ドメーヌ・トロ・ボーは1880年代から5代に渡って続く名門ですが、ショレ・レ・ボーヌChorey-lès-Beaune)という少々マイナーな印象のAOCが本拠地です。特級・1級畑はなく村名のみで、そのほとんどが県道974号線の東側(たいていAOCブルゴーニュになる所です。)という例外的なAOCの村です。あ、といっても今日いただくのはショレ・レ・ボーヌ村名でさえなく、AOCブルゴーニュなんですけどね。(笑)


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1921年にはいち早くドメーヌ元詰めを始めていたというトロ・ボーは、24haの畑を所有するショレ・レ・ボーヌを代表する大ドメーヌになっています。所有特級畑は1.5haのみ。1級畑でも7ha余りと、残りは村名とAOCブルゴーニュの畑が大半だそうです。そういう意味では今日のAOCブルゴーニュも主力のひとつと言えるのかもしれません。


輸出が大半を占めフランス国内では手に入りにくいドメーヌらしいのですが、宣伝しなくても売れるからか公式ページがなさそうです。仕方がないのでインポーターの情報を貼っておきます。

・ピノ・ノワール 100%
手摘み収穫、基本的に100%除梗、伝統的な手法で醸造します。ACブルゴーニュの新樽率は20~30%だそうで、16~18ヶ月の熟成です。ブドウはAOCブルゴーニュながら、ショレ・レ・ボーヌ村の畑からだそうです。

ショレ・レ・ボーヌ村のドメーヌ・トロ・ボーを訪問します。
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ドメーヌがある通りの名前はリュ・アレクサンドル・トロといい、ドメーヌを始めたご祖先の名前そのままです。それもそのはず、この方ショレ・レ・ボーヌの村長を務めていたそうです。トロ・ボーのボーはこの方の奥様の姓で、合わせてトロ・ボーの名前が完成します。


AOCショレ・レ・ボーヌの地図上にドメーヌの場所を記しました。
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今日のAOCブルゴーニュはショレ・レ・ボーヌ村の畑からということですが、村内でも村名ショレ・レ・ボーヌとそうでないところがありそうですね。

Google Mapに転記してショレ・レ・ボーヌ村を俯瞰、畑の分布を見てみましょう。
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県道974号線から離れたところは村名でなくなりますが畑は続いていますね。西側のコートから流れ出した土壌がどこまで堆積してるかでテロワールの差を決めているわけですが、ショレ・レ・ボーヌでは(ジュヴレ・シャンベルタンもそうですが)県道974号線の東側までそのいい土壌が続いてるということです。そしてそれが途切れるとAOCブルゴーニュとされるわけなんでしょう。

しかし、その境界に立つと本当にその差はあるのかなと思ってしまいます。恒例の「畑の境界に立ってみました」シリーズです。(笑)さあ、どうです?
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土壌までは画像からは見て取れませんが、見た感じはほぼ差がないようです。コルトンの丘が左奥に見えます。どっちもいいところなんじゃないでしょうか。(笑)


エチケット平面化画像。
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裏ラベルはなく、インポーターシールだけなので下に合体しておきます。


さあ、抜栓。
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キャップのエンボス、カッコいいですね。ボトルもネックが細くて不思議な形をしています。

コルク平面化。
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ドメーヌ名入り。まあ、普通。

Alc.13%。(pH:4.01、Brix:6.5)
透けますが暗めのルビー。
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フランボワーズ、ミントかゼラニウムの香りが特徴的。
辛口アタック。
しっかりと酸はあるんですが滑らかで刺さないのはいいです。
とろみのある味わいで奥行きを感じますね。
複雑な滋味もあり、これは余韻までしっかり続きます。
うん、やはりレベルが高そうな作り手です。

AOCブルゴーニュばかり試してるので偉そうなことは言えませんが、
酸の効き方が、新世界とは違うブルゴーニュの肝だな~と実感する今日この頃。


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Domaine Tollot-Beaut
Bourgogne 2017
RRWポイント 92点