァレーのワイナリー訪問。南半球のチリで北方は温暖を意味します。
Falernia01
木材を前面に使ったモダンな建物ですね。貯水池とエルキ川の畔は一面畑です。

恒例の Google Map 書き込みでワイナリーの所在を確認します。エルキ・ヴァレーはコキンボ州(チリ中部の州。州都はラ・セレーナ。)の北側のエリアになります。
Falernia00
アンデスを源にクラロ川(Río Claro。Estero Derecho とも呼ばれる。)が流れ出ます。その狭い河岸にブドウ畑が現れ、パイグアノ(Paiguano)の町に入ります。やがてトゥルビオ川(Río Turbio)に合流し、畑が山間に広がっていきます。ビクーニャ(Vicuña)の町からビニャ・ファレルニアのあたりで畑は最大になり、川も最終的にエルキ川(Río Elqui)となり、ラ・セレナ(La Serena)の町から太平洋に注ぎ込みます。これがエルキ・ヴァレー。エルキ川流域です。
サンティアゴからは大部分をパンアメリカン・ハイウェイ(チリ高速道路5号線)を通りますがそれでも6時間はかかるようです。かなりの北方ですね。

エルキ・ヴァレーは細長いチリの北端の方のワイン産地になりますが、更に北のアタカマ砂漠の方の海岸側に Huasco Valley や Copiapó Valley という産地があります。全DOリストを見ておきましょう。
Región Subregión Zona Área Término complementario
Región vitícola de Atacama Valle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de Coquimbo Valle del Elqui La Serena Costa
Vicuña Andes
Paiguano Andes
Valle del Limarí Ovalle Costa
Punitaqui Entre Cordilleras
Monte Patria Andes
Río Hurtado Andes
Valle del Choapa Salamanca Andes
Illapel Andes
Región vitícola de Aconcagua Valle del Aconcagua Zapallar Costa
Quillota Costa
Hijuelas Entre Cordilleras
Panquehue Entre Cordilleras
Catemu Entre Cordilleras
Llay-Llay Entre Cordilleras
San Felipe Entre Cordilleras
Santa María Andes
Calle Larga Andes
San Esteban Andes
Valle del Marga-Marga Quilpué Costa
Valle de Casablanca Casablanca Costa
Valle de San Antonio Valle de San Antonio Cartagena Costa
Lo Abarca Costa
Algarrobo Costa
Valle de Leyda San Juan Costa
Santo Domingo Costa
Región vitícola del Valle Central Valle del Maipo Isla de Maipo Entre Cordilleras
Talagante Entre Cordilleras
Melipilla Entre Cordilleras
Alhué Entre Cordilleras
María Pinto Entre Cordilleras
Colina Entre Cordilleras
Calera de Tango Entre Cordilleras
Til Til Entre Cordilleras
Lampa Entre Cordilleras
Santiago Andes
Pirque Andes
Puente Alto Andes
Buin Andes
Valle del Rapel Valle del Cachapoal Rancagua Entre Cordilleras
Peumo Entre Cordilleras
Coltauco Entre Cordilleras
Requínoa Andes
Rengo Andes
Machalí Andes
Valle de Colchagua Paredones Costa
Pumanque Costa
Litueche Costa
Lolol Costa
Nancagua Entre Cordilleras
Santa Cruz Entre Cordilleras
Apalta Entre Cordilleras
Palmilla Entre Cordilleras
Peralillo Entre Cordilleras
Marchigüe Entre Cordilleras
La Estrella Entre Cordilleras
San Fernando Andes
Los Lingues Andes
Chimbarongo Andes
Valle de Curicó Valle del Teno Vichuquén Costa
Licantén Costa
Rauco Entre Cordilleras
Romeral Andes
Valle del Lontué Sagrada Familia Entre Cordilleras
Molina Andes
Valle del Maule Valle del Claro Empedrado Costa
Curepto Costa
Talca Entre Cordilleras
Pencahue Entre Cordilleras
San Rafael Entre Cordilleras
San Clemente Andes
Valle del Loncomilla San Javier Entre Cordilleras
Villa Alegre Entre Cordilleras
Parral Entre Cordilleras
Linares Entre Cordilleras
Longaví Entre Cordilleras
Retiro Entre Cordilleras
Colbún Andes
Valle del Tutuvén Cauquenes Entre Cordilleras
Región vitícola del Sur Valle del Itata Portezuelo Costa
Coelemu Costa
Chillán Entre Cordilleras
Quillón Entre Cordilleras
Valle del Biobío Yumbel Entre Cordilleras
Mulchén Entre Cordilleras
Valle del Malleco Traiguén Entre Cordilleras
Región vitícola Austral Valle del Cautín
Valle de Osorno


ラベル平面化画像。
IMG_7239
裏のインポーターシールには「カルムネール」と表記されていますね。Carmenère ならカルムネールと読めますが(INAOはこれを正としているようですが…)、このブログでは「カルメネール」と読める Carménère の表記を推しています(笑)。

さあ、抜栓。
IMG_7563
DIAM5を採用ですが、ほぼ無印なのでコルク平面化はしません。

Alc.14.5%。
赤みのあるガーネット。
IMG_7564

黒ベリー、ダークチェリー。
メトキシ青み、モカがカルメネールらしいです。
辛口アタック。
奥行き、厚み、ボリューム感ある味わい。
クールで甘みも湛える味は絶妙なバランスを作っています。
重さを引きずらずに伸びる余韻も、
いいハーモニーに裏打ちされながらフィニッシュ。
これぞカルメネールといった王道でした。満足。


*****

Viña Falernia
Carménère Reserva 2017
Pedriscal Single Vineyard
D.O. Valle del Elqui
RRWポイント 95点


Viña La Ronciere Moussai Carménère 2016 Curicó Valley

本日は日本カルメネール振興協会の活動日です(笑)。まだ未試飲の作り手、ビニャ・ラ・ロンシエール(Viña La Ronciere)のカルメネールをお試しです。ワインのDOはクリコー・ヴァレーとなってますね。裏ラベルで作り手の所在を見るとグラネロス。これはカチャポアル・ヴァレーの町です。う~ん、何やらいろいろありそうです。調べ甲斐がありそうですよ。

IMG_7333
1949年にドン・フェルナンド・オルエタ・ルイス・デ・エギラスが始めたワイナリーとしかわかりませんでした。しかし、70年以上続く老舗ですね。知らなかったな~。

公式ページは普通によくできてます。下のバナーはショップのリンクです。

今日のムサイというシリーズは真ん中ぐらいのラインですかね。

・カルメネール 100%

手摘み収穫で厳しい選果をするそうです。総量の50%だけアメリカンとフレンチオークの混成の樽で、残り50%はステンレスタンクで、12ヶ月の熟成だそうです。しかしHPの説明では「DO Colchagua Valley」となっているんですよね。今日のワインのラベルにははっきりと「Curicó Valley」となってるんですが…。

とにかく、まずはワイナリーを訪問。カチャポアル・ヴァレーにあります。
LaRociere01
グラネロス(Graneros)という、サンティアゴからランカグアに南下する道すがらにある町です。

リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)の地図でビニャ・ラ・ロンシエールの所在を確認。
Libertador_O'Hinggis_Rio
今日のワインのクリコー・ヴァレーはさらに南、マウレ州に入ったところにありますから、かなり離れたところにも畑を持てるってことになります。ネットで調べると、中南米の農業関連サイトに「ラ・ロンシエールが2012年からクリコー・ヴァレーに進出した」という記事を見つけました。マタキト川(Río Mataquito)沿いの海に近いリカンテン(Licantén)というところのポテンシャルを見出し畑を開いたとあります。おそらく2016年当時はクリコー・ヴァレーに当たるこの畑のカルメネールから今日のワイン、ムサイを作っていたんでしょうね。その後、本拠地に近いコルチャグアに移したんじゃないかと思われます。

よくよく調べると、以前DOアパルタを調べた時に、同時にDO承認された4ヶ所のひとつにDOリカンテンがあったのに気づきました。なんと、ラ・ロンシエールが開いたリカンテンの畑は、6年後の2018年にクリコー・ヴァレーのサブリージョンとして単独のDOに昇格していました。チリの官報で確認できますが、同時にDO化した4つのDOを以下に列記します。

Licantén DO(リカンテン):Teno Valley(Curicó Valley)/ Costa
Apalta DO(アパルタ):Colchagua Valley / Entre-Cordilleras
Los Lingues DO(ロス・リンゲス):Colchagua Valley / Andes
Lo Abarca DO(ロ・アバルカ):San Antonio Valley(Aconcagua Valley)/ Costa

「Los Lingues」は以前コイレ(Viña Koyle)で試してますね。当時まだDOコルチャグア・ヴァレーの表示でした。「Costa」等は、DOに付記できる以下の3つの地理的条件の区別です。

 ・Costa(コスタ =海岸)
 ・Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ・Andes(アンデス =アンデス山脈)

マウレ州の地図でDOリカンテンの場所を確認しましょう。
Maule_Curico
DOリカンテンは一応、クリコー・ヴァレーのサブゾーン、テノ・ヴァレー(Valle del Teno)の一部になるようです。

さらにネット上で調べを進めると畑の場所を突き止めてしまいました。(下地図の白丸印)
LaRociere02
DOリカンテンの作り手は現在ラ・ロンシエールのみです。つまり、モノポール(笑)。「Fundo Idahue」という名前がつけられています。

よっぽど自慢の畑なんでしょう。ラ・ロンシエールはこの畑の紹介動画も作っています。

これだけ宣伝されると、DOリカンテンのワインがもっと飲みたくなりますね。

チリの官報からスクショした最新のDOリストを貼っておきます。
Chile_DOs2
あまり質が良くない(笑)。いずれきれいに打ち直さないといけませんね。


ラベル平面化画像。
IMG_7278


さあ、抜栓。
IMG_7329

コルク平面化。
IMG_7330

Alc.13.5%。
しっかり褐変のガーネット、粘性のハッキリ涙。
IMG_7331

黒ベリー、スギ、リコリス。
黒糖感も少しあり。
カルメネールらしい個性を感じます。
辛口アタック。
熟成ボルドーのような貫禄です。
圧倒的な構造感のその中に、密に詰まったシルキーな口当たりの液体。
スパイシーさも際立ちます。
クールさも加わりながら、奥深い味わいが長く続きます。

DOリカンテンの素性の良さでしょうか。
かなりいいレベルのカルメネールに仕上がっています。


*****

Viña La Ronciere
Moussai Carménère 2016
Curicó Valley
RRWポイント 94点


Lapostolle Cuvée Alexandre Carmenère 2019 D.O. Apalta

チリの激推しワイナリーのひとつ、ラポストル。このキュヴェ・アレクサンドルというシリーズはプレミアムのクロ・アパルタを除けばトップラインの主力になるんだと思いますが、なぜかこのカルメネールになかなか出会いませんでした。アメリカ在住中も探してましたからかれこれ10年越しで手に入ったというわけです。ということで今日は日本カルメネール振興協会の活動日となります(笑)。「D.O. Apalta」という表記も気になります。いろいろと掘り下げてみましょう。

IMG_7238
作り手のラポストルですが、グラン・マルニエ(Grand Marnier)というオレンジ・リキュールを1880年に売り出して大成功したフランスのマルニエ・ラポストル社というのがありまして、その創始者のひ孫のアレクサンドラ・マルニエ・ラポストルさんがなんだかんだでワインの産地としてチリの土地に惚れ込み、夫と一緒に1994年に創設したワイナリーです。自らのルーツであるフランスのワイン作りを恵まれたチリの土地で実践する、というのがラポストルのポリシーになっています。

公式ページは以前見た時期から随分更新されているようです。情報量もあって良くなってます。

エントリーラインまでヴィンテージ毎にデータシートが完備されています。偉い。

・カルメネール 88%
・シラー 12%

過去からシラーとのブレンドのようですね。フレンチオーク樽で16ヶ月の熟成です。

コルチャグア・ヴァレー、サンタ・クルスにあるラポストルを訪問します。
Lapostolle01
モンテスやベンティスケロもご近所になります。

ラポストルには Clos Apalta というプレミアムワインがあり、昔はラポストルのフラッグシップの扱いだったものが、現在は別ワイナリー、別サイトになってます。マーケティングですかね。

実はこれがカルメネール主体のブレンドでして、ラポストルのカルメネールの最高峰は実はこれということになります。随分昔ですがアメリカで当時100ドル近くした2003年を買って試しています。コンチャイトロの高級カルメネール、カルミン・デ・ペウモとタメを張るうまさだったと記憶しています。また試さないといけませんね。

最新鋭のクロ・アパルタ・ワイナリーというのが山裾に別にできています。
Apalta01
サンタ・クルスの町の東側にラポストルとクロ・アパルタの畑が広がっています。おそらく共通の畑というか混然一体になってると思われます。今日のワインには「D.O. Apalta」とあります。このあたりのDO(Denominación de Origen)をアパルタというんでしょうか。以前は、アパルタ・ヴィンヤードと畑名としては書いていましたが、DOはコルチャグア・ヴァレーとなっていたと思います。クロ・アパルタも「D.O. Apalta」表示に変わっているようです。

調べてみました。なんと、アパルタは2018年にコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンとして単独のDOに昇格していました。チリの官報で確認できますが、同時に4つのDOができています。以下に列記します。

Apalta DO(アパルタ):Colchagua Valley / Entre-Cordilleras
Los Lingues DO(ロス・リンゲス):Colchagua Valley / Andes
Licantén DO(リカンテン):Teno Valley(Curicó Valley)/ Costa
Lo Abarca DO(ロ・アバルカ):San Antonio Valley(Aconcagua Valley)/ Costa

「Los Lingues」は以前コイレ(Viña Koyle)で試してますね。当時まだDOコルチャグア・ヴァレーの表示でした。「Costa」等は、DOに付記できる以下の3つの地理的条件の区別です。

 ・Costa(コスタ =海岸)
 ・Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ・Andes(アンデス =アンデス山脈)

リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)の地図でコルチャグア・ヴァレーのラポストルの位置を確認。
Libertador_O'Hinggis_Rio
ラポストルのあるところが「DOアパルタ」ということになります。


さて、カルメネールです。過去から何度となく書いてることをまたまとめておきます。
Errazuriz02
カルメネール(Carmenère / Carménère)はご存知のように、今でこそチリを代表する品種ですが、かつてはボルドーの主要品種でした。18世紀初頭にはメドックのトップシャトーはカルメネール(もしくはカベルネ・フランとのブレンド)で名声を築いていたという資料もあり、ボルドー地方全体でも18世紀頃まで主要品種は現在のカベソーやメルローではなくカルメネールであったと言われています。1863年から19世紀末まで続いたフィロキセラ被害で欧州中のブドウが壊滅し、カルメネールもボルドーから消え去ります。その後、チリなど新大陸に移植されていた品種をボルドー他欧州へ戻すと同時に、フィロキセラに耐性のあるアメリカ産の野生ブドウの台木に接木することでヨーロッパ中のワイン産業がなんとか復活を遂げました。しかし、晩熟で害虫にも弱いカルメネールだけはボルドーに戻りませんでした。これはアメリカの台木に接ぎ木するのにカルメネールがうまく適合しなかったためとも言われています。そして一旦ワインの歴史からカルメネールは消え去ってしまったのでした。
そして、1994年にフランス人ブドウ品種学者の Jean Michel Boursiquot がチリのマイポの畑で、失われた品種と思われていたカルメネールを再発見します。その畑が Viña Carmen であり、1996年には初のカルメネール名のワインをビニャ・カルメンがリリースします。これ以降、カルメネールがその後のチリのワインを特徴づける代表品種になっていったのはご存知の通りです。以上、日本カルメネール振興協会では常識となっています。(笑)

それまでチリではメルローと混同されていたとされる品種がボルドー原産のカルメネールだと証明されたのは1997年に実施されたDNA分析によってでした。メルローと長い間混同してたなんてチリってアホやな~と思われがちですが果たしてそうなんでしょうか。DNA分析によっていろいろな事実が判明しています。北イタリアで近年(1990年代まで)植えられたカベルネ・フランとされた品種はカルメネールだということが判明していますし、中国がフランスから導入しカベソーとカベフラの交配種と主張してきた Cabernet Gernischt(=Cabernet Gemischt / Cabernet Mixed)もカルメネールでした。いろいろと混同されがちなカルメネールを紐解きましょう。

2013年に実施されたDNA分析によると、カルメネールという品種の親子関係はこのようになります。

カルメネール= (母) ムラル x (父) カベルネ・フラン

ムラル(Moural)はフランス原産の品種です。このようにカルメネールの親として登場はしますが、現在栽培はされていないようです。チリでカルメネールと混同されていたメルローはというと…

メルロー= (母) マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント x (父) カベルネ・フラン

そ~ら、片親(父)が同じカベフラです。混同されたくらいですから血は争えないですね(笑)。このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント(Magdeleine Noire des Charentes)というのもフランス原産の古い品種で現在は栽培はされていません。しかし、コ(Côt)すなわち、マルベック(Malbec)の母親もこの品種なのでいろいろお世話になってはいます。(笑)
ついでにカベソーもおさらいしておきましょう。

カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン

でしたね。ここではカベフラは母となりました。世界で人気の品種ですから、DNA分析が流行りになってきて真っ先に調べられ親子関係が判明したのがカベソーだったそうです。父親が白ブドウというのは当時センセーショナルだったそうで(笑)。

DNA分析では、一連の混同事件(笑)はカベルネ・フランが暗躍してるということのようです。

面白いのは、カルメネールとメルローの外観の違い。チリでは再発見される前のカルメネールはメルローと混同されていたとされますが、こんなもの間違えるわけがないというくらいに差異があります。なので、おそらくチリでも違いは認識していたと思います。でなければフィロキセラ後にメルローとしてボルドーへ里帰りしていたはずです。メルローと「違う」から戻さなかった…はずです。
つまりは、「100年以上もチリではカルメネールをメルローと混同してきた」と間抜けな話なように語るのはおかしいということになります。いまだに(生き残っていた)カルメネールをカベルネ・フランとして栽培している北イタリアの方がよっぽどおバカな感じがします(笑)。

カルメネールとメルローの外観の違いについては、ナティーバという安ワインの専用サイトにあるカルメネールの解説がすばらしいです。一読の価値ありですが、以下にまとめます。
Nativa01
この写真のように外観は全くと言っていいほど似ていません。

カルメネールのブドウは色が黒っぽくてメルローより大粒です。また、粒を押すとカルメネールはメルローのように果汁が外に飛び出さないんだそうで。カルメネールは果皮と果肉がひっついて、じわじわと流れ出るそうです。へぇ~。

例の葉の形も、カルメネールは葉脈の中心に向かって切れ込みが浅く、全体的にロールがかっているのに対して、メルローはより深い切れ込みがあり、葉はフラットなんですと。これらの外観の違いを考えると、混同する方がおかしいです。

晩熟であるカルメネールをメルローとして早く収穫してしまうと、メトキシピラジンによる青臭い風味(いわゆるピーマン香)が強く出るということもあります。また、仮にメルローと混植していたとして、すべて完熟してから収穫していたとしたら気づかないかもですが、今度は完熟とともにカルメネールはその名前の由来になったように葉っぱが紅く色づきます。やっぱり混同するのは無理なようです。

こあたりをスキっと解説してる秀逸な記事がありました。リンクを貼っておきます。

【チャリンコ通信】Vol.4 青いカルメネール、紅いカルメネール(前編)
【チャリンコ通信】Vol.5 青いカルメネール、紅いカルメネール(後編)


ラベル平面化画像。DOアパルタが誇らしげです。
IMG_6734
カルメネールの表記は「Carmenère」と、3音節目にアクサングラーヴのみのパターンです。フランス語で発音すると「カルムネール」に近くなります。チリでは(スペイン語では)皆さん「カルメネール」と発音してますから、日本カルメネール振興協会では「Carménère」のように、アクサンテギュと、アクサングラーヴの両方付きが推奨です(笑)。ただしフランス本国のINAOが「Carmenère」を正としているのでご注意を。フランスのブドウ品種サイトも昔は「Carménère」表記だったものがどんどん「Carmenère」に変わってきているようです。そういうところでは「Carménère」はシノニム扱いです。チリではまだまだ「Carménère」表記をするところがありますが、本国の影響か「Carmenère」が増えてきているようです。なんだかんだ言って、チリはフランス本国を気にする傾向があるようです。

裏ラベルを隠さないファインズのラベルです。
IMG_6735


さあ、抜栓。
IMG_7232

コルク平面化。
IMG_7233
いいですね。ミレジムも入って貫禄ありです。

Alc.14.5%。
少し赤みの濃いインキーなガーネット。
IMG_7235

黒ベリー、ダークチェリー、黒糖、モカ。
カルメネール感満載ですが、ピーマン香はありません。
辛口アタック。
少し塩味も感じるかな。
とにかくコクのある味わいで、
構造感、複雑味、重量感、秀逸なり。
若干酸味が浮ついてるは2019年でまだ若いからかな。
甘味にも通ずる酸ですね。
余韻はじっくり伸びます。


*****

Lapostolle
Cuvée Alexandre Carmenère 2019
D.O. Apalta
RRWポイント 94点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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