Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Mendoza

Chakana Cueva de las Manos Malbec 2021 Mendoza

アルゼンチンのマルベック。カルディのワインくじのハズレです(笑)。まあ、こういう敗戦処理は往々にして起こっているわけです。あわよくばお手頃価格でお高いワインがゲットしたいと欲があったのは勿論ですが、自分では選ばないワインとの巡り合わせというのももう一つの楽しみということになっています。…と、強がりを言ってみる。

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チャカナは2002年にペリツァッティ家(Pelizzatti)がメンドーサのルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)で立ち上げたまだ新しいワイナリー。どんどん畑も買い増し国際市場にも打って出たりしながら名声を得ていったようです。2012年にはビオディナミの専門家を招いてオーガニック・ワインに転換を図ります。オーガニックの認証も取りつつ、2016年には「Finca Nuna」がデメター(Demeter)の認証を取ったとのこと。今日のワインはヴィーガン認証(Vegan Society)が付いてますね。2019年には創業のペリツァッティ家は経営から退いたとのこと。ワイン業界あるあるですが何があったんでしょうね。

カルディの「サマーチャンスボックス」のチラシを貼っておきます。
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なかなか末席のワインが当たるのは個人的には珍しいです(笑)。

公式ページは今どきのいい感じで情報も豊富。でも今日のワインは載ってなさそうです。

公式ショップにはありました。この2021はVINOUSで90点と評価も悪くないです。

・マルベック 100%

カルディのチラシには「ステンレスタンク」と書いていますが、本家の説明では2年落ちのフレンチオーク樽で8ヶ月の熟成とあります。カルディさんハズレだからといってテキトーなこと書かないでくださいね(笑)。

ワイン名が「Cueva de las Manos」で、ラベルに手の不思議なイラストがありますが、これはアルゼンチンのパタゴニア地方にある「ラス・マノス洞窟」の壁画から着想を得ているそうです。
Cueva-de-las-Manos
「Cueva de las manos」は「(たくさんの)手の洞窟」の意味になります。ユネスコの世界文化遺産に指定されています。


さて、ワイナリー訪問。チャカナは Luján de Cuyo の Agrelo という所にあります。
Chakana01
ストビューでは近づけなかったので外観写真はネットから拝借。確かに新しくてきれいな建物です。

メンドーサ中心部のGoogle Mapで位置関係を確認しましょう。アンデス山脈をまたいだ向こう側のチリの産地もしっかり書き込んであるので2国の同緯度の産地が確認できます。
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チャカナの場所も書き込んでいます。ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCのエリアに属します。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOC(Denominación de Origen Controlado)と言われるものはルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCとサン・ラファエル(San Rafael)DOCの2つだけだそうです。メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)の名前が有名ですが、これらは IG(Indicación Geográfica)であり、DOCとは言わないんですよね。

そのルハン・デ・クージョのエリアも今一つはっきりわからないので困ります。
Lujan-de-Cuyo
これはルハン・デ・クージョ県(Municipalidad de Luján de Cuyo)の地図で(「県」は「Municipalidad」というようです。)、黄色の線で囲った部分がルハン・デ・クージョ県(Municipalidad de Luján de Cuyo)になり、かなり山側にも張り出しているのがわかります。県都は同じくルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)といいメンドーサのすぐ南側に位置します。


ラベル平面化画像。
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イラストの手は「ラス・マノス洞窟(Cueva de las Manos)」の壁画をモチーフにしているのは前述の通り。裏ラベルにはヴィーガン認証が示してありますね。
Vegan_Society
これはUKにあるヴィーガン認証機関「The Vegan Society」のものです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。ノマコルクっぽいです。
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Este no es un vino convencional!「これはありきたりなワインではない!」とスペイン語で書いてあります。言葉の意味はわからんが、とにかくすごい自信だ!(笑)

Alc.13.5%。
少し赤味の濃いガーネット。粘性の涙あり。
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黒ベリー、チェリー、酸の香り。
辛口アタック。
香りほどの酸ではないですね。
スモーキーなチョコっぽい風味もあります。
なかなか立体感のある味ですよ。
バランスも悪くない。
余韻は少々愛想がないですが。


*****

Chakana Wines
Cueva de las Manos
Malbec 2021
Mendoza
RRWポイント 88点


Domaine Bousquet Cabernet Sauvignon 2019 Tupungato Uco Valley Mendoza

「肉にはアルゼンチンでしょ。」と常備しておきたいアルゼンチンワインですが、いつもマルベックになってしまうので今回はカベルネ・ソーヴィニヨンにしてみました。アルゼンチンではやはり圧倒的にマルベックが多いんですが、カベソーは2位かと思うと3位でした。2位は「ボナルダ(Bonarda)」と呼ばれる品種。これはちょっとついでに調べておきましょうかね(笑)。

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作り手ドメーヌ・ブースケのブースケ家は、南フランスのカルカッソンヌ出身の4世代に渡ってワイン作りをしている家系だそうです。1990年にアルゼンチンのメンドーサに行き着き、ブースケ家の伝統を継続するのに最適な場所を見つけたと確信したそうです。1997年にはウコ・ヴァレーのトゥプンガトに110haの畑を取得、ドメーヌ・ブースケを立ち上げ定住をします。アルゼンチンにおける外国からの移住者によるワイナリーの先駆けだそうです。現在は「オーガニック」に特に力を入れ、その筋ではトップ生産者ということらしいです。

公式ページは最新っぽい作り。なかなか情報も豊富でいい感じです。

今日のカベソーは「Premium」というシリーズですが、ローエンドのバリエタルですね。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

トゥプンガトにある自社畑は標高1,200mにあるそうで、冷涼な気候が想像できます。そこから手摘み収穫をするそうです。醸造に関してはあまり詳しく書いていません。樽はないようです。熟成期間も書いていません。ジェームズ・サックリングおじさんはこの2019に91点をつけているとあります。

さて、アルゼンチンの黒品種で(黒:白・ロゼ比は60:40くらいです。)最大はやはりマルベックで約40%を占めます。その次がカベルネ・ソーヴィニヨンと思ってたんですが、12%ほどで3位の栽培面積です。2位は何かというと、前述のボナルダ(Bonarda)なんです(約16%)。
Bonarda
ただし、ボナルダはアルゼンチンでの呼び名で、品種としてはフランス原産の「Douce Noire」というサヴォワ地方に普及している品種と同一(シノニム)です。ボナルダ(Bonarda)といえば、イタリアのロンバルディア州のオルトレポ・パヴェーゼDOC(Oltrepò Pavese DOC)などでボナルダと呼ばれる品種(Bonarda dell’Oltrepò Pavese DOC の主要品種)がありますが、これはクロアティーナ(Croatina)のシノニムで、アルゼンチンのボナルダとは全く別物です。また、そのクロアティーナがよく栽培されるピエモンテ州では別にボナルダ・ピエモンテーゼ(Bonarda Piemontese)という補助品種があるんですが、これまた前述の2つとは別品種です。「ボナルダ」は全部無関係と思っておきましょう(笑)。
しかし、アルゼンチンのボナルダはその正体のドゥース・ノワール(Douce Noire)としては世界の97%を占めます。アルゼンチンの黒品種の2位ですからね。ちなみにアルゼンチン黒品種3位のカベソー以下、シラー(10%)、テンプラニージョ(5%)、メルロー(4%)と続きます。

さて、ドメーヌ・ブースケを訪問。ストビューでは門までしか行けません。
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トゥプンガト(Tupungato)の町からは車で南に10分ほど行ったところです。なかなかきれいに整備されていて、ガイアという名の宿泊施設も運営してるようです。

ドメーヌ・ブースケは、メンドーサ州のウコ・ヴァレー(Valle de Uco)にあります。
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この地図は「Wines of Argentina」というアルゼンチンワインの公式サイトから拝借したものですが、このサイトはアルゼンチンワインの体系について非常に詳しく書かれており大変参考になります。アルゼンチンワインの地理的呼称にはIG(Indicación Geográfica)とDOC(Denominación de Origen Controlada)があるんですが、DOCと言われるものは、ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCとサン・ラファエル(San Rafael)DOCの2つだけだそうです。
したがって、ウコ・ヴァレー(Valle de Uco)IGの中にトゥプンガト(Tupungato)IGが内包されているんですが、これらは全部 IG です。アルゼンチンはもう少しこれら地理的呼称の扱いを見直した方がいいように思うんですが(笑)。

例によって、ウコ・ヴァレー他メンドーサの産地をGoogle Map上で見ます。
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ドメーヌ・ブースケの場所も示しました。緯度的にはチリのマイポ・ヴァレーと同じくらいなのがわかります。ウコ・ヴァレー(Valle de Uco)IGには以下の3つのサブリージョンがあるという関係ですね。

・Tupungato IG
・Tunuyán IG
・San Carlos IG

TupungatiIG
900~1600mの高地であることと、トゥヌヤン川、ラス・トゥナス川などが貫いているのがこのIGのミソですね。


ラベル平面化画像。
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おっと、安定剤(アカシア)入りです。ユーロリーフ、エコセール、ヴィーガンなどそうそうたる認証がズラッと並んだオーガニックワインですが、アカシア入れるのは抵抗ないんですね(笑)。

さあ、スクリュー回転。
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このマーク、どっちが上かわかりません(笑)。

Alc.14%。
濃いめのガーネット。
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黒ベリー、ヌルッと濡れ木感、スパイス、黒鉛。
辛口アタック。
とろりと固まり感が口蓋に広がる味は立体感・貫禄あり。
これがアカシアのおかげならアカシアもありって感じがします(笑)。
余韻もいいですね。
ただし、最後に舌上に残る違和感の酸はアカシアの仕業かな。


*****

Domaine Bousquet
Cabernet Sauvignon 2019
Tupungato Uco Valley Mendoza
RRWポイント 90点


Altos Las Hormigas La Danza Malbec 2020 Mendoza

アルゼンチンのアルトス・ラス・オルミーガスというワイナリーのエントリーシリーズです。過去、チリのインディー・ジョーンズと異名を取るペドロ・パラ(Pedro Parra)さん関連のワインを記事にしていて、イタリアの醸造家アルベルト・アントニーニさんがアルゼンチンのメンドーサで手掛けるプロジェクト「Altos las Hormigas Winery」にもペドロ・パラさんが主要メンバーとして参加してるというのは知ってましたので、試してみたかったワイナリーです。

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1995年、イタリアの著名ワインメーカーであるアルベルト・アントニーニさんと若手起業家のアントニオ・モレスカルキさんが、アルゼンチンのメンドーサで新たなテロワールを求めて設立したワイナリーがアルトス・ラス・オルミーガス(Altos las Hormigas Winery)です。アルベルト・アントニーニさんは、トスカーナの名門フレスコバルディ社やアンティノリ社、スーパータスカンのテスタマッタなどの銘醸ワイナリーで活躍し、カリフォルニアではロバート・モンダヴィやオー・ボン・クリマでも醸造に携わっています。ミシェル・ロランのような世界を股にかけるトップワインメーカーということですね。また、チリのテロワールの達人ペドロ・パラさんがガッツリ参加されているということはメンドーサのポテンシャルが裏打ちされた感じがしますし、メンバーの皆さんがマルベックの可能性を信じているところがとても興味深いです。

アルトス・ラス・オルミーガス(Altos las Hormigas)の意味ですが、オルミーガというのがスペイン語で「蟻」のことです。アルトスは「高台」って感じでしょうか。つまりは「アリンコ台」かな。最初の畑にブドウを植えた時、新芽を食べるアリに悩まされたそうですが、畑の先住者でもあり、小さい体で大きな仕事を成し遂げるアリに敬意を表し、農薬で撃退するのではなく共存の道を選んだことで、ワイナリーの名前が決まったということのようです。


公式ページはさすがにプロジェクトのコンセプトやメンドーサのテロワールの解説が満載です。

今日のワイン、ローエンドですがしっかり解説があります。

・マルベック 100%

畑はメンドーサ各地に持っているんですが、いろんなところから、となっています(笑)。手摘み収穫、土着酵母使用だそうです。コンクリートタンクで6ヶ月の熟成、樽はありません。


さあ、ワイナリー訪問です。ストビュー全然届いてないのでHPの写真を拝借。
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なかなか立派な建物です。右下に記念写真をインポーズしましたが、左から、ペドロ・パラさん、アルベルト・アントニーニさん、アントニオ・モレスカルキさん、アッテリオ・パーリーさん、カルロス・バスケさんになります。

位置関係と畑の場所を確認しようと思ったら、HPに詳細地図が上がってました。
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メンドーサ中心からウコ・ヴァレーあたりまで網羅した地図です。助かる~。「アリさんマーク」のあるところが4ヶ所ありますが、これらが所有畑です。HPには各畑のさらに拡大した詳細地図があり、高度や地質の分布まで書き込まれています。ゴイゴイスー。

とはいうものの、いつものチリと並べた地図でメンドーサ全体を見ておきましょう。
Mendoza_Arg_Chile
チリとアルゼンチン、アンデス山脈を挟んで両側に銘醸地がある関係です。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOC(Denominación de Origen Controlado)と言われるものはルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCとサン・ラファエル(San Rafael)DOCの2つだけだそうです。大括りですが、メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)の名前が有名ですが、これらはDOCとは言わないんですよね。


ラベル平面化画像。
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インポーターシールが隠しているのはバーコードだけ。
うっ!安定剤(アカシア)入りですね。有名醸造家でも安ワイン作りには欠かせないものなんでしょうかね(笑)。


さあ、抜栓。
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キャップシール、コルクとも「La Danza」専用品というのはいいですね。

コルク平面化。
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DIAM2を採用です。

Alc.13.5%。
赤味のあるガーネット。
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黒ベリー、チェリー、アセロラ。
辛口アタック。
酸は居るんですが大人しい。
決して軽めではない重みが演出できていて好印象ではあります。
アカシア効果か安モノの気配がない😁のがいいですね。
酸は余韻からフィニッシュまで帰ってくるんですが、
やはり出過ぎなくていい感じです。


*****

Altos Las Hormigas
La Danza Malbec 2020
Mendoza
RRWポイント 90点


Viña Cobos Felino Malbec 2020 Mendoza

The Winery Kyoto でおすすめしてあったアルゼンチンのマルベック。なかなか面白いワインが手に入るので最近よく行ってるショップです。今日のコレもカリフォルニアの天才ワインメーカー、ポール・ホブス(Paul Hobbs)さんがメンドーサに所有するワイナリーなんだそうで、ジェームス・サックリングおじさんがアルゼンチンで初めて100点をつけたとかなんとか…。

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ポール・ホブスさんは1978年にナパ・ヴァレーのロバート・モンダヴィでワインメーカーとしてのキャリアをスタートさせています。オーパス・ワンやソノマのシミ・ワイナリーなんかで腕を磨いたそうです。コンサル業でフライング・ワインメーカーとして名を馳せますが、自身で世界中に7つのワイナリーを所有しており、それぞれのワイナリーのオーナー兼ワインメーカーということになります。今日のワインのアルゼンチン・メンドーサにあるビニャ・コボスも所有ワイナリーのひとつで、1988年に訪れたアルゼンチンのテロワールに惚れ込んで(アルゼンチン・ワインの先駆者、カテナの二コラス・カテナさんとの出会いがきっかけだそうです。)1997年に自身のワイナリーとして創設しています。
それら所有ワイナリーを以下に上げておきます。Paul Hobbs Winery(1999)、Crossbarn Winery(2000) 、以上カリフォルニア。Hillick & Hobbs Estate(2019)、ニューヨーク州。Crocus(2011)、フランスのカオール。Yacoubian-Hobbs、アルメニア。Alvaredos-Hobbs(2018)、スペインのガリシア。そして今日のビニャ・コボス(1997年)で全部で7つです。

公式ページは写真豊富で、なかなか情報量も多くて好感が持てます。

今日のワインもエントリーシリーズのようですがデータシート完備です。

・マルベック 100%

54%はウコ・ヴァレー(Valle de Uco)、46%はルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)の畑からです。手摘み収穫、マニュアル選果。ステンレスタンクで発酵、MLFは自然発生させます。新樽率8%のフレンチオーク樽で9ヶ月の熟成です。ビニャ・コボスのデビューも1999年のコボス・マルベックで、アルゼンチンのマルベックを世に広めたのは実はポール・ホブスさんということらしいです。


マルベック。Côt や Auxerrois とも呼ばれますが、他にも130ほどのシノニムがあるそうです。
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オーセロワはフランス南西地方、コ(コット)はボルドーでの呼び名だったようですが、アルゼンチンのマルベックの成功で世界的にマルベックに統一されてしまった感があります。アルゼンチンは世界のマルベックの総生産量の実に84%を占めるそうですからね。一大産地カオールを擁するフランスは世界で2番目のマルベック生産量ですが、実はわずか8%にすぎません。ちなみに3位はチリの4%、4位はアメリカの3%が続きます。

2013年に行われたDNA分析によると、マルベックは以下の間の自然交配となっています。

MalbecCôt)=(母)Magdeleine Noire des Charentes x (父)Prunelard

このマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラントというのはメルローにおいても母方に当たります。現存するフランス原産の古い品種ですが、2004年にブルターニュ地方(正確には Saint-Suliac 村の Mont Garrot の丘)で再発見されるまでは絶滅したとされていました。ブルターニュ地方でのブドウ栽培は200年以上前に放棄されていますのでよく生き残っていたなと思います。

Merlot =(母)Magdeleine Noire des Charentes x (父)Cabernet Franc

したがって、マルベックとメルローは異父兄弟の関係になりますね。マルベックの父方、プルネラール(正しくはプリュヌラールと発音するはず)もフランス原産で、一時期(1970年代)は絶滅の危機にあったそうですが、現在は南西地方のガイヤックやマルシヤックで補助品種として細々と復活しているそうです。


ビニャ・コボスを訪問します。立派でモダンな建物です。
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以前に見たボデガ・セプティマの近所です。銘醸地ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)も近いです。

メンドーサ中心部のGoogle Mapで位置関係を確認しましょう。今日の地図はアンデス山脈をまたいで向こう側のチリの産地もしっかり書き込みました。我ながらよくわかっていい感じです。
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ビニャ・コボスの場所も示してあります。メンドーサ川の南側になります。このあたりがソナ・アルタ・デル・リオ・メンドーサ(Zona Alta del Río Mendoza)とかメンドーサ・セントラル(中央メンドーサの意)と呼ばれるエリアで、ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCを内包しています。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOC(Denominación de Origen Controlada)と言われるものはルハン・デ・クージョLuján de CuyoDOC(2005年制定)とサン・ラファエルSan RafaelDOC(2007年制定)の2つだけだそうです。大括りですが、メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)の産地名表示をよく見ますが、これらはDOCとは言わないんですよね。変ですね(笑)。


ラベル平面化画像。
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ワイン・イン・スタイルさんのシールはいつもながら控えめでありがたいです。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.14.1%。
赤み強いめのガーネット。細かい涙ですが粘性で色つきです。
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黒ベリー、ダークチェリー。
深みのある果実香と樽香がかぐわしいです。
辛口アタック。
最初から圧倒的な厚みと構造感を感じます。
深く複雑に織りなされる味わいです。
果実味もしっかり主張しています。
余韻も長くてうまい。
超バランスいいのをずっと楽しめるわけです。
マルベックの神髄を見た気がします。


*****

Viña Cobos
Felino Malbec 2020
Mendoza
RRWポイント 97点


Bodega Séptima Séptima Obra Reserva Malbec 2018

久しぶりのアルゼンチンのマルベックです。ボデガ・セプティマというメンドーサにある作り手ですが、実はスペインでカバ(Cava)を初めて作ったコドルニウ(Raventós Codorníu)という歴史ある大手生産者が、アルゼンチンに進出して1999年に立ち上げたワイナリーになります。コドルニウは、アルゼンチンに先立って1991年にはナパ・ヴァレーでArtesaというワイナリーも立ち上げています。いいワインが作れる勝算があるから進出したわけで、経験上こういう新世界進出ワイナリーは得てしてレベルが高いですから楽しみです。

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ボデガ・セプティマをアルゼンチンに立ち上げたコドルニウは、スペインのカタルーニャ地方が本拠地のワイナリー・グループです。1551年(戦国時代!)から続くというスペイン最古のワインメーカーで、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵によるカバをスペインで初めて誕生させたという功労者でもあります。スペインで7つのワイナリーを傘下に収め、ナパ・ヴァレーとアルゼンチンにもワインリーを建てたということで、計9つのワイナリーを世界展開していることになります。ここで、ハハ~ンとなりました。ワイナリー名の「セプティマ(Séptima)」とはスペイン語で「7番目の」という意味だからです。おそらくボデガ・セプティマは7番目だったんじゃないでしょうか。


公式ページはあっさりっしていますが大手らしいモダンなタイプ。

マルベック中心に幅広いレンジのラインアップがあり、バリエタルにはカベソー、カベフラ、シャルドネ、ソーブラなども。マルベックのロゼなんてのもありました。ワイン紹介はデータシート付でありがたいです。
・マルベック 100%
手摘み収穫、低温浸漬、MLFあり。熟成は2~3年落ちのフレンチ・アメリカンオークの混成で10ヶ月+ボトルで2ケ月。


マルベック。Côt や Auxerrois とも呼ばれますが、他にも130ほどのシノニムがあるそうです。
Septima00
オーセロワはフランス南西地方、コ(コット)はボルドーでの呼び名だったようですが、アルゼンチンのマルベックの成功で世界的にマルベックに統一されてしまった感があります。アルゼンチンは世界のマルベックの総生産量の実に84%を占めるそうですからね。一大産地カオールを擁するフランスは世界で2番目のマルベック生産量ですが、実はわずか8%にすぎません。ちなみに3位はチリの4%、4位はアメリカの3%が続きます。
オーセロワ(Auxerrois) という、アルザスでよく使われる白ブドウもありますが、これは全く別の品種です。また、シャブリの近くオーセール(Auxerre)周辺にグラン・オーセロワ(Grand Auxerrois)という産地もありましたね(笑)。これは広域ではブルゴーニュに属します。


さて、作り手訪問。
Septima01
ボデガ・セプティマは2001年、メンドーサ州ルハン・デ・クージョ県(Luján de Cuyo)のアグレロ(Agrelo)に近代的なワイナリー施設をオープンしています。


恒例ですが、Google Map上でメンドーサ中心部を俯瞰してみます。
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ボデガ・セプティマのあるアグレロは、ルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)DOCに属します。アルゼンチンの原産地呼称制度はゆるゆるらしく、DOCと言われるものはルハン・デ・クージョLuján de CuyoDOCサン・ラファエルSan RafaelDOCの2つだけだそうです。
大括りですが、メンドーサ(Mendoza)やウコ・ヴァレー(Valle de Uco)が有名ですが、これらはDOCとは言わないんですよね。変ですね(笑)。
地図の左下に貼りましたが、ボデガ・セプティマの畑はアグレロ、ビスタ・フローレス、ラ・コンスルタの3ヶ所にあります。3ヶ所とも標高1,000m超えですね。

IGとか書いてあって、それなりに詳しそうな地図を拾ったので貼っておきます。
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IGはスペイン語の Indicación Geográfica でしょう。DOCは Denominación de Origen でしょうし。標高も書かれてますが、低くても500mくらいからですね。ボデガ・セプティマの畑のあるウコ・ヴァレーは最高1,610mにも達するようです。


ラベル平面化画像。
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Séptima Obra は「7番目の作品」という意味。ラベルにも「標高1,050~1,100mの畑」と書かれてますね。裏ラベルにラベントス・コドルニウ(Raventós Codorníu)名があります。


さあ、抜栓。
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キャップシール、てっぺんが金色でカッコいいです。

コルク平面化。
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Alc.14%。(pH:4.27、Brix:7.7)
濃いガーネット。赤紫っ気多いかな。
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ダークチェリー、プラム、シダ、かすかな木樽。
辛口アタック。
しっかり厚みのある味。
酸、タンニンそれなりにあるんですが、
どれも飛び出さないのでバランスは良好。
濃い口なんですが、軽さも兼ね備えてます。
いわゆる飲みやすいってやつかな。


*****

Bodega Septima
Septima Obra Reserva Malbec 2018
RRWポイント 90点


Catena Malbec 2017

久々のアルゼンチンのマルベックをいただきます。
前からちょっと気になってたカテナです。
実はワインエキスパートの2次試験対策用に買い込んだ1本ですが、
既に試験は終わってしまいました。(笑)合格したからいいですが…。


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1902年創業のアルゼンチンのトップ生産者です。パーカーおじさんも、
トップエンドのNicolás Catena Zapata 2004に98+点をつけ、
「これはアルゼンチンのラフィット・ロートシルトだ!」とのたまってます。
今日のスタンダード・マルベックも2015年が91点、2016年が92点と、
パーカーおじさんの評価は悪くないです。
今日の2017年は未評価のようですが、この流れだと93点のはず。(笑)


公式ページは同じ内容で2つURLがありました。
catenawines.com
catenazapata.com

どちらも全く内容が同じで意味不明ですが、ワイン情報はしっかりしてます。
今日のワインもミレジム毎にデータあり。天然酵母を使用し、
今日のは違うようですが、一部全房で醸したりもしているようです。
・マルベック 100%
樽熟は12ヶ月で、新樽/1年落ち/2年落ちの比率は年ごとに変わるそう。
日本のインポーター情報では新樽率35%のフレンチオーク70%と、
アメリカンオーク30%で14ヶ月熟成となってます。

公式ページをよく見ていると、ワインによってワイナリー名を、
Bodega y Viñedos CatenaBodega Catena Zapataとで使い分けてますね。
まあ、なんとなく上等ラインが後者って感じでしょうか。


ワイナリー訪問を試みますが、ストビューで近づけません。
仕方がないのでアップしてあった写真を拝借。
Catena01
マヤのピラミッドを模したというシンボリックな建物です。
そこからの畑の眺めも素晴らしいですね。

場所的にはメンドーサの町の南側、メンドーサ川渡ったアグレロという所。
Catena00
メンドーサの南側とチリのサンティアゴはアンデスを挟んで同じ緯度。

ついでなので、アルゼンチンとチリのワイン生産地の地図を貼っておきます。
Sudamerica01
例のフリーマップですが、ウルグアイやブラジルも網羅してますね。


エチケット平面化画像。
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ピラミッドのイラスト。3代目ニコラス・カテナ・サパタさんと、
娘(4代目)のラウラ・カテナさんのサインが入っています。


さて、抜栓。
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キャップシール、コルク、Catenaネーム入りです。

コルクの平面化撮影。
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テクニカルコルク、DIAM5を採用です。

Alc.13.5%。
濃いガーネット。涙くっきり。
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黒ベリー、ブラックチェリー、スパイス、野菜っぽさも。
酸味乗った辛口アタックです。
味の構造感は十分ですが、涼しい感じがします。
鉄分も感じますね。
タンニンは極めてシルキー。
余韻と共にフィニッシュへの仕上げにかかります。

重めの食事に合わせると真価を発揮するうまさですね。
アサード(焼肉料理)に合うクールな味としておきましょう。


*****


Bodega y Viñedos Catena
Catena Malbec 2017
RRWポイント 91点


Bodega Norton Barrel Select Malbec 2017

久々のアルゼンチン、マルベックです。
定番かもしれないボデガ・ノルトンです。
あのクリスタルガラスのスワロフスキーが運営しています。
どおりでノルトンのCEOはドイツ系オーストリア人で、
なんとかスワロフスキーさんの息子さんだそうで。


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1895年創業だそうで、120年以上の歴史があるトップ生産者です。


公式ページにはバレル・セレクト・シリーズはあるのですが、
カベソーとシャルドネだけで今日のマルベックが載ってません。
アルゼンチンならマルベック押しじゃないんですかね。
仕方ないのでインポーターのエノテカ情報です。
・マルベック 100%
新樽・旧樽混合で12ヶ月の熟成です。


ワイナリー訪問。立派な施設です。畑や周りの景色も美しい。
Norton01
メンドーサの町の南側、外れに位置します。

南米大陸でのメンドーサの位置も確認しましょう。
Norton02
アンデス山脈はさんでチリのサンティアゴの裏ですね。


エチケット平面化画像。
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さて、抜栓。
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合成コルク。キャップシールにはノルトンのシンボルマークが。

Alc.13.5%。
濃いガーネット。
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チェリー、プラム、茎っぽさも。
辛口アタック。
酸味が全体を覆ってきますが味の厚みはそこそこあり。
この酸は余韻までついてくるお節介なやつです。
安いラインはやっぱりサッパリしてます。
もう少し上のも試さねば、と思いました。


*****


Bodega Norton
Barrel Select Malbec 2017
RRWポイント 87点


Casarena Jamilla’s Single Vineyard Perdriel Malbec 2011

久しぶりのアルゼンチンワイン、マルベックです。
今日は(今日も?)ちょっと動機が不純です。
パーカーポイント94点に釣られてしまいました。(笑)


IMG_4766


パーカーおじさんの採点は、
実際飲んでみると納得いくことが多く、
味の好みも傾向が似ているように思います。
したがって、結構確実な指標となるわけです。


IMG_4767


こういう点数ラベルは、違うヴィンテージだったり、
同じ生産者の違うラインだったりと、
詐欺まがいの表示があったりしますので、一応確認します。

公式ページには2010年のヴィンテージでPP90までは書いてありますが、
2011年がPP94なのはショップサイトなんかで確認できました。
なんと翌年の2012年もパーカーおじさんは94点をつけています。
かなり安定した実力の生産者と言えるのではないでしょうか。

例によってGoogle Mapでワイナリー訪問を試みますが、
近くからワイナリーまでの通りに入れず近寄れません。
しかたがないのでGoogle Mapの投稿写真から拝借。


Casarena2


Casarena」の三角が二つ並んだマークはこの屋根なんですね。
アルゼンチンのメンドーサの町の近くの有力ワイナリーのようです。
きれいな畑をいくつも持っています。


Casarena


すぐ近くのメンドーサの町もStreet Viewでうろうろしてみましたが、
大きな自然公園やショッピングモールなどもある大きな町でした。
ワインだけの田舎町と思ったら大間違いでしたね。
人口は11万人、周辺には3千社以上のワイナリーがあるそうです。


Casarena3map


地図で見ると、メンドーサはアンデス山脈のふもと、
山を越えれば、車で5時間ですぐチリのサンティアゴです。
首都ブエノスアイレスには12時間かかりますから、
ワイン作りのテロワールの観点から、もうほぼチリですね。(笑)


IMG_4768


マルベック100%。
公式の情報では、手摘み収穫(18㎏入りの箱に小分け)、
低温マセレーションを6~8日行なったあと、
自然酵母による発酵を低めの温度でゆっくり行うとのこと。
その後樽内でMLFを起こさせ、
フランス産の新樽100%で18ヶ月のエイジング。
かなり贅沢な作り方で、高得点もうなづけます。

さて、抜栓。Alc.14.5%でフルボディーの予感、
濃い黒いくらいのガーネット。
黒ベリー、樽香。かすかな清涼感が香ります。
よく冷やしていたのに、それでも口当りで生ぬるさを感じます。
これはまろやかさというか、複雑味の表れと思われます。
これまたまろやかなタンニンが喉に心地いいです。
複雑な味が最終的に「甘み」の印象に統合されていきます。
これは上質な滋味によくあるパターンです。
余韻はマルベックらしく短めですが果実味が続き絶妙です。
うまい。文句なしにおいしいです。
ただ、余韻が若干短いのは、やはりマルベックを感じます。
パーカーおじさんの採点からマイナス1ポイント。


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Bodega Casarena
Jamilla’s Single Vineyard Perdriel Malbec 2011
RRWポイント 93点


Trapiche / Oak Cask Malbec 2016

先日、アルゼンチンのタナ100%のワインをいただきました。
その時も思ったんですが、アルゼンチンってやっぱりマルベックです。
ふと、もう一度ちゃんと味わってみようと今日はマルベック100%。


IMG_0484

定番ともいえるトラピチェです。

そんなにお高くないレンジです。やはり品種の味をうかがう場合、
バリエタルに近いローレンジのものをいただくのがいいと思います。
品種の持っている本来の味が出ますからね。

で、そのお味は、
口当たりはカルメネール同様のコクのある重めの感じで、
酸味も少なくお肉に合うフルボディーです。
でも、ちょっとカルメネールと違うのが、
余韻というか後味を引くのが足りず、すっと消える感じです。
カルメネールは後々まで味に丸みというか深みが残るんですよね。
しつこい味と思われる人もいるかもしれませんが、
僕はこんなののほうが好みです。

昔は海外出張中のレストランで南米産のワインといえば、
アルゼンチンのマルベックばかり置いてましたから、
慣れ親しんだ味ということで今回もおいしくいただけましたが、
カルメネールばかり飲んでいる最近は自然と比較をしてしまい、
若干の減点をしてしまうようです。(笑)


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Trapiche / Oak Cask Malbec 2016
RRWポイント 81点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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