Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

France

Despagne Château Tour de Mirambeau Réserve 2016 Bordeaux

このワイン、過去に2015年を試してるんですが、おいしくてまたストックしていたというわけではありません(笑)。また近所の百貨店のワインくじで当たった(ハズレた)ものです。今日はたまたま料理酒のワインが切れたもので、どれか赤ワインを供出せよとの命が下り、これを抜栓したという経緯です(笑)。半分残ったので味見をしておこうと思います。

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漫画「神の雫」で持ち上げられて、ちょっといいワインぶってるモン・ペラ。そのモン・ペラの作り手がデスパーニュです。デスパーニュの公式サイトによると、フラッグシップはモン・ペラではなく、このシャトー・トゥール・ド・ミランボーの方だそうですね。そもそも1769年から代々ワイン作りをしてきたデスパーニュ家の創業の地に、Tour de Mirambeau(ミランボーの塔)があるそうで、まさに創業のシンボル。エチケットのイラストでわかるように「塔」というような建物ではなくて、元は風車小屋だったそうです。そこが家族の当初の住居だったようです。で、ワインは名付けてシャトー・トゥール・ド・ミランボー。なるほど…です。

デスパーニュの公式ページはこれですが、ほぼショップしかありません。

今日のワインも載ってはいますが10ユーロということしかわかりません(笑)。

・メルロー 70%
・カベルネ・フラン 20%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 10%

これはインポーターのモトックスの情報。醗酵はステンレスタンク。熟成は80%をステンレスタンクにて12ヶ月、残り20%をフレンチオーク樽(1~2年落ち)にて6ヶ月。申し訳程度のかなり軽めの樽のようですね。ミレジムは2016と1年進んでいますが基本は変わらないようです。

アントル・ドゥ・メール(Entre-Deux-Mers)にあるデスパーニュ訪問。
Despagne01
デスパーニュの創業の地はローザン(Rauzan)という町で、シャトー・トゥール・ド・ミランボーなるところになります。Google Mapでは「Vignobles DESPAGNE」と表示されます。シャトー名は「Tour de Mirambeau(ミランボーの塔)」から来ており、インポーズしたのが「ミランボーの塔」の写真ですが、このように現存はするようです。

アントル・ドゥ・メール中心にボルドーを俯瞰して、位置関係を確認します。
Despagne02
デスパーニュ(シャトー・トゥール・ド・ミランボー)は、サンテミリオン他ボルドー右岸銘醸地のドルドーニュ川を挟んだ反対側ですね。

ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれたところを一般にアントル・ドゥ・メール(Entre-Deux-Mers)と言いますが、AOC Entre-Deux-Mers というと辛口白のみのAOCになるので注意しましょう。かのジャンシス・ロビンソンはデスパーニュをして「アントル・ドゥ・メールのスーパースター」と評したそうですが、この場合のアントル・ドゥ・メールはAOCではなく場所を指すわけです。デスパーニュはアントル・ドゥ・メールの各地にシャトーを持っており、合計300haにもなります。ただ白でもなぜか全部AOCボルドーとして出しているようですが。


エチケット平面化画像。
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さて、抜栓です。
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Alc.13.5%。
エッジ微かに褐変のガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー、スパイス
コク、熟成感、いい感じに出ています。
が、メルロー由来の心許なさも。
次第に水臭く感じるのは化けの皮が剥がれたかな(笑)。
バランスは悪くないんですが…余韻もあっさり。


*****


Despagne
Château Tour de Mirambeau
Réserve 2016
Bordeaux Rouge
RRWポイント 87点


Pierre Damoy Marsannay “La Brétignière” 2013

ピエール・ダモワのマルサネです。ブルゴーニュの高騰を気にして、辺境やマイナー産地のピノ・ノワールを試す日々が続いていますが、久々のコートドールの村名、それも有名どころのダモワということでテンション上がり気味です(笑)。まあ、マルサネもマイナー村名という感じではあるんですが、畑名(La Brétignière)がついているのでどこか突き止めて地図が描けそうです。

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ドメーヌ・ピエール・ダモワは1930年代にジュリアン・ダモワさんがジュヴレ・シャンベルタンに設立したという歴史あるドメーヌ。所有する畑は95%がジュヴレ・シャンベルタン。その内80%は特級畑。そしてシャンベルタン・クロ・ド・ベーズ(Grand Cru)の最大の所有者だそうで。間違いなくジュヴレ・シャンベルタンを代表する造り手のひとつと言えるでしょう。

公式ページは前回見た時は工事中でしたがURLも変わり再開しているようです。

しかしよく見るとトップページだけで他は何もありません。これじゃあ工事中と変わらんし(笑)。

・ピノ・ノワール 100%

セパージュは間違いないでしょう。ネット情報に頼りますがこれ以上の情報なし。ただ、「Domaine Pierre Damoy」ではなく「Pierre Damoy」名のワインは買いブドウからのキュヴェだそうで、今日のマルサネは畑名はわかっていますが買いブドウということになります。樽熟成は一般情報として、16~24ヶ月だそうなので、16ヶ月はやってるでしょう。

これはブルゴーニュ訪問時に撮ったシャンベルタン・クロ・ド・ベーズの写真。
DP3M4212
ダモワはこのシャンベルタン・クロ・ド・ベーズの最大の所有者なので、写真に写る小屋もダモワのものです。(小屋の壁にPierre Damoyの文字)まあ、この畑からのワインではないので参考資料ですが(笑)。

一応、ドメーヌ訪問。前にも訪れましたが路地が狭くてうまく撮れません。
Damoy01
敷地は広いんですが中があまりのぞけません。ホントここかなぁ(笑)。

ジュヴレ・シャンベルタン村の地図にドメーヌの位置(丸印)を示しておきます。
Gevrey-Chambertin_N
特級畑、1級畑、村名畑、AOCブルゴーニュの分布もわかるうようにしています。

そうそう、今日のワインはAOCマルサネでした。一般の地図を見てみましょう。
Marsannay
ご覧のように、AOCマルサネ(AOC Marsannay)は、マルサネ・ラ・コート(Marsannay-la-Côte)村に加え、クーシェ(Couchey)村、シュノーヴ(Chenôve)村にもまたがっています。また、AOCマルサネにはロゼ(AOC Marsannay Rosé)もあるんですが、この地図によると赤・白のAOCマルサネとは違うところになるようですね。3村にまたがるところは同じですが。

今日のワインはAOCマルサネの「La Brétignière」という畑らしいということはラベルからわかっていますので探してみると…ありました! クーシェ(Couchey)村にあるようですね。(黄丸色で印をつけました。)

AOCマルサネとジュヴレ・シャンベルタン村のダモワを1枚の地図に入れると…。
CharlopinHer01
こんな感じ。AOCマルサネとジュヴレ・シャンベルタンの間にはフィサン(Fixin)とブロション(Brochon)がある位置関係です。


クーシェ村にある「La Brétignière」という今日のワインの畑に行ってみます。
La_Bretigniere
久しぶりのブルゴーニュ・コートドールの畑訪問。やっぱり楽しいです(笑)。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルはなくインポーターシールのみです。
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さあ、抜栓です。
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キャップシールはダモワのエンボス入り。

コルク平面化。
IMG_0730
ミレジムもしっかり入ってます。

Alc.13%。
微かにエッジがオレンジ味のルビー。
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フランボワーズ、プラム、ヘーゼルナッツ。
辛口アタック。
酸味はイキイキ生きてます。
味わいは複雑味が織りなすレイヤー感があります。
酸と渋味が喉元を通り余韻に続きます。
しっかり印象残すいい余韻。


*****


Domaine Pierre Damoy
Marsannay “La Brétignière” 2013
RRWポイント 94点


Pierre Olivier Vin Blanc Mousseux Blanc de Blancs Organic Brut Prestige

暑い日が続きますのでキンキンに冷やした泡をいただくことが多くなります。ただ常にシャンパーニュなど上等な泡をいただく必要はなく、安くてそこそこのうまさがあればオールオッケーなのは皆さまもご承知御の通りです(笑)。今日も今日とて得体の知れないスパークリングワインを抜栓いたします。実はこれスパークリングワインくじのハズレ。ワインくじではよく見かけるやつで、皆様も飲んだことあるんじゃないですか?(笑)

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ラベルを見渡してもフランスのランディラ(Landiras)という町で作られていることしかわかりませんが、前にも同じようなスパークリングを試した時に調べたことがあって、おおよその察しはつきました。おそらく、フランスの1979年創業の大手ワインメーカーグループのGCF(Les Grands Chais de France)でしょう。(過去この企業について何度か詳しく触れています。)ここはフランス各地に生産拠点を持っていますが、ボルドー近くのランディラ(Landiras)という所に「Les Caves de Landiras」という一大拠点を持っています。本社はアルザス地方のペータースバッハ(Petersbach)にあります。

これがそのスパークリングワインくじです。1/5がシャンパーニュって期待しますよね。
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結果は…今日のワインです(笑)。まあ、ハズレの3本の内の一番上ですから、まだマシと考えましょう。

公式ページはこれですが、今日の「Pierre Olivier」なるワインは載っていません。

仕方がないのでネット情報に頼るんですが、セパージュで混乱しました。「Blanc de Blancs」ですから白品種なのは間違いないのですが、「ユニ・ブラン」と書いてある情報に紛れて、「アイレン」と書いてあるのもあったからです。ユニ・ブランはコニャックやアルマニャックの産地にも近いのでさもありなんですが、スペイン最大の栽培面積を誇るアイレンはほぼスペインでしか栽培されていません。したがって、たぶん…こうでしょう。

・ユニ・ブラン 100%

このスパークリングワインはシャンパーニュの伝統的方式ではなく、シャルマ方式で作られているようです。伝統的方式ならラベルで謳ってるはずですからね。

スパークリングワインの製造法は、主に以下の種類があります。

伝統的方式(Méthode Traditionnelle):
いわゆる瓶内二次発酵。ワインを瓶に詰め、糖分と酵母を加えて密閉、瓶内で二次発酵を起こさせるもの。発酵後も熟成、澱引きなどが必要な、最も手間とコストがかかる方式で最高級スパークリングワインの製造に用いられます。シャンパーニュ方式(Méthode Champenoise)とも呼ばれ、その名の通りシャンパーニュはこの方式です。

シャルマ方式(Méthode Charmat):
スティルワインを大きなタンクに密閉し、その中で二次発酵を起こさせる方式。密閉タンク方式ともいい、短期間に生産が可能。一度に大量に生産できるため、コストを抑えたい場合に広く用いられる製造法ですが、ワインが空気に接触しないためブドウのアロマを残したい場合に用いられることが多いです。

トランスファー方式(Méthode Transfert):
瓶内二次発酵をさせた炭酸ガスを含んだワインを、加圧下のタンクに移し、冷却、ろ過した後、新たに瓶詰めします。トラディショナル方式を簡略化したものとも言えます。

田舎方式(Méthode Rurale / Méthode Ancestrale):
発酵途中のワインを瓶詰めし、密封した状態で残りの醗酵を瓶の中で行います。一次発酵のみで完了です。

炭酸ガス注入方式(Gazéifié):
スティルワインに炭酸ガスを強制的に注入することで発泡性にします。この方式は泡のキメが荒く、すぐにガスが抜けてしまう特徴があります。


ユニ・ブラン(Ugni Blanc)です。正式名称はフランスでも「Trebbiano Toscano」。
Saint-Emilion-des-Charentes
サンテミリオン(Saint Émilion)とか、サンテミリオン・デ・シャラント(Saint Émilion des Charentes)というシノニムがあります。大半がコニャック・アルマニャックのブランデー用に栽培されています。今日のワインの生産地はコニャックとアルマニャックの主要産地の間くらいにありますから、使用されたんだと想像します。

一応、アイレン(Airén)にも触れておきましょう。
Airen
スペインが原産で、前述のようにもっぱらスペインでしか栽培されませんが、もともとブランデー用品種として一般的です。長らくスペインのブドウ栽培面積(白品種・黒品種全ての中で)のナンバーワンでした。「でした」というのは、2021年にテンプラニージョが僅差でアイレンを抜きナンバーワンを奪取したからです。それでもスペインのブドウの30%を占めると言いますからすごいものです。ただ、今日のワインに使われていることはないと踏みました。ユニ・ブランもアイレンもブランデー用で素性は似てるんですけどね。


ランディラ(Landiras)にあるGCFの拠点、Les Caves de Landirasを訪問します。GCF-Landiras
でかいです。ランディラの市街地と同じくらいの大きさがありそうです(笑)。

ランディラ(Landiras)の町は、実はソーテルヌのすぐ隣だったりします。
Landiras
ソーテルヌやバルサックに囲まれ、いい甘口ワインができそうなところです(笑)。ボルドーの市街や、ペサック・レオニャン(グラーヴ)も目と鼻の先ですね。


エチケット平面化画像。
IMG_0679


エチケット平面化画像。
IMG_0717
まあ、シンプルです。

Alc.11%。
色味は異様に濃いゴールドイエロー。泡立ちは例によって動画でご提供。

シャルマ方式の泡はなんとなく勢いがなく大人しい感じがします。

グレープフルーツが香ります。
甘やかな辛口アタック。
シトラス系の風味は爽やかでいいですね。
フルーティで楽しめました。
これで十分というなかなかなクオリティでした。
ハズレだからとみくびってはいけないですね。(笑)


*****


Pierre Olivier
Les Caves de Landiras (Les Grands Chais de France)
Vin Blanc Mousseux
Blanc de Blancs Organic Brut
Prestige NV
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

Louis Picamelot Vin Mousseux Blanc de Blancs Méthode Traditionnelle Brut

クレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)の作り手、ルイ・ピカメロ(Louis Picamelot)のスパークリングを再びいただきます。「Méthode Traditionnelle」とありますから、瓶内二次発酵の本格派です。しかし前に飲んだピカメロは赤のスパークリングで、クレマン・ド・ブルゴーニュではなく Bourgogne Mousseux でした。AOC Crémant de Bourgogne には白とロゼしかなく、赤だと AOC Bourgogne Mousseux になるという理由です。今日のは白、それもブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs)ですが、今度もクレマン(Crémant)ではなくヴァン・ムスー(Vin Mousseux)となっています。なぜに?

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作り手のルイ・ピカメロは1926年にコート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)のリュリー(Rully)に創設されています。創立当初からブルゴーニュ・ムスーという名前で瓶内二次発酵のスパークリング・ワインを作っていたという老舗で、クレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)というAOCが制定されたのが1975年ですから、その道のパイオニアということになります。ルイ・ピカメロはスパークリングのみを作っています。実際、リュリーの村では過去からスパークリング・ワインは村の生産のかなりの割合を占めてきたんだそうで、クレマン・ド・ブルゴーニュ発祥の地であり中心地とされています。

これが店頭での様子。泡コーナーですが殊更にブルゴーニュを謳っていません。
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インポーターはモトックス。そこからの情報が書いてあるようです。


公式ページはシャンパーニュの大手メゾンのようなカッコいい感じ。日本語表示も完備ですし。

しかしなぜかクレマン・ド・ブルゴーニュのラインアップしか載っておらず、今日のブラン・ド・ブランが見当たりません。よって、モトックスの情報から。

・トレッビアーノ 75%
・シャルドネ 25%

瓶内二次醗酵され、瓶熟成は10ヶ月と、AOC Crémant de Bourgogne の規定9ヶ月はクリアしています。すると、あとは品種がダメなのかもしれません。「トレッビアーノ」ですからね(笑)。

AOC Crémant de Bourgogne の規定を見ておきます。品種は以下が使えます。

<主要品種>
・Pinot Noir
・Chardonnay(30%以上入れること)
・Pinot Blanc
・Pinot Gris

<補助品種>
・Gamay(20%以上は入れないこと)
・Aligoté
・Melon
・Sacy

これらから、白かロゼに仕上げないといけません。

ちょっと脱線ですが、補助品種のムロンとサシーを見ておきます。これがムロン(Melon)。
Melon-de-Bourgogne
ムロン・ド・ブルゴーニュ(Melon de Bourgogne)というシノニムがロワール川下流域(ペイ・ナンテ)でよく知られていますね。いわゆるミュスカデ(Muscadet)です。INAOは単なるムロン(Melon)というのを正式名称としているようです。謂れは、メロンのように葉っぱに切れ込みがなく丸いためだそうです。メロンの風味がする云々の解説はデタラメです。2013年のDNA分析では、グエ・ブラン(Gouais Blanc=Heunisch Weiß)x ピノ(Pinot)の自然交配とされています。これって、シャルドネやアリゴテ、アルザスのオーセロワなんかと同じなんですよね。兄弟品種というようなことらしいです。

こちらがサシー(Sacy)です。指原莉乃みたいな品種ですね(笑)。
Sacy
フランス原産の品種で、なんとこれも、グエ・ブラン(Gouais Blanc=Heunisch Weiß)x ピノ(Pinot)の自然交配のひとつだそうで。同じく2013年のDNA分析の結果です。さっしー、お前もか(笑)。

さて、本題に戻って今日のワイン。規定と照らし合わせて、シャルドネが30%以上入ってない時点でアウトなんですが、やはり「トレッビアーノ 75%」というのがクレマンにならずにムスーを名乗る最大の要因でしょう。

モトックスが「トレッビアーノ」と書いていますが、フランスでは普通に「ユニ・ブラン(Ugni Blanc)」と呼ばれる品種です。サンテミリオン(Saint Émilion)というシノニムもありましたし、サンテミリオン・デ・シャラント(Saint Émilion des Charentes)とも言います。大半がコニャック・アルマニャックのブランデー用に栽培されています。
Saint-Emilion-des-Charentes
念のためもう一度 AOC Crémant de Bourgogne の規定を見ますが、やはりユニ・ブランはありません。クレマンにならない理由はやはりこれですね。この品種はトレッビアーノという名前が有名なようにイタリア原産です。イタリアには「トレッビアーノなんとか」という品種がごまんとあり、大抵全然別の品種のシノニムであったりします。そういう意味ではイタリアはカオスであり(笑)、自分がトレッビアーノの真相になかなか迫れなかった原因でもありました。この品種はおそらくトスカーナが起源で、トスカーナでトレッビアーノ・トスカーノ(Trebbiano Toscano)と言われる品種は本物の(笑)トレッビアーノであり、フランスに入ってユニ・ブランと呼ばれるようになったものです。14世紀にイタリアからフランスに伝わり、ユニ・ブランとなったようです。
VIVIC(Vitis International Variety Catalogue)で調べると、この品種、正式名称(Prime Name)が「TREBBIANO TOSCANO」で、シノニムが「UGNI BLANC」とはっきり書いています。原産はイタリアですが、栽培面積はイタリアの3万5千ヘクタールに対しフランスは位以上の7万9千ヘクタールを誇ります。ユニ・ブランでいいんじゃない?って思ってしまいます(笑)。


ルイ・ピカメロを訪問します。リュリ―の町中です。カッコいい門構えですね。
Picamelot01
1991年まではベースワインを買っていたそうですが、今は40%は自社畑から、残りはブドウの買い付けとし、ベースワインはすべて自社で醸造しています。

コート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)を俯瞰して位置関係を見ます。
Cote_Chalonnaise_NEW
コート・シャロネーズ(Côte Chalonnaise)は、コート・ドールの南端からの続き、アリゴテのみのAOCブーズロンに始まり、マコネまでに5つのコミュナルAOC(村名AOC)があります。リュリー(Rully)、メルキュレ(Mercurey)、ジヴリ(Givry)までは赤・白両方のAOCで、1級畑もあります。さらに南側のモンタニー(Montagny)は白(シャルドネ)のみのAOCですが、ここも1級畑がかなりあります。

リュリー(Rully)のAOC地図上で見てみましょう。
Picamelot02
リュリーには赤・白あると同時に1級畑も結構ありますね。また、AOC Rully は Rully のコミューンだけでなくシャニー(Chagny)にもはみ出していること覚えておきましょう。


エチケット平面化画像。
IMG_0564
「ブラン・ド・ブラン」ですから白っぽいデザインです。

さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.11.5%。
イエロー。
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泡立ちはいつものように動画で確認ください。


はっさく、白い花。
甘味も感じさせる辛口アタック。
味わいもはっさくっぽい(笑)。
酸がフレッシュに効いていて、
喉越しに微かな苦味が心地いいです。
若干ドライ過ぎな感じですが、
果実味が効いていて良い塩梅でした。


*****


Louis Picamelot
Vin Mousseux Blanc de Blancs
Méthode Traditionnelle Brut
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Château Brane-Cantenac 2016

メドック格付け第2級、シャトー・ブラーヌ・カントナック。過去にこれの2013を試していますが、もう5年も前ですね。前回は良年とは言えない2013年でしたが、この2016年はパーカーおじさんも驚異の96-98点をつけてべた褒めです。これは期待できそうです。

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シャトー・ブラーヌ・カントナックはもともと18世紀にゴルス家が創立したとされ、シャトー名は「Gorce(ゴルス)」でした。1833年、「ブドウ畑のナポレオン」と異名を取ったブラーヌ男爵(Baron de Brane)が購入し、シャトー・ブラーヌ・カントナックというようになったようです。(「カントナック」はシャトーの所在の地名です。また、「Baron de Brane」はセカンドラベルの名前にもなってますね。)1855年のパリ万博に合わせてナポレオン三世の命を受け行われたメドックの格付けでシャトー・ブラーヌ・カントナックは第2級に選ばれました。その後、所有者は変わっていきますが、1925年、祖父が取得したこのシャトーを1956年に孫のリュシアン・リュルトン(Lucien Lurton)が相続し、1993年から息子のアンリ・リュルトン(Henri Lurton)に手渡し運営を任せているということです。ボルドーワインのエリートファミリー、リュルトン家ですね。

公式ページはシンプルかつカッコいいですね。

ミレジム毎のデータシート完備で情報はバッチリです。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 70%
・メルロー 27%
・カベルネ・フラン 2%
・カルメネール 1%

ここはカルメネールを作付けしてるんですが、1%ですがブレンドされているのが個人的にうれしいです。新樽率70%のフレンチオーク樽で18ヶ月の熟成です。前述しましたが、パーカーおじさん曰く、「私がこれまでこのワイナリーで味わった中で最高のものであることに疑いの余地はない。マルゴーに期待するすべてがここにある。」とのことで96-98点をつけています。


何度も(Google Mapで)行きましたがシャトー・ブラーヌ・カントナック訪問。
Brane-Cantenac
旧カントナック村の真ん中にあります。シャトー名にカントナックが付くわけです。

マルゴーの中心地にひしめく格付けシャトーをロゴ入りで示した地図です。
Margaux_中心周辺
マルゴー村とカントナック村にこれら18シャトーが密集していますが、実は2017年に両村は合併し「マルゴー・カントナック村(Margaux-Cantenac)」となっています。

<マルゴー・カントナック村(Margaux-Cantenac)>(18シャトー)
(第1級)Château Margaux(マルゴー)
(第2級)Château Brane-Cantenac(ブラーヌ・カントナック)
     Château Durfort-Vivens(デュルフォール・ヴィヴァン)
     Château Lascombes(ラスコンブ)
     Château Rauzan-Gassies(ローザン・ガシー)
     Château Rauzan-Ségla(ローザン・セグラ)
(第3級)Château Boyd-Cantenac(ボイド・カントナック)
     Château Cantenac-Brown(カントナック・ブラウン)
     Château Desmirail(デスミライユ)
     Château d’Issan(ディッサン)
     Château Ferrière(フェリエ―ル)
     Château Kirwan(キルヴァン)
     Château Marquis-d’Alesme(マルキ・ダレーム)
     Château Malescot-Saint-Exupéry(マレスコ・サン・テグジュペリ)
     Château Palmer(パルメ)
(第4級)Château Marquis-de-Terme(マルキ・ド・テルム)
     Château Pouget(プージェ)
     Château Prieuré-Lichine(プリウレ・リシーヌ)

ただし、AOCマルゴーの格付けシャトーにはあと3つあり、全部で21シャトーになります。
AOC_Margaux_Communes
AOCマルゴーの範囲は、マルゴー・カントナック村に加え、ラバルド村、アルサック村、スッサン村の4村になります。残り3シャトーが以下です。

<ラバルド村(Labarde)>(2シャトー)
(第3級)Château Giscours(ジスクール)
(第5級)Château Dauzac(ドーザック)

<アルサック村(Arsac)>(1シャトー)
(第5級)Château du Tertre(デュ・テルトル)

以上からわかるように、スッサン村はAOCマルゴーですが格付けシャトーはありません。


格付けワインを飲む度にAOCごとにはまとめてるんですが、メドック格付けの全61シャトーを一覧でまとめることが少なかったので、ここに一覧を置いておきます。ご参考ください。
格付銘柄名AOC
1級Ch. ラフィット・ロートシルト
Château Lafite-Rothschild
ポイヤック
(Pauillac)
1級Ch. ラトゥール
Château Latour
ポイヤック
(Pauillac)
1級Ch. ムートン・ロートシルト
Château Mouton Rothschild
ポイヤック
(Pauillac)
1級Ch. シャトー・マルゴー
Château Margaux
マルゴー
(Margaux)
1級Ch. オー・ブリオン
Château Haut Brion
ペサック・レオニャン
(Pessac Leognan)
2級Ch. ローザン・セグラ
Château Rauzan-Ségla
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ローザン・ガシー
Château Rauzan-Gassies
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. デュルフォール・ヴィヴァン
Château Durfort-Vivens
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ラスコンブ
Château Lascombes
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ブラーヌ・カントナック
Château Brane Cantenac
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ピション・バロン(Ch. ピション・ロングヴィル・バロン)
Château Pichon Baron (au Baron de Pichon-Longville)
ポイヤック
(Pauillac)
2級Ch. ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド
Château Pichon Longueville Comtesse de Laland
ポイヤック
(Pauillac)
2級Ch. コス・デストゥルネル
Château Cos d’Estournel
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
2級Ch. モンローズ
Château Montrose
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
2級Ch. レオヴィル・ラス・カーズ
Château Léoville-Las-Cases
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. レオヴィル・ポワフェレ
Château Léoville-Poyferré
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. レオヴィル・バルトン
Château Léoville-Barton
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. グリュオ・ラローズ
Château Gruaud Larose
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. デュクリュ・ボーカイユ
Château Ducru Beaucaillou
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
3級Ch. ラ・ラギュンヌ
Château La Lagune
オー・メドック
(Haut-Medoc)
3級Ch. キルヴァン
Château Kirwan
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. ディッサン
Château d’Issan
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. ボイド・カントナック
Château Boyd Cantenac
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. カントナック・ブラウン
Château Cantenac Brown
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. パルメ
Château Palmer
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. デスミライユ
Château Desmirail
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. ジスクール
Château Giscours
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. マレスコ・サン・テグジュペリ
Château Malescot St.Exupery
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. フェリエール
Château Ferrière
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. マルキ・ダレム(ベッケー)
Château Marquis d’Alesme (Becker)
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. カロン・セギュール
Château Calon Ségur
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
3級Ch. ラグランジュ
Château Lagrange
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
3級Ch. ランゴア・バルトン
Château Langoa Barton
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. ラ・トゥール・カルネ
Château La Tour Carnet
オー・メドック
(Haut-Medoc)
4級Ch. プージェ
Château Pouget
マルゴー
(Margaux)
4級Ch. プリウレ・リシーヌ
Château Prieuré-Lichine
マルゴー
(Margaux)
4級Ch. マルキ・ド・テルム
Château Marquis de Terme
マルゴー
(Margaux)
4級Ch. デュアール・ミロン
Château Duhart Milon
ポイヤック
(Pauillac)
4級Ch. ラフォン・ロシェ
Château Lafon-Rochet
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
4級Ch. サン・ピエール
Château Saint-Pierre
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. タルボ
Château Talbot
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. ブラネール・デュクリュ
Château Branaire Ducru
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. ベイシュヴェル
Château Beychevelle
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
5級Ch. ベルグラーヴ
Château Belgrave
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級Ch. カマンサック
Château de Camensac
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級Ch. カントメルル
Château Cantemerle
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級Ch. ドーザック
Château Dauzac
マルゴー
(Margaux)
5級Ch. デュ・テルトル
Château Du Tertre
マルゴー
(Margaux)
5級Ch. ポンテ・カネ
Château Pontet Canet
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. バタイエ
Château Batailley
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. オー・バタイエ
Château 
Haut-Batailley
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. グラン・ピュイ・ラコスト
Château Grand Puy Lacoste
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. グラン・ピュイ・デュカス
Château Grand Puy Ducasse
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ランシュ・バージュ
Château Lynch Bages
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ランシュ・ムーサ
Château Lynch Moussas
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ダルマイヤック
Château d’Armailhac
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. オー・バージュ・リベラル
Château Haut-Bages-Libéral
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ペデスクロー
Château Pédesclaux
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. クレール・ミロン
Château Clerc Milon
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. クロワゼ・バージュ
Château Croizet Bages
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. コス・ラボリ
Château Cos Labory
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
いっぺんに並べると結構なボリュームで頭に入りにくいですね。やはりAOCごとにシャトーと等級を結び付けて覚えていくのが早道な気がします。
※シャトー名をクリックするとそれぞれの個別記事(セカンドラベル含む)に飛びます。こうして見ると全61シャトー中 56 と9割がた制覇していますね。逆に言えばあと5シャトーでコンプリートです。そろそろ頑張りましょうか(笑)。

各シャトーの右欄にAOC名も入れてますが、各AOCの分布はこの地図で確認ください。
Bordeaux001
マルゴーの地続きはオー・メドック(Haut-Médoc)で囲まれている感じです。逆に言うと、オー・メドックはマルゴーによって3つのエリアに分断されているように見えます。

な~んて書きましたが、INAOの地図でAOCオー・メドックの範囲を見てみると…
Haut-Medoc
なんとAOCオー・メドックはAOCマルゴー対象のコミューンも含みます。さらにAOCメドックの地図も左側に配しましたが、AOCメドックはAOCオー・メドックを含むという関係です。AOCメドック>AOCオー・メドック>AOCマルゴー(AOCサンテステフ、AOCポイヤック、AOCサン・ジュリアン)という関係です。しかし、マルゴーはオー・メドックもメドックも名乗れるんですね。誰もやらないけど(笑)。


エチケット平面化画像。
IMG_7849
インポーターシールは裏ラベルを隠していません。


さあ、抜栓。
IMG_0685
キャップシールもシンプルながら貫禄あるデザインです。

コルク平面化。
IMG_0687
さすが格付けワイン、ミレジムもしっかり入っています。

Alc.13.5%。
赤味あるガーネット。
IMG_0688

黒ベリー、ダークチェリー、スパイス。
森の下草のような優雅な樽香。
辛口アタック。
複雑味、圧倒的なレイヤー感・構造感。
タンニンも酸も上品に味を底ざさえします。
バランスは完璧。球体に近いイメージです。
驚くほど長い余韻。
(これはパーカーおじさんもコメントしてました。)


*****

Château Brane-Cantenac 2016
Margaux
RRWポイント 98点


Kirkland Signature Côtes du Rhône Villages 2021

コストコのプライベート・ブランド、カークランド・シグネチャーのコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュです。AOC Côtes du Rhône Villages となると過去にもそうハズレはありませんでした。それが千円を切るお値段でしたからこれは試さないわけにはいきません。

IMG_0638
さあ、作り手を突き止めようと裏ラベルを見ますが、ワインメーカーがパトリック・レセック(Patrick Lesec)さんという著名な方ということはわかりました。その方のメッセージも添えられていますが、肝心のワイナリーがどこかわかりません。このパトリックさんがどこでワインを作っているかということなんですが、ググってもなかなか場所が見つかりません。

Patrick Lesecの情報が書いてあるサイトを見つけました。依然ワイナリーの場所は不明。

シャトーヌフ・デュ・パプ周辺で1993年からネゴシアンをやっているみたいです。契約農家からの買いブドウを醸して評価の高いワインを生み出しているそうです。しかし、肝心のコストコのコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの情報が公式を覗いてもよくわかりません。

・シラー、グレナッシュ、ムールヴェードル

セパージュはこう書いてありました。「グレナッシュ」は「グルナッシュ」として(笑)、シラーが先に書いてあるのでシラーが一番比率が多そうですが、AOC Côtes du Rhône Villages(Rouge)の規定からするとグルナッシュの方が多くないといけません。

AOC Côtes du Rhône Villages(Rouge)のセパージュの規定を見ておきます。

<主要品種>
・グルナッシュ(Grenache Noir)→ 最低50%以上
・シラー(Syrah)、ムールヴェードル(Mourvèdre)→ 合わせて20%以上
<補助品種>
・その他(ここでは挙げませんが)サンソーやカリニャンなど → 20%まで

ちなみにロゼ(Côtes du Rhône Villages Rosé)もあり、白品種が20%まで使えます。白品種というのは、白(Côtes du Rhône Villages Blanc)で使われるグルナッシュ・ブラン、クレレット、マルサンヌ、ルーサンヌ、ブールブラン、ヴィオニエなどです。


INAOの地図で AOC Côtes du Rhône と Côtes du Rhône Villages の範囲の違いを確認。
Cotes-du-rhone-villages00
AOCコート・デュ・ローヌ(左地図)は、北部ローヌ(Vallée du Rhône Nord / Septentrional)まで包含していることがわかりますが、AOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ(右地図)は南部ローヌ(Vallée du Rhône Sud / Méridional)にしかないことがわかります。地図にある95のコミューンが該当するそうです。また右の地図にはAOCコート・デュ・ローヌの対象コミューンの範囲を重ねてあり、ヴィラージュとは微妙に対象コミューンが違っているのがわかってもらえると思います。

そのAOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュには補足的地理的呼称(DGCDénominations Géographiques Complémentaires)がつく所が現在 22 あります。2020年にも Nyons というのが追加になっています。

<2012年までのDGC付き16ヶ村>
・Côtes-du-Rhône-Villages Chusclan
・Côtes-du-Rhône-Villages Laudun
・Côtes-du-Rhône-Villages Massif-d'Uchaux
・Côtes-du-Rhône-Villages Plan-de-Dieu
・Côtes-du-Rhône-Villages Puyméras
・Côtes-du-Rhône-Villages Roaix
・Côtes-du-Rhône-Villages Rochegude
・Côtes-du-Rhône-Villages Rousset-les-Vignes
・Côtes-du-Rhône-Villages Sablet
・Côtes-du-Rhône-Villages Séguret
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Gervais
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Maurice sur Eygues
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Pantaléon-les-Vignes
・Côtes-du-Rhône-Villages Signargues
・Côtes-du-Rhône-Villages Valréas
・Côtes-du-Rhône-Villages Visan

<2012年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Gadagne

<2016年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Sainte-Cécile
・Côtes-du-Rhône-Villages Suze-la-Rousse
・Côtes-du-Rhône-Villages Vaison-la-Romaine

<2017年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Andéol

<2020年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Nyons

さあこれら22ヶ村をGoogle Map上に表します。南部ローヌ地図完全版です。
Rhone_Sud_Meridional_FINAL
今日の作り手の所在を書き込むことは叶いませんでしたが、おそらくシャトーヌフ・デュ・パプにあると思うので、Châteauneuf-du-Pape あたりを眺めておいてください(笑)。


エチケット平面化画像。
IMG_0599
このイラストが正しければこんなワイナリーなのかな? いや、これは「村」ですね(笑)。

いつものコストコのシールはこんな感じで裏ラベルを隠していました。
IMG_0598


さあ、スクリュー回転。
IMG_0636

Alc.14%。
ガーネット。
IMG_0637

黒ベリー、ゼラニウムチックな何か。
濡れ木も感じます。樽はあるのかな?
軽すぎず重すぎず、複雑味も十分あります。
南ローヌの赤の良さは味わえるって感じです。
余韻はあっさりでしたが、
厚みやレイヤー感も許せるレベルで楽しめました。


*****

Kirkland Signature
Côtes du Rhône Villages 2021
RRWポイント 92点


Domaines Tatin Quincy Vin noble 2021

ロワール渓谷上流域、サンセールなんかと一緒に分類されたりするカンシー(Quincy)という産地のワインをお初にいただきます。ここはソーヴィニョン・ブランの白一択のAOCです。ただし、お隣のルイィ(Reuilly)と共にロワール川から少し離れた微妙な位置にあります。そのあたりもお試ししながら深掘りしてみるとしましょう。

IMG_0674
ドメーヌ・タタン(Domaines Tatin)はカンシーに25ヘクタール、ルイィに10ヘクタールの畑を持つ家族経営の作り手です。農業を生業としていたジャン・タタンさんが1988年に奥様のお父上から農場を引き継ぎます。ご夫婦はその農場のワインのポテンシャルを見出し(AOC Quincy ですもんね。笑)、90年代に入ると「Domaine des Ballandor」と「Domaine du Tremblay」という名前(畑の区画名から来ています。)でAOCカンシーの白ワインをリリースして本格的にワイン作りを本業としていきます。カンシーは白しか作れないので、すぐ近くのルイィに畑を買い増しピノ・ノワールを植えて赤ワインもラインアップに加わりました。

公式ページは自然派ワインをアピールするように虫や草木のイラストがあります。

自然に配慮した生産者に与えられる認証、Terra Vitis(テラ・ヴィティス)と Haute Valeur Environnementale(HVE)を取得しているとのこと。なるほど、そこが売りなんですね。
TerraVits
元農場ということもありますが、テラ・ヴィティスの方はワインのみを対象とした認証です。

・ソーヴィニヨン・ブラン 100%

今日のワインそのものがHPに載っていないんですが、インポーター(エイ・エム・ズィー)の説明によると、日本へ導入にあたり日本向けに特別なラベルにしているとのこと。よって、インポーター情報をコピペすると、樹齢20~60年、ステンレス100%で発酵後、バトナージュをしながらシュールリーで熟成ということのようです。

AOC Quincy の規定では、ソーヴィニヨン・ブラン主体に10%までソーヴィニヨン・グリ(Sauvignon Gris)を加えていいことになっています。ソーヴィニヨン・グリはソーヴィニヨン・ブランの色変異種です。色味が変わるかもしれませんが味の傾向は同じ感じじゃないでしょうか(たぶん。知らんけど。笑)。まあ、大抵は今日の作り手のようにソーヴィニヨン・ブラン100%だと思いますが。
AOC Quincy は1936年にロワール地方で初めてAOCに指定された地域になります。フランスで最初のAOC、シャトーヌフ・デュ・パプに次ぎ2番目だそうで、古くから名声があり歴史もある産地ということになりますが、相当古くからソーヴィニヨン・ブランに適した産地であると名前が知れ渡っていたそうです。ソーヴィニヨン・ブランを味わうなら、サンセールやプイィ・フュメじゃなくてカンシーが先に来るべきかもしれませんね。

ロワールではブラン・フュメ(Blanc Fumé)とも言われるソーヴィニョン・ブランです。なので、AOC Pouilly-Fumé も AOC Blanc Fumé de Pouilly と表記しても構いません。
SauvignonB
親子関係ですが、以前より母方が「Savagnin=Traminer」という品種自体の具体的な存在が未確認の理論上の品種ということになっていましたが、最近のデータによるとサヴァニャン・ブラン(Savagnin Blanc)で確定したようです。しかしながら、父方は依然不明のままです。それでは、サヴァニャン・ブランとは何ぞや?ということになりますが、これがまたややこしい。シノニムがトラミナー(Traminer)で、突然変異で果皮色がロゼのサヴァニャン・ロゼ(Savagnin Rose)となり、更なる突然変異でゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)が生まれたとされています。
世界中で栽培されるポピュラーな品種ですが生産量はやはり本家フランスがNo.1です。全世界で124,700haの栽培面積(2016年)で、その内フランスが28,084haですから、本家フランスは1/4(23%)程度ということになります。

ドメーヌ・タタンを訪問します。周りは一面の農地。ブドウ畑ではなさそう。
01
カンシー(Quincy)ではなくブリネ(Brinay)という隣のコミューンにあります。ここでもAOCカンシーが名乗れます。

AOC Quincy と AOC Reuilly を1枚の地図で俯瞰し位置関係を見てみましょう。
Quincy_Reuilly
AOC Quincy は、Quincy と Brinay の2コミューンが対象。 AOC Reuilly は、 Reuilly とその周辺の Diou、Chéry、Lazenay、Lury-sur-Arnon、少し離れて Preuilly が対象コミューンです。ロワール渓谷からは少し離れますが、そのロワール川の支流のシェール川(Le Cher)とそのまた支流のアルノン川(L'Arnon)の流域一帯であることに着目してください。
AOC Reuilly は、AOC Quincy と違い、ピノ・ノワールの赤とピノ・グリ&ピノ・ノワールのロゼが認められています。今日の作り手は赤をラインナップしたくてルイィの畑を買い増したとのことでしたね。

サントル・ロワール(Centre - Loire)の地図で他AOCとの位置関係を確認。
Loire_Centre-Nivernais
サントル・ニヴェルネ(Centre Nivernais)っていう言い方は、日本ソムリエ協会の教本はじめ日本でしか見ないんですが(笑)、フランスではこうは言いません。サントル(Centre)は「真ん中」、ニヴェルネ(Nivernais)はヌヴェール(Nevers)周辺の昔のフランスの地方名で、現在ではニエーヴル県(Nièvre)に相当する地域を指しますが、「ニヴェルネ」の「真ん中」ではおかしいですよね。

これが「中央ロワール」ワインの公式ページ。ここでは「Centre - Loire」と言ってます。

サントル・ロワール。これも個人的には変です。ロワールの真ん中じゃないから…。どちらかと言えばロワール渓谷の最上流域なのでロワールの「端っこ」ですよね。やっぱり、フランスの真ん中(Centre de la France)っていうのが一番合ってる気がします(笑)。
まあ、とにかく「サントル・ニヴェルネ」と言うのはやめて「サントル・ロワール」を日本に定着させないとですね。

ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
Loire_s
ロワールの全体像が見られていい地図だと思います。一番古いAOC、カンシー、結構変なところにあります(笑)。


エチケット平面化画像。
IMG_0561
日本向け特別ラベルなのかもしれませんが、妙な手作り感があります。

インポーターシールは裏ラベル横に縦貼りしてあったので別撮り。
IMG_0562


さあ、抜栓。
IMG_0669

コルク平面化。
IMG_0672

Alc.13%。
しっかりイエロー。
IMG_0671

黄桃、パイン。
木の芽? 緑のニュアンスです。
辛口アタック。
生き生きした酸が心地いいです。
夏みかん風の柑橘系風味に苦味もあって美味しい。
レモンのシャーベットの後味。

やはり、カンシーだからでしょうか。
ロワールで一番感動したソーヴィニヨン・ブランになりました。


*****


Domaines Tatin
Quincy Vin noble 2021
WWWポイント80点



WhiteWhiteWine01

Domaine du Cros Lo Sang del Païs 2019 Marcillac

AOCマルシヤック(AOC Marcillac)を探していました。フェール(Fer)が主要品種のAOCですが(90%以上)、過去フェール・セルヴァドゥ(Fer Servadou)と呼ばれていたこの品種はAOCガイヤック(AOC Gaillac)では遭遇していたものの、本家AOCマルシヤックに出会うことがありませんでした。それがやっと日本に入ってきたのかネットで発見。速攻お試しです。

IMG_0644
ドメーヌ・デュ・クロ(Domaine du Cros)は、南西地方(Sud-Ouest)の北東部に当たるアヴェロン県(Aveyron)のAOCマルシヤックにある正にこのAOCを代表する作り手です。もともとマルシヤック・ヴァロン(Marcillac-Vallon)を中心としたこの地方では300年も前からフェールを使ったワイン作りがされていましたが、現オーナーのフィリップさんとジュリアンさん(Philippe et Julien Teulier)の曽祖父ドミニクさんが1882年に現在のドメーヌを手に入れてワイン作りを始めたというのが今日の作り手です。
1962年にマルシヤックのワインはAOCの前身であるフランスワインの規格、VDQS(Vin Délimité de Qualité Supérieure)に認定されていますが、ドメーヌ・デュ・クロが当時から醸していた「Lo Sang del Païs」というキュヴェ(今日のワイン)はVDQSマルシヤックを冠した最初のワインなんだそうです。
1982年にドメーヌはそれまで1ヘクタールしかなかった畑を22ヘクタールまで買い増し、規模を拡大しました。その後、VDQSマルシヤックは1990年にAOCマルシヤックに昇格(移行)したという流れです。AOCマルシヤックと共に生まれ育まれてきた作り手ということができるでしょう。

公式ページはAOCマルシヤックの解説しっかりのAOCを背負って立つ感じで好印象。

今日のワイン(Lo Sang del Païs)はやはり歴史もあるドメーヌを代表するキュヴェです。

・フェール 100%

まだこの作り手のHPではフェール・セルヴァドゥ(Fer Servadou)と表記されていますが、2011年頃の官報でフランスは「フェール」を正式名称にしたようです。よって「フェール・セルヴァドゥ」は現在はシノニムということになります。そもそもAOCマルシヤックのあるアヴェロン県では「マンソワ(Mansois)」というシノニムで呼ばれているそうですが(笑)。ワインは手摘み収穫、ステンレスタンクで熟成とのこと。

今日の本題、AOCマルシヤック(AOC Marcillac)を少し解説しておきましょう。
AOC_Marcillac
アヴェロン県(Aveyron)マルシヤック・ヴァロン(Marcillac-Vallon)を中心に11のコミューンが対象です。(Balsac、Clairvaux-d'Aveyron、Goutrens、Marcillac-Vallon、Mouret、Nauviale、Pruines、Saint-Christophe-Vallon、Saint-Cyprien-sur-Dourdou、Salles-la-Source、Valady、以上11コミューン。)
赤とロゼがあり(今日の作り手もロゼも作っています。)、共にフェールが90%以上ないといけません。補助品種は、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローとされていましたが、2011年の法令で、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プリュヌラール(Prunelard)と変わっています。まあ、ほとんどフェール100%らしいですから大きな影響はなさそうです(笑)。

フェール(Fer)です。今だに「Fer Servadou」の方が通りが良さそうですが。
Fer
AOCマルシヤックのあるアヴェロン県ではマンソワ(Mansois)というシノニムがありましたが、AOCガイヤックではブローコル(Braucol)とも言いましたね。原産はスペインのバスク地方だという説があるようですが親子関係は不明です。フェールという名称は「野生」を意味するギリシャ語の「ferrus」に由来するようですが、「Fer」はフランス語で「鉄」なので、果皮が厚くて堅いからかもしれません。この品種が使える産地は南西地方に割と多いです。(Béarn、Saint-Mont、Côtes du Marmandais、Gaillac、Fronton、Madiran、Tursan、Entraygues-Le Fel、Estaing など。ラングドックの Cabardès も。)後ほど見ますが、AOCマルシヤックのご近所の、AOC Entraygues-Le FelAOC Estaing もフェールが主体なんですがブレンドが基本なのでAOCマルシヤックのようにフェール100%ができないようです。


ドメーヌ・デュ・クロを訪問。ストビューの仕様が変わって写真が見にくくなりました。
Domaine-du-Cros
写真が2013年のものと古いですが、HPには2020年に超近代的なセラーに刷新したとあったので、今は全然違う姿かもしれません。AOCマルシヤックの中心地、マルシヤック・ヴァロン(Marcillac-Vallon)ではなく、グトラン(Goutrens)というコミューンにあります。

AOCマルシヤックと周辺のAOCの位置関係を俯瞰して見てみます。
Marcillac_AOC
以下の3つのAOCと、今日の作り手ドメーヌ・デュ・クロの所在も書き込んでいます。ガロンヌ川の支流ロット川(Le Lot)にも注目してください。ロット川はガロンヌ川に合流する前にカオール(AOC Cahors)を貫いていきます。

AOC Marcillac
AOC Entraygues - Le Fel(アントレーグ・ル・フェル)
AOC Estaing(エスタン)

南西地方(Sud-Ouest)全図です。上の地図は白い四角で示したエリアに当たります。
Sud_Ouest00_Marcillac
南西地方の北東の端、フランスでも秘境と呼ばれるような所だそうです。なかなかこういうマイナーなワインに出会えませんから今日は貴重な体験でした。そうそう、その白い四角のすぐ南側にAOCコート・ド・ミヨー(AOC Côtes de Millau)というのがありますが、ここも元VDQSが2011年にAOCになったものです。比較的新しいAOCということで、これこそお目にかかったことがないです。(ここもフェールが使われますが補助品種扱い。)課題は多い…。(笑)


エチケット平面化画像。
IMG_0554
これは「フィリップ&ジュリアン・トゥリエ(Philippe et Julien Teulier)」名になっていますが、今は「ドメーヌ・デュ・クロ(Domaine du Cros)」名になっているようです。
IMG_0554BIG


さあ、抜栓。
IMG_0641

コルク平面化。
IMG_0642

Alc.13%。
ルビー~ガーネット。
IMG_0643

黒ベリー、あんず、アセロラ。
辛口アタック。
知ってる感じの独特の酸です。
が、味わいを邪魔はしていません。
そこそこ厚みあってうれしいですね。
酸は最後まではしゃぐんですが、バランスはいい。
独特ですがこういう個性的な品種が楽しめるのは満足です。
すごいオリ残ったのに少しビックリ。


*****

Domaine du Cros
(P&J Teulier)
Lo Sang del Païs 2019
Marcillac
RRWポイント 86点


Domaine de Rochebin Bourgogne 2020 Pinot Noir Vieilles Vignes

これも京都に昨年末新しくオープンしたワインショップ(WineRoom17)を覗いたときに見つけたものです。高騰するブルゴーニュの中では抜群のコスパと激推ししてあったので試してみようと思います。調べてみるとブルゴーニュでもマコネ(Mâconnais)にあるドメーヌのようですね。なるほどお手頃なわけですが、おいしければ確かに目っけもんに違いありません。

IMG_0530
作り手はドメーヌ・ド・ロシュバン。マコネ地方のアゼ(Azé)に1921年に創業した家族経営のドメーヌです。1994年から本格的な自社元詰めをしていますが、畑も拡大してどんどん事業を広げていってますね。2021年には新社屋も完成したようですよ。


公式ページは新しい感じですが、内容はあっさりで情報は少し物足りないですね。

とは言うものの、一応データシートもあり最低限のワイン紹介はありました。

・ピノ・ノワール 100%

「Clos Saint Germain」の「Vieilles Vignes」とありますから、自社畑の古木からのようです。樹齢50年以上の古木も多く所有しているそうなのでなかなかのものかもしれません。オーク樽で12ヶ月の熟成もしているようなのでただのAOCブルゴーニュではなさそうです。


ドメーヌ・ド・ロシュバンを訪問。マコネのペロンヌ(Péronne)という所にあります。
Rochebin新社屋
2021年に完成した新社屋です。ストビューで見るとまだ更地だったので、この写真はfacebookより拝借しました。創業のワイナリーは隣のコミューンになるアゼ(Azé)にあるんですが、こちらも行ってみましたが、ストビューが届いていない外れにあったので近寄れませんでした。こちらはもう売却してるかもですね。しかし立派なのを建てましたね(笑)。


マコネの地図で、以上出てきたコミューンの場所を確認。ついでにマコネの概要もおさらい。
Macon_Villages_2
右の簡易ブルゴーニュ地図でコートドール(コート・ド・ニュイ+コート・ド・ボーヌ)、コート・シャロネーズに続くのがマコネとだいたいの理解をしてください。AOCマコンの範囲とほぼ同義です。

AOC Mâcon は 赤・白・ロゼ がOKで、地図上の白文字のコミューンではコミューン名が付記できます。(例:AOC Mâcon Verzé)上で見たペロンヌ(Péronne)やアゼ(Azé)もAOCマコンに付記できるコミューンですね。今日のドメーヌ・ド・ロシュバンはAOCマコン・アゼ(AOC Mâcon Azé)の赤・白ともやっています。赤はガメ(Gamay Noir à Jus Blanc)が使用可能で、白はシャルドネです。※詳しくは過去記事のMâconMâcon Villagesでも触れています。

 AOC Mâcon Villages という上級のエリアのものは白のみになります。白のみというのがAOC Mâconとの大きな違いです。「Villages」と付きますがAOCマコンと同様に地域名アペラシオン(Appellation Régionale)です。

そして、村名アペラシオン(Appellation Village)が以下の5つあり、地図でわかるように、AOCヴィレ・クレッセ以外は南側に集中しています。これらも白のみのAOCです。

AOC Viré-Clessé
-----------------------
AOC Pouilly-Fuissé
AOC Pouilly-Loché
AOC Pouilly-Vinzelles
AOC Saint-Véran

AOCヴィレ・クレッセ(AOC Viré-Clessé)、AOCプイィ・フュイッセ(AOC Pouilly-Fuissé)、AOCサン・ヴェラン(AOC Saint-Véran)は複数のコミューンに渡っています。(黒丸を置いたコミューンがAOCサン・ヴェランです。)AOCプイィ・フュイッセの東側のAOCプイィ・ロシェ(AOC Pouilly-Loché)とAOCプイィ・ヴァンゼル(AOC Pouilly-Vinzelles)は単独の村名AOCです。そうそう、AOCプイィ・フュイッセは最近プルミエ・クリュが認められています。※詳しくは過去記事へ。


ラベル平面化画像。
IMG_0511
2020ですから、住所がまだアゼになっています。


さあ、抜栓。
IMG_0533

コルク平面化。
IMG_0528

Alc.12.5%。
しっかり色づいたルビー。
IMG_0529

フランボワーズ、チェリー、リコリス。
辛口アタック。
雑味のないクリアな感じの味わいは軽く感じますが、奥行きもあり、
ギリ踏みとどまった感もありますが(笑)、まあ上出来でしょう。
なんかミントっぽい後味がかすかに残るのが少し気になりました。
何やろ?


*****

Domaine de Rochebin
Bourgogne Pinot Noir 2020
Clos Saint-Germain
Vieilles Vignes
RRWポイント 89点


Domaine de La Meulière Chablis 2020

シャブリを試すのはほぼ3年ぶりですね。有名な割にはあまり試す機会に恵まれていませんでした。シャルドネなら他にもいろいろあるからなのかもしれませんし、そもそもシャルドネ以外の白品種にまだまだ興味津々だからかもしれません。今回は近所で良さげなシャブリがたまたま目についたというだけのキッカケなんですが、久しぶりに掘り下げてみましょう。

IMG_0420
ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールは、シャブリ地区のフレ村(Fleys)に1780年から続く家族経営の作り手で、現在は8代目のニコラさんとヴァンサンさん(Nicolas et Vincent LAROCHE)が運営しています。全体で約 24haを所有し、シャブリ・プルミエ・クリュ、シャブリ、プティ・シャブリを生産しています。

公式ページはワイン紹介がショップ兼用ですがまずまずの情報量。

やはりショップ兼用、2020年が載っていません(笑)。

・シャルドネ 100%

シャルドネはシャブリの規定です。この作り手は樽は使っていないようですね。シャブリの特徴として樽は控えめに使われる傾向があります。シャブリ公式のHPによると、昔パリへ樽で出荷されたシャブリは空樽が返却されて、そこにまたワインを詰めて流通していたそうで、新樽を使う習慣が根付かなかったそうです。逆にムルソー他のブルゴーニュは運ばれた先に樽が残されたため、毎回新樽に詰める習慣ができたということです。ホンマかな?ただ、シャブリでもシャブリ・プルミエ・クリュ(Chablis Premier Cru)とシャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)となると樽はかなり使われるそうです。

今日の作り手、ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールを訪問してみます。
Chablis_Meuliere
フレ(Fleys)という小さな村にあります。入り口から中はよく見えませんがなかなか立派な建物のようです。

AOCシャブリの対象エリアをINAOの地図で確認。あくまで対象コミューンですが。
INAO-Chablis1
フレ(Fleys)はシャブリ(Chablis)の隣の村ですね。域外はブルゴーニュ・ブランになることも示されています。

Google Map上にAOCシャブリのエリアを重ねてみました。
Chablis
シャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)、シャブリ・プルミエ・クリュ(Chablis Premier Cru)、プティ・シャブリ(Petit Chablis)のエリアがわかるようになっています。スラン川Le Serein)の両岸に広がっているのがわかりますね。シャブリの町の対岸のわずかな斜面がグラン・クリュになります。(シャブリ公式HPにChablis公式の地図があるのでご参考ください。)ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールの場所も示しましたが周辺はAOCシャブリの畑ですね。

シャブリのグラン・クリュの畑がわかる地図です。横着して貼っておきます(笑)。
ChablisGrandCru

で、シャブリはどのあたりかというとグラン・オーセロワを見た時の地図が有効です。
Auxerre_周辺
グラン・オーセロワ(Grand Auxerrois)はいくつかの地区に分類することができます。スラン川(Le Serein)両岸に広がるシャブリ地区(Chablisien)を中心に東にトネロワ地区(Tonnerrois)、南にヴェズリアン地区(Vézelien)、西にオーセロワ地区(Auxerrois)、北にジョヴィニアン地区(Jovinien)が広がっています。ちょっと東に離れたシャティヨネ地区(Châtillonnais)もありますが、ここはもっぱら発泡性のクレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)を造っています。
シャブリの南西にはAOCサン・ブリ(Saint-Bris)やAOCイランシー(Irancy)があります。今日の作り手ドメーヌ・ド・ラ・ムリエールはイランシーの赤も出しているようです。このあたりは、地理的呼称(DGC=Dénomination Géographique Complémentaire)がついたAOCブルゴーニュが結構あるので地図で確認をしておきましょう。DGC付きと言っても位置づけとしてはレジョナル(地方名)のAOCブルゴーニュのままですが。

フランス全体の中でシャブリ&グラン・オーセロワ地区を把握しておきましょう。
フランス産地
マルで影を付けたところがグラン・オーセロワになります。ブルゴーニュ最北の生産地域とはいうものの、コート・ドールからはずいぶん離れ、シャンパーニュの方が近そうです。


エチケット平面化画像。
IMG_0230


さあ、抜栓。
IMG_0416

コルク平面化。
IMG_0418

Alc.14%。
キラキライエロー。
IMG_0425

夏みかん、白い花。
ペトロールっぽいものも?
甘味を感じる辛口アタック。
爽やかな酸ですが、やはり甘やかな感じ。
ミネラル感はシャブリらしくしっかりあり。
スッキリさっぱり楽しめました。


*****


Domaine de La Meulière
Chablis 2020
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01
--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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