Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Malbec

Chakana Cueva de las Manos Malbec 2021 Mendoza

アルゼンチンのマルベック。カルディのワインくじのハズレです(笑)。まあ、こういう敗戦処理は往々にして起こっているわけです。あわよくばお手頃価格でお高いワインがゲットしたいと欲があったのは勿論ですが、自分では選ばないワインとの巡り合わせというのももう一つの楽しみということになっています。…と、強がりを言ってみる。

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チャカナは2002年にペリツァッティ家(Pelizzatti)がメンドーサのルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)で立ち上げたまだ新しいワイナリー。どんどん畑も買い増し国際市場にも打って出たりしながら名声を得ていったようです。2012年にはビオディナミの専門家を招いてオーガニック・ワインに転換を図ります。オーガニックの認証も取りつつ、2016年には「Finca Nuna」がデメター(Demeter)の認証を取ったとのこと。今日のワインはヴィーガン認証(Vegan Society)が付いてますね。2019年には創業のペリツァッティ家は経営から退いたとのこと。ワイン業界あるあるですが何があったんでしょうね。

カルディの「サマーチャンスボックス」のチラシを貼っておきます。
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なかなか末席のワインが当たるのは個人的には珍しいです(笑)。

公式ページは今どきのいい感じで情報も豊富。でも今日のワインは載ってなさそうです。

公式ショップにはありました。この2021はVINOUSで90点と評価も悪くないです。

・マルベック 100%

カルディのチラシには「ステンレスタンク」と書いていますが、本家の説明では2年落ちのフレンチオーク樽で8ヶ月の熟成とあります。カルディさんハズレだからといってテキトーなこと書かないでくださいね(笑)。

ワイン名が「Cueva de las Manos」で、ラベルに手の不思議なイラストがありますが、これはアルゼンチンのパタゴニア地方にある「ラス・マノス洞窟」の壁画から着想を得ているそうです。
Cueva-de-las-Manos
「Cueva de las manos」は「(たくさんの)手の洞窟」の意味になります。ユネスコの世界文化遺産に指定されています。


さて、ワイナリー訪問。チャカナは Luján de Cuyo の Agrelo という所にあります。
Chakana01
ストビューでは近づけなかったので外観写真はネットから拝借。確かに新しくてきれいな建物です。

メンドーサ中心部のGoogle Mapで位置関係を確認しましょう。アンデス山脈をまたいだ向こう側のチリの産地もしっかり書き込んであるので2国の同緯度の産地が確認できます。
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チャカナの場所も書き込んでいます。ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCのエリアに属します。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOC(Denominación de Origen Controlado)と言われるものはルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCとサン・ラファエル(San Rafael)DOCの2つだけだそうです。メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)の名前が有名ですが、これらは IG(Indicación Geográfica)であり、DOCとは言わないんですよね。

そのルハン・デ・クージョのエリアも今一つはっきりわからないので困ります。
Lujan-de-Cuyo
これはルハン・デ・クージョ県(Municipalidad de Luján de Cuyo)の地図で(「県」は「Municipalidad」というようです。)、黄色の線で囲った部分がルハン・デ・クージョ県(Municipalidad de Luján de Cuyo)になり、かなり山側にも張り出しているのがわかります。県都は同じくルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)といいメンドーサのすぐ南側に位置します。


ラベル平面化画像。
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イラストの手は「ラス・マノス洞窟(Cueva de las Manos)」の壁画をモチーフにしているのは前述の通り。裏ラベルにはヴィーガン認証が示してありますね。
Vegan_Society
これはUKにあるヴィーガン認証機関「The Vegan Society」のものです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。ノマコルクっぽいです。
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Este no es un vino convencional!「これはありきたりなワインではない!」とスペイン語で書いてあります。言葉の意味はわからんが、とにかくすごい自信だ!(笑)

Alc.13.5%。
少し赤味の濃いガーネット。粘性の涙あり。
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黒ベリー、チェリー、酸の香り。
辛口アタック。
香りほどの酸ではないですね。
スモーキーなチョコっぽい風味もあります。
なかなか立体感のある味ですよ。
バランスも悪くない。
余韻は少々愛想がないですが。


*****

Chakana Wines
Cueva de las Manos
Malbec 2021
Mendoza
RRWポイント 88点


Freixenet México Vivante Red Brut

その昔、メキシコに5年ほど住んでいたことがあり、ワインを嗜み始めた頃とシンクロしていたこともあって、当時メキシコのワインもよく飲んでました。日本には壊滅的に入って来ていませんが、新世界ワインの先駆けであるメキシコには素晴らしいワインがたくさんあるんです。あ~っ、メキシコワイン飲みたい!...ということで、限られた日本で手に入るメキシコワインの中からやまやに置いてあるフレシネ・メヒコのスパーリングと参ります。

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フレシネ・メヒコ(Freixenet México)というのはご存知スペインのカバの大手、フレシネがメキシコに展開するワイナリー。「メヒコ(México)」は「メキシコ」のスペイン語読みです。1979年にメキシコに進出していますから既にずいぶんと歴史があります。スパークリングばかり作っているかと思うと、赤やロゼ、甘口ワインもあるようです。しかし主力はやはり「Sala Vivé」ブランドの泡のようですね。

メキシコのワインは、新大陸が発見されてからキリストの布教とともにやってきました。コロンブスが新大陸に到着したのが1492年ですが、メキシコ(当時はヌエバ・エスパーニャ、「新スペイン」と呼ばれていました。)にワイン用のブドウの木を持ち込んだのはキリスト教の宣教師で、コロンブスのすぐあと、1522年のことだそうです。メキシコが新大陸のワインの先駆けというのはこういうことです。


公式ページはしっかりしたものがあります。テイスティングツアーも積極的にやってます。

しかしながら今日の赤のスパークリングというのが載っていないんですよね。

・マルベック
・シラー

これはやまやの情報。瓶内二次発酵しているとも書いています。瓶内二次発酵しているならラベルに「Método Tradicional」と書いていそうなものですが。


フレシネ・メヒコを訪問します。メキシコのケレタロ州にあります。
Freixenet_Mexico
周囲はきれいなブドウ畑でなかなか立派な施設です。メキシコに住んでいた頃にはすでにあったようですから、当時行ってみたらよかったですね(笑)。

当時住んでいたメキシコシティーのマンションから3時間くらいかかるようです。
Torres_Gemelas_Rene
ケレタロの町にはよく行っていたので道中は記憶に残っています。ケレタロの町はケレタロ州の州都で正式名称は「Santiago de Querétaro」らしいですが、普通に「ケレタロ」と呼んでいましたね。懐かしや...。インポーズした写真はそのマンションからメキシコシティー中心部の方を撮ったものです。

昔作ったホームページケレタロも紹介してたのでスクショを貼っておきます。
Queretaro
メキシコから帰国後にメキシコについてのページを作っていたのでした。


メキシコの地図で位置関係とワイン産地について見ておきましょう。
Mexico
ワインの産地はアメリカのカリフォルニアと地続きのバハ・カリフォルニアと中央高原に集中していますね。メキシコはいわゆる気候区分でいう乾燥帯に属しますが、ケレタロを含む中央高原は標高が2,000m前後もあり、年中温暖な過ごしやすいエリアになります。

メキシコワイン評議会(Consejo Mexicano Vitivinícola)の公式ページ生産者リストほかメキシコワインの情報が載っています。もっとメキシコワインの認知度が世界で上がるといいんですが。


ラベル平面化画像。
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フレシネ・メヒコ(Freixenet México)の名前が書いていないのが気になります。


さあ、抜栓。
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超無印。安いですからね。

Alc.11.5%。
クリアに澄んだルビー。
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泡立ちは動画で確認ください。


フランブエサ(ラズベリー)、フレサ(ストロベリー)。
Brutなので辛口アタックと思ったら、微妙に甘み感じました。
しかしこれぐらいの甘味は好きな感じです。
赤品種のコクがあっていいですね。
泡がうまくマッチしてる赤です。

マルベック、シラーのお陰でしょうか。
そこらへんのランブルスコよりずっといい(笑)。


*****

Freixenet México
Vivante Red Brut
RRWポイント 89点


Vinovalie Démon Noir Malbec Merlot 2019 Comté Tolosan IGP

定期的にタカムラワイン&コーヒーロースターズでワインを物色するんですが、そこで目を引いたワインです。デーモン・ノワール(Démon Noir)と書かれた黒いラベル。デーモンでしょうか、小鬼のようなイラストがあります。品種はマルベック主体のようで、産地が南西地方ということでカオールあたりで作られていると思われます。作り手は…と裏ラベルを見ると「Vinovalie」。またまたヴィノヴァリーです。南西地方では高確率でここに出くわします(笑)。

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南西地方のいろんな産地・品種を試していると作り手の「Vinovalie」の文字に「これもヴィノヴァリーかよ~!」となることが続いています。
ヴィノヴァリーはフロントン、ガイヤックx2、カオールの4つの協同組合が2006年に合併して創設されています。680人の生産者がメンバーで畑の総面積は1,570haもあります。その辺り一帯を牛耳ってるんだと思いますが、過去に試したヴィノヴァリーのワインのインポーターを見ると点でバラバラで、いろんなルートで入ってきてるのもあちこちで出くわす要因なのかもしれません。

公式ページは前からよく知っています(笑)。お洒落でモダンですが情報量は多くないです。

今日のデーモン・ノワールというシリーズはちゃんと載っていて、赤・白・ロゼがあります。

・マルベック
・メルロー

セパージュ%が不詳です。AOCカオール(Cahors)であれば、マルベックが70%以上で、補助品種もメルローやタナなのでおおよそ類推できそうなんですが、今日のこのワインは広域の IGPコンテ・トロサン(Comté Tolosan) です。産地なのか、品種なのか何かでAOCを外れてるんでしょうね。発酵前にホット・マセレーションをしてるなんて書いてます。コールド(低温)マセレーションは聞いたことありますが、なんでしょうね。樽はないようです。

マルベックは、オーセロワ(Auxerrois)、コ(Côt)他130ほどのシノニムがあります。
Septima00
オーセロワはフランス南西地方、コ(コット)はボルドーでの呼び名だったようですが、アルゼンチンのマルベックの成功で世界的に「マルベック(Malbec)」に統一されてしまった感があります。アルゼンチンは世界のマルベックの総生産量の実に84%を占めるそうですからね。一大産地カオールを擁するフランスは世界で2番目のマルベック生産量ですが、実はわずか8%にすぎません。ちなみに3位はチリの4%、4位はアメリカの3%が続きます。
オーセロワ(Auxerrois) という、アルザスでよく使われる白ブドウもありますが、これは全く別の品種です。また、シャブリの近くオーセール(Auxerre)周辺をグラン・オーセロワ(Grand Auxerrois)と呼びますが、あちこちで出てくるオーセロワ、正直こんがらがります(笑)。


南西地方の超大手と思しきヴィノヴァリー(Vinovalie)の拠点をまとめておきます。
Fronton05
本部以外は元がそれぞれの協同組合の醸造施設のようです。フロントン、ガイヤックがメインで少し離れてカオールにも拠点があるって感じです。しかしデカいですね。傘下にいくつかのドメーヌやらシャトーやらも従えているようですし。


恒例の Google Map上に南西地方のAOC、IGPを示した地図を貼っておきます。
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IGPコンテ・トロサン(Comté Tolosan)は南西地方のほぼ全域が対象です。見にくいですが地図上の破線(---)で示した範囲です。ベルジュラック(Bergerac)周辺はドルドーニュ県(Dordogne)なので IGP Comté Tolosan からは外れるようです。

INAOの地図でも IGPコンテ・トロサンの範囲を確認しておきましょう。
ComteTolosan1
AOCが概ねコミューン(市町村)レベルが対象になるのに対し、IGPは県単位で設定されているのがよくわかりますね。以下のサブゾーンも示されています。

・Comté Tolosan Bigorre
・Comté Tolosan Cantal
・Comté Tolosan Coteaux et Terrasses de Montauban
・Comté Tolosan Haute-Garonne
・Comté Tolosan Tarn et Garonne
・Comté Tolosan Pyrénées Atlantiques


エチケット平面化画像。
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裏ラベルには、「その昔、カオールの町を貫くロット川に立派な橋(おそらく有名なヴァラントル橋)を架けるため、悪魔と契約を結び魂を売った」話が書かれています。そんな逸話から「Démon Noir(黒い悪魔)」のネーミングをしたんでしょうね。やはり、このワイン、暗に「カオール」だということをほのめかしています。カオールのマルベックはとても濃い赤色なので「黒ワイン」の異名がありますし。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.12.5%。
やはり黒いインキーなガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー。
樽はないはずですが湿った木が香ります。
辛口アタック。
若干酸がはしゃぐ感じあり。
お陰でコクのある味も少しクールに感じます。
タンニンはしっかり効きながら奥深い味わいを演出。
余韻は引っぱり足らない気もしますが、
全体のまとまりはなかなかいいです。


*****

Vinovalie
Démon Noir Malbec Merlot 2019
Comté Tolosan IGP
RRWポイント 93点


Altos Las Hormigas La Danza Malbec 2020 Mendoza

アルゼンチンのアルトス・ラス・オルミーガスというワイナリーのエントリーシリーズです。過去、チリのインディー・ジョーンズと異名を取るペドロ・パラ(Pedro Parra)さん関連のワインを記事にしていて、イタリアの醸造家アルベルト・アントニーニさんがアルゼンチンのメンドーサで手掛けるプロジェクト「Altos las Hormigas Winery」にもペドロ・パラさんが主要メンバーとして参加してるというのは知ってましたので、試してみたかったワイナリーです。

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1995年、イタリアの著名ワインメーカーであるアルベルト・アントニーニさんと若手起業家のアントニオ・モレスカルキさんが、アルゼンチンのメンドーサで新たなテロワールを求めて設立したワイナリーがアルトス・ラス・オルミーガス(Altos las Hormigas Winery)です。アルベルト・アントニーニさんは、トスカーナの名門フレスコバルディ社やアンティノリ社、スーパータスカンのテスタマッタなどの銘醸ワイナリーで活躍し、カリフォルニアではロバート・モンダヴィやオー・ボン・クリマでも醸造に携わっています。ミシェル・ロランのような世界を股にかけるトップワインメーカーということですね。また、チリのテロワールの達人ペドロ・パラさんがガッツリ参加されているということはメンドーサのポテンシャルが裏打ちされた感じがしますし、メンバーの皆さんがマルベックの可能性を信じているところがとても興味深いです。

アルトス・ラス・オルミーガス(Altos las Hormigas)の意味ですが、オルミーガというのがスペイン語で「蟻」のことです。アルトスは「高台」って感じでしょうか。つまりは「アリンコ台」かな。最初の畑にブドウを植えた時、新芽を食べるアリに悩まされたそうですが、畑の先住者でもあり、小さい体で大きな仕事を成し遂げるアリに敬意を表し、農薬で撃退するのではなく共存の道を選んだことで、ワイナリーの名前が決まったということのようです。


公式ページはさすがにプロジェクトのコンセプトやメンドーサのテロワールの解説が満載です。

今日のワイン、ローエンドですがしっかり解説があります。

・マルベック 100%

畑はメンドーサ各地に持っているんですが、いろんなところから、となっています(笑)。手摘み収穫、土着酵母使用だそうです。コンクリートタンクで6ヶ月の熟成、樽はありません。


さあ、ワイナリー訪問です。ストビュー全然届いてないのでHPの写真を拝借。
Bodega1
なかなか立派な建物です。右下に記念写真をインポーズしましたが、左から、ペドロ・パラさん、アルベルト・アントニーニさん、アントニオ・モレスカルキさん、アッテリオ・パーリーさん、カルロス・バスケさんになります。

位置関係と畑の場所を確認しようと思ったら、HPに詳細地図が上がってました。
Map02
メンドーサ中心からウコ・ヴァレーあたりまで網羅した地図です。助かる~。「アリさんマーク」のあるところが4ヶ所ありますが、これらが所有畑です。HPには各畑のさらに拡大した詳細地図があり、高度や地質の分布まで書き込まれています。ゴイゴイスー。

とはいうものの、いつものチリと並べた地図でメンドーサ全体を見ておきましょう。
Mendoza_Arg_Chile
チリとアルゼンチン、アンデス山脈を挟んで両側に銘醸地がある関係です。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOC(Denominación de Origen Controlado)と言われるものはルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCとサン・ラファエル(San Rafael)DOCの2つだけだそうです。大括りですが、メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)の名前が有名ですが、これらはDOCとは言わないんですよね。


ラベル平面化画像。
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インポーターシールが隠しているのはバーコードだけ。
うっ!安定剤(アカシア)入りですね。有名醸造家でも安ワイン作りには欠かせないものなんでしょうかね(笑)。


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクとも「La Danza」専用品というのはいいですね。

コルク平面化。
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DIAM2を採用です。

Alc.13.5%。
赤味のあるガーネット。
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黒ベリー、チェリー、アセロラ。
辛口アタック。
酸は居るんですが大人しい。
決して軽めではない重みが演出できていて好印象ではあります。
アカシア効果か安モノの気配がない😁のがいいですね。
酸は余韻からフィニッシュまで帰ってくるんですが、
やはり出過ぎなくていい感じです。


*****

Altos Las Hormigas
La Danza Malbec 2020
Mendoza
RRWポイント 90点


Viña Cobos Felino Malbec 2020 Mendoza

The Winery Kyoto でおすすめしてあったアルゼンチンのマルベック。なかなか面白いワインが手に入るので最近よく行ってるショップです。今日のコレもカリフォルニアの天才ワインメーカー、ポール・ホブス(Paul Hobbs)さんがメンドーサに所有するワイナリーなんだそうで、ジェームス・サックリングおじさんがアルゼンチンで初めて100点をつけたとかなんとか…。

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ポール・ホブスさんは1978年にナパ・ヴァレーのロバート・モンダヴィでワインメーカーとしてのキャリアをスタートさせています。オーパス・ワンやソノマのシミ・ワイナリーなんかで腕を磨いたそうです。コンサル業でフライング・ワインメーカーとして名を馳せますが、自身で世界中に7つのワイナリーを所有しており、それぞれのワイナリーのオーナー兼ワインメーカーということになります。今日のワインのアルゼンチン・メンドーサにあるビニャ・コボスも所有ワイナリーのひとつで、1988年に訪れたアルゼンチンのテロワールに惚れ込んで(アルゼンチン・ワインの先駆者、カテナの二コラス・カテナさんとの出会いがきっかけだそうです。)1997年に自身のワイナリーとして創設しています。
それら所有ワイナリーを以下に上げておきます。Paul Hobbs Winery(1999)、Crossbarn Winery(2000) 、以上カリフォルニア。Hillick & Hobbs Estate(2019)、ニューヨーク州。Crocus(2011)、フランスのカオール。Yacoubian-Hobbs、アルメニア。Alvaredos-Hobbs(2018)、スペインのガリシア。そして今日のビニャ・コボス(1997年)で全部で7つです。

公式ページは写真豊富で、なかなか情報量も多くて好感が持てます。

今日のワインもエントリーシリーズのようですがデータシート完備です。

・マルベック 100%

54%はウコ・ヴァレー(Valle de Uco)、46%はルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)の畑からです。手摘み収穫、マニュアル選果。ステンレスタンクで発酵、MLFは自然発生させます。新樽率8%のフレンチオーク樽で9ヶ月の熟成です。ビニャ・コボスのデビューも1999年のコボス・マルベックで、アルゼンチンのマルベックを世に広めたのは実はポール・ホブスさんということらしいです。


マルベック。Côt や Auxerrois とも呼ばれますが、他にも130ほどのシノニムがあるそうです。
Septima00
オーセロワはフランス南西地方、コ(コット)はボルドーでの呼び名だったようですが、アルゼンチンのマルベックの成功で世界的にマルベックに統一されてしまった感があります。アルゼンチンは世界のマルベックの総生産量の実に84%を占めるそうですからね。一大産地カオールを擁するフランスは世界で2番目のマルベック生産量ですが、実はわずか8%にすぎません。ちなみに3位はチリの4%、4位はアメリカの3%が続きます。

2013年に行われたDNA分析によると、マルベックは以下の間の自然交配となっています。

MalbecCôt)=(母)Magdeleine Noire des Charentes x (父)Prunelard

このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントというのはメルローにおいても母方に当たります。現存するフランス原産の古い品種ですが、2004年にブルターニュ地方(正確には Saint-Suliac 村の Mont Garrot の丘)で再発見されるまでは絶滅したとされていました。ブルターニュ地方でのブドウ栽培は200年以上前に放棄されていますのでよく生き残っていたなと思います。

Merlot =(母)Magdeleine Noire des Charentes x (父)Cabernet Franc

したがって、マルベックとメルローは異父兄弟の関係になりますね。マルベックの父方、プルネラール(正しくはプリュヌラールと発音するはず)もフランス原産で、一時期(1970年代)は絶滅の危機にあったそうですが、現在は南西地方のガイヤックやマルシヤックで補助品種として細々と復活しているそうです。


ビニャ・コボスを訪問します。立派でモダンな建物です。
Cobos01
以前に見たボデガ・セプティマの近所です。銘醸地ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)も近いです。

メンドーサ中心部のGoogle Mapで位置関係を確認しましょう。今日の地図はアンデス山脈をまたいで向こう側のチリの産地もしっかり書き込みました。我ながらよくわかっていい感じです。
Mendoza_Arg_Chile
ビニャ・コボスの場所も示してあります。メンドーサ川の南側になります。このあたりがソナ・アルタ・デル・リオ・メンドーサ(Zona Alta del Río Mendoza)とかメンドーサ・セントラル(中央メンドーサの意)と呼ばれるエリアで、ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCを内包しています。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOC(Denominación de Origen Controlada)と言われるものはルハン・デ・クージョLuján de CuyoDOC(2005年制定)とサン・ラファエルSan RafaelDOC(2007年制定)の2つだけだそうです。大括りですが、メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)の産地名表示をよく見ますが、これらはDOCとは言わないんですよね。変ですね(笑)。


ラベル平面化画像。
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ワイン・イン・スタイルさんのシールはいつもながら控えめでありがたいです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14.1%。
赤み強いめのガーネット。細かい涙ですが粘性で色つきです。
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黒ベリー、ダークチェリー。
深みのある果実香と樽香がかぐわしいです。
辛口アタック。
最初から圧倒的な厚みと構造感を感じます。
深く複雑に織りなされる味わいです。
果実味もしっかり主張しています。
余韻も長くてうまい。
超バランスいいのをずっと楽しめるわけです。
マルベックの神髄を見た気がします。


*****

Viña Cobos
Felino Malbec 2020
Mendoza
RRWポイント 97点


Viu Manent Single Vineyard Malbec 2018 San Carlos

つい先日ですが、ビウ・マネント(Viu Manent)のカルメネールを試し、これがなかなか良かったので、またまたビウ・マネントです。と言いますか、その前回、チリで初めてマルベックのワインを出したのがビウ・マネントということを知り俄然興味が湧いたということで、創業時からのマルベックというのを試したくなり、そのマルベックをゲットしたというわけです。

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ビウ・マネント(Viu Manent)は、スペインのカタルーニャ地方からの移民「ビウ家」が1935年にサンティアゴにネゴシアンとして創業しています。1966年にコルチャグア・ヴァレーにワイナリーと150haものプレ・フィロキセラの畑を得て本格的なワイン作りを始めます。この最初の畑に植えたのがマルベックというわけです。当初アルゼンチンから機材や技術を導入したこともあってマルベックなのかと思いますが、HPの記載ではこの創業の畑のプレ・フィロキセラのブドウの木はフランスから直接持ち込まれたとあります。

公式ページは今風、というか、アメリカっぽい感じがします。情報は豊富。ワイン紹介もヴィンテージごとにデータシート完備です。特筆すべきは、現地スタッフによる各ワインのテイスティング解説が Youtube の動画で見られることです。リンクは今日のワインの解説です。

個人的にはスペイン語で解説をしてくれるのがうれしいです。(英語の字幕は出ます。)

・マルベック 100%

手摘み収穫、除梗・破砕、低温浸漬。熟成は総量の61%を新樽率15%のフレンチオーク樽で、21%をトーストされていないフレンチオークの大樽で、残りは卵型のコンクリートタンク等で、それぞれ14ヶ月間行います。

マルベック。Côt や Auxerrois とも呼ばれますが、他にも130ほどのシノニムがあるそうです。
Septima00
オーセロワはフランス南西地方、コ(コット)はボルドーでの呼び名だったようですが、アルゼンチンのマルベックの成功で世界的にマルベックに統一されてしまった感があります。アルゼンチンは世界のマルベックの総生産量の実に84%を占めるそうですからね。一大産地カオールを擁するフランスは世界で2番目のマルベック生産量ですが、実はわずか8%にすぎません。ちなみにチリは3位の4%。4位はアメリカの3%が続きます。

ビウ・マネント訪問です。ストビューで敷地内や周辺の畑まで入れます。
SantaCruz
コルチャグア・ヴァレーのサブリージョン、サンタ・クルスの東側にあります。このあたりは北側をアパルタ(2018年からの新しいDOサブリージョン)と隣接しています。ラポストル、モンテス、ベンティスケロなどお馴染みどころが密集していますね。

サン・カルロス(San Carlos)というのが今日のワインの畑で、ワイナリーの周辺一帯になります。マルベックは#5~6の区画に植えられていて、樹齢は100年超にもなります。
San_Carlos0
左下、Viñedo Centenario(百年畑)の区画#5の名札です。写真の畑の角にも名札が上がっていますが、よく見ると「MALBEC」と書いてあるようです。ワイナリーすぐ横の区画がやはりマルベックのようですね。

いつものリベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)の地図にビウ・マネントの場所を書き込みます。
Libertador_O'Hinggis_Rio
コルチャグア・ヴァレーはティンギリリカ川(Tinguiririca)沿い、でしたね。


ラベル平面化画像。
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畑名サン・カルロス(San Carlos)とその地層のイラストがカッコいいです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13.5%。
濃いガーネット。
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黒ベリー、プラム、かすかにブレット。
酸が甘さ思わせる辛口アタック。
丸っとふくらみのある構造感に、
きめ細かく詰まった旨味という感じ。
余韻も長いです。

カルメネールも素晴らしかったですが、
ワイナリー自慢のマルベックもいいですね。


*****

Viu Manent
Single Vineyard Malbec 2018
San Carlos
Valle de Colchagua
RRWポイント 93点


Catena Malbec 2017 High Mountains Vines

カテナのマルベックです。福袋から出てきたものなので(笑)仕方ないんですが、前にも同じものを試しています。しかもヴィンテージ(2017)も同じ。2年前なのに同じミレジムを引いてしまうとは…。めったにやらない同じ年の同じワインのお試し。2年の差というのがどう出るのか、おいしくなってるのか、こうなったら(笑)興味を持っていきましょう。

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1902年に二コラ・カテナ(Nicola Catena)さんが創業したアルゼンチンのトップ生産者です。現オーナーはお孫さんに当たる二コラース・カテナ・サパタ(Nicolás Catena Zapata)さんなので少々ややこしい名前です。とにかくアルゼンチンのワイン産業の黎明期を支え、マルベックをアルゼンチンの代表品種として世界レベルに押し上げた功労者だそうです。パーカーおじさんもトップエンドの Nicolás Catena Zapata 2004 に98+点をつけ、「これはアルゼンチンのラフィット・ロートシルトだ!」とのたまってます。(その後、Catena Zapata Adrianna Vineyard River Stones Malbec 2016 というのは100点を取っています。)今日のスタンダード・マルベックもパーカーおじさん 91点と悪くはないです。コンスタントに点数を重ねているようで、2015年から2019年まではこんな感じ。91点、92点、91点、91点、92点。ある意味、安定したクオリティと言えます。


公式ページのURLはcatenazapata.comなんですが、catenawines.comでもつながります。

内容豊富でワイン情報はヴィンテージ毎に検索でき、とてもしっかりしてます。
・マルベック 100%
樽熟は12ヶ月で、新樽・1年落ち・2年落ちの比率は年ごとに変わるそう。日本のインポーター情報では新樽率35%のフレンチオーク70%と、アメリカンオーク30%で14ヶ月(公式ページでは12ヶ月)熟成となってます。
公式ページをよく見ていると、ワインによってワイナリー名を、Bodega y Viñedos Catena と Bodega Catena Zapata とで使い分けてますね。まあ、なんとなく上等ラインが後者って感じでしょうか。

マルベック。Côt や Auxerrois とも呼ばれますが、他にも130ほどのシノニムがあるそうです。
Septima00
オーセロワはフランス南西地方、コ(コット)はボルドーでの呼び名だったようですが、アルゼンチンのマルベックの成功で世界的にマルベックに統一されてしまった感があります。アルゼンチンは世界のマルベックの総生産量の実に84%を占めるそうですからね。一大産地カオールを擁するフランスは世界で2番目のマルベック生産量ですが、実はわずか8%にすぎません。ちなみに3位はチリの4%、4位はアメリカの3%が続きます。

2013年に行われたDNA分析によると、マルベックは以下の間の自然交配となっています。

MalbecCôt)=(母)Magdeleine Noire des Charentes x (父)Prunelard

このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントというのはメルローにおいても母方に当たります。現存するフランス原産の古い品種ですが、2004年にブルターニュ地方(正確には Saint-Suliac 村の Mont Garrot の丘)で再発見されるまでは絶滅したとされていました。ブルターニュ地方でのブドウ栽培は200年以上前に放棄されていますのでよく生き残っていたなと思います。

Merlot =(母)Magdeleine Noire des Charentes x (父)Cabernet Franc

したがって、マルベックとメルローは異父兄弟の関係になりますね。マルベックの父方、プルネラール(正しくはプリュヌラールと発音するはず)もフランス原産で、一時期(1970年代)は絶滅の危機にあったそうですが、現在は南西地方のガイヤックやマルシヤックで補助品種として細々と復活しているそうです。


さあ、メンドーサ市街のすぐ南にあるカテナ訪問を試みますが、ストビューが届いていません。仕方ないので、公式ページにあったバーチャル・ツアーの画像を貼り付けてみました。
Catena01
なぜかマヤのピラミッドを模したというシンボリックな建物で、かなりの規模ですね。バーチャル・ツアーではワイナリー内もぐるぐる回れます。

屋上へ出てまわりも見渡せました。ゴーグルのマークを押すとなんと3D表示もできます。
Catena03
ワイナリーの正面がアンデスの山々の方を向いているのがわかります。平行法の3D画像なのでビューワーがあった方が見やすいでしょうね。(寄り目では3Dになりません。)

Google Map上でメンドーサ中心部を俯瞰してみます。カテナはここです。
Catena02
アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOCと言われるものはルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCとサン・ラファエル(San Rafael)DOCの2つだけだそうです。
大括りですが、メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)が有名ですが、これらはDOCとは言わないんですよね。変ですね(笑)。

IGとか書いてあって、それなりに詳しそうな地図を拾ったのでついでに貼っておきます。
Mendoza7
IGはスペイン語の Indicación Geográfica でしょう。DOCは Denominación de Origen Controlado でしょうし。標高も書かれてますが、低くても500mくらいからですから割と高めですね。今日のワインは「High Mountains Vines」という名前がついていますが、カテナの標高の高い3ヶ所の畑からだそうで、Lunlunta(920m)、El Cepillo(1,090m)、Gualtallary(1,450m)と名前もわかってますので、それぞれGoogle Mapで確認してみました。いずれもルート40(国道40号線)沿いにあり、そんなに標高があるようには見えませんでしたが。ウコ・ヴァレーなら最高1,610mにも達するようですね。


ラベル平面化画像。
IMG_5684


さあ、抜栓。
IMG_6170
同じヴィンテージなのに、なぜだかに飲んだのとキャップシールのデザインが少し違ってます。

コルク平面化。
IMG_6171
コルクはと全く同じデザイン。DIAM5も同じ。

Alc.13.5%。(pH:4.08、Brix:5.2)
濃いインキーなガーネット。
IMG_6172

黒ベリー、チェリー、キャラメル、スパイス。
辛口アタック。
なめらかなテクスチャーからの、
ふくらみを持った味わいへのつながりは秀逸です。
重苦しくない華やかさもあって余計にいい感じ。
余韻にかけてよく溶け込んだ酸も確認できました。
タンニンも感じないくらい一体化した余韻。長いし。

2年前に飲んだ時も悪くなかったですが、
今試すと、さらに進化していますね。寝かすが吉か。


*****

Catena
Malbec 2017
High Mountains Vines
RRWポイント 94点


Bodega Séptima Séptima Obra Reserva Malbec 2018

久しぶりのアルゼンチンのマルベックです。ボデガ・セプティマというメンドーサにある作り手ですが、実はスペインでカバ(Cava)を初めて作ったコドルニウ(Raventós Codorníu)という歴史ある大手生産者が、アルゼンチンに進出して1999年に立ち上げたワイナリーになります。コドルニウは、アルゼンチンに先立って1991年にはナパ・ヴァレーでArtesaというワイナリーも立ち上げています。いいワインが作れる勝算があるから進出したわけで、経験上こういう新世界進出ワイナリーは得てしてレベルが高いですから楽しみです。

IMG_5375
ボデガ・セプティマをアルゼンチンに立ち上げたコドルニウは、スペインのカタルーニャ地方が本拠地のワイナリー・グループです。1551年(戦国時代!)から続くというスペイン最古のワインメーカーで、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵によるカバをスペインで初めて誕生させたという功労者でもあります。スペインで7つのワイナリーを傘下に収め、ナパ・ヴァレーとアルゼンチンにもワインリーを建てたということで、計9つのワイナリーを世界展開していることになります。ここで、ハハ~ンとなりました。ワイナリー名の「セプティマ(Séptima)」とはスペイン語で「7番目の」という意味だからです。おそらくボデガ・セプティマは7番目だったんじゃないでしょうか。


公式ページはあっさりっしていますが大手らしいモダンなタイプ。

マルベック中心に幅広いレンジのラインアップがあり、バリエタルにはカベソー、カベフラ、シャルドネ、ソーブラなども。マルベックのロゼなんてのもありました。ワイン紹介はデータシート付でありがたいです。
・マルベック 100%
手摘み収穫、低温浸漬、MLFあり。熟成は2~3年落ちのフレンチ・アメリカンオークの混成で10ヶ月+ボトルで2ケ月。


マルベック。Côt や Auxerrois とも呼ばれますが、他にも130ほどのシノニムがあるそうです。
Septima00
オーセロワはフランス南西地方、コ(コット)はボルドーでの呼び名だったようですが、アルゼンチンのマルベックの成功で世界的にマルベックに統一されてしまった感があります。アルゼンチンは世界のマルベックの総生産量の実に84%を占めるそうですからね。一大産地カオールを擁するフランスは世界で2番目のマルベック生産量ですが、実はわずか8%にすぎません。ちなみに3位はチリの4%、4位はアメリカの3%が続きます。
オーセロワ(Auxerrois) という、アルザスでよく使われる白ブドウもありますが、これは全く別の品種です。また、シャブリの近くオーセール(Auxerre)周辺にグラン・オーセロワ(Grand Auxerrois)という産地もありましたね(笑)。これは広域ではブルゴーニュに属します。


さて、作り手訪問。
Septima01
ボデガ・セプティマは2001年、メンドーサ州ルハン・デ・クージョ県(Luján de Cuyo)のアグレロ(Agrelo)に近代的なワイナリー施設をオープンしています。


恒例ですが、Google Map上でメンドーサ中心部を俯瞰してみます。
SepVin04
ボデガ・セプティマのあるアグレロは、ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCに属します。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOCと言われるものはルハン・デ・クージョLuján de CuyoDOCサン・ラファエルSan RafaelDOCの2つだけだそうです。
大括りですが、メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)が有名ですが、これらはDOCとは言わないんですよね。変ですね(笑)。
地図の左下に貼りましたが、ボデガ・セプティマの畑はアグレロ、ビスタ・フローレス、ラ・コンスルタの3ヶ所にあります。3ヶ所とも標高1,000m超えですね。

IGとか書いてあって、それなりに詳しそうな地図を拾ったので貼っておきます。
Mendoza7
IGはスペイン語の Indicación Geográfica でしょう。DOCは Denominación de Origen でしょうし。標高も書かれてますが、低くても500mくらいからですね。ボデガ・セプティマの畑のあるウコ・ヴァレーは最高1,610mにも達するようです。


ラベル平面化画像。
IMG_4531
Séptima Obra は「7番目の作品」という意味。ラベルにも「標高1,050~1,100mの畑」と書かれてますね。裏ラベルにラベントス・コドルニウ(Raventós Codorníu)名があります。


さあ、抜栓。
IMG_5372
キャップシール、てっぺんが金色でカッコいいです。

コルク平面化。
IMG_5373

Alc.14%。(pH:4.27、Brix:7.7)
濃いガーネット。赤紫っ気多いかな。
IMG_5374

ダークチェリー、プラム、シダ、かすかな木樽。
辛口アタック。
しっかり厚みのある味。
酸、タンニンそれなりにあるんですが、
どれも飛び出さないのでバランスは良好。
濃い口なんですが、軽さも兼ね備えてます。
いわゆる飲みやすいってやつかな。


*****

Bodega Septima
Septima Obra Reserva Malbec 2018
RRWポイント 90点


El Esteco Don David Blend of Terroirs Malbec・Malbec 2018

なにか面白いワインはないかと都会の(笑)ワインショップなんかをまわっていると、アルゼンチンのエル・エステコのワインで品種が「マルベック・マルベック」となっているのを発見。裏ラベルによると同じ Calchaquí Valley ながら、フルーティーな Finca La Maravilla Vineyard と、色が濃く構造感のしっかりした Chañar Punco の2つの畑からのマルベックのブレンドだそうで。まあ、結局マルベック100%なのですが(笑)、異なったテロワールのブレンドというのが売りのようです。これは面白いかも。


IMG_3900
エル・エステコのワインはちょこちょこ見かけますし、以前にタナの探求をしてる頃、ドン・ダビのタナ100%を試したことがあります。そうそう、トロンテスを試したのもエル・エステコでした。これは2018年のソムリエ二次試験のテイスティングワインとして出題されたので勉強のために試しましたが、今年のワインエキスパート二次試験でまたトロンテスが出たんですってね。そんなに重要な品種でしょうか? 時々日本ソムリエ協会には「?」となりますね。ウルグアイのタナやチリのカルメネールなんか出した方がいいのでは? 僕は当てれます。(笑)

さて、エル・エステコは1892年創業といいますから、アルゼンチンでは最古の部類の名門ワイナリーです。公式ページはトップページでアルゼンチン国内向けサイトかインターナショナル・サイトか選ぶようになっています。それぞれで若干ラインアップが異なるようです。

しかし、どちらにも今日の「マルベック・マルベック」が載っていません。仕方がないのでインポーター情報に頼ります。
・マルベック 100%
ではあるものの、Finca La Maravilla Vineyard と、Chañar Punco の畑と2ヶ所の異なるテロワールのブレンドでしたね。前者のフィンカ・ラ・マラビージャはワイナリー周辺のカファジャテ(Cafayate)にあり、標高1700mの痩せた沖積土、高日照、低湿度、昼夜の温度差がある畑で、後者のチャナール・プンコは北の方に離れたところで、標高1900mの砂漠気候、寒冷高地で石灰質土壌を持つ畑だそうです。アルゼンチンは南半球なので北に行くほど温暖になります。エル・エステコ自体、アルゼンチンの最北に近い所に位置しますが、1800m級の高地のためちょうどよい気候(温度)になるんでしょうね。
いずれも手摘み収穫、発酵前に低温浸漬、MLFあり、熟成は樽なしでコンクリートタンク(エッグタンク)を使うそうです。

Tolosan00


カファジャテの町の近くのワイナリー訪問。ストビューでは近づけず、畑越しに眺めます。
ElEsteco01
建物は立派ですね。

ほぼ同じところからですが、ちょっとアングル違いで。(笑)
ElEsteco02


アルゼンチン全体が入った地図で位置関係を把握します。カファジャテ・ヴァレー(Cafayate Valley)というところですが、アルゼンチン最大の生産地(全生産量の2/3以上)であるメンドーサ(Mendoza)からはずいぶん北の方になります。
IMG_3850
地図にあるサルタ州の地域はサルタ(Salta)の町を中心に広がっており、カファジャテ・ヴァレー(Cafayate Valley)を内包しますが、エル・エステコはカルチャキ・ヴァレー(Calchaqui Valley / Valles Calchaquíes)と呼んでいますね。調べてもはっきりしなかったのですが、両者は同義か、もしくはカルチャキ・ヴァレーが広域でその中心にカファジャテ・ヴァレーがあるという関係のようです。

以上をざくっとGoogle Map上で見てみましょう。
ElEsteco03
アルゼンチンの州区分の地図も貼りましたのでわかりやすいですね。


ラベル平面化画像。
IMG_3847
表にも裏にも「Blend of Terroirs」の意味がしっかり書いてあります。
でも、比率はどうなんでしょう。Malbec・Malbecだから50/50でしょうか。


さあ、抜栓。
IMG_3895
キャップシールは無印…。

コルク平面化。
IMG_3896
なんと、ザクっとした南米地図でアルゼンチンを示してあります。(笑)
5年耐用テクニカルコルク、DIAM5を採用です。

Alc.14%。(pH:4.25、Brix:8.1)
濃い黒いインキーなガーネット。Chañar Punco の畑のお陰でしょうか。
IMG_3899

黒ベリー、プラム、スパイス、ミントっぽくも。
辛口アタック。
フルーティでフレッシュな酸がいい感じ。
そこそこ厚みを感じる味わいもあります。
貫禄こそ足りない気もしますが、抜群のバランスではあります。
シルキーなタンニンは喉越しを心地よく刺激。
余韻はわりとあっさりですが、
全体のバランスが秀逸でフィニッシュ後の満足度が高いです。

同じマルベック同士のブレンドですが、
確かにテロワールの違いが功を奏し、複雑味を増してると思われます。


*****


El Esteco
Don David Blend of Terroirs
Malbec・Malbec 2018
RRWポイント 93点


Hess Lion Tamer 2016

Mount Veeder という山の手ナパにあるライオンマークでお馴染みのヘス(Hess)です。
ちょっと上等シリーズの Lion Tamer(ライオン調教師)の Red blend なんですが、日本のインポーターの希望小売価格が10,000円のところ、コストコでは税込み4,798円で売ってました。それでもお手頃とは言えない価格ですが(笑)、思わず手に取ってしまいました。


IMG_3781
Hess は、スイス出身の先代のドナルド・ヘスさんが、ナパの山の手マウント・ヴィーダー(Mt.Veeder)に1970年代に開いたワイナリーで、世間からの高い評価もありナパのトップ・ワイナリーのひとつとなってます。カベソーが有名と思ってましたが、ナパ中に畑を広げ、多様な品種を手掛けていますね。


公式ページはさすがナパの一流ワイナリーって感じ。ワイン紹介もショップ兼用じゃないですよ。

このライオン・テイマーという名前は「ライオンの調教師、ライオンを手なずける者」ということなのですが、Hess がマウント・ヴィーダーでカベソーを作るとき、そのタンニンを和らげるのにマルベックを使っていたことに端を発しています。山奥のカベルネ・ソーヴィニヨンのタンニン分が荒々しかったんでしょうか、それを Hess のシンボルのライオンに見立て、それを調教するのがマルベックという訳です。というわけで、セパージュはこんな感じ。
・マルベック 40%
・ジンファンデル 27%
・プティシラー 21%
・カベソー 8%
・ムールヴェードル 2%
・プチヴェルド 1%
・メルロー 1%
ライオン調教師のマルベックが40%と主役です。しかし、ライオン役のカベソーが8%しか入ってませんね。個人的にはジンファンデルがガッツリ入ってるのが少々気になります。(笑)
新樽率40%のフレンチオーク樽で22ヶ月熟成と、ここは上等ワイン風情です。

パーカーおじさんの2016年の評価は90点とまずまずですが、2014年が93点で、2015年が92点と、このところ年々下がってきてるのもちょっと気になります。(笑)


ワイナリー訪問。ナパとはいえマウント・ヴィーダーは山間になります。
Hess03
やはりストビューは入り口までですが、中の施設は立派な感じです。


このワインは Mount Veeder AVA ではなく Napa Valley となってるので、ナパの各地にある畑からのブレンドのようですが、データシートに地図があり、Allomi Vineyard と Su’skol Vineyard が印されてました。正確な所在までは不明ですが、とりあえずGoogle Map転記してみます。
Hess03
ノース・コースト2台巨頭、ナパとソノマ、それとHess(Mt. Veeder)の位置関係を確認。

ナパ・ヴァレー公式サイトで拾った地図(ワイナリー名入り)も貼っておきます。
Hess01
Hessに印をつけておきました。やはりちょい外れの山の中ですね。


ラベル平面化画像。
IMG_3007
裏ラベルにブレンド詳細が書かれています。こういうブレンドには重要な情報です。


さあ、抜栓。
IMG_3778
キャップシールにシンボルのライオンマークのエンボスあり。

コルク平面化。
IMG_3779
ヴィンテージなど表示のないシンプルなものですね。

Alc.14.8%。(pH:4.00、Brix:8.8)アルコール、濃ゆい…。
濃いインキーなガーネット。粘性の涙は細かめですが色付きしてます。
IMG_3780

酸味の香りから来る黒ベリー、梅、あんず。
芳ばしい樽香が奥にあるのを感じます。
やはり酸が前に出ているかな。ジンのせい?
が、圧倒的な厚みと構造感はそれを忘れさせるくらい貫禄は十分。
若干酸に押されるバランスで時は進みます。
タンニン、収斂性もあるにはありますが完全に蚊帳の外。
喉元にアルコール感のフルボディ感じながら、
少々歪なバランスで長めの余韻が続きます。
貫禄は十分ながら、全体の建て付けは荒い感じがします。

調教すべきライオンは、カベソーではなくジンファンデルだったか?
Tamer になり切れなかった Lion Tamer でした。(笑)


*****


Hess
Lion Tamer 2016
RRWポイント 89点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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