Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Greece

Zacharias Omikron Roditis-Moschofilero 2022

カルディで珍しくギリシャのワインが置いてました。品種はロディティスにモスコフィレロ? とにかく飲んだことがない品種なので面白そうです。PDO(Protected Designation of Origin=保護原産地呼称)は書いてありませんね。また指定品種じゃないのでPDOの条件を満たさないパターンでしょうか。しかし、PGI(Protected Geographical Indication=保護地理表示)も書いてないですね。とにかくゲットして調べてみましょう。

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ワイン作りを学びコンサルなどをしていたエリアス・ザハリアス(Elias Zacharias)さんがネメア(Nemea / Νεμέα)近くの現在のワイナリーを購入したのが1990年。2002年から自社で瓶詰めを開始しているそうです。インポーターのアズマのHPを見ると「ザシャリアス・ワイナリー」と紹介していますが、「ザハリアス」の方が原音に近いようです。


公式ページはそこそこ情報あり、英語表示もできるので助かります。

シリーズ名の「O(オミクロン)」というのはギリシャ語のアルファベットの「O」です。品種別のバリエタルのシリーズのようです。

・Roditis 70%
・Moschofilero 30%

と、ロディティス主体の2種ブレンドですね。ロディティスはコリンティア県(Κορινθία / Korinthía)の畑から、モスコフィレロはマンティネイア地方(Μαντινεία)からとなっています。出どころはハッキリしてそうですが、PDOもPGIも表示がありませんでしたね。後ほど詳しく見ますが、品種が規定品種でなくてPDOを名乗れず、2つの違うエリアからのブレンドでPGIも名乗れなくなったというのが真相のようです。醸造はクラシカルな白ワインの醸造法だそうで、当然樽はなく、それぞれの品種を個別に醸造した後でブレンドされます。


これがロディティス(Roditis / Ροδίτης)です。当然のギリシャ原産。
Roditis
写真からわかるように果実はオレンジ~赤みを帯びています。いわゆるグリですね。非常に古い品種で親子関係は判明していません。「Roditis」という名前は「赤みのある果実」というニュアンスがあるようですが、実は名前の謂れはなんとエーゲ海に浮かぶロードス島(Ρόδος / Rhodes)なんだそうです。

モスコフィレロ(Moschofilero / Μοσχοφίλερο)がこれ。こんな写真しか見つからず。
Moschofilero
これもギリシャ原産。日本語では「モスホフィレロ」と書いていたりしますが、ここでは「モスコフィレロ」としておきます。Forvoで聴くと「モスコフィエーロ」と聞こえるんですけどね(笑)。この写真も果実が黒っぽいですが、同じDNAで遺伝的に同一のクローンがたくさん存在し、それぞれ違うシノニムで呼ばれ、色以外にも葉の形状や果実の大きさ、味わいまで違うそうです。色は完全な白ブドウから黒ブドウまで揃ってるみたいですが(笑)、通常白ワインやロゼワインに仕立てられるようです。マケドニア地方とペロポネソス半島に多いそうです。


さあ、ザハリアスを訪問しましょう。ネメア(Nemea / Νεμέα)の町のすぐ近くです。
Zacharias01
2002年から自社瓶詰めを始めたということでまだ新しいワイナリーですが、賞もたくさん取っておりPDOネメアを代表する作り手のひとつになっているそうです。


ペロポネソス半島北側の地図で今日の作り手およびワインと周囲の産地の関係を見てみます。
Nemea-PGI-Corinthia
ペロポネソス半島はギリシャの大陸部分南端に広がる半島で、ギリシャの「本土」とはコリントス湾およびサロニコス湾で隔てられており(地図中央の)コリントス地峡でつながっています。 今日の作り手ザハリアスの場所を示したところが、まさにPDO Nemea(ΠΟΠ Νεμέα)になりますが、このPDOを名乗るにはアギオルギティコ(Agiorgitiko)100%でないといけません。ロディティスはコリンティア県(Κορινθία / Korinthía)の畑からでしたから、ロディティスだけを使っていたら、PGI Corinthia(ΠΓΕ Κορινθία)が名乗れたかもしれません。PGI(Protected Geographical Indication=保護地理表示)なら品種の縛りはないですからね。しかし今日のワインのモスコフィレロはマンティネイア地方(Μαντινεία)からなので、他地域のブドウをブレンドした時点でこれもアウトです。マンティネイア地方はモスコフィレロを85%以上使うとPDO Mantinia(ΠΟΠ Μαντινεία)が名乗れます。ちなみに地図の上の方、コリンティア県に隣接するPDO Patra(ΠΟΠ Πάτρα)はロディティス100%のPDOです。なるほど今日の作り手がロディティスも作っているのがうなづけます。

今日のザハリアスはネメア(Nemea / Νεμέα)にあるPDOネメア(PDO Nemea / ΠΟΠ Νεμέα)の作り手ですからね。ここのアギオルギティコ(Agiorgitiko)も一度試してみたいですね。
Agiorgitiko
カルディ、また置いてくれないですかね(笑)。アギオルギティコは当然ギリシャ原産の黒ブドウですが、古くからここネメア周辺(コリントス~ネメア~アルゴス)のみで栽培されてきたので、おそらく起源はこのあたりとされています。この品種も古すぎて親子関係は不明。一説には古代ギリシャではもう栽培されていたとか。コリントスもアルゴスも古代ギリシャの都市国家でしたからさもありなんです。

最後に恒例ですがギリシャ全体のワイン産地を俯瞰して位置関係を見ておきましょう。
Greece
ロディティスの語源というロードス島は見つかりましたか? エーゲ海のずいぶん南の方ですよ。


ラベル平面化画像。
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シリーズ名の「O(オミクロン)」というのはギリシャ語のアルファベットの「O」でしたね。「O」のまわりに書いてあるのはワイン関連のキーワードのようです。テロワール、歴史、ブドウ畑、バランス、ビジョン、伝統、色、香り、地形、太陽、コリンティア、ロディティス、モスコフィレロ、etc...


さあ、スクリュー回転。
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無印...。

Alc.11.5%。
少しオレンジ気味のイエロー。
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梨、ネーブル、爽やかな香りです。
辛口アタック。
酸はスッキリ系でいい感じに効いています。
ライム様の柑橘系の味わいは爽やかさのみ強調します。
軽くも感じるんですが、それが個性にも感じます。

なかなかいいです。
お初の品種がおいしいとうれしいですね。


*****


Zacharias
Omikron
Roditis-Moschofilero 2022
WWWポイント78点



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Kir-Yianni Samaropetra Sauvignon Blanc 2021 PGΙ Florina

ギリシャ最高峰とも言われる名門キリ・ヤーニをいただきます。過去にはPDOアミンデオン(アミンテオ)からの高貴なギリシャ固有品種クシノマヴロ100%や、キリ・ヤーニの本拠地PDOナウサのクシノマヴロ主体のブレンドなんかを試しています。そして今日はそのキリ・ヤーニが醸す国際品種のソーヴィニヨン・ブランをお試ししようというわけです。

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キリ・ヤーニは数世紀に渡り家族経営でワインを作ってきた名門ブタリス家のヤーニス・ブタリスさんが1997年に立ち上げたワイナリーです。ヤーニスさんは1960年代後半、ナウサ(Naoussa)にある35haの畑に土着の黒品種であるクシノマヴロ(Xinomavro)を植樹。当時としては画期的なことで、これを機にギリシャワインの新しい時代が始まったんだそうです。また氏は、ギリシャワイン協会の立ち上げなどギリシャワイン業界に多大な貢献を果たし、「現代ギリシャワインの父」とも呼ばれてるそうな。キリ・ヤーニが作るワインの品質は国際的にも評価され、ギリシャ最高峰のワイナリーの1つとして知られています。

公式ページはさすがしっかりしています。ギリシャ語以外に英・独・仏語に対応。

しっかりしたワイン紹介は好感が持てます。ヴィンテージごとの詳細情報がありがたいです。

・ソーヴィニヨン・ブラン 100%

ブドウはPDOアミンデオン(PDO Amyndeon  / ΠΟΠ Αμύνταιο)の畑、「Samaropetra Vineyard」からで、ワイン名は畑名だということがわかります。標高(750m)と周辺の湖の影響で夏は熱いですが、冬にかけて冷涼な気候だそうです。おかげで今日のような白品種はアロマの強さをもつとのこと。低温浸漬後、温度制御タンクで発酵。シュールリー(Sur Lie)でバトナージュ(熟成中のワインの攪拌)しながら2~4ヶ月の熟成をするそうです。


キリ・ヤーニの本拠地訪問。クシノマヴロの銘醸地として名高いナウサにあります。
KIR-YIANNI01
PDOナウサ(PDO Naoussa / ΠΟΠ Νάουσα)の中心地ですね。ワイナリーはナウサの町のすぐ北に広がる畑の中にあります。ストビューが到達してなかったのでGoogle Mapに上がっていた写真を拝借。キリ・ヤーニのシンボルマークの塔(小屋?)が畑の中にありました。先ほど畑の話をしたように、キリ・ヤーニはアミンデオ(Αμύνταιο)の町近くのPDOアミンデオン(PDO Amyndeon  / ΠΟΠ Αμύνταιο)にも拠点を持っています。

こちらがキリ・ヤーニのPDOアミンデオンの拠点。今日のワインはここからですね。
Kir-Yianni_Amyndeon
アミンデオの町から北へ車で10分ほどのベゴリティダ湖(Lake Vegoritida / Λίμνη Βεγορίτιδα)の湖畔にあります。今日のワインの「Samaropetra Vineyard」はアギオス・パンテレイモン(Agios Panteleimon)にあるらしいのですが、まさにこの辺りなのですぐ近くの自社畑なんでしょう。

PDOアミンデオン(PDO Amyndeon  / ΠΟΠ Αμύνταιο)を地図上で確認。(色付きのエリア)
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ナウサのキリ・ヤーニの本拠地も示してあります。アミンデオンとナウサって案外近い。山一つ挟んでって感じですね。

いつものギリシャ全体のPDO地図でも位置関係の把握をしておきましょう。
Greece
アルバニア、北マケドニア、ブルガリアと国境を接するマケドニア(Macedonia)という北部の地方になり、マケドニアには以下の4つのPDOがあります。

・PDO Goumenissa(ΠΟΠ Γουμένισσα)
・PDO Naoussa(ΠΟΠ Νάουσα)
・PDO Amyndeon(ΠΟΠ Αμύνταιο)
・PDO Slopes of Meliton(ΠΟΠ Πλαγιές Μελίτωνα)

しかしながら、今日のワインには PDO Amyndeon(ΠΟΠ Αμύνταιο)とは書かれていません。裏ラベルをよく見ると、PGI Florina(ΠΓΕ Φλώρινα)とあります。PGIとは「Protected Geographical Indication」のことでEUワイン法に準拠した広域の地理的保護表示になります。なぜPDOアミンデオンでないかというと、PDOナウサもそうなんですが、いずれもPDOの規定がクシノマヴロ100%でないといけないからです。今日のワインは国際品種のソーヴィニヨン・ブランです。PDOアミンデオンのもろに域内ですが、PDOアミンデオンを名乗ることはできません。

PGIフロリナ(PGI Florina / ΠΓΕ Φλώρινα)はフロリナ県(Περιφερειακή ενότητα Φλώρινας)全域が対象で、アミンデオンはその県内にありますのでPDOアミンデオンでクシノマヴロ以外で作られたワインはPGIフロリナを名乗ることになります。PGI(Protected Geographical Indication)となると広域になりますし、赤・白・ロゼ何でもあり、そして何より使える品種がギリシャ土着品種はもちろんのこと、大抵の国際品種がOKになります。

PGIフロリナPGI Florina / ΠΓΕ Φλώρινα)を地図で見てみましょう。PGI_Florina
※参考:
Wines of Greece

PDOナウサは近いですがイマティア県になりますので、ここでもクシノマヴロを使わないとPGI Imathia(ΠΓΕ Ημαθία)になるんでしたね。


ラベル平面化画像。
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解説を隠さないように気を使ってるんでしょうが惜しい…。URL隠れてました(笑)。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14%。
濃いめイエロー。
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濃いめイエロー
シトラス、青リンゴ、グリーングラスも香ります。
なめらかな酸味が乗った辛口アタック。
味もシトラス系ながらとろみの旨みを纏っています。
ボディがしっかりありますが、爽やかさも忘れない、
ソーヴィニヨン・ブランの理想型ですね。


*****


Kir-Yianni
Samaropetra Sauvignon Blanc 2021
PGΙ Florina (ΠΓΕ Φλώριν
α)
WWWポイント79点



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Kir-Yianni Ktima Kir-Yianni Yianakoholi hills 2018

ギリシャ最高峰のワイナリーとも言われるキリ・ヤーニをいただきます。実は2年ほど前にも同じキリ・ヤーニのPDOアミンデオン(アミンテオ)のクシノマヴロ100%のワインを試しています。今日のこれは、同じくギリシャの高貴な固有品種であるクシノマヴロ主体ながら国際品種とのブレンド仕様、そしてキリ・ヤーニの本拠地PDOナウサのエリアからになります。

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キリ・ヤーニは数世紀に渡り家族経営でワインを作ってきた名門ブタリス家のヤーニス・ブタリスさんが1997年に立ち上げたワイナリーです。ヤーニスさんは1960年代後半、ナウサにある35haの畑に土着の黒品種であるクシノマヴロ(Xinomavro)を植樹。当時としては画期的なことで、これを機にギリシャワインの新しい時代が始まったんだそうです。また氏は、ギリシャワイン協会の立ち上げなどギリシャワイン業界に多大な貢献を果たし、「現代ギリシャワインの父」とも呼ばれてるそうな。キリ・ヤーニが作るワインの品質は国際的にも評価され、ギリシャ最高峰のワイナリーの1つとして知られているんだそうで。

公式ページはさすがしっかりしています。ギリシャ語以外に英・独・仏語に対応。

残念ながら2017まででしたが、ヴィンテージごとのワインの詳細情報が載っています。

・クシノマヴロ 50%
・メルロー 30%
・シラー 20%

手摘み収穫。低温浸漬後、温度制御タンクで発酵。MLF後フレンチオーク樽に移され6ヶ月間の熟成をされます。

クシノマヴロ(Xinomavro)はギリシャ北東部の土着品種で、PDOナウサ(PDO Naoussa / ΠΟΠ Νάουσα)とPDOアミンデオン(PDO Amyndeon / ΠΟΠ Αμύνταιο)が主な生産地です。PDOネメア(PDO Nemea / ΠΟΠ Νεμέα)のアギオルギティコ(Agiorgitiko)と並ぶギリシャの代表的な黒品種になっています。
Xinomavro01
Xino」は「」、「Mavro」は「」の意味だそうで、名前からして酸味が多く色の濃い品種だと想像できそうです。その特徴からネッビオーロやピノ・ノワールの近親ではないかと疑われていますが判明はしていません。2013年のDNA鑑定ではグエ・ブラン(Gouais Blanc)と何らかの品種との自然交配であるという結果が出ているようです。(いや、これは結果出てるとは言わんじゃろ?笑)

キリ・ヤーニ訪問。やはりクシノマヴロの銘醸地として名高いギリシャ北部のナウサです。
KIR-YIANNI01
ナウサの町のすぐ北に広がる畑の中にあります。ストビューが到達してなかったのでGoogle Mapに上がっていた写真を拝借。キリ・ヤーニのシンボルマークの塔(小屋?)が畑の中にありました。キリ・ヤーニはPDOアミンデオンのアミンデオ(Αμύνταιο)にも拠点を持っています。

ギリシャ全体のPDO地図でキリ・ヤーニとPDOナウサ他の位置関係を把握しましょう。
Greece
アルバニア、北マケドニア、ブルガリアと国境を接するマケドニア(Macedonia)という北部の地方にPDOナウサはあります。マケドニアには以下の4つのPDOがあります。

・PDO Goumenissa(ΠΟΠ Γουμένισσα)
PDO Naoussa(ΠΟΠ Νάουσα)
・PDO Amyndeon(ΠΟΠ Αμύνταιο)
・PDO Slopes of Meliton(ΠΟΠ Πλαγιές Μελίτωνα)

しかしながら、今日のワインには PDO Naoussa(ΠΟΠ Νάουσα)とは書かれていません。裏ラベルをよく見ると、PGI Imathia(ΠΓΕ Ημαθία)とあります。PGIとは「Protected Geographical Indication」のことでEUワイン法に準拠した広域の地理的保護表示になります。なぜPDOナウサでないかというと、PDOアミンデオン同様、PDOの規定がクシノマヴロ100%でないといけないからです。今日のワインはクシノマヴロとメルロー・シラーのブレンドでしたね。

PGI Imathia(ΠΓΕ Ημαθία)はイマティア県全域が対象で、当然ナウサはその県内にあります。
Imathia
※参考:
Wines of Greece


ラベル平面化画像。
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裏ラベルは英・仏・独3ヶ国語対応ですね。

モトックスのシールはバーコードを隠すだけでした。
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さあ、抜栓。
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キャップシールにも例の小屋が描かれています。

コルク平面化。
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キリ・ヤーニを英語表記とギリシャ語表記で。

Alc.14.5%。
褐変味のあるガーネット。
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黒ベリー、プラム、チェリー、酸の香り。
辛口アタック。
ドライで果実味は弱いですが、
コク、奥行きのある味は絶妙のバランスです。
大人しめの酸が戻ってきますが、
フィニッシュまで邪魔はしないのでOK。
クールにいい感じです。

う~ん、
クシノマヴロ100%よりバランスいい感じがします。


*****

Kir-Yianni
Ktima Kir-Yianni
Yianakoholi hills 2018
RRWポイント 91点


Douloufakis Winery Enotria 2019 Crete PGI

まだまだ謎の多いギリシャワイン。今日はクレタ島からの赤ブレンドを試します。ギリシャのPDO地図を描いていて、ギリシャ最大の島クレタ島にもいろいろ産地があるんだな~と気になっていました。基礎知識としては地中海に浮かぶ観光地ぐらいなものですが。あ、そうそう、マジンガーZの敵のミケーネ帝国ってここらへんじゃなかったかな?(笑)

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作り手ドゥルファキス・ワイナリーは、クレタ島のダフネス村(Dafnes / Δάφνες)にドゥルファキス家が1930年に創設したワイナリー。現当主は三代目となるニコス・ドゥルファキスさん。イタリア、ピエモンテで醸造学を学んだあと故郷に戻り、ワイナリーを一新したんだそうで。

クレタ島はギリシャ最南端に位置し、ちょうどエーゲ海の南側が地中海に変わるあたりです。面積は約8300平方キロで兵庫県の広さに相当するくらいのかなり大きな島です。ヨーロッパ最古のミノア文明の発祥の地であり、ワインの生産もその頃までさかのぼるという歴史ある場所。詩人ホメロスは「葡萄酒色の大海(エーゲ海)にクレタなる土地」と歌ったそうで。クレタ島のワイン、これはいただかなくてはなりませんね。

公式ページはクレタ島のワインの歴史や品種紹介など盛りだくさんで良くできています。

ワイン紹介もデータシート完備で助かります。

・シラー 60%
・コツィファリ(Kotsifali) 30%
・リアティコ(Liatiko) 10%

シラー主体ですが、がっつり地元品種も入ってます。ステンレスタンクで普通に作ると書いてます。樽や熟成はなさそうですね。

これが30%入ってるコツィファリKotsifali)。
Kotsifali
クレタ島かもしくは同じくエーゲ海のキクラデス諸島が原産とされています。もちろん主生産地はクレタ島で、島中央部のイラクリオン県で多いそうです。今日の作り手の所在もイラクリオン県です。今日のワインのようにシラーなんかにブレンドして複雑味を与えるようです。

こちらがリアティコLiatiko)。ギリシャ原産、おそらくクレタ島です。
Liatiko2
一時期廃れかかった品種ですが、今日の作り手のあるPDOダフネス(Dafnes / Δαφνές)の代表品種としてここ20年盛り返してきているそうです。単体では天日干しして甘口デザートワインに仕上げられることが多いそうです。


ドゥルファキス・ワイナリーを訪問します。ダフネスという町にあります。
Douloufakis03
PDOダフネス(Dafnes / Δαφνές)の中心地だけあって、周囲は畑で近隣にもワイナリーが多そうです。

しかしながら、今日のワインは「PDO Dafnes」ではなく「PGI Crete」にになります。
PGI  は「保護地理表示」(Protected Geographical Indication)、PDO は「保護原産地呼称」(Protected Designation of Origin)のことで、EUワイン法に準じています。(PDOはより限定されたエリアで原産地の特徴を反映した品質が求められ、官能審査も義務付けられているのに対し、PGIは限定された地域のブドウ85%以上の使用、官能審査は任意というように、PDOより緩い条件となっています。)

クレタ島の PGI をまとめてみました。「PGI Crete」はクレタ島全体が対象です。
Crete_PGI
クレタ島全体の「PGI Crete」があり、さらにその中に5つのPGIを内包しているという関係です。
以下に列記しておきます。(ΠΓΕ=Προστατευόμενη Γεωγραφική Ένδειξη=保護地理表示=PGI)

PGI Crete  (ΠΓΕ Κρήτη)
・PGI Chania  (ΠΓΕ Χανιά)
・PGI Kissamos  (ΠΓΕ Κίσσαμος)
・PGI Iraklio / Heraklion  (ΠΓΕ Ηράκλειο)
・PGI Lasithi  (ΠΓΕ Λασίθι)
・PGI Rethimno  (ΠΓΕ Ρέθυμνο)

クレタ島の PDO は島の東側に偏っており、複雑に折り重なっています。
CRETE_PDO_s
なんとかGoogle Map上に重なり具合を表現してみました。それぞれのPDOで作られるワインのスタイルが違います。以下に列記します。(ΠΟΠ=Προστατευόμενη Ονομασία Προέλευσης=保護原産地呼称=PDO)

・PDO Archanes  (ΠΟΠ Αρχάνες) <辛口
・PDO Dafnes  (ΠΟΠ Δαφνές) <辛口甘口
・PDO Peza  (ΠΟΠ Πεζά)) <辛口辛口
・PDO Handakas - Candia  (ΠΟΠ Χάνδακας-Candia) <辛口辛口
・PDO Malvasia Handakas - Candia  (ΠΟΠ Malvasia Χάνδακας-Candia) <甘口
・PDO Sitia  (ΠΟΠ Σητεία) <辛口辛口甘口
・PDO Malvasia Sitia  (ΠΟΠ Malvasia Σητείαs) <甘口

それぞれのPDOで独自の品種の規定があります。クレタ島のローカル品種が多いので詳細は割愛します。赤なら Kotsifali や Liatiko の他、Mandilari(Mandilaria)というのが出てきますね。白は Vilana、Vidiano といった品種です。そうそう、PDOダフネス(Dafnes)はリアティコ(Liatiko)100%が規定です。今日のワインがPDOダフネスにならない訳です(笑)。

最後にいつものギリシャ全土のPDO・産地地図を見てクレタ島を確認しておきましょう。
Greece
これで謎の産地だったクレタ島が少し身近になったような気がします。

参考:Wines of Greece


ラベル平面化画像。
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裏ラベルはワインの説明やHPのURL(QRコード)があり好感が持てます。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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DIAM 2?なのかな。

Alc.14%。
濃いガーネット。粘性の涙は色つきですが細かめ。
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黒ベリー、プラム。
青物…黒鉛などもかすかに。
少し酸味の効いた辛口アタック。
味の深みがしっかりあって全体を受け止めてくれます。
ミントっぽい風味を纏っていますが立派な複雑味と言えます。
喉元にいいタンニンのくすぐりが来ますね。
酸と相まって爽やかなフィニッシュです。

樽がなくても十分楽しめる展開です。
これはやはりブドウの力と言えましょう。


*****

Douloufakis Winery
Enotria 2019
Crete PGI
RRWポイント 90点


AΩTON Retsina 2017 Retsina of Mesogia

ギリシャのワインは土着品種の宝庫というだけあって興味津々の品種が目白押しです。過去いくつか試していますがまだまだ未知のワインがいっぱいあります。少しづつでもクリアしていきたいと思っていますが、その中でも避けて通れないのが「松脂ワイン」こと「レツィーナ」。強烈な香りがするとも聞くので恐る恐るですが(笑)、まずはお取り寄せしてお試しと行きましょう。

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作り手はアテネ近くで5世代続いてるワイナリーが元になってるようです。HPには古い時代の写真がたくさん載っています。現当主はギニス・ソティリスさん。サヴァティアーノやロディティスなどギリシャの伝統的な土着品種を使ってエレガントでモダンな味わいのワインを作っているとのこと。これは楽しみになってきました。

公式ページはちょっと写真がデカすぎますが英語表示もできて情報豊富です。

今日のワインも、2015、2017、2019とミレジム毎にデータシートがありました。

・サヴァティアーノ 100%

2019年はロディティスを25%ブレンドしてるようですが、今日の2017年はサヴァティアーノ100%。松やにワイン、レツィーナの主要品種はやはりサヴァティアーノなんだそうです。収穫は夜間に手摘みで行われ、低温浸漬のあと発酵されますが、ここで松脂(レツィーニ)を投入します。1000Lあたり600gだそうで、これは通常より多めなんだそうです。松脂は発酵と共に溶け込んでいき、その後撹拌(バトナージュ)しながら6ヶ月の熟成をします。

古代ギリシャのアッティカ(Attika)地方(今日の作り手のあるところです。)では、ワインの劣化を防ぐために素焼きの壺(アンフォラ)の口と蓋の間に松脂を塗って密閉していました。この松脂の香りがワインに移ってできたのが松脂ワイン、レツィーナの始まりです。コルクが一般的な現在は松脂は必要ないんですが、この香りが癖になったギリシャ人は無理からに松脂を入れているというわけです(笑)。

サヴァティアーノSavatiano / Σαββατιανό)。ギリシャの土着品種です。
Savatiano
ギリシャ中部の地域に広く分布し、2016年には合計10,268haが栽培されています。これはギリシャのブドウ品種ではナンバーワン。2位は僅差でロディティス(Roditis / Ροδίτης)です。

アオトン(Aωton)ワイナリーを訪問。町中のようですが周囲に6haの畑を持ちます。
Aoton02
アテネ空港とアテネの市街のちょうど真ん中あたりですね。今日のレツィーナのワインは「PGI Retsina of Mesogia」という「保護地理表示」(PGIProtected Geographical Indication)になっており、ワイナリーはそのエリアの中になります。その上位クラスになる「保護原産地呼称」のPDOProtected Designation of Origin)ではないんですね。

過去飲んだギリシャワインはほぼPDOでしたが、PGIってどれくらいあるか調べてみました。
PGI-(Protected-Geographical
ギリシャワイン公式サイトの地図を拝借したんですが、PGIに認定されている産地はむちゃくちゃ多いことがわかりました。

PGIは諦めて(笑)、悲願のギリシャPDO地図をGoogle Map上に描いてみました。
Greece2
こうして見ると PDO はまだまだ覚えられる数です(笑)。一応、PGI Retsina of Mesogia も書き込んでおきました。あれだけ PGI が密集している「Central Greece」のリージョンには PDO がひとつもないんですね。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルにEUのPGIマークがありますね。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14.6%。
濃いハチミツ色。黄金糖。すごい色です(笑)。
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うるし?にかわ?の匂いがしないでもない。
セロテープの香り?(笑)
かすかに柑橘系、総じて香りは少ないです。
渋みあり。酸味も少しある辛口アタック。
実はこのフレーバーのおかげで爽やかな感じがして悪くないです。
苦味もあるんですが、ぜんぜん嫌じゃない。
フルーツ系ビール飲料の泡なしみたいな印象。
夏にガブガブ行けそう。


*****


Aoton (Aωton) Winary
Retsina (Ρετσίνα) 2017
PGI Retsina of Mesogia
WWWポイント78点



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Estate Argyros Atlantis White Assyrtiko 2019

リカマンの店頭でギリシャのワインを発見。白はアシルティコ(Assyrtiko)というエーゲ海の島サントリーニ島が原産といわれている品種です。♪ Wind is blowing from the Aegean~女は海~♬(1979年 作詞:阿木燿子 作曲:筒美京平 唄:ジュディ・オング)の調べと共にエーゲ海の風が脳内を吹き抜けました(笑)。思わず1本をカートに投入です。アシルティコ100%の上級キュヴェもあったんですが、これまたサントリーニ島の地元品種とブレンドしてあるというポピュラータイプの方を選びました。

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作り手は、サントリーニ島でワイン作りを代々営んできたアルギロス家が1903年に設立したエステート・アルギロスです。1950年に引き継いだ二代目が畑を3倍にし、1974年に三代目の Yiannis Argyros さんが就任すると、アシルティコのワインを島外にも発信し、さらに発展させたそうで、2015年には最新式のモダンなワイナリーを建てるに至っています。現在は四代目の Matthaios Argyros さんも加わって運営しているそうです。

サントリーニ島と言えば、白い家々と青いドームの教会を思い浮かべますよね。
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ギリシャはアテネしか行ったことがないですから、エーゲ海の島、めっちゃ憧れます。行ってみた~いという気持ちを胸に、そこのワインをいただくことで疑似体験(文字通りトリップ?)をしてみたいと思います。(笑)

公式ページはとってもモダンでよく出来ています。ワイン情報も充実。

非常に詳しいデータシートも完備で助かります。
・アシルティコ(Assyrtiko/Ασύρτικο) 90%
・アイダニ(Aïdani/Αηδάνι) 5%
・アシリ(Athiri/Αθηρί) 5%
と、がっつり主体はアシルティコですね。伝統的に、同じくローカル品種のアイダニやアシリをこのようにブレンドして柔らかな味わいにするそうです。樹齢は10~60年で接ぎ木はしていないそうです。エーゲ海の島々にはフィロキセラが来なかったのかなと思いましたが、サントリーニ島の無機質の土壌が元々フィロキセラほか害虫に耐性があったんだそうで。島自体が火山で出来たカルデラ地形であり、カリウムや粘土がほとんどないそうです。
このワインはステンレスタンクで発酵・熟成(4ヶ月)されます。

アシルティコAssyrtiko)です。ギリシャ原産、サントリーニ島由来と言われています。
Assyrtiko
語源は古代のアッシリア(Assyria、現在のイラク北部)らしいのですが、分析では中東の品種とは関係はないそうです。現在ではサントリーニ島のブドウ栽培の70%を占める主要品種になっています。

アイダニAïdani)とアシリAthiri)はアシルティコにブレンドされる品種です。
Aidani_Athiri
どちらも色変異した黒ブドウが存在し、それぞれ Aïdani Mavro、Athiri Mavro と呼ばれます。白ブドウの方は Aïdani Aspro、Athiri Aspro と呼んで区別します。ギリシャ語で黒はマヴロ、白はアスプロということがわかりますね。

サントリーニ島ではクルーラ(Kouloura)というブドウの木の仕立て方をします。
Assyortiko_UE
ブドウの木を島特有の風から守るため編み込んだバスケットのように仕立てます。平たいゴブレット仕立てみたいで面白いですね。しかし、収穫しにくそう(笑)。

ワイナリー訪問。これが2015年完成の新築。神殿のような立派な建物です。
Argyros01
Episkopi という空港近くのところにあります。例の青い屋根のドームはイア(Οία)という島の北の方にあり、ワイナリーからは車で30分ほどかかります。

最後にギリシャ全体の地図でPDO(Protected Designation of Origin)を見ておきます。
PDO
サントリーニPDO(Santorini PDO)は見つかりましたでしょうか。アテネとクレタ島の間くらいにある小さな島ですね。


ラベル平面化画像。1枚ものですね。
IMG_5278
なぜワイン名がアトランティス?と思った方もいるかもしれません。アトランティスは古代ギリシアの哲学者プラトンが著書の中で記述した伝説上の広大な島で、はるか昔に海に沈んで滅んだとされていますが、普通は大西洋にあったとされてますからね。しかし、よくよく調べると「アトランティスはサントリーニ島にあったとする説」があることがわかります。サントリーニ島は火山活動で水没した巨大なカルデラですから、イメージはわかります。まあ、そういうワクワクする説を元にしたネーミングなんでしょう。

控えめのインポーターシールは別撮りしておきました。
Argyros03


さあ、スクリュー回転。
IMG_5346
キャップにはラベルと同じマークがあしらってありますね。

Alc.13.5%。(pH:3.83、Brix:6.6)
麦わらイエロー。
IMG_5347

グレープフルーツ、梨の香りがしたかと思うと、
味わいもグレープフルーツ、梨の味わいでした(笑)。
現代風の辛口白って感じで、
上等なソーヴィニョン・ブランを思わせます。

Wind is blowing from the Aegean~♪
爽やかな風の吹く夏のエーゲ海が目に浮かびます。
合わせたのは…いなり寿司なんですが(笑)。


*****


Estate Argyros
atlantis White Assyrtiko 2019
WWWポイント 79点



WhiteWhiteWine01

Kir·Yianni Kali Riza 2017 Xinomavro Vieilles Vignes PDO Amyndeon

なかなか旅行に出かけにくい今日この頃、JALやANAの貯まったマイルも残ったまま。有効期限を延長する措置は取ってくれるようですが、それでも消化しきれるような気がしないので、まずはANAのマイルを専用のショップサイトでモノ(ワイン)に変えようと思いつきました。
見るとワインだけでも世界各国から150種類と結構選べそうです。久しぶりにギリシャワイン、クシノマヴロをいってみようとこれをポチッとな。


IMG_3677
キリ・ヤーニは数世紀に渡り家族経営でワインを作ってきた名門ブタリス家のヤーニス・ブタリス氏が1997年に立ち上げたワイナリーです。
ヤーニス氏は1960年代後半、35haの畑に土着の黒品種であるクシノマヴロ(Xinomavro)を植樹。当時としては画期的なことで、これを機にギリシャワインの新しい時代が始まったんだそうです。
また氏は、ギリシャワイン協会の立ち上げなどギリシャワイン業界に多大な貢献を果たし、「現代ギリシャワインの父」とも呼ばれてるそうな。キリ・ヤーニが作るワインの品質は国際的にも評価され、ギリシャ最高峰のワイナリーの1つとして知られているんだそうで。知りませんでしたが。(笑)


公式ページはさすがしっかりしています。ギリシャ語以外に英・独・仏語に対応。

ワイン情報もヴィンテージ毎に完備。(2016年まででしたが。笑)
・クシノマヴロ 100%
熟成はシュールリーで、2~3年落ちのフレンチオーク樽で14ヶ月です。
瓶詰め後、ボトルで1年寝かすというのもやってます。
このワインのクシノマヴロは、PDO(=Protected Designation of Origin)Amyndeon とあるように、アミンデオン地区の古樹(Vieilles Vignes)からのものです。

クシノマヴロはギリシャ北東部の土着品種で、ナウサPDOとアミンデオンPDOが主な生産地です。ネメアPDOのアギオルギティコと並ぶギリシャの代表的な黒品種になっていますね。
Kir04
Xino」は「」。「Mavro」は「」の意味だそうで、名前からして酸味が多く色の濃い品種だと想像できそうです。その特徴からネッビオーロやピノ・ノワールの近親ではないかと疑われていますが判明はしていません。2013年のDNA鑑定ではグエ・ブラン(Gouais Blanc)と何らかの品種との自然交配であるという結果が出ているようです。(いや、これは結果出てるとは言わんじゃろ?笑)


ワイナリーの所在は、やはりクシノマヴロの銘醸地として名高い、ギリシャ北部のナウサとアミンデオン。まずは本拠地らしきナウサのワイナリーに訪問してみましょう。
Kir01
ナウサの町のすぐ北に広がる畑の中にあります。キリ・ヤーニのシンボルマークの塔(小屋?)が畑の中にありました。ストビューでワイナリー本体には近づけず、また大した建物ではないのか外観の写真も上がっていませんでしたので、上空写真で感じ取ってください。(笑)

今日のワインはPDOアミンデオン(アミンテオ)ですから、キリ・ヤーニのアミンデオンの拠点に行ってみます。アミンデオの町の北東すぐのところで、ヴェゴリティダ湖の畔になります。
Kir02
ギリシャ語から英語のアルファベットに直すからか、AmynteoやAmyndeonなど表記が一定じゃないですね。PDOとしてはAmynteoが一般的のようですが、キリ・ヤーニはAmyndeonを使っています。

PDO Amynteo(Amyndeon)を地図上で確認します。(色付きのエリア)
Kir03
いつものギリシャ全体のPDO地図もインポーズしてあります。ナウサ含めたギリシャ北部のPDOの位置関係をご確認ください。またキリ・ヤーニのアミンデオンとナウサの拠点の場所も示しておきました。(黒字)


ラベル平面化画像。
IMG_3570
おいおい、インポーターシールの貼り方よ。ギリシャ語だからいいかってなもんですかね。うまく剥がせなかったのでオリジナルの裏ラベルの画像はないですが、キリ・ヤーニのURLがしっかり隠されていました。


さあ、抜栓。
IMG_3674
キャップシールには例のシンボルマークの塔。

コルク平面化。
IMG_3675
シンプル~。

Alc.13.5%。(pH:3.41、Brix:7.0)
ガーネット。
IMG_3676

黒ベリー、ダークチェリー。
鉄や青草の感じも。
酸味がちな辛口アタックです。
刺すような酸ではなく、お菓子系の酸味なんですが、
結構特徴的な酸が目立ちます。
「Xino」は「酸」でしたからね~。(笑)
VVだけあって複雑味・深みはしっかり出ています。
喉越しから余韻にかけてドラマチックなんですが、
やはり最初の酸味が始終騒がしい感じがします。

前に飲んだクシノマヴロの方がおいしかった気がします。
少し残念な感じでした。


*****


Kir-Yianni
Kali Riza 2017
Xinomavro Vieilles Vignes
PDO Amyndeon
RRWポイント 85点


Cavino Naoussa 2015 Xinomavro

前回ネメアPDOのアギオルギティコを試したのと同じ作り手ですが、
今日はナウサPDOのクシノマヴロをいただきます。
ギリシャワインには飲まず嫌いの偏見がありましたが、結構モダンな作りで、
ローカル品種の味も国際品種に見劣りしないレベルだと再認識の毎日です。


IMG_0180
ギリシャワインはまだまだ選べるほど出回ってるわけではないんですが、
とにかくやまやがちょこちょこギリシャワインを置いていて助かります。


公式ページは前にも見ていますが、7ヵ国語に対応。

今日のワインはPDOワインの分類で、PDOナウサです。
・クシノマヴロ 100%
Kir04
ステンレスタンクでマロラクティック発酵と書いてあるだけで、
樽熟についての表記なしですので樽はないんでしょう。


ワイナリー訪問は前回訪問時の写真を再掲。
Cavino02
ペロポネソス半島の北端、エギオの町の近くになります。

ただし、ここはナウサからはかなり離れているようです。
Cavina01
車でも4時間半。(ナウサの緯度はナポリ辺りってわかりますね。)

PDOマップで見ると、ネメアに近い作り手だということがわかります。
Tsantali04
PDOというのは「Protected Designation of Origin」で原産地呼称のことでしたね。
大括りの地方も地図上に分類されてますから、ナウサPDOはマケドニア地方、
ネメアPDOや今日の作り手Cavinoはペロポネソス地方ということになります。


ラベル平面化画像。タスキのような独特なデザインです。
IMG_0075
インポーターシールも剥がしてみましたが、特に発見はなしでした。


さあ、抜栓です。
IMG_0177
合成コルクのノマコルクですが、ブドウ模様の汎用品。

Alc.12%。
ガーネット。
IMG_0179

黒ベリー、プラム。シソっぽい何かも感じます。
粘性の涙ですね。
辛口アタック。
酸化のニュアンスか、薄っすらと酸味もあります。
「Xino」は「酸」、「Mavro」は「黒」の意味だそうで、
酸はこの品種の特徴なのかもしれませんが、
上等なものはバローロにも例えられるそうですから、
ネッビオーロに似ている要素もある気がします。

味の厚みはそこそこあり、
独特の酸味は最後まで気にはなるんですが、
上等赤ワインの貫禄は十分あり楽しめますよ。


*****


Cavino Naoussa 2015 Xinomavro
RRWポイント 89点


Cavino Nemea Reserve 2013

先日ドイツで飲んだギリシャのクシノマヴロはなかなかでした。
すると、やまやにギリシャワインが入荷されているのを発見。
今度はネメアのアギオルギティコを試してみようとコレをゲット。


IMG_9733
ぺロポネソス半島にあるネメアはギリシャ最大の赤ワインPDOで、
ギリシャの代表黒品種アギオルギティコの原産地でもあります。
ネメアがヘラクレスの生誕地なことで「ヘラクレスの血」とも呼ばれるそう。


公式ページはよく出来ていて、なんと7ヵ国語に切り替えできます。

英語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、中国語と、
当然ながらのギリシャ語で計7ヵ国語です。
「国外に輸出した~い」という姿勢の表れでしょうね。
実際、ウゾ(Ouzo)というアニス酒含め生産の75%は輸出なんだそうです。

今日のワインは、
・アギオルギティコ(Agiorgitiko)100%
Agiorgitiko
熟成はフレンチオーク樽で1年、その後ボトル詰めされ、さらに最低1年です。
これはReserveの仕様ですが、さらに上にGrande Reserveがあり、
フレンチオーク樽で2年、ボトル詰め後にさらに最低2年となっています。
今日のが美味しければグランド・リザーヴも試してみたいですね。


さて、ワイナリー訪問です。
Cavino02
ペロポネソス半島の北端、エギオの町の近くに大きな施設があります。

ここはナウサPDOのクシノマヴロやマンティニアPDOの白ワインも作ってます。
Google Map上でCavinoの場所とネメアPDOの位置関係確認。
Cavino01
アテネから車で2時間。ネメアから1時間半ってな距離です。
ナウサに至っては5時間はかかります。


ギリシャの主要産地を見ておきます。
Tsantali04
ネメア、ナウサ、マンティニア、一緒に確認しておきましょう。
因みにマンティニアの白はモスコフィレロという品種です。


ラベル平面化画像。
IMG_9713
おっと、インポーターシールが裏ラベルを隠しています。

ギリシャ語ならまあ仕方ないですが、一応、剥がしてやりました。
IMG_9715
なんと、ドイツ語と英語でした。樽熟が14か月、瓶で2年とあります。
公式ページの情報と違いますね。重要な新情報が隠れてました。(笑)


さあ、抜栓です。
IMG_9735
コルクはCavino名入り。キャップシールにはNemeaと入ってます。

Alc.13%。ガーネットです。
IMG_9732

ラズベリー、プラム、フィーグ…かな。
いや、あずき、小倉あんの風味が…。(笑)
辛口アタック、甘みある酸もかすかに感じます。
ドライな味わい。薄っぺらさとも取れます。
でもスカスカではなく、味はしっかりある。
タンニンは喉元に穏やかに来ます。
味の芯の軽さのせいで余韻もあっさりしてるのが残念。

全体の下地にシナモンか黒糖風味の独特な感じがあります。
フランス、カオールのマルベックっぽい気がしました。(?)


*****


Cavino Nemea Reserve 2013
RRWポイント 88点


Tsantali Naousa 2016

仕事でドイツに居るんですが、夕食がギリシャ料理ということになり、
それじゃあということで、ギリシャワインを注文しました。
松やにワインのレツィーナ(Retsina)はハードル高そうでパス。(笑)
ネメアのアギオルギティコやナウサのクシノマヴロをメニューで探すと、
(記憶に残っている限りの知識です…笑)ありました!ナウサが!


IMG_9696
ギリシャは古代から続く、世界で最も古いワイン生産国の一つです。
それだけに土着の品種もたくさんあるようです。
北部ギリシャのマケドニアではクシノマヴロ(Xinomavro)の赤が有名。
前にナウサのクシノマヴロをイチ押しする記事を読んだことがあって、
チャンスがあれば試してみたいと思っていました。


公式ページは今風でしっかりしています。

セパージュはやはりクシノマブロ(Xinomavro)100%です。
「Xino」は「酸」。「Mavro」は「黒」の意味だそうで、
なんとなく味が想像できそうですが、バローロに匹敵するような、
高品質なものも作られているそうです。さて、今日のはどうでしょうね?
Kir04
熟成は、300Lの樽(まあまあ小樽)で12ヶ月です。
新樽率20%のフレンチオークを95%使用。(残り5%はアメリカンオーク)
なかなかしっかり作られている感じがします。


マケドニア地方にあるワイナリー訪問。大手らしくかなり大きいです。
Tsantali01

かなり手広くやっているようで公式ページにはこんな地図が。
Tsantali03
6ヵ所展開。サントリーニ島にもあるんですね。

Googleで本拠地(上の写真)の場所を確認。ナウサ近くです。
Tsantali02
周りの国との位置関係と緯度(かなり南です。)も見ておきましょう。

ギリシャの主要産地を見ておきます。
Tsantali04
PDOというのは「Protected Designation of Origin」で原産地呼称のことです。
今日のワインは「Macedonia」地域の「Naoussa」PDOということです。
アテネのある「中央ギリシャ」は生産量の1/3を占める最大の産地らしいですが、
PDOはなさそうですね。
アギオルギテイコ(Agiorgitiko)の赤ワインで有名な「ネメア」PDOは、
「ペロポネス」地域に属しています。


ところで、これがそのギリシャ料理レストランのワインメニューです。
IMG_9693
ドイツ語なのであれですが、レツィーナとナウサしかわかりません。(笑)
先ほどの主要産地マップでは「Mavrodaphne」、「Rhodos」が一致。


ラベルはドイツ向けにドイツ語表記になってます。
IMG_9698
まあ、ギリシャ語で書かれてももっとわかりませんが。(笑)


さあ、いただきます。
Alc.12.5%。ガーネット。
IMG_9700

カシス、プラム、果実味感じる香りです。
特徴的な酸味から来る辛口アタック。
「Xino」=「酸」ですからね。
その酸味が優勢ながら、味の骨格はしっかり感じます。
タンニンも程よく効いていて好印象。
余韻・フィニッシュまで酸味が付いて回るんですが、
味の力強さがあって、かなり楽しめました。

ポテンシャルを感じますね。
もっとギリシャワインを試したくなりました。


*****


Tsantali
Naousa 2016
RRWポイント 89点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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