Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Moscato

Vecchia Volpe Moscato d’Asti DOCG 2020

目つきの悪いキツネのイラストが目を引くモスカート・ダスティ(Moscato d’Asti)です。甘口の微発泡ワインということで、普段はあまり手を出さないジャンルなんですが、Asti DOCGの呼称に含まれるれっきとしたDOCGです。今日はこれをカレーライスに合わせて試してみます。(カレーとのペアリング探しは昔からの課題です。笑)

IMG_9723
作り手はアグリコラ・ヴェッキア・ヴォルペと名付けられたワイナリーですが、ピエモンテのサント・ステーファノ・ベルボ(Santo Stefano Belbo)という町にあるイカルディ家が営む農家が正体です。1950年代に最初のモスカートの畑を始め、ワイン生産者へブドウを売っていたのですが、その品質の良さに評判も上がり、現世代のイカルディ家の3兄弟は2013年に自らのワイン作りを始めます。それが今日のワインです。まだワイン生産施設は持っておらず、隣町(Castiglione Tinella)にあるラ・モランディーナ(La Morandina)というワイナリーの施設を借りて作っています。現在3,000本の生産量です。

公式ページは一応あるんですね~。1ページのスクロールものですが、必要十分な情報です。

1種類ですが、しっかり情報載っていました。

・モスカート・ビアンコ 100%

畑は標高400m、南西向きの3haだそうです。ステンレスタンクで1ヶ月かけて自然発酵させます。

モスカート・ダスティはスパークリング(Spumante)のアスティと違い、最低アルコール度数が4.5%なので、アルコールが5%に達した時点で発酵を止めて、瓶内圧も2.5気圧以下に抑えられます。(3気圧以上が一般的に「Spumante」であり、それ以下は「Frizzante」といいます。)

アスティ・スプマンテ(Asti Spumante)は、シャルマ(Charmat)方式、もしくはマルティノッティ(Martinotti)方式と呼ばれる大型タンクで二次発酵を行う方式で作られます。また、アスティ(Asti)方式という、発酵途中でタンクを密閉し炭酸ガスを中に閉じ込める、発酵を一回しか行わない方式も用いられますし、シャンパーニュ方式(瓶内二次発酵)で作られることもあります。
(アスティ・スプマンテについてですが、2020年から甘口である規定がなくなり、エクストラ・ブリュットやドザージュ・ゼロもOKになっています。同時に最大アルコール度数もなくなり、どんどんシャンパーニュに寄って行ってる感じがします。)

モスカート・ビアンコ(Moscato Bianco)がアスティ、モスカート・ダスティの主要品種です。
Moscato
フランスで言うところの「Muscat Blanc à Petits Grains(Ronds)」と同じ品種で、「粒が丸くて小さい」という意味の名前です。スペインやポルトガルではモスカテル(Moscatel)と呼ばれます。ヨーロッパ種(Vitis Vinifera)であり、ワイン用のみならず生食用としても古くから広く世界中で栽培されています。実際は長い年月を経てたくさんの品種に分かれているので、300ものシノニムが世界に広がり、黒やグリを含む多様な色変異種も存在します。
起源は不明で、親品種はおそらくすでに絶滅しているとされます。いわゆる日本のマスカットはマスカット・オブ・アレキサンドリア(Muscat of Alexandria / Muscat d'Alexandrie)で、これはモスカート・ビアンコの子に当たります。Muscat of Alexandria=Axina de Tres Bias (黒品種) x Muscat Blanc の自然交配とされます。

ヴェッキア・ヴォルペが醸造を委託しているラ・モランディーナがこれです。
Vecchia_Volpe00
畑自体はサント・ステーファノ・ベルボ(Santo Stefano Belbo)のヴァルディヴィッラ(Valdivilla)という地区にあるそうで、距離的には問題なさそうですね。

Asti DOCG のエリアの確認ですが、Monferrato DOC のエリアとの位置関係で見ます。
ASTI_Monferrato_Moscato_Vol
アスティの町の南側に広がるエリアですが、結構ランゲ(Langhe)DOC側にもあります。全域ということではないですが、バルバレスコやロエロ、バローロの一部エリアも対象です。また、右上にインポーズした地図にアスティの3つのサブゾーンを示しています。それぞれ若干規定が違います。

<Subzones / Sottozone>
Canelli (Moscato d’Asti のみ)
Strevi (Vendemmia Tardiva を除く全スタイル)
Santa Vittoria d’Alba (全スタイル)

※ Vendemmia Tardiva は遅摘みの甘口デザートワインです。
※ Asti DOCG は Spumante、Moscato d’Asti、Vendemmia Tardiva の3カテゴリーから成ります。



ラベル平面化画像。
IMG_9704
いい感じのキツネなんですが、HPを見ると可愛いキツネのイラストにデザイン変更されてるみたいですね。残念。


さあ、抜栓。
IMG_9719
微炭酸ですがガス圧があるのでキツめにコルクをねじ込んであるんでしょう。結構変形しています。

コルク平面化。
IMG_9721

Alc.5.5%。
淡いイエロー。
IMG_9722

パイン、メロン、黄桃、青リンゴ。
微甘がほどよいです。
メロンっぽさからのジューCの味(笑)。
これはいい感じにおいしいです。
やっぱり狙い通りカレーに合いました。


*****


Vecchia Volpe
Moscato d’Asti DOCG 2020
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Marenco Piemonte Moscato 2019

コストコで見つけました。モスカートを使った甘口で微発泡とあるので、モスカート・ダスティDOCGかと思うとさにあらず。広域のピエモンテDOCとなってます。そういったところを探りながら食前酒としていただきましょうか。コストコだからお買い得に違いないと信じつつ…。(笑)


IMG_3962
今日の作り手マレンコは、1925年に遡る歴史があるようですが、1956年に事業を大きくしてストレーヴィ(Strevi)の町に現在のワイナリーを設立したそうです。アスティ(アスティ・スプマンテ、モスカート・ダスティ)以外もグラッパまでいろいろやってます。


公式ページはいい感じなのですが、今日のワインが載ってません。

やはりコストコ向けバージョンなんでしょうかね。モスカート・ダスティDOCGらしきピエモンテDOCというのもラインアップにはありません。インポーター情報を見ても大した情報はなし。
・モスカート 100%
モスカートは、いわゆるマスカット(Muscat)です。イタリアではモスカート・ビアンコとも。
Marenco021
スペインやポルトガルではモスカテル(Moscatel)でしたね。ヨーロッパ種(Vitis Vinifera)であり、ワイン用のみならず生食用としても古くから広く世界中で栽培されています。実際は長い年月を経てたくさんの品種に分かれているので、日本で言うマスカットはマスカット・オブ・アレキサンドリア(Muscat of Alexandria)だったりしますし、今日のイタリアのモスカート・ビアンコはフランスで言う所のミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン(Muscat Blanc à Petits Grains)と同じです。マスカットではこれが一番古いとする解説もありますね。


小さなストレーヴィ(Strevi)の町にあるマレンコを訪問。
Marenco01
市街地の周辺は当然畑ばかりで、アスティの主要産地のひとつになってます。


今日のワインはアスティDOCGではありませんが、なぜピエモンテDOCになっているのかを知るためにも、アスティ(Asti DOCG)の定義を見ていきたいと思います。
・1967年にDOC認定され、1993年にDOCGに昇格。
・使用品種はモスカートのみ。(正確には97%以上となっています。)
・対象エリアは、ピエモンテ州南部のアスティ県、アレッサンドリア県、クーネオ県にある52村。
・スタイルは、以下の3種類があります。

 [ Asti Spumante ] スパークリングワイン、瓶内圧は3気圧以上になり甘さ抑えめ。
 [ Moscato d'Asti ] 微発泡の甘口ワインで瓶内圧は2.5気圧を超えてはいけません。
 [ Vendemmia Tardiva ] 遅摘みで極甘口に仕上げたスティルワイン。

Asti Spumante に対し、Moscato d'Asti は、いわゆるフリッツァンテ(Frizzante)ということです。どちらも通常シャルマ式で作られますが、瓶内二次発酵(Metodo Classico)で作っても構いませんし、実際そういう作り手もいるようです。

Asti DOCG には以下のサブゾーンがあり、地名のラベル表記が可能ですが、その場合微妙に規定が違います。
・ストレーヴィ(Strevi)今日の作り手の所在。Vendemmia Tardivaだけ認められていません。
・カネッリ(Canelli)モスカート100%の Moscato d’Asti のみ。
・サンタ・ヴィットリア・ダルバ(Santa Vittoria d’Alba)すべて可。
サンタ・ヴィットリア・ダルバだけ、なぜか飛び地のような所にあります。


Monferrato / Langhe の範囲を示したGoogle Map上に作り手の所在を示しました。
MoscatoDasti02
Monferrato のエリア南側の真ん中辺りですね。左側にインポーズした地図上に黄色でハイライトしたのが Asti DOCG(Asti Spumante、Moscato d'Asti…)のエリアです。見にくいですが(笑)、Monferrato のエリアの南側および Langhe 側に張り出していて、バルバレスコのエリアも含んでるのがわかりますでしょうか。

以下の Asti DOCG だけに絞った地図と見比べるとよくわかります。
MoscatoDasti01
3つのサブゾーンもわかりましたね。飛び地のサンタ・ヴィットリア・ダルバはポツンとロエロ地域のタナロ川沿いになります。しかし、ピエモンテ州の DOC/DOCG はややこしいですね。
結論として、今日のワインはモスカート・ダスティの要件を満たしていますし、モスカート・ダスティを想定して作られているのは間違いないですが、ピエモンテDOCになるということは、おそらく、域外のモスカートを使用してるんだと思います。チャンチャン。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_3939
モスカート・ダスティの特徴でアルコールは5%しかありません。(規定は5~6.5%)


さあ、スクリュー回転。
IMG_3968
黄色がいい感じですが無印です。

Alc.5%。(pH:3.51、Brix:13.4)
糖度は当然高いです。淡いゴールド。
IMG_3961

マスカットの香り。(笑)
ラムネ、新しい石鹸のような香りも…。
マスカット味のラムネといった味わい。

食前酒としての役は果たしますが、
アルコール分も低いですし、
甘くて美味しい…ジュースでした。(笑)


*****


Marenco
Piemonte Moscato 2019
WWWポイント 78点



WhiteWhiteWine01
--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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