Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Merlot

Mont-Pérat Special Selection Bordeaux Rouge 2019

漫画「神の雫」で持ち上げられて、ちょっといいワイン風情のモン・ペラ。5年前にモン・ペラを試した時は残念ながらいい評価ができず、それ以来あまり近寄らなかったわけですが、そのセカンドらしきワインが特売になっていたので思わず手を出してしまいました(笑)。

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インポーター情報では、シャトー・モン・ペラが現在のオーナであるデスパーニュ家の所有となったのは1998年で、ガロンヌ川の東側カディヤック・コート・ド・ボルドーのエリアに位置するとなっています。しかしそのエリアには「Château Mont-Pérat」なんて見当たらないんですよね。

Bordeaux_Cotes-de-Bordeaux
<コート・ド・ボルドー(Côtes de Bordeaux)地図>

以前、シャトー・トゥール・ド・ミランボー(Château Tour de Mirambeau)というデスパーニュのフラッグシップと思しきワインを試した時、このシャトー・トゥール・ド・ミランボーこそが1769年から代々ワイン作りをしてきたデスパーニュ家の創業の地らしいことがわかりました。ということで、ますますシャトー・モン・ペラというシャトーがどこなのか、あるいは存在するのか、さっぱりわからなくなっています。

デスパーニュの公式ページはこれですが、ほぼショップしかありません。

おまけに通常のモン・ペラは載っていますが、今日のスペシャル・セレクションはありません。

・メルロー 60%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 20%
・カベルネ・フラン 10%

インポーター情報でセパージュは上記のようですが、その他樽使いなど不明です。通常のモン・ペラはフレンチオーク樽で12ヶ月の熟成となっていましたが、今日のワインはこれ以下か、樽なしかといったところになるでしょうね。

アントル・ドゥ・メール(Entre-Deux-Mers)にあるデスパーニュ訪問。
Despagne01
デスパーニュの創業の地はローザン(Rauzan)という町で、シャトー・トゥール・ド・ミランボーなるところになります。Google Mapでは「Vignobles DESPAGNE」と表示されます。シャトー名は「Tour de Mirambeau(ミランボーの塔)」から来ており、インポーズしたのが「ミランボーの塔」の写真ですが、このように現存はするようです。


アントル・ドゥ・メール中心にボルドーを俯瞰して、位置関係を確認します。
Despagne02
デスパーニュ(シャトー・トゥール・ド・ミランボー)は、サンテミリオン他ボルドー右岸銘醸地のドルドーニュ川を挟んだ反対側ですね。このあたりだとカディヤック・コート・ド・ボルドーのエリアにはなりません。(上記、コート・ド・ボルドー地図参照。)

ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれたところを一般にアントル・ドゥ・メール(Entre-Deux-Mers)と言いますが、AOC Entre-Deux-Mers というと辛口白のみのAOCになるので注意しましょう。かのジャンシス・ロビンソンはデスパーニュをして「アントル・ドゥ・メールのスーパースター」と評したそうですが、この場合のアントル・ドゥ・メールはAOCではなく場所を指すわけです。


エチケット平面化画像。
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本家のモン・ペラに比べてシンプルでいいですね。「デスパーニュはボルドーですごいワインを作ってる。」というパーカーおじさんのコメントが誇らしげに金メダル風のシールに書いてあります(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13.5%。
ガーネット。エッジにかすかにオレンジ味あり。
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黒ベリー、カシス。
熟成香か樽香か、ゼラニウムっぽさがかすかに。
辛口アタック。
酸は出っ張りますが、
奥行きのある味とのまとまりは悪くないです。

フィニッシュにかけての盛り上がりはないんですが、
特に非はなく無難に楽しめるワインでした。


*****

Despagne
Mont-Pérat
Special Selection Bordeaux Rouge 2019
RRWポイント 88点


Beato Bartolomeo da Breganze Le Colline di San Giorgio 2017 Merlot Breganze DOC

11月7日は国際メルロー・デーだそうで。イタリア、ヴェネト州ブレガンツェDOCのメルローをチョイスしました。これまた通なのをとお思いでしょうが、たまたま家にあったメルローがこれでした(笑)。しかし、調べてみると、1969年にDOC認定された歴史のあるところで、ロッソ(赤)はメルローを50%以上入れないといけないというれっきとしたメルローの産地でした。

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作り手はベアト・バルトロメオ・ダ・ブレガンツェ(Cantina Beato Bartolomeo da Breganze)。ブレガンツェ周辺の 121 のワインメーカーからなる協同組合が前身です。1950年創立というので Breganze DOC ができる前からですね。Breganze DOC のコンソーシアムの事務所が敷地内にあるようで、ブレガンツェではDOCそのものと言っていいほどの大手なんでしょう。HPによると、バルトロメオ・ダ・ブレガンツェだけでブレガンツェDOCの総生産量の70%を占めるそうです。どうりで。

公式ページは内容も豊富。ワイナリーの歴史がブレガンツェDOCの歴史ですからね。

ワインのラインナップもすごく多いです。プロセッコもやっています。

・メルロー 100%

今日のワインはエントリーラインのようで、スチールタンクで9ヶ月の熟成のみです。

国際メルローの日なのでメルロー(Merlot)を見ておきましょう。
Merlot
やはり生産量はフランスが108,483haでダントツ。2位が24,057haでイタリアです。今日はイタリアのメルローを選んで正解だったようですね。
以下、中国(16,700ha)、スペイン(12,852ha)、チリ(12,057ha)と続きます。また、メルローは世界のブドウ品種ランキングで 1 位のカベルネ・ソーヴィニヨンに次いで 2 位になります。

メルローの片親はカベルネ・フランです。母方がマグドレーヌ・ノワール・デ・シャラント(Magdeleine Noire des Charentes)。こちらはフランス原産の古い品種で現在は栽培はされていません。<Merlot =(母)Magdeleine Noire des Charentes x (父)Cabernet Franc>


さあ、ブレガンツェの町にあるベアト・バルトロメオ・ダ・ブレガンツェを訪問。
Baltrome
ブレガンツェの町中にあってデカいです。さすがブレガンツェDOCの70%を生産するだけあります。

ブレガンツェDOCを俯瞰するとこんな感じ。
BreganzeDOC
ブレガンツェと周辺の12のコムーネから成ります。

位置関係を見るために Delle Venezie DOC の地図にヴェネト州のDOCを描き込みます。
VENETO_DOC_delle_Venezie
ヴェネト州は実に多様なDOCが所狭しとあり、加えてかなりのオーバーラップがあるので、なかなか1枚の地図で表現するのが困難なのですが、ましてやデッレ・ヴェネツィエDOCの3州の地図のヴェネト州の中にDOC/DOCGを描き込んだというのは少々無茶でした。正確なエリアを表現すると見にくくなるので少々妥協して描いてる部分もありますが、おおよその感じは出てると思います(笑)。また機会を改めてもう少し大きな地図でチャレンジしてみたいと思います。

ガルダ湖周辺ヴァルポリチェッラソアヴェの辺りはなんとか入れ込みましたが、プロセッコにまつわるDOC/DOCGは一緒に入れるとしっちゃかめっちゃかになるので入れていません。

プロセッコ(Prosecco)のみはこんな感じ。比較のためブレガンツェDOCだけ入れました。
Prosecco
今日のブレガンツェDOCの作り手がプロセッコもやってるのが納得いきますね。しかし、とにかくヴェネト州は厄介です。今後の課題(笑)。


ラベル平面化画像。
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さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.12.5%。
エッジ少しオレンジ気味の透けるガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー。
ごく微かにブレット?
辛口アタック。
コーヒー風味の苦味?タンニン?
おかげで複雑味が出て味の存在感あり。
少し酸が出過ぎてくるんですが、
フィニッシュまでバランス崩れず逃げ切った感じ(笑)。
樽なしメルローですが、なかなかなもんです。


*****

Cantina Beato Bartolomeo da Breganze
Le Colline di San Giorgio 2017
Merlot Breganze DOC
RRWポイント 91点


Michael Pozzan Merlot 2018 Napa Valley

マイケル・ポザーン、ナパ・ヴァレーのメルローをいただきます。何のことはない、店頭で目についたセール品です(笑)。元のお値段はそこそこするので悪いものじゃないでしょう。これをポウザンではなくポザーンと読むのが正解なのかどうかわかりませんが、とにかく店頭POPではそうなってました(笑)。諸々調べながらいただくとしましょう。

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マイケル・ポザーンさんは、19世紀中頃からイタリアのピエモンテでワイン作りにたずさわるポザーン一族からのカリフォルニアへの移民の家系なんだそうで、先々代がソノマ・カウンティーでブドウ造りを始めたことでワイン作りに親しんでいます。マイケルさんが念願の自分名を冠したワイナリー「マイケル・ポザーン」を立ち上げたのが1991年で、主に買いブドウをナパのカスタムクラッシュ(ワイナリーや畑を持たない作り手が、ブドウを持ち込んでワイン造りの設備を借りて作るシステム)の醸造所で醸しているそうです。

これがセールになっていた店頭のPOPです。
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40%OFF以上ですから目を引きますよね(笑)。

公式ページでは上記の歴史にあまり触れられていないのが気になりますが情報は必要十分です。

ショップ兼用なので最新の2020年のデータしかなかったんですが、2018年のデータシートのリンク切れデータをネット検索で発見。

・メルロー 93%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 5%
・シラー 2%

なんとメルローのモノセパージュではなく、メリテージワインのようなブレンドになってました。熟成もフレンチオーク樽で18ヶ月と贅沢な感じです。


マイケル・ポザーンを訪問します。ナパの市街のど真ん中にあります。
Poazzan01
ワイナリーというより事務所ですね。テイスティングルームくらいはあるんでしょうか。

こちらがマイケル・ポザーンのカスタムクラッシュをやっているナパ・ワインCo. です。
NapaWineCo
道を隔てたすぐ横がなんとオーパス・ワンです。まあ、オーパス・ワンの隣で作ったからといって、ワインがおいしくなるわけじゃないでしょうけど(笑)。

ナパ・ヴァレーの地図で位置関係だけ見ておきましょう。
Napa_Valley_AVA
ナパのワイン造り、いろんな形態がありますね。おいしければOKです。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルにワイナリーの所在はオークヴィルだとしています。データシートのワイナリーの住所もナパ・ワインCo. のものが書いてました。カスタムクラッシュでも自分の住所のように書いてもいいんですね(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13.5%。
ガーネット。
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黒ベリー、ダークチェリー。
樽香はありますがかなり弱いです。
ヌルッと酸味のある辛口アタック。
これぞメルローという軽薄さあり(笑)。
複雑味は充分感じます。
タンニンが割と出てきて、
余韻までいい感じに伸びました。


*****

Michael Pozzan
Merlot 2018
Napa Valley
RRWポイント 90点


和歌山ワイナリー 和 メルロー 2020 オークワ限定ラベル

関西で田舎の方へ行くとオークワというスーパーを多く見かけます。たまたま立ち寄ったオークワのワイン売り場に和歌山のワインがたくさん置いてあったので少々驚いたんですが、このオークワというスーパー、和歌山県に本社があり、和歌山・奈良・大阪を中心に出店しています。なるほどの地元推しだったんですね。思わずオークワ限定ラベルというのをゲットしました(笑)。

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作り手はその名も「和歌山ワイナリー」。そこの看板商品の「和 メルロ」の限定ラベルがこれになるようです。名前の「和」がなくなってるのが気になりますが、中身は同じもののようです。

これがそのワインコーナー。和歌山のワインを知らなかっただけに驚きでした。
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この店頭展示でもわかるように和歌山には「和歌山ワイナリー」と「湯浅ワイナリー」の2つがあります。なんとどちらも石油関連を中心に幅広い事業を展開する「TOA(ティーオーエー)」(有田市初島町)が運営しているそうなのですが、それぞれコンセプトを変えて個性あふれるワインを造っているとのことです。

和歌山ワイナリーの公式ページはこちら。トップページのみのシンプルな構成です。

ワイン紹介はショップページを見ることになります。

・メルロー 100%

和歌山県有田市産のブドウを野生酵母を使用しステンレスタンクで発酵します。しかし、有田産と言われるとミカンを想像してしまいますね(笑)。


和歌山市街よりは少し南側、有田川近くの和歌山ワイナリーを訪問します。
和歌山ワイナリー
プレハブ然とした感じですが、近くにある(車で15分)湯浅ワイナリーは同系列というのにピッカピカの新社屋になってました。この差は何なんでしょうね。どちらも創業は浅く、和歌山ワイナリーは2015年、湯浅ワイナリーは2019年の創業だそうです。そこらへんの差がありそうですね。

湯浅ワイナリーの公式ページは別にありますのでリンクを貼っておきます。
こちらもトップページのみ。ショップページは和歌山ワイナリーと共通です。


和歌山県を俯瞰しておきましょう。実は今回初めて正確な和歌山の形を知りました(笑)。
和歌山県
県庁所在地の和歌山市は県の北端で大阪府のすぐ南ですね。アドベンチャーワールドや那智の滝も和歌山です。県内の移動が大変そうですが。


ラベル平面化画像。
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スーパーオークワの限定ラベルとは言え、ワイン名の「和」が抜けているのと、派手な色味はいかがなものかという気がします(笑)。「No.40」は通し番号のようでボトルごとに違います。


さあ、抜栓。
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DIAM1ですが、超無印なのでコルクの平面化はなしです。

Alc.12%。
褐変進んだ軽めのガーネット。粘性の涙あり。
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カシス、チェリー。
熟成香か、かすかなブレット感あり。
辛口アタック。
厚みは弱いんですが複雑味的な旨味は感じます。
ただし、
喉越しからフィニッシュまで盛り上がりなくスコッと終わってしまいます。
バランス悪くないだけに惜しいな~。


*****

和歌山ワイナリー
和 メルロー 2020
オークワ限定ラベル
RRWポイント 87点


Maui Wine Mele Ulupalakua Red Wine

なんと、ハワイのワインとな。ハワイのような熱帯の島でブドウ栽培ってどうなんでしょう。ラベルにあるウルパラクア(Ulupalakua)とはAVAなんでしょうか。味も含めて気になることがいっぱいです。お手頃価格でしたし早速お試しと行きましょう。

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マウイ・ワインは「Ulupalakua Ranch」というマウイ島の牧場のオーナーが1974年に設立しています。シラー、マルベック、グルナッシュ、シュナン・ブラン、ヴィオニエ、ゲヴュルツトラミネールの 6 種類を栽培してるそうですが、ブドウの生育を待つ間はパイナップルでワインを作っているとのこと。(厳密にはブドウで作らないとワインと名乗れませんが。笑)パイナップル・スパークリングワインなるものもラインアップしてあります。最初は「Tedeschi Vineyards」と言いましたが、2015年に現在のマウイ・ワイン(Maui Wine)に改名しています。

公式ページはよく出来てはいますが、ワイン情報が薄いです。

ワイン紹介はセパージュや醸造法に関することは記載がないので意味がありません。

・メルロー
・シラー

…のブレンドらしいですが確証はありません。しかしワイナリーの解説で6品種栽培してると書いてあった中にメルローはない(笑)。そもそもノンヴィンテージですし、パイナップルワイン然り、ハワイのお土産ワインなんでしょうかね。

マウイ島のマウイ・ワインへ行ってみました。(Google Mapのストリートビューで。笑)
Maui_Wine01
こんなところにワイナリー。ハワイには行ったことがないので楽しいです。

ラベルにはウルパラクアUlupalakua)とあるのでAVA(American Viticultural Area)じゃないかしらと調べると、ちょうど1年前の2021年7月にAVAに認定されていました。めちゃめちゃ新しいAVAですし、ハワイ州初の、ハワイ州唯一のAVAになります。その範囲は…と調べるとなんとマウイ・ワインの畑の狭い範囲だけが該当するようです。こんなAVAってあるんですね。
Maui_Wine02
マウイ・ワインから車で3分、歩くと30分くらいの距離のようです。貼った写真はその畑の入り口です。畑自体にストビューは届いていませんでした。

ハワイ全体の地図も一応作ってみました。ウルパラクアAVAはマウイ島にあります。
Hawaii
ハワイ諸島の島の名前のおさらいができました(笑)。ハワイにワイナリーがあるのはわかるとして、アメリカ TTB(Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)酒類タバコ税貿易管理局はこんな畑をよくAVA認定しましたね。


ラベル平面化画像。
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「Mele」はハワイ語で「音楽」の意味です。


さあ、スクリュー回転。
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Alc.13.5%。
ガーネット。粘性のある涙。
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黒ベリー、カシス。
樽熟っぽい香りもかすかにあるような。
果実感ある辛口アタック。
案の定、厚みは弱いんですが、メルローの雰囲気はあります。
甘やかな果実感は始終続き、味わいにアクセントを与えてます。
ライトなメルローとして最低限のレベルはキープしてる印象。
結論、結構楽しめました。


*****

Maui Wine
Mele
Ulupalakua Red Wine
RRWポイント 86点


Thunevin Clos Badon Saint-Émilion Grand Cru 2018

「テュヌヴァン」と言えば、ガレージワインからプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(B)に登り詰めた(2012年昇格)シャトー・ヴァランドロー(Château Valandraud)で有名なジャン・リュック・テュヌヴァン(Jean-Luc Thunevin)さんのこと。他にもいろんなワインを手掛けていて、AOCボルドーの Bad Boy なんてのも以前に試しました。今日のこのワインは、そのテュヌヴァンさんが1998年にサンテミリオンのコミューン内に手に入れた畑から。

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その畑が「クロ・バドン」といい、ワイン作りのパートナーでもあるミュリエル・アンドロー夫人の指揮のもと作られるワインなんだそうです。

ラベルのニワトリのマークは、テュヌヴァンさんが自宅で飼っていたニワトリがモデルだそうですが、「鳥」で「バードン」と聞くとどうしてもこれを連想してしまいます(笑)。
Badon04
タロウとゾフィーを倒した最強の部類に入る怪獣です。どうでもいいですが(笑)。


公式ページはクロ・バドン単独のもがあります。力が入ってるってことでしょう。
ClosBadon_Banner

因みに、シャトー・ヴァランドローの公式ページはこちらになります。


テュヌヴァンさんのオンラインショップがこちら。手掛けるワインがこちらで買えます。

サンテミリオンにあるクロ・バドンの畑は6.5ヘクタールあり、砂利質の土壌で平均樹齢は20年とのこと。

・メルロー 50%
・カベルネ・フラン 50%

手摘み収穫、フレンチオークの新樽で18〜22ヶ月の熟成と贅沢な作り。生産量は15,000本だそうです。

畑もサンテミリオンの集落近くなのでワイナリーも集落内に新たに構えています。
Clos-Bandon-Thunevin
看板が上がっていませんが、HPに上がっていた写真と見比べるとここのようです。この前の道をもう少し行くとサンテミリオンのシンボルともいえるサンテミリオン・モノリシック教会の前の広場に出ます。

ストビューで適当に拾ったサンテミリオン・モノリシック教会の写真を貼っておきます。
Saint-Emilion01
今日のワインと直接は関係ないですが雰囲気だけでも…と。

「クロ・バドン」の畑は、シャトー・パヴィ、シャトー・ラルシス・デュカス、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールに囲まれているようなことがHPに書いてあります。確かにこれら有名シャトーの近くに「Badon-Nord」という小道がありました。このあたりが「クロ・バドン」なんだと思われます。以前描いたサンテミリオンの格付けシャトー全部入り地図で見ておきます。
Saint-Emilion
この地図は、サン・テミリオンの最高格付けである、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)と(B)の全部をカバーするように縮尺を2段構えで並べたものです。(A)(B)のマークで示してあります。シュヴァル・ブランやヴァランドローがサン・テミリオン集落から離れているので1枚の地図に入れるのは困難だったのですが、縮尺違いの2枚をつなげてなんとか実現しました(笑)。

サン・テミリオンの格付けは1855年のメドックの格付けに遅れること100年、1955年から始まっていて、10年ごとに改定されます。地図に書いた格付けは2012年の格付けに基づくものです。ちょうど2022年の今年再格付けが行われるんですが、現状の格付け(=2012年)をリストアップすると以下になります。

PREMIERS GRANDS CRUS CLASSÉS (A)

Château Ausone ・・・<2022年 脱退>
Château Cheval Blanc ・・・<2022年 脱退>
Château Angélus(2012年昇格) ・・・<2022年 脱退>
Château Pavie(2012年昇格)

PREMIERS GRANDS CRUS CLASSÉS (B)

Château Beau-Séjour (héritiers Duffau-Lagarrosse)
Château Beau-Séjour-Bécot
Château Bélair-Monange
Château Canon
Château Canon la Gaffelière(2012年昇格)
Château Figeac
Clos Fourtet
Château la Gaffelière ・・・<2022年 脱退>
Château Larcis Ducasse(2012年昇格)
La Mondotte(2012年昇格)
Château Pavie Macquin(2006年昇格)
Château Troplong Mondot(2006年昇格)
Château Trottevieille
Château Valandraud(2012年昇格)

<2022年 脱退>と付けたシャトーがありますが、審査基準(ワインと関係のない事柄が重要な評価ポイントとなっている)が納得いかないという理由で、2022年の格付けは脱退を表明しているシャトーになります。4つしかないプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)から3つも脱退ですから、これは結構えらいこっちゃな状況です。ちなみに以下の2シャトーも脱退表明してますから、現在6シャトーが脱退を表明している状況になっています。どうなりますことやら。

Château Quinault l’Enclos(Grand Cru Classé)
Château Croque Michotte(Grand Cru、1996年 Grand Cru Classé から格下げ)

サン・テミリオンの格付けの最大の特徴は10年ごとに改定されるところです。過去、1969年、1986年、1996年、2006年、2012年と改定を重ねてきています。ところが、この改定がもめる要因にもなってるんですね。2006年の改定時も格付けが一時無効になったり大モメしています。前回2012年の格付けから10年。波乱の2022年改定がやってきます(笑)。


ボルドー右岸のサン・テミリオン(Saint-Émilion)はメドックとは格付けのシステムが違うので、いくつか理解しておかないといけない事項があります。まずは対象範囲をINAOの地図で確認。
SM01
行政区分のサン・テミリオンだけでなく周辺のコミューンを含めた結構広大な範囲です。ここで作ったワインが一定の条件を満たすと以下のAOCが名乗れます。

・AOC Saint-Émilion
・AOC Saint-Émilion Grand Cru

後者は「Grand Cru」とつきますが、これは低収量かつアルコール度数の基準を満たせばOKな「Grand Cru」で、「Grand Cru Classé」というランクとは全く別モノと考えないといけません。「AOC Saint-Émilion Grand Cru」の中に、さらに上級の「Grand Cru Classé」が含まれるという関係です。なので、表記すると「Saint-Emilion Grand Cru Grand Cru Classé」となります。ややこしいですね。「Grand Cru」というワードの安売りをするからいけないんですね。「Classé」の付かない「並」のグラン・クリュが腐るほどあるということですから、サン・テミリオンの「グラン・クリュ」にだまされてはいけません。(今日のワインがそうですが…笑)

ただの「Grand Cru」とは違う「Grand Cru Classé」には以下の3段階があります。

・Premier Grand Cru Classé 'A'
・Premier Grand Cru Classé 'B'
・Grand Cru Classé

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)のつと(B)の 14 のシャトーを見ましたが、「プルミエ」のつかないただの「グラン・クリュ・クラッセ」のシャトーはまだでしたね。実はこのクラスにはさらに 64 ものシャトーが選ばれています。とてもじゃないので、ここには挙げません(笑)。

サン・テミリオンの公式サイト格付けワインのリストとその詳細が確認できます。

64の「グラン・クリュ・クラッセ」の下にさらにゴマンとある「AOC Saint-Émilion Grand Cru」もリストになっています。今日のクロ・バドンの名前は見当たりませんでしたが。シャトー・ヴァランドロー(Château Valandraud)で登録されているからもういいのかな?


エチケット平面化画像。
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裏ラベルはインポーターシールだけでした。

さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.15%。
ガーネット。中程度の大きさ~細かめの色つき涙あり。
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黒ベリー、ロースト香、芳しい樽香です。
酸の存在もわかる辛口アタック。
確かにメルローですが、深い、たおやかな厚みのある味。
コーヒー系の苦味もありました。
平和な余韻は感無量。
整います。(笑)

RRWポイントは95点をつけますが、
パーカーおじさんは92点のようです。


*****

Thunevin
Clos Badon
Saint-Émilion Grand Cru 2018
RRWポイント 95点


ヒトミワイナリー Barrique Merlot 2016

滋賀県のヒトミワイナリーにまた行ってきました。これ樽熟のメルローですが、本来の味にならなかったとしてワイナリー限定で特価になってたので思わずゲットしました。本当は「ゴクローサワー」なるデラウェアのスパークリングワインを買いに行ったんですが、ヒトミワイナリー毎度の「自虐商法」(決して贈り物にはしないでください!)にまたやられてしまいました(笑)。

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ヒトミワイナリーは1991年、滋賀県東近江市に創業。滋賀県人には(旧)永源寺町の方が通りがいいところです。アパレルメーカー(日登美株式会社)の社長、図師禮三(ズシ レイゾウ)さんが1984年60歳を機に社長から会長に退いた際、大のワイン好きが高じて自分のワインが作りたいと全くゼロからこのワイナリーを立ち上げたそうです。

訪れた日は、ホントに天気が気持ちよかったです。
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ワインツーリズムとまでは言いませんが、田舎風情がたまに行くと楽しいところです。

公式ページはいたって普通。ちょっとこなれてない感あり(失礼!)。

今日のワインは「ワイナリー限定販売」ですから載ってないんですよね。

・山形県産メルロー 100%

詳しくは、店頭の説明をそのまま貼っておきます。お楽しみください(笑)。
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下線を書き足したの僕じゃないですよ(笑)。お店で自ら大事な部分を強調されているのです(笑)。万人受けせず、苦手な人が多く、贈り物・お土産にしてはいけない。自分用のみ限定!?
ここまでの自虐、潔いし、面白すぎます。めっちゃ楽しみです。


恒例、滋賀県を俯瞰して位置関係を確認しましょう。
Shiga_滋賀
関西は本当にワイナリーの数が限られますね。しかし、琵琶湖周辺の地図をこうして眺めていると、なんとなくイタリアのガルダ湖周辺に見えてくるんですよね。となると、ヒトミワイナリーは日本のヴァルポリチェッラか!?(笑)

これからヒトミワイナリーへ行かれる方へ、近隣の見どころを紹介しておきます。現在、このあたりは滋賀県南部のかなり広域を占める「東近江市」という市の一部になっていますが、平成の大合併以前は「(神崎郡)永源寺町」という所でした。滋賀出身の自分にとってはまだ「永源寺町」の方がしっくりきます(笑)。そして、その名前の由来はこの「永源寺」という古刹にあります。
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この日いい天気だったので永源寺を訪れていて、その時撮った写真です。川沿いの斜面に開かれた美しいお寺です。ヒトミワイナリーの近くも流れる愛知川(えちがわ)が続いているところの山際にあり、ワイナリーから車で5分ほどの距離です。

愛知川をさらに上流に伝っていくと永源寺ダムがあります。
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さらにここから上流ですが、道の駅・奥永源寺渓流の里にも是非。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルにはワイン作りの狙いが思いとして書かれています。これが思惑を外れ「本来のバリックメルローとは大きく違う」ことになってしまったのはなぜなんでしょうね。答えはテイスティングにあり、でしょうか。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.11%。
澄んだガーネット。熟成は進んでるようでオレンジ味が出ています。
IMG_8365

カシス、プラム、ストロベリーな感じも。
辛口アタック。
かわいい酸味がいいアクセント。
確かに厚みは弱いんですが熟成で生まれた複雑味はありますよ。
タンニン分は弱々しいながら役割りは果たしてます。
例えれば…うまいマスカット・ベイリーAを飲んでる感じ(笑)。

ヒトミワイナリーも品種の個性が弱いと書いていましたが、
確かにメルロー感は少ないんですよね。
しかし「うまい」の範疇には入ると思います。


*****

ヒトミワイナリー
Barrique Merlot 2016
Yamagata Merlot
RRWポイント 87点


メフィラス星人の赤ワイン 2016 Bordeaux

『シン・ウルトラマン』がとうとう2022年5月13日に公開になりました。当初の公開予定から遅れること1年。長かったです。しかし待っただけあって、個人的にはド直球のツボであり全てにおいて大満足な内容でした。現在の所、3回劇場にて鑑賞していますが、あと1~2回行くかもしれません(笑)。さて、今日のワイン、映画の中でも異彩を放っていたメフィラス星人のワインということで、ネタワインとわかっていながら抜栓するといたしましょう。

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福島県の「人気酒造」というところが、特撮の神様・円谷英二の故郷から近いということで、ウルトラマン・シリーズのお酒を出しています。映画「シン・ウルトラマン」とは直接関係はないのですが、ジャミラの白ワイン、ダダの梅酒、バルタン星人の麦焼酎、ピグモンの泡酒などなどすごいラインアップです。ウルトラセブンのエレキングやキングジョーなんかのもありますね。そもそもお酒の味を楽しむものではなさそうなのが微妙なところですが(笑)。

どれも立派な化粧箱に入ってます。今日のメフィラスの箱を平面展開してみました。
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不思議なソムリエ姿のメフィラス星人が笑えます。箱に描いてあるストーリーでは「メフィラス星人から赤ワインの注文が入り、科学特捜隊パリ本部の協力を得て、世界で最も有名なワイン産地の一つであるボルドーからAOC原産地呼称付きのワインを直輸入することに成功した。」とあります。やはりフランス・パリに本部のある科特隊はこういう時に力を発揮しますね(笑)。

「その後、いつのまにかソムリエの勉強をしていたとは・・・恐るべしメフィラス星人!ワインで地球人の心を奪う作戦だということは明白だ。もしこのワインの虜になってしまい、地球を売り渡してしまったら・・・あなたの責任は重大だ。」とも書いてますが、そんなに美味しければいいんですが…。

冗談はさておき(笑)、このボルドーの作り手を調べます。裏ラベルに「TDV á 33420-488」とありましたので簡単に突き止められました。「Terre de Vignerons」という1935年創設の大手ワイン協同組合でした。1,000人以上の構成メンバーがおり、合計で15,000ヘクタールもの畑になるそうです。ここに生産委託をし、日本でラベルを貼ったって感じでしょうか。

公式ページは大手協同組合のそれですね。個々のワイン紹介が載ってたりはしません。

ましてや日本向けに作ったメフィラス星人の赤ワインが載ってるわけもありません。

・メルロー
・カベルネ・ソーヴィニヨン

比率は不明ですが、パターン的にメルローがっつり多めではないでしょうか。

とりあえず作り手訪問。見るからに規模の大きな共同組合です。
TDV01
場所はいわゆるアントル・ドゥ・メール(ガロンヌ川とドルドーニュ川の間のエリア)ですが、こういう協同組合に頼る生産者・栽培農家がたくさんいるってことですね。

以前 Entre-Deux-Mers (Haut-Bénauge) の時に使った地図に所在を示します。
EnteDeuxMers_改
どちらかと言えばドルドーニュ川寄りですね。


ラベル平面化画像。
IMG_7760
裏ラベルの「重口・軽口」の表示は中程度になっています。ボルドー赤にしては軽めなんでしょうか。NVかと思いましたが裏ラベルにヴィンテージ2016とありました。

さあ、抜栓。私の好きな言葉です。
IMG_8267SNS
シン・ウルトラマン版の外星人第0号メフィラスとその人間体(役:山本耕史)にしてみました。劇中の居酒屋と言うよりワインバーの方が似合いそうではありますが。

コルク平面化。
IMG_8270
キヤンティ・クラッシコのマークかと思いました(笑)。

Alc.13%。
ガーネット。
IMG_8271

黒ベリー、チェリー、リコリス。
水臭さの予感する辛口アタック。
のっけから酸とタンニンが不躾に主張しますが、
実体は居酒屋飲み放題ワインのそれに近いです(笑)。
ボルドーAOCのプライドを保つギリギリ最底辺の感じ。
がんばれば楽しめないこともないんですが…。

居酒屋飲み放題ワイン。
私の苦手な言葉です。


*****

メフィラス星人の赤ワイン 2016
Bordeaux
RRWポイント 79点


Château Carlmagnus 2018 Fronsac

ボルドー右岸と言えば、サンテミリオンやポムロールなどのメルロー主体のAOCが目立ってますが、フロンサックというAOCももっと注目されてもいいですよね。今日の作り手のインポーターの宣伝文句は「フロンサックのペトリュス」(笑)。リブルヌの町を挟んでポムロールの反対側でペトリュスからも車で10分ほどの距離ではありますが、お値段は200分の1(笑)。でも、確かにパーカーおじさんも安定して92~94点の評価をしている作り手なのでこれはいいかも…。

IMG_8043
シャトー・カルルマニュス2018。オーナーが、スポーツや絵画など多方面で活躍していた元フランスのフェンシング選手、アルノー・ルー・ウリエさんというから面白いです。祖父の時代からのワイン生産者の家系だったとのことで、家業を引き継ぐ形で1998年にフロンサックにシャトーを得てワイン作りをスタートさせたそうです。今日の2018年は20周年記念のスペシャルキュヴェということでラベルも特別バージョン。パーカーおじさんも92~94+点と高評価です。

公式ページは悪くないんですが、ワイン紹介がショップ兼用で在庫なしの2018は載ってません。

なので、近しいヴィンテージやインポーターの情報など参考にします。

・メルロー 90%
・カベルネ・フラン 10%

新樽率30~40%で12~14ヶ月の熟成といった感じです。新樽率50%で18ヶ月というインポーター情報もありました。2018は特別にやってるかもしれませんね。

シャトー・カルルマニュスを訪問します。おっと、奥まっていてストビューで入れません。
Maison-Roux-Oulie01
右岸にしては立派なシャトーの佇まいですね。

ボルドー右岸のAOC地図でフロンサック含めた位置関係を見てみます。
Bordeaux_Right_Fronsac
AOCフロンサックはAOCカノンフロンサックを内包しています。どちらも赤のみのAOCで品種の規定も同じ。今日の作り手はフロンサックのコミューンのど真ん中なのでカノンフロンサックも名乗れると思うんですが、ラインアップすべてAOCフロンサックで出していますね。謎~。それぞれのAOC の対象コミューンを以下にまとめます。

<カノンフロンサック>2コミューン
Fronsac、Saint-Michel-de-Fronsac

<フロンサック>7コミューン
Fronsac、Saint-Michel-de-Fronsac、La Rivière、Saillans、Saint-Aignan、Saint-Germain-de-la-Rivière、Galgon(ガルゴンは一部のみ) 


エチケット平面化画像。
IMG_7754
20周年記念ラベルでムートンみたいにイラストがあしらわれています。モトックスのシールはバーコードを隠していましたが剥がしました。


さあ、抜栓。
IMG_8037
20周年記念だからでしょうかキャップシールにもミレジムが入っています。

コルク平面化。
IMG_8040
コルクもしっかりミレジム入り。

Alc.15%。
濃いガーネット。中程度の粘性の涙。
IMG_8041

黒ベリー、プラム。
湿った木ですが複雑な樽香を感じます。
甘みをたたえる酸が居る辛口アタック。
シルキーなテクスチャーを持つ味の固まりは、
密度の濃い構造感を内包している…と申しましょうか。
とにかく骨格・バランスがしっかりしています。
喉越しからフィニッシュまでも完璧なバランスなのはあっぱれ。
メルローの頼りなさを感じない正統派ボルドーのうまさです。

パーカーおじさんは92 - 94+点と何をためらってるんでしょう。
サクッと95点をつけましょうよ。


*****


Arnaud Roux-Oulié
Château Carlmagnvs 2018
Fronsac
RRWポイント 95点


Château des Mille Anges Mozart 2013 Cadillac Côtes de Bordeaux

リカマンの店頭で「シャトー・アンジェリュスのオーナーがコンサルタントを務めるシャトー」のPOPが躍っていたワイン。1000円台の安ボルドーではありますが、お店のイチオシなら試してみましょう…ということで買ってありました。今日は「AOC Cadillac Côtes de Bordeaux」ほかを掘り下げながらいただいてみることにしましょう。

IMG_7901
ガロンヌ川河畔の町カディヤック(Cadillac)の東側にサン・ジェルマン・ド・グラーヴ(Saint Germain de Grave)という村があり、その小さな教会の脇に、昔修道院だったというシャトー・デ・ミランジュがあります。その修道院では昔から自家用のワインのためのブドウ栽培を行っており、また貧しい孤児たちを受け入れてきたそうです。第二次世界大戦後、そこは閉鎖されてしまいますが、1994年、現オーナーのヘザー・ファン・エクリス夫人(Heather van Ekris)がこの場所に惚れ込んで購入し、多額の投資をして今のシャトー(ワイナリー)を復興させました。 ミランジェ(Mille Anges)という名前は「千の天使」の意味で、この地域名の「ミランジュ(Milange)」と、修道院に預けられていた孤児たち(千の天使)とをかけたネーミングだそうです。そしてこの夫人が、シャトー・アンジェリュス(Château Angélus)のオーナー、ユベール・ド・ブアール氏(Hubert de Boüard)をコンサルとして招いて今に至ります。

これが店頭にあったPOPです。うまいことアピールしてますね(笑)。
IMG_1483
2013年はどうなんだ? などと一抹の不安を抱えながら、お安いし「いいや!」っと購入。

公式ページは情報もしっかり。いい感じ。ワイン紹介が最新ヴィンテージのみなのは残念。

2013年はインポーター情報なども参考にします。

・メルロー 60%
・カベルネ・フラン 20%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 20%

樹齢20年。収穫は半分機械を使います。熟成はタンクで16ヶ月となっていますが、インポーター情報では新樽33%のオーク樽とステンレスタンクの併用で14~16ヶ月とあります。樽あり?なし?どっちが正しいんでしょう?

さあ、シャトーを訪問します。なかなか立派。隣の教会も見えますね。
MilleAnges01
ガロンヌ川沿いのカディヤックやルーピヤックから車で15分ほどです。

コート・ド・ボルドー軍団(Côtes de Bordeaux)の地図で位置関係を見ます。
Bordeaux_Cotes-de-Bordeaux
「軍団」とは勝手に呼んでます(笑)。以下が構成員でしたね。2007年設立のコート・ド・ボルドー連合(Union des Côtes de Bordeaux)の公式サイトで確認できます。

Blaye Côtes de Bordeaux(
Cadillac Côtes de Bordeaux
Castillon Côtes de Bordeaux(
Francs Côtes de Bordeaux(・甘口白)
Sainte-Foy Côtes de Bordeaux(・甘口白)

要注意なのは、以下のAOCが「Côtes de Bordeaux」連合には入っていないこと。

・Côtes de Bordeaux Saint-Macaire・甘口白)
Premières Côtes de Bordeaux(

コート・ド・ボルドー連合からの赤は単なる「AOCコート・ド・ボルドー」を名乗ることもできますし、複数のエリアのブレンドも同じく「AOCコート・ド・ボルドー」が名乗れます。

Côtes de Bordeaux

すなわち、コート・ド・ボルドー連合は「赤」つながりの軍団ということになりますね。


今日のワインの「カディヤック・コート・ド・ボルドー(Cadillac Côtes de Bordeaux)」を深掘りしましょう。実は同じエリアに複数のAOCが同居しています。以下の地図はプルミエ・コート・ド・ボルドー(Premières Côtes de Bordeaux)の範囲ですが、カディヤック・コート・ド・ボルドーと同範囲なのがわかると思います。
Premier_Cotes-de-Bodeaux
元々、のAOCであったプルミエ・コート・ド・ボルドーから、2009年にがカディヤック・コート・ド・ボルドーとして分離されたため、こういうことが起こっています。言い換えると、カディヤック・コート・ド・ボルドーのエリアからは以下のAOCを作ることができるということです。

・Cadillac Côtes de Bordeaux(
・Côtes de Bordeaux(
・Premières Côtes de Bordeaux(
・Cadillac(甘口白)

最後のカディヤック(Cadillac)は初出ですね。範囲は以下のように少し狭いです。
AOC_Cadillac_Vin_Doux
カディヤック周辺の甘口白のAOCになります。プルミエ・コート・ド・ボルドーやカディヤック・コート・ド・ボルドーの地図の範囲と見比べてください。同じく甘口白のAOCルーピヤック(Loupiac)とAOCサント・クロワ・デュ・モン(Sainte Croix du Mont)のコミューンが抜けていますね。一応、被らないようになってるようです。

最後にセパージュをまとめておきます。赤・白、以上のAOCで共通です。

<赤>
・主要品種:Cabernet Sauvignon、Cabernet Franc、Côt  (Malbec)、Merlot
・補助品種:Carmenère、Petit Verdot
(補助品種のカルメネールは10%以下、プチヴェルドは15%以下。)
<白>
・主要品種:Sauvignon Blanc、Sauvignon Gris、Sémillon、Muscadelle
・補助品種:Colombard、Ugni Blanc (Trebbiano Toscano)
(補助品種は15%以下。)


エチケット平面化画像。
IMG_7630
URLまで入って表ラベルで完結しています。

どうりで裏はインポーターシールのみ。
IMG_7631


さあ、抜栓。
IMG_7896
キャップシールのエンボス、いいですね。

コルク平面化。
IMG_7894
ミレジムも入っていいんですが、このコルク、脆かった! ボロボロになりました。

Alc.13%。
ガーネット。
IMG_7897

黒ベリー、チェリー、湿った木の樽香。
酸味の香りです。
やはり酸味の乗った辛口アタック。
味わいは厚みあって安定感はあるんですが、
最初の酸味はやはり少しバランス崩しますね。

時間をかけて変化を期待してみました。
すると、なぜかスルスル開けてしまいました。
まあそこそこ楽しめたということで(笑)。


*****

Château des Mille Anges
Cuvée Mozart  2013
Cadillac Côtes de Bordeaux
RRWポイント 87点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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