Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Loire

Domaine Guy Allion Le Clocher Anjou Blanc 2020

初めて覗いてみた小さなワインショップで目に留まった1本。アンジューの白です。久しぶりのロワールの白。シュナン・ブランなのも楽しみですね。裏ラベルを見ると「マキコレワイン」とあります。あっ、これ間違いないやつです。6月18日はシュナン・ブランの日らしいですね。でも騒いでるのは南アの皆さんばかりのようですが。こちらは黙って本家を飲みましょう(笑)。

IMG_8198
作り手はドメーヌ・ギー・アリオン(Domaine Guy Allion)と言いますが、もともとは「Domaine du Haut Perron」という屋号だったようです。代々農業をやってきた家系でしたが、先代のギーさんが1968年からブドウ栽培に専念することにしたので創設はそのあたりということになっているようです。1990年に息子のセドリックさんがワイナリーを得てワイン作りを本格化させます。場所はトゥーレーヌ地区、ロワール川の支流シェール川(Cher)の畔、AOCトゥーレーヌ・シュノンソー(Touraine Chenonceaux)のエリアにあります。あれれ? アンジューじゃないんだ。

公式ページは立派なのがあるんですが、情報が取っ散らかっていてなんとなく使いにくし。

嫌な予感がしましたが、やはり AOCトゥーレーヌ 絡みが主力でアンジューが載っていません。

・シュナン・ブラン 100%

たぶん、です。「AOC Anjou Blanc」の規定では主要品種がシュナンとなっていて、80%以上がシュナン・ブランでないといけません。補助品種はシャルドネとソーヴィニヨン・ブランでこれらは20%を超えてはいけません。したがって、シュナン・ブラン以外がブレンドされている可能性は否定できませんが、まあ真相は闇の中です。

シュナン・ブランはロワールでは「Pineau de la Loire」というシノニムがあります。
CheninBlanc01jpg
シュナン・ブランは、2018年のDNA分析でサヴァニャン(Savagnin)と何らかの品種の自然交配で生まれたとされています。さらにこのシュナン・ブランとグエ・ブラン(Gouais Blanc)の交配から、バルザック・ブラン(Balzac Blanc)、コロンバール(Colombard)、ムスリエ・サン・フランソワ(Meslier Saint-François)といった品種が生まれたことが判明しています。

さあ、とりあえず作り手訪問と行きましょう。なかなか立派です。
Guy_Allion01
シュノンソー(Chenonceaux)の町からロワール川の支流シェール川(Cher)沿いに車で20分ほどのテゼ(Thésé)という小さな集落にあります。

アンジュー・トゥーレーヌの地図で確認してみます。ギー・アリオンの所在を記しました。
Loire_Anjou_Saumur_Touraine
アンジューのエリアからはずいぶん離れています。畑もわからないので広大なAOCアンジューの対象範囲のどこのブドウだかはわかりません。

今日のワインはアンジューですからアンジューのおさらいをしようかと思うんですが、以前描いたこの地図ってご覧のようにアンジューのエリアが切れてるんですよね(笑)。欲張って、アンジュー・ソーミュールとトゥーレーヌを一度に入れようとしたのがイケなかった…。どっちも端っこが切れてます(笑)。

そんでもって、ペイ・ナンテの地図の方にアンジューの続きが載っています。
Loire_PaysNantais
早まったというか、若気の至りでこんなことになっています(笑)。

え~い! せっかくなので新たにアンジューだけの地図を描きました~。
Loire_Anjou
アンジューが内包するソーミュールをはじめとするAOCを網羅しています。赤・白・ロゼ・甘・泡の種別も入れました。この辺りは甘口の銘酒が多いんですよね。しかしここ周辺はゾーンがめちゃくちゃ重なり合っていて平面に表現するのが非常に難しいのです。苦労して描きましたが、まあ、ほぼ描いた本人しかわかりません(笑)。

例えば、Anjou-Villages は色つきのベースを下に敷いてるんですが、上にいろいろ乗っかってるんでわかりにくいんですよね。アンジュー・ヴィラージュだけだとこんな範囲です。
Anjou_Villages
Google Map上の地図と見比べてふむふむと脳内補完してみてください(笑)。


いつものように参考にしてるのは「ロワール渓谷のワインの公式ページ」です。
carte-vignoble-val-de-loire-2019
この全ロワール地図が圧巻です。JPG化してこの画像にリンクをしておきました。(画像デカいのでクリックして驚かないように。)元のPDF版は、ロワール渓谷の公式ページ内のここに上がっています。

ロワール渓谷のワインの公式ページというのがこれ。

ページ内の地図はマウスオーバーで色が変わり、非常にわかりやすいです。


エチケット平面化画像。
IMG_8026
裏ラベルにザックリした地図をありがとう(笑)。「ANJOU」と書いてますが、単にアンジェ(Angers)の町の位置を示してるだけだと思われます。

インポーターシールには「マキコレワイン」の表示があります
IMG_8026m
10年余りフランスに在住した金井麻紀子さんがおいしいワインを探して紹介してくれているという、なんともありがたい企画ものです。過去にいくつか試させていただいてますが、確かにどれもおいしかったです。


さあ、抜栓。
IMG_8200

コルク平面化。
IMG_8195
DIAM3。ミレジムもしっかり入ってます。しかし… Vignobles Denis とは?

ググると…「Vignobles Denis」ありました!
Denis
ロゴはコルクと同じデザインで、しかもアンジューを出しています。ここに委託生産してるんでしょうかね。そうだとするとデータはここのが使えますね。データシートまでありました。なんと樽を使っているようです。
しかし、抜栓してわかる真実もあるんですね~。

Alc.14%。
薄いゴールドイエロー。
IMG_8197

青リンゴ。
パッションフルーツ。
甘み感じますが辛口アタック。
フルーティさの酸のおかげで心地よい味わいです。
カバヤのジューC感ありますが、それがおいしい(笑)。
喉越しからの余韻もフルーティさが続きます。
WWWポイント79-80点をつけましょう。
これはほぼ満点です。さすが、マキコレ。


*****


Domaine Guy Allion
Le Clocher Anjou Blanc 2020
WWWポイント79-80点



WhiteWhiteWine01

Domaine Sérol Troisgros 2019 Côte Roannaise Vieilles Vignes

「コート・ロアネーズ」を飲んでますというツイートを見て、はて? どこだっけ? となってしまいました。お勉強では素通りしたのかもしれません。ロワール川の上流域でガメのみの赤・ロゼのAOCらしいです。急遽ネットでお取り寄せして、お試しと共に探求をいたします。

IMG_7305
コート・ロアネーズ(Côte Roannaise)をネットで探すと普段は使わない小田急のオンラインショップなるところでヒット。とりあえずお取り寄せ。ラベルの Troisgros(トロワグロ)というのはワインの名前にあらずで、なんとコート・ロアネーズの中心地、ロアンヌ(Roanne)発祥の50年連続でミシュラン3ツ星を維持してるという超ド級名店のレストランの名前でした。そこに地元の作り手がレストランブランドで卸しているワインということのようです。
その作り手は、ドメーヌ・セロル(Domaine Sérol)というAOCコート・ロアネーズきっての家族経営ドメーヌで、17世紀にまでその歴史を遡ることができるんだそうです。1996年に現当主ステファン・セロルさんが引き継いで運営していますが、1994年にAOCとなったコート・ロアネーズにこだわったワイン作りをしてるそうで、ビオディナミも取り入れ、ますます評価は高まってるとのこと。また、先ほど触れたミシュラン3ッ星レストラン、トロワグロのシェフ・ピエール・トロワグロさんとの親交も深く、畑を協同所有までしてるそうです。今日のワインはそんな経緯なわけですね。

公式ページはシンプルで情報十分。ただしレストランブランドの今日のワインは載ってません。

ネット情報もあまりなく詳細は不明です。

・ガメ 100%

セパージュはAOCコート・ロアネーズの規定です。ガメしか使ってはいけません。裏ラベルによると、ドメーヌ・セロルが所有する花崗岩質の丘の中腹にある複数の区画からだそうです。「Vieilles Vignes」と銘打ってますからそれなりの老木なんでしょう。あとは手摘み収穫でビオディナミということしかわかりませんでした。

ブドウ品種は、同じく裏ラベルに、ガメ・サン・ロマン(Gamay Saint-Romain)と書いてます。これはガメの変種らしく、コート・ロアネーズ地域の在来種なんだそうです。
gamay-saint-romain
小さくタイトなクラスターが特徴で、通常のガメよりスパイシーで濃厚なワインを生むそうです。

こちらは通常のガメ。正式名称は Gamay Noir です。
GamayN
INAOの規定では「Gamay Noir à Jus Blanc」ともあるんですが、ガメには亜種が多く、赤い果肉を持つタンテュリエ種もあり、それらと区別するために「Gamay Noir à Jus Blanc(白い果汁の黒いガメ)」というのがもっとも正式なフルネームになるようです。1999年に実施されたDNA分析で、Pinot x Gouais Blanc の交配種ということがわかっています。
日本では「Gamay」の綴りからの類推でしょうか、「ガメイ」の方が通りがよさそうです。しかし現地の発音を聞くと「ギャメ」と聞こえるんですよね。これを「ガメイ」と言うのなら、「シャルドネ(Chardonnay)」は「シャルドネイ」と言わないとおかしいんですけどね(笑)。

さあ、ドメーヌ・セロルを訪問しましょう。
Serol01
ロアンヌの市街から西に車で20分ほど、ルネゾン(Renaison)という町にあります。ちょうど山腹にさしかかるあたりで周囲の畑もいい感じですね。

ずずっとズームアウトしてAOCコート・ロアネーズ(Côte Roannaise)を俯瞰。
AOC-Cote-Roannaise
AOCの範囲をINAOの地図(右下にインポーズ)を参考に示しています。巷にある地図とは少々範囲が違ってるんですが、INAOの言う方が正しいんでしょう。ドメーヌ・セロルとトロワグロのレストランの場所も地図上に示しました。トロワグロのレストランは2017年にロアンヌ市街からウーシュ(Ouches)という郊外の田舎町に移転しています。

そうそう、問題は、AOCコート・ロアネーズ(Côte Roannaise)をなぜ今まで素通りしていたか、です(笑)。ロワール地方は何度も深掘りしているのに、こんなAOCがあるのに気が付きませんでした。いつもロワールのワインを飲むときに参考にしているロワール渓谷のワインの公式ページがあるんですが、そもそもここに載っている「大ロワール全体地図」にはAOCコート・ロアネーズがカバーされてないことに気が付きました。
Loire_s
ロワール川沿いではない(アリエ川沿い)AOC Saint-PourçainAOC Côtes-d'Auvergne はカバーしていますが、まさにロワール川上流域の AOC Côte-RoannaiseAOC Côtes-du-Forez が完全スルーされているのです。ロワール渓谷って言うんだから、ちゃんと上流までカバーしましょうよ!

ネットで探すと、ちゃんと上流域までカバーしている地図もあるにはありました。
Loire7
ロワールは広大すぎるっていうのもあるんですが、ちょっと離れすぎですかね。

フランス全体の地図で各ワイン産地の位置関係を見てみると…
フランス産地
真ん中のマル印の部分、ここが空白地帯というか、盲点だったということです(笑)。

こうなったら、この部分に特化した地図を描きましょう。(Google Mapですが…笑)
Loire_Upper_Massif-Central
Vallée de la Loire Centre(ロワール渓谷中央)とか、Massif Central(中央高地)なんて呼ぶようですね。ちょっと離れた AOC Châteaumeillant(シャトーメイヤン)も含め、5ヶ所のAOCで作られるワインの種類や使用品種も書き込んでいます。ぜひクリックして拡大画像でご確認ください。また、それぞれのAOCと、アリエ川(Allier)、ロワール川(Loire)の位置関係も重要です。まあ、アリエ川はヌヴェール(Nevers)の西部でロワール川に合流するんですけどね。(つまりアリエ川はロワール川の支流。)
あと、ブルゴーニュのマコネとボジョレーも一緒に載せてますので、それぞれの位置関係も相対的に把握できますね。 


エチケット平面化画像。
IMG_7211
なんとなく三ツ星レストランの品があります(笑)。

インポーターシールは裏ラベルを隠してませんでした。
IMG_72


さあ、抜栓。
IMG_7301

コルク平面化。
IMG_7303
ミレジム入り、いいですね。

Alc.13%。
赤み強めのルビー。
IMG_7304

フランボワーズ、フレーズ、フッと佃煮香。
甘やかな酸味が乗った辛口アタック。
果実味か、キャンディ風味か、クールさとも取れる。
コクというほどの実体はないんですが、
複雑味はなかなか出ているんですよ。
濃い口、ガメ・サン・ロマンの個性でしょうか。

これは、普通のクリュ・ボジョレーより良くない?
レパートリーとして「あり」。知っておくべきですね。


*****

Domaine Sérol
Troisgros 2019
Côte Roannaise

Vieilles Vignes
RRWポイント 88点


Nicolas JOLY Savennières Les Vieux Clos 2017

ビオディナミの第一人者であり、フランスの5大白ワインにも入るという Coulée de Serrant の畑を単独所有するニコラ・ジョリー。そして今日は、そのニコラ・ジョリーが出す、ちょっと広域の AOC Savennières のシュナン・ブランです。実は2年前に同じワインの2016年を試してますが、当時クール便を使わなかったばっかりに見事吹かしてしまいました。それでもとてもおいしかったんですが、今日はそのリベンジ、2017年の吹かしてないやつをお試しです。(笑)

IMG_6417
「ビオディナミの伝道師」とも呼ばれるニコラ・ジョリー。「Biodynamie」は神秘思想家ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner、1861~1925)が唱えた農法が元になっています。月や星の運行に従い調合した有機肥料や水晶の粉なんかを水牛の角に詰めて埋めたりする、ちょっと「神秘的」な農法です。「魔術的だ」と批判があるのも事実ですが、いち早くビオディナミを実践した二コラ・ジョリーは先駆者的な存在となり、ルロワほか名だたるフォロワーがいたりして、伝道師としてあがめられているわけです。
ニコラ・ジョリーさんの経歴がまた面白く、アメリカの名門コロンビア大学に学び、MBA(経営学修士号)を取得しています。その後ウォールストリートでやカナダの金融省で働いたり、投資の専門家として大活躍します。ところが1976年、ニコラさんは突如仕事を辞めてフランスに帰国、実家が運営していたワイナリーを継ぐという決断をします。
ニコラさんの実家はAOCサヴニエール(AOC Savennières)の中にある最高区画「クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン(Coulée de Serrant)」を単独所有していました。この畑は12世紀初頭にキリスト教シトー派により開拓された畑で、ニコラさんの父親の代から所有しています。一流のビジネスマンだった二コラさんはこういったところにチャンスを見出したのかもしれません。そして、1980年代初めにビオディナミを取り入れたブドウ栽培を実践し始め、フランスで初めてビオディナミを取り入れ成功させていったわけです。


公式ページはビオディナミの説明や自身の著書が紹介してあったり一風変わっています。

ワインは3本立てラインアップ。

La Coulée de Serrant(AOC Coulée de Serrant、面積:7ha)
Le Clos de la Bergerie(AOC Savennières Roche aux Moines、面積:3.2ha)
Les Vieux Clos(AOC Savennières、面積:5.5ha)

当然のように今日のワインは一番下の広域AOCのものです。
・シュナン・ブラン 100%
ユーズドのオーク樽で熟成されます。上位モデルでも新樽率は5%以下だそうです。畑の面積も書きましたが、トップエンドのクレ・ド・セランが一番生産本数が多く、サヴニエール・ロッシュ・オー・モワンヌが一番少ないことがわかります。

シュナン・ブランはロワールでは「Pineau de la Loire」というシノニムがあります。
CheninBlanc01jpg
シュナン・ブランは、2018年のDNA分析でサヴァニャン(Savagnin)と何らかの品種の自然交配で生まれたとされています。さらにこのシュナン・ブランとグエ・ブラン(Gouais Blanc)の交配から、バルザック・ブラン(Balzac Blanc)、コロンバール(Colombard)、ムスリエ・サン・フランソワ(Meslier Saint-François)といった品種が生まれたことが判明しています。


さあ、二コラ・ジョリーのワイナリーを訪問します。
NicolasJOLY01
すぐ横が例のクレ・ド・セランの畑です。また、ジョリー家が所有するシャトーですが、名称をシャトー・ド・ラ・ロッシュ・オー・モワンヌといいます。

AOC Savennières 中心部を俯瞰。ワイナリーやクレ・ド・セランの位置関係を見ます。
Savennieres01
クレ・ド・セランの畑はジョリー家のモノポール(単独所有)であり、かつ単独畑名のAOCです。
ロマネ・コンティと同じ数少ないパターンです。ゴイゴイスー。
AOCサヴニエール・ロッシュ・オー・モワンヌはクレ・ド・セランと同じくAOCサヴニエールのサブリージョンですが、5倍近い33haあり、生産者は6人いるようです。

以前に描いたペイ・ナンテの地図でAOCサヴニエールの位置を把握します。
Loire_Pays_Nantais

今度は同じく以前描いたアンジュー・ソーミュール・トゥーレーヌ地図です。
Loire_Chinon
一応、AOCアンジューの範囲に含まれます。(参考:Vins du Val de Loire)このあたりから Vouvrey あたりまで白ならシュナン・ブランという地帯になります。


エチケット平面化画像。
IMG_3823
Ecocert 認証を受けているとあります。ユーロリーフも。そして裏ラベルを隠すインポーター、ファインズのシール。これ全然きれいに剥がせません。恨みます。

見てください、この努力! 剥がしたシールの裏にかすかに残る文字を反転して再現。
IMG_6421
隠れていた部分には、超完熟のシュナン・ブラン100%使用、超低収量、収穫時に3~5回もの選果を行うこと、遅摘みにより果実味より複雑なミネラル感を出そうとしていることなどが書かれています。あとは、ビオディナミの解説、醸造法やそのポリシーについて書かれています。
「可能ならば絶対デキャンタせよ」と書いています。(しまった、今回していない! 笑)少々の沈殿物があっても品質の証しだそうです。


さあ、抜栓。
IMG_6412
白いキャップが美しい。なぜかタツノオトシゴがシンボルマークのようです。

コルク平面化。
IMG_6413

Alc.15%。
ハチミツのようなゴールドイエロー。
IMG_6416

蜜りんご、花梨、パイナップル。
果実味を甘みと見紛うけど、辛口アタック。
キリッとした酸もベースに溶け込んでいます。
やはりビオ臭的なものもフッと通るんですが、
青リンゴ思わせる味わいとその深みに感じ入ります。
後味が案外サラッとしてるのが2年前とは違う印象。

あ、そっか、デキャンタして放置プレーが推奨でした。
とっととスルスル飲んじゃった。
またいつかリベンジしよっと。


*****


Nicolas JOLY
Savennières
Lest Vieux Clos 2017
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Parlez-Vous la Loire? Pinot Noir 2020 IGP Val de Loire

先日、ロワールの面白そうなワインを求めて都会へ繰り出した時の戦利品です。正直期待したようなAOCのワインはなかったんですが、この IGP Val de Loire のピノ・ノワールを見つけ、広域だけど一応ロワールだし~っと買っておいたものです。こういう得体のしれない広域ワインは掘り下げるのに難儀しそうですが…行ってみましょう!

IMG_6195
「Parlez-Vous la Loire?」って「Do you speak the Loire?」という意味ですね。ロワール語話せますか?…いえ、話せません。終了~!(笑)

ネットにもほとんど情報なく、裏ラベルとこれを買ったタカムラのサイトくらいしか情報源がありません。とりあえずセパージュはこうなっています。
・ピノ・ノワール 85%
・メルロー 15%
ロワールらしく、メルローが少し混ぜてあります。あとは…まったくわかりません。(笑)

裏ラベルを見ると、ボトル詰めは「Lacheteau, Mouzillon」となっています。ナントの近くの町ですが、本拠地がここかと思いきや、アルザス(Petersbach, Alsace)が本社の GCF(Grands Chais de France)グループがこのワインの黒幕(笑)でした。

1979年創業で、もともとはコニャックを扱っていたジョセフ・ヘルフリッヒ(Joseph Helfrich)さんが1981年からワインを中心にビジネスを広げていきました。そのブランドが「J.P. Chenet」です。フランス内外でよく見かける安ワインブランドですね。

そこからがすごいです。1986年にはジュラのワイナリーを買収。1991年にはアルザスの大手アルテュール・メッツ(Arthur Metz)とボジョレーのワイナリー(Quinson)を買収。1994年にはアルザス出身のボルドーの作り手「Louis Eschenauer」を買収(これ飲んだことあります)。2003年、ラングドックの Domaine de la Baume 買収。そして、2004年にナントとアンジューの近くに生産拠点を置いてロワール進出をします。これが今日のワインの出どころです。
LeCheteau00
その後もネゴシアンの「Calvet」ほか、ボルドー・ブルゴーニュ・ロワール各地のワイナリーを買い漁ってます。ほぼほぼフランス全国制覇って感じですね。

ロワールには「Maison Lacheteau」という名で3ヶ所の拠点を構えて力の入れようが違います。

ロワールも広いですが、ロワール中のAOCをカバーしている感じです。

今日のワインもここでボトル詰めしているというムージヨン(Mouzillon)の拠点。
LeCheteau02
ロワールのメイン基地をナントの近くに置き、ここから出荷して流通拠点も兼ねているみたいですね。

アンジュー地区、ソーミュール近くの醸造工程の拠点がここみたいです。
LeCheteau01
以上の2拠点に加え、ヴーヴレにももう1拠点ありますが、若干ショボめなので訪問写真は割愛します。(笑)


やはり大手ネゴシアン企業を紹介してもつまらないですかね(笑)。お口直しに「IGP Val de Loire」を考察しておきましょう。まずは恒例のINAOの地図でIGPの範囲を確認します。
ValdeLoireIGP
ロワール全域をカバーするIGP(Indication Géographique Protégée)というのはわかっていましたが、「県」単位でかなりの広範囲に渡っています。また、ペイ・ナント地区にはサブゾーンのような地域も2つあります。この2つです。見たことないけど…。

・Val de Loire Marches de Bretagne
・Val de Loire Pays de Retz

また、県名を付記できるエリア(県)が以下の12あります。

・Val de Loire Allier
・Val de Loire Cher
・Val de Loire Indre
・Val de Loire Indre-et-Loire
・Val de Loire Loir-et-Cher
・Val de Loire Loire-Atlantique
・Val de Loire Loiret
・Val de Loire Maine-et-Loire
・Val de Loire Nièvre
・Val de Loire Sarthe
・Val de Loire Vendée
・Val de Loire Vienne

ドゥー・セーヴル県(Deux-Sèvres)とピュイ・ド・ドーム県(Puy-de-Dôme)の2つは IGP Val de Loire の範囲ながら県名を付記はできないようです。これらの県名表示も見たことがないですね。こんなこと調べて意味あるのかなと思ってきました。(笑)

このINAOのIGPの地図を、いつもの「大ロワール全体地図」に重ねてみました。
ValdeLoireIGP02
重ねてみて驚きました。「Val de Loire」を名乗れるエリアって、ロワールのAOCよりもかなり広いんですね。

今日のロワールの拠点「Lacheteau」の先ほどの2ヶ所の所在をいつものGoogle Map地図上に書き加えておきます。まずペイ・ナント。
Loire_Pays_Nantais

もう1ヶ所は、アンジュー・ソーミュール・トゥーレーヌ地図に示します。
Loire_Chinon
いやあ、ロワールは…広い。


エチケット平面化画像。
IMG_6087
裏ラベルの限られた情報から、今日の記事ここまで書きあげました。疲れた…。


さあ、抜栓。
IMG_6192

コルク平面化。
IMG_6193
プラスチック然とした合成コルク。超汎用品です。

Alc.12%。
濃いルビー。
IMG_6194

チェリー、フランボワーズ、ハイチュウ(笑)。
辛口アタック。
酸は跳ねないんですが、
重みの弱い味はその酸を受けとめきれず、酸~。
雑味、嫌味なくスルッといけるんですが、
余韻その他、全体的に淡白な印象。


*****

Parlez-Vous la Loire?
Pinot Noir 2020
IGP Val de Loire
RRWポイント 86点


Joseph Verdier Domaine d’Etilly Chinon 2018

新世界含めいろんな地域のカベルネ・フランを試していますが、やはり定期的にロワールのカベルネ・フランをホームポジションとして戻ってきたいなと思っています。やまやでお手頃価格のやつですが、久々の「シノン」と参りましょう。ドメーヌ名は入ってますがロワールの大手ジョセフ・ヴェルディエの元詰めとなってます。怪しげな感じはしますが、シノンはシノンですから…。

IMG_6145
ジョセフ・ヴェルディエは1927年に創立。1967年にはソーミュール近くのモントレイユ・バレ(Montreuil-Bellay)に瓶詰めの大きな施設を設け、そこを本拠地にしているようですが、ペイ・ナンテからサンセールまで、ロワール全域からのワインを扱う最大手のひとつになってるようです。

ジョセフ・ヴェルディエの公式ページはこれ。情報はいろいろ載ってるんですが…。

自社ブランドを複数持ち、自社のドメーヌを2つ所有していますが、それ以外にパートナー・ドメーヌといったところが9つもあり、それらの瓶詰めを請け負ったりしているようで、複雑な業態ゆえ掴みどころがありません。今日のワインも「Domaine d’Etilly」とドメーヌ名が入ってますのでパートナーなんだと思われます。

そのドメーヌ・デティリー(Domaine d’Etilly)自体の公式ページがありました。

1976年に James Desbourdes さんがシノンの中心地に立ち上げたドメーヌで、息子の Hervé さんが引き継いでいます。シノンに18haの畑を所有し、ジョセフ・ヴェルディエに醸造・瓶詰めを委託している形と思われます。
・カベルネ・フラン 100%
HPを見ると自社元詰めもやってるようです。ジョセフ・ヴェルディエに委託する分とどう分けているんでしょうね。ジョセフ・ヴェルディエ製の今日のワインは安定剤(アカシア)入りなのが少々気になります(笑)。

カベルネ・フラン。ロワールではブルトン(Breton)というシノニムがあります。
Chinon02
AOCシノンの赤・ロゼはカベフラが主体ではありますが、実はカベソーも10%までなら混ぜてよいことになっています。しかし、大体がカベフラ100%であり、カベソーを混ぜるところはほぼないようですが。また、AOCシノンは白もあります。ロワールでは、ピノー・ド・ラ・ロワール(Pineau de la Loire)と呼ばれるシュナン・ブラン100%です。

そうそう、カベフラはカベソーの母でしたね。
カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン。


ジョセフ・ヴェルディエの本拠地を訪問しておきます。
Joseph_verdier
モントレイユ・バレ(Montreuil-Bellay)という町で、AOC Saumur Puy-Notre-Dame のル・ピュイ・ノートル・ダム(Le Puy-Notre-Dame)の町のすぐ隣です。

そしてこちらがシノンにあるドメーヌ・デティリー(Domaine d’Etilly)です。
Domaine-d’Etilly01
パンズー(Panzoult)という町のヴィエンヌ川(Vienne)に近い側にあります。まわりの畑を含め割と立派ですよ。ジョセフ・ヴェルディエに醸造を委託してるとは思えない感じ。


シノンとその周辺の位置関係をおさらいです。いつもの「大ロワール全体地図」を見ます。
Loire_s
シノンはトゥーレーヌに属しますが左端っこです。ソーミュールとも隣接しています。
下に付いているインデックスで、それぞれのAOCが、赤・白・ロゼ・甘口・泡のどれが対象なのかわかるようになっていますので合わせてご確認を。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

ここのインタラクティブ地図を見ると、マウスオーバーで色が変わるので、内包されたりオーバーラップしているエリアの関係性がわかりやすいです。(Anjou-Saumur のインタラクティブ地図。ソーミュールってアンジューに内包されているの知ってました?)

さあ、大体の位置関係を把握しましたので、シノン周辺をGoogle Mapに重ねます。
Loire_Chinon
ただの見にくい地図にしか見えませんが、描いてる本人はすごく頭に入りやすいのです。いかにこのブログが「自分の鍛錬用」、「自分用メモ」かということですね(笑)。
シノンってトゥーレーヌの西の端っこなので、エリア別の地図を見ると、ソーミュールやアンジューとの位置関係、品種の分布が分断されて見えてしまいますが、実はというか当たり前ですが、地続きなので位置関係以上の結びつきがあったりします。アンジューあたりから始まるカベルネ・フラン=ブルトン(Breton)とシュナン・ブラン=ピノー・ド・ラ・ロワール(Pineau de la Loire)が織りなすモザイクのようなエリアがトゥーレーヌまで広がっています。このあたり(アンジュー・ソーミュール・トゥーレーヌ)を一括で見られる地図はあまりないので、Google Mapで実現するこの地図には意義があるんです。(と、勝手に思っています。)
昔描いた地図からは大分正確にはなってきています。昔描いた地図は品種や赤・白・ロゼ・白・甘口白の区別まで書き込んであるんですが、ある意味見にくかったですね(笑)。

今日はシノンですので、INAOの地図でAOCシノンの対象コミューンを見ておきます。
Chinon01
シノンだけではないヴィエンヌ川(Vienne)両岸の26のコミューンが対象です。


エチケット平面化画像。
IMG_6093
安定剤(アカシア)がどうしても気になります。過去に飲んだジョセフ・ヴェルディエのワインを見返してみるとかなりの確率でアカシア入りでした。常習犯です。(笑)


さあ、抜栓。
IMG_6141
めっちゃ汎用品。

コルク平面化。
IMG_6142
「ローヌ渓谷」とだけ。そりゃそうだけど…。

Alc.12.5%。(pH:3.71、Brix:6.3)
透けないガーネット。
IMG_6143

黒ベリー、チェリー、モカ、スパイス。
クールな感じの辛口アタック。
酸味、タンニン、いいバランス。
ほどよいふくらみのある味ですよ。
これはアカシア効果?(笑)
カベフラのクールな個性は出ていますね。
余韻で適度な苦味様のアクセントも加わりフィニッシュ。
悪くはないんですが、もっと上等なシノンもいただきたい…。


*****

Joseph Verdier
Domaine d’Etilly Chinon 2018
RRWポイント 90点


Domaine du Haut Bourg La Désirée du Haut Bourg 2018 Muscadet Côtes de Grandlieu Sur Lie

ロワールの中でも安価な白ばかりで、今一つ個人的にはアピールしてこないペイ・ナンテですが、出すぎない個性がかえって何でも合わせやすいという強みと言えるような気はします。AOC ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ(Muscadet Sèvre et Maine)なんかはよく見かけますが、今回お隣の AOC ミュスカデ・コート・ド・グラン・リュー(AOC Muscadet Côtes de Grandlieu)というのを見つけたので早速ゲット、お試しです。

IMG_6081
ドメーヌ・デュ・オー・ブールは、AOCミュスカデ・コート・ド・グラン・リューの真ん中にあるAOCの名前の由来でもあるグラン・リュー湖(Lac de Grand-Lieu)のほとりにあり、4世代にわたって続く家族経営の作り手です。最初にミュスカデを植えたのが1944年だそうで、現在40haになっているそうです。

公式ページは案外(失礼!)ちゃんとしています。

ラインアップはミュスカデ100%でもいくつか種類があるようです。今日のは樹齢15年ほどのミッドレンジですね。
・ムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ) 100%
8ヶ月のシュール・リー(澱と共に寝かせる)の熟成です。シュール・リーをすると、AOC Muscadet Côtes de Grandlieu Sur Lie と表記できます。

ムロン・ド・ブルゴーニュ(Melon de Bourgogne)はミュスカデのシノニムです。AOC名はミュスカデですが、ミュスカデよりムロン・ド・ブルゴーニュの方が現地では通りがよさそうです。
MuscadetMelonBourgogne
2013年のDNA分析では、グエ・ブラン(Gouais Blanc=Heunisch Weiß)x ピノ(Pinot)の自然交配とされています。これって、シャルドネやアルザスのオーセロワと同じなんですよね。アリゴテなんかも含め、これらは兄弟品種というようなことらしいです。
この品種は名前の通りやはりブルゴーニュに由来するようです。といっても古い話で、13世紀にブルゴーニュで栽培されていたものが、プラン・ド・ブルゴーニュ(Plant de Bourgogne)という名前でロワール渓谷に広がったのが中世で、1530年にはすでに記録が残っているそうです。17世紀に「ミュスカデ」という名前でロワール川下流域(ペイ・ナンテ)で優勢な品種になったとのことで、その時代は主にブランデーのベースワインとして使用されていました。


グラン・リュー湖のほとり、ブエイの町にあるドメーヌ・デュ・オー・ブールを訪問。
Muscadet01
今日のワインの名前「La Désirée」というのは畑の(区画の)名前だそうで、ドメーヌの周辺だと思われますが場所は特定できません。

グラン・リュー湖の空撮写真。ドメーヌ・デュ・オー・ブールのHPから拝借。
Muscadet02
AOCミュスカデ・コート・ド・グラン・リューについてしっかり解説してあるのはありがたいです。AOCとしては1944年に認証され、その中心にある9,000haともいわれるヨーロッパ最大の低地湖、グラン・リュー湖周辺のミクロクリマがアペラシオンを特徴づけているそうです。しかし、湖というよりは湿地帯って感じですね。ストビューで近くに行ってみましたが、あまりきれいな湖ではありません(笑)。


ロワール渓谷のワインの公式ページ「VINS DU VAL DE LOIRE」ではインタラクティブ地図でペイ・ナンテのそれぞれのAOCの分布がよくわかって助かります。
Muscadet03
AOC Muscadet Côtes de Grandlieu の範囲わかりましたでしょうか。広域の AOC Muscadet に内包されています。お馴染みの AOC Muscadet Sèvre & Maine も同様です。

AOC Muscadet Sèvre & Maine について調べると、Clisson、Gorges、Le Pallet の3つのコミューン名を後ろにつけた個別のAOCが2011年に認められています。「Muscadet Sèvre et Maine Clisson」てな具合です。そして、2020年にさらに4つのコミューン名をつけたAOCが加わったようです。Monnières-Saint-Fiacre、Château-Thébaud、Mouzillon-Tillières、Goulaine の4つです。これら7村を「Crus Communaux」と総称するようですね。

ほかに AOC Muscadet に内包されるところは、ロワール川沿いのアンスニ(Ancenis)の町周辺の AOC Muscadet Coteaux de la Loire があります。ここは赤・白・ロゼワインのAOC、AOC Coteaux d'Ancenis の範囲とほぼかぶってます。実は一部(ロワール川の左岸部)AOCアンジュー(AOC Anjou)とも重なります。

ペイ・ナンテ地区の飛び地のようなAOCフィエフ・ヴァンデアン~(AOC Fiefs-Vendéens ~、2011年AOC昇格)も後ろにコミューン名をつけて5ヶ所に広がってます。単なる「AOC Fiefs Vendéens」というのはありません。コミューン名付きの以下の5つになります。
・Fiefs-Vendéens-Brem
・Fiefs-Vendéens-Mareuil
・Fiefs-Vendéens-Chantonnay
・Fiefs-Vendéens-Pissotte
・Fiefs-Vendéens-Vix
これらは白ワインが主流のペイ・ナンテに分類されますが、赤・白・ロゼが認められています。

さあ、以上の理解を深めるために、AOCの範囲をGoogle Mapに重ねてみます。
Loire_Pays_Nantais_D
ペイ・ナンテ(Pays Nantais)とアンジュー(Anjou)の境界が今一つあやふやだったので、アンジュー方面もガッツリ書き込んでいます。いずれ甘口のシュナン・ブランをいただきながらアンジューを深掘りしないといけません。課題、課題。


そうそう、グロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテ(AOC Gros Plant du Pays Nantais)にも触れておきましょう。AOCミュスカデはペイ・ナンテの全体を包括してかなり広域なんですが、AOCグロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテもほぼ同じ範囲をカバーしながら、さらに若干広いです。何が違うかというと、「Gros Plant du Pays Nantais」はその名の通り、Gros Plant(=Folle Blanche)という品種を主体で(70%以上)で作ったときに名乗るAOCということになっています。
GrosPlant
グロ・プランはフォル・ブランシュ(Folle Blanche)として元々コニャック、アルマニャックの主たる品種でした。フィロキセラ禍で今ではユニ・ブランに主要品種の地位は譲ったそうですが、ペイ・ナンテではかなり広域に作られています。今日の作り手も2haだけですがグロ・プランも栽培しています。


エチケット平面化画像。
IMG_5951
インポーターシールはガッツリ裏ラベルを隠しています。そして剝がしにくい。最悪です。
バーコードを隠したいのは理解しますが、AOP表示や「このワインは世界中でたくさん賞を取っています。」なんていう作り手の自慢話も隠れていました。


さあ、抜栓。
IMG_6076

コルク平面化。
IMG_6077
汎用品。DIAM3です。

Alc.12%。(pH:3.75、Brix:5.3)
薄いゴールド。
IMG_6078

梨、ライム、爽やかなぶどう香も感じます。
レモン的酸味のある辛口アタック。
始終その酸が支配するんですが、
なぜか全体はまとまりがありスルスルいけます。
特徴がないのは値段なりなんですが、
やはり和食でもスッと寄り添えるポテンシャルはありますね。


*****


Domaine du Haut Bourg
La Désirée du Haut Bourg 2018
Muscadet Côtes de Grand
lieu
Sur Lie
WWWポイント76点



WhiteWhiteWine01

Domaine le Briseau Patapon Rouge 2019

ロワールのカベフラを狙って、すごく久しぶりに都会へ繰り出しました。お目当てのシノンやブルグイユは見当たらず、ピノー・ドニス(Pineau d’Aunis)100%というこれが目に入りました。AOCワインではなく、Vin de Franceです。なのに値段は少々張ってます。クリスチャン・ショサール(Christian Chaussard)さんという自然派の有名な作り手らしいです。なるほどね。

IMG_6126
クリスチャン・ショサールさんはワイン作りの夢を持って1986年32歳で脱サラしボルドーの醸造学校でワインを勉強、1988年にはヴーヴレでワイン作りを始めます。持ち前のセンスで最初からSO2無添加の素晴らしいワインを作り出したんだそうです。この間、アンボワーズにある醸造学校の講師も掛け持ちしていたといいます。その後なんだかんだでヴーヴレのワイナリーを引き払い、一旦ワイン作りから距離を置きますが、奥さんとなるナタリーさん(Nathalie Gaubicher)に出会い、2002年にトゥーレーヌのエリアの北、コトー・デュ・ロワール(Coteaux-du-Loir)のエリアに移り住み、再びドメーヌ・ル・ブリゾー(Domaine le Briseau)としてワイン作りを再開したのが今日の作り手となります。
2006年には奥さんの名前からネーミングした「Nana, Vins&Cie」というネゴシアンも立ち上げていますが、なんと2012年、クリスチャンさんはトラクターの事故でこの世を去っています。現在はすべて奥さんのナタリーさんが引き継いでおられます。今日のパタポンもナタリーさんの手によるものってことですね。


残念ながら公式ページはなさそう。インポーター(ヴァンクール)のサイトを貼っておきます。

ワイン情報もインポーター情報頼りになります。INAOと何があったかわかりませんが、2002年からAOC認定を拒否してすべてヴァン・ド・フランス(Vin de France)表示にしているそうです。本来なら AOC Coteaux-du-Loir、白なら AOC Jasnières が名乗れるエリアです。
・ピノー・ドーニス 100%
粘土質・石灰質・シレックスの土壌の畑で、樹齢は平均44年といいます。マセラシオン・セミカルボニック(Macération semi-carbonique)をステンレスタンクで8ヶ月行い、発酵が自然酵母で1ヶ月、さらに熟成がステンレスタンクで12ヶ月だそうです。
マセラシオン・セミカルボニックとは、CO2を人為的に注入せず、全房でブドウを発酵させアルコール発酵から得たCO2でタンクを満たすんだそうで。


ピノー・ドニス(Pineau d'Aunis)です。教本なんかではピノー・ドーニとなっていますが、「S」は発音すると主張するフランス人がいたので「ドニス」とします(笑)。
Pineau-d’Aunis
ロワール渓谷のアンジューとトゥーレーヌ周辺で主に見られるローカル品種で、シュナン・ブランの色変異種と疑われたこともありましたが、2009年のDNA分析で否定されています。またピノ・ノワールとの関係もありません。
アンジュー(Anjou)、ソーミュール(Saumur)、トゥーレーヌ(Touraine)地域が主要なところですが、ロワール全域対象の Crémant de Loire や Rosé de Loire でも使用可能。ヴァランセ(Valençay)でも補助品種になっています。2016年の栽培面積は413haだそうです。
やはり、今日の作り手の所在でもある、ロワール川(Loir)流域<→ 最後に「e」がつかない、ロワール川(Loire)の支流の方。>でピノー・ドニスが重要になっています。AOCコトー・デュ・ヴァンドモワ(AOC Coteaux du Vendômois)では、ピノー・ドニスは50%以上、補助品種としてカベルネ・フランとピノ・ノワールが各々最低10%という規定です。(つまり、ピノー・ドニスを80%以上使えませんが…。)ピノー・ドニスが100%使えるのは、AOC Coteaux du Vendômois Gris というこのAOCのヴァン・グリ(Vin Gris)だけです。Vin de France になってるのはこのあたりが理由かな?
AOCコトー・デュ・ロワール(AOC Coteaux du Loir)の赤・ロゼもピノー・ドニスが主要品種で、カベフラ、コ、ガメが補助品種(ロゼはグロローも。)になります。
AOCジャニエール(AOC Jasnières)というのはシュナン・ブラン(=Pineau de la Loire)の白のみのAOCなのでピノー・ドニスは関係ありません。(AOCジャニエールのエリアは、AOCコトー・デュ・ロワールに内包されます。)


ドメーヌ・ル・ブリゾーを訪問します。たぶんここですが、よく見えませんね。
PataponMap00
ロワール(Loir)川沿いのマルソンという小さな集落です。クリスチャン・ショサールの在りし日のお姿と表札の写真を貼っておきました。AOCコトー・デュ・ロワール(AOC Coteaux du Loir)のエリアになります。

さあ、お馴染みの地図でトゥーレーヌ(Touraine)地区を俯瞰しておきます。
Marc02
AOCコトー・デュ・ロワール(AOC Coteaux du Loir)はトゥールの北側、ロワール川(「e」のないロワール川)流域のAOCで、AOCジャニエール(AOC Jasnières)を内包しているというのはわかりましたでしょうか。

例によって、これをGoogle Mapに重ねてみます。作り手の所在はここです。
PataponMap01
これがロワール全体のどのあたりになるかというと…。

いつもの「大ロワール全体地図」(笑)を見ればいいわけです。
Loire_s
下に付いているインデックスで、それぞれのAOCが、赤・白・ロゼ・甘口・泡のどれが対象なのかわかるようになっていますのでご確認を。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

わかりやすくていいサイトです。


エチケット平面化画像。
IMG_6090
改めてこのイラストの意味を調べると、クリスチャン・ショサールさん本人が描いた自分の顔なんですってね。最初INAOにAOCの申請をした時、「ピノー・ドニスでこんな濃いワインはできない。典型的な味わいじゃない。」と申請却下されたそうで、頭にきたクリスチャンさんは怒りの自画像をラベルにしたというわけです。顔の下には「vigneron non conforme(非適合ワインメーカー)」なんて皮肉が書かれています。頭にかぶった赤いロートはピエロに扮するだけではなく、頭から要らないものを抽出・排除しているということらしいです。見えにくいですがロートの先から飛び出しているのは、「AOC」、「SO2」など。SO2(二酸化硫黄=酸化防止剤の亜硫酸)はわかるとして、AOCが要らないってすごい皮肉ですね。なるほど、VdF(Vin de France)になっちゃったわけです。
判読不能の残り3つは、調べると「C12H22O11」、「Levures」、「Syndicat des Vins」だそうです。C12H22O11 はショ糖の分子式。つまり、補糖は必要ないってことですね。Levures は酵母。培養酵母なんて要らない…でしょうか。Syndicat des Vins はワインの協同組合(笑)。
<参考:おいしいワインはインポーターで選ぶ!(池田書店)>


さあ、抜栓。
IMG_6131
キャップシール、コルクとも完全無印(笑)。

Alc.12.8%。(pH:3.87、Brix:6.0)
濃いめのルビー。
IMG_6125

フランボワーズ、フレーズ。
やはり全房の茎感ありますね。
辛口アタック。
酸はありますが、きれいに盛り立て役を演じてます。
構造感というより、ふくらみのある感じ。やさしい感じ。
果実味とはこういうことか!という腑に落ち方です。
フレッシュ感をずっと高く保ちながらフィニッシュへ…。

個性的だけど、これはうまいです。
自然派だからとか、そういうレベルではない評価です。


*****

Domaine le Briseau
Patapon Rouge 2019
RRWポイント 94点


Gitton Père & Fils Clos Joanne d’Orion Pouilly-Fumé 2018

ロワールの上流域、サントル・ニヴェルネ(Centre Nivernais)の銘酒プイィ・フュメ(Pouilly-Fumé)をいただきます。コストコの店頭で適当に選んだのですが、調べてみるとこの作り手、サンセールのテロワールを世に知らしめたソーヴィニヨン・ブランの単一区画醸造を最初に行ったパイオニアだそうで、フランス歴代の大統領や国外の政治家もこぞって飲んでいるそうです。

IMG_6025
作り手は、ジットン・ペール・エ・フィス。1945年、マルセル・ジットン(Marcel Gitton)さんによって設立された家族経営のドメーヌです。日本のインポーターの紹介が詳しいのですが、今でこそ当たり前となった、それぞれの土壌の個性(サンセールは主に3種~15種類に分類されるという土壌の多様性で知られる。)を活かした区画ごとの醸造をこの地で初めて実践したのが初代のマルセルさんで、1981年から現当主として引き継ぐ息子のパスカル(Pascal Gitton)さんも、テロワールごとの個性をさらにクリアに表現するため、当時としては珍しかった Demi-Muid(600リットル樽)を導入し、その後世界的な名声を獲得するに至るそうです。


公式ページのURLが「gitton.blog」です。ブログ? 「gitton.fr」もありますが動きません。

確かにサイト自体の作りがブログっぽいので(笑)内容も少々貧弱ながら、ワイン情報は最低限ありました。
・ソーヴィニョン・ブラン 100%
「機械収穫」とはっきり書いてますね。正直でいいです(笑)。自然酵母による発酵、熟成はステンレスタンクで6ヶ月だそうです。30haを超える所有畑の大半はサンセールですが、プイィ・フュメの畑も 7.5ha 持っているとのことで、今日のワインはそこからになります。場所までは特定できませんが、北西向きの斜面(傾斜20~35°)で樹齢は45年。土壌はやっぱりのキンメリジャンの泥炭土壌(Marne Kimméridgienne)です。


ロワールではブラン・フュメ(Blanc Fumé)とも言われるソーヴィニョン・ブランです。なので、AOC Pouilly-FuméAOC Blanc Fumé de Pouilly と表記しても構いません。
SauvignonB
2013年のDNA分析では、Savagnin=Traminer と何らかの交配種だと判明しているようですが、Savagnin=Traminer という品種自体が具体的な存在が未確認らしく、サヴァニャン・ブラン(Savagnin Blanc)と混同しているような解説もあって情報は混沌としています。(サヴァニャン・ブランは別名トラミナーで、その突然変異種から、Savagnin Rose ≒ Gewürztraminer という関係もあって、さらに話は混迷を極めますのでここでは詳述しません。笑)
しかし、ソーヴィニョン・ブランのように Savagnin=Traminer を親とする品種は多く、シュナン・ブラン、デュラ(Duras)、トゥルソー(Trousseau)ほか無数にあります。こんな世界中に広まっている国際品種、早く解明されないものでしょうか。
※最近のデータでは母方が「サヴァニャン・ブラン(Savagnin Blanc)」で確定のようです。父方は依然不明…。


サンセール近くにある作り手を訪問します。
Gitton01
ストビューではうまく撮れませんが、大きな敷地・建物は奥の方にあります。

少しズームアウトして、近隣との位置関係を見てみましょう。
Gitton02
サンセールの南側、車で10分ぐらいのところ、メネトレオル・ス・サンセールという町にあります(Ménétréol-sous-Sancerre)。東側、ロワール川を越えるとAOCプイィ・フュメ(AOC Pouilly-Fumé)のエリアになります。また、サンセール市街の北側にはパスカル・ジョリヴェが見えますね。


AOCプイィ・フュメ、AOCサンセールなどの位置関係を、やはりこの地図で見てみましょう。
(ロワール渓谷のワインの公式ページ、「VINS DU VAL DE LOIRE」から)
Sancerre00
AOCごとの赤・白・ロゼ表示の通り、プイィ・フュメやカンシー(Quincy)は白だけというのがわかります。サンセール他には大抵赤もロゼもあります。

やはり、恒例のGoogle Map転記を敢行しています(笑)。ドメーヌ位置もご確認を。
Loire_Centre-Nivernais01
サントル・ニヴェルネ(Centre Nivernais)ってフランスでは言わないのか、日本の解説書でしか見ないんですよね。サントル(Centre)は真ん中なので、まさにフランスのド真ん中という意味はわかります。ニヴェルネ(Nivernais)はヌヴェール(Nevers)周辺の昔のフランスの地方名で、現在ではニエーヴル県(Nièvre)に相当します。

これが中央フランスのワインの公式ページ。ここでは「Centre-Loire」と言ってます。

サントル・ロワール。これも個人的には変です。ロワールの真ん中じゃないから…。やっぱり、フランスの真ん中(Centre de la France)っていうのが一番正しい気がします。(笑)


ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
Loire_s
ひと筋縄ではいかないロワールの全体像が見られていい地図だと思います。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

わかりやすくていいサイトです。


エチケット平面化画像。
IMG_5958
畑の場所でしょうか、プイィ・シュル・ロワール(Pouilly-sur-Loire)と記されています。

AOCプイィ・フュメは以下のINAOの地図のように7つのコミューンが対象です。
PouillyFume01
プイィ・シュル・ロワールはロワール川沿いの一番中心となるコミューンですね。また、同じ対象エリアでシャスラ(Chasselas)100%で作ったワインは AOCプイィ・シュル・ロワールAOC Pouilly-sur-Loire)を名乗ります。


さあ、抜栓。
IMG_6023
ドメーヌ名入りですね。コルクはこのドメーヌ名x2なので平面化はしません。

Alc.12.5。(pH:3.64、Brix:5.3)
濃いめのイエロー。
IMG_6024

黄桃、ライム。出汁的な香りも。
甘ったるさを想像させる辛口アタック。
糖度は低いんですけどね。
ネーブルのような味わい。
ねっとりとしたコクもある。
これが例のミネラル感と言えなくもないですね。
レモン系の酸がチラチラ出てきていい感じです。

やはり、ロワールのソーヴィニョン・ブラン。
新世界のそれとはまた違う貫禄がありますね。


*****


Gitton Père & Fils
Clos Joanne d’Orion
Pouilly-Fumé
 2018
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Marcel Martin Louise d’Estrée Brut Méthode Traditionelle

自ら Red Red Wine と言ってるだけあって、もともと白をいただくのは少なめ。ましてや泡は何かキッカケがないと積極的には手を出さないのですが、今日のコレは「お楽しみスパークリングワインBOX」というキッカケがあったわけです。しかも、当たりならいいんですが、見事なハズレであります。(実は昨年も同じくじを引いて撃沈していますから、学習能力のなさも問題ですね。)今日は「反省文」としてこの記事を書くことにします(笑)。

IMG_4938
さて、Marcel Martin というロワール、ソーミュールの近くのデュエ・ラ・フォンテーヌ(Doué-la-Fontaine)という町の作り手ということは裏ラベルからわかりました。しかし、それ以上が所在含めあんまり情報がないんですよね。コスパのいいロワールのスパークリングワイン(Crémant de Loire)の生産者としてそこそこ名は通ってるようなんですが。

はい、これが踊らされたワインくじ。ドンペリが当たるとは思っていませんでしたが…。
IMG_0339
今日のハズレワイン、お値段を見ると、2,590円となってます。それを1,990円で買えたんだからお得じゃん!と早合点するなかれ。
瓶内二次発酵のトラディショナル方式(Méthode Traditionelle)なのはいいんですが、このチラシにあるように9ヶ月の熟成では、AOCクレマン・ド・ロワール(AOC Crémant de Loire)の規定である12ヶ月に満たないため、AOCクレマン・ド・ロワールを名乗ることができません。
じゃあ、どういう位置づけのワインかと調べたら、アメリカのスーパー大手トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)が大量輸入して安売りするアメリカ向けバージョンと同じラベルでした。トレジョ(アメリカ在住の日本人はこう呼びます。)ではいくらで売ってるかというと、なんと8.99ドル。日本円で950円ぐらいでしょうか。それを2,590円で売るとは相当なボッタクリであります。ハズレもショックですが、本当の値段を知ってさらにショックです。(笑)

公式ページは当然のように見つからず。ネット情報では、この作り手はアンジューとトゥーレーヌのエリアに30haの畑を所有し、作付けはシュナン・ブラン60%、シャルドネ20%、カベフラ20%だそうです。今日の泡は、ブドウ品種がロワールらしくシュナン・ブランなのが面白そうで、それがせめてもの救いです。セパージュを調べると、こんな感じですから。
・シュナン・ブラン 90%
・シャルドネ 10%
シャンパーニュ方式(トラディショナル方式)のシュナン・ブランの泡…。面白そう。少し元気が出てきました。

シュナン・ブランはロワールでの「Pineau de la Loire」というシノニムの他、いっぱい呼び方があるようです。南アフリカでは「Steen」でしたね。
CheninBlanc
シュナン・ブランは、2018年のDNA分析でサヴァニャン(Savagnin)と何らかの品種の自然交配で生まれたとされています。さらにこのシュナン・ブランとグエ・ブラン(Gouais Blanc)の交配から、バルザック・ブラン(Balzac Blanc)、コロンバール(Colombard)、ムスリエ・サン・フランソワ(Meslier Saint-François)といった品種が生まれたことが判明しています。

ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
Loire_s
ひと筋縄ではいかないロワールの全体像が見られていい地図だと思います。今日の作り手があるというデュエ・ラ・フォンテーヌ(Doué-la-Fontaine)という町はソーミュール(Saumur)のすぐ近くです。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

わかりやすくていいサイトです。


エチケット平面化画像。
IMG_4778


さあ、抜栓。
IMG_4932
コルクの裏にも「Méthode Traditionelle」。これが唯一の「売り」なんでしょう。

Alc.11%。(pH:3.98、Brix:6.2)
ゴールドイエロー。
IMG_4933

黄桃、シトラス。
かすかな甘み感じる辛口アタック。
Brut って感じです。
グレープフルーツの味わい。
非常にキレのいい酸です。
かすかな柑橘系の苦味が残るのがイキですね~。

シュナン・ブランと言われればそんな気がします。
そんなこんなで実はなかなかおいしい…。(笑)


*****


Marcel Martin
Louise d’Estrée Brut
Méthode Traditionelle
WWWポイント 79点



WhiteWhiteWine01

Domaine Vigneau-Chevreau Vouvray Cuvée Silex 2019

久しぶりに、ロワールはトゥーレーヌ、AOCヴーヴレ(Vouvray)をいただきますよ。AOCヴーヴレとなれば、シュナン・ブランからの白のみと決まってきます。半甘口(Demi-Sec)、甘口(Moelleux)の他、瓶内二次発酵方式による微発泡(Pétillant)、発泡性ワイン(Mousseux)もありますが、みんなシュナン・ブランから作られます。世の中いろんなシュナン・ブラン(二コラ・ジョリーのやら、南アフリカのやら…)がありますが、個人的にここヴーヴレを基本とすべく味わいたいと思います。


IMG_4312
作り手のヴィニョー・シュヴローは、ヴーヴレの真ん中シャンセ(Chançay)に1875年設立という老舗。以来5世代に渡り、所有畑も5haから33haまで増やし発展してきたといいます。その中に、ヴーヴレのワインのルーツでもある「マルムティエ大修道院」の歴史ある畑も含まれるそうです。


公式ページは情報も盛り沢山でいいんですが、変な効果が多くて少々使いにくし。(笑)

ワイン情報もちゃんとしていますがインポーター情報も交え…。
・シュナン・ブラン 100%
熟成はステンレスタンクとフレンチオークの大樽(500L、新樽率10%)の併用で2ヶ月。
畑は粘土質の「ケイ酸塩」土壌だそうで、ワイン名が「Silex」というように火打石の成分を含み、独特のミネラル感が楽しめるんだとか。

シュナン・ブランはロワールでの「Pineau de la Loire」というシノニムの他、いっぱい呼び方があるようです。南アフリカでは「Steen」でしたね。
CheninBlanc
シュナン・ブランは、2018年のDNA分析でサヴァニャン(Savagnin)と何らかの品種の自然交配で生まれたとされています。さらにこのシュナン・ブランとグエ・ブラン(Gouais Blanc)の交配から、バルザック・ブラン(Balzac Blanc)、コロンバール(Colombard)、ムスリエ・サン・フランソワ(Meslier Saint-François)といった品種が生まれたことが判明しています。


作り手訪問。老舗の割には簡素なところです。(笑)
VouvrayChancay00
シャンセの町って聞いたことがあるなと思ったら、以前に試したヴーヴレの、セバスチャン・ブリュネ(Sébastien Brunet)のご近所でした。AOCヴーヴレには160の生産者しかいないそうですから、いろいろ試すとご近所に当たるわけですね。

ヴーヴレの地図にその2軒の場所を示しておきます。
VouvrayChancay01
車で5分くらいしか離れていないようです。交流があるかは知りませんが。(笑)

さて、今日の作り手が自慢してるのが(笑)、先ほども触れた、ヴーヴレのワインのルーツでもある「マルムティエ大修道院」の歴史ある畑でワインを作っているという件です。フランス革命で破壊されるまでヴーヴレのマルムティエ大修道院(Abbaye de Marmoutier)は西ヨーロッパでも最大の修道院の一つだったそうです。372年にこの修道院の聖マーチンによって開かれたブドウ園がクロ・ド・ルージュモン(Clos de Rougemont)で、今日の作り手のヴィニョー・シュヴローが幸運にもその畑の再建を担うことになったんだそう。
VouvrayChancay04
ただし、畑を取得したんではなく、50年のリースだそうですが(笑)。facebookに載っていた写真をもとに場所を調べると、ずいぶんトゥール(Tours)側のロワール川沿いにありました。ちょっとドメーヌからは離れています。(車で20分。)
この畑の植え替えを1995年に行なってるんですが、これを機会に、同時にすべての所有畑でビオディナミ栽培を始めたんだそうです。というわけで、今日のワインはビオディナミです。(笑)


さあ、お馴染みの地図でトゥーレーヌ(Touraine)地区を俯瞰しておきます。
Marc02
ヴーヴレはトゥールの町の東側、ロワール川の北岸ですね。

で、この中心部分をGoogle Map上に示したのがこれ。
VouvrayChancay02
ドメーヌの所在も記入していますのでご確認を。

ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
Loire_s
ひと筋縄ではいかないロワールの全体像が見られていい地図だと思います。

この地図の出典は、ロワール渓谷のワインの公式ページというここからです。

わかりやすくていいサイトです。


エチケット平面化画像。
IMG_4096
裏ラベルにはドメーヌの紹介の他、ABマークとユーロリーフもありますし、心酔するビオディナミの解説がしっかり書かれています。(笑)

しかし、これを丸隠ししていたのがこのインポーターのラベルです。
IMG_4093
モトックスさん、「フランス語だから要らないだろう」ではないですよ~。


さあ、抜栓です。
IMG_4303
キャップシールはクルッとはがせるプラスチック製でした。

コルク平面化。
IMG_4304
ドメーヌ名入り。ミレジムは横・腹にもしっかり入っています。

Alc.13%。(pH:3.88、Brix:6.3)
ゴールドイエロー。
IMG_4310

シトラス、白桃、みずみずしい梨って感じで、
フルーティに香り立ってます。
辛口アタックですが、
それらの果実がそのまま入ってくるような口当たりです。
確かにミネラル感もありますね。
それは次第に苦味様の複雑味に変わっていく感じ。
これがシレックスなんでしょうか。
そして、満足感が残る余韻。
うまい…これ。


*****


Domaine Vigneau-Chevreau
Vouvray Cuvée Silex 2019
WWWポイント 80点



WhiteWhiteWine01
--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

ワインBLOGランキングへ

にほんブログ村 ワインへ
にほんブログ村 酒ブログ ワインへ


写真サイト:
最近ちゃんと写真撮ってますか?

カテゴリー
タグ絞り込み検索
記事検索
最新記事 50(画像付)
月別アーカイブ
アクセス(ユニーク数)
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:



PVアクセスランキング にほんブログ村
© All Rights Reserved.
無断複製転載禁止します。
  • ライブドアブログ