Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Jura

Domaine de Savagny Crémant du Jura Brut

今年の夏の暑さは尋常じゃなかったですね。Red Red Wine と言いながら、White White になり、更には Sparkling Sparkling の様相です(笑)。ということで今日も泡を開けるわけですが、間違いがないのはやはりクレマン、そして久しぶりのクレマン・デュ・ジュラをお試しです。

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作り手は「Maison du Vigneron」が正式名称のようですが、元はラベルにあるように「Domaine de Savagny」というようです。公式ページを見ても「何世代にも渡ってジュラのあらゆる種類のワインを作ってます。」くらいの説明しかなく、詳しい歴史がわかりません。得てして資本が変わると昔の歴史をあまり語らなくなりますが、名前の件からもそんな匂いがしますね。もしくは「メゾン」とシャンパーニュ風の名前に変えたかっただけかもしれませんが(笑)。公式ページをよ~く読み込むと、2002年に「Maison du Vigneron」が45ヘクタールの畑と共に「Domaine de Savagny」を取得したからのようですね。やっぱり(笑)。

公式ページは立派ですが、ショップや受賞歴に力が入ってる印象です(笑)。

ショップには詳しいワイン情報があり助かります。

・シャルドネ 100%

手摘み収穫、クレマンですから瓶内二次発酵のシャンパーニュ方式で作られます。クレマン・デュ・ジュラがAOCとなったのは1995年ですが、18世紀末ごろからジュラではすでに同製法で作られてきたそうです。瓶熟成はAOCの規定通りの9ヶ月です。

AOC Crémant de Jura の規定を見ておきましょう。白とロゼがあり、使える品種は以下です。

<白品種>
・Chardonnay (ジュラでは、ムロン・ダルボア / Melon d'Arbois というシノニムあり)
・Savagnin (ジュラでは、Naturé というシノニムあり)

<黒品種>
・Poulsard (ジュラでは、Ploussard というシノニムあり)
・Trousseau (ジュラ起源とされるがなぜかポルトガルに多い品種)
・Pinot Noir (ジュラでは、グロ・ノワリアン / Gros Noirien というシノニムあり)

白の場合、シャルドネ、ピノ・ノワール、トゥルソーが70%以上を占めないといけません。ロゼの場合、ピノ・ノワール、プルサール、トゥルソー(黒品種)が50%以上を占めないといけません。


メゾン・デュ・ヴィニュロンを訪問します。かなり立派な施設です。
Domaine-de-Savagny
Google Mapではここがドメーヌ・ド・サヴァニィと示されますが、もとのドメーヌがこんな工場風情なのかはあやしいところですね。畑はAOCシャトー・シャロン(AOC Château-Chalon)にもあるそうですから元はそっちの方かもしれません。ちなみにAOCシャトー・シャロンはヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)のみのAOCです。

いつものジュラのAOCの俯瞰地図で今日の作り手の所在を示します。
Jura
メゾン・デュ・ヴィニュロンでは、ちょっと離れたAOCアルボア(AOC Arbois)も含め、シャトーシャロン、レトワール、コート・デュ・ジュラ、マクヴァン・デュ・ジュラもやってるそうですから、場所は関係なくジュラの全種類扱いの大手という感じですね。(参考:ジュラワイン公式ページ

さて、クレマン(Crémant)~をまとめておきます。シャンパーニュ以外の伝統的方式(Méthode Traditionnelle)/シャンパーニュ方式(Méthode Champenoise)、いわゆる瓶内二次発酵のフランス産スパークリングワインはクレマン(Crémant)という名称を使って以下の8つのAOC(Appellation d'Origine Contrôlée)にまとめられます。


クレマン・ド・サヴォワ(Crémant de Savoie)が2014年6月制定と一番新しいAOCです。(正確には、AOC Crémant de Savoie は存在せず、AOC Vin de Savoie / Savoie の1項目の扱いです。ただなぜか生産者が「Crémant de Savoie」単独で表示しまくっている不思議な状況があります。)また、(12ヶ月)と書いたもの以外は熟成期間が9ヶ月以上の規定になっています。消費量はクレマン全体の約半分がクレマン・ダルザス(Crémant d'Alsace)で圧倒的1位です。それぞれの産地は名前からどこかわかりますよね?(試したことのあるものは過去記事をリンクしています。)

クレマン軍団(?)の公式ページというのがあり、各クレマンについて詳しく載っています。



エチケット平面化画像。
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「Maison du Vigneron」名は全く書かれてませんね。

インポーターシールはこの有り様でした。
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安定剤(CMC)が添加されているのがわかるのでいいのですが、「どうせお前らフランス語は読めねぇだろ?」的な貼り方は癪に障ります(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.12%。
薄めのゴールドイエロー。
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泡の立ち方は動画でご覧ください。


黄桃、ライム、ヘーゼルナッツ。
辛口アタック。
酸は穏やかながらコクのある味を盛り立てます。
マーマレードの皮の苦味を思わせます。
落ち着きのある雰囲気はバランスの成せるわざでしょう。
シャルドネの上品さもしっかり感じました。


*****


La Maison du Vigneron
Domaine de Savagny
Crémant du Jura
Brut
WWWポイント79点



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Domaine Philippe Vandelle L'Étoile Chardonnay Tradition 2019

久しぶりのジュラですが、今日は白を試します。AOC Côtes du Jura(ジュラ全域)やAOC Arbois は、赤・白・ロゼ、黄ワイン(Vin Jaune)や藁ワイン(Vin de Paille)と何でも認められていますが、サヴァニャン100%のいわゆる黄ワインのみのAOC Château-Chalon や、黄ワインと藁ワインと辛口白のみのAOC L'Étoile は白のみのAOCということになります。さて、今日のワインはそのAOCレトワールですが、シャルドネを黄ワインのごとく醸してるそうです。

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ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルという家族経営の作り手です。オーギュスト・ヴァンデルさんが1883 年にジュラのレトワール(L'Étoile)に定住しブドウ栽培を始めました。ドメーヌ名のとおり現在は5代目のフィリップさんが息子のヴァレンティンさんと共に運営しています。
16ヘクタールのブドウ畑を持ち、生産されるワインの約半分はAOCレトワール(L'Etoile)の白ワインです。あとは、AOCクレマン・デュ・ジュラ(Crémant du Jura)が30%、AOCコート・デュ・ジュラ(AOC Côtes du Jura)の赤ワインが10%、ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)が7%、マクヴァン・デュ・ジュラ(Macvin du Jura)という即ち酒精強化ワインが5%、ヴァン・ド・パイユ(藁ワイン)が1%という割合です。

公式ページは古風な(?)手作り風の雰囲気ですが情報はしっかりあります。
シャルドネは通常の白とヴァン・ジョーヌ式で作った「Tradition」があり、これは後者です。

・シャルドネ 100%

ヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune=黄色いワインの意)はサヴァニャン100%でないといけないので、シャルドネでどうやろうともヴァン・ジョーヌとは呼べません。なので今日のワインは、AOCとしては AOCレトワールAOC L'Etoile)になるわけです。ただ、ヴァン・ジョーヌよろしく産膜酵母がワインの液面を覆った状態で18ヶ月間の樽熟成をするので、ヘーゼルナッツのような香りや独特の風味を纏っています。

ヴァン・ジョーヌ(レトワールでは AOC L'Etoile Vin Jaune)というのは、前述のようにサヴァニャン100%である必要があり、収穫翌年から6年目の12月15日まで(6年以上!)オーク樽で熟成させます。その間、ウイヤージュ(Oullage=目減り分の補充)及びスーティラージュ(Soutirage=澱引き)を一切しないので、ヴォワール(仏:voile)と呼ばれる産膜酵母による皮膜が液面に形成され、適度に酸素に触れながら酸化が進むことになります。この皮膜はフルール・デュ・ヴァン(Fleure du Vin=「ワインの花」の意)と呼ばれたりします。その結果、樽の3分の1程の量にまでワインは減り、名前の由来である「黄色み」を帯びることになります。最後に、クラヴラン(Clavelin)と呼ばれるこの地方特有の 620ml の瓶に詰めて出来上がり。ジュラのワインは、今日のワインもそうですが、750ml ながら肩の張った形状の瓶をよく使ってますね。

ヴァン・ド・パイユ(Vin de Paille=藁ワイン、レトワールでは AOC L'Etoile Vin de Paille)もついでに触れておくと、収穫したブドウを藁の上などで天日乾燥させ糖度を上げた甘口ワインのことです。各地で似たような製法がありますが、ジュラのヴァン・ド・パイユが一番有名ですね。

ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルのHPに興味深い写真があったので拝借。
Vin-Jaune-de-Paille
ヴァン・ジョーヌの産膜酵母がどんなのか見られる展示があるようです。また、ヴァン・ド・パイユが今では「わら」を使わないことがわかってしまいました(笑)。


今日の作り手、ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルを訪問します。
Dom.PhilippeVandeille
レトワール(L'Etoile)のコミューンの真ん中あたりにあります。

AOCレトワール(AOC L'Etoile)の対象コミューンの地図を描きました。
AOC_L'Etoile
今日の作り手ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルがあるレトワール(L'Étoile)の他、プレノワゾー(Plainoiseau)、カンティニー(Quintigny)、サン・ディディエ(Saint-Didier)の全部で4つのコミューンが対象です。エトワール(Étoile)は「星」の意味ですが、レトワール村を取り囲む地形が星のように見えるとか、小さな星の形をしたウミユリ化石が多く見られることが名前の由来のようです。

ジュラ(Jura)全体を俯瞰して産地の位置関係を把握しましょう。
Jura
AOCレトワール(AOC L'Etoile)は、ヴァン・ジョーヌだけのAOC、AOC Château-Chalon と隣接していますね。

ちなみに、Vin Jaune と Vin de Paille は、単独でAOCとはならず以下のように付記されます。
・AOC Côtes du Jura vin Jaune / AOC Côtes du Jura vin de paille
・AOC Arbois vin jaune / AOC Arbois vin de paille
・AOC Arbois Pupillin vin jaune / AOC Arbois Pupillin vin de paille
・AOC L'Etoile vin jaune / AOC L'Etoile vin de paille

AOC Château-Chalon はヴァン・ジョーヌのみのAOCなのでいちいち付記しません(笑)。


エチケット平面化画像。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
ハチミツイエロー。茶っけもある黄色。
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瓜のお漬物(笑)、白い花、紅茶か養命酒(笑)。
独特な香りってことがわかります?
シャルドネ感ゼロ(笑)。
独特の酸から入る味は香りの通りの風味です(笑)。
シャルドネじゃない何らかの熟成感です(笑)。
香りと酸に大げさに囃し立てられながら、
流れは勝手にフィニッシュへと進んでいきます。

シャルドネでこの独特な味。
ヴァン・ジョーヌが恐いです(笑)。
白ワインと思わなければうまいかも…。


*****


Domaine Philippe Vandelle
L'Étoile
Chardonnay Tradition 2019
WWWポイント75点



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Jérôme Arnoux Friandise Arbois 2019

おっ、ジュラの赤か~と店頭で眺めていると、店員さんも飲んで美味しかったとおススメのセールストーク。こりゃあ、買わないわけにいかなくなりました(笑)。ここは新しく出来たワインショップで、あまり見かけないワインが置いているので最近は定期的に偵察しています。

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作り手は、エチケットにあるようにジェローム・アルヌー(Jérôme Arnoux)さん。ラ・カーヴ・ド・ラ・レーヌ・ジャンヌ(La Cave de la Reine Jeanne)が元のブランド名で創業は1997年です。ワイナリー名もル・セリエ・デ・ティエルスリーヌ(Le Cellier des Tiercelines)という名前ですが、2012年から醸造を任されていたジェローム・アルヌーさんが2019年にすべての権利を買い受け、現在は自身のワイナリーとして運営しています。このワインのエチケットのように、いずれ自身の名前「ジェローム・アルヌー」に改名して前面に押し出していくんでしょうが、裏ラベルにはまだ「ル・セリエ・デ・ティエルスリーヌ」表記が残っていますね。

このワインを買ったのはニューヨークに1号店のある「The Winery」というところの3号店になる「The Winery Kyoto」。2店目は順当に東京なのですが、3店舗目が京都店(2022年2月オープン)という何とも面白いところです。ジュラのワインは何年も前からニューヨークのソムリエ達の熱狂的な支持を得ているそうです。白の方が流行ってるようですが、このお店のお勧めはピノ・ブレンドのこの赤なんだそうで。

公式ページはどうやらなさそうです。残念。facebookは見つかりました。

ワイン詳細はインポーターやショップ情報に頼ります。

・ピノ・ノワール 1/3
・プルサール 1/3
・トゥルソー 1/3

3種均等にブレンドしています。ワイン名の「Friandise」はキャンディーの意味で、味が何となく想像できますね。ブドウ全量の50%が除梗なし(全房)です。野生酵母で発酵。清澄・ろ過なし。SO2使用は最小限。ヴァン・ナチュールに分類されるワインですね。

一応、ピノ・ノワール、プルサール、トゥルソーの外観を見ておきましょう。
Pinot_Noir_Poulsard_Trousse
ピノ・ノワール はジュラ地方では「グロ・ノワリアン(Gros Noirien)」というシノニムがあります。シャルドネのジュラでのシノニム「ムロン・ダルボワ(Melon d'Arbois)」と一緒に覚えておきましょう。
プルサール は現地では「Plousard」と綴られたりします。プールサールかプルーサールかってことでしょうが、日本語ですとどっちもプルサールでいけそうです(笑)。果皮が薄く、色素も少なく、黒ブドウと言ってもオレンジ色のクリアな赤ワインになります。
トゥルソー は正式名称「Trousseau Noir」です。起源はジュラにあると考えられるローカル品種、のはずですが、世界で 1,263ha ある栽培面積の内、9割以上を占める 1,163ha がポルトガルにあります(2016年)。ポルトガルでは「Bastardo」と呼ばれ、ポートワインやマデイラなどの酒精強化ワインになっています。ジュラの品種がなぜに? 謎です。

以上この3品種が、AOC Arbois や AOC Côtes du Jura の赤ワインの主要品種になり、80%以上が主要品種でないといけません。赤ワインの補助品種はなんと、白ワインの主要品種のシャルドネ、サヴァニャン(Savagnin)で、白ワインの補助品種はこの逆の、ピノ・ノワール、プルサール、トゥルソーという面白い規定になっています。

さあ、作り手訪問。アルボア(Arbois)の町のど真ん中。ワインもAOCアルボアですし。
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店舗とカーヴが少し離れています。カーヴは、アルボア市街地の屋敷の地下にアーチ型の支柱が整然と並ぶゴシック様式の美しいもの。14世紀に作られたこのカーヴは現在も建設当時のまま残されているんだそうです。

ジュラを俯瞰する地図で位置関係を見ておきましょう。アルボアを見つけてください。
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今日のワインは「AOC Arbois」です。地図にも書き込んでいますが、このAOCは、赤・白・ロゼあり。Vin Jaune(黄ワイン)、Vin de Paille(藁ワイン)もあります。
ジュラのすぐ東側はジュラ山脈(Massif du Jura)があり、スイスとの国境を成しています。西側はと言うと地図にギリギリ入っていませんが、ブルゴーニュが同じくらいの緯度で並走している感じです。ジュラの南北はちょうどボーヌからマコンの町に当たる感じです。


エチケット平面化画像。
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ワイン名はネックのシールという変わったパターン。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13%。
超クリアなルビー。オレンジ味もありあり。
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フランボワーズ、チェリー、アセロラ。
鉄っぽさもフッと感じます。
甘み思わせますが…辛口アタック。
果実味とフレッシュネス満載ながら、
かすかな苦味様の複雑味がいい仕事してくれます。
あとで薬草っぽさがフッときますが、
それもいい個性と思わせるほどにバランスよく、
余韻、フィニッシュへと流れるように進みます。

ピノっぽいけど、ピノじゃない…。
ピノのうまさの次元を超えたポテンシャルを感じます。


*****


Le Cellier des Tiercelines
Jérôme Arnoux / La Cave de la Reine Jeanne
Friandise 2019
Arbois
RRWポイント 93点


Domaine Grand Trousseau 2016 Côtes du Jura

ジュラのワインと言えば、変な形のクラヴランという620mlの瓶に入った6年熟成の黄ワイン(Vin Jaune)とか、藁の上で陰干しする藁ワイン(Vin de Paille)なんか未体験なので興味はあるんですが、先日店頭で見つけたヴァン・ジョーヌが結構なお値段だったもので、同じジュラのワインだからこれでいいやとゲットしたのがこのトゥルソー(Trousseau)のワインです。トゥルソーはこれはこれでお初の品種なのでひとつ課題をクリアーです。

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作り手のドメーヌ・グランは、17世紀末からブドウ栽培に携わってきたというグラン家のワイナリーで、ヴァン・ジョーヌで有名な AOC Château-Chalon にも近いパスナン村(Passenans)にあります。先代から引き継いだ現当主エマニュエル・グランさんは奥様のナタリーさんとともに現在9.5haの畑を運営しています。先代はエマニュエルさんのお父様含むグラン家3兄弟で所有していたので、相続関係でいろいろあったのでしょうか、もとは23haあった畑を縮小しています。リュット・レゾネ、有機農法を推進しており、2021年のヴィンテージからはAB認証もつくそうです。


公式ページはシンプルですが、必要最小限ではあります。

ショップ兼用ですが一応ワイン情報もあります。ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)、ヴァン・ド・パイユ(藁ワイン)も作っています。0.7haらしいですが、AOCシャトー・シャロンの畑も所有していて、 AOC Château-Chalon のヴァン・ジョーヌもラインアップしています。

・トゥルソー 100%

AOC Côtes du Jura になりますが、黒品種ですと、プルサール(Poulsard、地元では Plousard とも。)、トゥルソー(Trousseau)、ピノ・ノワールが使えます。白ならシャルドネ(地元では「Melon d'Arbois(ムロン・ダルボア)」もしくは「Gamay Blanc」と呼ばれます。)、サヴァニャン(Savagnin、地元では Naturé と呼ばれます。)が使えます。
手摘み収穫、部分的に除梗したものと全房の併用、一部はマセラシオン・カルボニックをするとも書いています。熟成はステンレスタンクのみです。


以前にプルサール(Poulsard)を試していますが、今日はトゥルソーTrousseau)です。
Trousseau-Noir
正式名称は「Trousseau Noir」です。2018年に行われたDNA分析によると、父方は Savagnin Blanc(Traminer)は判明したものの母方は依然不明です。起源はジュラにあると考えられるローカル品種、のはずですが、世界で 1,263ha ある栽培面積の内、9割以上を占める 1,163ha がポルトガルにあります(2016年)。ポルトガルでは「Bastardo」と呼ばれ、ポートワインやマデイラなどの酒精強化ワインになっています。ジュラのローカル品種がどうしてポルトガルで広がったのかは謎です。フランスではもっぱらジュラ地方にしかなく、たった 45ha だそうです。外観は薄いルビーレッドながら酸やタンニン分が豊富でアルコール度数も高いしっかりしたボディーに仕上がるようです。これは楽しみです。


パスナン(Passenans)という町にあるドメーヌ・グランを訪問してみました。
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まわりの雰囲気もいい感じ。直売もやってるようです。


ジュラ全体をGoogle Map上に描いてみました。ドメーヌ・グランも所在確認してください。
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今回はジュラの主要AOC含めかなり正確に描きました。ジュラのすぐ東側はジュラ山脈(Massif du Jura)があり、スイスとの国境を成しています。西側はと言うと地図にギリギリ入っていませんが、ブルゴーニュが同じくらいの緯度で並走している感じです。ジュラの南北はちょうどボーヌからマコンの町に当たる感じです。


エチケット平面化画像。
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当主のエマニュエルさん・奥様のナタリーさん名が入っています。

ラックコーポレーションのシールは裏ラベルを隠していませんでした。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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まあ、汎用品なのは仕方のないところ。

Alc.13%。
透明感あるオレンジがかったルビー。
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フランボワーズ、フレーズ。
一部全房の効果か茎感あります。
辛口アタック。
果実味とかすかな苦味が交錯します。
軽すぎない適度な重さの中に複雑な味わいあり。
個性的ですが、いいバランスを持っています。

スルスル楽しく飲めるのが素晴らしい。
マイナー産地のマイナー品種にも名酒あり、ですね。


*****

Domaine Grand
Trousseau 2016
Côtes du Jura
RRWポイント 91点


Michel Tissot & Fils Crémant du Jura Rosé Brut

ジュラの泡、クレマン・デュ・ジュラCrémant du Jura)のロゼをいただきます。このAOCは白とロゼがありますが、ピノ・ノワールとローカル品種の黒ブドウを使ったロゼの方が面白そうなのでお試しです。お勉強だけしていると、変な形のクラヴランに入った黄ワイン(Vin Jaune)が6年も熟成してるとか、藁の上で陰干しする藁ワイン(Vin de Paille)だとか、ジュラを知識先行の奇異の目で見てしまいますが、実際は多様で個性的なワインがいろいろあって楽しいということがわかってきました。やはり、「百聞は一飲にしかず」です。(笑)

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実は結構歴史の古いジュラにおいて、ジュラ最古の生産者であり、ジュラで初めての瓶内二次発酵スパークリングを生み出したのが、このワインに名前のあるティソ家なんだそうで。
ジョセフ・ティソ(Joseph Tissot)さんが、1896年に Maison Tissot というネゴシアンを立ち上げ、自社ワインや近隣の協力農家からのブドウでワインを作って売り出します。1920年には息子のミシェル・ティソ(Michel Tissot)さんがスパークリングワインの生産を始めたそうです。なるほど、今日のワイン名はここから来てそうですね。
1948年にこのミシェル・ティソさんは、ジュリエット・クラヴラン(Juliette Clavelin)さんと結婚するんですが、このジュリエット・クラヴランさんのご先祖がヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)用の620mlビン、クラヴラン(Clavelin)の名前の元になってるというので驚きました。ティソ家はまさにジュラの歴史ですね。
ミシェル・ティソさんのメゾン・ミシェル・ティソは、2005年に同じくジュラの名門ネゴシアン(1632年から続くそうです)であるアンリ・メール(Henri Maire)に買収されています。ここはティソ・メール(Tissot Maire)というブランドでクレマン・デュ・ジュラを展開しているんですが、一部ミシェル・ティソ(Michel Tissot & Fils)ブランドも残しているようです。今日のワインがそれですね。

ティソ・メールの公式ページはこれ。以上の歴史はここからいただきました。

今日のワインもこのティソ・メールのものと同じスペックと思われます。
・ピノ・ノワール
・トゥルソー(Trousseau)
・プルサール(Poulsard)
比率は不明ですが、ピノ・ノワールが主体に若干のトゥルソーとプルサールとあります。1995年制定のAOCクレマン・デュ・ジュラの規定ではこれら3つの品種が50%以上であればOKです。瓶内二次発酵の「Méthode Traditionelle」にて熟成は澱と共に9ヶ月との規定ですが、これは12ヶ月やっているようです。

ピノ・ノワール、トゥルソー、プルサールの外観です。
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何%かはわかりませんが、しっかりローカル品種が入ってるのがうれしいですね。
クレマン・デュ・ジュラAOCの白(Blanc)でも、現地のシノニムでムロン・ダルボワ(Melon d'Arbois)と呼ばれるシャルドネに加え、ピノ・ノワールとトゥルソーを合わせて70%以上にしないといけない規定です。白品種のサヴァニャン(Savagnin)も使用可ですが必須ではありません。黒ブドウがかなり幅を利かせていると言えますね。

アンリ・メール、もしくはティソ・メールを訪問。アルボワ市街から車で10分の郊外です。
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上空から見ると近代的でかなり大きな施設であることがわかります。


さて、AOCクレマン・デュ・ジュラの範囲ですが、このようにジュラ全域です。
Jura01
これは、広域の AOC Côtes du Jura(赤・白・ロゼあり。Vin Jaune、Vin de Paille も全域であります。)と全く同じ範囲です。

以前描いた地図でジュラ全域をGoogle Map上で見ておきましょう。
Jura00
緯度的にはボーヌ以南のブルゴーニュとほぼ同じで、距離も車で1時間以内の距離です。遠く離れたシャブリがなんでブルゴーニュ?と思うぐらいジュラの方が近い。(笑)

ジュラ・ワインの公式ページにもっといい地図がありましたので貼っておきます。
Jura02
地図の形状が違いますが、対象コミューンと実際の栽培範囲との差なんでしょうね。ずいぶんとジュラが身近に思えてきました。そろそろ黄ワインや藁ワインにも手を出そうかな…。


エチケット平面化画像。
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さあ、抜栓。
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あちこちジュラとは書いてますが、ミュズレは無印です。

Alc.12%。(pH:3.89、Brix:6.7)
サーモンピンク。
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ベリーっぽくもあり白桃っぽくもあり。
辛口アタック。
苦味様の複雑味は黒ブドウ由来ですかね。
奥行き感じる泡としてなかなか秀逸と思います。
白ワインカテゴリー(WWWポイント)で評価します。


*****


Michel Tissot & Fils
Crémant du Jura Rosé Brut
WWWポイント 79点


Domaine Baud Génération 9 En Rougemont Côtes du Jura Poulsard 2018

そうだ、フランス・ジュラのワインを飲もう。ということでネットでお取り寄せ。
ジュラなら黄ワイン(Vin Jaune)や藁ワイン(Vin de Paille)やらも興味を引きますが、
ここは赤でしょうということで、ジュラの稀少品種プルサール100%を入手。
外出自粛が続く中「いろんなワインをお取り寄せでお家で飲もう」シリーズです。(笑)


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ジュラ広域のCôtes du Jura AOCですが、プルサール(Poulsard)のモノセパージュ。
トゥルソー(Trousseau)やピノ・ノワールとブレンドすることが多いそうですが、
お試しにはブレンドよりこんな単一品種の方が面白そうです。
しかし、ヴァン・ジョーヌを入れるクラヴラン(Clavelin、620ccの小ぶりの瓶)
ではないですが、肩の張った少し変わった形の瓶ですね。一応、750mlです。


作り手は、ジュラのワインの中心地であるアルボワ(Arbois)ではなく、
L'ÉtoileとChâteau-Chalonの間にあるDomaine Baud Génération 9というところ。
九代目ドメーヌ・ボーって意味ですが、1742年から数えて本当に9代目だそうで。
ジェネラシオン・ヌフって、三代目 J SOUL BROTHERSみたいですね。(笑)

公式ページは情報多く、なかなかちゃんとしてます。

ただ、今日のワインは、
・プルサール(Poulsard) 100%
で、伝統的な作り方くらいしかわかりません。
プルサールは果皮が薄く、アントシアニン(色素)も少なく、黒ブドウと言っても、
オレンジ色に輝くクリアな赤ワインになります。モノによってはほぼロゼだったり。

あまり違いは判りませんが、写真でジュラの黒品種を見ておきましょう。
Baud04
この作り手のfacebookで黒ブドウの写真を見つけ、プルサールかなと思いましたが、
このサンプル写真で見比べても判別付かず。(笑)


さて、Château-ChalonとL'Étoileの間にあるドメーヌ訪問してみましょう。
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こじんまりしてるようで、広い店舗や地下カーヴが備わってます。

所有畑は全部で22ha。AOCの内訳は以下の通り。
・AOC Côtes du Jura:15.5ha
・AOC Château-Chalon:3.5ha
・AOC L'Étoile:3ha
Château-Chalonはサヴァニャン100%のいわゆる黄ワイン(Vin Jaune)のみ、
L'Étoileも黄ワインと藁ワイン(Vin de Paille)と辛口白で、白ばっか。
ということで、黒品種はAOC Côtes du Jura(ジュラ全域)のどこかになります。

ただ、この作り手は白品種の方が圧倒的(76%)です。以下が作付け面積比。
・シャルドネ(=Melon d'Arbois)57%
・サヴァニャン(Savagnin)20%

・トゥルソー(Trousseau)10%
・プルサール(Poulsard)7%
・ピノ・ノワール(=Savagnin Noir)7%

(=)はジュラ地方でのシノニムです。
これらから、Vin Jaune、Vin de Pailleの他、泡のCrémant du Jura(白・ロゼ) 、
Macvin du Jura(VDL、Vin de Liqueur)という即ち酒精強化ワインも作っています。
クレマン・デュ・ジュラとマクヴァン・デュ・ジュラはAOCです。


さあ、恒例Google Map書き込みマップ。まずドメーヌを見つけてください。
Baud02
AOC ArboisやChâteau-Chalon、L'Étoileの範囲は真ん中の地図を参照。
アルボワ・ピュピラン(Arbois Pupillin)なんてAOCもありますね。
で、今回なんとブルゴーニュのコート・シャロネーズとマコネも入ってます。(笑)
ボーヌからアルボワまで車で1時間の距離でした。案外ジュラって近い?

やはり最後はフランス地図を眺めておきましょう。(笑)
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どうも地域ごとに区切って覚えると地域間の距離や位置関係が掴めません。
グラン・オーセロワがブルゴーニュなんだったら、ジュラの方が近い!(笑)
まあ、この地域分類は、品種や文化含めた歴史的なものなんでしょうけど。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルに公式ページと同じ説明があります。プルサールの色を出すために、
しっかり毎日のルモンタージュ・ピジャージュが欠かせないようですね。
インポーターはヌーヴェル・セレクション。作り手紹介のページがあります。


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクは汎用品。ボトルにあった金メダル貼っておきます。

汎用品ですが一応コルク平面化。
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Alc.14%。
クリアに透き通ったルビー。オレンジ味ありますね。しかし、薄い。
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ブルーベリー、カシス、シナモン風味。
紅茶っぽい感じも?
辛口アタック。
シナモン風味は味でも感じられました。
香りと味が通じるパターンですね。
厚みはないですが、ペラペラではない程よい味わい。
酸味がかすかできれい、お陰で口当たりがいいです。
微妙にタンニンもあるのがわかります。
アントシアニンは少ないのにね。

ピノ・ノワール的ですが、しっかり赤ワインしてます。
ブラインドでロゼとは間違わないはず。(笑)
おもしろい。


*****


Domaine Baud Génération 9
En Rougemont
Côtes du Jura Poulsard 2018
RRWポイント 90点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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