Red Red Wine:「偉いワイン」探しの備忘録

ワインについて、僕SFが自分用のメモ・備忘録として書き込む場所です。 Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない。 かの有名な僕の名言です。(笑) あくまで自己流に、(お手頃価格の)ワインの世界を日々記録しています。 いつかその「偉いワイン」に出会うために。

RRWポイント:95点

Château de Fesles La Chapelle Anjou Cabernet Franc 2020 Vieilles Vignes

近所の百貨店で直感で選んだロワールの赤です。アンジュー(Anjou)のカベルネ・フラン。狙い通りの当たりならいいんですが。アンジューには赤・白・ロゼ・泡となんでもあり、赤はカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンが主要品種になってますが、やはりカベルネ・フランが王道ですね。作り手は甘口白の名産地 AOCボンヌゾー(Bonnezeaux)にあるようですが。

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作り手のシャトー・ド・フェルは、名前のように11世紀に建てられた本物のお城(シャトー)です。所有者は時代によって変わりましたが、周囲にブドウ畑を開き当初からワイン作りを続けているそうです。2008年からはヘルフリッヒ家(la famille Helfrich)が所有しています。アンジェ(Angers)の30キロ南にあるトゥアルセ(Thouarcé)というコミューンにあり、アンジューでは4番目に高い高台でロワール川支流のレイヨン川を見下ろす好立地なんだそうです。実はこのトゥアルセにボンヌゾー(Bonnezeaux)という場所があり、コミューン全体がAOCボンヌゾーのエリアになっています。よってシャトー・ド・フェルも甘口白のAOCボンヌゾーを出しています。

公式ページはショップ兼用ながら情報豊富でよくできています。

今日のワインもしっかり載っています。10ユーロということもわかりました(笑)。

・カベルネ・フラン 100%

「La Chapelle」というのはシャトーに隣接する畑の名前で、所有畑の一番いいところなんだそうです。そこの Vieilles Vignes(古樹)ですからこれはすごいかも。樽使いなんかはインポーターのサイトを見てもわかりませんでした。白ワインに樽を使ってますから赤も使ってると思うんですけどね。

カベルネ・フランです。ロワールではブルトン(Breton)というシノニムがありますね。
Chinon02
ボルドーの非常に古い品種になりますが、起源はバスク地方(スペインもしくはフランス)らしいです。17世紀に枢機卿リシュリューさん(Cardinal Richelieu)がボルドーから千本以上のブドウの木をロワール地域のブルグイユとシノンにある自身のエステートに送って植えたとされます。これでボルドーにあったカベフラがロワールに伝わったと思われます。その時のエステートの管理人がアベ・ブルトンさん(Abbé Breton)でした。ロワールではなぜブルトン(Breton)というシノニムで呼ぶのかわかりましたね。カベルネ・フランという名前が初めて出てくるのは1823年を待つことになりますが、当時から「カベルネ」とつく品種がカベルネ・ソーヴィニヨンはじめいくつもあったため現在のカベルネ・フランを指しているかどうかは同定が難しいそうです。

そうそう、カベフラはカベソーの母でしたね。父はなんと白ブドウ。
カベルネ・ソーヴィニヨン= (母) カベルネ・フラン x (父) ソーヴィニヨン・ブラン。

世界各地で栽培されますが、世界合計の56,052haの内、32,327ha(約58%)がフランスです。ロワールが約15,000haでやはり多く、ボルドーに約12,000haあります。残りは南西地方やラングドックです。

さあ、シャトー・ド・フェル訪問。敷地(周囲の畑)が広くストビューで近づけず。
Fesles
小ぶりですが立派なシャトーと、その前には整備された庭園があるようです。アンジューでは4番目に高い高台ということですが、確かに周囲はなだらかに下っており、シャトーはてっぺんにあるようです。海抜約100メートルとのこと。シャトーの周囲が「La Chapelle」という一番いい畑で、カベルネ・フラン(18ha)とグロロー(2ha)が植えられています。その周囲がシュナン・ブラン(24ha)になります。グロロー(Grolleau)は主にロゼ・ダンジュー(Rosé d’Anjou)用。シュナン・ブランは当然 AOCボンヌゾー(AOC Bonnezeaux)の甘口ワインになります。(辛口もやってますが。)


AOCアンジューとソーミュールをカバーする地図にシャトーの場所を入れました。
Loire_Anjou
今日のワインのAOCアンジューですが、アンジェ(Angers)周辺とは言うもののかなり範囲は広く、ソーミュールはじめ実にたくさんのAOCとオーバーラップすることがわかると思います。

甘口のAOCコトー・デュ・レイヨン(Coteaux du Layon)の部分を取り出してみます。
Coteaux-du-Layon_Bonnezeaux
これらがAOCアンジューとガッツリ重なってるので地図にすると見にくかったんですよ。あまり重ねるのはよくないですね。逆に言うと、このあたりは今日の作り手のように甘口白とアンジューの赤の両方やってるパターンが多いんじゃないかと思われます。
AOCコトー・デュ・レイヨン内のロシュフォール=シュル=ロワール(Rochefort-sur-Loire)というコミューンは「Coteaux du Layon Premier Cru Chaume」「Quarts de Chaume(Grand Cru)」という上等甘口白ワインのエリアになっています。全部シュナン・ブラン(ロワールでは「Pineau de la Loire」というシノニムあり)一択の貴腐ワインを主とする甘口です。プルミエ・クリュやグラン・クリュって付くわけですからそういう位置づけなんでしょう。

ところで今日の作り手はAOCボンヌゾー(AOC Bonnezeaux)にあるんでした。
Thouarce
AOCボンヌゾーをズームアップ。AOCボンヌゾーもトゥアルセ(Thouarcé)というコミューン全体が対象で、その中にボンヌゾー(Bonnezeaux)という地域がある関係です。Google Mapでは「ボネオー」なんて書いてますね(笑)。ネイティブの発音を聴くと「ボンゾー」って聞こえますが(笑)。

ついでに、いつもの「大ロワール全体地図」(笑)も貼っておきます。
Loire_s
今日はこの中のアンジューあたりのお話でしたということで、ロワールの中での位置関係を確認しておいてください。


エチケット平面化画像。
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裏ラベルの解説もしっかりしてていいですね。それを隠さないラックさん、エライ。


さあ、抜栓。
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コルク平面化。
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ミレジム入り。いいですね。

Alc.13.5%。
赤味強めのガーネット。
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黒ベリー、ブルーベリー、プラム。
辛口アタック。
酸・タンニンの効き方が絶妙です。
きれいなレイヤーの構造感がある作り。
余韻への流れもたおやかに進みます。
「ヤッタネ!」のニンマリ出ました。
ほほ~、こんなうまいカベフラ初めて。


*****

Château de Fesles
La Chapelle
Anjou Cabernet Franc 2020
Vieilles Vignes
RRWポイント 95点


Château Ferrière 2019 Margaux

メドック格付け第3級、シャトー・フェリエール(Château Ferrière)。このブログでは格付け全61シャトーの9割方は制覇してるんですが、シャトー・フェリエールはなかなか出会う機会がありませんでした。聞くところによると、マルゴーにあるシャトー・フェリエールの所有畑は24ヘクタールと、格付けシャトー中最小で生産量もごく少ないそうです。なるほど見ないわけです。

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17世紀末、海運業で著名だったガブリエル・フェリエール(Gabriel Ferriere)さんがマルゴー村の最良の畑を買い集め、その名前を付けたのがシャトー・フェリエールの始まりだそうです。
1980年代の終わり、メルロー家(la famille Merlaut)がその所有者になり、ベルナデット・メルロー・ヴィラール(Bernadette Merlaut-Villars)さんがシャトー・フェリエールのかつての素晴らしさを取り戻すために頑張っていたそうですが、事故で急逝されたため娘のクレール・ヴィラー・リュルトン(Claire Villars Lurton)さんがその遺志を引き継ぎます。クレールさんは2000年より有機栽培及びビオディナミ農法に着手し始めました。2015年にオーガニック、2018年にビオディナミの認定を取得しています。シャトー・フェリエールはメドック格付けシャトーの中で唯一、デメタ―(Demeter)とビオディヴァン(Biodyvin)のビオディナミ2大認証の両方を受けているシャトーです。
クレールさんはボルドーのもう一つの名門リュルトン家(la famille Lurton)のゴンザーグ・リュルトン(Gonzague Lurton)さんと結婚されており、「G&C Lurton」という法人を管理会社として、各々が引き継いだシャトーの運営をしています。ゴンザーグさんはシャトー・デュルフォール・ヴィヴァン(Château Durfort-Vivens、メドック格付け第2級)を、クレールさんはシャトー・フェリエールの他にシャトー・オー・バージュ・リベラル(Château Haut-Bages Libéral、メドック格付け第5級)をそれぞれ担当しています。

G&C Lurtonの公式ページの中にシャトー・フェリエール単独ページへのリンクがあります。


本当の公式ページが別にあったと思ったら、別URLで入り口が違うだけで同じサイトでした。

とにかくミレジム毎にデータシート完備で助かります。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 70%
・メルロー 25%
・プチ・ヴェルド 5%

熟成は、新樽が40%、1年落ちの樽が40%、20%はアンフォラ(素焼きの粘土の貯蔵容器)で計18ヶ月と何となくこだわりがありそうです。


シャトー・フェリエールを訪問します。やはりマルゴー村の集落内ですね。
Chateau-Ferriere
奥に「シャトー」があります。華美ではないですが立派で気品を感じます。

恒例、マルゴーの中心地にひしめく格付けシャトーをロゴ入りで示した地図です。
Margaux_中心周辺
マルゴー村とカントナック村にこれら18シャトーが密集していますが、実は2017年に両村は合併し「マルゴー・カントナック村(Margaux-Cantenac)」となっています。

<マルゴー・カントナック村(Margaux-Cantenac)>(18シャトー)
(第1級)Château Margaux(マルゴー)
(第2級)Château Brane-Cantenac(ブラーヌ・カントナック)
     Château Durfort-Vivens(デュルフォール・ヴィヴァン)
     Château Lascombes(ラスコンブ)
     Château Rauzan-Gassies(ローザン・ガシー)
     Château Rauzan-Ségla(ローザン・セグラ)
(第3級)Château Boyd-Cantenac(ボイド・カントナック)
     Château Cantenac-Brown(カントナック・ブラウン)
     Château Desmirail(デスミライユ)
     Château d’Issan(ディッサン)
     Château Ferrière(フェリエ―ル)
     Château Kirwan(キルヴァン)
     Château Marquis-d’Alesme(マルキ・ダレーム)
     Château Malescot-Saint-Exupéry(マレスコ・サン・テグジュペリ)
     Château Palmer(パルメ)
(第4級)Château Marquis-de-Terme(マルキ・ド・テルム)
     Château Pouget(プージェ)
     Château Prieuré-Lichine(プリウレ・リシーヌ)

ただし、AOCマルゴーの格付けシャトーにはあと3つあり、全部で21シャトーになります。
AOC_Margaux_Communes
AOCマルゴーの範囲は、マルゴー・カントナック村に加え、ラバルド村、アルサック村、スッサン村の4村になります。残り3シャトーが以下です。

<ラバルド村(Labarde)>(2シャトー)
(第3級)Château Giscours(ジスクール)
(第5級)Château Dauzac(ドーザック)

<アルサック村(Arsac)>(1シャトー)
(第5級)Château du Tertre(デュ・テルトル)

以上からわかるように、スッサン村はAOCマルゴーですが格付けシャトーはありません。


格付けワインを飲む度にAOCごとにはまとめてるんですが、メドック格付けの全61シャトーを一覧でまとめることが少なかったので、ここに一覧を置いておきます。ご参考ください。
格付銘柄名AOC
1級Ch. ラフィット・ロートシルト
Château Lafite-Rothschild
ポイヤック
(Pauillac)
1級Ch. ラトゥール
Château Latour
ポイヤック
(Pauillac)
1級Ch. ムートン・ロートシルト
Château Mouton Rothschild
ポイヤック
(Pauillac)
1級Ch. シャトー・マルゴー
Château Margaux
マルゴー
(Margaux)
1級Ch. オー・ブリオン
Château Haut Brion
ペサック・レオニャン
(Pessac Leognan)
2級Ch. ローザン・セグラ
Château Rauzan-Ségla
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ローザン・ガシー
Château Rauzan-Gassies
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. デュルフォール・ヴィヴァン
Château Durfort-Vivens
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ラスコンブ
Château Lascombes
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ブラーヌ・カントナック
Château Brane Cantenac
マルゴー
(Margaux)
2級Ch. ピション・バロン(Ch. ピション・ロングヴィル・バロン)
Château Pichon Baron (au Baron de Pichon-Longville)
ポイヤック
(Pauillac)
2級Ch. ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド
Château Pichon Longueville Comtesse de Laland
ポイヤック
(Pauillac)
2級Ch. コス・デストゥルネル
Château Cos d’Estournel
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
2級Ch. モンローズ
Château Montrose
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
2級Ch. レオヴィル・ラス・カーズ
Château Léoville-Las-Cases
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. レオヴィル・ポワフェレ
Château Léoville-Poyferré
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. レオヴィル・バルトン
Château Léoville-Barton
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. グリュオ・ラローズ
Château Gruaud Larose
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
2級Ch. デュクリュ・ボーカイユ
Château Ducru Beaucaillou
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
3級Ch. ラ・ラギュンヌ
Château La Lagune
オー・メドック
(Haut-Medoc)
3級Ch. キルヴァン
Château Kirwan
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. ディッサン
Château d’Issan
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. ボイド・カントナック
Château Boyd Cantenac
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. カントナック・ブラウン
Château Cantenac Brown
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. パルメ
Château Palmer
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. デスミライユ
Château Desmirail
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. ジスクール
Château Giscours
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. マレスコ・サン・テグジュペリ
Château Malescot St.Exupery
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. フェリエール
Château Ferrière
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. マルキ・ダレム(ベッケー)
Château Marquis d’Alesme (Becker)
マルゴー
(Margaux)
3級Ch. カロン・セギュール
Château Calon Ségur
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
3級Ch. ラグランジュ
Château Lagrange
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
3級Ch. ランゴア・バルトン
Château Langoa Barton
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. ラ・トゥール・カルネ
Château La Tour Carnet
オー・メドック
(Haut-Medoc)
4級Ch. プージェ
Château Pouget
マルゴー
(Margaux)
4級Ch. プリウレ・リシーヌ
Château Prieuré-Lichine
マルゴー
(Margaux)
4級Ch. マルキ・ド・テルム
Château Marquis de Terme
マルゴー
(Margaux)
4級Ch. デュアール・ミロン
Château Duhart Milon
ポイヤック
(Pauillac)
4級Ch. ラフォン・ロシェ
Château Lafon-Rochet
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
4級Ch. サン・ピエール
Château Saint-Pierre
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. タルボ
Château Talbot
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. ブラネール・デュクリュ
Château Branaire Ducru
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
4級Ch. ベイシュヴェル
Château Beychevelle
サン・ジュリアン
(Saint-Julien)
5級Ch. ベルグラーヴ
Château Belgrave
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級Ch. カマンサック
Château de Camensac
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級Ch. カントメルル
Château Cantemerle
オー・メドック
(Haut-Medoc)
5級Ch. ドーザック
Château Dauzac
マルゴー
(Margaux)
5級Ch. デュ・テルトル
Château Du Tertre
マルゴー
(Margaux)
5級Ch. ポンテ・カネ
Château Pontet Canet
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. バタイエ
Château Batailley
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. オー・バタイエ
Château 
Haut-Batailley
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. グラン・ピュイ・ラコスト
Château Grand Puy Lacoste
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. グラン・ピュイ・デュカス
Château Grand Puy Ducasse
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ランシュ・バージュ
Château Lynch Bages
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ランシュ・ムーサ
Château Lynch Moussas
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ダルマイヤック
Château d’Armailhac
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. オー・バージュ・リベラル
Château Haut-Bages-Libéral
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. ペデスクロー
Château Pédesclaux
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. クレール・ミロン
Château Clerc Milon
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. クロワゼ・バージュ
Château Croizet Bages
ポイヤック
(Pauillac)
5級Ch. コス・ラボリ
Château Cos Labory
サン・テステフ
(Saint-Estephe)
いっぺんに並べると結構なボリュームで頭に入りにくいですね。やはりAOCごとにシャトーと等級を結び付けて覚えていくのが早道な気がします。
※シャトー名をクリックするとそれぞれの個別記事(セカンドラベル含む)に飛びます。こうして見ると全61シャトー中57と9割以上を制覇していますね。逆に言えばあと4シャトーでコンプリートです。そろそろ頑張りましょうか(笑)


エチケット平面化画像。
IMG_0856
ユーロリーフに加え、デメターとビオディヴァンのマークが輝いています。
「Ferrière」の綴りにつてですが、なぜか公式HPではアクサン・グラーヴのない「Ferriere」となっています。(正確には、付いてない表記がほとんどですが、データシートなんかはアクサン・グラーヴ付きで書いてあったりします。)どうでもいいのかもしれませんが、なんだか気になります(笑)。


さあ、抜栓。
IMG_0999
さすが格付けシャトー、キャップシールが高級感あってカッコいいです。

コルク平面化。
IMG_1001
しっかりミレジムが入っています。

Alc.13.5%。
濃いインキーなガーネット。
IMG_1005

黒ベリー、スパイス、干し肉、チョコ。
木樽の香りは白檀のような芳香をまとっています。
辛口アタック。
厚みと複雑味も十分ながら、乾いた印象。
…と思っているうちに、
後々の余韻で、喉元の心地よいタンニンに隠れて、
果実味は戻ってきます。
なんだかこの流れがドラマチックです。

ジェームス・サックリングおじさんが96点と高得点をつけています。
確かに、わかる気がします。
(ちなみにパーカーおじさんはPP94+。)


*****

Château Ferrière 2019
Margaux
RRWポイント 95点


Robert Mondavi Private Selection Bourbon Barrel-Aged Cabernet Sauvignon 2019

ロバート・モンダヴィのワインをいただきます。ムートンとコラボしてオーパスワンなんかを出したりしてますからネームバリューはすごいと思いますが、今日のこれはプライベート・セレクションというシリーズで、セカンドラベルというか廉価多売モデルという位置付けなんだと思います。とは言っても天下のロバモン。ヘタなワインは出していないと期待してお試しです。

IMG_0963
今さら多くを語る必要はないですが、高品位カルフォルニアワインを世に広めたロバート・モンダヴィは1966年創設。オーパスワンのコラボも有名ですが、チリのエラスリスと組んだセーニャ(Seña)というスーパープレミアムワインも忘れてはいけませんね。なんだかんだで手広くやっている印象のロバモンですが、今日のプライベート・セレクションというシリーズは気軽にロバモンを味わえると人気も高いようです。過去に同じシリーズのジンファンデルとピノ・ノワールを試していますが、いずれもなかなかなお手前でした。さて今日はバーボン樽で熟成したカベソーということで、名前を聞いただけでおいしそうな気がします(笑)。

公式ページはこれですが、本家ですのでプライベート・セレクションが載ってません。


「Private Selection」シリーズの専用サイトがあるのでこちらを見ることになります。

ワイン紹介はちゃんとあるんですが内容は貧弱。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 100%

多分100%でしょう。ブドウは主にセントラルコースト(Central Coast)となっています。また、新樽含むバーボン樽で熟成とありますが、熟成期間は不明。まあ、バーボン樽と言ってもアメリカンオーク樽のことですが、ユーズドなら一旦バーボン(ウィスキー)を詰めてあるので独特の風味を生むかもしれません。

こちらがナパのオークヴィルにある本家ロバート・モンダヴィです。
RoberMon01
プライベート・セレクションはまさかここで作っていることはないと思うので、どこで作っているのか調べてみようと思います。裏ラベルに「Bottled by Robert Mondavi, Acampo, CA」とありました。アキャンポ? どうやらこれが手掛かりになりそうです。

「Acampo」にはロバモンの量販ブランド「Woodbridge」がありました。なるほど、ここなら立派な施設でたくさん作れそうです。そして、今日のプライベート・セレクションがおいしければウッドブリッジ(Woodbridge)もそこそこおいしいんじゃないかという類推ができます(笑)。まだ、試したことはないですが、カルディに売っていたと思います。今度試そうっと。
Woodbridge1
ナパからは車で2時間ほどの距離です。アキャンポ(Acampo)のすぐ南側がローダイ(Lodi)の市街地で、付近一帯はローダイAVAのエリアです。(正確にはローダイAVAのサブリージョン、Mokelumne River AVA になります。)今日のワインのブドウは主にセントラルコースト(Central Coast)からとしか書いていませんでしたが、周りのローダイAVAはセントラル・コーストには属さないので、周辺からのブドウではなくもう少し遠方から来てるのでしょう。表示はカリフォルニア(California)なのでローダイも少しは入ってるかもしれませんが…どうでもいいか(笑)。

気になっていたカリフォルニア全図を少し更新したので貼っておきます。
California_AVA-NEW
ローダイAVAはセントラル・ヴァレー(Central Valley)としていたんですが、最近はそうは言わないようですね。強いて言えば「Inland Valleys」と分類することもあるようですが、これとてAVA扱いではなく、表示される場合は今日のワインのように単に「California」となります。しかしながらこの地域はローダイ中心に大手ワイナリーの大量生産ワイン用に相当量のブドウを供給するエリアで、カリフォルニアの生産量の 4 分の 3 はここで生産されているとも言います。すごいですよね。

おまけですが、Napa Valleyの地図で本家ロバート・モンダヴィの場所を確認。
Napa_Valley_AVA
うん、こちらは貫禄の銘醸地ですね。やはりこちらからのワインも飲みたい(笑)。


ラベル平面化画像。
IMG_0845
裏ラベルのお陰でウッドブリッジまでたどり着けましたが…

裏ラベルのメルシャンのシールはこの有り様でした。
IMG_0843
許さん。


さあ、抜栓。
IMG_0960

コルク平面化。
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いつものようにここにはロバート・モンダヴィさんのありがたいお言葉が書いてあります。

Alc.14.5%。
赤味のある濃いガーネット。
IMG_0962

黒ベリー、ダークチェリーに新しい木樽感。
芳しい…。
これがバーボン樽ですね。
確かにアメリカンオークの香りです。
辛口アタック。
圧倒的な厚み、グラヴィティ。
樽の風味はやはり着きすぎてる気もしますが、
全体のバランスは邪魔していません。むしろ貢献してる?
甘みにも感じるフレッシュ感の酸がいいアクセントです。
順当な余韻の伸びも嬉しい。
いやいや、これはなかなかのものでした。


*****

Robert Mondavi
Private Selection
Bourbon Barrel-Aged Cabernet Sauvignon 2019
C
alifornia
RRWポイント 95点


Tempos Vega Sicilia Pintia 2015 Toro

過日は自分の誕生日だったんですが、家族と家でパーティーということで、久々のシャンパーニュかとも思いましたが、食事に合わせて「重赤」を選びました。ストックの中からベガ・シシリアのピンティアをチョイス。未だウニコ(Único) は試してませんが、同じDOリベラ・デル・ドゥエロのアリオン(Alión)がかなりよかったので、ベガ・シシリアがDOトロで醸すこのピンティアもなかなかいいんではないかと期待が高まります。

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スペインを代表するトップワイナリー、ベガ・シシリア。銘醸地リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)の先駆者でもあります。1864年、ボルドーでワイン造りを学んだリビオ・ルカンダさんが、 フランスからカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、マルベックの苗を持ち込み、リベラ・デル・ドゥエロの土地に植えたことがワイナリーのはじまりで、その後1868年、息子のエロイさんがボデガス・ベガ・シシリア(Bodegas Vega Sicilia)を創設しました。

それから100年以上の時が経ち、ベガ・シシリアの名声はリベラ・デル・ドゥエロにとどまらず世に広がっていましたが、1982年に大手グループ企業のグルポ・エウレン(Grupo EULEN)を率いるアルバレス家(Familia Álvarez)がベガ・シシリアを入手します。この時、会社名を「TEMPOS Vega Sicilia」として企業化しています。こうしてアルバレス家は資本を投入し、畑を拡大、醸造設備を刷新するなど品質を向上させることに成功し、ベガ・シシリアの名をゆるぎないものにしました。

1991年、アルバレス家はベガ・シシリアの隣(ドゥエロ川に沿って東へ10キロ)に新しいワイナリー「アリオン」を建て、130haの畑でベガ・シシリアと同じアプローチでワイン作りをしています。ベガ・シシリアは、アリオン以降も他の土地へ進出し、現在5つのワイナリーを運営。

・Vega Sicilia(Ribera del Duero)
・ALIÓN(Ribera del Duero)
・PINTIA(Toro)
・MACÁN(Rioja)
・Tokaj-Oremus(Hungary)

今日はこの内のピンティアになります。DOトロですが、リベラ・デル・ドゥエロと同じドゥエロ川沿いの銘醸地です。

公式ページはさすが大企業という感じ。日本語も中国語も完備です。

テンポス・ベガ・シシリアの総合ページなのでピンティアもしっかり載っています。

・ティンタ・デ・トロ(テンプラニージョ) 100%

樹齢32年の古樹から手摘み収穫。フレンチオーク80%、アメリカンオーク20%の比率で12ヶ月の熟成。新樽率は(表記が曖昧ながら)おそらく80%。DOトロの規定では以下のレセルバに相当しそうですが、裏ラベルには通常の「Tinto」のシールが貼っていました。Tinto Roble のことかな?

<DO Toro の熟成規定>
・Joven(ホベン):規定なし
・Tinto Roble(ティント・ロブレ):オーク樽使用
・Crianza(クリアンサ):オーク樽6ヶ月含む2年
・Reserva(レセルバ):オーク樽12ヶ月含む3年
・Gran Reserva(グラン・レセルバ):オーク樽18ヶ月含む5年
(オーク樽は330L以下のバリック)

Tinta de Toro」です。DO Toro エリアでのテンプラニージョのシノニムです。
Tinta-de-Toro1
スペイン語で「牛のインク」の意味。DOトロのエリアではトロ原産の別の品種と主張する人もいるようですが、遺伝的にテンプラニージョ(Tempranillo)と同じものです。2012年のDNA分析では、スペイン原産のブドウを両親に持つことが判明しており(Albillo Mayor x Benedicto)、スペイン原産には間違いがないようです。
テンプラニージョはリベラ・デル・ドゥエロでは Tinto Fino とか Tinta del País と言います。ラ・マンチャでは Cencibel。カタルーニャのペネデスでは Ull de Llebre。またこれがポルトガルへ行くとティンタ・ロリス(Tinta Roriz)と呼びますが、これはダンやドウロ含む北部の呼び方で、中央部やアレンテージョなどの南部では、アラゴネス(Aragonez)になります。以上、シノニムまとめ(笑)。

※このブログでは「Tempranillo」を「テンプラニーリョ」とは書きませんが、世間でそう書かれているものと同じものです。百歩譲って「テンプラニー」はよしとします。テンプラニーニョやテンプラリーニョは問題外です(笑)。

ついでに、DO Toro の品種の規定を見ておきます。

<赤>
・ティンタ・デ・トロ 75%以上
・ガルナチャ 85%以上


なんですが、ガルナチャ(Garnacha Tinta)主体が認められたのはつい最近の2021年です。ガルナチャの場合は85%以上でないといけません。

<白>
・ベルデホ(Verdejo)
・Malvasía Castellana(=Síria:ポルトガル原産の古い品種)
・Albillo Real(Hében x Folha de Figueira の自然交配によるスペイン原産の古い品種)
・Moscatel de Grano Menudo(=Muscat Blanc à Petits Grains Ronds)

<ロゼ>
・赤・白で認められた品種

DO Toro では少ないですが白とロゼも認められています。ガルナチャOKとか、白もあるとか意外ですが覚えておきましょう。(参考:DO Toro 公式ページ


DO Toro にあるピンティアを訪問します。さすがベガ・シシリア。立派な施設です。
Pintia01
斜め向かいに以前に試したボデガ・レハドラダがありました。奇遇ですね(笑)。

HPに所有畑の分布がわかる地図があったので、Google Map上に重ねてみました。
Pintia012
サン・ロマン・デ・オルニハ(San Román de Hornija)という集落が最寄りの町ですね。

もう少しズームアウトしてみます。左下には「DO Toro」全体図もインポーズ。
Pintia02
近くを流れるドゥエロ川や、トロの町からの位置関係がわかりますね。ドゥエロ川がDOトロを貫いているのがわかりますでしょうか。ベガ・シシリアの本拠地、DOリベラ・デル・ドゥエロと環境が似通ってるはずです。

カスティージャ・イ・レオン州(Castilla y León)を俯瞰して周辺の他DOも確認。
Pintia03
ベガ・シシリアの本拠地のあるDOリベラ・デル・ドゥエロはDOトロよりかなり上流です。ドゥエロ川は、ポルトガルに入る下流でポルトガル語のドウロ川(Rio Douro)に名を変え大西洋に注ぎ込んでいます。


ラベル平面化画像。
IMG_6364


さあ、抜栓。
IMG_9736
キャップシールにビンテージが刻印されています。珍しいタイプかも。

コルク平面化。
IMG_9730
コルクにもビンテージが入ってますが、抜栓しないと見えないところに書いていますね。

Alc.15%。
濃いガーネット。
IMG_9731

黒ベリー、イチジク。
芳しいブレット…というか熟成香なんでしょうね。
辛口アタック。
まろやかに広がる味わいが次第にはっきりした骨格を見せます。
タンニンがいい仕事しています。
いいバランスのまま「かたまり感」となり、
フィニッシュまで太く続きます。
この流れがまたエレガントなのであります。

やはり、ベガ・シシリア。
間違いないですね。


*****

Tempos Vega Sicilia
Pintia 2015
DO Toro
RRWポイント 95点


Gamma Carmenere Reserva 2019 D.O. Valle de Colchagua

本日11月24日は「国際カルメネールの日」です。日本カルメネール振興協会の制定した記念日ではなく(笑)、チリで制定された正真正銘の記念日です。1994年に仏ブドウ品種学者 Jean Michel Boursiquot が、チリのマイポ(正確には Buin の Viña Carmen)で幻の品種カルメネールを再発見します。その日が11月24日だったので、20周年の2014年に「カルメネールの日」に制定されました。みなさん、とにかくアルパカでもガトネグロでも構わないのでカルメネールを開けましょう。それが普及の第一歩です。うちも近所で安く買った正体不明のやつを…(笑)

IMG_9186
ガンマ(Gamma)はブランド名のようなので裏ラベルを見てみると、ECOCERT認証(ECOCERT/フランス国際有機栽培認証機関)とヴィーガン協会(The Vegan Society)のマークがあり、筋金入りのオーガニックワインというのはわかります。ただ「www.gammawines.com」と書かれているURLはつながりません。ワイナリー名は「V.E.S.A.」となっています。ずいぶん昔も「VESA」と書いたワインは飲んでいた記憶があるので馴染みはあるのですが、正体がさっぱりわかりません。インポーターはモトックスなので、その紹介ページを見に行くと「ベサ V.E.S.A」とあり、それ以上の情報なし。困りました(笑)。

ネットで情報はないかと探していると、おそらく「V.E.S.A.」=「Viñedos Emiliana S.A.」ではないかという情報に出くわしました。エミリアーナはチリのビオワインの大御所です。なんとなくECOCERTやVeganの認証が符合します。エミリアーナは1986年にギリサスティ家が設立、90年代後半から有機栽培を実践、2001年にはチリ初のオーガニック認証ワインを出したりとビオワインで先進的な所。チリのワイナリーで初めて Demeter 認証を受けたのもエミリアーナです。本拠地カサブランカ・ヴァレーを中心に、マイポ、カチャポアル、コルチャグア、ビオビオなど各地に自社畑を922ha所有、契約畑は334haを管理し、総計1200haにもなる畑はほぼ全域オーガニック認証を受けています。ということで、今日のワインはもうエミリアーナということで話を進めます(笑)。

モトックスの紹介ページを上げておきます。

モトックスのHPにワインの紹介はあります。情報ほぼゼロですが。

・カルメネール主体

「主体」なんて書いていますが、おそらく100%ではないかと。熟成はステンレスタンクで8ヶ月です。

エミリアーナの本拠地はカサブランカ・ヴァレーで、コルチャグア・ヴァレーではないです。
Emiliana
サンティアゴとバルパライソを結ぶ国道68号線沿い、ちょっと横にそれたところにあります。

昔描いた地図を再掲。 今日のワインの Colchagua Valley の位置関係を見ておきます。
Chile _Rapel_Valley
この地図は川を目立たせているのでキーになる主要な川の流れがよくわかります。カチャポアル川流域がカチャポアル・ヴァレー。ティンギリリカ川流域がコルチャグア・ヴァレー。合わせてラペル・ヴァレーになるんでしたね。ちゃんと2つの川が合流するとラペル川という名前になります。ティンギリリカ川もコルチャグア川って名前だと完璧なんですが、少し残念。(笑)


ラベル平面化画像。
IMG_9146
オーガニック感満点のこのデザイン、なんとなくエミリアーナに通ずるものがあります(笑)。


さあ、スクリュー回転。
IMG_9184
ネックにマフラーのようなPOPがありました。

Alc.13.5%。
ガーネット。
IMG_9185

黒ベリー、ダークチェリー。
青み(ピーマン香)あり、モカ、コーヒー、
カルメネールの王道の香りです。
そして、スモーキーな…樽香?(まさか!)
辛口アタック。
複雑味のある味わい、ボリューム感もあります。
タンニンもソフトに効いて好みのバランス感です。
重々しくなく余韻が続くのもいい感じ。
まさに「カルメネール」であり、
それも結構いい方のカルメネールでした。意外。

結果オーライですが(笑)、「カルメネールの日」にふさわしい、
感動的なカルメネールに出会うことができました。


*****

V.E.S.A.
Gamma
Carmenere Reserva 2019
D.O. Valle de Colchagua
RRWポイント 95点


Château Laffitte Carcasset The Corsair of Laffitte Carcasset 2018 Saint-Estèphe

変なおじさんのエチケットですが、サンテステフの歴史あるシャトー、ラフィット・カルカッセのセカンドのようです。エチケットのデザインからしてセカンドというよりは輸出用戦略ブランドって感じかもしれません。アプリで調べても結構評価が高かったのでお試しとなりました。

IMG_9159
ボルドー、メドック地区のサンテステフと言えば、シャトー・モンローズ、コス・デストゥルネル、カロン・セギュールなど格付けシャトーが有名ですが、このシャトー・ラフィット・カルカッセはサンテステフのど真ん中に鎮座する「Le Carcasset」の畑を1759年から所有するという名門です。「ラフィット」は当時の所有者の「ジョン・ラフィット」さんから来ています。今日のセカンドらしきワインの「Corsair」とは「海賊」の意味で、カリブ海最後の海賊「ジャン・ラフィット」その人だそうです。と言ってもシャトーのオーナーと同姓同名の従兄弟らしいんですが(笑)。当時、交易の港でもあったボルドーのジロンド河岸から数多くの冒険者が大西洋に出て行ったといいます。その一人、ジョン・ラフィットは米国のニュー・オーリンズにたどり着き、アメリカ人と共にイギリス軍と戦い英雄になったとか。その方をラベルのイラストにしたようです。

公式ページはなんとホテルの紹介メインで(シャトーに泊まれます)ワイン情報ほとんどなし。

今日のセカンドなんか載ってるわけがありません。

・カベルネ・ソーヴィニヨン 60%
・メルロー 35%
・カベルネ・フラン 5%

これは作付面積比なんですが、ネットで今日のワインがカベソー60%と書いてあったので、おそらくセパージュもこんなもんだろうと思われます。樽使いは不明。


シャトー・ラフィット・カルカッセを訪問しますがストビューは届いておらず。
LCarcasset
HPから画像を拝借しましたが、なかなか立派なシャトーです。

一本道で通ずる裏口までは行けました。
The_Corsair01

サンテステフの地図で場所を見ましょう。ほら、ど真ん中です。
Saint-Estephe_元
メドック格付け61シャトーのうち、サン・テステフには5つしかないので簡単です。

(第2級)Château Montrose(モンローズ)
     Château Cos d’Estournel(コス・デストゥルネル)
(第3級)Château Calon Ségur(カロン・セギュール)
(第4級)Château Lafon-Rochet(ラフォン・ロシェ)
(第5級)Château Cos Labory(コス・ラボリ)

以上の合計5つになります。黄下線していますので地図上でも確認してください。

ところで、シャトー・ラフィット・カルカッセはこの1855年のメドック格付けシャトーではなかったのですが、実はこの格付けに対抗する形で「クリュ・ブルジョワ(Crus Bourgeois)」という、ボルドー商工会議所とジロンド農業会議所が1932年に始めた格付けがあり、1932年当初からシャトー・ラフィット・カルカッセはクリュ・ブルジョワに格付けされていました。

さらにこのクリュ・ブルジョワは、2003年にはフランス政府が認める公式な格付けとされ、3段階の格付けが導入されました。

<以下の3段階のクラス分け>
Cru Bourgeois(クリュ・ブルジョワ)
Cru Bourgeois Supérieur(クリュ・ブルジョワ・スペリュール)
Cru Bourgeois Exceptionnel(クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル)

ところが、この格付け、審査団に審査されるシャトーの当事者が含まれていたことで公平性に問題ありとして、2007年にこの格付けを認めた省令を無効とする判決が出ます。ここからクリュ・ブルジョワの格付けは混沌としていきます。同年にクリュ・ブルジョワ連盟(Alliance des Crus Bourgeois du Médoc)という団体が新たに組織され、一度は禁止されたクリュ・ブルジョワの格付け表示を復活へと動き出します。中のクラス分けは廃止され「クリュ・ブルジョワ」のみ表示が許されるようにはなりますが、2003年の格付けでスペリュールやエクセプショネルのクラスを獲得していたシャトーは「あほらし」と言って(フランス語でどう言ったかは定かでないですが…笑)連盟から脱退していきます。このように一時期は廃れたクリュ・ブルジョワですが、2020年にクリュ・ブルジョワ連盟が新たに249シャトーの新クラス分けを発表し、再スタートを切るようです。ここではシャトー・ラフィット・カルカッセはクリュ・ブルジョワ・スペリュール(Cru Bourgeois Supérieur)に格付けされるようです。

クリュ・ブルジョワ連盟の公式サイトに2020年のクラス分け(2018年のヴィンテージから適用になるようです。)のリストがあります。確かにシャトー・ラフィット・カルカッセはクリュ・ブルジョワ・スペリュールに名前が載っています。


エチケット平面化画像。
IMG_9140
「The Corsair をスキャンせよ」なんていうシールが貼られていますが、「ARGOplay」というアプリでエチケットのおじさんをスキャンすると、立体でジャン・ラフィットさんが登場し、自分やワイナリーの歴史を語り始めます(笑)。

いわゆるAR技術ですね。これがiPhoneのキャプチャー画像になります。
IMG_2268
う~ん、正直立体化するほどのクオリティが感じられない画像です(笑)。まあ、新しい試みというのは評価しますが、何のアプリを使ったらいいのか全く書かれていないのは困りますね。探すのに難儀しました。


さあ、抜栓。
IMG_9156

コルク平面化画像。
IMG_9157
しっかりミレジムが入っています。

Alc.13.5%。
濃いガーネット。
IMG_9158

黒ベリー、スパイス、濡れ木
辛口アタック.
まろやかなふくらみある味わい。
厚み・存在感、申し分ないですね。
こじんまりしてる感はあるんですがバランスは抜群。
そのバランス、余韻でも崩れません。

ラベルの感じで舐めてかかってしまいますが、
どっこい正統派ボルドーのうまさがありますよ。


*****

Château Laffitte Carcasset
The Corsair of Laffitte Carcasset 2018
Saint-Estè
phe
RRWポイント 95点


Château Pégau Côtes-du-Rhône Villages Cuvée Setier 2019

シャトー・ぺゴー(Château Pégau)のロゼ(ピンク・ぺゴー)というのを前に試しました。サンソー主体のローヌのロゼ。なかなか興味深かったです。ドメーヌ・デュ・ペゴー(Domaine du Pégau)/シャトー・ぺゴー(Château Pégau)は初めてだったわけですが、シャトーヌフ・デュ・パプのトップキュヴェ(ダ・カポ)はほぼ全てパーカーおじさん100点満点という作り手、ちょっと上のも試したくなりました。コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュと行きましょう!

IMG_8563
フェロー家は17世紀からのブドウ栽培農家の家系で、1987年にポール・フェローさんと娘のローランスさんがシャトーヌフ・デュ・パプの畑でドメーヌ・デュ・ペゴー(Domaine du Pégau)を始めました。また、シャトー・ぺゴー(Château Pégau)というのもやっていて、世間ではセカンドのような位置づけで言われていますが、これは2012年に買い増した畑に対して使っている名前ということで、畑が違う以外は品質の差はないようです。ラベルに名前がありますが、ローランス・フェローさん(Laurence Féraud)が現在引き継いで当主をやってます。

公式ページは情報豊富でコート・デュ・ローヌの解説も丁寧にやってます。
Prg
今日のコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュは「Cuvée Setier」という名前がついていますが、スティエ(Setier)というのはワインを計る古い単位だそうで、コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの良質なワインをイメージしているそうです。

・グルナッシュ 60%
・シラー 20%
・ムールヴェードル 20%

手摘み収穫。除梗なし、全房を圧搾します。天然酵母で発酵。エナメルタンクで1年の熟成をします。AOC Côtes du Rhône Villages(Rouge)のセパージュの規定を見ておきます。

<主要品種>
・グルナッシュ(Grenache Noir)→ 最低50%以上
・シラー(Syrah)、ムールヴェードル(Mourvèdre)→ 合わせて20%以上
<補助品種>
・その他(ここでは挙げませんが)サンソーやクレレットなど → 20%まで

ちなみにロゼ(Côtes du Rhône Villages Rosé)もあり、白品種が20%まで使えます。白品種というのは、白(Côtes du Rhône Villages Blanc)で使われるグルナッシュ・ブラン、クレレット、マルサンヌ、ルーサンヌ、ブールブラン、ヴィオニエなどです。


ドメーヌ&シャトー・ぺゴー訪問。シャトーヌフ・デュ・パプの中心にあります。
Pegau01
畑に小石がゴロゴロあるのが見えます。シャトーヌフ・デュ・パプ特有の土壌です。


INAOの地図で AOC Côtes du RhôneCôtes du Rhône Villages範囲の違いを確認。
Cotes-du-rhone-villages00
AOCコート・デュ・ローヌ(左地図)は、北部ローヌ(Vallée du Rhône Nord / Septentrional)まで包含していることがわかりますが、AOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ(右地図)は南部ローヌ(Vallée du Rhône Sud / Méridional)にしかないことがわかります。地図にある95のコミューンが該当するそうです。また右の地図にはAOCコート・デュ・ローヌの対象コミューンの範囲を重ねてあり、ヴィラージュとは微妙に対象コミューンが違っているのがわかってもらえると思います。

そのAOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュには補足的地理的呼称(DGCDénominations Géographiques Complémentaires)がつく所が現在 22 あります。2020年にも Nyons というのが追加になっています。

<2012年までのDGC付き16ヶ村>
・Côtes-du-Rhône-Villages Chusclan
・Côtes-du-Rhône-Villages Laudun
・Côtes-du-Rhône-Villages Massif-d'Uchaux
・Côtes-du-Rhône-Villages Plan-de-Dieu
・Côtes-du-Rhône-Villages Puyméras
・Côtes-du-Rhône-Villages Roaix
・Côtes-du-Rhône-Villages Rochegude
・Côtes-du-Rhône-Villages Rousset-les-Vignes
・Côtes-du-Rhône-Villages Sablet
・Côtes-du-Rhône-Villages Séguret
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Gervais
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Maurice sur Eygues
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Pantaléon-les-Vignes
・Côtes-du-Rhône-Villages Signargues
・Côtes-du-Rhône-Villages Valréas
・Côtes-du-Rhône-Villages Visan

<2012年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Gadagne

<2016年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Sainte-Cécile
・Côtes-du-Rhône-Villages Suze-la-Rousse
・Côtes-du-Rhône-Villages Vaison-la-Romaine

<2017年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Saint-Andéol

<2020年追加>
・Côtes-du-Rhône-Villages Nyons

さあこれら22ヶ村をGoogle Map上に表します。南部ローヌ地図完全版の完成です。
Rhone_Sud_Meridional_FINAL

しかしながら、今日のワインにはこういった補足的地理的呼称がつかないので、その範囲外か複数のエリアのブレンドなのかな~と思っていると、HPにシャトー・ぺゴーのAOCコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・ルージュの畑は5ヘクタール所有しているとして、なんと地図で場所を示してありました。ありがたや~。
CRV
見にくいですが、ソルグ(Sorgues)の町(のすぐ西側)にあるようです。これは場所的には AOCシャトーヌフ・デュ・パプの対象コミューンになります。(AOCシャトーヌフ・デュ・パプの対象範囲は、Châteauneuf-du-Pape だけでなく、Orange、Courthézon、Bédarrides、Sorgues 含む5つのコミューンに渡ります。)

先ほどの南部ローヌ地図にこの畑を白く塗ってみました。(白マルの中)
Rhone_Sud_Meridional_FINAL

ここまで畑の所在がわかったのでストビューで実際に行ってみましょう。
Cotes-du-Rhone-Villages畑
小石ゴロゴロ。AOCシャトーヌフ・デュ・パプと素性は似てるんじゃないでしょうか。


エチケット平面化画像。
IMG_8443

裏ラベルはなく、インポーターシールのみ。
IMG_8445


さあ、抜栓。
IMG_8559

コルク平面化。
IMG_8560
ピンク・ぺゴーと同じシンプルなデザイン。

Alc.14.5%。
ガーネット。涙は色つきです。
IMG_8561

黒ベリー、スパイス。
樽はないはずですが古木の樽香を感じます。
たおやかな甘さを漂わせる辛口アタック。
丸みのある複雑な味わいはスケール感のあるストラクチャーを形成。
これはバランスの妙を感じずにいられません。
余韻の最後までもバランスの妙…。

2016のヴィンテージですが、パーカーおじさんは92 点だそうです。
いや、これはもっとうまいですよ(笑)。


*****

Château Pégau
Côtes-du-Rhône Villages
Cuvée Sétier 2019
RRWポイント 95点


Thunevin Clos Badon Saint-Émilion Grand Cru 2018

「テュヌヴァン」と言えば、ガレージワインからプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(B)に登り詰めた(2012年昇格)シャトー・ヴァランドロー(Château Valandraud)で有名なジャン・リュック・テュヌヴァン(Jean-Luc Thunevin)さんのこと。他にもいろんなワインを手掛けていて、AOCボルドーの Bad Boy なんてのも以前に試しました。今日のこのワインは、そのテュヌヴァンさんが1998年にサンテミリオンのコミューン内に手に入れた畑から。

IMG_8417
その畑が「クロ・バドン」といい、ワイン作りのパートナーでもあるミュリエル・アンドロー夫人の指揮のもと作られるワインなんだそうです。

ラベルのニワトリのマークは、テュヌヴァンさんが自宅で飼っていたニワトリがモデルだそうですが、「鳥」で「バードン」と聞くとどうしてもこれを連想してしまいます(笑)。
Badon04
タロウとゾフィーを倒した最強の部類に入る怪獣です。どうでもいいですが(笑)。


公式ページはクロ・バドン単独のもがあります。力が入ってるってことでしょう。
ClosBadon_Banner

因みに、シャトー・ヴァランドローの公式ページはこちらになります。


テュヌヴァンさんのオンラインショップがこちら。手掛けるワインがこちらで買えます。

サンテミリオンにあるクロ・バドンの畑は6.5ヘクタールあり、砂利質の土壌で平均樹齢は20年とのこと。

・メルロー 50%
・カベルネ・フラン 50%

手摘み収穫、フレンチオークの新樽で18〜22ヶ月の熟成と贅沢な作り。生産量は15,000本だそうです。

畑もサンテミリオンの集落近くなのでワイナリーも集落内に新たに構えています。
Clos-Bandon-Thunevin
看板が上がっていませんが、HPに上がっていた写真と見比べるとここのようです。この前の道をもう少し行くとサンテミリオンのシンボルともいえるサンテミリオン・モノリシック教会の前の広場に出ます。

ストビューで適当に拾ったサンテミリオン・モノリシック教会の写真を貼っておきます。
Saint-Emilion01
今日のワインと直接は関係ないですが雰囲気だけでも…と。

「クロ・バドン」の畑は、シャトー・パヴィ、シャトー・ラルシス・デュカス、シャトー・カノン・ラ・ガフリエールに囲まれているようなことがHPに書いてあります。確かにこれら有名シャトーの近くに「Badon-Nord」という小道がありました。このあたりが「クロ・バドン」なんだと思われます。以前描いたサンテミリオンの格付けシャトー全部入り地図で見ておきます。
Saint-Emilion
この地図は、サン・テミリオンの最高格付けである、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)と(B)の全部をカバーするように縮尺を2段構えで並べたものです。(A)(B)のマークで示してあります。シュヴァル・ブランやヴァランドローがサン・テミリオン集落から離れているので1枚の地図に入れるのは困難だったのですが、縮尺違いの2枚をつなげてなんとか実現しました(笑)。

サン・テミリオンの格付けは1855年のメドックの格付けに遅れること100年、1955年から始まっていて、10年ごとに改定されます。地図に書いた格付けは2012年の格付けに基づくものです。ちょうど2022年の今年再格付けが行われるんですが、現状の格付け(=2012年)をリストアップすると以下になります。

PREMIERS GRANDS CRUS CLASSÉS (A)

Château Ausone ・・・<2022年 脱退>
Château Cheval Blanc ・・・<2022年 脱退>
Château Angélus(2012年昇格) ・・・<2022年 脱退>
Château Pavie(2012年昇格)

PREMIERS GRANDS CRUS CLASSÉS (B)

Château Beau-Séjour (héritiers Duffau-Lagarrosse)
Château Beau-Séjour-Bécot
Château Bélair-Monange
Château Canon
Château Canon la Gaffelière(2012年昇格)
Château Figeac
Clos Fourtet
Château la Gaffelière ・・・<2022年 脱退>
Château Larcis Ducasse(2012年昇格)
La Mondotte(2012年昇格)
Château Pavie Macquin(2006年昇格)
Château Troplong Mondot(2006年昇格)
Château Trottevieille
Château Valandraud(2012年昇格)

<2022年 脱退>と付けたシャトーがありますが、審査基準(ワインと関係のない事柄が重要な評価ポイントとなっている)が納得いかないという理由で、2022年の格付けは脱退を表明しているシャトーになります。4つしかないプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)から3つも脱退ですから、これは結構えらいこっちゃな状況です。ちなみに以下の2シャトーも脱退表明してますから、現在6シャトーが脱退を表明している状況になっています。どうなりますことやら。

Château Quinault l’Enclos(Grand Cru Classé)
Château Croque Michotte(Grand Cru、1996年 Grand Cru Classé から格下げ)

サン・テミリオンの格付けの最大の特徴は10年ごとに改定されるところです。過去、1969年、1986年、1996年、2006年、2012年と改定を重ねてきています。ところが、この改定がもめる要因にもなってるんですね。2006年の改定時も格付けが一時無効になったり大モメしています。前回2012年の格付けから10年。波乱の2022年改定がやってきます(笑)。


ボルドー右岸のサン・テミリオン(Saint-Émilion)はメドックとは格付けのシステムが違うので、いくつか理解しておかないといけない事項があります。まずは対象範囲をINAOの地図で確認。
SM01
行政区分のサン・テミリオンだけでなく周辺のコミューンを含めた結構広大な範囲です。ここで作ったワインが一定の条件を満たすと以下のAOCが名乗れます。

・AOC Saint-Émilion
・AOC Saint-Émilion Grand Cru

後者は「Grand Cru」とつきますが、これは低収量かつアルコール度数の基準を満たせばOKな「Grand Cru」で、「Grand Cru Classé」というランクとは全く別モノと考えないといけません。「AOC Saint-Émilion Grand Cru」の中に、さらに上級の「Grand Cru Classé」が含まれるという関係です。なので、表記すると「Saint-Emilion Grand Cru Grand Cru Classé」となります。ややこしいですね。「Grand Cru」というワードの安売りをするからいけないんですね。「Classé」の付かない「並」のグラン・クリュが腐るほどあるということですから、サン・テミリオンの「グラン・クリュ」にだまされてはいけません。(今日のワインがそうですが…笑)

ただの「Grand Cru」とは違う「Grand Cru Classé」には以下の3段階があります。

・Premier Grand Cru Classé 'A'
・Premier Grand Cru Classé 'B'
・Grand Cru Classé

プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(A)のつと(B)の 14 のシャトーを見ましたが、「プルミエ」のつかないただの「グラン・クリュ・クラッセ」のシャトーはまだでしたね。実はこのクラスにはさらに 64 ものシャトーが選ばれています。とてもじゃないので、ここには挙げません(笑)。

サン・テミリオンの公式サイト格付けワインのリストとその詳細が確認できます。

64の「グラン・クリュ・クラッセ」の下にさらにゴマンとある「AOC Saint-Émilion Grand Cru」もリストになっています。今日のクロ・バドンの名前は見当たりませんでしたが。シャトー・ヴァランドロー(Château Valandraud)で登録されているからもういいのかな?


エチケット平面化画像。
IMG_8231
裏ラベルはインポーターシールだけでした。

さあ、抜栓。
IMG_8412

コルク平面化。
IMG_8413

Alc.15%。
ガーネット。中程度の大きさ~細かめの色つき涙あり。
IMG_8415

黒ベリー、ロースト香、芳しい樽香です。
酸の存在もわかる辛口アタック。
確かにメルローですが、深い、たおやかな厚みのある味。
コーヒー系の苦味もありました。
平和な余韻は感無量。
整います。(笑)

RRWポイントは95点をつけますが、
パーカーおじさんは92点のようです。


*****

Thunevin
Clos Badon
Saint-Émilion Grand Cru 2018
RRWポイント 95点


Viu Manent Gran Reserva Carménère 2019

ビウ・マネント(Viu Manent)のカルメネールです。ビウ・マネントは過去に「VIU 1」というフラッグシップを中国で(笑)試しています。日本ではというと、だいたいイオンで見かけるので、いつでも買えるさってなもんで、ずっと素通りしていました。気軽に手に入る名門のカルメネール、試しておかないといけません。ということで…。

IMG_8214
ビウ・マネント(Viu Manent)は、スペインのカタルーニャ地方からの移民「ビウ家」が1935年にサンティアゴにネゴシアンとして創業しています。1966年にコルチャグア・ヴァレーにワイナリーと150haものプレ・フィロキセラの畑を得て本格的なワイン作りを始めます。ちなみに当初アルゼンチンから機材や技術を導入したこともあって、ビウ・マネントの本領はマルベックです。トップエンドの「Viu 1」はマルベック・ブレンドですし、なんとチリで初めてマルベックのワインを出したのがビウ・マネントです。

公式ページは今風、というか、アメリカっぽい感じがします。情報は豊富。ワイン紹介もヴィンテージごとにデータシート完備です。特筆すべきは、裏ラベルのQRコードからもリンクがあるんですが、現地スタッフによる各ワインのテイスティング解説が Youtube の動画で見られることです。

ワイナリー自らがワインの解説をしてくれるのは臨場感もあってありがたいです。

・カルメネール 98%
・タナ 2%

タナをブレンド。面白いですね。総量の71%がフレンチオーク樽で11ヶ月の熟成。残り29%は卵型のコンクリート槽とステンレスタンクの併用です。この樽を使わない29%は果実味と新鮮味を出すのに効くそうです。

ビウ・マネント訪問です。ストビューで敷地内や周辺の畑まで入れます。
SantaCruz
コルチャグア・ヴァレーのサブリージョン、サンタクルスの東側にあります。このあたりは北側をアパルタ(2018年からの新しいDOサブリージョン)と隣接しています。ラポストル、モンテス、ベンティスケロなどお馴染みどころが密集していますね。

ビウ・マネントのHPは畑の紹介も地図付きで解説。カルメネールの畑に行ってみました。
Peralillo
ワイナリー周辺の畑以外に新たに入手したところだそうですが、カルメネールはすでに樹齢平均29年とすでに相当の歴史があります。土壌はシルト質ローム土壌で非常に細かいです。ペラリージョ(Peralillo)というコルチャグア・ヴァレーのサブリージョンになります。

いつものリベルタドール・ベルナルド・オイギンス州(Región del Libertador General Bernardo O’Higgins)の地図にビウ・マネントの場所を書き込みます。
Libertador_O'Hinggis_Rio
コルチャグア・ヴァレーはティンギリリカ川(Tinguiririca)沿い、でしたね。


ラベル平面化画像。
IMG_8161
裏ラベルのこのQRコードから先ほどのYoutube動画解説につながります。


さあ、抜栓。
IMG_8211

コルク平面化。
IMG_8208

Alc.14%。
ガーネット。
IMG_8212

黒ベリー、チェリー、スパイス、モカ。
辛口アタック。
構造感の中にコクが緻密に詰まってる感じ。
果実味も忘れていない味わいは好印象です。
タンニンも喉越しを心地よく刺激し、
フィニッシュまでいい仕事します。
このタンニンが尾を引く余韻は満足感に浸れます。
うん、いいカルメネールです。


*****

Viu Manent
Gran Reserva Carménère 2019
RRWポイント 95点


Château Carlmagnus 2018 Fronsac

ボルドー右岸と言えば、サンテミリオンやポムロールなどのメルロー主体のAOCが目立ってますが、フロンサックというAOCももっと注目されてもいいですよね。今日の作り手のインポーターの宣伝文句は「フロンサックのペトリュス」(笑)。リブルヌの町を挟んでポムロールの反対側でペトリュスからも車で10分ほどの距離ではありますが、お値段は200分の1(笑)。でも、確かにパーカーおじさんも安定して92~94点の評価をしている作り手なのでこれはいいかも…。

IMG_8043
シャトー・カルルマニュス2018。オーナーが、スポーツや絵画など多方面で活躍していた元フランスのフェンシング選手、アルノー・ルー・ウリエさんというから面白いです。祖父の時代からのワイン生産者の家系だったとのことで、家業を引き継ぐ形で1998年にフロンサックにシャトーを得てワイン作りをスタートさせたそうです。今日の2018年は20周年記念のスペシャルキュヴェということでラベルも特別バージョン。パーカーおじさんも92~94+点と高評価です。

公式ページは悪くないんですが、ワイン紹介がショップ兼用で在庫なしの2018は載ってません。

なので、近しいヴィンテージやインポーターの情報など参考にします。

・メルロー 90%
・カベルネ・フラン 10%

新樽率30~40%で12~14ヶ月の熟成といった感じです。新樽率50%で18ヶ月というインポーター情報もありました。2018は特別にやってるかもしれませんね。

シャトー・カルルマニュスを訪問します。おっと、奥まっていてストビューで入れません。
Maison-Roux-Oulie01
右岸にしては立派なシャトーの佇まいですね。

ボルドー右岸のAOC地図でフロンサック含めた位置関係を見てみます。
Bordeaux_Right_Fronsac
AOCフロンサックはAOCカノンフロンサックを内包しています。どちらも赤のみのAOCで品種の規定も同じ。今日の作り手はフロンサックのコミューンのど真ん中なのでカノンフロンサックも名乗れると思うんですが、ラインアップすべてAOCフロンサックで出していますね。謎~。それぞれのAOC の対象コミューンを以下にまとめます。

<カノンフロンサック>2コミューン
Fronsac、Saint-Michel-de-Fronsac

<フロンサック>7コミューン
Fronsac、Saint-Michel-de-Fronsac、La Rivière、Saillans、Saint-Aignan、Saint-Germain-de-la-Rivière、Galgon(ガルゴンは一部のみ) 


エチケット平面化画像。
IMG_7754
20周年記念ラベルでムートンみたいにイラストがあしらわれています。モトックスのシールはバーコードを隠していましたが剥がしました。


さあ、抜栓。
IMG_8037
20周年記念だからでしょうかキャップシールにもミレジムが入っています。

コルク平面化。
IMG_8040
コルクもしっかりミレジム入り。

Alc.15%。
濃いガーネット。中程度の粘性の涙。
IMG_8041

黒ベリー、プラム。
湿った木ですが複雑な樽香を感じます。
甘みをたたえる酸が居る辛口アタック。
シルキーなテクスチャーを持つ味の固まりは、
密度の濃い構造感を内包している…と申しましょうか。
とにかく骨格・バランスがしっかりしています。
喉越しからフィニッシュまでも完璧なバランスなのはあっぱれ。
メルローの頼りなさを感じない正統派ボルドーのうまさです。

パーカーおじさんは92 - 94+点と何をためらってるんでしょう。
サクッと95点をつけましょうよ。


*****


Arnaud Roux-Oulié
Château Carlmagnvs 2018
Fronsac
RRWポイント 95点


--- Red Red Wine ---

:「偉いワイン」探しの備忘録

"Grand Vin(偉大なワイン)は「偉いワイン」とは限らない"

かの有名なSFの名言です。(笑)
あくまで自己流にワインの世界を日々記録しています。
いつかその「偉いワイン」に出会うために。偉いワインとは?

尚、 各記事末の「RRWポイント」なる点数はロバート・パーカー気取りのマイ評価です。

• 即ち、50~100点の100点満点評価
• 白ワインWWWポイントは80点満点


So much wine, so little time...

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