Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

Navarra

Bodega Inurrieta Orchidea Sauvignon Blanc 2022

スペイン、ナバラ州の白、それもソーヴィニヨン・ブランです。過去そんなにナバラ州のワインを試しているわけではないですが白は初めてですね。調べるとナバラ州の90%は赤だそうで、また、ソーヴィニヨン・ブランというのも珍しいようです。お試ししてナバラ州を掘り下げましょう。

IMG_0744
ホセ・アントニオ・アリオーラ(José Antonio Arriola)さんがスーパーマーケットで共同経営者だった仲間と1999年に創設したワイナリーで、先祖の時代からブドウ畑はあったそうですが、ワイナリー創設と共にブドウの植え付けをはじめ2001年に最初のリリースをしています。2002年には立派な最新鋭のワイナリー施設が完成しています。社名の「イヌリエタ(Inurrieta)」は先祖がほぼ 1 世紀前にブドウ畑を栽培していた土地の名前に由来しているそうです。


公式ページはよく出来ていて情報も豊富で助かります。

今日のワインもデータシート付きで紹介があります。

・ソーヴィニヨン・ブラン 100%

ワイン名の「オルキデア(Orchidea)」は、蘭の花の意味です。(なぜかイタリア語? スペイン語では「オルキーデア(Orquídea)」が正しいのですが…。)豊富なフローラルなアロマからパッションフルーツ、ライム、パイナップル等の熟したトロピカルフルーツの香りが楽しめるということでこのネーミングにしたようです。シュール・リーで(澱とともに)タンク内で3~4ヶ月熟成されます。


イヌリエタを訪問します。立派な施設と周囲の畑が印象的です。
INURRIETA
ナバラ州の南側、ファルセス(Falces)という町にあり、町を貫くアルガ川(Arga)の畔。自社畑はこのアルガ川の両岸に広がっています。河川敷なので堆積してできた砂質と粘土質の土壌に表層は小石に覆われているようです。

アルガ川というのはアラゴン川に合流した後エブロ川となり地中海に注いでいます。
Arga
これはエブロ川流域(エブロ川とその支流)を示した地図です。エブロ川(Ebro)はご存知リオハを通して流れる重要な川ですね。(地図上「Èbre」となっているのはエブロ川のフランス語で、すべてフランス語表記になっていますのであしからず。)

恒例ですがGoogle Mapでナバラ州周辺を俯瞰して位置関係を見てみましょう。
Navarra
イヌリエタの場所も示しています。DO(Denominación de Origen)Navarra はナバラ州全域ではなく州都パンプローナの南側だけになるようですね。また、先ほど見たエブロ川は、ナバラ州とラ・リオハ州(La Rioja)の州境になっている川ですが、エブロ川の両岸がDOでいうところのDOCa(Denominación de Origen Calificada)Rioja(DOCaリオハ)に当たり、州境周辺(エブロ川両岸)はDOナバラではないということです。ややこしいですね。エブロ川はリオハに譲った感じです。

拾い物の地図でDOナバラを掘り下げておきましょう。(オリジナルを若干修正。)
Navarra_もらい
この地図を見るとDOナバラにはサブゾーンが以下の5つあるのがわかります。

・Tierra Estella
・Ribera Alta
・Valdizarbe
・Baja Montaña
・Ribera Baja

今日の作り手イヌリエタは「Ribera Alta」にあります。そしてDOナバラにはスペインワインの格付け最高峰の「Vino de Pago」が以下の3つあります。

❶ Pago de Otazu
❷ Prado de Irache
❸ Pago de Arínzano

「Vino de Pago」はグラン・クリュ的に畑レベルの狭域になりますので地図上には番号で地点が示してありますね。現在スペインには20の「Vino de Pago」がありますから、その内の3つがナバラ州にあるということになります。

あと、この地図には VT(Vino de la Tierra)が以下の2つ示されています。VTはいわゆるEUのワイン法の IGP(Indicación Geográfica Protegida)にあたる広域の保護地理表示です。

・3 Ribera(ナバラ州全域、エブロ川沿いのリオハのエリアは除く)
・Ribera del Queiles(アラゴン州にまたがるのでアラゴン州のVTでもある)

「3 Riberas」はDOナバラと違いナバラ州の北側全部を対象としていますね。

以上の整理のために下図にスペインの格付けを示しておきます。
スペイン・EUワイン法
VC(Vino de Calidad con Indicación Geográfica)は聞き慣れませんが、それもそのはず、DOへ昇格するためのプロセスのような格付けです。

さらに、DOナバラ・ワイン公式ページのリンクを貼っておきます。

なかなか優れモノのサイトで各サブゾーンの特徴や作り手の所在など情報豊富です。最後にDOナバラで使える品種が書いてあったので以下に転記をしておきます。

<黒品種>
・Cabernet Sauvignon (DOナバラの13%以上を占める)
・Garnacha Tinta (=Grenache Noir、DOナバラの25%以上を占める、過去は90%もあった時代も)
・Graciano (リオハ/ナバラが原産のローカル品種、消滅の危機を脱しリオハ/ナバラで復活)
・Merlot (カベルネ・ソーヴィニヨンのブレンドパートナーとして)
・Mazuelo (=Cariñena / Carignan)
・Pinot Noir (2008年から認可のナバラでは新しい品種)
・Syrah (2008年から認可のナバラでは新しい品種)
・Tempranillo (DOナバラの31%以上を占め最多)

<白品種>
・Chardonnay (DOナバラでの最多白品種、全体の6%を占める)
・Garnacha Blanca (ブレンド用か甘口に使われることが多い)
・Malvasía (サブゾーン Valdizarbe に少量あるだけ)
・Moscatel de Grano Menudo (=Muscat Blanc à Petits Grains)
・Sauvignon Blanc (今日のワインだが全体での栽培量は少ない)
・Viura (=Macabeo、歴史ある品種ながら全体の3%)

それぞれの品種の%が書いていますが、DOナバラで黒・白品種の割合は90%・10%と圧倒的に赤ワインということを念頭に置いて読んでください。


ラベル平面化画像。
IMG_0546
「B」のマーク?と思いましたが、コルクにオープナーが刺さってるところだそうです(笑)。

インポーターシールはこの有り様。最悪パターンです。
IMG_0543
英語の解説やURLを隠すのはまったく許しがたい。そしてこのシールがうまく剥がせませんでした。


さあ、抜栓。
IMG_3133
無印コルクながらミレジムは横に打ってありました。珍しいパターン。

Alc.13%。
キラキライエロー。
IMG_0743

ネーブル、夏ミカン、洋梨、
トロピカルと言われればそんな感じ。
ソーブラらしいグリーンっぽさもあります。
微炭酸と甘み感じる辛口アタック。
グレープフルーツのような柑橘系のフルーティさ。
酸も柑橘系のソレです。
華やかさ、トロピカルさありあり。
後味にも柑橘系の果実味残っていい感じです。


*****


Bodega Inurrieta
Orchidea Sauvignon Blanc 2022
WWWポイント79点



WhiteWhiteWine01

Bodegas Castillo de Monjardín Castillo Monjardín Pinot Noir El Cerezo 2016

この前はイタリアのピノ・ノワール(ピノ・ネロ)をいただきムフフフでした。
気を良くして今日はスペインのピノ・ノワールを試してみましょう。
スペインではカバにピノ・ノワールが使われたりするのは聞きますが、
辛口ピノの有名なのは聞いたことがないので、適当に選んだのがこれ。
国内外で100以上の賞の獲得を誇るDOナバーラでは高評価の作り手のようです。


IMG_0359
220haもの畑(最古は70年)を所有し、カベソー、メルロー、シャルドネ、
テンプラニージョとなんでもござれです。しかしながら、中でも、
ガルナチャとピノ・ノワールはいいのが出来てると自慢気です。


公式ページはこじんまりした作りですが情報は十分。

当然ながらの、
・ピノ・ノワール 100%
「El Cerezo(桜の木の意)」という樹齢30年の畑からだそうで。
樽熟はオーク樽で9ヶ月。フレンチかアメリカンかの明記なし。
スペインはアメリカンオークを多用しますからね。いかがなもんでしょう。


さて、ワイナリー訪問です。
Monjardin01
カスティージョ・デ・モンハルディンというワイナリーの名前ですが、
ビジャマジョール・デ・モンハルディンという町の丘の上にある城のことです。
ワイナリー施設も立派ですが、その背後の丘の上に城が見えますね。
町のシンボルでもあるこの城の名前をいただいちゃったわけです。
しかしこのワイナリー、上空から見ると集落の半分ぐらいの大きさがありますよ。

ちょっと離れて、畑、ワイナリー、城をうまく1枚に収めました。
Monjardin02
位置的には、ナバーラ州の州都パンプローナから車で40~50分、
自分が行ったことのあるビトリアからは1時間ほどです。
Estella(エステージャ)という町が最寄りになります。

ティエラ・エステージャ(Tierra Estella)がDOナバーラのサブリージョン。
Navarra01
エブロ川がナバーラ州とラ・リオハとの州境になっています。

いつものスペインDO地図を貼っておきます。
Navarra02


エチケット平面化画像。
IMG_0339
紋章のようなマークはワイナリーの建物をイメージしてるのがわかりますね。

インポーターシールは別撮りしました。
IMG_0341


さあ、抜栓。
IMG_0361
キャップシール、コルク、あちこちに例のマークが入っています。

コルクも平面化。
IMG_0357

Alc.13.5%。
濃い目のルビー。涙は細かいです。
IMG_0358

フランブエサ(Frambuesa、スペイン語でラズベリーの意)ながら、
ミントのような爽やかさが着いてきます。
アメリカンチェリー、佃煮系樽香もあります。
これはやはりアメリカンオークかな?
辛口アタック。
酸味抑え目、いいぞ!
味の構造感、タンニンの入り具合、いずれもツボを突いてます。
アメリカ樽かもしれない風味が若干強めなのが気になりますが、
余韻への流れもなかなかドラマチック。
楽しめました。やるじゃん、スペインも。


*****


Bodegas Castillo de Monjardín
Castillo Monjardin Pinot Noir El Cerezo 2016
RRWポイント 92点


Chivite Colección 125 Reserva 2010 DO Navarra

やまやで、ラベル傷みと汚れでかなりお安く売ってました。
ラベルの傷はわかるとして、裏のワインこぼれの跡はヤバいです。
キャップシールを入念にチェックしますが吹いた形跡はなし。
よ~しと購入決定。まあ、訳あり品で安いですからね。(笑)
しかし、ナバラの歴史ある作り手で、パーカーおじさん92点です。
品質に問題なければとってもお得。(笑)


IMG_7428
リオハにも近いナバラで1647年創業の老舗ワイナリーです。
1860年に最初の輸出を始め、1985年に輸出125周年記念として、
この「125」というワインを出したんだそうです。
125年って、ちょっと中途半端ですね。(笑)

1850年代はウドン粉病(フランス語はOdium)がヨーロッパに蔓延し、
各地のワイン生産は大打撃を受けました。
それでこのワイナリーはスペインからフランスへの輸出を始め、
大成功を収め繁栄したようです。
しかし、1860年代になり、あのフィロキセラがヨーロッパに上陸します。
その後、ヨーロッパのワインは壊滅状態になったんでしたね。
そのことは公式ページの歴史の項には記述がありません。
フィロキセラ禍からは逃れられたんでしょうかね。


ここの公式ページは立派なのですが、ワイン情報が2012年しかなく、
例によってネットで2010年を調べます。
セパージュは、
・テンプラニージョ 71%
・メルロー 17%
・カベソー 12%
テンプラニージョ主体ですが国際品種とのブレンドとは面白いです。
樽熟は、新樽率60%のフレンチオークで14ヶ月と貫禄です。


さあ、ワイナリー訪問です。スペイン、ナバーラ州へ。
Chivite02
残念。近寄れません。林の向こうに立派な建物があるはず。

DO Navarraはこんなところです。ピレネーのふもと。
Chivite01
赤マルが今日のワイナリーの所在地です。

スペインのDO地図を再掲しておきましょう。
MapSpain
ナバーラはリオハと隣接しているのがわかりますね。


エチケット平面化画像。
IMG_7422
裏ラベルにけっこうなワイン汚れがあります。(笑)


さて、抜栓。ミレジムが端に入ったコルクですね。
IMG_7429
このキャップシールと紋章がワイナリーのマークらしく、
エチケットの表・裏にも同じマークが入っています。
ホームページにも全編このマークが登場します。

Alc.14%。
ガーネット、エッジがかすかに褐変。
カシス、ブラックチェリー、シナモン。
酸味を思わせる香りも。
やはり爽やかな酸味を思わせる味の乗ったアタックです。
しっかりした味の構造感がありますが、
生き生きした軽さもあります。
かすかに酸味が残る余韻はなかなかいいです。
古臭さも重々しさも感じない元気なうまさ。
こんなのいいですねえ。
相当スキルのある作り手と見ました。


*****


Bodegas Julián Chivite
Chivite Colección 125 Reserva 2010
DO Navarra
RRWポイント 95点


ARTADI ARTAZURI Garnacha 2013

以前ちょっと上等なテンプラニージョをいただいた、
アルタディという作り手ですが、今日のは、そのアルタディが、
ナバラに展開する「アルタス」というワイナリーが作る、
グルナッシュ(スペイン語でガルナチャ)のワインです。


IMG_6597


公式ページは、ARTADIのサイトです。
ここからアルタスのワインも見られるようになっていますが、
残念ながらこのアルタスリというこのワインが載ってません。
お手頃価格のセカンド的な立ち位置だからでしょうか。
まあ、載ってるワインでも詳細情報が少ないんですが…。

グルナッシュ100%で樽熟なしってなところだと思いますが、
パーカーおじさんが2001年に92点、2009年に91点をつけていて、
そうそう侮れないワインじゃないかと推察します。


ラベルを平面化。控えめインポーターラベルはありがたし。
IMG_6418
DOナバラということがわかります。

アルタディのリオハからは1時間足らずでアルタスに着きます。
Artazuri02
リオハとナバラの位置関係もわかるように地図を追加しておきます。

アルタディのサイトにあった住所を頼りにアルタスに行きます。
Artazuri01
この辺りのはずですが、それらしい所は見当たりません。
「マジョール通りS/N(Sin Número 番地なし)」なので特定不能です。
しかし、このアルタスという小さな集落は小高い丘の上にあり、
まわりはブドウ畑ほかの平原が見渡せて、いい雰囲気です。


さて、スクリュー回転。
Alc.14.5%。濃厚そう。
濃いルビー。
フランブエサ(スペイン語でラズベリー)が香ります。
キャンディ風味もちょっぴりする感じ。
うま味アタックです。
フルーティーな印象です。
フルボディを感じさせない軽やかさと爽やかさがあります。
こんなガルナチャって、あるなちゃ?
今までのグルナッシュのイメージが変わります。
今日は麻婆豆腐に合わせるのに、ピノ・ノワールと迷いましたが、
どっちに転んでもOKだったくらいピノっぽいです。
余韻も軽いですが、これはこれでいいです。

確かにカジュアル感満載ですが、
全体評価としてとても楽しめるいいワインだと思います。
いわゆる和食に合わせやすいタイプです。


*****


ARTADI
(Bodegas y Viñedos Artazu)
ARTAZURI Garnacha 2013
RRWポイント 92点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


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