Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Corse

Raoul Clerget Pinot Noir Vieilles Vignes 2019 Ile de Beauté IGP

コルシカ島のピノ・ノワールです。コルスのどこのAOCでもピノ・ノワールは補助品種としてさえ認められていませんから、珍しいんじゃないでしょうか。なので、AOCは名乗ることができず、「Ile de Beauté」というIGPになってしまうようです。まあ、ワインは楽しめれば勝ちですからAOCにこだわる必要はないでしょう(笑)。

IMG_7813
作り手は、裏ラベルによると Raoul Clerget(ラウル・クレルジェ)となっています。調べるとクレルジェ家というブルゴーニュの歴史ある名門なんだそうです。なんでも1238年創業とブルゴーニュ最古クラスでギネスにも載ってるとか。そんなところがなぜにコルスでピノ・ノワールのワインを作るんでしょうね。なぞ~。

公式ページが見当たらないのでインポーターの紹介ページをリンクしておきます。

インポーターの情報もいまひとつですね。

・ピノ・ノワール 100%

醸造はブルゴーニュのクレルジェでも醸造を担当している、ピノノワールに精通したラウル カナファー氏によるとのこと。標高50~150mに広がるブドウ畑で熟練の農家により自然な農法で育まれたブドウで仕込むとあるので、いわゆる買いブドウってことですね。(Google Mapで)訪問したいので場所まで書いておいてほしいところです。

ブルゴーニュのラウル・クレルジェはこんなところでした。ボーヌの近く。
RaoulClerget01
同じ建屋に「Francois Martenot」というネゴシアン(?)が入っていて、ラウル・クレルジェの商標登録をここがやっていたりします。なんだか複雑なバックグラウンドがありそうですが、不明です。


ワインがコルスのワインなので、とにかくコルスの詳細を見てみましょう。今日のワインの「Ile de Beauté IGP」というのはご覧のようにコルシカ島全域が対象です。
IledeBeauteIGP
「Ile de Beauté」は「美の島」という意味です。Corse IGP とかではなく、凝ったネーミングにしてますね。

ついでに言うと、コルシカ島は「Méditerranée IGP」にも属します。
MediterraneeIGP
いわゆる、プロヴァンス・コルスですね。いや、北部ローヌまで含むようです。「Méditerranée」は「地中海」の意味なんですけどね。

コルシカ島のAOCはというと9つありまして、Google Mapに描き込んでみました。
Corse
以下にまとめますが、「Corse もしくは Vin de Corse」という2通り表記のものが6つあります。見にくくなりますね。また、最後の AOC Muscat du Cap Corse というのは、Muscat à Petits Grains Blancs を使ったヴァン・ドゥ・ナチュレル(VDN=Vin Doux Naturel)のAOCです。

・AOC Ajaccio
・AOC Patrimonio
・AOC Corse / Vin de Corse
・AOC Corse Calvi / Vin de Corse Calvi
・AOC Corse Porto-Vecchio / Vin de Corse Porto-Vecchio
・AOC Corse Sartène / Vin de Corse Sartène
・AOC Corse Figari / Vin de Corse Figari
・AOC Corse Coteaux du Cap Corse / Vin de Corse Coteaux du Cap Corse
・AOC Muscat du Cap Corse(Vin Doux Naturel)

セパージュの規定は共通していて、以下のようになっています。

<赤・ロゼ>
・主要品種(Nielluccio、Sciaccarello、Grenache)が50%以上。
・Nielluccio と Sciaccarello はこの2種で1/3以上を占めること。
・補助品種は最大50%まで。
 補助品種は、Cinsaut、Mourvèdre、Barbarossa、Syrah、
 Carignan (最大20%まで)、Vermentino  (最大20%まで)、
 及び、Aléatico、Carcajolo Nero、Minustello(以上3種合計は最大10%まで)

<白>
・主要品種は Vermentino で75%以上。
・補助品種は最大25%まで。
 補助品種は、Ugni blanc、Biancu Gentile、Codivarta、Genovese。
 (Biancu Gentile、Codivarta、Genovese は合計で10%を超えないこと)

聞きなれない品種がいくつもありますが、特徴的な3種に触れておきます。
Sciaccarello
シャカレッロSciaccarello)はコルシカ島の代表品種です。しかしながら、原産はイタリアで、Mammolo というシノニムで呼ばれています。ただ、コルシカ島で合計 885ha 栽培されているのに対し、イタリアでは 26ha しかないので、もうコルシカ島の品種と考えてもよさそうですね。
ニエルーチョNielluccio)もコルシカ島AOCの主要品種ですが、実はサンジョヴェーゼと同じものです。今でこそコルスはフランス領ですが、歴史的にも地理的にもイタリアの影響が色濃く残った地域と言えますね。
あと、補助品種ですが、ミヌステッロMinustello)も見ておきましょう。これは Morrastel とも呼ばれ、コルスの他ラングドックにもあり、スペイン(リオハ)の Graciano と同じものです。


エチケット平面化画像。
IMG_7795
表ラベルはコルスの豊かな自然を現してるんでしょうか。ミレジムやIGP表示は裏ラベルにあります。表に Pinot Noir と Vieilles Vignes しか情報がないのはフランスっぽくないですね。


さあ、抜栓。
IMG_7810

コルク平面化。
IMG_7811
ノマコルクです。

Alc.12.5%。
ルビー。
IMG_7812

フランボワーズ、の煮詰まった感じ。
辛口アタック。
酸味がかすかながらありますが、少々特徴的です。
ペラペラではなくそこそこの実体を感じる味です。

やはりクセはあるんですが、楽しめるんですよね。
ピノ・ノワールのひとつのパターンでしょうか。


*****

Raoul Clerget
Pinot Noir Vieilles Vignes 2019
IGP Ile de Beauté
RRWポイント 87点


Clos Culombu Rouge 2018 Corse Calvi AOC

コルシカ島のローカル品種シャカレッロ主体のワインをいただきます。
作り手はクロ・クロンビュ。コルシカ島の北西、カルヴィの町の近く、
その名もAOCコルス・カルヴィの中心地にあります。
Clos Culombuは1973年設立で、アメリカ大陸を発見したコロンブスが、
そのカルヴィ生まれという説にちなみ名付けられたんだとか。


IMG_2165
Etienne Suzzoniとあるのは現当主のエチェンヌ・スッツォーニさんのお名前。
プロヴァンスとコルスは一括りにされますが、コルシカ島は過去イタリア領
(正確にはジェノバ王国)だったので、お名前といい、ボトルデザインといい、
なんとなくイタリア~な雰囲気が漂ってる気がします。(笑)


公式ページは意外にモダンな感じ。ただ英語表示ではうまくワイン紹介が表示されず。

一応、ミレジム毎のデータシート(JPEGですが。笑)あり。
セパージュは、
・シャカレッロ 60%
・ニエルーチョ 20%
・シラー 10%
・ミヌステッロ 10%
とあります。
シャカレッロ(Sciaccarello)はコルシカ島固有の品種かつ代表品種です。
ニエルーチョ(Nielluccio)もAOCコルスの主要品種ですがサンジョヴェーゼのこと。
この2つとグルナッシュがAOC Corse(もしくはCorse Calviとか地名付きAOC)
の主要品種と定められていて、50%以上ないといけません。
さらに、シャカレッロとニエルーチョはいずれかが1/3以上入ってないといけません。
ミヌステッロ(Minustello)はMorrastelとも呼ばれ、コルスの他ラングドックにもあり、
スペイン(リオハ)のGracianoと同じものです。
シラーとこのミヌステッロが10%づつ入っており、これらは補助品種と認められてますが、
10%を超えてはいけません。
とにかく、AOC Corse(Calvi)の規定はクリアしていますね。
収穫は手摘み・機械併用。熟成はコンクリートタンクで5ヶ月です。

シラー以外の変な名前の3品種の外観を見ておきます。
Sciaccarello
ふむふむ。


さあ、カルヴィの町の近く、Lumioというところにあるドメーヌ訪問。
CorseB
ストビューでは近づけませんが、建物は最近建てたようですね。
周囲が畑で、周りの景色も素晴らしい。

コルシカ島ではこの辺りです。結構海にも近いです。
CorseA
コルシカ島、どう見てもフランスよりイタリアに近いです。

コルシカ島のAOC地図上に所在を示しました。まさにAOC Corse Calvi。
CorseK
以前試したコルスのワインはAOCアジャクシオ(Ajaccio)でした。


エチケット平面化画像。
IMG_2106
シンプルで、シルバーでカッコいいデザインだと思います。
ユーロリーフのビオワインです。ABもECOCERTも取得してるそうです。


さあ、抜栓。
IMG_2163
キャップシールもシルバー。

コルク平面化。
IMG_2161
向き違いで2回お名前繰り返し。

Alc.14%。
しっかりルビー。涙は形がない感じ。
IMG_2164

カシス、ブラックベリー、リコリス、フレッシュミント。
いい香りです。
甘みをかすかに感じますが、辛口アタック。
ベリーの果実感ありありの味わいです。
軽すぎず厚みもそこそこあります。
喉越しで苦味っぽいのがあるのに気づきました。
後味は凡庸ながら、結論、悪くないだろう。(ぺこぱ風に。笑)


*****


Etienne Suzzoni
Clos Culombu 2018
Corse Calvi AOC
RRWポイント 90点


Domaine Martini AOC Ajaccio 2010 Cuveé Tradition

コルス(コルシカ島)のワインをいただきます。
シャカレッロというコルシカ島ローカル品種を主体にした、
AOCアジャクシオのワインです。訳ワカメですね。(笑)


IMG_5763
しかし、こういうワインも日本の通販で手に入るんですから、いやはや、
便利な世の中になったもんです。


まずはコルシカ島からお勉強しておきましょう。
その名も「Vins de Corse」というコルスワイン振興サイトから地図拝借。
Corse_map01
南仏とイタリア半島、下にはサルディーニャ島も見えてますので、
コルシカ島の位置関係がよくわかります。

イタリアにとっても近いだけに、1768年にフランス領になるまで、
コルシカ島はイタリアでした。
なので、今でもコルシカで多く栽培されるニエルーチョ(Nielluccio)種は、
トスカーナ州でメジャーなサンジョヴェーゼと同一だったりします。


今日いただくのは、AOCアジャクシオ(Ajaccio)。
Corse_map
島の西側に同じ名前の町があり、その周辺がこのAOCになります。
コルシカ島の中心地、島一番の大都市でもあります。

で、AOCアジャクシオは、ほぼコルシカ島にしかないローカル品種の、
シャカレッロ(Sciacarello)を40%以上使うことが規定されており、
今日のドメーヌ・マルティーニのAOCアジャクシオは、
・シャカレッロ 70%
・ニエルーチョ 25%
・サンソー 5%
と、がっつりシャカレッロ主体になっています。
(インポーター、アズマコーポレーションのサイトから)
サンジョヴェーゼであるニエルーチョをいただくより、
飲んだことのない品種をがっつりいただく方が面白いですよね。
Sciaccarello2


さて、ドメーヌ・マルティーニを調べますが、公式ページなし。
正式名称「Martini Frères et Ledentu」ということはわかりましたが、
所在の住所情報ではGoogle Map上でついぞ見つかりませんでした。
仕方がないのでインポーターの情報サイトをリンクしておきます。

せっかくいろいろ調べたので、その際見つかった、
このワイナリーと思われる写真を貼っておきます。
Martini001
コルスの畑感、出てますでしょうかね?


エチケット平面化画像。
IMG_5753
フランス農業省のABマーク(Agriculture Biologique)があります。
裏ラベルを見ると、エコセールの認証も受けているようです。
これは自然派ワインですね。
オーガニックは結構ですが、へたなビオワインでないことを願うばかりです。


さて、抜栓。
Alc.12.5%。
かなり茶がかった透き通ったルビー。
あまり濃い色を出す品種じゃなさそうですね。
ネッビオーロなんかで感じる草臭がします。
ブレタノマイセスっぽいかも。ビオなのかな?
かすかな赤ベリー香はあるにはあるんですが。
アタックは酸味から来ます。
しかし嫌な酸味でなく果実味を演出してくれる酸です。
タンニンも喉越しに程よく感じ、味の素性はいいと思います。
後味にも酸味が目立つんですが、でも嫌じゃない。
麻婆豆腐に見事に合い、「うまい!」と思いました。

独特だけどおいしい。
こういうのに出会うと楽しいです。


*****


Domaine Martini(Martini Frères et Ledentu)
AOC Ajaccio 2010 Cuveé Tradition
RRWポイント 87点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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