Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Japan

サッポロ グランポレール エスプリ ド ヴァン ジャポネ 絢-AYA- 2021

サッポロのグランポレールのシリーズは過去からいくつか試してますが、どれもなかなかよく出来ていて間違いがないという印象です。今日のこれはスーパーで売ってるお安めのブレンドですがどうでしょうか、お試しと行ってみましょう。

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サッポロのグランポレールのシリーズは、長野、山梨、岡山、そして北海道余市の4ヶ所がブドウの産地となっています。自社ワイナリーがあるのが、山梨の勝沼と岡山になります。どちらも過去実際に訪問していますが、いずれも規模の大きな立派な施設です。
サッポロはワインショップ「恵比寿ワインマート」をグループ内に擁しているんですが、ここは恵比寿の(サッポロビール恵比寿工場跡地に再開発された)YEBISU GARDEN PLACE内に「WINE MARKET PARTY」(ワインマーケットパーティー)というワインショップの実店舗を出しています。東京見物した際にこちらも覗いたことがあります(笑)。

サッポロビールの公式ページ内にグランポレールのブランドサイトというのがあります。

今日のワインもブレンドシリーズと呼ばれる普及レンジですがちゃんと紹介はあります。

・マスカットベーリーA主体

山梨県産マスカットベーリーAを主体としてブレンドしているとのことですが、マスカベAが何%で他に何をブレンドしているのか詳細は書いていません。「絢はグランポレールの末っ子です。絢はぶどうの産地を限定せず、日本の複数産地のぶどうをブレンドしています。」なんだそうです。

お馴染みマスカット・ベイリーAですが、今一度まとめておきます。
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川上善兵衛氏が1927年(昭和2年)に作り出した品種です。新潟県が原産の日本固有種ということで、2010年の「甲州」に次いで、2013年にOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に登録され、国際的なワイン用ブドウ品種として公式に認められているのはご承知の通りです。日本のワイン用黒品種では第1位の生産量を誇ります。

母方にアメリカ原産の交雑種ベイリー(Bailey)と、父方に欧州のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)を掛け合わせたものですが、ベイリーがヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)を含む種間交雑種(ハイブリッド*)のため、マスカット・ハンブルクがヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)であるものの、そのフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)はかなり特徴的です。いわゆるグレープジュースの香り。個人的にはキャンディ香とか呼んでいますが、実はワインからこの香りがするのは勘弁してほしいと思っています(笑)。

厳密に言うと、母方のベイリー自体は4分の1はヴィティス・ヴィニフェラの系統なので、マスカットベイリーAの半分がヴィティス・ラブルスカの血筋というわけではありません。それでもこの香りがよく出てくるというのは、ラブルスカの遺伝って、よっぽどキツイんですね(笑)。

父方のマスカット・ハンブルクはマスカット・オブ・アレキサンドリア(いわゆるマスカット)とチロル地方原産のスキアヴァ・グロッサ(Schiava Grossa)を交配した品種です。スキアヴァ・グロッサはドイツのトロリンガー(Trollinger)のことでしたね。ややこしい…。

(* 主にアメリカ系品種との交配品種。EU圏ではこれらを使ってワインを作ってもワインとは認められず輸入・販売もできません。ヨーロッパ人のヨーロッパ系品種至上主義の偏見から来るものと個人的には推察します。日本のマスカットベイリーAも厳密にはハイブリッドですが、2013年に国際ブドウ・ワイン機構 OIV に日本固有品種としてワイン用品種に登録されていますので、ワインとして欧州に輸出できます。なんかええ加減やな~。)

ところで、このマスカット・ベイリーA、ここでは「ベイリー」と書いていますが、今日のワインでは「ベーリー」と表記しています。アルファベット表記では「Muscat Bailey A」一択なのですが、日本語表記となると、マスカット・ベーリーA、マスカット・ベーリA、マスカット・ベリーA、マスカット・ベイリーAの4表記がOIVに登録されてるそうです。元の英語がベイリー(Baily)ですから、特に「ベリー」はいかがなものか?と思いますね。「Berry」と混同する人がいそうですから(笑)。


ブドウは山梨ですが、このワインはサッポロビール岡山ワイナリーで作っているそうです。
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これは実際に岡山に訪問した時のサッポロビール岡山ワイナリー写真です。なかなか立派な施設ですよ。ショップにはサッポロの代表的なワインが揃ってるのでありがたいです。しかし、山梨産のブドウをここまで持ってくるんですかね。モスト(搾汁した果汁)の状態で輸送でしょうか。

恒例の岡山県の俯瞰をしますが、関西のエリアと他のワイナリーも入れてみました。
Okayama
散らばってはいますが岡山には4つもワイナリーがありますね。少ないながら関西もがんばっていますね。「おらがワイナリーが載ってない!」ということもあろうかと思いますが、一応自分が知っている、もしくは行ったことがあるワイナリーを書き込んでいます。(だいたい行ってます。)


ラベル平面化画像。
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「製造地:岡山県赤磐市東軽部1556」となっています。これがサッポロビール岡山ワイナリーの住所です。


さあ、スクリュー回転。
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ネックを覆わない日本酒で使われているようなスクリューキャップです。

Alc.11.5%。
ローズピンク系のルビー。
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いちご、ラズベリー。
甘口っぽ~い辛口アタック。
キャンディ風味きましたね。
マスカベAのフォクシーフレーバーですね。
それなりにコクはあるんですが、次第に甘みも増してきました。
でも、嫌じゃないです。
柔らかな日本ワインらしい日本ワインを堪能できる、
そういった印象です。


*****

Grande Polaire
Esprit de vin japonais AYA 2021
グランポレール
エスプリ ド ヴァン ジャポネ
絢 -AYA- (赤) 2021
RRWポイント 84点


淡路島ワイナリー Monde Briller モンドブリエ 2023

淡路島にワイナリーがオープンしたというニュースを見て慌てて訪問しました。その名も「淡路島ワイナリー」。残り1本という白ワインをゲットしてきたので早速お試しといきます。淡路島は近年いろんな施設が出来ており、ウチからでも車で1.5時間で行けるという夢のワンダーランドです(笑)。そこにワイナリーが出来たとなればこれは見過ごすわけにはいきません。

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2019年東北岩手から地元兵庫県に戻り、淡路島北淡地区にワイン専用ぶどう品種の栽培を始めた小谷雄介さんと「料理に寄り添うワインも、地元産でまかなえたら」というこの地で生まれ育ったシェフ井壺幸徳さんのお二人が設立されたワイナリーで(以上HPより)、レストラン・カフェも併設されています。淡路島でのブドウ栽培は2019年からなのでもう5年になるんですね。そしてこの度、「AWAJISHIMA WINERY COMPLEX」がオープンしたというニュースを目にして思わず訪れた...とういうわけです。

公式ページは淡路島の景色がトップページを飾っています。

今日のワインがワイナリーを代表するとして載っています。

・モンドブリエ(Mondo Briller​)100%

淡路島産(淡路島ヴィンヤード)のブドウ100%。今日は最新ヴィンテージの2023年をいただきますが、ファーストヴィンテージは2021年のようです。茨城県のワイナリーに委託醸造されていますが、次のヴィンテージからは完成した淡路島ワイナリーで作られるそうです。

モンドブリエというのは知らなかったのですが、日本で育種された品種です。
Monde-Briller1
平成26年(2014年)に品種登録出願公表されたまだ新しい品種ですね。山梨県果樹試験場でシャルドネにベト病耐病性を有するカユガ・ホワイト(Cayuga White)を交雑して生み出されています。カユガ・ホワイトはアメリカで生まれた品種で、セイベル系の親を持ちハイブリッドと言える品種なので、モンドブリエもシャルドネの子にはなりますが完全なヴィティス・ヴィニフェラ(ヨーロッパ系品種)とはならないようです。しかし、シャルドネのワイン用の品質を受け継いでいるとすればかなりポテンシャルの高い品種と言えそうです。「モンド」は「世界」、「ブリエ」は「輝く」の意味のフランス語から名付けられています。


淡路島ワイナリーにやって来ました。オープンしたばっかりでピッカピカです。
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兵庫県淡路市の仁井(にい)というところになります。広い畑の真ん中です。

ここが試飲スペース。ガラス窓からワイナリーの醸造施設が覗けるようになっています。
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建屋は向かって左がレストラン、真ん中がテイスティングルーム、右がワイナリー施設という構成になっています。

試飲メニュー。マスカットベイリーAもあり、グラスでお試しできます。
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マスカットベイリーAも当然淡路島産です。

醸造施設も写真に撮らせてもらいました。
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2024年の収穫分からはここで醸造することになります。楽しみですね。

本格的なレストラン・カフェが併設されているのがここのいいところ。
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客席は早速のお客さんが入っていたのでカウンター内を撮らせてもらいました。


関西の方にはお馴染みですが、淡路島とワイナリーの位置関係をおさらいしましょう。
淡路島
淡路島は兵庫県ですが、瀬戸内海、大阪湾に面し、神戸・大阪・和歌山・徳島を周囲に配した場所になります。個人的にはなんとなく南国の雰囲気を感じ、東洋のサルデーニャ島と呼んでいます(笑)。近年はカフェやリゾート施設、ホテルなども増えて明石海峡大橋を渡るだけでアクセスできるワンダーアイランドになっています。ただし、ワイナリーへは車で行くと、まず「飲めない」という問題があるのと、駐車場はあるものの文字通りの畑の真ん中なのでなかなかアクセスが厳しい感じです。じゃあ、どうすればよいかというと…

なんと神戸の三宮の前のバスターミナルから高速バス1本で直通で来れるのです。
(バス)
三宮を出て1時間ほどの本四仁井という停留所で降りるとワイナリーはすぐそこです。今度はバスで来てしっかりレストランでワインをいただきたいと思います。


ラベル平面化画像。
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達筆な書は「あわじしま」と書いてあるように見えます。


さあ、抜栓。
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コルクは無印ですがDIAM5を奢っています。

Alc.11.5%。
淡いゴールドイエロー。
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黄桃、グレープフルーツ。
トロピカル感あります。
辛口アタック。
フルーティで存在感のある酸がイキイキしています。
グレープフルーツか、薄いレモン水のような味わい。
淡路島のテロワールを教えてくれるようなミネラル感ですよ。
モンドブリエという品種のポテンシャルも高そうです。


*****


淡路島ワイナリー
Monde Briller
モンドブリエ 2023
WWWポイント79点



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サントリー FROM FARM 2023収穫 新酒 甲州

サントリー登美の丘ワイナリーの甲州なんですが、ボジョレーヌーボーの解禁の頃に出た2023年の新酒になります。年も明けて「新酒」でなくなってきたのでボジョレーヌーボーと共に半額で叩き売られていました(笑)。早飲み向きに醸造してあるからかもしれませんが、置いておくと商品価値が下がっていくんでしょうね。いずれにしてもありがたい値付けでした。

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サントリーは日本を代表するワインメーカーのひとつでもあるわけでして、今日の登美の丘ワイナリーというのがサントリーの旗艦ワイナリーであり、1909年から登美農園としてブドウ栽培をしているという歴史のあるところです。サントリーのフラッグシップワイン『登美 赤』を作っているのがここですね。

公式ページはこれ。サントリーのHPの中にあります。

ワイン情報はショップページ兼用となりますが「新酒」もちゃんと載ってました。

・甲州 100%

100%山梨県産ということですが、自社畑ではないかもですね。HPの解説をそのまま引用します。「今年のぶどうならではの魅力を引き出すために、つくり手自ら畑を回り、ぶどうの仕上がりを確認します。糖度だけでなく、アロマの質や色付きなど様々な要素を確認し、使用するぶどうを厳選しました。味わいが濃くなる旬の食材にも合うように、ぶどう由来のうまみ成分を抽出する仕込み技術にトライ。収穫前のぶどうを事前に調達し、渋さを出しすぎずに、うまみを多く抽出する搾り方・仕込み方を検証し、甲州は果皮からのうまみを丁寧に抽出しました。」
具体的なことは何ひとつわかりませんが、なんだかすごいことをしているようです(笑)。

なんと、果汁からポリフェノールを取り除いてるんですって。
「新酒らしいフレッシュさを実現するために、新たな取組として、酸化(褐色)しないように果汁の段階でポリフェノールを取り除く処理を実施し、見た目にもフレッシュさを追求しています。」

これが甲州。紫がかった淡いピンク色。美しい~。白ブドウというよりグリ(Gris)ですね。
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奈良時代から知られていたという、日本の在来種(山梨県の固有種)ではありますが、その起源は興味深いです。最新のDNA分析では欧州品種Vitis Vinifera)の交配種であることが判明しています。中国の野生種、トゲブドウと呼ばれるダヴィディ種(Vitis Davidii)と中央アジアで交雑していた可能性が高いとされていますが、遺伝的には3/4は欧州品種であるヴィニフェラ種を引き継いでいます。
日本に残る記録では、奈良時代に大僧行基が勝沼に大善寺(別名ぶどう寺)を建立した際に発見したというものや、1186年に山梨県勝沼の上岩崎にて雨宮勘解由(あめみやかげゆ)という人が発見したというものがありますが、いずれにしても相当昔にシルクロードを通って日本に入っていたんだと思われますね。(渡り鳥が種子を運んだ説もあり。)
2010年には甲州が日本固有種として初めてOIV(国際ぶどう・ぶどう酒機構)に品種登録され、ワインラベルに「Koshu」と記載してEUへ輸出することが可能になっています。


ワイナリー訪問は以前実際に行ってますから、その時の写真をば。
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登美の丘というだけあって高台にあり、甲府盆地が一望できます。

例によって、山梨のワイン産地をGoogle Map上で見ておきます。
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サントリー登美の丘ワイナリーは甲斐市にあります。「勝沼」は産地として有名なので地図上に無理やり「勝沼」も示しましたが、2005年に「勝沼町」は塩山市・大和村と合併して甲州市になり、今はないです。


ラベル、いや、ボトル平面化画像です。
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ボトルに直印刷、カッコいいけど撮影がめっちゃ難しいんですよ。


さあ、スクリュー回転。
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Alc.11%。
プラチナイエローって感じ。
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青リンゴ、梨。
酸味がフレッシュに効いた辛口アタック。
はっさく系柑橘類の味わいあり。
薄い感じがしないのがいいですね。
これは確かにお出汁に合いそう。


*****


サントリー
FROM FARM 2023収穫 新酒 甲州
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安心院葡萄酒工房 安心院ワイン 卑弥呼

最近は近所のスーパーにも大分県の安心院ワインが並んでいますね。(「安心院」は「あじむ」と読みます。)九州らしく(?)「卑弥呼(HIMIKO)」なんて名前がついていて興味をそそられましたので買ってきました。赤もあったんですが、日本ワインあるあるでマスカットベリーAの味だとつまらないな~と思って白にしました。

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安心院葡萄酒工房は大分県宇佐市安心院町にあるワイナリーで、1971年からワイン作りをしていますが、2001年に「安心院葡萄酒工房」として設立されています。焼酎「いいちこ」のメーカーである三和酒類が出資していますが、その「いいちこ」の誕生より前にワイン事業は始まったということで、「焼酎メーカーがワイン事業にも乗り出した」というのは間違いのようです(笑)。 安心院葡萄酒工房は2020年『日本ワイナリーアワード』で西日本で唯一最高賞の「五つ星ワイナリー」にも選ばれていますからホンマもんですね。

公式ページはなかなかよくできていますが、今日のワインの情報が弱いです。

「卑弥呼」なんて名前ですが、エントリーモデルのようですから仕方ないですね。セパージュ情報が全然ありません。ネットで調べてもわからないので本当に謎です。「ぶどうは大分県安心院町産」と書かれているだけ。

なので、栽培しているブドウのラインアップを見て想像してみましょう。
Ajimulu

畑の説明の所にさらに詳しい栽培品種が書かれていました。
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契約栽培の買いブドウもわかりますね。このあたりなんだろうなと想像しておきましょう(笑)。


安心院葡萄酒工房は以前、別府旅行した際にリアルで訪問しています。
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その時撮った写真ですが、行ったのが台風の真っただ中だったので雨の写真です(笑)。きれいな庭園もあるのですが、この日は悪天候で閉鎖でした。残念。

大分県・九州北部を俯瞰してワイナリーの場所・位置関係を確認します。
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公式ページにはワイナリーへのアクセスマップが載っています。
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高速道路で行けて、安心院ICで降りてすぐです。案外行きやすいです。レンタカーでの道中を思い出します。


ラベル平面化画像。
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数種類の安心院ワインをブレンドとなっています。品種知りたいな~。毎年違うんでしょうね。

さあ、スクリュー回転。
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スクリューキャップなんですが、キャップシールをかぶせてあります。

Alc.11.5%。
濃いめのイエロー。
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青リンゴ、夏ミカン。
さっぱり辛口アタック。
なめらかな酸は夏ミカン系かな。
コクらしきものも感じていいですね。
最後はヌルッと感と水臭さが残るんですが、
総じて味わい深いです。
でも、やっぱり品種はわかりません(笑)。


*****


安心院葡萄酒工房
安心院ワイン
卑弥呼 HIMIKO 白
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熊本ワインファーム 菊鹿シャルドネ樽熟成 2021

めずらしく京都の町に繰り出し、和のフレンチコース(創作料理?)の小洒落たレストランでお食事会。京都ではありますが「小野」という九州のレストランらしく、ワインリストに熊本ワインの「菊鹿シャルドネ 樽熟成」を発見。そう、昨年ワイナリーを訪問した際にゲットできなかったやつ。(その時は樽熟成でない「菊鹿シャルドネ」を購入。)思わずリベンジよろしくボトルで注文しました(笑)。そうそう、京都のレストランということで丹波ワインもありました。

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熊本ワインファームは1999年創業のワイナリーで、熊本県北部の山鹿市菊鹿町(きくかまち)に菊鹿ワイナリーを持っていて、今日のワインのブランド名にもなっています。熊本市内にも西里醸造所という拠点があり、昨年はこちらのショップに訪問、何本か購入したのでした。

ここが熊本ワイナリー西里醸造所併設の直営ショップです。
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熊本城から車で15分という距離。直営ショップのみで醸造所は見学しなかったんですが、ガラス越しに見ることもできるようです。

「これが菊鹿シャルドネか~」と、なかなか雰囲気の良い店内を物色。
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店員さんからも「賞を獲ってるんですよ」と説明をいただきましたが、シャルドネ・デュ・モンドのメダルを受賞というディスプレイが誇らしげに飾ってありました。「そりゃあすごい!」と、その「シャルドネ 樽熟成」をくださいなと言うと、なんと品切れとのこと(!)。「最新ヴィンテージが明日発売なので明日来れば買えますよ」とのことでしたが、もともと無計画な訪問なので明日は明日で予定があります(笑)。「明日発売のワイン、もうここにあるんでしょ? 今日売ってもらえません?」と無茶なお願いをしてみましたが「NO」とのことでした(笑)。
仕方がないので、樽熟成でない普通の「菊鹿シャルドネ」を買うことにしましたが、その「樽熟成」、京都で出会うとは思っていませんでした(笑)。

熊本ワインファームの公式ページはこれ。

ここから、熊本ワイナリーと菊鹿ワイナリーそれぞれのホームページへ飛べます。

こちらが菊鹿ワイナリーの公式ページ。単独のURLになっています。

ワイン紹介が見当たらないのですが、「ニュース」に「樽熟成2021販売開始」の記事を発見。

・シャルドネ 100%

「2021年収穫の菊鹿町産シャルドネをステンレスタンクでゆっくり低温発酵させ、その後約1年フレンチオークで樽熟成させました。」とのこと。人気のワインらしく「おひとり様1本限りでの販売」だそうです。

訪問はしていない菊鹿ワイナリーです。熊本県北部、山鹿市 菊鹿町にあります。
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ストビューで近づけなかったのでHPから写真を拝借しています。カッコいいですよね。時間があれば行ってみたかったです。今回訪問の熊本ワイナリーから車で北上すること45分かかります。


熊本県~九州をGoogle Mapで俯瞰して位置関係を見ます。
熊本県
熊本(市)は昨年ずいぶん久しぶりに訪れました。熊本城は初めてでした。阿蘇なら大分県側から何度も行ってるんですけどね。しかし、製造元まで行ってみたのに出会えなかったワインに地元で出会うなんてことがあるんですね(笑)。ワインも一期一会が大事です。


ラベル画像。お食事会だったので平面化はしてません(笑)。
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和紙調のラベルに毛筆字体で「菊鹿」。かっこいいです。


さあ、いただきます。
Alc.13%。
しっかり色づいたイエロー。
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青リンゴ、白い花。
やはり、樽感は香りに乗っています。
辛口アタック。
酸も穏やかな雰囲気になってます。
立体感がありますが、樽熟成ならではでしょうか、
独特な風味を感じます。

充分貫禄ありでおいしかったんですが、
昨年飲んだ「樽なし」の方が生き生きしてて好みかも。


*****


熊本ワインファーム
菊鹿シャルドネ
樽熟成 2021
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北海道池田町 十勝ワイン 山幸 2020

北海道池田町 十勝ワイン(池田町ブドウ・ブドウ酒研究所)が交配した山幸(やまさち)という品種のワイン。2020年に「甲州」「マスカット・ベイリーA」に続いて日本のワイン用ブドウ品種としては3品種目に国際ブドウ・ワイン機構(OIV)のリストに登録された品種になります。話には聞いていましたが、味見はしておこうと思い立ち、お取り寄せしたハーフボトルです(笑)。

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十勝ワインは名前からもわかるように北海道池田町が公営事業として運営しているワイナリーです。「ブドウ栽培による農業振興」を掲げ、土地柄、耐寒性醸造用ブドウの開発をしながらワイン等酒類の製造販売を行っています。設立は1963年(昭和38年)と古く、自治体ワイナリーとしては日本初なんだそうです。

国際ブドウ・ワイン機構、OIVOrganisation Internationale de la Vigne et du Vin)はフランスに本部を置くブドウの栽培やブドウ品種などワインづくりに関する研究機関です。現在46ヶ国が加盟しており、ブドウ栽培・ワイン醸造・ラベル表示などに関する基準の制定も行っていて、特にOIVが独自に認めたブドウ品種だけがEU圏でワインラベルに品種表示できることになっています。

公式サイトでは「International Organisation of Vine and Wine」なんて英語表記してあり、「国際」ぶってますが、(以下私見です)ヨーロッパ人のヨーロッパ系品種至上主義からくる基準で、ハイブリッド品種(主にアメリカ系品種との交配品種)をEU圏から排除することがこの機関の目的ではないかと勘繰っています(笑)。

しかしながら、2013年にOIVに登録された日本のマスカット・ベイリーAは、母方にアメリカ原産の交雑種ベイリー(Bailey)を持ち、父方に欧州のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)を掛け合わせてはあるものの、ベイリーがヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)を含む種間交雑種(ハイブリッド)のため厳密にはヨーロッパ系品種、ヴィティス・ヴィフェラ(Vitis Vinifera)とは言えません。

2010年に登録された「甲州」は、最新のDNA分析で欧州品種(Vitis Vinifera)の交配種であることが判明しています。中国の野生種、トゲブドウと呼ばれるダヴィディ種(Vitis Davidii)と中央アジアで交雑していた可能性が高いとされ、遺伝的には少なくとも3/4は欧州品種であるヴィティス・ヴィニフェラを引き継いでいます。

何が言いたいかというと(笑)、OIVのリスト登録基準はヨーロッパ人寄りに恣意的で、かつ時にはええ加減であるということです。さて、今日のワインの「山幸」が登録された基準はなんだったんでしょうね。マスカット・ベイリーAの時同様なんとなく不明です(笑)。とにかく、また一つ日本の品種が堂々と品種名を書いてヨーロッパに輸出できるということはいいことではあります。


公式ページは若干公営ワイナリーの雰囲気は残りつつもよく出来てはいます。

ワイン紹介を見ると、今日の「山幸」含む独自品種シリーズがフラッグシップのようですね。

・山幸(Yamasachi) 100%

熟成期間は書いていませんが、フレンチオーク樽で熟成をさせています。山幸のヴィンテージ・チャートが載っているのが面白いです。


山幸(Yamasachi)です。公式HPにないので写真探すのに苦労しました(笑)。
山幸
山幸は1978年に開発に着手され、フレンチハイブリッドのセイベル13053を(耐寒性や収量性を目的に)クローン選抜した品種の「清見(Kiyomi)」に、在来種である「ヤマブドウ」を掛け合わせたブドウの中から更に選抜した醸造用赤品種ということです。耐寒性・耐凍性に優れ、冬期間の枯死防止のために対策を講じる必要がなく、栽培農家の労力を軽減できる有望な品種ということで、地元産業的にはメリットありそうですが、OIV登録に影響する要素ではなさそうです。

山幸の親、セイベル13053をクローン選抜したという清見(Kiyomi)とヤマブドウ
「-セイベル-13053-」-をクロー
セイベル(Seibel)というのは、フランスの育種家アルベール・セイベル(1844-1936年)がヨーロッパ系品種(Vitis Vinfera)とアメリカ系品種(Vitis Labrusca)を掛け合わせて生み出した一連のハイブリッド品種群です。たくさんあるためシリアルナンバーのように番号が振られています。このセイベル13053は、セイベル7042 x セイベル5409の交配で生まれており(複雑~!)、ポピュラーなのか「Cascade」という名前が付けられ、これが正式名称になっています。しかし、山幸は片親がすでにハイブリッド品種ということになります(笑)。

ヤマブドウは日本(北海道)の在来種とされてきましたが、アジア系のヴィティス・アムレンシス(Vitis Amurensis)と同じものです。アムール川が名前の由来になっているように、ロシアや中国の温帯地域から韓国や日本にまで広く分布しています。山幸などの寒さに強い特性はヤマブドウから来ているようです。(-45度にも耐えられるといいます。)

しかし、ここまでを見ると、OIVに登録された山幸も欧州品種ヴィティス・ヴィニフェラからは程遠いことがわかると思います。いったい何が基準だったんでしょうね。

参考ですが、山幸より前の1975年に交配されて生まれた清舞(Kiyomai)。
清舞
セイベル13053をクローン選抜したという清見(Kiyomi)とヤマブドウの交配というのは山幸と同じ。ヤマブドウのクローンが違うようです。

さらに、山幸をベースに「銀河(山幸同士の交配で生まれた白ブドウ)」と「未来(1週間程度収穫時期が早い)」という品種が生まれています。なんとこの2品種は DREAMS COME TRUE の吉田美和さんが命名されています。吉田美和さんは北海道池田町のご出身とのこと。なるほどです。


さあ、北海道池田町 十勝ワイン、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所を訪問です。
北海道池田町十勝ワイン
研究所はヨーロッパ中世の古城に似ていることから誰からとなく「ワイン城」と呼ばれているそうです。ワイン城の南側の斜面には、池田町だけの品種「清舞」「山幸」などのブドウの木が植えられているそうです。

場所を確認します。北海道の他のワイナリー群とは離れた帯広の方になりますね。
帯広
十勝平野、いわゆる十勝川の流域ということですね。ワイン城にはレストラン、ショップ、ミュージアムなどあり、見学も積極的に受け入れておられます。


ラベル平面化画像。
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ラベルのイラストはやはりのワイン城。


さあ、スクリュー回転。
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Alc.12%。
しっかり色付き、黒みもあるルビー。
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赤ベリーと感じる前に草むら?(笑)
ヤマブドウから来るものか、ハーブっぽいっちゃあぽい。
フォクシーフレーバーとは違うんですよね。
酸味は独特で鋭角で刺します。
喉元にもべったりという感じ。
樽香もあるんですがかなり弱いです。
酸のおかげもあって全体的にひたすら軽い気がします。
ワインとしては…なんでOIVに選ばれる?というレベル(笑)。
わざわざヨーロッパに輸出しなくてもいいかも。
ちょっと残念。


*****

北海道池田町 十勝ワイン
山幸(Yamasachi)2020
RRWポイント 80点


山口ワイン SOREINE 赤

この夏は広島・山口の旅と題して家族旅行に行きました。1日目は尾道ラーメンを食べつつ安芸の宮島泊。2日目は山口の名所を回りつつ湯田温泉泊といった日程です。過去、萩と秋吉台・秋芳洞などは大河ドラマ「花燃ゆ」の頃に行ってますので今回はそれ以外の山口ということで。そして、やはりありました山口のご当地ワイン(笑)。

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湯田温泉の旅館「梅乃屋」さんの夕食にてドリンクメニューでワインを発見。「Soreine」なんて名前なのでフランスワイン?かと思いましたが(笑)、「それいね」は山口弁の相槌で「そうだよね。 その通り。」の意味なんだとか。関西弁の「そやね。」とか、沖縄弁の「だからよ~。」みたいなものですね(笑)。作り手は「永山酒造合名会社」という山口県山陽小野田市にある清酒・焼酎を作る酒造会社で明治20年創業という老舗です。平成8年(1996年)からワイン作りを始めたそうです。「山口ワイナリー」という立派なワイナリーを構え、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネほか、カベルネ・フランやメルローなどヨーロッパ品種を精力的に栽培し「山口ワイン」を生み出している本格的なワイナリーでした。

公式ページは清酒・焼酎と共に山口ワイナリーのページがあります。

今日のワインも一応載っていますが日本ワインあるあるでほとんど詳細情報なし。

・マスカット・ベイリーA 100%

国産のマスカベAということですが、自社とは書いてませんね。まあ、エントリーモデルのようですから仕方がありません。カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランとメルローのブレンドなんかがトップエンドのようです。いつか試してみたいですね。


山口ワイナリーを訪問。山陽小野田市の厚狭(あさ)という所にあります。
yamagutiwainari--
訪問といってもリアル訪問ではありません(笑)。「ワイン工場」と共に「清酒焼酎製造蔵」とも書いてあるのでワイン以外も作ってるのかな?

Google Mapで山口県を俯瞰して山口ワイナリーの所在も印しました。(白い四角の所)
山口県
ついでに今回の旅で訪問した所も今回撮った写真をインポーズして示しています。下関の広島風お好み焼きの店も行ったので書き込んでいますが、なぜ下関なんだと思われるでしょう(笑)。実は広島市内で夜に広島焼きを食べようといくつか回ったんですが満員&劣悪な接客態度に辟易し、翌日下関でリベンジをしたというわけです。これが実は大正解。この「弘々家(こうこうや)」という所は「食べログ お好み焼き 百名店」なんだそうで、それはもうおいしゅうございました。山口県の広島焼きですけどね(笑)。ところで、広島の人に「広島焼き」というと怒られるそうで、「広島風お好み焼き」とか言わないといけないみたいですね。ほんとにややこしい人たちだ(笑)。実際「広島焼き」は「お好み焼き」と呼ぶには無理があり、どっちかというと鉄板焼きの一種だと思いました。そういう意味で「広島焼き」が一番ふさわしい呼び名ではないでしょうか。
ワインからかなり脱線しましたが、ついでに説明をしておくと、「JR宇部新川駅」は「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」のラストシーンのロケ地として訪問。シンジとマリは駅を飛び出していったけど、まだアスカはホームのベンチにいるんじゃないかという不思議な感覚になりました。
「角島大橋」は…そう、映画「シン・仮面ライダー」のラストシーンのロケ地。
「本郷、感じるか、この風を!」
「ああ、一文字。もっとスピードを上げてくれ。」
感動です。あいにくの大雨でしたけど(泣)。

さあ、ワインをいただきますよ。ラベル平面化撮影はしていませんが。
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裏ラベルがない1枚ものなのでこれでOK。飲みきりサイズのハーフボトルです。

旬の和のお料理にマスカット・ベイリーAは結構合うんです。
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とにかく産地や生産者にもこだわった季節のお料理は最高でした。

抜栓はスクリュー回転。なんだか日本酒っぽいです(笑)。
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Alc.12%。
クリア感のあるガーネット。
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生のブドウ果実が熟したようなフォクシーフレーバー(笑)。
カシスっ気もあります。
甘味が残る辛口めのアタック。
あっさり軽めです。
この甘味さえ許せればクセがなく飲めます。
余韻云々を評するワインではないんでしょうが、楽しめました。
とにかく和の料理に寄り添ってくれた感じです。


*****

永山酒造合名会社
山口ワイナリー
SOREINE 赤
RRWポイント 83点


シャトージュン がぶ飲みシャトージュン・赤

スーパーで面白そうな日本ワインを発見。「がぶ飲み」と高らかに謳っています。吹っ切れているのか、実はおいしいのに謙遜なのか、はたまたいい訳なのか(笑)、その真意は計り知れませんが、とにかく試してみるとしましょう。これはれっきとした「日本ワイン」で、輸入濃縮果汁を日本で醸したような居酒屋飲み放題系ワインとは一線を画すことが期待できそうです。

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シャトージュンは1979年に山梨県甲州市の勝沼に創業したワイナリーですが、アパレルブランド『JUN』の直営なんだそうです。ラインナップをながめると、甲州などの日本の品種もありますが国際品種も積極的にやってるようですし、今日のワインに限らずいろんなコンセプトのワインにもチャレンジしているのがわかります。

公式ページはそこそこ情報も豊富で好感が持てます。

今日の「がぶ飲み」はまだ定番ではないのか、ショップサイトの方にしか載っていません。

・マスカット・ベイリーA 主体

「マスカットベーリーA主体に数種類の品種をブレンド」としかわかりませんし、ノン・ヴィンテージ(NV)なので収穫年も不明。まあ、そこそこ安価なつくりなのは想像できますが、日本産のブドウを日本で醸した「日本ワイン」であることが、一定の品質を担保してくれています。「がぶ飲み」には白もあるんですが、白はナイアガラ主体に甲州やデラウェアなど色々ごちゃまぜなんだそうです。

お馴染みマスカット・ベイリーAですが、今一度まとめておきます。
Takeda04
川上善兵衛氏が1927年(昭和2年)に作り出した品種です。新潟県が原産の日本固有種ということで、2010年の「甲州」に次いで、2013年にOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に登録され、国際的なワイン用ブドウ品種として公式に認められているのはご承知の通りです。日本のワイン用黒品種では第1位の生産量を誇ります。

母方にアメリカ原産の交雑種ベイリー(Bailey)と、父方に欧州のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)を掛け合わせたものですが、ベイリーがヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)を含む種間交雑種(ハイブリッド*)のため、マスカット・ハンブルクがヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)であるものの、そのフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)はかなり特徴的です。いわゆるグレープジュースの香り。ファンタグレープなどは好きですが(笑)、個人的にはワインからこの香りがするのは勘弁してほしいところです。

厳密に言うと、母方のベイリー自体は4分の1はヴィティス・ヴィニフェラの系統なので、マスカットベイリーAの半分がヴィティス・ラブルスカの血筋というわけではありません。(参考1参考2)それでもこの香りがよく出てくるというのは、ラブルスカの遺伝って、よっぽどキツイんですね(笑)。

父方のマスカット・ハンブルクはマスカット・オブ・アレキサンドリア(いわゆるマスカット)とチロル地方原産のスキアヴァ・グロッサ(Schiava Grossa)を交配した品種です。スキアヴァ・グロッサはドイツのトロリンガー(Trollinger)のことでしたね。ややこしい…。

(* 主にアメリカ系品種との交配品種。EU圏ではこれらを使ってワインを作ってもワインとは認められず輸入・販売もできません。ヨーロッパ人のヨーロッパ系品種至上主義の偏見から来るものと個人的には推察します。日本のマスカットベイリーAも厳密にはハイブリッドですが、2013年に国際ブドウ・ワイン機構 OIV に日本固有品種としてワイン用品種に登録されていますので、ワインとして欧州に輸出できます。なんかええ加減やな~。)

ところで、このマスカット・ベイリーA、ここでは「ベイリー」と書いていますが、今日のワインでは「ベーリー」と表記しています。アルファベット表記では「Muscat Bailey A」一択なのですが、日本語表記となると、マスカット・ベーリーA、マスカット・ベーリA、マスカット・ベリーA、マスカット・ベイリーAの4表記がOIVに登録されてるそうです。元の英語がベイリー(Baily)ですから、特に「ベリー」はいかがなものか?と思いますね。「Berry」と混同する人がいそうですから(笑)。

「がぶ飲み」の白がナイアガラ主体というのでナイアガラ(Niagara)も見ておきます。
Niagara
ナイアガラはコンコード(Concord)xキャサディ(Cassady)の交配で、その名の通りナイアガラの滝で有名なニューヨーク州のナイアガラで1863年に生まれた白品種です。コンコードは黒ブドウなので面白いですね。いずれもアメリカ系のヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)(**) なのでナイアガラもフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)があることがわかります。よって生まれの本国アメリカではもっぱら生食用やブドウジュースの製造に使用されます。(*コンコードの祖先にはセミヨンがいて、若干のヴィティス・ヴィニフェラの血筋は入っているようですが。)
ナイアガラ種が日本に導入されたのは1893年(明治26年)頃のことで、前述のマスカット・ベイリーAを生んだ日本ワインの父、川上善兵衛氏によって持ち込まれました。 ということで日本ではワイン用ブドウとしても普及したわけですね。アメリカでは今でも広範囲に栽培されているものの、フォクシー・フレーバーのワインは敬遠されるのでワイン用にはヨーロッパ種の導入が進みました。生産量は実はブラジルがナンバーワン。ナイアガラ・レッドという色変異種がブラジルで生まれています。(世界:3,246 ha、ブラジル:1,430 ha、アメリカ:1,196 ha、日本:551 ha、カナダ:87 ha @2016)


山梨県勝沼にあるシャトージュンを訪問します。「シャトー」って感じですね。
Chateau-JUN
周辺の地図を見渡すと勝沼地区には他にも名だたるワイナリーが林立しています。

山梨県を俯瞰しておきます。シャトージュンを示しましたが勝沼ってこのあたりです。
Yamanashi_0
昔は「勝沼町」と呼び、かつて山梨県東山梨郡にあった町でした。 日本のブドウ栽培とワイン醸造の発祥地であり、その名前はあまりにも有名ですね。2005年11月1日、塩山市・大和村と合併して甲州市が発足し、行政区分としての勝沼はなくなりました。しかしながら、JR勝沼ぶどう郷駅や中央道の勝沼ICにしっかり名前が残っています。


ラベル平面化画像。
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1枚もので簡素なデザインのシールですが、なんとなくノスタルジックな雰囲気なのは狙っているのかも。


さあ、スクリュー回転。
IMG_0589

Alc.11.5%。これぐらいだと確かにがぶ飲みにいいかも。
薄〜いクリアなルビー。
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カシス、ブドウ(笑)。
やっぱ少しフォクシーフレーバーです。
辛口アタック。
ほんのり甘味の雰囲気。
酸は穏やかでいい感じ。
立体感は当然ながら弱いんですが、
マスカベAの弱点、シャバシャバ感はあまり出てません。

なかなかいいですよ。バランスかな。
「がぶ飲み」と呼ばわるのは少しもったいない気がします。


*****

シャトージュン
がぶ飲みシャトージュン・赤
NV
RRWポイント 87点


サッポロ グランポレール 余市ケルナー スパークリング 2020

サッポロが展開するグランポレール。クオリティの高い日本ワインのラインアップを潤沢に流通させてくれていますので非常に偉い日本のワインブランドだと思っています。今日はリカマンで見つけた北海道余市のケルナーから作るスパークリングをお試しです。サッポロは安定供給なのが偉いと書きましたが、調べるとこのワイン、原料不足で約10年間休売していたそうで、この2020年が数量限定で再発売なんだそうで(笑)。

IMG_0061
サッポロのグランポレールのシリーズは、長野、山梨、岡山、そして北海道余市の4ヶ所がブドウの産地となっています。自社ワイナリーがあるのが、山梨の勝沼岡山になります。どちらも過去実際に訪問していますが、いずれも規模の大きな立派な施設です。しかしながら、今日のワイン他、北海道余市のワインはどこで醸してるのかHPを見てもはっきり書かれていませんね。
サッポロはワインショップ「恵比寿ワインマート」をグループ内に擁しているんですが、ここは恵比寿の(サッポロビール恵比寿工場跡地に再開発された)YEBISU GARDEN PLACE内に「WINE MARKET PARTY」(ワインマーケットパーティー)という実店舗を出しています。先日東京見物した際に覗いてきました(笑)。

公式ページはサッポロビールのサイト内ですがグランポレール専用ページがあります。

10年間休売してましたのでラインアップには載ってませんが、ニュースページにありました。

・ケルナー 100%

北海道余市の6軒の契約農家で栽培されたケルナー種を使用しています。「余市ケルナー」、「余市ケルナー〈遅摘み〉」という非発泡のワインがラインアップされていますが、「余市ケルナー」用に仕込んだ原酒からこのスパークリングを作るそうです。2020年ヴィンテージでは豊作、3割増しから1.5倍の収穫があったそうで、10年ぶりにこのスパークリングが作られたというわけです。

ケルナー(Kerner)を見ておきましょう。
Kerner
ケルナーは1929年にドイツで交配された品種でマイナス10度の寒さにも耐えられる耐寒性が大きな特長です。どおりで北海道で多い訳ですね。この交配は交配家のアウグスト・ヘロルド(August Herold:1902-1973)によってシュトゥットガルト(Stuttgart)近くのヴァインスベルク(Weinsberg)の国立繁殖研究所で行われました。両親は黒ブドウのトロリンガーと白ブドウのリースリングということが、つい最近の2018年に実施されたDNA分析によって判明しています。

・Kerner=Schiava Grossa(Trollinger)x Riesling

ドイツの昔の交配家は何を掛け合わせたのかメモらないんですかね?(笑)ドイツのトロリンガー(Trollinger)は、チロル地方原産のスキアヴァ・グロッサ(Schiava Grossa)のシノニムでしたね。ケルナーの名前は、ワインスベルクに住んでいた医師でワインライターの Justinus Kerner(1786-1862)さんにちなんで付けられています。
2018年のドイツでのケルナーの栽培面積は 2,463 ヘクタールで、ドイツの白ワイン品種の中で第6位ながら2.6%しかありません。1990年ごろまではドイツの各地で広く栽培されていたそうですが、リースリング(1位)やミュラー・トゥルガウ(2位)の人気にやられた感じですね。3位以下は、グラウブルグンダー(ピノ・グリ)、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、ジルヴァーナーが続きます。


6軒の契約農家の内のひとつが弘津ヴィンヤードです。北海道に飛んで見てみます。
A
札幌から車で行くと、札樽自動車道~後志自動車道経由、余市IC降りてすぐ。ちょうど1時間くらいの距離です。

余市を広域で見てみましょう。
C
周辺には他にもいろんなワイナリーや栽培畑があります。


ラベル平面化画像。
IMG_9979
余白の多い表ラベル、白ワインに透明シールの裏ラベル、いずれも平面化撮影が苦手なパターンです。

さあ、スクリュー回転。
IMG_0056
スパークリングですがコルクではなくスクリューキャップ。あまりガス圧は強くないんでしょうね。

Alc.11.5%。
薄いプラチナイエロー。
IMG_0059

泡立ちはいつものように動画で。やっぱり弱め、少な目ですね。


ライム、瓜っぽさ。
辛口アタック。
フルーティーと思わせてくれる酸が爽やかです。
柑橘系の苦味をまとった味はうれしいですね。
軽さが持ち味って感じですが、サクッといけます。
ケルナーって片親がリースリングのせいかゼクトを思わせます。


*****


サッポロ
グランポレール
余市ケルナー
スパークリング 2020
WWWポイント78点



WhiteWhiteWine01

ダイヤモンド酒造 シャンテ Y.A ますかっとべーりーA Y cube 2020

カーヴ・ド・リラックスさんの「日本ワイン 応援プレゼントキャンペーン」で当選しました!「ダイヤモンド酒造 シャンテ Y.A ますかっとべーりーA Ycube 2020」です。評判のいいマスカット・ベイリーAらしいですね。くじ運はないほうなのでとってもうれしいです。ずっと置いておくのも何なので早速いただいてみましょう。

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ダイヤモンド酒造は、昭和14年農家が集まって自分達の飲む自家消費用としてワイン醸造を行ったのがはじまりだそうです。山梨県勝沼の地でブドウ栽培から醸造まで一貫した地酒的なワイン造りを行うワイナリーとして、昭和38年に株式会社となり設備等の近代化を図って現在に至っているそうです。

で、今日のワインは変わった名前ですが、「Y cube」というのが「Y³」、Yの3乗のことで、オーナーの雨宮吉男(Yoshio)氏と2人の栽培農家、横内(Yokouchi)政彦氏と横内(Yokouchi)才仁氏の3つの「Y」からつけられています。3人の力で「通常の3乗美味いワインを造ろう」という思いも込められているそうです。

公式ページはリニューアル中となってますが一応内容は見られます。VGAサイズですが。

シャンテY・AますかっとベリーAのシリーズは載ってますが、今日の Y cube はないですね。

・マスカット・ベイリーA 100%

山梨県韮崎市穂坂町で横内政彦氏と横内才仁氏が栽培するマスカット・ベーリーAだけを使っているそうです。熟成も樽で12ヶ月間と贅沢にやってますね。

お馴染みマスカット・ベイリーAですが、今一度まとめておきます。
Takeda04
川上善兵衛氏が1927年(昭和2年)に作り出した品種です。新潟県が原産の日本固有種ということで、2010年の「甲州」に次いで、2013年にOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に登録され、国際的なワイン用ブドウ品種として公式に認められているのはご承知の通りです。日本のワイン用黒品種では第1位の生産量を誇ります。

母方にアメリカ原産の交雑種ベイリー(Bailey)と、父方に欧州のマスカット・ハンブルク(Muscat Hamburg)を掛け合わせたものですが、ベイリーがヴィティス・ラブルスカ(Vitis Labrusca)を含む種間交雑種(ハイブリッド*)のため、マスカット・ハンブルクがヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis Vinifera)であるものの、そのフォクシー・フレーバー(Foxy Flavor)はかなり特徴的です。いわゆるグレープジュースの香り。ファンタグレープなどは好きですが(笑)、個人的にはワインからこの香りがするのは勘弁してほしいところです。

厳密に言うと、母方のベイリー自体は4分の1はヴィティス・ヴィニフェラの系統なので、マスカットベイリーAの半分がヴィティス・ラブルスカの血筋というわけではありません。(参考1参考2)それでもこの香りがよく出てくるというのは、ラブルスカの遺伝って、よっぽどキツイんですね(笑)。

父方のマスカット・ハンブルクはマスカット・オブ・アレキサンドリア(いわゆるマスカット)とチロル地方原産のスキアヴァ・グロッサ(Schiava Grossa)を交配した品種です。スキアヴァ・グロッサはドイツのトロリンガー(Trollinger)のことでしたね。ややこしい…。

(* 主にアメリカ系品種との交配品種。EU圏ではこれらを使ってワインを作ってもワインとは認められず輸入・販売もできません。ヨーロッパ人のヨーロッパ系品種至上主義の偏見から来るものと個人的には推察します。日本のマスカットベイリーAも厳密にはハイブリッドですが、2013年に国際ブドウ・ワイン機構 OIV に日本固有品種としてワイン用品種に登録されていますので、ワインとして欧州に輸出できます。なんかええ加減やな~。)

ところで、このマスカット・ベイリーA、ここでは「ベイリー」と書いていますが、今日のワインでは「ベーリー」と表記しています。アルファベット表記では「Muscat Bailey A」一択なのですが、日本語表記となると、マスカット・ベーリーA、マスカット・ベーリA、マスカット・ベリーA、マスカット・ベイリーAの4表記がOIVに登録されてるそうです。元の英語がベイリー(Baily)ですから、特に「ベリー」はいかがなものか?と思いますね。「Berry」と混同する人がいそうですから。


甲州市勝沼町にあるダイヤモンド酒造を訪問。向かいはワインビネガー工場です。
ダイヤモンド酒造
最寄り駅はJR勝沼ぶどう郷駅。大善寺(別名ぶどう寺)もありますし、大手ワイナリーもひしめいていますね。

山梨県を俯瞰して場所を確認。
Yamanashi_0
マスカット・ベイリーAは韮崎(にらさき)市穂坂町の畑からやって来ますから、結構勝沼からは遠いんですね。


ラベル平面化画像。
IMG_9913
ネックに巻いてあったシールは伸ばして下につけています。


さあ、抜栓。
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コルクは完全無印なので平面化はしません。

Alc.12.5%。
綺麗な透けルビー。
IMG_9906

イチゴキャンディ。
グレープジュース香はいわゆるフォクシーフレーバー。
甘み思わせますが辛口アタック。
重みやコクはないんですが、
王道のマスカット・ベイリーAの味わいです。
日本食に合うんです。


*****

ダイヤモンド酒造
シャンテ Y.A
ますかっとべーりーA Y cube 2020
RRWポイント 86点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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