Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Colchagua

Los Vascos Cromas Cabernet Sauvignon Gran Reserva 2018

メドック格付け第1級シャトー・ラフィット・ロートシルトの本体、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(DBR社)がチリで展開するのがこのロス・バスコス(Viña Los Vascos)です。主力のグラン・レセルバが「Cromas」という名前がついてラベルデザインも一新したようです。以前のラベルは本家ボルドーのラフィットに似た雰囲気でよかったんですがね。先日はカルメネールを試しましたので今日はカベソーとなります。

IMG_7046
ロス・バスコス(Viña Los Vascos)の歴史は1750年頃にさかのぼります。スペイン・バスク地方出身のエチェニケ家がチリのコルチャグア・ヴァレーにブドウ栽培を始めたのがスタートです。「ロス・バスコス」というのはスペイン語で「バスク人」という意味です。なるほどですね。
このロス・バスコスを、ボルドーのシャトー・ラフィット・ロートシルトを有するドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト[ラフィット]社DBR社)が綿密な現地調査の上、1988年に取得します。DBR社はメドック格付け第4級のシャトー・デュアール・ミロン(Château Duhart-Milon)、ソーテルヌ第1級のシャトー・リューセック(Château Rieussec)、ポムロールのシャトー・レヴァンジル(Château L'Évangile)、ラングドックの(シャトー・ド・)オーシエール(Château d’Aussières)なども所有しています。アルゼンチンのカテナとのベンチャーのカロ(Bodegas Caro=テナ+スチャイルド)同様、同社の南米の拠点がチリのロス・バスコスというわけです。

で、チリにエスクード・ロホ(Escudo Rojo、赤い楯=Red Shield=Rothschild)を展開するのが、バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド社BPDR社)でありまして、いわゆるムートンの方です。ポイヤックのシャトー・ムートン・ロートシルトクレール・ミロンダルマイヤックの他、ラングドックのドメーヌ・ド・バロナークを所有。ベンチャーであるナパのオーパス・ワンやチリのアルマビバをやってるのも、このムートンの方です。
なんだかロスチャイルド同士で張り合ってるみたいでおかしいですね。


公式ページシャトー・ラフィット・ロートシルトのサイト内にあります。

ワイン情報はしっかりしていてミレジム毎に整理されています。このカベソーブレンドは2018からクロマス(Cromas=「色」の意)という名前を付けたようですね。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 85%
・シラー 10%
・カルメネール 5%

新樽率50%のフレンチオーク樽で12ヶ月の熟成です。同じクロマスのシリーズのカルメネールの新樽率は20%になっていました。同じクロマス・シリーズで上下がありそうですね。


コルチャグア・ヴァレーのペラリージョ(Peralillo)にあるロス・バスコスを訪問。
LosVascos01
周囲は2,200haあるという自社畑で、ストビューでは敷地の中に入れませんでした。写真は公式HPからのものです。

ペラリージョというのはコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンになります。
Libertador_O'Hinggis_Rio
ロス・バスコスの所在を示しましたので確認ください。リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)にコルチャグア・ヴァレーとカチャポアル・ヴァレーがあり、合わせてラペル・ヴァレーとなります。

地図にも色分けして示しましたが、サブリージョンをまとめると以下になります。
Valle del Rapel Valle del Cachapoal Rancagua
Peumo
Coltauco
Requínoa
Rengo
Machalí
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Andes
Valle de Colchagua Paredones
Pumanque
Litueche
Lolol
Nancagua
Santa Cruz
Palmilla
Peralillo
Marchigüe
La Estrella
San Fernando
Chimbarongo
Costa
Costa
Costa
Costa
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
それぞれのサブリージョンに補足的呼称(表の一番右)が設定されています。チリでは2011年に新しい原産地呼称表示の制度が導入されていて、以下の3つの地理条件をD.O.(Denominación de Origen)に付記できるようになっています。

 ●Costa(コスタ =海岸)
 ●Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ●Andes(アンデス =アンデス山脈)

内陸側のカチャポアル・ヴァレーには「コスタ」がないのがわかりますね。


ラベル平面化画像。
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インポーターシールはこの有り様だったので剥がしています。
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サントリーはロス・バスコス専用ページも作ってがんばってるんですが、このラベルの貼り方はいただけません。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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ロスチャイルド家の五本の矢のマークにコルチャグアとシンプルです。

Alc.14.5%。
ガーネット。
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黒ベリー、酸い感じのチェリーの香り。
やはり酸味がかすかに乗った辛口アタック。
厚みはそこそこあります。
複雑味もいい感じ。
酸がうまく演出したいいバランスと言えそうです。
余韻も順当にいいです。

手堅い作りのカベソーブレンドと言えますが、
日本カルメネール振興協会としてはカルメネールに軍配を上げます。
(笑)


*****

Los Vascos
Cromas Cabernet Sauvignon Gran Reserva 2018
Valle de Colchagua
RRWポイント 91点


Los Vascos Cromas Carmenère Gran Reserva 2019

メドック格付け第1級シャトー・ラフィット・ロートシルトの本体、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(DBR社)がチリで展開するのがこのロス・バスコス(Viña Los Vascos)です。主力のグラン・レセルバが「Cromas」という名前がついてラベルデザインも一新したようです。以前のラベルは本家ボルドーのラフィットに似た雰囲気でよかったんですがね。

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ロス・バスコス(Viña Los Vascos)の歴史は1750年頃にさかのぼります。スペイン・バスク地方出身のエチェニケ家がチリのコルチャグア・ヴァレーにブドウ栽培を始めたのがスタートです。「ロス・バスコス」というのはスペイン語で「バスク人」という意味です。なるほどですね。
このロス・バスコスを、ボルドーのシャトー・ラフィット・ロートシルトを有するドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト[ラフィット]社DBR社)が綿密な現地調査の上、1988年に取得します。DBR社はメドック格付け第4級のシャトー・デュアール・ミロン(Château Duhart-Milon)、ソーテルヌ第1級のシャトー・リューセック(Château Rieussec)、ポムロールのシャトー・レヴァンジル(Château L'Évangile)、ラングドックの(シャトー・ド・)オーシエール(Château d’Aussières)なども所有しています。アルゼンチンのカテナとのベンチャーのカロ(Bodegas Caro=テナ+スチャイルド)同様、同社の南米の拠点がチリのロス・バスコスというわけです。

で、チリにエスクード・ロホ(Escudo Rojo、赤い楯=Red Shield=Rothschild)を展開するのが、バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド社BPDR社)でありまして、いわゆるムートンの方です。ポイヤックのシャトー・ムートン・ロートシルトクレール・ミロンダルマイヤックの他、ラングドックのドメーヌ・ド・バロナークを所有。ベンチャーであるナパのオーパス・ワンやチリのアルマビバをやってるのも、このムートンの方です。
なんだかロスチャイルド同士で張り合ってるみたいでおかしいですね。


公式ページシャトー・ラフィット・ロートシルトのサイト内にあります。

ワイン情報はしっかりしていてミレジム毎に整理されています。2019からクロマス(Cromas=「色」の意)という名前を付けたとあります。

・カルメネール 100%

新樽率20%のフレンチオーク樽で12ヶ月の熟成です。同じクロマスのシリーズでカベソーもあるんですが、こちらはモノセパージュではなくシラーやカルメネールがブレンドされ、新樽率は50%になっています。同じクロマス・シリーズで上下がありそうですね。一緒にカベソー版も買ってあるのでこちらも近々試したいと思います。


コルチャグア・ヴァレーのペラリージョ(Peralillo)にあるロス・バスコスを訪問。
LosVascos01
周囲は2,200haあるという自社畑で、ストビューでは敷地の中に入れませんでした。写真は公式HPからのものです。

ペラリージョというのはコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンになります。
Libertador_O'Hinggis_Rio
ロス・バスコスの所在を示しましたので確認ください。リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)にコルチャグア・ヴァレーとカチャポアル・ヴァレーがあり、合わせてラペル・ヴァレーとなります。

地図にも色分けして示しましたが、サブリージョンをまとめると以下になります。
Valle del Rapel Valle del Cachapoal Rancagua
Peumo
Coltauco
Requínoa
Rengo
Machalí
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Andes
Valle de Colchagua Paredones
Pumanque
Litueche
Lolol
Nancagua
Santa Cruz
Palmilla
Peralillo
Marchigüe
La Estrella
San Fernando
Chimbarongo
Costa
Costa
Costa
Costa
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
それぞれのサブリージョンに補足的呼称(表の一番右)が設定されています。チリでは2011年に新しい原産地呼称表示の制度が導入されていて、以下の3つの地理条件をD.O.(Denominación de Origen)に付記できるようになっています。

 ●Costa(コスタ =海岸)
 ●Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ●Andes(アンデス =アンデス山脈)

内陸側のカチャポアル・ヴァレーには「コスタ」がないのがわかりますね。


ラベル平面化画像。
IMG_6747

インポーターシールはこの有り様だったので剥がしています。
IMG_6745
サントリーはロス・バスコス専用ページも作ってがんばってるんですが、このラベルの貼り方はいただけません。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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ロスチャイルド家の五本の矢のマークにコルチャグアとシンプルです。

Alc.14.5%。
濃いガーネット。
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香り立つ黒ベリー、黒糖、モカ、青茎っぽさも。
辛口アタック。
味わいにも黒糖のコクを感じます。
厚み、立体感と相まって濃ゆいな~っと感動。
ベルベッティなタンニンに誘われ余韻は貫禄です。
そのタンニンは後味に焦げたような感覚を残しますが、
総じてカルメネールのうまさはしっかり発揮しています。


*****

Los Vascos
Cromas Carmenère Gran Reserva 2019
Valle de Colchagua
RRWポイント 93点


Viña Ravanal Santa Angélica Carmenère 2020 Central Valley

サンタ・アンヘリカなるお初のカルメネールを発見。ということで今日は日本カルメネール振興協会の活動日となります(笑)。で、カルメネールの表記はというと、Carmenère なので「カルムネール」バージョンです。INAO他フランス本国でこの表記を正式としているようなので、カルメネールの第二の故郷チリでも Carménère(カルメネール)表記は減ってきています。しかし、日本カルメネール振興協会ではちゃんと「カルメネール」と読める「Carménère」表記を推していきますよ~!

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以前、カルメネールの発音と綴りについて考察をしています。アクサンテギュとアクサングラーヴの有無の違いでおおよそ3パターンあり、使われる表記はまちまちです。

(1) Carménère(カルメネール)
(2) Carmenère(カルムネール)
(3) Carmenere(スペイン語読みをするとカルメネーレ)

カルメネールはもともとボルドーの品種ですから、フランス本国に倣えばいいんですが、肝心のI.N.A.O.(Institut National des Appellations d'Origine)が(2)の「Carmenère」を正としているようなんです。フランスのブドウ品種サイトも昔は「Carménère」表記だったものがどんどん「Carmenère」に変わってきているようです。「Carménère」はシノニム扱いになってるところも多いです。
チリではまだまだ「Carménère」表記をするところがありますが、本国の影響か今日のように「Carmenère」と表記するワインが増えてきているようです。ご存知のように、日本カルメネール振興協会ではアクサンテギュとアクサングラーヴの両方ついた、「カルメネール」としっかり読める(1)Carménère を推奨していますので、よろしく!(笑)


さて、今日の作り手は、サンタ・アンヘリカという名前ではなくて、ビニャ・ラバナル(Viña Ravanal)というところです。1965年創業とチリでは比較的新しい方ですが、チリ大学で農学を修めた後フランスに渡り、モンペリエとボルドーでワイン醸造学を習得したという初代オーナー・醸造家のマリオ・ラバナルさんが御年90歳以上でまだまだ現役で頑張っていらっしゃるそうです。

公式ページはなかなか今風な感じでよさげです。

しかし、サンタ・アンヘリカという名前のワインは載ってません。日本への輸出用ブランドでしょうか。日本のインポーター(リードオフジャパン)のサイトにも載っていないので困りものです。おそらくバリエタルの一番下のシリーズとほぼ同じとは思われるので参考にします。
・カルメネール 100%
樽はないでしょうね。


いやあ、カルメネール、表記含めいろんな意味で謎めいてるミステリアスな品種です。
Errazuriz02
その数奇な歴史や、チリで混同されてきたとされるメルローとの違いなどは過去記事で何度か触れています。ここでは系統にだけ触れておきます。2013年に実施されたDNA分析によると、カルメネールという品種の親子関係はこのようになります。

カルメネール= (母) ムラル x (父) カベルネ・フラン

ムラル(Moural)はフランス原産の品種です。このようにカルメネールの親として登場はしますが、現在栽培はされていないようです。チリでカルメネールと混同されていたメルローはというと…

メルロー= (母) マグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント x (父) カベルネ・フラン

そ~ら、片親(父)が同じカベフラです。混同されたくらいですから血は争えないですね(笑)。このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント(Magdeleine Noire des Charentes)というのもフランス原産の古い品種で現在は栽培はされていません。しかし、コ(Côt)すなわち、マルベック(Malbec)の母親もこの品種なのでいろいろお世話になってはいます。(笑)
ついでにカベソーもおさらいしておきましょう。

カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン

でしたね。ここではカベフラは母となりました。世界で人気の品種ですから、DNA分析が流行りになってきて真っ先に調べられ親子関係が判明したのがカベソーだったそうです。


さあ、コルチャグア・ヴァレーにあるビニャ・ラバナルを訪問します。
Ravanal02
クラシックな外観ですが、敷地も広く中には近代的な設備があるようです。

コルチャグア・ヴァレー主要部にズームアウト。場所の位置関係を把握します。
Ravanal002
プラシージャという小さな集落ですが、ティンギリリカ川沿いの銘醸地のようです。モンテスやルイス・フェリペ・エドワーズ、カサ・シルバなどお馴染みのワイナリーがまわりにありますね。

さらにズームアウトして、リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)を俯瞰します。
Ravanal03
この州全域がカチャポアル・ヴァレーとコルチャグア・ヴァレーを内包し、ラペル・ヴァレーと呼ばれるんでしたね。再度ビニャ・ラバナルの位置を記しておきました。


ラベル平面化画像。
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「Angélica」はスペイン語ではアンジェリカではなくアンヘリカと読むのでご注意を。


さあ、抜栓。
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汎用品ですね。

コルク平面化。
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ブドウの葉っぱにコルチャグアとありますが、やっぱり集成コルクの汎用品です。

Alc.13%。(pH:4.14、Brix:7.0)
赤味の濃いガーネット。
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黒ベリー、モカ。
青ピーマンか茎っぽさ。
まさにカルメネールの香りです。
酸味立つ辛口アタック。
コクはしっかりあるんですが、
若さゆえか、青さは否めません。
余韻にかけてタンニンも効果的に出てきて、
まとまりは悪くないんですが、
価格なりといった感じに終わりました。

しかし、このワイナリーには興味が残ります。
いつかビニャ・ラバナル名のワインを試したいですね。


*****


Viña Ravanal
Santa Angélica
Carmenère 2020
Central Valley
RRWポイント89点


Domaine de Gras Carmenère Reserva 2018 Colchagua

ちょっと前に久々のモングラス(MontGras)を発見してお試ししましたが、レイダ・ヴァレーからのピノ・ノワールでした。なかなか美味しくてチリのピノのポテンシャルを再認識したんですが、日本カルメネール振興協会を預かる者としては、やはりモングラスの「カルメネール」を試さないといけません。というわけで、ネットで探してお取り寄せしたのがコレ。

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ドメーヌ・デ・グラスというのは、初代オーナーのホセ・マリア・グラスさんがコルチャグアで1940年にブドウ栽培を開始したことに始まるそうですが、その孫にあたるエルナン・グラスとエドゥアルド・グラスの兄弟が1993年に「モングラス(MontGras)」を立ち上げたのが創業ということのようです。
インポーターの情報では、2018年にドメーヌ・デ・グラス(Domaine de Gras)という上質なシリーズを立ち上げたのが今日のワインらしいのですが、公式サイトには載ってないんですよね。日本輸出用なのかな?

公式ページはあっさりしていますが、大手らしい風情です。

「ドメーヌ・デ・グラス」が載っていないのでインポーター情報から。
・カルメネール 100%
手摘み収穫。全体の75%を5~6ヶ月の樽熟成だそうです。

カルメネールは過去から何度となく掘り下げていますが、一応写真を貼っておきます。
Errazuriz02
チリでは長らくメルローと混同され、1994年に再発見されるまで世の中から姿を消していたわけですが、外観や特徴はメルローとはあまり似ていなかったことは以前に検証しました。2013年の最新のDNA分析では、母:ムラル(Moural)と父:カベルネ・フラン(Cabernet Franc)の自然交配ではないかと言われています。メルローも父親はカベルネ・フランですから背格好は似てなくても(笑)異母兄弟としての共通点はどこかしらあったんでしょうね。因みに、母方のムラル(Moural)という品種は現在栽培されている地域がありません。


モングラスはコルチャグア・ヴァレー、パルミージャ(Palmilla)近くにあります。
MontGras00
残念ながらストビューで近寄れず、上空写真でお茶を濁します。コルチャグアの主要河川ティンギリリカ川(Río Tinguiririca)が近くを流れています。おっと、「コルチャグア」って地名がありますね。ショボすぎて町でさえなさそうですが、まさかここからコルチャグア・ヴァレーと名付けたんじゃないでしょうね。(笑)

ラペル・ヴァレー(コルチャグア+カチャポアル)のリベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)を俯瞰してモングラスの場所を確認。
MontGras02
モングラスはコルチャグアに畑を3ヶ所所有。サン・ホセ(900ha)、ニンケン(100ha)、プマンケ(2007年取得)です。カベソー、カルメネール、メルロー、シラーなんかはこの辺りからです。


ラベル平面化画像。
IMG_4843
コルチャグアが異様にでかいですね。カルメネール表記は「Carmenère」と、フランス公式に多いパターン「カルムネール」ですね。


さあ、抜栓。
IMG_5496

コルク平面化。
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めっちゃDIAMの説明のみです。DIAM3採用。

Alc.13.5%。(pH:4.08、Brix:7.0)
濃いガーネット。
IMG_5498

ブラックベリー、深煎りモカ、バニラ。
辛口アタック。
若干の甘み発見。
厚みはしっかりある味です。
スモーキーな風味は樽かタンニンから来てるのでしょうか。
甘みを余韻まで引きずるのが少し残念です。


*****

Viña MontGras
Domaine de Gras Carmenère Reserva 2018
Colchagua
RRWポイント 89点


Viña Koyle Royale Carmenere 2016 Alto Colchagua

本日は日本カルメネール振興協会の活動日なり。コイレ(Viña Koyle)なるこの作り手、1885年から首都州ペニャフロールに続く歴史あるビニャ・ウンドゥラガ(Viña Undurraga)が、2006年にコルチャグア・ヴァレーに開いた新しいワイナリーなんですね。パーカーおじさんは2015年のこのワインを試し感銘を受けたと言って91点をつけています。いいかも。

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ウンドゥラガ家が2006年にコルチャグア・ヴァレーのアンデスの麓の畑「Los Lingues」を購入したのがこのコイレの始まりなんですが、公式ページではウンドゥラガ家の歴史がコイレの歴史として語られていて、実際現在も6世代続くウンドゥラガ家によって運営されています。今日のワインは2006年に Los Lingues に植えられたカルメネールからのものですが、Royale Carmenere 2010 が Wine Spectator のTOP100ワインに選ばれるなど早々と名声を得ているようです。

公式ページは単独の立派なのがあります。Viña Undurraga についてはあまり語られてませんが。


ご参考までに、Viña Undurraga の公式ページはこちら。KOYLEについては載ってませんが。

公式ページにはセパージュが「カルメネール」としか書いてないんですが、ネット情報では2016年はこんな感じ。年ごとに微妙に変わるようです。
・カルメネール 85%
・プチヴェルド 9%
・マルベック 6%
熟成はフレンチオークのバリックで18ヶ月です。


公式ページには創業の畑「Los Lingues」の情報満載でした。そのスクショから。
Koyle00
上空写真がいい感じです。Google Mapで所在も示してあります。

さらにロス・リンゲスの区分けの図示もありました。Google Map上で確認します。
Koyle01
パーカーおじさんの記事によると、今日の「Royale Carmenere」は 2nd Terrace と 3rd Terrace からということです。標高は420~500mで、火山性の土壌だそうです。
コイレの立派な建物の写真を右下に貼りましたが、これはロス・リンゲスの畑から車で20分ほどサン・フェルナンドの町寄りの場所にあります。ストビューがないのでこれにてワイナリー訪問を兼ねます。(笑)

恒例ですが、リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)の地図でラペル・ヴァレー(=コルチャグア+カチャポアル)を確認。
Libertador_O'Hinggis_Rio
ロス・リンゲスの畑とビニャ・コイレの場所も記しています。インポーター情報によると、「ロス・リンゲス」は2016年に D.O.(Denominación de Origen)Colchagua Valley のサブリージョンに認定されているそうです。ビニャ・コイレの公式ページにも D.O. Los Lingues の誕生としてニュース記事を載せています。

チリでは2011年に新しい原産地呼称表示の制度が導入されていまして、
 ●コスタ(Costa =海岸)
 ●エントレ・コルディジェラス(Entre Cordilleras =山脈の間の平地部分)
 ●アンデス(Andes =アンデス山脈)
の3つの地理条件をD.O.に付記できるようになっています。ロス・リンゲスは間違いなく「アンデス」ですね。コルチャグア・ヴァレーのサブリージョンで同じく「アンデス」に分類されるのは、San Fernando と Chimbarongo があります。地図でもご確認を。


ラベル平面化画像。
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裏ラベル含め非常に情報量が多いです。1885年創業としていますね(笑)。Ecocert、Demeterも取得したビオディナミのオーガニックワインですね。Veganマークもあります。ゴイゴイスー。


さあ、抜栓。
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キャップシールにはシンボルマークのコイレの花があしらってあります。ロス・リンゲスの土着の花だそうです。

コルク平面化。
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ヴィンテージもちゃんと横に入ってます。

Alc.14.5%。(pH:4.08、Brix:7.9)
濃いガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー、スギ。
カルメネール特有のモカ、青野菜はありますが、ごく微か。
辛口アタック。
酸も感じますが溶け込んでいて、
深い味わいのいい導入になっています。
構造感、複雑味、しっかり出てますね。
タンニンはとってもシルキー。
全てがいいバランスのまま悠遠の余韻へ…。
これはなかなかいいカルメネールに出会いました。


*****

Viña Koyle
Royale Carmenere 2016
Alto Colchagua
RRWポイント 95点


Viñedos Marchigüe Panul Carménère Gran Reserva 2018

ビニェドス・マルチグエのカルメネールです。そう、今日は日本カルメネール振興協会の活動日です。この作り手のカルメネールはアメリカ在住時代によく飲んでました。パヌールという名前じゃなかったやつでしたが。なかなかおいしいという印象があります。懐かしさを感じながら、最新ヴィンテージをいただいてみましょう。

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ビニェドス・マルチグエ(Viñedos Marchigüe)は、エラスリス・オバジェ家が1992年に設立したビニェドス・エラスリス・オバジェ(Viñedos Errazuriz Ovalle)が本体です。コルチャグア・ヴァレーとクリコー・ヴァレーに2,700haもの畑を所有、ブドウやバルクワインを他の生産者に販売しながら、自社元詰めのワインをビニェドス・マルチグエとしてリリースしてます。

公式ページは少々貧弱。英語・中国語の表示を押しても切り替わらずスペイン語のまま(笑)。

今日のワインもパヌール・シリーズとして簡単な説明があるだけ。パヌールは原住民の言葉で「ハグ」の意味だそうです。しかし、無印やレセルバ、グラン・レセルバといった個々のワインの説明がまったくなし。これは困りましたね。以下、インポーターのモトックスの情報から。
・カルメネール 100%
グラン・レセルバなので新樽率20%のオーク樽で8ヶ月の熟成とのこと。


ビニェドス・マルチグエを訪問します。マルチグエ(Marchigüe)の集落から車で15分。
Marchigue00
結構大きな施設なんですが、田舎過ぎてストビューが到達しておらず、ワイナリーの写真が撮れません。見学ツアーの記念写真みたいなのが上がっていたので拝借しました。Facebookのページとかも探したんですが、これが精一杯。まあ、雰囲気だけでも。

コルチャグア・ヴァレー周辺を俯瞰して、マルチグエの場所を確認します。
Marchigue01
リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)がほぼラペル・ヴァレー(コルチャグア+カチャポアル)の範囲でしたね。マルチグエ(Marchigüe)はコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンになり、Viña BisquerttViña Polkura など他にもいくつかのワイナリーが集まっています。


ラベル平面化画像。
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カルメネールの表記が、日本カルメネール振興協会がイチ押しの「Carménère」になってますね。(笑)


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクともエンブレム入りですね。

コルク平面化。
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コルク横にもエンブレムが入ってました。DIAM2は仕方ないですね。

Alc.14%。(pH:4.54、Brix:7.4)
濃いガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー、黒糖、モカ。
カルメネールの王道って雰囲気です。
辛口アタック。
バックグラウンドにうっすらと弱めの酸がいます。
カルメネールらしいまろやかで甘やかな味わいは感じますが、
少々厚みや立体感は弱いかな~。
余韻もしっかりあるんですが、甘さを引きずるところが減点。
コスパ最高、1,000円ほどですからね。
価格的に仕方ないかな〜。(笑)


*****

Viñedos Errazuriz Ovalle 
Viñedos Marchigüe
Panul Carménère Gran Reserva 2018
D.O. Colchagua Valley
RRWポイント 89点


Nahuen by Terrapura Gran Reserva Carmenere 2017 Colchagua Valley

日本カルメネール振興協会の活動日です。活動用に日頃からちょっといいカルメネールのバリエタルを探していますが、なかなか苦労しています。どの作り手もトップレンジにもカルメネールをラインナップしていたりするんですが、日本に入ってきてるのはお手頃ローレンジばかり。それもカベソーは入ってきていてもカルメネールだけなかったりします。まだまだ振興活動が足らないようですね(笑)。今日のコレは1000円台のとってもお手頃カルメネール。見慣れないブランドですが、「By TerraPura」となってます。

IMG_4887
インポーター、ヴィレッジ・セラーズの情報によると、このブランド、「ウンドラーガ・ファミリーのアルフォンソ・ウンドラーガと栽培醸造家であるホセ・ミゲル・オバルが2人のチリワイン産業界での経験を生かし、2006年に興したテラプラ(=ピュア・テロワールの意味)の後継ブランドです。」だそうです。
ここの情報によると、今日のカルメネールは、
・カルメネール 100%
フレンチオークで8~10ヶ月熟成となっています。

えっ、もうテラプラのブランドないんだと思ったら、こんな画像をネットで発見。
Nahuen01
どうやら、ほんとに「テラプラ → ナウエン」に変えちゃったようですね。

と思って、TerraPura の公式ページを探してみると、ブランドはいまだ健在です。

おまけに、Nahuen なんてかけらも載っていません。

裏ラベルに「8valleys」の製造とあり、「www.8valleyswines.com」のURLが載ってますが、こっちこそ、テラプラのことさえ載っていません。(笑)

う~ん、チリあるあるですが、メーカーの海外向けブランド戦略に翻弄されているようです。出荷先によってブランドを使い分けたり、別ブランド作ってみたりする方が、マーケティング的に非効率な気がするんですがね。


まあ、気を取り直してテラプラを訪問してみます。
Nahuen00
ストビュー(2015年のデータ)ではまだ存在していないので新しそうですね。これは公式ページの写真を拝借しました。パンアメリカンハイウェイ(チリハイウェイ)5号線沿い、レンゴとサン・フェルナンドの間です。

ラペル・ヴァレー(=コルチャグア+カチャポアル)の地図で場所(黄四角)を確認。
Nahuen02
ラペル・ヴァレーの範囲は、いわゆるリベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)と重なるということです。


ラベル平面化画像。
IMG_4874
裏ラベルに熟成について書いてました。「フレンチオークに触れさせて10ヶ月」とのこと。出ました「オークチップ」ですね。樽なんてひと言も書いてません。「フレンチ」なのが救いでしょうか。(笑)


さあ、抜栓。
IMG_4885
コルチャグア・ヴァレーなんて書いてますが汎用品ですね。コルクはこの「Chile Premium Wines」が2回繰り返しなだけなので平面化はしません。

Alc.13.5%。(pH:4.47、Brix:7.3)
濃いガーネット。
IMG_4886

黒ベリー、アメリカンチェリー。
黒糖・チョコかすかにありカルメネールを感じます。
酸も感じる辛口アタック。
軽めの中心ながら立体感はありますね。
酸は弱めですが始終居座るのはちょっとしつこいな。
カルメネールらしさは充分出ているとは思います。


*****


8Valleys
Nahuen by Terrapura Gran Reserva Carmenere 2017
Colchagua Valley
RRWポイント 88点


Baron Philippe de Rothschild Maipo Chile Escudo Rojo Carmenere Réserve 2018

本日は日本カルメネール振興協会の活動日。久々にエスクード・ロホといきましょう。
Escudo Rojo は、スペイン語で「赤い(Rojo)盾(Escudo)」の意味でありまして、英語では「Red Shield」となりまして、いわゆるボルドーの1級シャトーとして有名なラフィット・ロートシルトやムートン・ロートシルトのロートシルト(Rothshild)のことと同義なのであります。
(因みにロートシルトはドイツ語読み。英語でロスチャイルド、フランス語でロッチルドです。)


IMG_3739
で、チリにエスクード・ロホを展開するのが、バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド社でありまして、いわゆるムートンの方です。ポイヤックのシャトー・ムートン・ロートシルトクレール・ミロンダルマイヤックの他、ラングドックのドメーヌ・ド・バロナークを所有。ベンチャーであるナパのオーパス・ワンやチリのアルマビバをやってるのも、このムートンの方です。

シャトー・ラフィット・ロートシルトの方は、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(DBR社)という別系統のロスチャイルド家でありまして、自ら Domaines Barons de Rothschild (Lafite) のように(ラフィット)って表記してます(笑)。こちらはメドック格付け第4級のシャトー・デュアール・ミロンであったり、ソーテルヌ第1級のシャトー・リューセック、ポムロールのシャトー・レヴァンジルなどを所有。ラングドックのオーシエール(Château d’Aussières)もここです。チリならロス・バスコス。アルゼンチンのカテナとのベンチャーでカロテナ+スチャイルド)というのもやってます。
なんだかロスチャイルド同士で張り合ってるみたいでおかしいですね。


バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド社の公式ページはこれです。

傘下のシャトー、ワイナリーの紹介と共に、それぞれの専用サイトへのリンクがあります。

エスクード・ロホを出してるのが、その名も Baron Philippe de Rothschild Maipo Chile。社名そのままに+マイポ・チレとチリにかける意気込みが感じられる名前です。公式ページはこれ。

今日のカルメネールもヴィンテージ毎の解説が載ってます。
・カルメネール 100%
チリで品種を表示する場合は75%以上の使用が必要ですが、「うちは100%使ってます」と誇らしげに書いてあります。ブレンドの方が複雑でおいしい場合もあるので、自慢するほどのことではない気がします。(笑)
樽熟は1年落ちのオーク樽で6~8ヶ月だそうです。チリではこういう軽めの樽使いでも「Reserva/Réserve」と書く場合が多いです。「Gran Reserva」以下は特に樽を使うように決まりがあるわけではないためです。


さて、サンティアゴ郊外、マイポ川沿いのその名もマイポという町にあるバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チレを訪問します。
Rothschild_Maipo_Chile01
なかなか立派な施設です。周辺もきれいな畑が広がっています。

ただ、今日のカルメネールはコルチャグア・ヴァレーからとなっています。
公式ページにザックリとした地図で所有畑の説明がありました。
Rothschild_Maipo_Chile00
マイポの他、カサブランカ、コルチャグア、マウレの4ヶ所だそうです。

マイポ・ヴァレー周辺を俯瞰して、ワイナリーの所在を確認します。
Rothschild_Maipo_Chile02
マイポ・ヴァレーの境界は行政区分である首都州(Región Metropolitana)と同一です。

マイポ・ヴァレーのすぐ南側がコルチャグア・ヴァレーとなりますが、コルチャグア・ヴァレーとカチャポアル・ヴァレーは合わせてラペル・ヴァレーを構成しています。DOラペル・ヴァレーの表記もたまに見ますが、どういう場合にラペルになるのか実はよくわかりません。
Chile _Rapel_Valley
ティンギリリカ川流域がコルチャグア・ヴァレー。カチャポアル川流域がカチャポアル・ヴァレー。ちゃんと2つの川が合流するとラペル川という名前の川になります。ティンギリリカ川もコルチャグア川って名前だと完璧なんですが、少し残念。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_3661
縦長のラベルは結構撮影が大変です。ビタミンCが入ってる(笑)。


さあ、抜栓。
IMG_3736
ロスチャイルド家の5本の矢のマーク、ネック、キャップ、コルクにも入ってます。
ジェームズ・サックリングさんの92点シールが誇らしげです。

コルク平面化。
IMG_3737
意外とシンプル。

Alc.14%。(pH:3.95、Brix:8.0)
濃いガーネット。Brix:8.0 は割と糖度高めです。
IMG_3738

黒ベリー。
コーヒーのモカ、黒糖感の香りがすごいです。
スパイス、香ばしい樽香も。
甘みをフッと感じる辛口アタック。
すぐに甘みは繊細な酸のせいと気がつきました。
厚み、構造感しっかりした味わいは貫禄があります。
やはり最初に感じた酸がフレッシュさを強調するんですが、
シルキーなタンニンの導入部ともに絶妙バランスの余韻が続きます。
これはカルメネールの王道の味を出せてますね。

とっても満足。
いい「日本カルメネール振興協会の活動日」になりました。


*****


Baron Philippe de Rothschild Maipo Chile
Escudo Rojo
Carmenere Réserve 2018
RRWポイント 94点


Emiliana Coyam 2016 Los Robles Estate

チリのビオワインの草分けと言ったらこのエミリアーナじゃないでしょうか。
以前このブログでも、お手頃入門シリーズのカルメネールを試していますが、
エミリアーナはその随分前から「ビオ」や「オーガニック」で売り出してます。
10年以上前ビオなんて珍しかった頃にも、若干敬遠気味に何度かいただいてましたが、
(笑)今日はそのエミリアーナのフラッグシップ「コヤム」をいただきますよ。


IMG_2529
COYAMというのはチリの先住民族マプチェ族の言葉で「オークの木立」の意味です。
何だか樽をガンガンに効かせたワインかなと想像しますが、なんのことはない、
コヤムが作られるビオディナミの畑がオークの古木に囲まれていたからだそうで。

インポーターの情報ですと、エミリアーナは1986年にギリサスティ家が設立、
90年代後半から有機栽培を実践、2001年にチリ初のオーガニック認証ワイン、
Coyam 2001をリリース。今日のワイン、その15年目のヴィンテージって訳ですね。


公式ページは大手らしく立派。ビオな画像があふれてます。(笑)

データシート完備ですが2017のものしかありません。
しかし、裏ラベルにセパージュがあって助かりました。
・シラー 49%
・カルメネール 22%
・カベソー 16%
・ムールヴェードル 5%
・マルベック 4%
・グルナッシュ 3%
・テンプラニージョ 1%
シラーがベースにがっつりカルメネール、いい感じです。
しかし、なんとたくさんの種類のブレンドでしょう。
これでもすごいですが、2017年のヴィンテージではこの上さらに、
プチヴェルドとカリニャンもブレンドしています。(笑)
醸造もグラヴィティ・フローや樽内でのMLFなど自然な方法を取っています。
樽熟は75%がフレンチオークの新樽、20%がフードル(2000Lと5000Lの大樽)で、
残り5%はセメントタンクで、14ヶ月間になります。

パーカーおじさんの評価はと調べると、2012年が91+点、2013年が92点。
過去もだいたい90点以上ですから好評価は安定してそうです。


エミリアーナは、カサブランカ・ヴァレーを中心に、マイポ、カチャポアル、
コルチャグア、ビオビオなど各地に自社畑を922ha所有、契約畑は334haを管理し、
内オーガニック認証受けた畑はほとんどの1200haにもなるそう。ゴイゴイスー。
今日のCoyamの畑は、最初に有機栽培化した所有畑の内で最良のところで、
Los Robles Estateと呼ばれます。Robleはスペイン語でオーク。即ちコヤムです。
コルチャグア・ヴァレーの、そのLos Robles Estateに行ってみましょう。
Coyam01
ナンカグアとサン・フェルナンドの間のティンギリリカ川沿いです。
この周りの木がオークの古木ですね。Coyam専用の畑&ワイナリーです。

いつもの広域地図でColchagua Valley他の位置関係を見ておきます。
Chile _Rapel_Valley
見にくいですが、ティンギリリカ川沿いの四角い黄色印がLos Robles Estateです。

カチャポアル川流域が、カチャポアル・ヴァレー。ティンギリリカ川流域が、
コルチャグア・ヴァレー。合わせてラペル・ヴァレーになるんでしたね。
ちゃんと2つの川が合流するとラペル川という名前になります。
ティンギリリカ川もコルチャグア川って名前だと完璧なんですが、少し残念。(笑)
ついでなので、ティンギリリカ川とはどんな川なのか見ておきましょう。
Coyam02
Los Robles Estate近くの橋から覗いてみました。普通の川です。(笑)


ラベル平面化画像。
CoyamY
ユーロリーフのマークがありますが、このマークをつけるときには必ず、
管理団体のコード番号と農業原料が生産された場所を併記する必要があります。
このワインの場合、CL-BIO-001Chilean Agricultureと書いています。
最初の「CL」は管理が行われる国のISO国名コード、すなわちチリです。
「BIO」は明白ですね。そして「001」はおそらく認証第1号なんでしょう。

EcocertもEcocert Chileの認証となってます。Ecocertはフランス発ですが、
世界80ヶ国に認証機関を置いています。チリにも当然あるってことですね。

尚、ラベルにはありませんが、エミリアーナは2005年に中南米で初めて、
厳しいビオディナミの認証機関であるDemeterから認証を受けています。


さあ、抜栓。
IMG_2526
キャップシール、コルク共にCOYAM専用品ですね。

コルクも平面化。
IMG_2527
あんまり大したことなかったですね。

Alc.14.5%。
濃いインキーなガーネット。
IMG_2528

ブラックベリー。
黒糖、モカ、ビターなチョコ…。
酸か甘みか、そんな風味がしっとり乗った辛口アタック。
味の厚み、ボリューム、構造感はありありです。
それでいて重々し過ぎずエレガントなのは、
酸+甘みのアクセントが始終効いているからでしょう。
ただちょっと甘味成分が少々くどい気もしてきます。
新世界のカベソーなんかで感じる、果実味というか…「甘さ」です。
これをサラッとドライに仕上げてくれたらバッチリ好みなんですが。
パーカーおじさんと同じくらいの点数になりました。(笑)


*****


Emiliana
Coyam 2016
Los Robles Estate
Valle de Colchagua
RRWポイント 91点


Lapostolle Cuvée Alexandre Merlot 2014

チリのベストワイナリーのひとつとして大好きなラポストルです。
このキュヴェ・アレクサンドルというシリーズはちょっといいラインなのですが、
これのカルメネールが日本では見当たりません。カベソーは見つかるんですけどね。
日本カルメネール振興協会としては、まだまだこんな状況の日本を憂います。(笑)
仕方がないので、今日はメルローをチョイスです。


IMG_1846
消えたカルメネールはチリで再発見されるまでメルローとして植えられてました。
1990年代当時のチリのメルローが異様においしかった記憶がありますが、
そういうことだったんだな~と今更ながら思います。(笑)
今でも、たまに今日のようにメルローを選んだりします。
まだカルメネールが混じってるんじゃないかと思って...。
(1994年にフランス人ブドウ品種学者のJean Michel Boursiquotが、
チリのマイポで、失われた品種と思われていたカルメネールを再発見します。
2014年11月24日にカルメネール再発見20周年を迎えています。)


公式ページはいつもながら情報しっかりで助かります。

今日のワインもミレジム毎に詳細情報が見られます。
セパージュは、
・メルロー 87%
・カルメネール 13%
スパイシーさを強調するためにカルメネールをブレンドしているそう。
さすがに今はカルメネールをメルローと混植はしてないんでしょうが、
メルローの味付けにカルメネールを使うのはチリワインの妙味ですね。
14kg入りの小さいケースでの100%手摘み収穫を行なった上で、
高精度光学選果機(Vistalys)で78%、残り22%が手作業による選果・除梗です。
樽熟は、新樽42%、28%が1年落ち、30%が2年落ちのフレンチオーク樽で、
13ヶ月行います。


ワイナリー訪問ですが、ストビューがないのでこうしてみました。
Lapostolle01
コルチャグア・ヴァレーのサンタ・クルスの町のすぐ近く。


今日のワインはコルチャグア・ヴァレーの畑からなので地図を確認します。
サンティアゴの南方、サンタクルスの町は見つかりましたか。その周辺です。
Chilean-Wine-Map
カチャポアルとコルチャグアを合わせてラペル・ヴァレーといいますが、
この辺りの把握はやはり川を軸に考えるとわかりやすいです。

ということで、例によってGoogle Map上に川を示して見てみます。
Rapel01
Valley(Valle)と言うだけあって「川の流域」なわけですから、
コルチャグアはティンギリリカ川、カチャポアルはカチャポアル川流域です。
面白いのは、その2つの川が下流で合流してラペル川になります。
なるほどですよね。2つ合わせてラペル・ヴァレーになるわけです。
ティンギリリカ川がコルチャグア川という名前だと完璧なんですが。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_1732
裏ラベルに過去獲得した点数評価が列記されてますね。
因みにこの2014年はJames Sucklingさんが94点をつけています。

インポーターラベルは裏ラベルを隠していませんでした。
IMG_1836
偉いぞ、ファインズ。


さあ、抜栓です。
IMG_1839
キャップシール、コルク共に紋章入り。コルク横ミレジムもいいですね。

コルクも平面化しておきます。
IMG_1841

Alc.14.5%。
濃いガーネット。
IMG_1844

黒ベリー、森の下草、青野菜香。
やはり少しカルメネールっぽい感じです。
かすかに酸が効いた重み・厚みのしっかりした味です。
シルキーなタンニンですが、喉にいい具合の収斂性を与えます。
余韻も貫禄ありますね。

うん、おいしいメルローです。
カルメネールをブレンドしてるからでしょうか。
もしくはまだメルロー畑にカルメネール残ってる?(笑)


*****


Lapostolle
Cuvée Alexandre Merlot 2014
RRWポイント 92点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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