Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Germany

Privatkellerei St.Antonius Riesling 2019 Trocken Nahe

リースリングは、その昔ヨーロッパの出張先がドイツのラインガウばっかり(Wiesbadenという町ですが)だったので、当時は浴びるように飲んだ品種です(笑)。今でも定期的に欲しくなり適当に探しますが、ドイツの有名なリースリングは思いのほか高かったりしますので、大抵は今日のようなお手頃なやつになります。産地もナーエ(Nahe)と少しマイナーですが、こういう所の方が当たりがあるかもと期待を寄せて…。

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作り手は Privatkellerei St.Antonius(「プライベートワイナリー 聖アントニウス」の意)といって、ナーエのシュヴェッペンハウゼンという小さな村でアントン・ビロス(Anton Biroth)さんが1988年に始めた家族経営のワイナリーです。現在は息子さんのステファンさんと二世代で運営されていますが、事業も大きくなり、ナーエのみならずお隣のラインヘッセンのワインもラインアップに加えられています。

公式ページはまじめな作り。ローカル相手なのかドイツ語オンリーです。

今日のナーエのリースリングは一応主力だと思うので載っていますが、特筆すべき情報はなし。

・リースリング 100%

ワイナリー近辺の山間の自社畑からのようです。砂岩、黄土、ロームの層状の土壌でブドウ栽培には非常にいいんだと書いてます。

リースリングはドイツ原産で、おそらくライン渓谷で生まれたとも言われます。
Riesling01
1998年のDNA分析ですが、Vitis Vinifera Sylvestris x Traminer の交配種を母に、Weißer Heunisch(=Gouais Blanc グエ・ブラン)を父に自然交配から生まれたとされます。グエ・ブランっていろんなところで親戚関係で現れますね。また、人気の品種ということで、リースリングを元に200種以上の新品種が世界で産み出されているそうです。日本で生まれたリースリング・リオン(Riesling Lion)もその一つでしたね。
栽培面積はやはりドイツが断トツで最大で、23,960 ha あります。(2016年)他ヨーロッパではフランスで4,025 ha ありますが、ほぼアルザスのみです。これが次点かというとルーマニアが 6,121 ha と若干多いようです。なのでフランスは3位。オーストリアはどうかな~と気になりますが、1,986 ha です。これが4位かなと思うと、あいだにロシア(2,232 ha)がいます(笑)。まあ、ロシアがヨーロッパなのかという問題もありますが。(笑)
新世界では、アメリカが断トツで、4,952 ha とフランス越え。オーストラリアが 3,114 ha と順当に次点です。その次に 1,188 ha のカナダが来そうなもんですが、意外にも中国が 1,600 ha で3番手です。まあ、中国が新世界なのかという問題もありますが。(笑)
(リースリングは中国語で「雷司令」だそうです。レイ・スー・リンと発音するようです。どうでもいいですが…。笑)

作り手訪問…したいんですが、例によってドイツはストビューなし。
PKSt.Antonius01
HP他を探してもワイナリーの外観写真は見当たりませんでした。ビロスさん親子の写真他を拝借して貼っておきます。

ナーエを俯瞰して位置関係や地形を確認。中央を流れるナーエ川はライン川の支流。
Nahe
ナーエ(Nahe)はドイツの13ある特定栽培地域(bestimmtes Anbaugebiet)のひとつで、ラインヘッセンのすぐ西側にあり、ベライヒ(Bereich)は Nahetal のひとつだけになります。約75%が白ワイン品種で、1位はやはりリースリング、28.9%を占めます。2位がミュラー・トゥルガウで12.0%。3位にやっと赤品種のドルンフェルダー(9.7%)が来ます。

ナーエは、同じくドイツの13ある特定栽培地域のひとつラインヘッセンと同じく、ラインラント・ファルツ州(Rheinland-Pfalz、州都はマインツ)にあります。ラインヘッセン自体は「ヘッセン」とつきますが、ヘッセン州(Land Hessen、州都はヴィースバーデン)にはないので気を付けてください。(ラインヘッセンの名前は、1816~1919年までこの地域に存在したヘッセン大公国が所有していた領地の「ラインヘッセン」という名前に由来。ヘッセン州とは地理的関係がありません。)ナーエはライン川を挟んでラインガウとも接します。(そして、ラインガウはヘッセン州にあります!)ご参考までに16あるドイツ連邦共和国の州の地図を貼っておきます。
Germany_16連邦州
ワインとは関係なさそうな気もしますが、「ベルクシュトラーセ(Bergstraße)」がヘッセン州に属するヘッシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstraße)と、バーデン・ヴュルテンベルク州に属するバーディッシェ・ベルクシュトラーセ(Badische Bergstraße)に分かれたように、行政区分は大いにワイン産地の分類に影響します。
バーディッシェ・ベルクシュトラーセ(Badische Bergstraße)はバーデンのベライヒですが、ヘッセン州側のヘッシッシェ・ベルクシュトラーセは独立したワイン生産地となっています。


ラベル平面化画像。
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長い一枚ものです。

インポーターシール。
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さあ、スクリュー回転。
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Alc.12%。
薄めのゴールドイエロー。
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青リンゴ、ライム。
結構ペトロール香あり。
柑橘系な酸がたっぷり乗った辛口アタック。
キレのある酸は量も多いですね。
味わいも柑橘系思わせるんですが、
立体的な構造もあり楽しめます。
爽やかさあり、夏場にいい感じです。


*****


Privatkellerei St.Antonius
Riesling 2019 Trocken
Nahe
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

Peter Jakob Kühn Spätburgunder 2018 Rheingau Trocken

会社の欧州拠点がドイツのヴィースバーデンにあるため、ヨーロッパ出張と言えばまずはフランクフルトに入ってラインガウを目指すことになります。(ラインガウを目指してるんじゃないですが…笑)そんな馴染みのあるラインガウは自分のドイツワインの基準点とも言えます。なので今日のように定期的に戻ってくるわけです。リースリングが有名ですが、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)も最高です。

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ペーター・ヤコブ・キューンはラインガウの中心部、エストリッヒの地で230年に渡りワイン作りをしているという家系だそうです。11代目のペーター・ヤコブさんが1978年に引き継いでから劇的に品質が上がり高い評価を受けているようです。2004年以降はビオディナミに転換。デメターの認証を取っています。

公式ページはおしゃれ系。パーカーおじさん98点なんて自慢げに書いてあったりします。

リースリングが主力のためか、今日のシュペートブルグンダーが載っていません。

・シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール) 100%

ショップ兼用のようなので品切れで載ってないのかもしれません。困りますね。ネット情報では新樽率50%のバリックで熟成(期間不明)とあったりします。

ペーター・ヤコブ・キューンを訪問。例によってドイツはストビューなしです。
PeterJakob02
エストリッヒ・ヴィンケル(Oestrich-Winkel)という町ですが、ハルガルテン、ミッテルハイム、エストリッヒ、ヴィンケルの各村が合併してできた町で、ペーター・ヤコブ・キューンは旧エストリッヒ村にあるようです。

ラインガウの地図に上のGoogle Mapの範囲を示しました。
Rheingau=Map
薄い赤色の四角です。近くにシュロス・フォルラーツ(Schloss Vollrads)やラインガウ唯一のベライヒ(Bereich)でもあるヨハニスベルク(Johannisberg)がありますね。この地図はラインガウ(Rheingau)公式ページから拝借しています。
ラインガウの約80%はリースリングです。(このブログで白ワインの記事を書くときに記事末に挙げている畑の画像がラインガウのリースリング畑です)詳しい比率はおおよそ以下のようになっています。リースリング:78.0%、ピノ・ノワール:12.2%、その他白品種:7.6%、その他赤品種:2.2% [2018年]

さて、今日のワインはネックにVDP. の鷲のマークがありますので、ペーター・ヤコブ・キューンは VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ということになります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークと共に表記されます。今日のワインはラインガウの地域名ワイン(Gutswein)になります。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trocken が併記されます。

以下は VDP. の格付けをピラミッド図にしたものです。
VDP
この図は VDP. のサイトから拝借したものに加筆しました。

ところで、このVDP. の格付けとは別に、2021年1月に新しいドイツワイン法が採択されました。(その後、連邦政府による最終承認を受け2021年5月7日に連邦法官報で発表。)1971年に改訂されている現行のドイツワイン法は収穫時のブドウの熟度をもとに品質が定義(i.e. Prädikatswein の等級)されていましたが、新法ではEUのワイン法の影響を受けてブドウの出どころ(地理的呼称範囲)が基準に格付けされます。VDP.(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)は私的団体であり、格付けを会員の中でやってるにすぎませんでしたが、今度は連邦政府公認の本物が出てきたということになります。これはこれで複数の格付けが存在することになり非常にややこしいですね。

この新法をピラミッド型の図で説明している資料が出回ってますが、ちょっと見かけを変えてまとめてみました。ピラミッドよりわかりやすくなったと思うんですが(笑)。

Germany_Wein_Classification

ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein)は原産地指定のない「ドイツワイン」のことで、2009年まではターフェルヴァイン(Tafelwein=テーブルワイン)と呼ばれていました。原産地が指定されると、g.g.A.geschützte geografische Angabe)となり、EU法のIGPに対応します。ラントヴァイン(Landwein=カントリー・ワイン)とも呼ばれ、26ありますので以下に挙げておきます。

・Ahrtaler Landwein
・Badischer Landwein
・Bayerischer Bodensee-Landwein
・Brandenburger Landwein
・Landwein Main
・Landwein der Mosel
・Landwein Neckar
・Landwein Oberrhein
・Landwein Rhein
・Landwein Rhein-Neckar
・Landwein der Ruwer
・Landwein der Saar
・Mecklenburger Landwein
・Mitteldeutscher Landwein
・Nahegauer Landwein
・Pfälzer Landwein
・Regensburger Landwein
・Rheinburgen Landwein
・Rheingauer Landwein
・Rheinischer Landwein
・Saarländischer Landwein
・Sächsischer Landwein
・Schleswig-Holsteiner Landwein
・Schwäbischer Landwein
・Starkenburger Landwein
・Taubertäler Landwein

g.U.geschützte Ursprungsbezeichnung)は13ある指定生産地域に対応し、EU法のAOPの位置づけです。ベライヒ名もしくは集合畑名を名乗る場合は、Bereich(ベライヒ)もしくは Region(レギオン)をつけなくてはならないようです。以降、村名、単一畑名と範囲が狭まるほど上位ランクということになります。さらに単一畑の中には1級や特級畑が設定されます。
これら新法の適用は移行期間が5年間あり、2026年のヴィンテージからは拘束力が発生します。また、Kabinett ~ Trockenbeerenauslese といった既存の呼称はこの新法の影響は受けずに残るようです。
以上が現在わかる範囲でまとめたものですが、間違いもあるかもしれませんので今後注視しつつ適宜修正していきたいと思います。


ラベル平面化画像。
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裏はインポーター都光の貼り替え。デメターのロゴは入れないのでしょうか。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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シンプルですがヴィンテージ表示しっかり入っています。

Alc.12.5%。
エッジはオレンジ味のルビー。
IMG_8002

ラズベリー、イチゴ、可愛らしい香りです。
樽っぽさは控えめながらダシ感はあります。
辛口アタック。
ほどよく酸の色どりがある感じ。
味わいは奥行きもあって木目も細かい印象です。
シルキーで上品と言った方がいいかな。
酸は始終いい仕事をしていいバランスを保ってくれます。
後味の伸びもうれしい。


*****

Peter Jakob Kühn
Spätburgunder 2018
Rheingau Trocken
RRWポイント 93点


Josef Biffar Deidesheim Kathrinenbild Pinot Noir Trocken NV

近所の「世界の酒 グランマルシェ」が3年前に閉まってから、少し離れた(車で30分ほど)2店舗を定期的に巡回するようになっています。ここはインポーター「徳岡」のワインが置いてあるので、やはり偵察するのを外せないんですよね。そんな偵察で見つけたドイツのピノ・ノワールが今日のワインです。徳岡がドイツに所有するヨーゼフ・ビファー醸造所(Weingut Josef Biffar)のお手頃ラインのようです。ネックに「日本食に合います!」のPOPがついていました。

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ヨーゼフ・ビファー醸造所は、フランス・リヨン近郊出身のビファー家がドイツの銘醸地ダイデスハイムに移り住み、1879年に始めたワイナリーです。2013年、後継を探していたビファー家は同じくダイデスハイムの地で活躍していた日本人女性醸造家の徳岡史子さんに出会います。ビファー家のワイン造りの伝統を受け継ぐ次世代としてワイナリーを託された徳岡さんは今や社長兼醸造家というお立場だそうです。

公式ページはさすが徳岡の所有ワイナリー。ドイツ語と日本語が切り替えられます。

今日のワインはNVですし、日本向けなのかHPには載っていません。なので徳岡のHPの情報を見ます。

・ピノ・ノワール 100%

と言っても、情報はほぼゼロ。ファルツ(Pfalz)の QbA(Qualitätswein bestimmter Anbaugebiete、クヴァリテーツヴァイン・ベシュテイムター・アンバウゲビーテ=指定栽培地域上質ワイン)ということしかわかりません。あと、Trocken と書いてあるので辛口ですね。

ラインラント・ファルツ州(Land Rheinland-Pfalz)のダイデスハイム(Deidesheim)にあるワイナリー、ヨーゼフ・ビファー醸造所を訪問します。
JosephBiffar01
例によってドイツにはストビューがないのでGoogle Mapに上がっていた写真を拝借。2022年2月とあるのでめっちゃ最近の写真ですね。よく見るとダイデスハイムの鉄道駅の前のロータリーにこの入り口は隣接しています。究極の駅近物件ですね(笑)。看板を見ると、ワイナリーにはレストラン「Fumi」というのが併設されているのがわかります。史子さんの「ふみ」でしょうね。日本食と自家ワインのマリアージュで人気だそうです。行ってみたいな~。

ファルツ(Pfalz)を俯瞰して位置関係を見ましょう。
Pfaltz_Germany
ファルツ(Pfalz)には南北に2つのベライヒ(Bereich)があります。北部の方がミッテルハルト(Mittelhaardt)、もしくはドイチェ・ヴァインシュトラーセ(Deutsche Weinstraße)=「ドイツワイン街道」と呼ばれ、南部の方がズードリッヒェ・ヴァインシュトラーセ(Südliche Weinstraße)=「南部ワイン街道」と呼ばれます。(それぞれのドイツ語名に公式ページをリンクしました。)今日の作り手のダイデスハイムは北側の Mittelhaardt - Deutsche Weinstraße ですね。
ファルツ(Pfalz)は、ドイツの13ある特定栽培地域(bestimmtes Anbaugebiet)のひとつで、ラインヘッセン(Rheinhessen)に次いでドイツで2番目に大きい産地です。2019年の品種構成を挙げておきましょう。

・白品種:65.7%、赤品種:34.3%
(1位)リースリング(Riesling):24.9%
(2位)ドルンフェルダー(Dornfelder):12.1%
(3位)グラウブルグンダー(Grauburgunder):7.7%
(4位)ミュラー・トゥルガウ(Müller-Thurgau):7.6%
(5位)シュペートブルグンダー(Spätburgunder):7.1%

今日のピノ・ノワール(Spätburgunder)は5位でしたね。


ラベル平面化画像。
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「Kathrinenbild」って何かと思ったらワイナリーの前の通りの名前でした。裏ラベルはなく、徳岡のシールと一体化してます。やはり日本市場専用品なのでしょうか。

これがネックに付いていたPOPです。
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徳岡さん自ら「和食に合います!」だそうで。


さあ、スクリュー回転。
IMG_7803
無印。

Alc.13.5%。
エッジオレンジ気味のルビー。NVですから複数のストックワインのブレンドでしょうか。
IMG_7804

ラズベリー、茎感少々、佃煮香も少々。
酸味も少々の辛口アタック。
ちょっと軽めの味わいですが落ち着きのある雰囲気。
和食に合うっていうのがわかる気がします。
あっさり感のピノ・ノワールでした。


*****

Josef Biffar
Deidesheim Kathrinenbild
Pinot Noir Trocken NV
RRWポイント 86点


Ihringer Spätburgunder 2020 Kaiserstuhl Baden

成城石井でお手頃価格のドイツのピノ・ノワールを発見。ドイツワインは上等なのは必ずおいしいんですが、お安いのはなかなかの冒険になります。出張でよくドイツへ行ってましたが、ホテルの近くのスーパーでワインを物色すると大概安いのしか置いてなくて、適当に選ぶと撃沈ということが多かった印象です(笑)。さあ、今日のこれはどうでしょう。

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作り手は、正式名称「Kaiserstühler Winzergenossenschaft Ihringen」といって、やはり協同組合でした。バーデン地方、イーリンゲン(Ihringen)にある約200のワイン生産農家が経済的困窮で1924年に結成したそうです。1936年に独自のワインセラーが建設されてからは発展しているそうですが、それまでの最初の10年ほどは苦難の時代だったようです。ワイナリーの紹介文で書いてあるぐらいですから、相当お辛かったんでしょうね。現在はメンバーも600人にもなり、合計300haの畑になるそうです。

公式ページは共同組合のそれですが、ショップ兼用ながらよくできています。

ショップのワイン紹介、ほぼ情報なしです。

・シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール) 100%

醸造に関する記述なし。価格的に樽はないでしょう。

イーリンゲン(Ihringen)の所在へ。例によってストビューなしです。
Ihringer01
上空から見るとかなり施設は大きい感じですね。セラー(写真)もすごい。


Google Map上でバーデン(Baden)を俯瞰して位置関係を見てみましょう。
Germany_Baden
作り手の所在があるカイザーシュトゥール(Kaiserstuhl)のベライヒは地図からわかるようにライン川の際にあり、川向うはコルマールの町、フランス・アルザス地方の中心地です。車で1時間とかからない距離です。

北から順に以下の9つのベライヒがあります。地図と照らし合わせてご確認ください。

・Bereich Tauberfranken(タウバーフランケン)
・Bereich Badische Bergstraße(バーディッシェ・ベルクストラーセ)
・Bereich Kraichgau(クライヒガウ)
・Bereich Ortenau(オルテナウ)
・Bereich Breisgau(ブライスガウ)
・Bereich Kaiserstuhl(カイザーシュトゥール)
・Bereich Tuniberg(トゥニベルク)
・Bereich Markgräflerland(マルクグレーフラーラント)
・Bereich Bodensee(ボーデンズィー)

周辺の地域もおおよその位置を描き込んでありますので合わせてご確認を。ファルツ(Pfalz)、ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstraße)、ヴュルテンベルク(Württemberg)のエリアは色付けしてますので位置関係確認に活用ください。バーデンの「ベライヒ・バーディッシェ・ベルクストラーセ」と「ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ」は地続きですが、「バーデンの~」と「ヘッセン州の~」という名前の違いから、同じエリアが州をまたいでいるために別地域になっていることがわかります。

バーデンの概要に触れておきます。13ある指定生産地域の中ではラインヘッセン、ファルツに次いで3番目の生産量を誇ります(15,828ha)。ドイツでも最南のエリアで最も暖かい地域になり、ドイツで唯一Bゾーンに分類されています。(EUが栽培地域の気候特性によりゾーン分けしています。ドイツの他地域は冷涼なAゾーンになります。)赤・白ワインの比率は41%:59%で若干白が優勢です。

ドイツに13ある指定生産地域の中でも、バーデン地方(Baden)は南北にライン川に沿って広がり、他のエリアと比べてかなりの広範囲をカバーしています。ということは理解しているものの、ほぼフランケン地方の「タウバーフランケン(Tauberfranken)」や南の端のボーデン湖のほとりの「ボーデンズィー(Bodensee)」までバーデンに属することを前々から不思議に思っていました。

大抵こういう生産地の切り分けは行政区分が大きく関わっていることが想像されるので、ドイツの行政区分をおさらいしてみました。以下の地図のバーデン・ヴュルテンベルク州をご参照。
Germany_Baden
フランケン地方はバイエルン州で、タウバーフランケンは州をまたがりバーデン・ヴュルテンベルク州にあることがわかりました。なるほどタウバーフランケンはバーデンに属するわけです。
もうひとつ、「バーデン大公国」というのをインポーズしましたが、これは12世紀にツェーリンゲン家を領主とするバーデン辺境伯領(Markgrafschaft Baden)として成立したもので、19世紀にはバーデン大公国としてドイツ国の構成国になっていた地方国家です。ドイツ革命による君主制廃止(1918年、以後バーデン共和国へ)を経て、ヴュルテンベルク自由人民州と合併してバーデン・ヴュルテンベルク州(1952年)となりました。何が言いたいかというと、タウバーフランケンからボーデンズィーまでのエリアがちょうどこのバーデン大公国に当たるわけで、これら広大な範囲を「バーデン」と一括りにしている理由がなんとなく判明したというわけです。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルの下半分、剥がし跡が汚いです。作り手の正式名称や、ワインメーカーのサインなど情報量が結構ありました。

それをこんな風に隠してあったというわけです。
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せめて剥がしやすいシールにしてくれ~!


さあ、スクリュー回転。
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Alc.13.5%。
しっかりしたルビー。
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ラズベリー、イチゴジャム。
甘やかな芳香です。
辛口アタック。
酸味はほどよくバランスは良さそうです。
ちょっと弱めの実体ながら、水くさくはないです。
こういう軽めはいいですね。
結構楽しめた〜。
安くてもいいのもあるんですね。


*****

Ihringer
Spätburgunder 2020
Kaiserstuhl Baden
RRWポイント 90点


Egon Müller Scharzhof 2019 Riesling QbA

家飲みがすっかり定着している今日この頃。都会でちょっといいワインもいただかねばと久しぶりに出かけました。お目当ては、ドイツワインの頂点に君臨するというエゴン・ミュラーです。白ワインの最高峰とも言われるリースリングのお味とは…。

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エゴン・ミュラーの歴史は古く、フランス革命後まで遡ります。11世紀、ドイツではベネディクト派の修道院により、現在のオルツタイルラーゲと呼ばれている特別単一畑の一つ、シャルツホーフベルクが開墾されましたが、フランス革命時に革命政府が没収。しかしその後1797年、コッホ家がこの土地をフランス政府から譲り受けることとなり、当時コッホ家の婿として迎えられた人物がエゴン・ミュラー1世であったことから、エゴン・ミュラー・ワインの歴史が始まりました。…と、エノテカのサイトからコピペしておきます。

今回は写真の3種がお試しできましたが、選んだのは一番辛口のシャルツホーフ(一番左)。
IMG_1587
これはクヴァリテーツワイン(Qualitätswein)、いわゆる QbA(Qualitätswein bestimmter Anbaugebiete =特定産地上質ワイン)に当たり、エゴン・ミュラーではエントリークラスになるようですね。残りの2つは、シャルツホーフベルガー・リースリング・カビネット(Kabinett:通常収穫の完熟ブドウ、最低エクスレ度:67〜82)とシュペートレーゼ(Spätlese:Kabinettより7日間以上遅い遅摘み、最低エクスレ度:76〜90)で、甘口になります。

公式ページは…なんと工事中。困りますね~。

エノテカのHPなどを参考にします。

・リースリング 100%

自社畑で収穫したブドウをブレンドして造られる、以上の情報は見当たりませんでした。早く公式ページ復旧いただきたいですね。

エゴン・ミュラーを訪問します。ヴィルティンゲン(Wiltingen)という町です。
IMG_1594
コンツ(Konz)の町でモーゼル川に合流するザール川(Saar)の近くです。モーゼル地域に6つあるベライヒで言うとザール(Bereich Saar)のエリアになります。

モーゼルは13ある特定生産地域のひとつです。Google Mapで俯瞰してベライヒやエゴン・ミュラーの所在を確認します。
Mosel_All_Final
6つのベライヒがありますが、それぞれの栽培面積を見ます。

・Bernkastel(5,618 ha)<Trier ~ Briedel>
・Burg Cochem(1,168 ha)<Zell ~ Koblenz>
・Saar(799 ha)<Serrig ~ Konz>
・Obermosel(749 ha)<Palzem ~ Igel>
・Ruwertal(197 ha)<Sommerau ~ Ruwer>
・Moseltor(125 ha)<Perl / Saarland州>

ベルンカステル(Bereich Bernkastel)が圧倒的に規模が大きいですね。<>内は対象範囲の町の名前です。

ドイツ全体の地図を見ます。13のワイン生産地域の中での位置関係はこうです。
German_Wine_Regions
モーゼルは白ワインがかなりを占めているのがわかります。こんな割合。

・白品種 90.7%(7,850 ha)
・赤品種 9.3%(805 ha)

品種はリースリングが大半です。以下が上位3品種。

・リースリング 62.5%(5,412 ha)
・ミュラー・トゥルガウ 9.4%(813 ha)
・エルプリング(Elbling) 5.4%(465 ha)

以上、上位3品種が全部白。4位にピノ・ノワール(4.8%)が来ます。


ラベル普通に撮影画像。
IMG_1603
最新のiPhone13に機種変したんですが、パノラマ撮影でラベルの平面化がうまくできないことに気づきました。最悪です。iPhone SEに再機種変しないといけないのか?(涙)

さあ、いただきましょう。
Alc.10.5%。
淡い淡いゴールド。
IMG_1604

レモンライム。
ぺトロール香しっかりありますが、楽しめる爽やかな香り。
ミンティーに鼻腔へ入ってきます。
アタックでクールな甘味が入ってきます。
キリッとした酸です。
ミネラル感も見事に融合してます。

確かに次元の違ううまさです。
甘いリースリングもいいですね。


*****


Egon Müller
Scharzhof 2019
Riesling QbA
WWWポイント80点



WhiteWhiteWine01

Franz Keller Spätburgunder vom Löss 2018

なかなかハズレが少ないと常日頃思っているドイツのピノ・ノワールをいただきます。ドイツ語ではシュペートブルグンダー(Spätburgunder)と呼ばれ、「Spät(遅い)+burgunder(ブルゴーニュの)」という意味です。なので生育が「遅い」品種かと思いきや、ピノ・ノワールは早熟な品種だそうで。冷涼なドイツではゆっくり成熟させてしっかりした果実に育てましょうというアドバイスが名前になったんでしょうかね(笑)。産地は久しぶりのバーデン(Baden)です。

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作り手のフランツ・ケラーは、バーデン地方のカイザーシュトゥール(Kaiserstuhl)にて1893年にワイン貿易商として創業の歴史ある家族経営のワイナリーで、1960年代からは自社畑でブルゴーニュ品種を育てています。現在は5代目のフレードリッヒ・ケラーさんが醸造責任者だそうで、パーカーおじさんも「バーデンで最も素晴らしいピノ・ノワールを造る」と絶賛するように近年の評価も高いようです。


公式ページはホテル・レストラン・ネゴシアン業も含む総合サイト。多角経営が見て取れます。

ワイン紹介もデータシート付きでしっかり情報があります。

・ピノ・ノワール 100%

ランクは VDP. の Gutswein(地域名ワイン)ということでローレンジになり、自社ブドウと買いブドウのブレンドのようですが、1/3を全房発酵、ブルゴーニュの一流樽メーカーのフレンチオーク旧樽で12ヶ月熟成などとこだわりの作りです。


フランツ・ケラー訪問。なんと山肌の畑のテラスと一体化しています。
FK01
カイザーシュトゥール(Kaiserstuhl)のベライヒは下の地図からわかるようにライン川の際にあり、川向うはコルマールの町、フランス・アルザス地方の中心地です。車で1時間とかからない距離です。

このように、ドイツに13ある指定生産地域のひとつバーデン地方(Baden)は大部分をフランスのアルザス地方と南北にライン川で接しています。ということは理解しているものの、ほぼフランケン地方の「タウバーフランケン(Tauberfranken)」や南の端のボーデン湖のほとりの「ボーデンズィー(Bodensee)」までバーデンに属することが前々から不思議に思っていました。

大抵こういう生産地の切り分けは行政区分が大きく関わっていることが想像されるので、ドイツの行政区分をおさらいしてみました。以下の地図のバーデン・ヴュルテンベルク州をご参照。
Germany_Baden
フランケン地方はバイエルン州で、タウバーフランケンは州をまたがりバーデン・ヴュルテンベルク州にあることがわかりました。なるほどタウバーフランケンはバーデンに属するわけです。
もうひとつ、「バーデン大公国」というのをインポーズしましたが、これは12世紀にツェーリンゲン家を領主とするバーデン辺境伯領(Markgrafschaft Baden)として成立したもので、19世紀にはバーデン大公国としてドイツ国の構成国になっていた地方国家です。ドイツ革命による君主制廃止(1918年、以後バーデン共和国へ)を経て、ヴュルテンベルク自由人民州と合併してバーデン・ヴュルテンベルク州(1952年)となりました。何が言いたいかというと、タウバーフランケンからボーデンズィーまでのエリアがちょうどこのバーデン大公国に当たるわけで、これら広大な範囲を「バーデン」と一括りにしている理由が判明したというわけです。

さあ、疑問も晴れたので今一度バーデンの地図をGoogle Map上に描いてみます。
Baden00GM
北から順に以下の9つのベライヒがあります。地図と照らし合わせてご確認ください。

・Bereich Tauberfranken(タウバーフランケン)
・Bereich Badische Bergstraße(バーディッシェ・ベルクストラーセ)
・Bereich Kraichgau(クライヒガウ)
・Bereich Ortenau(オルテナウ)
・Bereich Breisgau(ブライスガウ)
・Bereich Kaiserstuhl(カイザーシュトゥール)
・Bereich Tuniberg(トゥニベルク)
・Bereich Markgräflerland(マルクグレーフラーラント)
・Bereich Bodensee(ボーデンズィー)

周辺の地域もおおよその位置を描き込んでありますので合わせてご確認を。ファルツ(Pfalz)、ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstraße)、ヴュルテンベルク(Württemberg)のエリアは色付けしてますので位置関係確認に活用ください。バーデンのベライヒ・バーディッシェ・ベルクストラーセヘシッシェ・ベルクシュトラーセは地続きですが、「バーデンの~」と「ヘッセン州の~」という名前の違いから、州をまたいでいるために別地域になっていることがわかります。
バーデンの概要に触れておきますと、13ある指定生産地域の中ではラインヘッセン、ファルツに次いで3番目の生産量を誇ります(15,828ha)。ドイツでも最南のエリアで最も暖かい地域になり、ドイツで唯一Bゾーンに分類されています。(EUが栽培地域の気候特性によりゾーン分けしています。ドイツの他地域は冷涼なAゾーンになります。)赤・白ワインの比率は41%:59%で若干白が優勢です。

ところで、このブログでは過去に未だ触れていなかったのですが、2021年1月に新しいドイツワイン法が採択されています。(その後、連邦政府による最終承認を受け2021年5月7日に連邦法官報で発表。)1971年に改訂されている現行のドイツワイン法は収穫時のブドウの熟度をもとに品質が定義(i.e. Prädikatswein の等級)されていましたが、新法ではEUのワイン法の影響を受けてブドウの出どころ(地理的呼称範囲)が基準に格付けされます。今日のワインもそうですが、VDP.(ドイツ高品質ワイン醸造家協会)という私的団体が同様の格付けを会員の中で既にやっていますが、今度は連邦政府公認の本物が出てきたということです。これはこれで複数の格付けが存在することになり非常にややこしいです。この新法をピラミッド型の図で説明している資料が出回ってますが、ちょっと見かけを変えてまとめてみました。ピラミッドよりわかりやすくなったと思うんですが(笑)。
Germany_Wein_Classification
ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein)は原産地指定のない「ドイツワイン」のことで、2009年まではターフェルヴァイン(Tafelwein=テーブルワイン)と呼ばれていました。原産地が指定されると、g.g.A.geschützte geografische Angabe)となり、EU法のIGPに対応します。ラントヴァイン(Landwein=カントリー・ワイン)とも呼ばれ、26ありますので以下に挙げておきます。

・Ahrtaler Landwein
・Badischer Landwein
・Bayerischer Bodensee-Landwein
・Brandenburger Landwein
・Landwein Main
・Landwein der Mosel
・Landwein Neckar
・Landwein Oberrhein
・Landwein Rhein
・Landwein Rhein-Neckar
・Landwein der Ruwer
・Landwein der Saar
・Mecklenburger Landwein
・Mitteldeutscher Landwein
・Nahegauer Landwein
・Pfälzer Landwein
・Regensburger Landwein
・Rheinburgen Landwein
・Rheingauer Landwein
・Rheinischer Landwein
・Saarländischer Landwein
・Sächsischer Landwein
・Schleswig-Holsteiner Landwein
・Schwäbischer Landwein
・Starkenburger Landwein
・Taubertäler Landwein

g.U.geschützte Ursprungsbezeichnung)は13ある指定生産地域に対応し、EU法のAOPの位置づけです。ベライヒ名もしくは集合畑名を名乗る場合は、Bereich(ベライヒ)もしくは Region(レギオン)をつけなくてはならないようです。以降、村名、単一畑名と範囲が狭まるほど上位ランクということになります。さらに単一畑の中には1級や特級畑が設定されます。
これら新法の適用は移行期間が5年間あり、2026年のヴィンテージからは拘束力が発生します。また、Kabinett ~ Trockenbeerenauslese といった既存の呼称はこの新法の影響は受けずに残るようです。
以上が現在わかる範囲でまとめたものですが、間違いもあるかもしれませんので今後注視しつつ適宜修正していきたいと思います。


ラベル平面化画像。
IMG_7161
「BADEN」。新法で行けば、Anbaugebiet、地域名ワイン(Gutswein)ですね。


さあ、抜栓。
IMG_7556
今日の作り手は VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ですのでネックに VDP. のワシのマークがあります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークと共に表記されます。今日のワインはやはりバーデンの地域名ワイン(Gutswein)になります。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trocken が併記されます。

以下は VDP. の格付けをピラミッド図にしたものです。ドイツ新ワイン法と比べてください。
VDP
この図は VDP. のサイトから拝借したものに加筆しました。

コルク平面化。
IMG_7558

Alc.12.5%。
透けるルビー。
IMG_7559

ラズベリー、ブルーベリー。
しっとりした佃煮香(熟成香)を感じます。
辛口アタック。
かすかな苦味が複雑味を与えています。
果実味のしっかり立ったふくらみのある味わい。
ブルゴーニュのような独特のひなびた感はないんですが、
同様の深みは楽しめました。
うん、やはりドイツのピノはいい。


*****

Franz Keller
Spätburgunder vom Löss 2018
RRWポイント 93点


Divino Franconia Silvaner 2018 Nordheimer Vögelein Kabinett Trocken

特徴的な形状のボトル、これをボックスボイテル(Bocksbeutel)といいます。それだけでドイツ、フランケンのワインだとわかります。過去いくつかフランケンのワインは試していますが、代表的な土着品種であるジルヴァーナーSilvaner)は今回は初めて。そこら辺を掘り下げつついただいてみましょう。

IMG_7219
作り手の「DIVINO」は1951年にマイン川沿いのノルトハイム・アム・マイン(Nordheim am Main)に創設されたワイン協同組合です。2012年には、ヴュルツブルク(Würzburg)の近くのテュンガースハイム(Thüngersheim)の協同組合を併合して、現在合計360haの畑、284のワイン生産者を抱えています。フランケンでは2番目に大きなワイナリーということになるそうです。


公式ページはさすが大手協同組合、内容含めしっかりしたものです。

今日のジルヴァーナーも最新ヴィンテージの2020年になっていますがデータシートも完備です。

・ジルヴァーナー 100%

「Nordheimer Vögelein」は「ノルトハイムの小鳥」という意味のようですが畑名でしょうか。フランケンのこの地方の典型的な土壌は貝殻石灰岩だそうで、その特徴を反映したフランケンらしいワインに仕上がってるとのこと。ステンレスタンクで発酵、樽はありません。

これがジルヴァーナーですが、正式名称を「Grüner Silvaner」といいます。
Silvaner01
1998年に行われたDNA分析では、Traminer(Savagnin Blanc)x Österreichisch-Weiß の自然交配だろうということがわかっています。原産はオーストリアになります。1990年頃まではリースリングよりポピュラーだったそうですが、現在はドイツ全体の5%(4,744ha)しか栽培されていません。しかしながら、フランケンでは全体の24.3%(2017年)を占め、フランケンの代表品種となっています。実はフランケン地方ではミュラー・トゥルガウ(Müller-Thurgau)の方が若干の差で(ミュラー・トゥルガウはフランケン全体の25.9%)最も多く栽培されているんですが、フランケンのテロワールを体現できるジルヴァーナーを再びフランケン第一の品種に復活させようという動きがワイン生産者の中で起こっているそうです。

※ 2019年最新データを見るとジルヴァーナーが僅差で1位(!)。1位奪還達成してますやん。
・Silvaner (24.8%)
・Müller-Thurgau (24.3%)
・Bacchus (12.3%)
ちなみにフランケンの白:赤の比率は、82%:18% だそうです。 

「Grüner Silvaner」の「Grüner」は「緑色の~」という意味です。ということは他の色のジルヴァーナーもあるのかなと察しますが、その通り。赤(Roter~)と青(Blauer~)があります。
Silvaner02
Roter Silvaner は「グリ」っぽいですね。Blauer Silvaner は青というより黒ブドウですね。実際「Schwarzer(黒い)Silvaner」とも呼ばれます。これらはジルヴァーナーから突然変異で生まれたため、(グリューナー)ジルヴァーナーとは遺伝的には区別がないそうです。


さて、ノルトハイム・アム・マイン(Nordheim am Main)の DIVINO を訪問します。
Divino01
例によってストビューがないのでGoogle Mapに上がっていた写真を拝借。ショップやテイスティングルーム完備の立派な施設です。小さな町の大きな施設という感じ。合併したテュンガースハイム(Thüngersheim)はちょっと離れています。(下の地図の左端)


フランケン全体を見てみましょう。マイン川がシュヴァインフルトあたりから大きく蛇行して「W」を描きながらフランクフルトまで続きます。これら河畔の地域がフランケンです。
Franken01
地図に示したようにフランケンは大きく3つのベライヒ(Bereich)に分類されます。

Mainviereck(マインフィアエック/マイン四角地帯 )
 一番西側、フランクフルト寄り。(フランケン全体では少量の)ほぼリースリングのみ。

Maindreieck(マインドライエック/マイン三角地帯)
 真ん中のヴュルツブルクを含む三角形の地帯。フランケン全生産量70%以上占める。

Steigerwald(シュタイガーヴァルト )
 一番東側、四角でも三角でもないところ(笑)。

ややこしいのが、これ以外に、タウバー川沿いのベライヒが、Tauberfranken(タウバーフランケン)といってバーデン(Baden)地域に属します。

ドイツの13ワイン生産地域の中でのフランケンの位置関係を確認。「W」の形ですね。
German_Wine_Regions
何気にネットで拾った地図を貼りましたが、いい地図ですね。色分けでわかりやすい上に、主要品種が赤・白比率で示してあり、視覚的に理解ができます。フランケンは白が大半、ジルヴァーナーミュラー・トゥルガウに及ばないことになっています。赤品種はピノ・ノワールだけ書いていますがフランケンではドミナも多いです。

ラベル平面化画像…と言うっか、ボックスボイテルは元から平面です(笑)。
IMG_7081
「Kabinett Trocken」の表示がありますので、等級についておさらいしておきます。

クヴァリテーツワイン(Qualitätswein)、QbA(Qualitätswein bestimter Anbaugebiete =特定産地上質ワイン)の上位に補糖が認められないプレディカーツヴァインPrädikatswein)、旧称QmP(Qualitätswein mit Prädikat =肩書き付き上質ワイン)があります。
Kabinett
プレディカーツヴァインは果汁糖度(エクスレ度)により以下の6つのクラスに分けられます。
ブドウ果汁の比重を利用し、1000mlが1001gあれば1エクスレ(Öchsle)度と表します。

Kabinett:通常収穫の完熟ブドウ(最低エクスレ度:67〜82)
Spätlese:Kabinettより7日間以上遅い遅摘み(最低エクスレ度:76〜90)
Auslese:Spätleseより糖度の高い房選り収穫(最低エクスレ度:83〜100)
Beerenauslese:より過熟した粒選り収穫(最低エクスレ度:110〜128)
Trockenbeerenauslese:貴腐ブドウ(最低エクスレ度:150〜154)
Eiswein:樹上で自然凍結したブドウを使用(最低エクスレ度:110〜128)

「Kabinett Trocken」となると辛口です。甘口・辛口は以下ように表示。
SWEET
・トロッケン(Trocken)は最高残糖分9g/L以下の極辛口ワインです。
・ハルプトロッケン(Halbtrocken)は最高残糖分18g/L以下の半辛口。
・ファインヘルプ(Feinhelb)は残った糖分の甘さも感じられる半辛口。
・リーブリッヘ(Liebliche)は「愛らしい」甘さ?
・ズーズ(süßsüss)は「めちゃ甘」でしょうね。

さあ、スクリュー回転。
IMG_7217
キャップ、ネックにはシンボルマーク入りですね。

Alc.13.5%。
オレンジ気味のイエロー。
IMG_7218

青リンゴ、白い花、金柑。
なんとなくペトロールっぽくも。
なめらかな酸のある辛口アタック。
クールな感じの柑橘系の風味。
コッテリでなくアッサリ系ですね。
ミネラル感も効いてるんですが、
やはり最後まで薄味アッサリの印象です。


*****


Divino
Franconia Silvaner 2018
Nordheimer Vögelein
Kabinett Trocken
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

Weingut Haart Riesling 2016 Piesporter Goldtröpfchen GG Trocken Mosel

モーゼルのリースリングをいただきますが、GGとあるように Großes Gewächs、フランス語でいう Grand Cru(特級畑)になります。つまり、ちょっといいやつ。実はこれクリスマスイブに抜栓しています。なんとなく最近のクリスマスは昔出張でよく行っていたドイツのクリスマス・マーケット(Weihnachtsmarkt)等が懐かしく思い出され、ドイツ風に過ごしたいななどと訳の分からないことを思っています。グリューワインを飲んだりしてるのもそのためです。

IMG_7013
作り手のラインホールト・ハールトはモーゼルの銘醸地ピースポート村(Piesport)で1337年(!)からワインづくりをしているというピースポルトで最も古い伝統的な家族経営のワイナリーです。これはヨーロッパ全土でも最古の部類といいます。そこが持つ、ピースポート最高の銘醸畑「ゴルトトレプヒェン(Goldtröpfchen =「黄金の滴」の意味)のVDP. 認定の特級畑(GG)が今日のワイン。パーカーおじさんも2018年に91+点をつけているようです。

クリスマスにはドイツ風にこのクリスマスピラミッドを飾ります。
IMG_7015
ドイツ語でヴァイナハツピラミーデ(Weihnachtspyramide)といい、ドイツのクリスマスの飾り物の定番。これは以前にドイツ人の同僚からもらったものです。ろうそくの熱(上昇気流)が上の羽根を回し、真ん中の飾り物がくるくる回ります。眺めているだけで楽しくなります。


公式ページはしっかりしたのがあるんですが、スクロール式でめっちゃ使いにくいです。

畑の紹介など情報は豊富ですが、ワイン紹介はショップページを見ないといけません。

・リースリング 100%

手摘みですが、11月初旬の収穫だそうです。完熟したブドウからさらに芳香の強いものを選果するとのこと。収量は 50hl / ha とかなり低くなるようです。伝統的な発酵を行い、6~8ヶ月シュールリーで熟成させ、1回だけ濾過して瓶詰めされます。


ピースポート村のラインホールト・ハールトを訪問します。
Haart_Piesport
例によってストビューがないのでHPより写真を拝借しています。ピースポート最高の畑「ゴルトトレプヒェン(黄金の滴)」はピースポートの集落から見るとモーゼル川を挟んだ向こう側、南向きの 60ha の急な斜面に広がっています。粘土質の灰色の粘板岩(スレート)でできているのが特徴です。

facebookに別アングルの写真がありました。畑の姿がわかりやすいですね。
Haart_Piesport2
ピースポートはローマ時代のブドウ圧搾機の遺跡もあるという2000年の歴史を持つ集落です。そんな感じがする写真ですね。


今日の作り手は VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ですのでネックに VDP. のワシのマークがあります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークと共に表記されます。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trocken が併記されます。

今日のワインは「Grosse Lage - GG」。ゴルトトレプヒェン(Goldtröpfchen)の畑の中でも特級に認定されています。以下は VDP. 格付けのピラミッド図にしたものです。
VDP
この図は VDP. のサイトから拝借したものに加筆しました。


ドイツのワイン生産地とモーゼル(Mosel)の位置関係を見ておきます。モーゼルは、2006年までモーゼル・ザール・ルーヴァー(Mosel-Saar-Ruwer)と呼ばれていました。
German_Wine_Regions
この地図、色分けでわかりやすい上に、主要品種が赤・白比率で示してあり、視覚的に理解ができます。モーゼルは白ワインが主で(白:赤=90.6%:9.4%)、リースリング(62.2%)やミュラー・トゥルガウ(10.2%)が多いです。赤はピノ・ノワールが少々(4.6%)。(2019年データ)

Google Map上でピースポート村のあるベルンカステルのベライヒを示します。
Mosel_Bernkastel
モーゼルには以下の6つのベライヒがあります。左にインポーズしたモーゼル全体の地図を見ると銘醸畑の数や総面積でベルンカステルが圧倒的なのがわかります。また、「モーゼル・ザール・ルーヴァー(Mosel-Saar-Ruwer)」という旧呼称は、ザール川(Saar)とルーヴァー川(Ruwer)というモーゼル川の支流を含めた呼び名だったということにも気づきますね。

・Bereich Burg Cochem(ブルク・コッヘム)
Bereich Bernkastel(ベルンカステル)
・Bereich Ruwertal(ルーヴァータール)
・Bereich Saar(ザール)
・Bereich Obermosel(オーバーモーゼル)
・Bereich Moseltor(モーゼルトール)

モーゼルはドイツでもっとも西側で、ライン川支流のモーゼル川両岸および、さらにその支流のザール川・ルーヴァー川流域に広がる産地ということがわかりました。西端(モーゼル川上流側)はフランス国境に達しています。


ラベル平面化画像。
IMG_6344
VDP. のマーク、GG(Großes Gewächs)と共に Qualitätswein、Trocken の表記がありますね。


さあ、抜栓。
IMG_7010
ネックに鷲のマークと共に「VDP. GROSSE LAGE」と記されています。

コルク平面化。
IMG_7011

Alc.12.5%。
濃い目のゴールドイエロー。
IMG_7012

黄桃、りんご、ペトロールとお香の感じがしました。
甘みがかすかにありますがトロッケンです。
味も青リンゴの風味。
コテっとはしてないですが重みがあります。
さすがに特級と思わせる、深み・奥行きです。
後味は割とあっさり、軽く終わりました。
リースリングのいいところです。


*****


Weingut Reinhold Haart
Riesling 2016
Piesporter Goldtröpfchen GG
Trocken Mosel
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Familie Friedrich Becker Pinot Noir 2017

キツネとブドウの木のラベルがかわいい、フリードリッヒ・ベッカーのピノ・ノワールをいただきます。ドクター・ヘーガー(Dr. Heger)@バーデン、フュルスト(Fürst )@フランケン、マイヤー・ネーケル(Meyer-Näkel)@アールなどと並び称されるドイツのピノ・ノワールのトップ生産者のひとつです。彼らはお互い離れていたのに、同時期にバリックを使い始めたというところが共通してるそうです。優秀な生産者は考えることが同じってことですね。

IMG_6716
パパ・フリードリッヒさんは先代から引き継いだ畑でできたブドウを協同組合に売るのをやめ、1973年に元詰めを始めたのが Weingut Friedrich Becker の創業です。その後、息子フリードリッヒ(ジュニア)さんが加わり、2006年「ゴーミヨ」で今最も注目に値する醸造家に贈られる、「ライジング・スター」賞を受賞して以来、9年連続「最優秀赤ワイン賞」も受賞。現在はドイツワイン界のみならず世界的に高い評価を受けています。


公式ページは、情報は詰まってそうですが手作り風のショボい感じです。

トップページにはパパ・息子・フリードリッヒⅢ(まだ赤ちゃん)三世代の写真が載ってます。

・シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール) 100%

HPに載ってるシュペートブルグンダーは VDP. の格付けのあるものばかりで、今日のただの Qualitätswein trocken は見当たりません。エントリーラインになるんでしょうね。インポーター情報から総合すると、オークの大樽(80%)、小樽(20%)の混成(新樽はなし)で~12ヶ月の熟成のようですが、真相は不明。


ファルツ(Pfaltz)最南端、シュヴァイゲン(Schweigen)にあるフリードリッヒ・ベッカー。
F.Becker01
例によってストビューがないので、こんな写真を拾いました。シュヴァイゲンの集落の中にあるようですが、なんとこの町、フランスとの国境ギリギリにあります。そして所有畑の70%はフランス側にあるというから驚きます。生産地域の分類からするとアルザスです(笑)。植えているのはほとんどがドイツクローンですが、一部フランスクローンの古木もあり、複雑味を生むんだそうです。しかし、収穫したブドウはドイツに輸入するってことになるんでしょうかね(笑)。


さあ、ファルツ(Pfaltz)を俯瞰して位置関係を確認します。フリードリッヒ・ベッカーはファルツの南の先端、フランスとの国境にあるのがわかりますね。
Pfaltz_Germany
ファルツ地方(Pfaltz)全体は、西はザールラント州(Saarland)、北はラインヘッセン地方(Rheinhessen)、東のライン川の対岸はバーデン地方(Baden)、そして南はフランスのアルザス地方に隣接しています。
地図にも書き込んでいますが、ファルツは2つの大きなベライヒに分かれおり、北部がミッテルハルト(Mittelhaardt)、もしくはドイチェ・ヴァインシュトラーセ(Deutsche Weinstraße)=「ドイツワイン街道」と呼ばれ、南部がズードリッヒェ・ヴァインシュトラーセ(Südliche Weinstraße)=「南部ワイン街道」と呼ばれます。今日の作り手フリードリッヒ・ベッカーは南側のベライヒ・ズードリッヒェ・ヴァインシュトラーセにあるということになります。実はこのズードリッヒェ・ヴァインシュトラーセはドイツ最大のベライヒになるそうです。
そもそもファルツには 23,600ha もの畑があり、ラインヘッセン(Rheinhessen)に次いでドイツで2番目に大きなワイン生産地です。(3位はバーデンです。)ドイツワインの3分の1がファルツって計算になります。ファルツの6割(62.3%)が白ワインなんですが、全体がでかいので、残り4割の赤だけでファルツがドイツ最大の赤ワイン生産地になるといいます。ファルツの中で一番多い黒ブドウ品種が、その1/3以上を占めるドルンフェルダーです。


ラベル平面化画像。
IMG_6608
このイラスト、イソップ物語「キツネとブドウ(The Fox and the Grapes)」の童話の挿絵から来てるそうです。『おいしそうなブドウを見つけたキツネがいくらジャンプしても届かず、「どうせ酸っぱくてまずいブドウ」だと捨て台詞を残して退散した』話で、「負け惜しみ」の代名詞になってる逸話です。
フリードリッヒ・ベッカーが協同組合にブドウを売らずに元詰めを始めた頃、まだまだ甘いワインが主流だったドイツでは辛口ワインは「酸っぱくてまずいブドウ」と批判されたそうです。その悔しい経験をラベルでうまいこと揶揄してるんですね。


さあ、スクリュー回転。
IMG_6717
キャップには例のキツネがシンボルマークになっています。

Alc.13.5%。
ルビー。エッジはクリア感あり。
IMG_6715

ラズベリー、ダークチェリー、おがくず、ダシ。
おだやかな酸を纏った辛口アタック。
味の厚みはしっかりあるんですが酸がそれを軽めに感じさせます。
複雑な要素も発見しますが、そっと添えてある感じで主張しません。
余韻もそんなこんなで愛想ないんですが、飲んで良かったと思える味です。

エントリーとしては上級クラスの味を期待させるうまい作りと感じました。
ちょっといいのも飲んでみようと思います。


*****

Weingut Friedrich Becker
Pinot Noir 2017
RRWポイント 90点


Zehnthof Luckert Sulzfelder Spätburgunder Trocken 2017

ドイツのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)。今日のはフランケンのものです。フランケンはボックスボイテルのミュラー・トゥルガウドミナなんかは試していますが、ピノ・ノワールは初めてです。過去に出会ったドイツのピノは素晴らしいものが多かったので常に期待してしまいますが、今日のもなかなか評価の高い作り手のようですから、楽しみです。

IMG_6287
作り手は、フランケン地域のズルツフェルト(Sulzfeld)という町にある家族経営のワイナリー。初代テオ(Theo)さんとルイトガルト(Luitgard)さんのルッカート(Luckert)夫妻が1960年代初めにブドウ栽培を始めたのがワイナリーの始まりです。1975年に家族は1558年に建てられたという「Zehnthof」という歴史ある所に移り住み、12年かけて改装、本拠地とします。ワイナリーの名前はここから来ています。現在では16haの畑を所有し、ビオディナミを実践してシルヴァーナーを中心に国内外で評価の高いワインを生産しています。


公式ページは奇をてらった横スクロールで使いにくし(笑)。

情報も豊富とは言えない感じですね。

ワイン情報はショップサイトで確認するしかありません。

今日のワインも載ってはいますが、醸造情報や畑情報は残念ながらありません。
・ピノ・ノワール 100%
ということしかわかりません。お値段は14ユーロとなっています。日本円換算で1,800円ほどですね。ん?ちょっと待てよ…。今日のワインは半額セールですごく安く手に入れたと思っていたんですが、値引き前価格が7,700円(税込) でしたから、半額でも現地の倍ほどしてます。これだから日本の販売価格とか定価の真偽のほどが疑わしくなってくるんですよね。

今日の作り手は VDP.(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会」の会員ですのでネックに VDP. のワシのマークがあります。VDP. は、1910年に独自に審査・認定を始め、フランス式に畑に格付けをしています。ドイツのワイン法に基づかない私的団体ですから、メンバーでないとこの表示はありません。

VDP.の等級は以下のようになっていて、ワシのマークともに表記されます。

Gutswein(グーツヴァイン)・・・地域名ワイン
Ortswein(オルツヴァイン)・・・村名ワイン
Erste Lage(エアステ・ラーゲ)・・・1級畑ワイン
Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)・・・特級畑ワイン
 この特級畑からの辛口ワインには、特に、
Grosses Gewächs(グローセス・ゲヴェックス)・・・“Grand Cru”
 と表記され、いずれも辛口の場合、Qualitätswein Trockenが併記されます。

しかし、今日のワイン、グーツヴァイン(地域名ワイン)だと思われますが、その表記がありませんね。おそらく、ワイン名にある「Sulzfelder」=「ズルツフェルト(Sulzfeld)産の」がグーツヴァインの表記を兼ねてるんでしょう。


作り手訪問…と行きたいんですが、例によってドイツにストビューはありません。
Luckert02
facebookにもちょうどいい写真がなかったので、畑の写真でお茶を濁します。左下にインポーズした上空写真を見ると、「Zehnthof」という建物、すなわちワイナリーは町中にあるようです。

これがおそらくその「Zehnthof」の入り口の写真と思われます。
Luckert01
上空写真をズームアウトしてフランケン地域での位置関係を見てみましょう。ヴュルツブルク(Würzburg)を中心としたベライヒ、マインドライエック(Maindreieck)に属します。マイン川のほとりですね。とにかくフランケンはマイン川に尽きます。


フランケン全体を見てみましょう。マイン川がフランケンを貫いてますね。シュヴァインフルトから大きく蛇行して「W」を描きながらフランクフルトの手前まで続く河畔の地域です。
Frank02
フランケンは大きく3つのベライヒ(Bereich)に分類されます。

Mainviereck(マインフィアエック/マイン四角地帯 )
 一番西側、フランクフルト寄り。(フランケン全体では少量の)ほぼリースリングのみ。

Maindreieck(マインドライエック/マイン三角地帯)
 真ん中のヴュルツブルクを含む三角形の地帯。フランケン全生産量70%以上占める。

Steigerwald(シュタイガーヴァルト )
 一番東側、四角でも三角でもないところ(笑)。

ややこしいのが、これ以外に、タウバー川沿いのベライヒが、Tauberfranken(タウバーフランケン)といってバーデン(Baden)地域に属します。

最後にドイツの13ワイン生産地域の中でのフランケンの位置関係を確認。「W」の形…。
German_Wine_Regions
何気にネットで拾った地図を貼りましたが、いい地図ですね。色分けでわかりやすい上に、主要品種が赤・白比率で示してあり、視覚的に理解ができます。フランケンは大半が白というのがわかりますし、特にシルヴァーナーが有名なのですが、わずかに生産量ではミュラー・トゥルガウに及ばないことがわかりますね。赤品種はピノ・ノワールだけ書いていますがフランケンで一番多いのはドミナの方です。(2018年統計)


ラベル平面化画像。
IMG_5454
ユーロリーフ付き、「Bio-Wein」と書いてます。

インポーターシールは裏ラベルを隠していませんでした。
IMG_5454_2
偉いです。別撮りしておきました。


さあ、スクリュー回転。
IMG_6282
キャップにエンボスのワイナリー名が入ってかっこいいです。

Alc.13%。
透け透けルビー。
IMG_6283

ラズベリー、チェリー、茎感、ゼラニウム感も。
上等ブルゴーニュの雰囲気がある香りですが。
辛口アタック。
柔らかですが主張する酸を感じつつ、
複雑味と滋味の高まりを堪能できます。

若い雰囲気ながら、貫禄の余韻もあります。
やはり今夜のドイツ・ピノも当たりでした。


*****

Zehnthof Luckert
Sulzfelder Spätburgunder Trocken 2017
RRWポイント 93点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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