Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Carmenere

Cono Sur Single Vineyard Block N° 28 La Rinconada Carmenere 2018

ビシクレタ(Bicicleta=自転車)というバリエタルのシリーズが根強い人気のコノスルです。これはシングル・ヴィンヤードというちょっといいやつですね。ずいぶんにも2015を試しているんですが、日本カルメネール振興協会の活動の一環でもあるので(笑)久しぶりにカルメネールをお試ししようと思います。

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コノスルとは「南向きの円錐 (Southern Corn)」という意味で 、南向きの円錐の形をした南米大陸を表しています。コノスルは、実はチリワイン最大手のコンチャイトロ(Concha y Toro)が1993年に創設したワイナリーで、買収ではなく一から立ち上げているのでコンチャイトロの子会社的存在になります。数多くのワイナリーを傘下に収めているコンチャイトロですが、新規に興したワイナリーはあのアルマビバ(Viña Almaviva)とコノスルだけですから、「なんだかコノスルすごい」って感じがします(笑)。

公式ページはこちら、チリの本家です。今日のワインもしっかり情報載ってます。


インポーター「スマイル」による日本向けサイトがこちら。

こちらも情報豊富で、畑の写真や区画図もありました。これは畑訪問できるかも…。

・カルメネール 100%

手摘み収穫。熟成は、90%をフレンチオーク樽(残り10%はセメントタンク)で14ヶ月、その後スチールタンクで1ヶ月だそうです。パーカーおじさんが89点つけたと書いています。


さて、カルメネールです。過去から何度となく書いてることをまたまとめておきます。
Errazuriz02
カルメネール(Carmenère / Carménère)はご存知のように、今でこそチリを代表する品種ですが、かつてはボルドーの主要品種でした。18世紀初頭にはメドックのトップシャトーはカルメネール(もしくはカベルネ・フランとのブレンド)で名声を築いていたという資料もあり、ボルドー地方全体でも18世紀頃まで主要品種は現在のカベソーやメルローではなくカルメネールだったんじゃないかと日本カルメネール振興協会では考えています。

1863年から19世紀末まで続いたフィロキセラ被害で欧州中のブドウが壊滅し、カルメネールもボルドーから消え去ります。その後、チリなど新大陸に移植されていた品種をボルドー他欧州へ戻すと同時に、フィロキセラに耐性のあるアメリカ産の野生ブドウの台木に接木することでヨーロッパ中のワイン産業がなんとか復活を遂げました。しかし、晩熟で害虫にも弱いカルメネールだけはボルドーに戻りませんでした。これはアメリカの台木に接ぎ木するのにカルメネールがうまく適合しなかったためとも言われています。そして一旦ワインの歴史からカルメネールは消え去ってしまったのでした。

そして、1994年にフランス人ブドウ品種学者の Jean Michel Boursiquot がチリのマイポの畑で、失われた品種と思われていたカルメネールを再発見します。その畑が Viña Carmen であり、1996年には初のカルメネール名のワインをビニャ・カルメンがリリースします。これ以降、カルメネールがその後のチリのワインを特徴づける代表品種になっていったのはご存知の通りです。以上、日本カルメネール振興協会では常識となっています(笑)。

それまでチリではメルローと混同されていたとされる品種がボルドー原産のカルメネールだと証明されたのは1997年に実施されたDNA分析によってでした。メルローと長い間混同してたなんてチリってアホやな~と思われがちですが果たしてそうなんでしょうか。DNA分析によって他にもいろいろな事実が判明しています。北イタリアで近年(1990年代まで)植えられたカベルネ・フランとされた品種はカルメネールだということが判明していますし、中国がフランスから導入しカベソーとカベフラの交配種と主張してきた Cabernet Gernischt(=Cabernet Gemischt / Cabernet Mixed)もカルメネールでした。チリだけがおバカということではなさそうですね。いろいろと混同されがちなカルメネールを紐解きましょう。

2013年に実施されたDNA分析によると、カルメネールという品種の親子関係はこのようになります。

カルメネール= (母) ムラル x (父) カベルネ・フラン

ムラル(Moural)はフランス原産の品種です。このようにカルメネールの親として登場はしますが、現在栽培はされていないようです。チリでカルメネールと混同されていたメルローはというと…

メルロー= (母) マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント x (父) カベルネ・フラン

そ~ら、片親(父)が同じカベフラです。混同されたくらいですから血は争えないですね(笑)。このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント(Magdeleine Noire des Charentes)というのもフランス原産の古い品種で現在は栽培はされていません。しかし、コ(Côt)すなわち、マルベック(Malbec)の母親もこの品種なのでいろいろお世話になってはいます。(笑)
ついでにカベソーもおさらいしておきましょう。

カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン

でしたね。ここではカベフラは母となりました。世界で人気の品種ですから、DNA分析が流行りになってきて真っ先に調べられ親子関係が判明したのがカベソーだったそうです。父親が白ブドウというのは当時センセーショナルだったそうで(笑)。

DNA分析では、一連の混同事件(笑)はカベルネ・フランが暗躍してるということのようです。

興味深いのは、カルメネールとメルローの外観の違い。チリでは再発見される前のカルメネールはメルローと混同されていたとされますが、こんなもの間違えるわけがないというくらいに差異があります。なので、おそらくチリでも違いは認識していたと思います。でなければフィロキセラ後にメルローとしてボルドーへ里帰りしていたはずです。メルローと「違う」から戻さなかった…はずです。つまりは、「100年以上もチリではカルメネールをメルローと混同してきた」と間抜けな話なように語るのはおかしいということになります。いまだに(生き残っていた)カルメネールをカベルネ・フランとして栽培している北イタリアの方がよっぽどおバカです(笑)。

カルメネールとメルローの外観の違いについては、ナティーバというお手頃ワインの専用サイトにあるカルメネールの解説がすばらしいです。一読の価値ありですが、以下にまとめます。
Nativa01
この写真のように外観は全くと言っていいほど似ていません。

カルメネールのブドウは色が黒っぽくてメルローより大粒です。また、粒を押すとカルメネールはメルローのように果汁が外に飛び出さないんだそうで。カルメネールは果皮と果肉がひっついて、じわじわと流れ出るそうです。へぇ~。

例の葉の形も、カルメネールは葉脈の中心に向かって切れ込みが浅く、全体的にロールがかっているのに対して、メルローはより深い切れ込みがあり、葉はフラットなんですと。これらの外観の違いを考えると、混同する方がおかしいです。

また、晩熟であるカルメネールをメルローとして早く収穫してしまうと、メトキシピラジンによる青臭い風味(いわゆるピーマン香)が強く出るので何かおかしいと気づくはずです。仮にメルローと混植していたとして、すべて完熟してから収穫していたとしたら気づかないかもですが、今度は完熟とともにカルメネールはその名前の由来(「Carmin」=赤い、真っ赤な、洋紅色)になったように葉っぱが紅く色づきます。やっぱり混同するのは無理なようです。
kouyou
こあたりをスキっと解説してる秀逸な記事がありました。なんとコノスルの情報サイトです。リンクを貼っておきます。

【チャリンコ通信】Vol.4 青いカルメネール、紅いカルメネール(前編)
【チャリンコ通信】Vol.5 青いカルメネール、紅いカルメネール(後編)


コノスルの本拠地を訪れてみましょう。場所的にはコルチャグア・ヴァレーです。
ConoSur
チンバロンゴ(Chimbarongo)という町に隣接しています。ここはコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンでもあります。名物チャリンコ部隊の写真も貼っておきました。

コノスル日本公式サイトに畑の区画図が載っていたので、これを頼りに畑があるというカチャポアル・ヴァレーのペウモ(Peumo)周辺を探索しました。やった!発見しました!
Peumo_La_Rinconada
「Block N° 28 La Rinconada」の看板の写真も同じサイトに載っていたものです。残念ながらストビューは7月と南半球の冬の写真でしたが。でもここ、よく見ると「Bodega Peumo」というコンチャイトロの拠点のワイナリーがあるところです。もしかして畑はコンチャイトロと共通なのかもしれません。

リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)を俯瞰して位置関係を確認します。チンバロンゴは見つかりましたか?
Libertador_O'Hinggis_Rio
先ほどのペウモ(Peumo)はカチャポアル川(Río Cachapoal)流域のカチャポアル・ヴァレーですが、コノスルのあるチンバロンゴ(Chimbarongo)はティンギリリカ川(Río Tinguiririca)の流域でコルチャグア・ヴァレーに属します。そして、2つを合わせてラペル・ヴァレーでしたね。


ラベル平面化画像。
IMG_0968


さあ、抜栓。
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キャップシールにあるのはコノスルのシンボル、南半球マークです。

コルク平面化。
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まあ、シンプルです。

Alc.14.5%。
濃いガーネット。
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黒ベリー、モカ、黒砂糖、ダークチェリー。
メトキシピラジンの青みはほぼ感じませんね。
辛口アタック。
酸はまだ立っています。
複雑味はしっかり出来上がっています。
厚みもそこそこあり、余韻も Lingering なんですが、
最後まで酸が少し気になりました。


*****

Cono Sur
Single Vineyard Block N° 28
La Rinconada Carmenere 2018
D.O. Valle del Cachapoal
RRWポイント 91点


Emiliana Natura Carmenere 2021 Valle de Colchagua

チリのビオワイン、オーガニックワインの先駆者と言えば断然エミリアーナです。エミリアーナは2005年に中南米で初めてビオディナミの認証機関であるデメター(Demeter)からも認証を受けています。今日のワイン(畑)はビオディナミではないですが、ナトゥーラと言えばエミリアーナのバリエタルの代表ブランド。随分昔から知ってますがこのブログでは初めてですね。

IMG_0929
創設者のラファエルさんとホセさんのギリサスティ兄弟(Rafael y José Guilisasti)はワインの未来はオーガニックにあると悟り、最初からオーガニック~ビオディナミを目指して1998年にエミリアーナを設立します。本拠地カサブランカ・ヴァレーを中心に、マイポ、カチャポアル、コルチャグア、ビオビオなど各地に自社畑を922ha所有、契約畑は334haを管理し、総計1200haにもなる畑はほぼ全域オーガニック認証(ECOCERT)を受けています。

公式ページはしっかりしていますが…なぜかナトゥーラが載っていません。

ネーミングが変わったのかとも思いましたが、2022も出てることから現役のはず。まあ、数多のブランドを持っていますし、出荷先の国でネーミングを使い分けいるのかもしれません。

・カルメネール 100%

インポーター情報ですが、20%のみをフレンチオーク樽で6ヶ月熟成させるようです。「軽め」ネールですね(笑)。


エミリアーナの本拠地はカサブランカ・ヴァレーで、コルチャグア・ヴァレーではないです。
Emiliana
サンティアゴとバルパライソを結ぶ国道68号線沿い、ちょっと横にそれたところにあります。

今日のワイン自体はコルチャグア・ヴァレーなのでこの地図を貼っておきます。
Libertador_O'Hinggis_Rio
サンティアゴのある首都州(Región Metropolitana de Santiago)の南側、リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Libertador General Bernardo O'Higgins)です。コルチャグアとカチャポアルが合わさってラペル・ヴァレーを形成します。


ラベル平面化画像。
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ECOCERT認証(ECOCERT/フランス国際有機栽培認証機関)とヴィーガン協会(The Vegan Society/UK)が誇らしげですね。しかし、この2021年はジェームズ・サックリングおじさんも90点をつけているようですが、なぜにHPのラインアップに載せてないんでしょうね。

さあ、抜栓。
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なんと、コルクが完全無印。これも「自然派~」ってことなのかな?(笑)

Alc.13.5%。
濃いガーネット。
IMG_0928

黒ベリー、ダークチェリー、モカ、青み少しあり。
カルメネールの王道ですね。
辛口アタック。
酸は豊富でフレッシュ感あり。
スモーキーでレイヤー感のある味わいは厚み・複雑味もたっぷり。
今日は少し冷やしすぎましたが、温度がほぐれてくると旨さ倍増です。
余韻もしっかり楽しめました。


*****

Emiliana
Natura Carmenere 2021
Valle de Colchagua
RRWポイント 93点


Viña del Nuevo Mundo Conde José Reserva Privada Carmenere 2021 Colchagua

近所の百貨店で見たことのないカルメネールを発見しました。チリワインはカベソーばかりが入って来ることが多く、カルメネールがあっても極安モノだったりするのですが、久々の新着カルメネールのようです。こりゃあ試さんといかんでしょ!ということですぐさまゲットです(笑)。

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作り手は「Viña del Nuevo Mundo」とあります。日本語では「新世界ワイナリー」てな感じでしょうか。Google Mapでは「Viña Las Ñiñas」というサンタ・クルス近くアパルタのワイナリーがヒットしました。それらを手掛かりによくよく調べると、フランスの大手ワイン企業 GCF(Grands Chais de France)が2021年にビニャ・デル・ヌエボ・ムンドのワイナリーと畑を取得したということがわかりました。ついこの前ですね。今日のワインは2021年なので、買収後のファースト・ヴィンテージということのようですね。もともとのコルチャグア・ヴァレーに加えてバルパライソ州のレイダ・ヴァレー(サン・アントニオ・ヴァレーのサブリージョン)にも畑を買い増したそうです。こちらは2024年のヴィンテージからワインになるようです。
ビニャ・ラス・ニーニャスが買収されてビニャ・デル・ヌエボ・ムンドに改名したということになるはずですが、なぜかビニャ・ラス・ニーニャスもHPともども健在で、どうやら併売しているようです。ちなみにビニャ・ラス・ニーニャスは1996年に創業しています。

ビニャ・デル・ヌエボ・ムンドの公式ページはこちら。まだまだ情報少ないです。

ワイン紹介も写真のみで、今日の「Conde José」というワインは見当たりません。

ビニャ・ラス・ニーニャス(Viña Las Ñiñas)のHPはこのように健在です。

たぶん同じじゃないかということで、ビニャ・ラス・ニーニャスのレセルバを見ます。

・カルメネール 100%

手摘み収穫、フレンチオーク樽で8ヶ月の熟成だそうです。もとい、フレンチオークとは書いてますが「樽」とは書いていません(笑)。それよりもインポーターシールに書いてあった、安定剤(アラビアガム)の方が気になります。

ビニャ・ラス・ニーニャス、もしくはビニャ・デル・ヌエボ・ムンドを訪問。
Vina-del-Nuevo-Mundo
なかなか立派な建物です。リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)コルチャグア・ヴァレーのサンタ・クルスの町の近く、アパルタという所にあります。近くにラポストルのクロ・アパルタやモンテスなんかもありますね。このあたりは、コルチャグア・ヴァレーのサブリージョン「D.O. Apalta」になります。以前の記事でも触れていますが、「アパルタ」は2018年にコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンとして単独のDO(Denominación de Origen)に昇格しています。

リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州の地図で位置関係を確認しましょう。
Libertador_O'Hinggis_Rio
コルチャグア・ヴァレー+カチャポアル・ヴァレー=ラペル・ヴァレーでしたね。


ラベル平面化画像。
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高級感あるラベルデザインですけどね。安定剤(アラビアガム)だけがどうしても気になります(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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キャップシールもコルクも「Chile」だけとは寂しい。DIAM2です。

Alc. 13.5%。
濃いめのガーネット。
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黒ベリーにいきなりのシーチキン香。
ダークチェリーとモカが奥にあるのはカルメネールっぽい。
酸味強めの辛口アタック。
フレッシュ感の酸と思えば受け入れ可能なレベルです。
厚み・複雑味はそこそこでカルメネールのモカ・青みも健在。

若干チグハグなバランスかな。
アラビアガム(アカシア)のせいかしら。


*****

Viña del Nuevo Mundo
Conde José Reserva Privada Carmenere 2021
D.O. Colchagua
 Valley
RRWポイント 91点


Viñas Bisquertt La Joya Single Vineyard Carmenere 2017

久しぶりにビニャ・ビスケルト(Viña Bisquertt)のカルメネールをいただきます。結構グレードの高そうなやつを見つけたなと思っていましたが、調べると、以前に飲んだ「Ecos de Rulo」ってやつの名称変更だそうで、2016年のヴィンテージから「La Joya」になってるとのこと。前のは2015でしたので、そのヴィンテージ違いの2017をいただくということになりました(笑)。

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ビニャ・ビスケルトは、1978年創業のコルチャグア・ヴァレーの家族経営の作り手です。マルチグエ(Marchigüe)にあるエル・チェケン(El Chequén)という95ヘクタールの畑を所有。チリらしくすべて接ぎ木なしの自根のブドウだそうです。この地域のパイオニア的存在だと豪語しています(笑)。

公式ページはトップページの自社畑の空撮映像が印象深いです。

データシート付きでワイン紹介があります。「La Joya」は「宝石」の意味があります。

・カルメネール 100%

D.O. Marchigüe(Marchihue)にあたる自慢のエル・チェケンの畑からの手摘み収穫。樽熟は、オークの大樽とコンクリートタンクの併用で12ヶ月です。


ビスケルトを訪問しますが、ストビューがなく畑と池のショットです(笑)。
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マルチグエ / マルチウエ(Marchigüe / Marchihue)の集落の北にある広大な畑ですが、ワイナリー施設と思われる建物がショボいのが少々気になります。大きなため池のようなのが敷地の真ん中にあるようです。

HPには所在を示すこんな地図が載ってましたが、これは少々盛りすぎ(笑)。
Bisquertt_Colchagua
この地図ですと、リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州全体がコルチャグア・ヴァレーに見えますが、半分はカチャポアル・ヴァレーです。また、ビスケルトはこんなに広くありません(笑)。所有畑がこの範囲に散らばってるという意味かもしれませんが…。

リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)を俯瞰してビニャ・ビスケルトの正確な所在を確認します。
Libertador_O'Hinggis_Rio
色付きの文字で地名が入っているところは、コルチャグア・ヴァレー、カチャポアル・ヴァレー、それぞれのサブゾーンで、今日のワインの「D.O. Marchigüe(Marchihue)」のようにそれぞれ単独のD.O. になっています。


ラベル平面化画像。
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ヴィーガンのマークがあります。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14%。
ガーネット。
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黒ベリー、モカ、青みもかすかにある。
カルメネールの王道の香りです。
辛口アタック。
酸味は程よく乗っています。
圧倒的ではないですが、
厚み・複雑みの感じはいいカルメネールのそれです。

若干軽めですが、フライドチキンにうまく合いました(笑)。
合わせやすいカルメネールということで。


*****

Viñas Bisquertt
La Joya Single Vineyard Carmenere 2017
D.O. Marchihue
RRWポイント 91点


Concha y Toro Marqués de Casa Concha Carmenere 2018

日本カルメネール振興協会(笑)で長年活動を続けていると間違いないカルメネールというのがいくつかレパートリーとなります。このコンチャイトロのマルケス・デ・カサ・コンチャはそんな一つ。KAICarmín de Peumoなどに手を出さなくともカルメネールのひとつの頂点が味わえると思います。前々回は2015年、その後2017年、そして本日は2018年をお試しです。

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ワインメーカーはマルセロ・パパ(Marcelo Papa)さん。1998年に入社し、翌1999年以降ずっとマルケス・デ・カサ・コンチャを担当されてますが、2017年より会社全体統一のテクニカル・ディレクターに就任されています。マルケス・デ・カサ・コンチャのシリーズは、さらに上級のエティケタ・ネグラ(Etiqueta Negra;黒ラベル)や「Heritage」という最上級も加わってコンチャイトロの看板シリーズのひとつになっていますが、すべてこのマルセロ・パパさんが担当しています。絶対この人すごいと思います。


公式ページはこちら。Super Brands Portfolio の中に今日のワインの紹介があります。

残念ながら最新2021年のデータしか載っていないようですが…。必殺URL打ち換え(2021→2018)で2018年のデータを取り出しました。(笑)

・カルメネール 95%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 5%

若干最新の2021とは違ってまして、2021年はカベソーが6%に、メルローが2.5%入っています。樽熟はフレンチオーク樽で12ヶ月です。

Marqués de Casa Concha には専用ページがあります。
Etiqueta Negra(ブラック・ラベル)や最上級のボルドー・ブレンド「Heritage」も試してみたいですね。これらは日本には入ってきてなさそうですが、ブラックラベルはセット販売されているのを先日見かけました。セット内容があまりにつまらなかったので手を出さなかったのですが、もっと手軽に買えるようになってほしいですね。チリの上級ワインって素晴らしいものが多いのに、いまだに安ワインばっかりが蔓延してるのは寂しい限りです。


このカルメネールはカチャポアル・ヴァレーペウモ(Peumo)にある「Viñedo Peumo」という畑からです。ワイナリーは「Bodega Peumo」というコンチャイトロの拠点があります。
ペウモ
ペウモ(Peumo)の町は蛇行するカチャポアル川に囲まれている山間にあり、「ペウモ」はカチャポアル・ヴァレーのサブリージョンにあたる銘醸地です。コンチャイトロのカルメネールの最高峰「Carmín de Peumo」のカルメネールもこの畑からになります。つまりは、今日のワインはコンチャイトロの最高峰と同じところのブドウということです。

Marqués de Casa Concha 専用サイトにはシリーズの産地の地図がありました。
MdCCMapa
Viñedo Peumo」のカルメネールはプレフィロキセラからのカルメネール株で、1994~1996年に植えられたとのこと。

やっぱりGoogle Mapでも見てみましょう。ペウモ(Peumo)わかりますか?
Libertador_O'Hinggis_Rio
カチャポアルはコルチャグアと合わせてラペル・ヴァレーとなるんでしたね。カチャポアル川とティンギリリカ川に着目しましょう。川も合わさるとラペル川です。ペウモはカチャポアル川にぐるっと囲まれた好立地のサブリージョンということになります。


ラベル平面化画像。
IMG_9498
裏ラベルはインポーターの日本仕様。

「Marqués de Casa Concha」とアクセントが付くのが正しい表記はずですが、ラベル表示が大文字なのと、公式ページでアクセントなしの表記があるので少し気になっていました。
Marques-de-Casa-Concha
HPで昔の写真を見つけました。やはりアクセント付きであるのが確認できました。写真は1978年ですが、マルケス・デ・カサ・コンチャのファーストヴィンテージは1976年だそうです。歴史あるんですね。


さあ、抜栓。
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ラベルと同じ紋章がキャップにありますね。

ネックにあったPOP。
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「2018年は特筆すべきヴィンテージ、お試しあれ」というだけのPOP。よっぽど良年だったのでしょうか。チリなんか毎年良年だと思ってました(笑)。

コルク平面化。
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Alc.14.5%。
濃いガーネット。
IMG_9657

黒ベリー、ダークチェリー。
スモーキーなモカ。
青野菜もかすかにあります。
王道のカルメネールの香りですね。
辛口アタック。
絶妙な酸も生き生き感を出しています。
やはりスモーキーな複雑味と圧倒的な構造感。
コーヒー感、タンニンも効いています。
バランス絶好調のまま悠遠の余韻へ。
やはり、間違いない(笑)。


*****

Concha y Toro
Marqués de Casa Concha Carmenere 2018
D.O. Peumo
RRWポイント 97点


Fox Wines Astros Carmenere 2021 Central Valley

タカムラワイン&コーヒーロースターズという関西ではトップクラスのワインショップ(+コーヒー)の専門店があります。梅田からはちょっと外れるので多少行きにくいんではありますが定期的にチェックしに行っているところです。今回は残念ながら目ぼしいものがなかったのですが、激安の得体の知れないカルメネールが気になったもので買ってきました(笑)。

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裏ラベルを確認すると、輸入者が「タカムラ」になっています。タカムラ独自の直輸入のようですね。作り手は「フォックス・ワインズ」。住所はサンティアゴのオフィスになっているようで、産地もセントラル・ヴァレーとなると広範囲すぎてどこだか見当もつきません。HPを発見したので沿革を確認しますが、ワイン業界の古ギツネ(Old foxと書いてます。笑)であるセルヒオ・レジェスさんとラウル・ベックドルフさんが2013年に共同でフォックス・ワインズを立ち上げたということのようです。

公式ページはこんな感じで一応ありますが、情報は限定的です。
FOX
今日の「Astros」というブランドは案の定載っていませんね。

・カルメネール 100%

たぶんセパージュはこうでしょう(笑)。価格が価格ですから樽は使ってないでしょうね。

これはHPに載っていた畑紹介ですが、極々一般論でどう見ても自社畑ではありません(笑)。
Central01
まあ、いろんなところから供給を受けているということなんでしょう。しかし、セントラル・ヴァレーとコルチャグア・ヴァレー、マイポ・ヴァレーを並列で語ってはいけません。なぜなら、セントラル・ヴァレーはコルチャグアもマイポも含む広域の産地表示だからです。

セントラル・ヴァレー(Valle Central)全体像はこの地図がわかりやすいです。
Region_Viticola_del_Valle_C
首都州からマウレ州までの広範囲がセントラル・ヴァレー(Valle Central)になります。その中の首都州(Región Metropolitana)がほぼほぼマイポ・ヴァレー(Valle del Maipo)の範囲であり、その南のリベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)の中にラペル・ヴァレー(Valle del Rapel)があり、そのサブゾーンがカチャポアル・ヴァレー(Valle del Cachapoal)とコルチャグア・ヴァレー(Valle de Colchagua)になるという関係です。

いつものチリのワイン産地(DO)の一覧表(サブゾーン含む)で確認しておきましょう。
Región Subregión Zona Área Término complementario
Región vitícola de Atacama Valle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de Coquimbo Valle del Elqui La Serena Costa
Vicuña Andes
Paiguano Andes
Valle del Limarí Ovalle Costa
Punitaqui Entre Cordilleras
Monte Patria Andes
Río Hurtado Andes
Valle del Choapa Salamanca Andes
Illapel Andes
Región vitícola de Aconcagua Valle del Aconcagua Zapallar Costa
Quillota Costa
Hijuelas Entre Cordilleras
Panquehue Entre Cordilleras
Catemu Entre Cordilleras
Llay-Llay Entre Cordilleras
San Felipe Entre Cordilleras
Santa María Andes
Calle Larga Andes
San Esteban Andes
Valle del Marga-Marga Quilpué Costa
Valle de Casablanca Casablanca Costa
Valle de San Antonio Valle de San Antonio Cartagena Costa
Lo Abarca Costa
Algarrobo Costa
Valle de Leyda San Juan Costa
Santo Domingo Costa
Región vitícola del Valle Central Valle del Maipo Isla de Maipo Entre Cordilleras
Talagante Entre Cordilleras
Melipilla Entre Cordilleras
Alhué Entre Cordilleras
María Pinto Entre Cordilleras
Colina Entre Cordilleras
Calera de Tango Entre Cordilleras
Til Til Entre Cordilleras
Lampa Entre Cordilleras
Santiago Andes
Pirque Andes
Puente Alto Andes
Buin Andes
Valle del Rapel Valle del Cachapoal Rancagua Entre Cordilleras
Peumo Entre Cordilleras
Coltauco Entre Cordilleras
Requínoa Andes
Rengo Andes
Machalí Andes
Valle de Colchagua Paredones Costa
Pumanque Costa
Litueche Costa
Lolol Costa
Nancagua Entre Cordilleras
Santa Cruz Entre Cordilleras
Apalta Entre Cordilleras
Palmilla Entre Cordilleras
Peralillo Entre Cordilleras
Marchigüe Entre Cordilleras
La Estrella Entre Cordilleras
San Fernando Andes
Los Lingues Andes
Chimbarongo Andes
Valle de Curicó Valle del Teno Vichuquén Costa
Licantén Costa
Rauco Entre Cordilleras
Romeral Andes
Valle del Lontué Sagrada Familia Entre Cordilleras
Molina Andes
Valle del Maule Valle del Claro Empedrado Costa
Curepto Costa
Talca Entre Cordilleras
Pencahue Entre Cordilleras
San Rafael Entre Cordilleras
San Clemente Andes
Valle del Loncomilla San Javier Entre Cordilleras
Villa Alegre Entre Cordilleras
Parral Entre Cordilleras
Linares Entre Cordilleras
Longaví Entre Cordilleras
Retiro Entre Cordilleras
Colbún Andes
Valle del Tutuvén Cauquenes Entre Cordilleras
Región vitícola del Sur Valle del Itata Portezuelo Costa
Coelemu Costa
Chillán Entre Cordilleras
Quillón Entre Cordilleras
Valle del Biobío Yumbel Entre Cordilleras
Mulchén Entre Cordilleras
Valle del Malleco Traiguén Entre Cordilleras
Región vitícola Austral Valle del Cautín Perquenco
Galvarino
Valle de Osorno Osorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono

<Wikipedia Anexo:Regiones vitícolas de Chile より>



ラベル平面化画像。
IMG_9501
Astro とは「天体」のことですね。このイラストは…白鳥座ですかね。南半球でも見られるんでしょうか。


さあ、スクリュー回転。
IMG_9639

Alc.13%。
赤味のあるガーネット。
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黒ベリー、カシス。かすかにモカがあるかも。
メトキシピラジンもごくかすかにあるような気がします。
確かにカルメネールではある感じです(笑)。
辛口アタック。
若い印象の酸がやはり幅効かしますね。
割とコクがあるのが少し驚きです。
決して重みはないんですが、
カルメネールの雰囲気(カルメネールですが…笑)を楽しみながらサクッと飲めます。


*****

Fox Wines
Astros Carmenere 2021
Central Valley
RRWポイント 86点


Gamma Carmenere Reserva 2019 D.O. Valle de Colchagua

本日11月24日は「国際カルメネールの日」です。日本カルメネール振興協会の制定した記念日ではなく(笑)、チリで制定された正真正銘の記念日です。1994年に仏ブドウ品種学者 Jean Michel Boursiquot が、チリのマイポ(正確には Buin の Viña Carmen)で幻の品種カルメネールを再発見します。その日が11月24日だったので、20周年の2014年に「カルメネールの日」に制定されました。みなさん、とにかくアルパカでもガトネグロでも構わないのでカルメネールを開けましょう。それが普及の第一歩です。うちも近所で安く買った正体不明のやつを…(笑)

IMG_9186
ガンマ(Gamma)はブランド名のようなので裏ラベルを見てみると、ECOCERT認証(ECOCERT/フランス国際有機栽培認証機関)とヴィーガン協会(The Vegan Society)のマークがあり、筋金入りのオーガニックワインというのはわかります。ただ「www.gammawines.com」と書かれているURLはつながりません。ワイナリー名は「V.E.S.A.」となっています。ずいぶん昔も「VESA」と書いたワインは飲んでいた記憶があるので馴染みはあるのですが、正体がさっぱりわかりません。インポーターはモトックスなので、その紹介ページを見に行くと「ベサ V.E.S.A」とあり、それ以上の情報なし。困りました(笑)。

ネットで情報はないかと探していると、おそらく「V.E.S.A.」=「Viñedos Emiliana S.A.」ではないかという情報に出くわしました。エミリアーナはチリのビオワインの大御所です。なんとなくECOCERTやVeganの認証が符合します。エミリアーナは1986年にギリサスティ家が設立、90年代後半から有機栽培を実践、2001年にはチリ初のオーガニック認証ワインを出したりとビオワインで先進的な所。チリのワイナリーで初めて Demeter 認証を受けたのもエミリアーナです。本拠地カサブランカ・ヴァレーを中心に、マイポ、カチャポアル、コルチャグア、ビオビオなど各地に自社畑を922ha所有、契約畑は334haを管理し、総計1200haにもなる畑はほぼ全域オーガニック認証を受けています。ということで、今日のワインはもうエミリアーナということで話を進めます(笑)。

モトックスの紹介ページを上げておきます。

モトックスのHPにワインの紹介はあります。情報ほぼゼロですが。

・カルメネール主体

「主体」なんて書いていますが、おそらく100%ではないかと。熟成はステンレスタンクで8ヶ月です。

エミリアーナの本拠地はカサブランカ・ヴァレーで、コルチャグア・ヴァレーではないです。
Emiliana
サンティアゴとバルパライソを結ぶ国道68号線沿い、ちょっと横にそれたところにあります。

昔描いた地図を再掲。 今日のワインの Colchagua Valley の位置関係を見ておきます。
Chile _Rapel_Valley
この地図は川を目立たせているのでキーになる主要な川の流れがよくわかります。カチャポアル川流域がカチャポアル・ヴァレー。ティンギリリカ川流域がコルチャグア・ヴァレー。合わせてラペル・ヴァレーになるんでしたね。ちゃんと2つの川が合流するとラペル川という名前になります。ティンギリリカ川もコルチャグア川って名前だと完璧なんですが、少し残念。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_9146
オーガニック感満点のこのデザイン、なんとなくエミリアーナに通ずるものがあります(笑)。


さあ、スクリュー回転。
IMG_9184
ネックにマフラーのようなPOPがありました。

Alc.13.5%。
ガーネット。
IMG_9185

黒ベリー、ダークチェリー。
青み(ピーマン香)あり、モカ、コーヒー、
カルメネールの王道の香りです。
そして、スモーキーな…樽香?(まさか!)
辛口アタック。
複雑味のある味わい、ボリューム感もあります。
タンニンもソフトに効いて好みのバランス感です。
重々しくなく余韻が続くのもいい感じ。
まさに「カルメネール」であり、
それも結構いい方のカルメネールでした。意外。

結果オーライですが(笑)、「カルメネールの日」にふさわしい、
感動的なカルメネールに出会うことができました。


*****

V.E.S.A.
Gamma
Carmenere Reserva 2019
D.O. Valle de Colchagua
RRWポイント 95点


Concha y Toro Sunrise Carmenere 2019

コンチャイトロのローエンドのバリエタルと言えばフロンテラ(Frontera)をよく見かけますが、サンライズ(Sunrise)というのもありますね。どっちが上なのか公式ページを見ても判断がつきませんが、とにかくどちらもラインアップの底辺ではあるようです(笑)。過去にフロンテラのカルメネールを試していますが、これがなかなかおいしい。となると、サンライズはどうかな?となります。サンライズのカルメネールをゲットしましたので早速試してみようと思います。

IMG_8987
コンチャイトロについては今さらですが、1883年ドン・メルチョール・コンチャイトロ(Don Melchor Concha y Toro)が創業したチリの老舗かつ最大手の一つです。プレミアムワイン、アルマビバや、お馴染みコノスルなんかも傘下に収めています。

公式ページはサンライズもちゃんと紹介されています。データシートも完備。


サンライズ専用の公式ページもあります。こちらを見るとラベルデザインが刷新されています。

いずれも大した情報はないんですが(笑)。

・カルメネール 100%

熟成はステンレスタンクで8ヶ月と書いていますが、データシートには3ヶ月になっています。まあ、樽じゃないので味わいに大した影響はなさそうですが(笑)。


今日のワインは、D.O.(Denominación de Origen)はセントラル・ヴァレー(Valle Central)となっています。これはマイポからマウレまでのかなりの広域になります。
chile-Region-map
チリの主要産地全域って感じですから、もうどこの畑か特定不可能です。

コンチャイトロの訪問は、過去何度もやってますので今回もパス。サンティアゴ周辺(首都州)広域地図にコンチャイトロの本拠地の場所を書き込んでお茶を濁します。
CT201702
チリのローエンドワインの畑とワイナリー、供給の仕組み、広範囲にやってる大手ブランドも多いですから謎が多いですね。


ラベル平面化画像。
IMG_8739
裏ラベルはメルシャン貼り替えですね。


さあ、スクリュー回転。
IMG_8985
安ワインですが、キャップにはエンボスでロゴが入っています。

Alc.13%。
ガーネット。涙ははっきりしています。
IMG_8986

黒ベリー、青野菜、モカ。
カルメネールらしい特徴が出ています。
辛口アタック。
そこそこ厚みのある味ですね。
複雑味というかスモーキー感もあります。
少し水臭い感じは否めませんが、
立派にカルメネール、最後まで楽しめます。
フロンテラのカルメネールと同点がつきました。


*****

Concha y Toro
Sunrise Carmenere 2019
RRWポイント 91点


Nativa Carmenere Natural White 2020

以前「Nativa」という正体不明のカルメネールを試しました。スーパーで売っていたワンコインワインでしたが悪くはなかったです(RRWポイント90点)。ところがどうでしょう。今回そのナティーバからカルメネールの白ワインが登場しました。これは日本カルメネール振興協会としては無視するわけにはいきません(笑)。

IMG_5829
過去に、カベルネ・ソーヴィニヨンカベルネ・フランの白ワインは試したことがありますし、シャンパーニュのピノ・ノワール(ブラン・ド・ノワール)もありますから驚きはしません。しかし聞き捨てならないのは、ネックのPOPにある「黒ぶどうを果皮のまま搾った白ワイン」の文字。普通白ワインに仕上げるなら果皮とのコンタクトをカットします。何かの間違いではと、インポーター(日本酒類販売)のリリース記事を見ると『ホワイト・ナチュラル製法で黒ブドウであるカルメネールをマセレーションせずに発酵させた』とあります。果皮ごと発酵させるが浸漬(醸し)させないってこと? えっ? どうやるの? 謎です。「果皮のままやさしく搾る」らしいですが、やさしく搾るくらいなら果皮を取り除いて発酵させた方が早いと思うんですが。謎だ~。


前回ナティーバの赤を試した時、日本酒類販売が立ち上げてる力の入った専用サイトを発見しています。今回ナチュラル・ホワイトも追加されたかと思い確認しましたが、残念、変わりなし。

ネット記事なんかを読むと、なんとシャルドネがブレンドされています。
・カルメネール 85%
・シャルドネ 15%
ある記事によれば、「ナチュラル・ホワイト製法」というのは、収穫からプレスまでを3時間以内という、極めて短い時間で収めることがポイントのよう。なるほど、果皮からの色素の影響は最小に抑えながら、果皮由来の風味は残したいってことでしょうか。多分、そこにカルメネールを使う意味があるような気がします。最後はシャルドネで薄めて仕上げるわけですか。


さあ、懲りずに作り手訪問を試みます。前回ナティーバのを試した時は、裏ラベルの住所から、まずサンタ・リタ(Viña Santa Rita)を疑いましたが、先ほどのナティーバ専用サイトの内容から、最終的に作り手はカルメン(Viña Carmen)と同定するに至りました。
Carmenere02
サンタ・リタとカルメンは同じ住所で、隣合ったご近所です。隣接していて同じ道路に面しているため、番地のない場合(s/n = Sin Número)、同じ住所になってしまうようです。

しかし、ネックを見ると「Santa Rita」の文字が!!
IMG_5824
もう、こんがらがっち~であります。

調べました…。いつもにも増して調べました(笑)。
その答えはサンタ・リタの Annual Report の中にありました。
名称未設定-6
簡単な話でした。サンタ・リタは随分昔の1987年にカルメンを買収していたのです。しかも、その翌年の1988年には大企業グループ、グルーポ・クラロ(Grupo Claro)に買収され、サンタ・リタもカルメンも同じグループの傘下となっていました。知らんかった。いや…前にサンタ・リタの記事を書くときに調べていたような気が…忘れていただけのようです(笑)。

サンティアゴの南、マイポ・ヴァレーを俯瞰します。
Carmenere03
サンタ・リタとカルメンはニコイチというぐらい近いのはそういう関係だったわけです。


カルメネール(Carmenère / Carménère)はご存知のように、今でこそチリを代表する品種ですが、かつてボルドーの主要品種でした。(カルメネールの原産地であるボルドー地方では、18世紀頃まで主要品種は現在のカベソーやメルローではなくカルメネールであったとも言われています。)1863年から19世紀末まで続いたフィロキセラ被害で欧州中のブドウが壊滅し、カルメネールもボルドーから消え去ります。チリなど新大陸に移植されていた品種をボルドー他欧州へ戻すと同時に、フィロキセラに耐性のあるアメリカ産の野生ブドウの台木に接木することでヨーロッパ中のワイン産業がその後なんとか復活を遂げました。しかし、晩熟で害虫にも弱いカルメネールだけはボルドーに戻りませんでした。そして一旦ワインの歴史からはカルメネールは消え去ってしまったのでした。そして、1994年にフランス人ブドウ品種学者の Jean Michel Boursiquot がチリのマイポで、失われた品種と思われていたカルメネールを再発見します。この畑が Viña Carmen であり、1996年に初のカルメネールのワインをリリースしたのが「カルメン」です。(しかしこの時すでにカルメンはサンタ・リタとニコイチだったのね。笑)その後のチリのワインを特徴づける代表品種になったのはご存知の通りです。以上、日本カルメネール振興協会では常識となっています。(笑)

ナティーバ専用サイトにあるカルメネールの解説はすばらしいのでご一読を。
Nativa01
面白いのは、カルメネールとメルローの違い。チリでは再発見される前のカルメネールはメルローと混同されていたとされますが、こんなもの間違えるわけがないというくらいに差異があります。なので、おそらくチリでも違いは認識していたと思います。でなければフィロキセラ後にメルローとしてボルドーへ里帰りしていたはずです。メルローと「違う」から戻さなかった…はずです。
なので、「100年以上もチリではカルメネールをメルローと混同してきた」と間抜けな話なように語るのはおかしいということになります。いまだに(生き残っていた)カルメネールをカベルネ・フランとして栽培している北イタリアの方がよっぽどおバカな感じがします(笑)。


ラベル平面化画像。
IMG_5723
まあ、ワンコインですから、安定剤(アカシア)入りは仕方ないですかね。

これがネックに貼っつけてあるPOPです。なんとなく恥ずかしい(笑)。
IMG_5730
「まぼろし~!」


さあ、スクリュー回転。
IMG_5826
キャップはまんまサンタ・リタの120のものと同じです。

Alc.12.5%。(pH:3.72、Brix:5.7)
オレンジっぽい(笑)。ロゼとは言いませんがオレンジワインの域です。
IMG_5827

梨、青リンゴ。
酸は控えめ。
ネーブル?の味わい。
つまり、穏やかな柑橘系の味がします。
苦味もあり、薄っぺらくはないです。
カルメネール由来のコクでしょうか。
もしくはアカシア効果かな?(笑)


*****


Nativa
Carmenere Natural White 2020
WWWポイント77点



WhiteWhiteWine01

Concha y Toro Frontera Carmenere 2019

コンチャイトロのローエンド・バリエタル、フロンテラです。このブログを始めてからはフロンテラのカルメネールはまだでしたのでお試ししましょう。サンペドロのガト・ネグロやサンタ・エレナのアルパカなど、チリのワンコイン・カルメネールはどれも優秀ですから、コンチャイトロなら勿論やってくれるよな~っと期待値は上がります。

IMG_5664
ラベルデザインが一新されてます。総じて字が大きくなって余計安物っぽくなった気がします(笑)。

公式ページで見てみるとラベルデザインは古いままです。日本向けだけ変えたのかな?


フロンテラ・シリーズの専用サイトというのもあるんですが、こちらも変わってない。

どこのスーパーにもあって入手しやすいのはいいんですが、日本専用品とかありそうですから日本の商業主義に乗っかりすぎて味が落ちたりすると困るんですけどね。非常にシンプルですがデータシートがあります。
・カルメネール 85%
・カベソー 15%
バリエタルでもブレンドなのがいいですね。因みに「カルメネール」を表示するには75%以上カルメネールを使わなくてはなりません。SAG(Servicio Agrícola y Ganadero=農業牧畜庁)の規定です。熟成はステンレスタンクで2~5ヶ月とあっさりです。これは値段的に仕方がないですね。

公式サイトでは、一応 D.O.(Denominación de Origen)はセントラル・ヴァレー(Valle Central)となっています。これはマイポからマウレまでのかなりの広域になります。
Casillero04
チリの主要産地全域って感じですから、もうどこの畑か特定不可能です。

コンチャイトロの訪問は、過去何度もやってますので今回はパス。サンティアゴ周辺(首都州)広域地図にコンチャイトロの本拠地の場所を書き込んでお茶を濁します。
CT201702
チリのローエンドワインの畑とワイナリー、供給の仕組み、広範囲にやってる大手ブランドも多いですから謎が多いですね。


ラベル平面化画像。
IMG_0434
コンチャイトロのインポーターはメルシャンです。


さあ、スクリュー回転。
IMG_5663
無印~。

Alc.12%。(pH:3.81、Brix:6.2)
ガーネット。
IMG_5661

黒ベリー、スモーキーなモカ。
辛口アタック。
いい具合に効いてる酸あり。
やはり風味もスモーキーで厚みも感じます。
ワンコインとは思えぬ貫禄の余韻もついてきます。
よかった。なかなかおいしい。


*****


Concha y Toro
Frontera Carmenere 2019
RRWポイント 91点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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