Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Château_Boyd-Cantenac

Château Boyd-Cantenac 2013 Margaux

ボルドー、メドック格付け第3級、シャトー・ボイド・カントナックです。福袋の1本で、ミレジムも厳しかったという2013年。しかし、腐っても格付けシャトーのファーストです。そんなにひどいものは出さないだろうと思うのでお試ししてみます。ボイド・カントナックはサードらしきもの(笑)を過去に試したことがありますが、ファーストは何気にお初。

IMG_7397
シャトー・ボイド・カントナックは、元はカントナック村の修道院が所有していた畑をスコットランド出身の商人だったジャック・ボイドさん(Jacques Boyd)が1754年に購入したのが始まりです。1906年に同じくボルドー格付け第4級のシャトー・プージェ(Château Pouget)を取得していたギィメ家(Famille Guillemet)が1932年にこのシャトー・ボイド・カントナックも取得します。ボイド・カントナックはシャトー(城館)や醸造設備を持っていなかったので、1982年まではシャトー・プージェの施設で造られていたそうです。その後はプージェとは別の場所で造られているようですが、ボルドーの父と呼ばれる醸造学者エミール・ペイノー博士の指導を受けて品質の向上に取り組み、2000年ごろから品質も向上したんだそうです。


公式ページはボルドー格付けシャトーにしては少々古臭い雰囲気あり使いにくいですね。


シャトー・プージェ(Château Pouget)の公式ページはこちら。ほぼ同じ体裁。

これら2つのサイトはほぼ内容は同じ。問題はワインのミレジム毎の情報がないこと。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 60%
・メルロー 25%
・カベルネ・フラン 8%
・プチヴェルド 7%

セパージュはインポーター情報から。新樽率30~60%のオーク樽で12~18ヶ月の熟成という情報です。


シャトー・ボイド・カントナック訪問なんですが、シャトー・プージェ訪問でもあります。
BOYD01
それぞれ別の施設で醸造され、それぞれの個性を出してるそうなんですが、このあたりの建物をいくら見渡しても混然一体としていて、2つのシャトーが分けられているようには見えません。

マルゴー村周辺の格付けシャトー密集地帯をシャトーのロゴ入りでまとめます。カントナック村の南部まで入れてシャトー・ボイド・カントナックもカバーしています。
Margaux_中心周辺
これでマルゴー村とカントナック村のシャトーはすべてカバーしています。AOCマルゴー全21シャトーの内、19シャトーということになります。

いつもの「マルゴーまるごと地図」で全格付けシャトーの位置関係を確認します。Margaux_Margoto
AOCマルゴーの全格付けシャトーを等級付きで記入しています。ラバルド村のジスクールやドーザック、アルサック村のデュ・テルトルが離れてるので南側をびろ~んと広げています。例によって、AOC Margaux の計21シャトーを以下に列記しておきます。

<MARGAUX マルゴー村>(9シャトー)
(第1級)Château Margaux(マルゴー)
(第2級)Château Durfort-Vivens(デュルフォール・ヴィヴァン)
     Château Lascombes(ラスコンブ)
     Château Rauzan-Ségla(ローザン・セグラ)
     Château Rauzan-Gassies(ローザン・ガシー)
(第3級)Château Ferrière(フェリエ―ル)
     Château Malescot-Saint-Exupéry(マレスコ・サン・テグジュペリ)
     Château Marquis-d’Alesme(マルキ・ダレーム)
(第4級)Château Marquis-de-Terme(マルキ・ド・テルム)

<CANTENAC カントナック村>(9シャトー)
(第2級)Château Brane-Cantenac(ブラーヌ・カントナック)
(第3級)Château Boyd-Cantenac(ボイド・カントナック)
     Château Cantenac-Brown(カントナック・ブラウン)
     Château Desmirail(デスミライユ)
     Château d’Issan(ディッサン)
     Château Kirwan(キルヴァン)
     Château Palmer(パルメ)
(第4級)Château Pouget(プージェ)
     Château Prieuré-Lichine(プリウレ・リシーヌ)

<LABARDE ラバルド村>(2シャトー)
(第3級)Château Giscours(ジスクール)
(第5級)Château Dauzac(ドーザック)

<ARSAC アルサック村>(1シャトー)
(第5級)Château du Tertre(デュ・テルトル)

以上です。


ところで、AOCマルゴーを名乗れるのはこの4村だけではありません。
Margaux
またまたINAOの地図を拝借しますが、このようにマルゴー村の北側にあるスッサン(Soussans)村もAOCマルゴーになります。ただ、1855年のメドック格付けシャトーがひとつもないということで、いつもスルーしていますが。(笑)


エチケット平面化画像。
IMG_6883

裏ラベルはインポーターシールのみ。
IMG_6885


さあ、抜栓。
IMG_7399
ネックには真贋判別用でしょうか、ホログラムシールが貼ってます。

コルク平面化。
IMG_7395

Alc.13%。
ガーネット。
IMG_7396

黒ベリー、スパイス、ドライフルーツ。
芳しい樽香です。
辛口アタック。
少し薄っぺら感出るかな~と思うと、
結構迫力あるストラクチャーが現れます。
タンニンの収斂性が主体の複雑味が感じられます。
喉越し、余韻と、少し拍子抜けして迫力減衰かと思いましたが、
総合的には格付けシャトーの貫禄もあり二重丸でした。
オリはぜんぜんなし。


*****

Château Boyd-Cantenac 2013
Margaux
RRWポイント 91点


Boyd Bordeaux (by Boyd-Cantenac ) 2016

メドック第3級シャトー・ボイド・カントナックのエチケットかなと思うと、
「Château Boyd-Cantenac」と入るべきところにデカデカと「BOYD」とあり、
「MARGAUX」となるところが「BORDEAUX」になってます。
これがボイド・カントナックのサードと称して2千円以下でスーパーで売ってます。
さて、どんなもんでしょうか。お試ししてみるしかありません。(笑)


IMG_1676
まずもって、本当にボイド・カントナックが作るサードなのか?です。
ライセンス契約かなんかで、のれんを貸してるってのもあると思われます。

海外のサイトでも同じようなのを見つけたので、世界中で売ってそうです。
しかしこちらは、ハッキリと「BY BOYD-CANTENAC」と書いてあります。
boydc01
7.99ユーロが特売で6.79ユーロの15%OFFです。850円くらいかな?
日本じゃ安いといっても、これの倍以上の値段で売ってることになります。
ちょっと悲しくなりますね。(笑)


ボイド・カントナックの公式ページにはセカンドまでしか載ってません。

他のシャトーでもAOCボルドーのサード以下までカバーしてるのは珍しいですから、
致し方ありませんね。(シャトー・ドーザックなんかは載せています。)

後で厳しく指摘させてもらいますが、裏ラベルのインポーターシールを剥がすと、
この「BOYD」が生まれる経緯が書かれていました。それを頼りにネット調査をすると、
ボイド・カントナックのオーナー、ルシアン・ギュイメ(Lucien Guillemet)氏と、
大手ネゴシアン、メゾン・ブーイのパトリック・ブーイ(Patrick Bouey)氏がタッグを組み、
お互いのノウハウを投入して生み出されたワインなんだそうです。

Maison Boueyの公式サイトがこれ

正式名称は「Famille Bouey Vignobles & Châteaux」となっており、
自社でいくつもシャトーを所有してるようです。実質ここで作ってるのかな?

海外サイトの情報でセパージュ他、少し判明しました。
・メルロー 80%
・カベフラ 10%
・カベソー 10%
樹齢が平均35年のまあまあの古木からです。
樽熟は不明ですが、価格レンジから言って樽が効いてることはないでしょう。
以上から、なんとなくやさしいフレッシュな飲み口が想像できます。


今日のはマルゴーではないのでシャトー訪問する意味はあまりないですが…。
Boyd01
ルシアン・ギュイメ(Lucien Guillemet)氏はシャトー・プージェも所有。
(Château Pougetはメドック格付け第4級。1906年取得。ルシアン氏で4代目。)
道を隔ててほぼ同じ場所にあるように思われますが、実質一体化してるようです。
レオヴィル・バルトンとランゴア・バルトンの関係みたいなもんでしょうね。

マルゴー全体を俯瞰して位置を確認。黄色い四角のところです。
Boyd02
マルゴー格付けシャトーを全部入れるため右下が北になってるのでご注意を。
ジロンド川は下部分、左から右に流れています。

とは言っても、今日のワインはAOCボルドーです。
おそらく生産を委託されているメゾン・ブーイの所有シャトーを見てみますが、
各地あちこちにあって、どこの畑からなのかはまったく見当もつきません。
Bordeaux_map
とりあえず、寄せ集めで作ったボルドー全部入り地図を貼っておきます。


エチケット平面化画像。
IMG_1578
裏ラベルは少し破れてますが、剥がすのに苦労しました。

なんせ、こんな感じにインポーターシールがベッタリでしたから。
IMG_1576
ワインの素性を知る大切な情報を隠すのは大きな罪だと私は思います。
せめて剥がしやすいシールにしておいてほしいです。(笑)


さあ、抜栓。
IMG_1677
コルクはなんと専用デザインですね。

平面化するとこうです。
IMG_1673
一応ミレジムも入ってますね。

Alc.13%。
ガーネット。
IMG_1674

黒ベリー、うっすらコルク臭?
あまり果実香は多くありません。
アタックで酸味はけっこう来てる気がしましたが、
味自体は…ちょっと驚きました。
ボルドーの平均以上のレベルに来てる気がします。
嫌味がなく「なんかウメェ〜」と素直に思ってしまいました。
喉越しにはタンニンが軽く乗って余韻にかけていい感じだし。

重みはないんですが、確実にうまい。
なんじゃこりゃ?これは偉いワインかも…です。


*****


Château Boyd-Cantenac & Maison Bouey
Boyd Bordeaux (by Boyd-Cantenac ) 2016
RRWポイント 91点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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