Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Maule

Baron Philippe de Rothschild Mapu Sauvignon Blanc 2023 Valle del Maule

ちょっと前にフランスに次ぐソーヴィニヨン・ブランの生産国、ニュージーランドチリの新世界ソーブラ対決をやりましたが、選定を誤ったか、はたまた産地の実力か、ニュージーランドの圧勝でした。チリ贔屓としてはちょっと悔しいので、リベンジのチリのソーブラを探しました。バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チレのバリエタルシリーズ、MAPUのソーヴィニヨン・ブランです。これならそこそこいけるんじゃないでしょうか(笑)。

IMG_1469
バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チレ(Baron Philippe de Rothschild Maipo Chile)というのは、フランスのバロン・フイリップ・ド・ロスチャイルドがチリに直営で展開するワイナリーです。エスクード・ロホ(Escudo Rojo)でお馴染みですね。「エスクード・ロホ」は「ロートシルト(赤い楯の意)」のスペイン語ですから、チリに本気で入れ込んでる訳です。

バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルドは、いわゆるムートンの方です。ポイヤックのシャトー・ムートン・ロートシルトクレール・ミロンダルマイヤックの他、ラングドックのドメーヌ・ド・バロナークを所有。ベンチャーであるナパのオーパス・ワンやチリのアルマビバをやってるのも、このムートンの方です。

シャトー・ラフィット・ロートシルトの方は、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト(DBR社)という別系統のロスチャイルド家でありまして、自ら Domaines Barons de Rothschild (Lafite) のようにわざわざ(ラフィット)って付記してます(笑)。こちらはメドック格付け第4級のシャトー・デュアール・ミロンであったり、ソーテルヌ第1級のシャトー・リューセック、ポムロールのシャトー・レヴァンジルなどを所有。ラングドックのオーシエール(Château d’Aussières)もこっちです。チリならロス・バスコス。アルゼンチンのカテナとのベンチャーでカロテナ+スチャイルド)というのもやってます。なんだかロスチャイルド同士で張り合ってるみたいでおかしいですね。

バロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド社の公式ページはこれです。

傘下のシャトー、ワイナリーの紹介と共に、それぞれの専用サイトへのリンクがあります。

チリのバロン・フイリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チレ(Baron Philippe de Rothschild Maipo Chile)はエスクード・ロホ(Escudo Rojo)と今日のマプ(Mapu)それぞれの専用サイトを持っています。マプの公式ページがこれ。

今日のソーヴィニヨン・ブランもヴィンテージ毎の解説が載ってます。

・ソーヴィニヨン・ブラン 100%

ですが、2023年は最新ヴィンテージなのでまだ載っていませんでした。このブログでは初の2023年ヴィンテージですね。去年、ボジョレーヌーボー飲んでないですからね(笑)。2022年の説明になりますが、大樽で6ヶ月の熟成をしているそうですし、早飲みではなく熟成のポテンシャルがあるワインに仕上がっているとのこと。
MAPUのシリーズにはレセルバ、グラン・レセルバと上級レンジがあるんですが白はシャルドネのみで、ソーヴィニヨン・ブランは今日のこれのみです。

さて、サンティアゴ郊外、マイポ川沿いのその名もマイポという町にあるバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・マイポ・チレを訪問します。
Rothschild_Maipo_Chile01
なかなか立派な施設です。周辺もきれいな畑が広がっています。

建物に「Maipo Chile」って書いてしまってますが、HPでは単に「Baron Philippe de Rothschild Chile」となってますね。マイポがダサいから(笑)改名したのでしょうか。
Mipo

ただ、今日のソーヴィニヨン・ブランはマウレ・ヴァレーからとなっています。公式ページにザックリとした地図で所有畑の説明がありました。
Rothschild_Maipo_Chile00
マイポの他、カサブランカ、コルチャグア、マウレの4ヶ所だそうです。

マイポ・ヴァレー周辺を俯瞰して、ワイナリーの所在を確認します。
Chile_Santiago_Alrededor

そしてこちらがソーヴィニヨン・ブランの出どころ、マウレ・ヴァレー。
Maule_Curico2
結局、HPのザクっと地図の方がわかりやすいですね(笑)。


ラベル平面化画像。
IMG_1437
原住民の意匠なのかチリ風情でいい感じのデザインです。ヴィーガン。

さあ、スクリュー回転。
IMG_1466
5本の矢のマークのエンボスがカッコいいです。

Alc.13%。
キラキラプラチナイエロー。
IMG_1468

グレープフルーツ、パイナップル。
ニュージーランドっぽくグリーンのニュアンスもあり。
辛口アタック。
イキイキした酸も相まってジューC風味の夏みかん?
そして、酸が美味しい。(ビタミンC効果?)
この感じ好きなんですよね。
これはニュージーランドに一矢報いたんじゃないでしょうか。


*****


Baron Philippe de Rothschild
Mapu Sauvignon Blanc 2023
Valle del Maule
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

San Pedro 1865 Carmenère 2020 Selected Vineyards Las Moradas D.O. Valle del Maule

サンペドロの1865カルメネールの2020です。このブログの中でも、過去、201620172019と飲んでいますから最頻出ワインのひとつですね。やまやで定番で置いてくれるようになったのが大きいですが、なにより安定しておいしいのでついつい手が出ます(笑)。仕様も毎年ちょこちょこ微妙に変わっているようなのでこれも探ってみましょう。

IMG_0752
今さらサンペドロを語るのも何ですが、1865年クリコー・ヴァレーに創業、150年以上の歴史のある、またコンチャイトロと並ぶチリ有数のワイナリーです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの中核でもあります。「1865」というシリーズ名は創業年なわけです。

公式ページはちょっと前にリニューアルしてカッコよくなったんですが情報量は減ったような。

ワイン紹介で1865を選ぶと、専用サイトに飛びますが、やはりそっちも簡素。

・カルメネール 100%

以前は樽熟の記述もあったはずなんですが、この新専用サイトでは見当たりません。以前は、95%仏樽、5%米樽で12ヶ月間、新樽率は50%となっていましたが、ネット情報を見るとフレンチオーク樽で12ヶ月としているものが多いのでそんなに変わりはないでしょう。それより、産地が昔からマウレ・ヴァレーだったものが現在はコルチャグア・ヴァレーに変わっているようです。今日の2020がまだマウレなので2021~2022あたりの直近で変わったんでしょうかね。今日の2020は長らく書かれていなかった畑名「Las Moradas」が久しぶりに明記されていたので、原点回帰か!と密かに喜んでいたんですが、今後はマウレでさえなくなってしまうようですね。

こちらが1865シリーズ専用サイトです。

カッコいいんですが内容は薄し。日本に入ってきてないモデルが多いことに愕然としますし。


サンペドロはマウレ州クリコー・ヴァレーのモリーナに本拠地があります。
SanPedro01
カチャポアル・ヴァレーにもアルタイル(Altaïr)やカボ・デ・オルノス(Cabo de Hornos)などを作るプレミアムワイン専用ワイナリーを持っていますが、創業の地はこちらです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの本部にもなっているようです。

このモリーナにあるサンペドロの本拠地、カルメネール100%の最上級ワインを作っています。その名も「TIERRAS MORADAS」。スペイン語で「紫の大地」という意味です。
SanPedro_Rapel03
日本カルメネール振興協会としては是非試してみたいのですが、日本に入ってきてないんですよね。同じくカルメネールの最高峰であるコンチャイトロのカルミン・デ・ペウモや、エラスリスの KAI なんかは入ってきてるんですけどね。どこかのインポーターさん、是非よろしく。

注目点はこのカルメネール最高峰ワインのブドウの出どころで、マウレ・ヴァレーのペンカウエ(Pencahue)というエリアからとなっています。実は1865のカルメネールはこのペンカウエにある「Las Moradas Vineyard」という畑がオリジナルの畑で、現在の1865は「Selected Vineyards」と副題が打たれていますが、元々「Single Vineyard(単一畑)」と言うシリーズで、「Las Moradas」の畑からのみのブドウで作られていたのです。それが今日の2020では「Las Moradas」表記が戻ってる!?と歓喜したわけです。サンペドロのカルメネール最高峰「TIERRAS MORADAS」は、おそらくこのペンカウエ(Pencahue)にある「Las Moradas Vineyard」からだと確信しています。


Google Mapでマウレ州を俯瞰して位置関係を確認。モリーナにあるサンペドロも印してます。
Maule_Curico
サンペドロはマウレ州北側のクリコー・ヴァレーのエリアにありますが、今日のワインは「D.O. Valle del Maule」なので州の南側のマウレ・ヴァレーからです。マウレ・ヴァレーはマウレ川流域なのですが、そのマウレ川(Río Maule)の支流のクラロ川(Río Claro)流域がサブリージョンのクラロ・ヴァレーになり、その中に6つあるエリアのひとつが先ほど書いたペンカウエPencahue)になります。地図上に丸印をつけてあるので探してみてください。


チリの DO(Denominación de Origen)一覧表。マウレ・ヴァレーを確認してください。
RegiónSubregiónZonaÁreaTérmino complementario
Región vitícola de AtacamaValle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de CoquimboValle del ElquiLa SerenaCosta
VicuñaAndes
PaiguanoAndes
Valle del LimaríOvalleCosta
PunitaquiEntre Cordilleras
Monte PatriaAndes
Río HurtadoAndes
Valle del ChoapaSalamancaAndes
IllapelAndes
Región vitícola de AconcaguaValle del AconcaguaZapallarCosta
QuillotaCosta
HijuelasEntre Cordilleras
PanquehueEntre Cordilleras
CatemuEntre Cordilleras
Llay-LlayEntre Cordilleras
San FelipeEntre Cordilleras
Santa MaríaAndes
Calle LargaAndes
San EstebanAndes
Valle del Marga-MargaQuilpuéCosta
Valle de CasablancaCasablancaCosta
Valle de San AntonioValle de San AntonioCartagenaCosta
Lo AbarcaCosta
AlgarroboCosta
Valle de LeydaSan JuanCosta
Santo DomingoCosta
Región vitícola del Valle CentralValle del MaipoIsla de MaipoEntre Cordilleras
TalaganteEntre Cordilleras
MelipillaEntre Cordilleras
AlhuéEntre Cordilleras
María PintoEntre Cordilleras
ColinaEntre Cordilleras
Calera de TangoEntre Cordilleras
Til TilEntre Cordilleras
LampaEntre Cordilleras
SantiagoAndes
PirqueAndes
Puente AltoAndes
BuinAndes
Valle del RapelValle del CachapoalRancaguaEntre Cordilleras
PeumoEntre Cordilleras
ColtaucoEntre Cordilleras
RequínoaAndes
RengoAndes
MachalíAndes
Valle de ColchaguaParedonesCosta
PumanqueCosta
LituecheCosta
LololCosta
NancaguaEntre Cordilleras
Santa CruzEntre Cordilleras
ApaltaEntre Cordilleras
PalmillaEntre Cordilleras
PeralilloEntre Cordilleras
MarchigüeEntre Cordilleras
La EstrellaEntre Cordilleras
San FernandoAndes
Los LinguesAndes
ChimbarongoAndes
Valle de CuricóValle del TenoVichuquénCosta
LicanténCosta
RaucoEntre Cordilleras
RomeralAndes
Valle del LontuéSagrada FamiliaEntre Cordilleras
MolinaAndes
Valle del MauleValle del ClaroEmpedradoCosta
CureptoCosta
TalcaEntre Cordilleras
PencahueEntre Cordilleras
San RafaelEntre Cordilleras
San ClementeAndes
Valle del LoncomillaSan JavierEntre Cordilleras
Villa AlegreEntre Cordilleras
ParralEntre Cordilleras
LinaresEntre Cordilleras
LongavíEntre Cordilleras
RetiroEntre Cordilleras
ColbúnAndes
Valle del TutuvénCauquenesEntre Cordilleras
Región vitícola del SurValle del ItataPortezueloCosta
CoelemuCosta
ChillánEntre Cordilleras
QuillónEntre Cordilleras
Valle del BiobíoYumbelEntre Cordilleras
MulchénEntre Cordilleras
Valle del MallecoTraiguénEntre Cordilleras
Región vitícola AustralValle del CautínPerquenco
Galvarino
Valle de OsornoOsorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono

<Wikipedia Anexo:Regiones vitícolas de Chile より一部(新サブゾーン)加筆>


セントラル・ヴァレー>マウレ・ヴァレー>クラロ・ヴァレー>ペンカウエ、という関係です。チリで使われる3つの地理条件でいうと、「Entre Cordilleras」になることもわかりますね。

チリでは2011年に新しい原産地呼称表示の制度が導入されていまして、
 ・Costa(コスタ =海岸)
 ・Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ・Andes(アンデス =アンデス山脈)
の3つの地理条件をD.O.に付記できるようになっています。


ラベル平面化画像。
IMG_9789
裏ラベルに「Las Moradas」の畑の位置を示す地図がありますが…無意味(笑)。


さあ、抜栓。
IMG_0748

コルク平面化。
IMG_0755
コルク両端にもロゴや150周年の文字があります。ミレジム打ってほしいものですが。

Alc.14%。
濃いガーネット。
IMG_0751

黒ベリー、モカ、青みもあり、
カルメネール王道の香りが確認できます。
酸味イキイキ辛口アタック。
深み、厚み、ボリューム感、貫禄ありです。
安定の旨さでフルーティーさ失わず余韻へ〜。
いやいやこれは間違いなし。


*****

San Pedro
1865 Carmenère 2020
Selected Vineyards Las Moradas
D.O. Valle del M
aule
RRWポイント 94点


Viña Tinajas del Maule Del Sol Cabernet Sauvignon Reserva 2019

その昔コウシーニョ・マクルを訪問した時にいろいろとチリワインの秘密を教えてもらって以来、チリは自分のワインの「アナザースカイ」になっています。それ以降、結構いろんなチリワインを追っていますが、最近はあんまり目新しいものに出会わなくなっています。まだまだいろんな作り手がいると思うんですけどね~。なので、たまにお初の作り手を見つけるとこのように飛びついてしまうわけです。ビニャ・ティナハス・デル・マウレとな。ふむふむ。

IMG_9779
1918年頃よりメンドーサ・エンリケ家がマウレ・ヴァレーにワイナリーを営んでいました。1997年に、メナ・ウンドゥラーガ家(Mena Undurraga)が、そのワイナリーを取得し、ビニャ・ティナハス・デル・マウレを設立しました。80年もの樹齢の畑を活かし、最新の技術を導入して高品質のワインを生産しているとのこと。現オーナー兼醸造家はフアン・イグナシオ・メナ(Juan Ignacio Mena)さんで、裏ラベルに顔写真とメッセージがありました。

公式ページはそこそこいい感じです。ワイン情報もしっかりしています。

ところがラインナップを刷新したようで、今日のワインがまったく載っていません。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

現行ラインアップは変な名前がついているブレンドばかりになっています。カベソーのモノセパージュでレセルバっぽいのがあったのでそれを参考にしますが、それも名前は「Viejo Feo」といいます。「汚ねえジジイ」と言う意味です(笑)。手摘み収穫にはこだわってるようです。熟成は50%のみアメリカンオーク樽で6ヶ月と少々軽め。まあ、これが同じワインなら、ですが(笑)。

ビニャ・ティナハスを訪問しようと思いますが、ストビューが全然届いていません。
VinaTinajas01
ワイナリーの外観写真も見つからなかったのでHPのこんな写真でお茶を濁します。マウレ・ヴァレーのサブリージョン、ロンコミージャ川流域のロンコミージャ・ヴァレーになります。ビジャ・アレグレ(Villa Alegre)という町になるようです。

マウレ州を俯瞰して確認します。ビジャ・アレグレ、ビニャ・ティナハスを探してください。
Maule_Curico
マウレ州にはクリコー・ヴァレーとマウレ・ヴァレーがあります。南側がマウレです。


ラベル平面化画像。
IMG_9758
裏ラベルはインポーター(ネスコジャパン)貼り替えパターンですが、しっかり情報が載っていて好感が持てます。オーナーの顔写真とコメントがあるのがいいですね。


さあ、抜栓。
IMG_9782

コルク平面化。
IMG_9777

Alc.13.5%。
濃いガーネット。粘性の涙は色付き。
IMG_9778

黒ベリー、ダークチェリー。
ほどよく溶け込んだ樽香を感じます。
かすかな青み香。
辛口アタック。
濃い固まり感の味は奥深い感じ。
いく層にもベールに包まれているような構造感。
タンニン含め全体が織り成すバランスは、
絶好調のまま余裕の余韻へ続きます。

超あり寄りのあり。
この作り手のカルメネールが試したくなります。


*****

Viña Tinajas del Maule
Del Sol Cabernet Sauvignon Reserva 2019
D.O. Maule Val
ley
RRWポイント 94点


San Pedro Castillo de Molina Carmenère Gran Reserva 2020

サンペドロのちょっと上のシリーズ、カスティージョ・デ・モリーナ。これのカルメネールを過去から何回か試してるんですが、どれでもそこそこ美味しいサンペドロにあって、なんとなく毎回イマイチだった印象があります。記録によると過去2008年と2015年を試してますが、ずっとDOマウレ・ヴァレーだったのが今日の2020は、DOマレ・ヴァレーとDOラペル・ヴァレーのダブル表記になっています。久しぶりに試してみましょう。

IMG_9686
今さらサンペドロを語るのも何ですが、1865年クリコー・ヴァレーに創業、150年以上の歴史のある、またコンチャイトロと並ぶチリ有数のワイナリーです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの中核でもあります。創業の地がクリコー(Curicó)の町にも近いモリーナ(Molina)というところで、今日のワインの名前、カスティージョ・デ・モリーナ(Castillo de Molina=モリーナ城)の由来になっています。

公式ページはこれ。カスティージョ・デ・モリーナは「Premium Wines」になっています。

しかし、ワイン紹介は専用ページへのリンクになっています。

リンク先の Castillo de Molina の専用ページがこちらです。

昔はもう少し詳細情報があったんですが、セパージュ、樽熟成など書いていません。

・カルメネール 100%

たぶん…なんですが、2008年はカベソーが10%ブレンドしてあったと自分メモに記録しています。樽熟成もフレンチオーク樽(新樽率30%)で12ヶ月でした。現在はどうなんでしょうね?

で、今日の本題なんですが、このワインの DO(Denominación de Origen)は過去ずっとマウレ・ヴァレー(Valle del Maule)だったものが、この2020年はラペル・ヴァレー(Valle del Rapel)との併記になっています。歴史ある本拠地のカルメネールでは足りなくなってラペル・ヴァレーからもブドウを持ってきていることは想像がつきますが、こんな風にダブルネームでDOを列記するのってありなんでしょうか? この2ヶ所のDOは結構離れてますしね。

チリの農牧庁、SAG(Servicio Agrícola y Ganadero)の官報に目を通し、そんな規定はないよな~と思っていたんですが、再度しっかり読んだら…見つけました(笑)。やっぱりですが、規定がありました。

DECRETO N° 464
Artículo 3° Ter. Tratándose de mezcla y cuando la totalidad del vino sea de un mismo cepaje, las etiquetas de vinos con denominación de origen, podrán señalar hasta tres regiones o hasta tres Subregiones de las cuales provengan los componentes de la misma, en orden decreciente de importancia, de izquierda a derecha, y siempre que la participación menor que intervenga en la mezcla no sea inferior al 15%. Cuando se opte por utilizar el nombre de regiones, no se podrá emplear el nombre de subregiones.

「政令第464号 第3条の3:同じ品種(のブレンド)の場合、3地域まで多い順に左から右に並べて表記してよい。ただし最少の地域でも最低15%以上であること。」といった主旨です。ついでにですが、品種にしても15%以上なら3種まで多い順に列記できることもわかりました。


サンペドロはマウレ州クリコー・ヴァレーのモリーナに本拠地があります。
SanPedro01
カチャポアル・ヴァレーにもアルタイル(Altaïr)やカボ・デ・オルノス(Cabo de Hornos)などを作るプレミアムワイン専用ワイナリーを持っていますが、創業の地はこちらです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの本部にもなっているようです。


Google Mapでマウレ州を俯瞰して位置関係を確認。サンペドロも印してます。
Maule_Curico
サンペドロはマウレ州北側のクリコー・ヴァレーのエリアにありますが、今日のワインにある「D.O. Valle del Maule」というのはその南側のマウレ・ヴァレーになります。

今日のワインに併記されているラペル・ヴァレー(D.O. Valle del Rapel)ですが、マウレ州より北側のリベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)になります。州全体を俯瞰して見ましょう。
SanPedro_Rapel02
カチャポアル・ヴァレーコルチャグア・ヴァレーラペル・ヴァレーという関係ですが、ラペル・ヴァレーとなるとリベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州全体が対象になりますので、もう畑がどこだか見当もつきません。
色付き文字で示した町はカチャポアル・ヴァレーコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンになりますが、このあたりまで書いてくれないと場所の特定は難しいですね。(先ほどの条文には、リージョンとサブリージョンの併記はダメとなってました。「マウレ」と書いたら「ラペル」と、レベルを合わせないといけないようです。)
また、カチャポアル・ヴァレーはカチャポアル川(Río Cachapoal)、コルチャグア・ヴァレーはティンギリリカ川(Río Tinguiririca)のそれぞれの流域に広がっていることに注目ください。この2つの川は合流するとラペル川(Río Rapel)となり太平洋に注いでいます。なるほど~です。


ラベル平面化画像。
IMG_9682
一応、裏ラベルにはマウレ・ヴァレーやラペル・ヴァレーの位置関係がわかる簡単な地図がありますね。


さあ、抜栓。
IMG_9684
コルクは写真の図柄(x2)なので平面化はしません。

Alc.14%。
ガーネット。
IMG_9685

黒ベリー、ダークチェリー、モカ。
メトキシ(青菜)はないかな?
辛口アタック。
苦味をはらんだ酸も健在。
そこそこの複雑味と固まり感がありますね。
酸のおかげでフィニッシュまでスッキリ楽しめました。
バランスもなかなかではないでしょうか。
過去のカスティージョ・デ・モリーナよりすごく良くなってます。

DOダブルネームで品質が落ちたかなと思いましたが、
かえって上がってるようです(笑)。


*****

San Pedro
Castillo de Molina Carmenère Gran Reserva 2020
D.O. Valle del Maule 
- D.O. Valle del Rapel
RRWポイント 92点


Baettig Vino de Viñedos Los Compadres Cabernet Sauvignon 2021 D.O. Maule

チリ、エラスリスのチーフワインメーカーで世界的に高い評価をされるフランシスコ・ベティッグさんが自身のルーツの土地マジェコ・ヴァレーにて醸すピノ・ノワールを試してその完成度に驚いたのも束の間、今度はカベルネ・ソーヴィニヨンも出しているというのでお試しです。DOマウレになっていますからカベソーはマジェコ・ヴァレーからではなさそうです。

IMG_9388
ビニェド・チャドウィック(Viñedo Chadwick)やセーニャ(Seña)といったチリのスーパープレミアムワインを生み出しているビニャ・エラスリス(Viña Errázuriz)ですが、そのチーフワインメーカーのフランシスコ・ベティッグ(Francisco Baettig)さんが自身のルーツでもあるマジェコ・ヴァレー(Valle del Malleco)に帰り、ピノ・ノワールとシャルドネにこだわって2013年からワイン作りをしています。それがこのベティッグ。ところが、カベルネ・ソーヴィニヨンを新たにリリースしているといいますから、やっぱりカベソーもやりたかったんでしょうね。ピノ、シャルドネのこだわりはどうなった?(笑)

公式ページははスクロール式で少々見にくいです。ん?カベソーが載っていません。

こういうところはピノ・ノワール、シャルドネにこだわらなくてもいいんですけどね。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

ネット情報によれば、新樽率20%のフレンチオーク樽で10ヶ月の熟成。「Secano」と呼ばれる灌漑なしの乾燥した畑で栽培されるそうです。その畑はマウレ・ヴァレーの「Coronel de Maule 村」、「Los Despachos 村」、「Loncomilla 村」の村々の協力農家になるそうです。ワイン名にある「Vino de Viñedos Los Compadres」というのは「仲間のブドウ畑のワイン」という意味になります。「仲間」というか「マブダチ」に近いニュアンスですね(笑)。

「Coronel de Maule 村」、「Los Despachos 村」はGoogle Mapで見つかりました。
Loncomilla01
これらはマウレ・ヴァレー(Valle del Maule)のサブリージョン、ロンコミージャ・ヴァレー(Valle del Loncomilla)やトゥトゥベン・ヴァレー(Valle del Tutuvén)にあるようです。「Loncomilla 村」というのは見つからなかったのですが、サン・ハビエル・デ・ロンコミージャ(San Javier de Loncomilla)はじめロンコミージャ・ヴァレーのどこかだと思われます。

マウレ州全体を俯瞰して位置関係を確認。上の地図の範囲は白い四角で示しています。
Maule_Curico
今日のワインがDOマウレ(マウレ・ヴァレー)になるのはわかりますね。マウレ州にはクリコー・ヴァレーも北側にあります。それぞれの産地は川と密接な関係がありそうですね。ここら辺から首都サンティアゴの周辺マイポ・ヴァレーまでの広大な地域がセントラル・ヴァレー(Valle Central)になります。

セントラル・ヴァレー(Valle Central)全体像はこの地図がわかりやすいです。
Region_Viticola_del_Valle_C

いつものチリのワイン産地(DO)の一覧表(サブゾーン含む)で確認しておきましょう。
RegiónSubregiónZonaÁreaTérmino complementario
Región vitícola de AtacamaValle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de CoquimboValle del ElquiLa Serena
Vicuña
Paiguano
Costa
Andes
Andes
Valle del LimaríOvalle
Punitaqui
Monte Patria
Río Hurtado
Costa
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Valle del ChoapaSalamanca
Illapel
Andes
Andes
Región vitícola de AconcaguaValle del AconcaguaZapallar
Quillota
Hijuelas
Panquehue
Catemu
Llay-Llay
San Felipe
Santa María
Calle Larga
San Esteban
Costa
Costa
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Andes
Valle de CasablancaCasablancaCosta
Valle de San AntonioCartagena
Algarrobo
Costa
Costa
Valle de LeydaSan Juan
Santo Domingo
Costa
Costa
Valle del Marga-MargaQuilpuéCosta
Región vitícola del Valle CentralValle del MaipoIsla de Maipo
Talagante
Melipilla
Alhué
María Pinto
Colina
Calera de Tango
Til Til
Lampa
Santiago
Pirque
Puente Alto
Buin
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Andes
Andes
Valle del RapelValle del CachapoalRancagua
Peumo
Coltauco
Requínoa
Rengo
Machalí
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Andes
Valle de ColchaguaParedones
Pumanque
Litueche
Lolol
Nancagua
Santa Cruz
Palmilla
Peralillo
Marchigüe
La Estrella
San Fernando
Chimbarongo
Costa
Costa
Costa
Costa
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Andes
Valle de CuricóValle del TenoVichuquén
Rauco
Romeral
Costa
Entre Cordilleras
Andes
Valle del LontuéSagrada Familia
Molina
Entre Cordilleras
Andes
Valle del MauleValle del ClaroEmpedrado
Curepto
Talca
Pencahue
San Rafael
San Clemente
Costa
Costa
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Valle del LoncomillaSan Javier
Villa Alegre
Parral
Linares
Longaví
Retiro
Colbún
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Andes
Valle del TutuvénCauquenesEntre Cordilleras
Región vitícola del SurValle del ItataPortezuelo
Coelemu
Chillán
Quillón
Costa
Costa
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Valle del BiobíoYumbel
Mulchén
Entre Cordilleras
Entre Cordilleras
Valle del MallecoTraiguénEntre Cordilleras
Región vitícola AustralValle del CautínPerquenco
Galvarino
Valle de OsornoOsorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono


































<Wikipedia Anexo:Regiones vitícolas de Chile より>


ラベル平面化画像。
IMG_9363
樹齢30年超なんてちらっと書いています。


さあ、抜栓。
IMG_9384

コルク平面化。
IMG_9385
D.O. Mauleなんですが…。(笑)コルクは使いまわしですね。

Alc.13.5%。
濃いガーネットに若干の赤味あり。
IMG_9386

黒ベリー、スパイス。
上等ボルドーのように生っと樽香があります。
若干酸を感じる辛口アタック。
コク、重み充分ある深い味わい。
冷涼な気候を感じますね。
最初の酸は続くんですが、
バランスは絶妙なまま、
ゆっくりとフィニッシュに向かいます。

さすがエラスリスのワインメーカー、カベソーもいいですね。
こうなるとこの方の醸すカルメネールを飲んでみたいものです。


*****

Bættig
Vino de Viñedos Los Compadres
Cabernet Sauvignon 2021
D.O. Ma
ule
RRWポイント 93点


Viña Aromo Reserva Privada Carménère 2019

去る11月24日は「国際カルメネールの日」だったのでガンマというブランドのカルメネールの記事を書きました。当日の朝に飲んだわけではないので(笑)、これはその数日前に飲んだものでした。実際のカルメネールの日当日は、今日の記事のこのビニャ・アロモのカルメネールをいただいてました。実は3年前にもアロモのワインは試してるんですが今ひとつパッとしなかった印象です。さて今日のカルメネールはどうでしょうか?

IMG_9294
ビニャ・アロモは1922年にフランスの Estansan & Co という会社がマウレ・ヴァレーのポテンシャルに目をつけワイナリーを設立したのが始まりです。1936年に Don Víctor Henríquez Solar さんが自身が先祖から受けついだマウレ・ヴァレーの畑を Estansan & Co のワイナリーと合わせることで更にいいワインを作れると思い立つと、ビニャ・アロモを Estansan & Co から取得します。以降、家族経営にて次世代・次々世代に受け継がれ、規模も拡大、世界市場へも進出します。現在320ヘクタールの畑(自社畑・契約農家含む)から1,200 万リットル以上の生産をし、そのうち3分の1以上を世界に輸出しているそうです。

公式ページは今風で内容も豊富。

ワイン紹介もデータシートで詳細が載っています。

・カルメネール 100%

手摘み収穫。MLFは樽内で起こします。熟成は総量の60%を樽(フレンチオーク:70%、アメリカンオーク:30%)で6ヶ月間です。軽め、ですね。

今日のカルメネールはアクサンテギュ・アクサングラーヴ付きの「Carménère」表記ですね。日本カルメネール振興協会はこの表記を推奨しています(笑)。<詳しくは過去記事
Errazuriz02
ついでにカルメネールの品種についてのエトセトラをまとめた過去記事のリンクも置いておきます。<過去記事

マウレ・ヴァレーのビニャ・アロモ(Viña Aromo)を訪問します。
Aromo01
生産拠点はタルカ(Talca)の町の南、車で30分のところにあります。すぐ近くをロンコミージャ川(Río Loncomilla)が流れているマウレ・ヴァレーのサブリージョン、ロンコミージャ・ヴァレーになりますね。タルカの町の中にも流通拠点を持っているようです(右下にインポーズした地図ご参照)。

いつものマウレ州の地図で位置関係を把握しておきましょう。
Maule_Curico
サンティアゴのある首都州(Región Metropolitana)、リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)、マウレ州(Región del Maule)までがセントラル・ヴァレー(Región del Valle Central)になります。マウレ州は北側がクリコー・ヴァレー(Valle de Curicó)、南側がマウレ・ヴァレー(Valle del Maule)です。今日のカルメネールは D.O. Valle del Maule です。(D.O.=Denominación de Origen)

<セントラル・ヴァレー(Central Valley)>
・首都州(Región Metropolitana)=Maipo Valley
・リベルタドール・ヘネラル・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O'Higgins)=Rapel VallyCachapoal Valley + Colchagua Valley
・マウレ州(Región del Maule)=Curicó Valley + Maule Valley


ラベル平面化画像。
IMG_9204


さあ、抜栓。
IMG_9293

コルク平面化。
IMG_9290
コルクは超汎用品ですね。

Alc.14%。
ガーネット。
IMG_9291

黒ベリー、モカ・コーヒーがスモーキーに香ります。
カルメネールの特徴ですね。
野菜・青み香はないかと思ったら少しゼラニウムがありました。
辛口アタック。
コク、深み、貫禄あります。
程よい果実味も相まってグッドバランスです。
フィニッシュまで崩れることなく楽しませてくれました。

前飲んだのはカベソーブレンドでした。
このカルメネールはハイレベルですよ。


*****

Viña Aromo
Reserva Privada Carménère 2019
D.O. Valle del Maule
RRWポイント 97点


Clos des Fous PMG Cabernet Sauvignon 2018

スーパーで見つけた「クロ・デ・フ」のベーシックライン。PMGとは「Pour Ma Gueule(プール・マ・ギュール)」の頭文字で、フランス語で「私のために」の意。醸造家がプライベート用に造る特別なワインを指す言葉のようです。以前から普及ラインはこの名前で出してましたので、その系譜なのかと思われます。「チリのテロワール・ワイン」を標榜するプロジェクトですが、こういうお手頃なのも出さないと商売になりませんからね。とにかくお試しと行きましょう。

IMG_8632
チリのワインスペシャリスト達4人が2009年に立ち上げたクロ・デ・フというプロジェクトについて。クロ・デ・フ(Clos des Fous)とは「クレージーなやつらの畑」的な意味のフランス語ですが、プロジェクトメンバー自らを「アホなオッサン」呼ばわりしている感じですね(笑)。その4人のアホなオッサンというのが、コンチャイトロで7年以上取締役を務めてきたというアルバート・クッセン(Albert Cussen)さん、ブルゴーニュで経験を積んだ醸造家フランソワ・マソック(Francois Massoc)さん、チリのインディー・ジョーンズと異名を取るペドロ・パラさん(Pedro Parraさんについては以前の記事も参照)、そしてオーナー醸造家のパコ・レイトン(Paco Leyton)さんになります。最後のパコ・レイトンさんというのがマジェコ・ヴァレーでのピノ・ノワール栽培のパイオニアなんだそうで、「クロ・デ・フのメンバーがやりたくない仕事をすべてやっている」と自ら語っておられるように物流までの実質の運営はこの方がやってるんではないかと想像します。

一応、みなさんのご尊顔を上げておきましょう。
4ninn7


公式ページはアップデートがなされてないようで、2011年以降の情報がありません。

仕方ないのでインポーター(Mottox)の情報を頼ります。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

しかし…情報ほぼゼロ。ラベルからは産地がカウケネスCauquenes)というのがわかります。これはマウレ州にあるトゥトゥベン・ヴァレーにあたるところで、ネットでよくよく調べると、クロ・デ・フが出しているカウケニーナというブレンドワインが同じくカウケネスの畑からでした。
名称未設定-11
ただし、これはカリニャン、パイス、シラー、マルベックなどのマルチブレンドで、今日のカベソーのワインに置き換わったわけではなさそうです。しかしこのワイン、パーカーおじさんが常に92~93点をつけてるんですよね。試してみたいです。

さて、恒例の作り手訪問といきたいところですが、クロ・デ・フはプロジェクトで始まったもので、ワインもチリ各地のブドウを使っており本拠地とかワイナリー所在が不明なんですよね。一応、MDA Wines S.A. (Clos Des Fous) という名前の法人にはなってるんですが、登録上の所在は首都サンティアゴで、こちらは訪問してもただのオフィスです。
Clos_des_Fous00
結局訪問してしまいましたが…(笑) まあ、きれいなオフィスビルです。

4人の「アホなオッサン」の集合写真です。どこのセラーで撮ったんでしょうね。
Clos_des_Fous01
気を取り直して、カウケネス(Cauquenes)という産地を見ておきましょう。

いつものマウレ州の俯瞰地図。北側がクリコー・ヴァレー、南側がマウレ・ヴァレーになります。
Maule_Curico
マウレ・ヴァレーに3つのサブリージョン(Claro、Loncomilla、Tutuvén)があり、その一番南がトゥトゥベン・ヴァレー(Valle del Tutuvén)になります。トゥトゥベン・ヴァレーには(単独でDOを名乗れる)エリアがカウケネス(Cauquenes)ひとつしかありません。

チリの DO(Denominación de Origen)一覧表。北から順に並びチリ国土のように長い(笑)。
Región Subregión Zona Área Término complementario
Región vitícola de Atacama Valle de Copiapó
Valle del Huasco
Región vitícola de Coquimbo Valle del Elqui La Serena Costa
Vicuña Andes
Paiguano Andes
Valle del Limarí Ovalle Costa
Punitaqui Entre Cordilleras
Monte Patria Andes
Río Hurtado Andes
Valle del Choapa Salamanca Andes
Illapel Andes
Región vitícola de Aconcagua Valle del Aconcagua Zapallar Costa
Quillota Costa
Hijuelas Entre Cordilleras
Panquehue Entre Cordilleras
Catemu Entre Cordilleras
Llay-Llay Entre Cordilleras
San Felipe Entre Cordilleras
Santa María Andes
Calle Larga Andes
San Esteban Andes
Valle del Marga-Marga Quilpué Costa
Valle de Casablanca Casablanca Costa
Valle de San Antonio Valle de San Antonio Cartagena Costa
Lo Abarca Costa
Algarrobo Costa
Valle de Leyda San Juan Costa
Santo Domingo Costa
Región vitícola del Valle Central Valle del Maipo Isla de Maipo Entre Cordilleras
Talagante Entre Cordilleras
Melipilla Entre Cordilleras
Alhué Entre Cordilleras
María Pinto Entre Cordilleras
Colina Entre Cordilleras
Calera de Tango Entre Cordilleras
Til Til Entre Cordilleras
Lampa Entre Cordilleras
Santiago Andes
Pirque Andes
Puente Alto Andes
Buin Andes
Valle del Rapel Valle del Cachapoal Rancagua Entre Cordilleras
Peumo Entre Cordilleras
Coltauco Entre Cordilleras
Requínoa Andes
Rengo Andes
Machalí Andes
Valle de Colchagua Paredones Costa
Pumanque Costa
Litueche Costa
Lolol Costa
Nancagua Entre Cordilleras
Santa Cruz Entre Cordilleras
Apalta Entre Cordilleras
Palmilla Entre Cordilleras
Peralillo Entre Cordilleras
Marchigüe Entre Cordilleras
La Estrella Entre Cordilleras
San Fernando Andes
Los Lingues Andes
Chimbarongo Andes
Valle de Curicó Valle del Teno Vichuquén Costa
Licantén Costa
Rauco Entre Cordilleras
Romeral Andes
Valle del Lontué Sagrada Familia Entre Cordilleras
Molina Andes
Valle del Maule Valle del Claro Empedrado Costa
Curepto Costa
Talca Entre Cordilleras
Pencahue Entre Cordilleras
San Rafael Entre Cordilleras
San Clemente Andes
Valle del Loncomilla San Javier Entre Cordilleras
Villa Alegre Entre Cordilleras
Parral Entre Cordilleras
Linares Entre Cordilleras
Longaví Entre Cordilleras
Retiro Entre Cordilleras
Colbún Andes
Valle del Tutuvén Cauquenes Entre Cordilleras
Región vitícola del Sur Valle del Itata Portezuelo Costa
Coelemu Costa
Chillán Entre Cordilleras
Quillón Entre Cordilleras
Valle del Biobío Yumbel Entre Cordilleras
Mulchén Entre Cordilleras
Valle del Malleco Traiguén Entre Cordilleras
Región vitícola Austral Valle del Cautín Perquenco
Galvarino
Valle de Osorno Osorno
San Pablo
Purranque
La Unión
Futrono
※それぞれの名称からWikipediaのページにリンクが張ってあります。スペイン語ですが(笑)。

表中に印はしていませんので、「Valle del Maule」、「Valle del Tutuvén」、「Cauquenes」と探してください。カウケネスは「Entre Cordilleras」となっていますね。
Entre-Cordilleras、Andes、Costa 等は DOに付記できる以下の3つの地理的条件の区別です。

 ・Costa(コスタ =海岸)
 ・Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ・Andes(アンデス =アンデス山脈)


ラベル平面化画像。
IMG_8622


さあ、抜栓。
IMG_8629
キャップシールやコルクはクロ・デ・フ専用品です。

コルク平面化。
IMG_8630

Alc.14.5%。
ガーネット。
IMG_8631

黒ベリー、スパイス、かすかに還元臭かな?
辛口アタック。樽はなさそうですね。
穏やかな酸は全体を盛り立ててくれます。
収斂性のあるタンニンも最初から仕事をしています。
コクはあるんですが、これら酸とタンニンを受け止める味わいは少々弱め薄めの印象。
お陰で余韻前にタンニンがもうひと暴れする気がします。

軽さは否めず、バランスとしても褒められた感じはしませんが、
カベソーの王道を求めなければ、これはこれでアリではないかと。
カウケネスのテロワール、ということにしておきましょう(笑)。


*****


MDA Wines S.A.
Clos des Fous
PMG Pour Ma Guele
Cabernet Sauvignon 2018
Cauquenes
RRWポイント 90点


Viña Buchon País Viejo 2021 Secano Interior Maule

パイス・ビエホ(古いパイス)なんて名前のチリワインを発見。パイス(País)の古樹100%なんだそうで。パイスと言えば国際品種がチリ他南米へ持ち込まれる遥か前、植民地支配していたスペイン人がもたらしたものですから、チリの始まりのブドウとも言えます。最近、パイスを使ったチリワインをちょこちょこ見かけます。こだわりの作り手がいるんですね~。

IMG_8151
作り手はブション・ファミリー・ワインズ。(正式には、Viña J.Bouchon のようですが。)1887年、フランス人のエミリオ・ブションさんがボルドー近郊の町からチリに入植します。醸造コンサルタントとして働きながらコルチャグア・ヴァレーに念願のブドウ畑を手に入れます。これが始まりですが、孫の代のフリオ・ブション(Julio Buchon)さんは、ボルドーでワイン醸造学を学んだ後チリに戻ると、1977年にマウレ・ヴァレーに新しい畑を手に入れワイナリーを設立します。これが「J. Bouchon」というわけで、現在ブション・ファミリー・ワインズとしてフリオさんの子供たち三兄弟とともに、チリワインの原点とも呼べるパイスに光を当てるなど新しいチャレンジをし続けているとのことです。

公式ページは情報満載で、なかなかいい作り手だと期待させます。

ラインアップされるブランド名はどれも今風な感じです。今日のワインはデータシート完備。

・パイス 100%

ワイナリーに隣接する自社畑で栽培されるこのパイスは樹齢100年以上だそうで。手摘み収穫、天然酵母を使いコンクリートタンクで発酵させます。樽はないようです。

さあ、パイス(País)です。スペイン原産らしいですが古い品種過ぎて親はすでに絶滅していると考えられます。発音は「i」にアクセントなので「パイース」と読んでください。
Pais
各国でいろんな名前で呼ばれていますが、発祥の地のスペインではリスタン・プリエト(Listán Prieto)と呼ばれていました。スペインが新大陸を植民地にすると、布教と共にワイン生産が持ち込まれます。1540年頃、メキシコにスペインのフランシスコ会修道士が持ち込んだのが最初とされています。ついた名前が「ミシオン(Misión)」、まさに「布教、伝道」という意味です。その後、スペインの入植者によってペルー、チリ、アルゼンチンに次々と導入されました。チリではパイス(País)と呼ばれます。パイスは「国」という意味です。スペインの入植者は「おらが国」という意味で名付けたんでしょうかね。近年、国際品種が隆盛を極めるまでは南米では最も重要なブドウ品種でした。一方、発祥の地スペインでは19世紀にフィロキセラによってほとんど一掃されてしまったということで(カナリア諸島には残ってるようですが)、現在はアメリカ大陸が最大の生産地で、チリが圧倒的に多いです。(総栽培面積:10,267haの内、チリ:9,693ha。@2016年)95%がチリですから、これはもうカルメネールと並ぶチリの代表品種と言ってもいいでしょう。
アルゼンチンではクリオージャ・チカ(Criolla Chica)と呼ばれ、アルゼンチン名産のトロンテス(Torrontés)の親になっています(Criolla Chica x Muscat of Alexandria)。トロンテスの親が黒ブドウというのも興味深いです。

マウレ・ヴァレーにある作り手を訪問します。残念、ストビューは到達してません。
Bouchon01
なかなかの施設で、農園スタイルのブティックホテルが併設されています。

このワイナリーの周囲が「Mingre」という自社畑です。
Bouchon02
その他、マウレ川の近くの「Batuco」と「Santa Rosa」という2ヶ所にも畑を持っています。

今日のワインは、DOマウレ(Maule)ですが、 Secano Interior - Maule という表示になっています。「Secano Interior」とは「内陸の乾いた土地」という意味で、クリコー、マウレ、イタタ、ビオビオ・ヴァレーの非灌漑地域で栽培したパイスとサンソーに適用される特別な D.O.呼称です。パイス(País)やサンソー(Cinsault)を灌漑などを行わず天然の雨水のみで栽培することが条件となっています。これは、かつてこれら品種がバルクワイン用で品質が劣るとみなされ、マウレやイタタといったDOが与えられなかったことから(救済措置として?)設定されたDOになります。前にDO セカノ・インテリオール・イタタも試しています。

マウレ州を俯瞰して位置関係を確認しておきましょう。
Maule_Curico
ブション・ファミリー・ワインズの場所見つかりましたでしょうか。ミングレという自社畑、マウレ・ヴァレーですが、海岸から45km、標高は193mだそうです。チリワインの地理的条件区分で言うと Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)に当たるエリアです。

さらに広域となるセントラル・ヴァレーの地図でそのあたりを確認します。
Region_Viticola_del_Valle_C
ブション・ファミリー・ワインズの場所が「Entre Cordilleras」なのがわかりましたでしょうか。

おさらいですが、下記がDOに付記できる3つの地理的条件の区別です。

 ・Costa(コスタ =海岸)
 ・Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ・Andes(アンデス =アンデス山脈)


ラベル平面化画像。
IMG_7920
その昔、パイスは仕立てもなしに自由に伸ばして栽培されていたので、収穫はハシゴに乗って大変だったと思います。たぶんその様子をイラストにしてるんじゃないかと。インポーターはワイン・イン・スタイル株式会社ですが、2022年3月に株式会社nakatoのワイン営業部と経営統合し「WINE TO STYLE株式会社」となってるそうです。


さあ、抜栓。
IMG_8147
HPの写真ではスクリューキャップなんですが、これは蝋封(ワックスキャップ)でした。

コルク平面化。
IMG_8149
DIAM2です。データシートには「早飲み推奨だが、3年は品質を保持」とありました。

Alc.12.5%。
赤味のある濃いめのルビー。
IMG_8150

黒ベリー、チェリー、ローズ。
茎っぽさあり?
辛口アタック。
鈍いんですがじんわりくる酸はあります。
透明感ある味わいながら芯はしっかりある印象。
喉越しあたりまで酸味は何かの仕事をしているゾ。
キラキラ装飾してくれてるって感じでしょうか。
とにかくいろんな要素が発見できて楽しめます。

いやあ、贔屓目なしに「おいしい」と言えます。
パイスの可能性を存分に感じました。


*****

Buchon Family Wines
(Viña Bouchon)
País Viejo 2021
Secano Interior Maule
RRWポイント 92点


San Pedro 1865 Carmenère 2019 Selected Vineyards D.O. Valle del Maule

やまやにサンペドロの1865カルメネールが定期的に入るようになって助かります。間違いないカルメネールが近所で買えるわけですから。やまやはカルメンも置いてますから偉いですよね。さて、今日は1865カルメネールの2019です。過去、20162017と飲んでいますから定点観測のようになってきました。

IMG_7943
今さらサンペドロを語るのも何ですが、1865年クリコー・ヴァレーに創業、150年以上の歴史のある、またコンチャイトロと並ぶチリ有数のワイナリーです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの中核でもあります。「1865」というワイン名は創業年なわけですね。

公式ページはまたちょっとリニューアルしたようですね。

なんとなく簡素化して情報量が減ったような気がします。ワイン紹介で1865を選ぶと、専用サイトに飛びますが、やはりそっちも簡素。

・カルメネール 100%

以前は樽熟の記述もあったはずなんですが、見当たりません。
以前は、95%仏樽、5%米樽で12ヶ月間。新樽率は50%となっていました。

こちらが1865シリーズ専用サイトです。

カッコいいんですが内容は薄し。日本に入ってきてないモデルが多いことに愕然としますし。


サンペドロはマウレ州クリコー・ヴァレーのモリーナに本拠地があります。
SanPedro01
カチャポアル・ヴァレーにもアルタイル(Altaïr)やカボ・デ・オルノス(Cabo de Hornos)などを作るプレミアムワイン専用ワイナリーを持っていますが、創業の地はこちらです。タラパカ、サンタ・エレナなどと組むVSPTワイングループの本部にもなっているようです。

このモリーナにあるサンペドロの本拠地、カルメネール100%の最上級ワインを作っています。その名も「TIERRAS MORADAS」。スペイン語で「紫の大地」という意味です。
SanPedro_Rapel03
日本カルメネール振興協会としては是非試してみたいのですが、日本に入ってきてないんですよね。同じくカルメネールの最高峰であるコンチャイトロのカルミン・デ・ペウモや、エラスリスの KAI なんかは入ってきてるんですけどね。どこかのインポーターさん、是非よろしく。

Google Mapでマウレ州を俯瞰して位置関係を確認。サンペドロも印してます。
Maule_Curico
サンペドロはマウレ州北側のクリコー・ヴァレーのエリアにありますが、今日のワインは「D.O. Valle del Maule」なので州の南側のマウレ・ヴァレーからです。


ラベル平面化画像。
IMG_7903
裏ラベルはコルドンヴェールの貼り替え版です。気合入ってますね。


さあ、抜栓。
IMG_7936
キャップシールのエンボスの「1865」、カッコいいです。

コルク平面化。
IMG_7937
シンプルながら横に創立年やら創立150周年やらいろいろ書いてます。ここにはミレジムを打ちましょう(笑)。

Alc.14.5%。
ガーネット。
IMG_7941

黒ベリー、モカ、香ばしい樽香。
カルメネール感バリバリに漂います。
酸味若干乗った辛口アタック。
程良い厚みのある味わいながら、
コテっとモカ感が続きますね。
重すぎず、いい具合に軽い。
少し最初の酸が残るのが若干マイナスですが、
余韻は貫禄の伸びです。
やはり1865カルメネール、安定のうまさ。


*****

San Pedro
1865 Carmenère 2019
Selected Vineyards
D.O. Valle del Maule
RRWポイント 92点


Viña La Ronciere Moussai Carménère 2016 Curicó Valley

本日は日本カルメネール振興協会の活動日です(笑)。まだ未試飲の作り手、ビニャ・ラ・ロンシエール(Viña La Ronciere)のカルメネールをお試しです。ワインのDOはクリコー・ヴァレーとなってますね。裏ラベルで作り手の所在を見るとグラネロス。これはカチャポアル・ヴァレーの町です。う~ん、何やらいろいろありそうです。調べ甲斐がありそうですよ。

IMG_7333
1949年にドン・フェルナンド・オルエタ・ルイス・デ・エギラスが始めたワイナリーとしかわかりませんでした。しかし、70年以上続く老舗ですね。知らなかったな~。

公式ページは普通によくできてます。下のバナーはショップのリンクです。

今日のムサイというシリーズは真ん中ぐらいのラインですかね。

・カルメネール 100%

手摘み収穫で厳しい選果をするそうです。総量の50%だけアメリカンとフレンチオークの混成の樽で、残り50%はステンレスタンクで、12ヶ月の熟成だそうです。しかしHPの説明では「DO Colchagua Valley」となっているんですよね。今日のワインのラベルにははっきりと「Curicó Valley」となってるんですが…。

とにかく、まずはワイナリーを訪問。カチャポアル・ヴァレーにあります。
LaRociere01
グラネロス(Graneros)という、サンティアゴからランカグアに南下する道すがらにある町です。

リベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)の地図でビニャ・ラ・ロンシエールの所在を確認。
Libertador_O'Hinggis_Rio
今日のワインのクリコー・ヴァレーはさらに南、マウレ州に入ったところにありますから、かなり離れたところにも畑を持てるってことになります。ネットで調べると、中南米の農業関連サイトに「ラ・ロンシエールが2012年からクリコー・ヴァレーに進出した」という記事を見つけました。マタキト川(Río Mataquito)沿いの海に近いリカンテン(Licantén)というところのポテンシャルを見出し畑を開いたとあります。おそらく2016年当時はクリコー・ヴァレーに当たるこの畑のカルメネールから今日のワイン、ムサイを作っていたんでしょうね。その後、本拠地に近いコルチャグアに移したんじゃないかと思われます。

よくよく調べると、以前DOアパルタを調べた時に、同時にDO承認された4ヶ所のひとつにDOリカンテンがあったのに気づきました。なんと、ラ・ロンシエールが開いたリカンテンの畑は、6年後の2018年にクリコー・ヴァレーのサブリージョンとして単独のDOに昇格していました。チリの官報で確認できますが、同時にDO化した4つのDOを以下に列記します。

Licantén DO(リカンテン):Teno Valley(Curicó Valley)/ Costa
Apalta DO(アパルタ):Colchagua Valley / Entre-Cordilleras
Los Lingues DO(ロス・リンゲス):Colchagua Valley / Andes
Lo Abarca DO(ロ・アバルカ):San Antonio Valley(Aconcagua Valley)/ Costa

「Los Lingues」は以前コイレ(Viña Koyle)で試してますね。当時まだDOコルチャグア・ヴァレーの表示でした。「Costa」等は、DOに付記できる以下の3つの地理的条件の区別です。

 ・Costa(コスタ =海岸)
 ・Entre Cordilleras(エントレ・コルディジェラス =山脈の間の平地部分)
 ・Andes(アンデス =アンデス山脈)

マウレ州の地図でDOリカンテンの場所を確認しましょう。
Maule_Curico
DOリカンテンは一応、クリコー・ヴァレーのサブゾーン、テノ・ヴァレー(Valle del Teno)の一部になるようです。

さらにネット上で調べを進めると畑の場所を突き止めてしまいました。(下地図の白丸印)
LaRociere02
DOリカンテンの作り手は現在ラ・ロンシエールのみです。つまり、モノポール(笑)。「Fundo Idahue」という名前がつけられています。

よっぽど自慢の畑なんでしょう。ラ・ロンシエールはこの畑の紹介動画も作っています。

これだけ宣伝されると、DOリカンテンのワインがもっと飲みたくなりますね。

チリの官報からスクショした最新のDOリストを貼っておきます。
Chile_DOs2
あまり質が良くない(笑)。いずれきれいに打ち直さないといけませんね。


ラベル平面化画像。
IMG_7278


さあ、抜栓。
IMG_7329

コルク平面化。
IMG_7330

Alc.13.5%。
しっかり褐変のガーネット、粘性のハッキリ涙。
IMG_7331

黒ベリー、スギ、リコリス。
黒糖感も少しあり。
カルメネールらしい個性を感じます。
辛口アタック。
熟成ボルドーのような貫禄です。
圧倒的な構造感のその中に、密に詰まったシルキーな口当たりの液体。
スパイシーさも際立ちます。
クールさも加わりながら、奥深い味わいが長く続きます。

DOリカンテンの素性の良さでしょうか。
かなりいいレベルのカルメネールに仕上がっています。


*****

Viña La Ronciere
Moussai Carménère 2016
Curicó Valley
RRWポイント 94点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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