Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

RRWポイント:87点

Ashton Winery Pinotage 2019 W.O. Robertson

南アフリカの代表品種、ピノタージュです。「たまにはピノタージュといこうか」と選ぶと、なぜか1年ぶりということが多く、過去記事をさかのぼると最近はだいたい年に一回ぐらいの頻度でそう思うようです(笑)。昨年はアルダリング(Aaldering)というところのピノタージュを試しました。今日選んだのは割とお手頃なやつです。しかし、この頻度ではピノタージュの品種の本性がなかなかつかめないものですね(笑)。

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作り手はアッシュトン・ワイナリー。ロバートソン(Robertson)の地区(District)の、その名もアッシュトン(Ashton)という町にあるワイン生産協同組合になります。1962年創立で現在50のメンバーから成るそうです。

公式ページは写真も多くなかなかいい感じ。facebookも頻繁に更新しているようです。
Ashton00
ワイン紹介も一応データシートにまとまっていますが内容が薄いのでインポーター情報から。

・ピノタージュ 100%

手摘み収穫。マロラクティック発酵後、樽で6ヶ月熟成とのこと。最小限のクオリティは確保されているような感じです。

ピノタージュは、ステレンボッシュ大学の Abraham Isak Perold 教授 (1880-1941) により、ピノ・ノワールとサンソーとの交配から、1924年に南アフリカで生まれました。
Pinotage01
その後すぐに南アフリカの代表品種になったわけではなく、初めてピノタージュからワインが作られたのが1941年になってからなんだそうです。ピノタージュの名前で呼ばれるようになったのが、さらに20年後の1961年というから驚きです。それからまた時が経ち、ピノタージュ普及の立役者であるカノンコップ(KANONKOP)が1995年にピノタージュ協会(Pinotage Association)を立ち上げて現在に至ります。
Pino Noir(ピノ・ノワール)と Cinsault(サンソー)ですから、Pinosault(ピノソー)にでもなりそうなもんですが、南アフリカではサンソーを昔から Hermitage(エルミタージュ)というシノニムで呼んでいて、Pino+tage =Pinotage となったという訳です。

アッシュトン(Ashton)の町のアッシュトン・ワイナリーを訪問します。
Ashton01
なかなかの規模、正面には近代的な建物が見えますね。

ロバートソン(Robertson)地区(District)を俯瞰して場所を確認します。
Robertson
ロバートソンは周囲を山々で囲まれており、ブリード川(Breede River)が貫いています。その重要な川にちなんで、ブリードクルーフ地区(Breedekloof)とウスター地区(Worcester)とを合わせて、ブリード・リヴァー・ヴァレー(Breede River Valley)のリージョンを形成するというわけです。ブリード川(Breede River)はブレーリフィール(Breë River)と現地では呼ばれているそうです。Google Map上ではブレーリフィールと表記していますね。

W.O.(Wine of Origin)Western cape を俯瞰してロバートソンの位置関係を確認。
South_Africa_WO_Western_Cap
今回は「W.O. Western Cape」の「Region - District - Ward」の関係をすべてまとめませんが、詳細情報は過去記事やSAWIS(South African Wine Industry Information and Service)のサイトを参照ください。

とはいうものの、今日はロバートソン(District)の中の区画Ward)を見ておきましょう。
Robertson01
ロバートソン内には全部で14のウォード(Ward)があります。ウォードはその域内産(100%)のワインなら、単独で W.O. が名乗れます。今日の作り手アッシュトン・ワイナリーは名前の通りアッシュトンのウォードに属しています。一応すべて列記しておきます。

・Agterkliphoogte
Ashton
・Boesmansrivier
・Bonnievale
・Eilandia
・Goedemoed
・Goree
・Goudmyn
・Hoopsrivier
・Klaasvoogds
・Le Chasseur
・McGregor
・Vinkrivier
・Zandrivier


ラベル平面化画像。
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裏ラベルには簡単ですが地図付きのワインの説明がありますね。ロバートソンは「ワインとバラの谷」として知られるそうですね。


さあ、スクリュー回転。
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ネックにはお馴染みSAWISのシールサーチの情報につながるコードが貼られています。

Alc.13%。
軽めの印象のガーネット。
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カシス、ラズベリー、コーヒーっぽさかすかに。
辛口アタック。
酸が後から出てきて軽めに感じさせますが、
味の厚みはなんとか保っている感じです。
バランスは悪くないんですが、
全体に軽い印象は否めません。
タンニンは効いてるのでサクッと楽しめました。


*****

Ashton Winery
Pinotage 2019
W.O. Robertson
RRWポイント 87点


Punta Crena Isasco Rossese 2019 Riviera Ligure di Ponente DOC

イタリアの全20州のワインはだいたい試していますが、まだまだ知らない品種やDOC/DOCGがあり、課題の多い国です。リグーリア州はジェノバやリビエラ海岸など旅先として懐かしい場所ですが、ワインとしてはまだまだ手薄なもので、今日のこんなワインに出くわしたりします。DOC名の Riviera Ligure di Ponente とは「西のリグーリアのリビエラ海岸」という意味。品種もお初のロッセーゼ(Rossese)です。

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作り手のプンタ・クレナ(Punta Crena)はリビエラ海岸のフィナーレ・リーグレ(Finale Ligure)の町に近いヴァリゴッティ(Varigotti)という海岸沿いの集落にあります。1400年代からこの地でブドウ栽培をし、1800年代にはワイン作りを始めたという、とてつもない歴史を持つルフィーノ家のワイナリーです。

公式ページは見当たりませんでしたが、かなり詳しいインポーターページがありました。

いろんな土着品種をやっています。VermentinoPigato の両方がラインナップされていますが、リグーリア州のピガート(Pigato)と呼ばれる白品種はヴェルメンティーノのシノニムのはずです。(ピエモンテでは Favorita と呼ばれます。Vermentino = Pigato = Favorita です。)また、Mataòssu と Lumassina という白品種もそれぞれやってますが、これもお互いシノニムです(Mataòssu = Lumassina)。もう、わけワカメです(笑)。

・ロッセーゼ 100%

芳醇な香りと、ふくよかさを引き出すため澱とともに6ヶ月の熟成をするそうです。タンニン、色素の薄い品種なので透けるルビー色になるようです。

ロッセーゼを調べると、今日の Riviera Ligure di Ponente DOC のロッセーゼは「Rossese di Campochiesa」と言われるイタリア原産の品種であるとの結論に行き着きます。
Rossese-di-Campochiesa
リグーリア州のサヴォナ県(Savona)中心に分布しているようなので、今日のワインはこれなのかなと思います。サヴォナ県にあるカンポキエーザ(Campochiesa)という村が名前の由来であり、サヴォナ県はリヴィエラ・リグーレ・ディ・ポネンテDOCとほぼ重なります。

ロッセーゼと言えば、リグーリア州の西端の Rossese di Dolceacqua DOC(=Dolceacqua DOC)がもともと有名で、DOC名にもなっているのが「Rossese di Dolceacqua」と呼ばれているこの品種です。驚いたことに、フランス原産のティブラン(Tibouren)と同一品種です。
Rossese_Dolceacqua
こちらはロッセーゼ・ディ・ドルチェアックアDOCと重なるインペリア県(Imperia)中心に分布していて、名前の由来はやはりドルチェアックア(Dolceacqua)という村です。すぐ西隣がフランス国境で、車で15分も行けばコートダジュールに入っていきます。そう、プロヴァンス地方です。ティブランはAOCコート・ド・プロヴァンスの主要品種のひとつでしたね。地理的関係にも合点がいきました。

以上、リヴィエラ・リグーレ・ディ・ポネンテDOCのロッセーゼと、ロッセーゼ・ディ・ドルチェアックアDOCのロッセーゼと、2種類のロッセーゼがあるのがわかりましたが、2009年のDNA分析により、この2つのロッセーゼは遺伝子的にも別品種であることが判明しています。

Rossese di Campochiesa ≠ Rossese di Dolceacqua

にもかかわらず、イタリアではこの2種は今も頻繁に混同され続けているそうです。DOC的にも品種はロッセーゼとしか書きませんし、区別をしていません。やはりイタリアはカオスであります(笑)。

カオスついでに、ロッセーゼ・ビアンコと名の付く白品種が以下の5つありますが、これらどれも同一でなく、上記の黒品種2種の色変異でもありません。イタリア…カオス!

・Rossese Bianco:リグーリア州 ラ・スペツィア県(La Spezia)シノニム: Ruzzese
・Rossese Bianco:リグーリア州 ラ・スペツィア県(La Spezia)シノニム:Grillo / シチリア島
・Rossese Bianco:ピエモンテ州 クーネオ県(Cuneo)
・Rossese Bianco di Monforte:ピエモンテ州 クーネオ県(Cuneo)
・Rossese Bianco di San Biagio:リグーリア州 インペリア県(Imperia)、サヴォナ県(Savona)


プンタ・クレナを訪問します。きれいなビーチのある海岸のすぐ上の丘の上です。
PuntaCrena01
なかなか規模は大きそうですから、HPくらい作ってほしいものです。

実はその昔、このすぐ近くのフィナーレ・リグーレという町に泊まったことがあります。
Finale-Ligure
リビエラ海岸のリゾート地のひとつで、きれいなビーチ沿いにホテルが立ち並んでいます。今日のワインとは直接は関係ないのですが、今は亡き人との思い出の旅です。地元のレストランでの夕食で飲んだ赤ワインはロッセーゼだったかもしれません…。


さあ、イタリア全20州の地図でリグーリア州の位置を確認しましょう。
Italia_map_Blue
州都はジェノヴァ(Genova)。フランスのモナコやニースに続く海岸線の部分が州になっています。

リグーリア州のGoogle MapにDOCを書き込んでみました。この州はDOCGがありません。
Liguria
今日の作り手、ヴァリゴッティ(Varigotti)にあるプンタ・クレナ(Punta Crena)の場所を記しています。ロッセーゼ・ディ・カンポキエーザのカンポキエーザ(Campochiesa)村やロッセーゼ・ディ・ドルチェアックアのドルチェアックア(Dolceacqua)村も書き込んでいますのでご確認ください。

Riviera Ligure di Ponente DOC はロッセーゼ90%以上で「ロッセーゼ」と表記できます(今日のワイン)。赤は現地で「Granaccia」と呼ばれる Alicante(=グルナッシュ)も使えます。白もあり、品種は、Moscato、Pigato、Vermentino になります。(だから、Vermentino = Pigato だっちゅうに!)

Rossese di Dolceacqua / Dolceacqua DOC は白はなく、ロッセーゼの赤のみです。95%以上使用が規定です。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルにはルフィーノ家について書かれてあります。


さあ、抜栓。
IMG_8476
コルクは無印。上の刻印のみなので平面化はしません。

Alc.13%。
オレンジ気味の透け透けルビー。
IMG_8477a

ラズベリー、あんず、プルーン。
辛口アタック。
不思議な酸味とかすかなキャンディ感。
しっかりした味の実体はありますが、
弱い酸がふわっとベールのように包んできます。
嫌味はなくスルスルいけますけどね。
個性的ですが十分楽しめました。


*****

Azienda Agricola Punta Crena
della Famiglia Ruffino
Vigneto Isasco Rossese 2019
Riviera Ligure di Po
nente DOC
RRWポイント 87点


ヒトミワイナリー Barrique Merlot 2016

滋賀県のヒトミワイナリーにまた行ってきました。これ樽熟のメルローですが、本来の味にならなかったとしてワイナリー限定で特価になってたので思わずゲットしました。本当は「ゴクローサワー」なるデラウェアのスパークリングワインを買いに行ったんですが、ヒトミワイナリー毎度の「自虐商法」(決して贈り物にはしないでください!)にまたやられてしまいました(笑)。

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ヒトミワイナリーは1991年、滋賀県東近江市に創業。滋賀県人には(旧)永源寺町の方が通りがいいところです。アパレルメーカー(日登美株式会社)の社長、図師禮三(ズシ レイゾウ)さんが1984年60歳を機に社長から会長に退いた際、大のワイン好きが高じて自分のワインが作りたいと全くゼロからこのワイナリーを立ち上げたそうです。

訪れた日は、ホントに天気が気持ちよかったです。
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ワインツーリズムとまでは言いませんが、田舎風情がたまに行くと楽しいところです。

公式ページはいたって普通。ちょっとこなれてない感あり(失礼!)。

今日のワインは「ワイナリー限定販売」ですから載ってないんですよね。

・山形県産メルロー 100%

詳しくは、店頭の説明をそのまま貼っておきます。お楽しみください(笑)。
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下線を書き足したの僕じゃないですよ(笑)。お店で自ら大事な部分を強調されているのです(笑)。万人受けせず、苦手な人が多く、贈り物・お土産にしてはいけない。自分用のみ限定!?
ここまでの自虐、潔いし、面白すぎます。めっちゃ楽しみです。


恒例、滋賀県を俯瞰して位置関係を確認しましょう。
Shiga_滋賀
関西は本当にワイナリーの数が限られますね。しかし、琵琶湖周辺の地図をこうして眺めていると、なんとなくイタリアのガルダ湖周辺に見えてくるんですよね。となると、ヒトミワイナリーは日本のヴァルポリチェッラか!?(笑)

これからヒトミワイナリーへ行かれる方へ、近隣の見どころを紹介しておきます。現在、このあたりは滋賀県南部のかなり広域を占める「東近江市」という市の一部になっていますが、平成の大合併以前は「(神崎郡)永源寺町」という所でした。滋賀出身の自分にとってはまだ「永源寺町」の方がしっくりきます(笑)。そして、その名前の由来はこの「永源寺」という古刹にあります。
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この日いい天気だったので永源寺を訪れていて、その時撮った写真です。川沿いの斜面に開かれた美しいお寺です。ヒトミワイナリーの近くも流れる愛知川(えちがわ)が続いているところの山際にあり、ワイナリーから車で5分ほどの距離です。

愛知川をさらに上流に伝っていくと永源寺ダムがあります。
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さらにここから上流ですが、道の駅・奥永源寺渓流の里にも是非。


ラベル平面化画像。
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裏ラベルにはワイン作りの狙いが思いとして書かれています。これが思惑を外れ「本来のバリックメルローとは大きく違う」ことになってしまったのはなぜなんでしょうね。答えはテイスティングにあり、でしょうか。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.11%。
澄んだガーネット。熟成は進んでるようでオレンジ味が出ています。
IMG_8365

カシス、プラム、ストロベリーな感じも。
辛口アタック。
かわいい酸味がいいアクセント。
確かに厚みは弱いんですが熟成で生まれた複雑味はありますよ。
タンニン分は弱々しいながら役割りは果たしてます。
例えれば…うまいマスカット・ベイリーAを飲んでる感じ(笑)。

ヒトミワイナリーも品種の個性が弱いと書いていましたが、
確かにメルロー感は少ないんですよね。
しかし「うまい」の範疇には入ると思います。


*****

ヒトミワイナリー
Barrique Merlot 2016
Yamagata Merlot
RRWポイント 87点


Cave Spring Cellars Cabernet Franc 2017 VQA Niagara Peninsula

ワインショップの店頭でまたカナダのワインを発見しました。前のはブリティッシュ・コロンビア州の「Okanagan Valley BC VQA」だったので西海岸側でしたが、今日のはオンタリオ州(VQA Ontario)の「VQA Niagara Peninsula VQA」ということで五大湖周辺、東側ということになりますね。品種は奇しくも同じカベルネ・フラン。ブドウ栽培の北限では適した品種なんでしょうね。

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 作り手のケイブ・スプリングは、イタリアからの移民であったペナチェッティ家(Pennachetti)が1973年からナイアガラ・フォールズ近くのビームズビル(Beamsville)で営む家族経営のワイナリーです。現在ではリースリングの名手としてカナダを代表するワイナリーのひとつに数えられているようです。

公式ページはこじんまりしていますが(笑)情報は十分です。
URLbanner
ワイン紹介は最新ヴィンテージのみかと思いきや、バックヴィンテージのデータもありました。

・カベルネ・フラン 100%

自社畑からは50%らしいですが、アペレーションは「Niagara Peninsula」なのでいずれにせよ近隣からですね。最新ヴィンテージの2019は100%自社畑となっていて狭域のサブリージョン「Beamsville Bench」を名乗ります。熟成は新樽率15%のフランス・ハンガリー・アメリカ産の混成樽で12ヶ月です。

Google Mapで訪問してみましょう。見つかったここはテイスティングルームでした。
CaveSpring01
この一帯がすべて自社畑のようです。

Google Mapに上がっていたこの写真の建物もワイナリーの一部なんでしょうね。
CaveSpring02
背後にはオンタリオ湖が見え、その対岸にトロントの高層ビル群があるのがわかります。トロントのシンボル、CNタワーも見えますね。(昔登ったことがあります。笑)

カナダは州ごとにアぺレーション、いわゆる GI(Geographical Indication)を統制していて、トロントのある東側のオンタリオ州では VQA(Vintners Quality Alliance)というアぺレーション表示の制度があります。VQAオンタリオには3つのアペレーションがあり、そのひとつが今日のナイアガラ・ペニンシュラになります。Google Map上に描いてみました。
Ontario_CA
以下の3つのアペレーションを確認ください。

・The Niagara Peninsula
・Prince Edward County
・Lake Erie North Shore

VQAオンタリオは100%オンタリオ州産のブドウでないといけませんが、これら3つのアペレーションは当該地域から85%以上という決まりになっています。品種やヴィンテージの表示も同じく85%以上という決まりです。また、ミスプリかと思いましたが「VQA Niagara Peninsula VQA」と表記するのは正しいようですね。

地図を描いていて思いましたが、これはアメリカ・ニューヨーク州のAVAと一緒に位置関係を見るべきと思い、以前描いたニューヨーク州の地図に追記してみました。
New_York_State_VQA
これでしっくりきました。国が違うといって別々に見ると位置関係がつながりませんからね。ナイアガラの滝の周辺は銘醸地が集中してる感じです。

VQAオンタリオには3つのアペレーションがあるのを見ましたが、その下にサブ・アペレーションと、複数のサブ・アペレーションから成るリージョナル・アペレーションというものがあります。「VQA Lake Erie North Shore」には「South Islands」というサブ・アペレーションがあります。(これが唯一のサブ・アペレーションです。)そして今日の「VQA Niagara Peninsula」にはなんと10ものサブ・アペレーションと2つのリージョナル・アペレーションがあります。VQAオンタリオの公式ページに上がっていた地図で見てみましょう。
名称未設定-16
今日の作り手のケイブ・スプリングの場所も追記しています。サブ・アペレーション Beamsville Bench にありますね。実際このアペレーションのワインもラインアップしています。以下に<Sub-Appellations><Regional Appellations>まとめています。

Sub-Appellations
・Beamsville Bench
・Creek Shores
・Four Mile Creek
・Lincoln Lakeshore
・Niagara Lakeshore
・Niagara River
・Short Hills Bench
・St. David's Bench
・Twenty Mile Bench
・Vinemount Ridge

Regional Appellations
Niagara Escarpment
  (Beamsville Bench)
  (Twenty Mile Bench)
  (Short Hills Bench)
Niagara-on-the-Lake
  (Niagara Lakeshore)
  (Niagara River)
  (Four Mile Creek)
  (St. David's Bench)

おさらいでカナダの他のワイン産地も含めた地図を貼っておきます。
VQA01
大きくは西海岸(BC VQA)と東海岸に分かれるってことですね。VQAオンタリオは今日試しましたが、まだ見ていないケベックQuébec)とノヴァ・スコシアNova Scotia)もそれぞれ独自にアペレーションを管理しています。


ラベル平面化画像。
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ぐるっと一枚もの。インポーターシールは貼るところに困りますよね(笑)。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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Alc.13.5%。
輝き、クリア感のあるガーネット。
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黒ベリー、カシス、チェリー。
酸味の香り。
やはり酸味からくる辛口アタック。
味のふくらみはあり、程良い複雑味もあります。
酸が気になるんですがタンニンも効いていて楽しめます。
クールに重々しくなく飲みたい時にいいかも。


*****

Cave Spring Cellars
Cabernet Franc 2017
VQA Niagara Peninsula VQA
RRWポイント 87点


Weingut Bründlmayer Zweigelt 2015 Nederösterrich

久しぶりのオーストリアのツヴァイゲルトです。産地はニーダーエスタライヒとなっています。お値段を見ながら適当に選んでますので、オーストリアの産地含めバックグラウンドをいろいろと調べながらいただくとしましょう。

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ブリュンデルマイヤーは、ヴィリー・ブリュンデルマイヤーさんが1980年にワイン産地カンプタールの中心地ランゲンロイスで始めた家族経営のワイナリーです。パートナーにマスター・オブ・ワイン(MW)のアンドレアス・ヴィックホフさんを迎え、一代でオーストリアを代表するワイナリーにしたというからすごいですね。

公式ページはさすが一流という感じでよくできています。

ワイン紹介もデータシート付き。今日の2015年はURL打ち換えで出てきました(笑)。

・ツヴァイゲルト 100%

ワイナリーのあるカンプタールのツヴァイゲルトと書いてあるので Kamptal DAC にならないのかなと思いますが、広域のニーダーエスタライヒ(Niederösterreich)になっています。畑の場所まで書いてないので謎ですが。ユーズドのオーストリア産オーク樽を使って「長く」熟成すると書いてますが、どれくらい長いのか期間が書いていません(笑)。

これがツヴァイゲルト(Zweigelt)です。
Zweigelt
日本(北海道)でもツヴァイゲルトレーベ(Zweigeltrebe)のシノニムでお馴染みですね。ツヴァイゲルトは、1922年にオーストリアで開発されたブラウフレンキッシュ(Blaufränkisch)とサン・ローラン / ザンクト・ラウレント(St. Laurent / Sankt Laurent)の交配種です。作ったのがツヴァイゲルト博士(Dr. Fritz Zweigelt )なので名前はそこから来ています。栽培面積もオーストリアがダントツで最大で、オーストリアで栽培される赤ワイン品種としても最も栽培面積が広いです。

ランゲンロイス(Langenlois)にあるブリュンデルマイヤーを訪問します。
Brundlmayer01
このワイナリーより少し離れたところですが、ホイリゲ(高級レストラン風情ですが)も運営していて評判もいいそうです。

ワイナリーの所在ですが、HPにしっかりした地図があったので拝借しました。
Brundlmayer00
所有畑の所在も地図上に正確に図示されています。

Google Mapにインポーズしてみました。かなり広いですよ。
Brundlmayer002
ツヴァイゲルトの畑は「最近買い増した」と書いてあったので、ここではないのかもしれません。

ランゲンロイスはカンプタールのエリアの中心地になります。これがカンプタール。
Kamptal
オーストリアワイン公式ページに各産地の詳細地図が載っていまして、そこから拝借して加工しました。(地図各種ダウンロード)よくよく見るとよく出来た地図がいっぱい。今日は自作Google Map地図の出る幕がなさそうです。

地図データページからオーストリアの州別地図を拝借し加筆しました。
Austria_Area
オーストリアは9つの連邦州(Bundesländer)から成ります。ワインの生産は東側の4つの州に集中しています。

その中に DAC(Districtus Austriae Controllatus)という原産地呼称があるという関係です。
Austria_DAC
これも同じところから拝借した地図ですが、畑の分布も示されており素晴らしいです。各DAC名称の文字はこちらで加筆したものです。実は、前回調べた時にヴァッハウ(Wachau)がDAC化しているのに驚いたのも束の間、今回ヴァーグラム(Wagram)とテルメンレギオン(Thermenregion)もDAC化していることがわかりました。これで有名産地のほぼ全部がDAC化したことになります。

全DAC含むワイン産地を列挙しておきましょう。

Niederösterreich(Lower Austria)>
・Weinviertel DAC(ヴァインフィアテル)
・Kamptal DAC(カンプタール)
・Kremstal DAC(クレムスタール)
・Traisental DAC(トライゼンタール)
・Carnuntum DAC(カルヌントゥム)<2019年DAC化>
・Wagram DAC(ヴァーグラム)<2021年DAC化>
・Wachau DAC(ヴァッハウ)<2020年DAC化>
・Thermenregion DAC(テルメンレギオン)<2021年DAC化>

Wien(Vienna)>
・Wiener Gemischter Satz DAC(ヴィーナー・ゲミシュター・サッツ)

Burgenland
・Leithaberg DAC(ライタベルク)
・Neusiedlersee DAC(ノイジードラーゼー)
・Mittelburgenland DAC(ミッテルブルゲンラント)
・Eisenberg DAC(アイゼンベルク)
・Rosalia DAC(ロザリア)
・Ruster Ausbruch DAC(ルスター・アウスブルッフ)
<Rustの貴腐ワイン。30° KMW以上のTrockenbeerenauslese。2020年DAC化>

Steiermark
・Südsteiermark DAC(ズュートシュタイヤーマルク)
・Vulkanland Steiermark DAC(ヴルカンラント・シュタイヤーマルク)
・Weststeiermark DAC(ヴェストシュタイヤーマルク)

Bergland>(上記以外の産地みたいな感じ)
・Kärnten(ケルンテン)
・Oberösterreich(オーバーエスタライヒ)
・Salzburg(ザルツブルク)
・Tirol(チロル)
・Vorarlberg(フォアアールベルク)

知らないうちにDACが増えてました。最新情報は常にチェックが必要ですね。


ラベル平面化画像。
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控えめなインポーターシール、良きです。


さあ、スクリュー回転。
IMG_7982

Alc.12.5%。
ルビー。
IMG_7983

ブラックベリー、プラム、シーチキン。
酸味でクールな辛口アタック。
味は薄っぺらくないレベルをキープしています。
深みもしくはコクを感じないことはない…かな。
酸味は最後まで尾を引くんですが、
ツヴァイゲルトの個性を十分楽しめました。


*****

Weingut Bründlmayer
Zweigelt 2015
Nederösterrich
RRWポイント 87点


Torrevilla La Genisia Pinot Nero Dell’Oltrepò Pavese 2019

ロンバルディア州、パヴィーア(Pavia)県に広がるDOC、オルトレポ・パヴェーゼ(Oltrepò Pavese DOC)。以前、そこのローカル品種クロアティーナ(Croatina)100%というワインをお取り寄せしたんですが、届いたものはなぜか Provincia di Pavia IGT でした。それはそれで深掘りはしたんですが、今回改めてオルトレポ・パヴェーゼのピノ・ノワール(Pinot Nero)をゲットしましたのでロンバルディア州のおさらいと共に諸々確認したいと思います。

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トッレヴィッラは1907年創業と100年以上の歴史を持つオルトレポ・パヴェーゼのエリアの老舗です。前身は、地元の有志や教会、地主などを中心にブドウ栽培農家を集めた協同組合のような形で始まりました。1970年には Codevilla と Torrazza Coste といった地元のワイナリーを吸収合併し事業を拡大していきます。ミラノ大学農学部(ワイン醸造学科)とのコラボもあり、近年近代化と共に大きく品質を向上させています。


公式ページはワイン紹介含めなかなか情報豊富です。

オルトレポ・パヴェーゼには多様な DOC/DOCG がありますが、ラインアップはほぼそれらを網羅しているようです。

・ピノ・ネロ(ピノ・ノワール) 100%

今日のワインは、ピノ・ノワール主体の Pinot Nero dell’Oltrepò Pavese DOC になります。2010年に Oltrepò Pavese DOC から分離され単独のDOCとなっています。ピノ・ノワール 95%以上が規定です。「Riserva」になると木樽での6ヶ月を含む2年の熟成が義務付けられますが、今日のはノーマルなので熟成規定はなく、コンクリートタンクで6ヶ月の熟成、樽はなしということのようです。

さてワイナリー訪問ですが、前述の吸収合併した2つの拠点があるようです。
Torrevilla00
まずはコデヴィッラ(Codevilla)の町にある方。裏ラベルには「CODEVILLA」で瓶詰めとあったので今日のワインはこちらで作られたと思われます。

トッラッツァ・コステ(Torrazza Coste)という町にもう1ヶ所あります。
Torrevilla01
こちらもなかなか大きな施設です。

オルトレポ・パヴェーゼは、ロンバルディア州パヴィーア県のDOCですが、パヴィーアの町(パヴィーア県の県都)というよりは、ポー川を挟んで南側にあるヴォゲーラ(Voghera)の町が中心地になるようです。その辺りにズームインして今日の作り手の位置関係を見てみましょう。
名称未設定-7
先ほど訪れた2拠点は隣同士のコムーネで車で5分ほどしか離れていません。また、今日のワインのデータシートによると、ピノ・ノワールは「Torrazza Coste」と「Montebello della Battaglia」の畑からだそうで、地図上に薄い白マルで示しておきました。どちらもワイナリーのすぐ近くですね。トッレヴィッラはこの辺りに 600ha の畑を持っているとのこと。


ロンバルディア州を俯瞰します。今回、州内のDOC/DOCGについて更新しています。
Lombardia_NEW
ロンバルディア州という括りで見ると、北から南まで多様な産地がありますね。キアヴェンナスカ(ネッビオーロのシノニム)のヴァルテッリーナ、イタリアの最上級スパークリングのフランチャコルタ、ガルダ湖周辺にランブルスコまでと、まさに色とりどり。IGPも州内に15ほどあるんですが、今回ここでは触れません(笑)。

今日のワインはピノ・ネロ・デル・オルトレポ・パヴェーゼですから、オルトレポ・パヴェーゼDOC(Oltrepò Pavese DOC)の変遷をまとめておきます。

Oltrepò Pavese DOC(赤・白・ロゼ・泡・甘口)1970年DOC認定。

Oltrepò Pavese Metodo Classico DOCG(ピノ・ノワールの泡)2007年DOCG化。

・2010年、以下が Oltrepò Pavese DOC から独立、単独DOC化。
 → Oltrepò Pavese Pinot Grigio DOC(ピノ・グリージョ:85%以上)
 → Pinot Nero dell’Oltrepò Pavese DOC(ピノ・ノワール:95%以上)
 → Bonarda dell’Oltrepò Pavese DOC(クロアティーナ:85%以上)
 → Buttafuoco dell’Oltrepò Pavese / Buttafuoco DOC
   (バルベーラ:25~65%、クロアティーナ:25~65%)
 → Sangue di Giuda dell’Oltrepò Pavese / Sangue di Giuda DOC
   (バルベーラ:25~65%、クロアティーナ:25~65%、泡と甘口)

ピノ・グリージョ、ピノ・ノワール、ボナルダ(クロアティーナ)はよほど特徴的だったのか品種ごと独立DOC化とはすごいですね。元のオルトレポ・パヴェーゼですが、85%以上で品種名が付記できますが、当然この3品種は単独DOCになったのでその範疇ではありません。


ラベル平面化画像。
IMG_7827
ユーロリーフ付きのビオワインですね。

ラベルにはブドウのツルの意匠がこのように浮き彫りで入ってるようです。
Label0
実際は凹凸が浅くはっきり見えません。せっかくならしっかり見せてほしいです。


さあ、抜栓。
IMG_7906
キャップシールのマークはオルトレポ・パヴェーゼ認証でしょうか。

コルク平面化。
IMG_7907

Alc.12.5%。
しっかり色づいたルビー。
IMG_7908

ラズベリー、プラム。
樽はないですが出汁香感じます。
辛口アタック。
甘みかなと思ったのが、ごくごく穏やかな酸です。
薄い、軽いという印象ながら、
ペラペラ、シャバシャバにはならず、
適度な複雑味は確認できました。
軽さがたたって余韻はあまり期待できなさそうです。
う~ん、もう少し頑張ってほしかったかな。


*****

Torrevilla
La Genisia Pinot Nero
Dell’Oltrepò Pavese 2019
RRWポイント 87点


Château des Mille Anges Mozart 2013 Cadillac Côtes de Bordeaux

リカマンの店頭で「シャトー・アンジェリュスのオーナーがコンサルタントを務めるシャトー」のPOPが躍っていたワイン。1000円台の安ボルドーではありますが、お店のイチオシなら試してみましょう…ということで買ってありました。今日は「AOC Cadillac Côtes de Bordeaux」ほかを掘り下げながらいただいてみることにしましょう。

IMG_7901
ガロンヌ川河畔の町カディヤック(Cadillac)の東側にサン・ジェルマン・ド・グラーヴ(Saint Germain de Grave)という村があり、その小さな教会の脇に、昔修道院だったというシャトー・デ・ミランジュがあります。その修道院では昔から自家用のワインのためのブドウ栽培を行っており、また貧しい孤児たちを受け入れてきたそうです。第二次世界大戦後、そこは閉鎖されてしまいますが、1994年、現オーナーのヘザー・ファン・エクリス夫人(Heather van Ekris)がこの場所に惚れ込んで購入し、多額の投資をして今のシャトー(ワイナリー)を復興させました。 ミランジェ(Mille Anges)という名前は「千の天使」の意味で、この地域名の「ミランジュ(Milange)」と、修道院に預けられていた孤児たち(千の天使)とをかけたネーミングだそうです。そしてこの夫人が、シャトー・アンジェリュス(Château Angélus)のオーナー、ユベール・ド・ブアール氏(Hubert de Boüard)をコンサルとして招いて今に至ります。

これが店頭にあったPOPです。うまいことアピールしてますね(笑)。
IMG_1483
2013年はどうなんだ? などと一抹の不安を抱えながら、お安いし「いいや!」っと購入。

公式ページは情報もしっかり。いい感じ。ワイン紹介が最新ヴィンテージのみなのは残念。

2013年はインポーター情報なども参考にします。

・メルロー 60%
・カベルネ・フラン 20%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 20%

樹齢20年。収穫は半分機械を使います。熟成はタンクで16ヶ月となっていますが、インポーター情報では新樽33%のオーク樽とステンレスタンクの併用で14~16ヶ月とあります。樽あり?なし?どっちが正しいんでしょう?

さあ、シャトーを訪問します。なかなか立派。隣の教会も見えますね。
MilleAnges01
ガロンヌ川沿いのカディヤックやルーピヤックから車で15分ほどです。

コート・ド・ボルドー軍団(Côtes de Bordeaux)の地図で位置関係を見ます。
Bordeaux_Cotes-de-Bordeaux
「軍団」とは勝手に呼んでます(笑)。以下が構成員でしたね。2007年設立のコート・ド・ボルドー連合(Union des Côtes de Bordeaux)の公式サイトで確認できます。

Blaye Côtes de Bordeaux(
Cadillac Côtes de Bordeaux
Castillon Côtes de Bordeaux(
Francs Côtes de Bordeaux(・甘口白)
Sainte-Foy Côtes de Bordeaux(・甘口白)

要注意なのは、以下のAOCが「Côtes de Bordeaux」連合には入っていないこと。

・Côtes de Bordeaux Saint-Macaire・甘口白)
Premières Côtes de Bordeaux(

コート・ド・ボルドー連合からの赤は単なる「AOCコート・ド・ボルドー」を名乗ることもできますし、複数のエリアのブレンドも同じく「AOCコート・ド・ボルドー」が名乗れます。

Côtes de Bordeaux

すなわち、コート・ド・ボルドー連合は「赤」つながりの軍団ということになりますね。


今日のワインの「カディヤック・コート・ド・ボルドー(Cadillac Côtes de Bordeaux)」を深掘りしましょう。実は同じエリアに複数のAOCが同居しています。以下の地図はプルミエ・コート・ド・ボルドー(Premières Côtes de Bordeaux)の範囲ですが、カディヤック・コート・ド・ボルドーと同範囲なのがわかると思います。
Premier_Cotes-de-Bodeaux
元々、のAOCであったプルミエ・コート・ド・ボルドーから、2009年にがカディヤック・コート・ド・ボルドーとして分離されたため、こういうことが起こっています。言い換えると、カディヤック・コート・ド・ボルドーのエリアからは以下のAOCを作ることができるということです。

・Cadillac Côtes de Bordeaux(
・Côtes de Bordeaux(
・Premières Côtes de Bordeaux(
・Cadillac(甘口白)

最後のカディヤック(Cadillac)は初出ですね。範囲は以下のように少し狭いです。
AOC_Cadillac_Vin_Doux
カディヤック周辺の甘口白のAOCになります。プルミエ・コート・ド・ボルドーやカディヤック・コート・ド・ボルドーの地図の範囲と見比べてください。同じく甘口白のAOCルーピヤック(Loupiac)とAOCサント・クロワ・デュ・モン(Sainte Croix du Mont)のコミューンが抜けていますね。一応、被らないようになってるようです。

最後にセパージュをまとめておきます。赤・白、以上のAOCで共通です。

<赤>
・主要品種:Cabernet Sauvignon、Cabernet Franc、Côt  (Malbec)、Merlot
・補助品種:Carmenère、Petit Verdot
(補助品種のカルメネールは10%以下、プチヴェルドは15%以下。)
<白>
・主要品種:Sauvignon Blanc、Sauvignon Gris、Sémillon、Muscadelle
・補助品種:Colombard、Ugni Blanc (Trebbiano Toscano)
(補助品種は15%以下。)


エチケット平面化画像。
IMG_7630
URLまで入って表ラベルで完結しています。

どうりで裏はインポーターシールのみ。
IMG_7631


さあ、抜栓。
IMG_7896
キャップシールのエンボス、いいですね。

コルク平面化。
IMG_7894
ミレジムも入っていいんですが、このコルク、脆かった! ボロボロになりました。

Alc.13%。
ガーネット。
IMG_7897

黒ベリー、チェリー、湿った木の樽香。
酸味の香りです。
やはり酸味の乗った辛口アタック。
味わいは厚みあって安定感はあるんですが、
最初の酸味はやはり少しバランス崩しますね。

時間をかけて変化を期待してみました。
すると、なぜかスルスル開けてしまいました。
まあそこそこ楽しめたということで(笑)。


*****

Château des Mille Anges
Cuvée Mozart  2013
Cadillac Côtes de Bordeaux
RRWポイント 87点


Raoul Clerget Pinot Noir Vieilles Vignes 2019 Ile de Beauté IGP

コルシカ島のピノ・ノワールです。コルスのどこのAOCでもピノ・ノワールは補助品種としてさえ認められていませんから、珍しいんじゃないでしょうか。なので、AOCは名乗ることができず、「Ile de Beauté」というIGPになってしまうようです。まあ、ワインは楽しめれば勝ちですからAOCにこだわる必要はないでしょう(笑)。

IMG_7813
作り手は、裏ラベルによると Raoul Clerget(ラウル・クレルジェ)となっています。調べるとクレルジェ家というブルゴーニュの歴史ある名門なんだそうです。なんでも1238年創業とブルゴーニュ最古クラスでギネスにも載ってるとか。そんなところがなぜにコルスでピノ・ノワールのワインを作るんでしょうね。なぞ~。

公式ページが見当たらないのでインポーターの紹介ページをリンクしておきます。

インポーターの情報もいまひとつですね。

・ピノ・ノワール 100%

醸造はブルゴーニュのクレルジェでも醸造を担当している、ピノノワールに精通したラウル カナファー氏によるとのこと。標高50~150mに広がるブドウ畑で熟練の農家により自然な農法で育まれたブドウで仕込むとあるので、いわゆる買いブドウってことですね。(Google Mapで)訪問したいので場所まで書いておいてほしいところです。

ブルゴーニュのラウル・クレルジェはこんなところでした。ボーヌの近く。
RaoulClerget01
同じ建屋に「Francois Martenot」というネゴシアン(?)が入っていて、ラウル・クレルジェの商標登録をここがやっていたりします。なんだか複雑なバックグラウンドがありそうですが、不明です。


ワインがコルスのワインなので、とにかくコルスの詳細を見てみましょう。今日のワインの「Ile de Beauté IGP」というのはご覧のようにコルシカ島全域が対象です。
IledeBeauteIGP
「Ile de Beauté」は「美の島」という意味です。Corse IGP とかではなく、凝ったネーミングにしてますね。

ついでに言うと、コルシカ島は「Méditerranée IGP」にも属します。
MediterraneeIGP
いわゆる、プロヴァンス・コルスですね。いや、北部ローヌまで含むようです。「Méditerranée」は「地中海」の意味なんですけどね。

コルシカ島のAOCはというと9つありまして、Google Mapに描き込んでみました。
Corse
以下にまとめますが、「Corse もしくは Vin de Corse」という2通り表記のものが6つあります。見にくくなりますね。また、最後の AOC Muscat du Cap Corse というのは、Muscat à Petits Grains Blancs を使ったヴァン・ドゥ・ナチュレル(VDN=Vin Doux Naturel)のAOCです。

・AOC Ajaccio
・AOC Patrimonio
・AOC Corse / Vin de Corse
・AOC Corse Calvi / Vin de Corse Calvi
・AOC Corse Porto-Vecchio / Vin de Corse Porto-Vecchio
・AOC Corse Sartène / Vin de Corse Sartène
・AOC Corse Figari / Vin de Corse Figari
・AOC Corse Coteaux du Cap Corse / Vin de Corse Coteaux du Cap Corse
・AOC Muscat du Cap Corse(Vin Doux Naturel)

セパージュの規定は共通していて、以下のようになっています。

<赤・ロゼ>
・主要品種(Nielluccio、Sciaccarello、Grenache)が50%以上。
・Nielluccio と Sciaccarello はこの2種で1/3以上を占めること。
・補助品種は最大50%まで。
 補助品種は、Cinsaut、Mourvèdre、Barbarossa、Syrah、
 Carignan (最大20%まで)、Vermentino  (最大20%まで)、
 及び、Aléatico、Carcajolo Nero、Minustello(以上3種合計は最大10%まで)

<白>
・主要品種は Vermentino で75%以上。
・補助品種は最大25%まで。
 補助品種は、Ugni blanc、Biancu Gentile、Codivarta、Genovese。
 (Biancu Gentile、Codivarta、Genovese は合計で10%を超えないこと)

聞きなれない品種がいくつもありますが、特徴的な3種に触れておきます。
Sciaccarello
シャカレッロSciaccarello)はコルシカ島の代表品種です。しかしながら、原産はイタリアで、Mammolo というシノニムで呼ばれています。ただ、コルシカ島で合計 885ha 栽培されているのに対し、イタリアでは 26ha しかないので、もうコルシカ島の品種と考えてもよさそうですね。
ニエルーチョNielluccio)もコルシカ島AOCの主要品種ですが、実はサンジョヴェーゼと同じものです。今でこそコルスはフランス領ですが、歴史的にも地理的にもイタリアの影響が色濃く残った地域と言えますね。
あと、補助品種ですが、ミヌステッロMinustello)も見ておきましょう。これは Morrastel とも呼ばれ、コルスの他ラングドックにもあり、スペイン(リオハ)の Graciano と同じものです。


エチケット平面化画像。
IMG_7795
表ラベルはコルスの豊かな自然を現してるんでしょうか。ミレジムやIGP表示は裏ラベルにあります。表に Pinot Noir と Vieilles Vignes しか情報がないのはフランスっぽくないですね。


さあ、抜栓。
IMG_7810

コルク平面化。
IMG_7811
ノマコルクです。

Alc.12.5%。
ルビー。
IMG_7812

フランボワーズ、の煮詰まった感じ。
辛口アタック。
酸味がかすかながらありますが、少々特徴的です。
ペラペラではなくそこそこの実体を感じる味です。

やはりクセはあるんですが、楽しめるんですよね。
ピノ・ノワールのひとつのパターンでしょうか。


*****

Raoul Clerget
Pinot Noir Vieilles Vignes 2019
IGP Ile de Beauté
RRWポイント 87点


Michael Mindavi Family Estate Crimson Ranch Cabernet Sauvignon 2018 California

ワインラヴァーであるという X JAPAN の YOSHIKI がカリフォルニアのロブ・モンダヴィJr. さんとコラボしてリリースしてる「Y by YOSHIKI」というワインがあります。なんだかんだ話題なので、コストコの店頭にあるワインを定点観測していたりします(笑)。「飲めよ!」と言われそうですが、気にはなるものの、飲んで「うまい」とか評するのも野暮だなと。そんなわけで同じ作り手(マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート)と思われるこちらのお手頃ワインで味を想像するといういつものアプローチをしたいと思います(笑)。

IMG_7040
このクリムゾン・ランチなるワイン、どうやらワイナリーの実体はなさそうです。
1966年創設のロバート・モンダヴィ・ワイナリーのロバート・モンダヴィさんの息子がマイケル・モンダヴィさんで、そのマイケルさんが2004年に「マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステート」を設立しています。ナパの近くアトラス・ピークという所にある所在を訪れたら(Google Mapでですが)閉鎖中となっており、別のワイナリーの看板がかかっています。

公式ページはこちら。家族と畑の紹介はありますが、ワイナリーの所在は載っていません。

マイケルさんの息子がロブ・モンダヴィJr. さんで、YOSHIKI が懇意にしていてコラボもこの方とやってるというわけです。

このマイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートを含む複数のブランドを扱うフォリオ・ファイン・ワイン・パートナーズというネゴシアンのような会社も同時に立ち上げていて、現在の所在は(クリムゾン・ランチも含め)ここになっています。
Folio01
ナパ空港近くのビジネス・ディストリクトです。事務所ですね。ワイナリーの運営はどうなってるのかよくわかりませんでした。

とにかくこの「Y by YOSHIKI」は「California」ですから、マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートが手掛けるカリフォルニアを探すと今日のワインに行き着くわけです。
IMG_1313
Y by YOSHIKI にはオークヴィル・ナパヴァレーAVAの42,000円もする上等バージョンがあります。これはさすがに店頭には置いてないんですが、マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートが手掛けるナパヴァレーを探すとこんなのがありました。

M by Michael Mondavi」。Y by YOSHIKI のそのままマイケル・モンダヴィ版やん。
IMG_2
Y by YOSHIKI より前からあるようですから、Y by YOSHIKI は、M by Michael Mondavi のパクリのネーミングなんでしょうか。(笑)

さて、今日のクリムゾン・ランチですが、単独の公式ページがちゃんとあります。

このブランドがマイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートの「カリフォルニア」を一手に引き受けてる印象です。が、ワイン情報の記述がほぼありません。以下、ネット情報から。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 76%
・その他

その他って…。Y by YOSHIKI はカベソー100%となっていますから、素性は少し違うのかもしれません。どちらも買いブドウか、どこかのワイナリーの委託生産だと思われますが、「カリフォルニア」じゃ場所は謎のままです。

いつものカリフォルニア地図で位置関係を見ておきましょう。
California_AVA
ナパ(Napa County というワインはありますが、ほとんど Napa Vallley AVA か California を名乗ります。)は広域ではノース・コーストAVA(North Coast AVA)に属しますが、カリフォルニアとなるとさらに域外のブドウも使ってるのかもしれません。
TTB(Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau)の規定では、の名前を名乗るためには当該州産のブドウが75%以上でないといけません。(かつ、その州内で生産されないといけません。)しかしながら、カリフォルニア州だけは100%カリフォルニア州産のブドウであることを要求しています。(ワシントン州95%だそうで。)少なくとも今日のワインは100%カリフォルニア産ってことですね。

州の下の「カウンティ)」を表示する場合も75%以上となっていますが、政府公認ワイン指定栽培地域、通称 AVAAmerican Viticultural Area)を表示する場合は、85%以上となっています。その他、品種名はその品種が75%以上だとか、収穫年や畑名(Vineyard)の表示には95%以上といった決まりがあるようです。

AVAについていうと、11月に新たに2つのAVA(Verde Valley - アリゾナ州と Lower Long Tom - オレゴン州)が登録され、現在全部で260のAVAが全米にあるようです。最多のAVAを擁するカリフォルニアは6月以降増えてなくて合計142のままです。(7月にはハワイ初のAVAがマウイ島にできていたようです。笑)


ラベル平面化画像。
IMG_7024
「マイケル・モンダヴィ・ファミリー」とは一応書いています。インポーターはジェロボーム


さあ、抜栓。
IMG_7038
コルクはこのロゴx2なので平面化はしません。

Alc.13.5%。
エッジがクリアめのガーネット。
IMG_7039

黒ベリー、アメリカンチェリー、干草。
ほんのり甘い酸味の辛口アタック。
甘さが見え隠れする味で、厚みも弱めです。
バランスを崩す要素はなく、スルスル楽しく飲めるんですが、
余韻で薄っぺらさがバレて、ちょっと残念な気分になります。

カリフォルニアのローレンジですからこんなもんでしょう。
Y by YOSHIKI はもう少し頑張ってるんでしょうか。
やっぱり本物飲まないとわからないか(笑)。


*****

Michael Mindavi Family Estate
Crimson Ranch Cabernet Sauvignon 2018
California
RRWポイント 87点


高畠バリック メルロー&カベルネソーヴィニヨン / 高畠クラシック メルロー&カベルネ

阪神大ワイン祭というのに行ってきました。阪神百貨店が1~9階建て替えフルオープン記念なんだそうで。お馴染みのインポーターが勢ぞろいで約600銘柄が無料試飲・購入できるイベントです。あまり時間がなく堪能はできませんでしたが、山形の高畠ワイナリーのブースというのがあったので、少し試飲をさせてもらいました。

IMG_1301
山形というのは実はブドウの生産で山梨・長野に続き全国第3位を誇ります。そんな山形で高畠ワイナリーは1990年に設立されています。

これは大阪梅田の阪神百貨店で行われた大ワイン祭のHPからの画像です。
Hanshin
主要なインポーターが勢ぞろいしているのは圧巻の催しでした。

そんな中、日本のワイナリーが直接ブースを出していたのは高畠ワイナリーだけ。
IMG_1306
俄然興味が湧くというものです。

多様なワインを出していますが、ほぼフルラインを試飲できるようでした。
IMG_1305
「重めの赤」をお願いしたのがトップの写真にある2本になります。


公式ページは一見よくできていますが、ワイン紹介がラインアップ・名前のみ。
 
詳細ショップページを見るしかなさそうです。以下そこからのコピペです。

高畠 バリック メルロー&カベルネソーヴィニヨン 2017
赤・フルボディ、Alc.14%、750ml
高畠町産ぶどう主体:
・メルロー 72.5%
・カベルネ・ソーヴィニヨン 23%
・プティ・ヴェルド 4.5%
2017年よりスタイルを変更し、凝縮した味わいと飲みやすさのバランスを調和させました。カシスやブラックベリーのような熟した黒い果実の味わいと、メルローの優しく奥深いタンニン、カベルネ・ソーヴィニヨンの力強さを兼ね備えた飲みごたえのあるフルボディタイプの赤ワインです。

高畠クラシック メルロー&カベルネ 2018
赤・ミディアムボディ、Alc.14%、720ml
高畠町産棚栽培のメルローをベースに、山形県産カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしました。
2018年は天候に恵まれ、糖度と熟度の高いぶどうが収穫できました。畑ごとに醸造方法を工夫し、口当たりは優しく凝縮した黒い果実の味わいと程よいタンニンが印象的です。


高畠ワイナリーを訪問しましょう。なかなか敷地が広くストビューでうまく近寄れなかったので、公式 facebook から写真を拝借しました。国内のワイナリーじゃかなり立派な方ですよ。
Takahata01
山形県の置賜(おきたま)地方、米沢市に近いです。山形新幹線がすぐ横を通っています。


山形県を俯瞰して見ます。おいしい山形HPから拝借したワインマップも添えて。
yamagata
山形は訪れる機会があまりないので勉強になります。4つの地域に分かれるのを知りましたよ。


試飲の方はというと、極少(ひと口くらい)だったので印象が薄いのですが、メルローの果実味がよく出ていて、複雑味もありなかなか楽しめそうでした。どちらもミディアムボディー寄りですが、バリックの方はさすがに樽感出てました。


*****

高畠ワイナリー

高畠バリック メルロー&カベルネソーヴィニヨン 2017
RRWポイント 87点

高畠クラシック メルロー&カベルネ 2018
RRWポイント 85点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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